説明

空中浮遊ホルムアルデヒドを減少させる方法

空中浮遊ホルムアルデヒドを捕捉する方法が提供される。この方法は、空中浮遊ホルムアルデヒドを式Iのホルムアルデヒド捕捉剤と接触させることを含み、式Iにおいて、R、R、R、R、R、R、及びRは明細書中に定義されるとおりである。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先出願の相互参照
本出願は、2008年11月17日に出願された米国仮特許出願第61/115162号に基づく優先権を主張するものであり、この仮特許出願は参照することによって全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、ホルムアルデヒドをホルムアルデヒド捕捉剤に接触させることによって、空中浮遊ホルムアルデヒドを減少させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
屋内での使用のために入手可能な多くの製品(例えば自己組立式の家具)が、少量のホルムアルデヒド及び他の揮発性アルデヒドを空気中に放出する。ホルムアルデヒドが健康に対して及ぼす悪影響への懸念から、ホルムアルデヒドは、作業環境中においてきわめて低い水準になるように厳密に規制されている。しかしながら、家庭環境においては、接着剤、パーティクルボード及びその他の家庭での種々の発生源から放出される付随的なホルムアルデヒドが、空中浮遊ホルムアルデヒドとなって、一般的に許容可能な限度を越えるレベルに至る可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、空中浮遊ホルムアルデヒドを除去する新しい技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ひとつの形態において、本発明は空中浮遊アルデヒドを減少させるための方法を提供する。該方法は以下を含む:環境中に空中浮遊ホルムアルデヒドを放出する物を準備すること;空中浮遊ホルムアルデヒドがホルムアルデヒド捕捉剤と反応して共役化合物(conjugate compound)を形成するように、空中浮遊ホルムアルデヒドをホルムアルデヒド捕捉剤と接触させること、ここにおいて、ホルムアルデヒド捕捉剤は、本明細書中化学式Iで表されるものであること。
【発明を実施するための形態】
【0006】
上述したように、本発明は空中浮遊ホルムアルデヒドを減少させる方法を提供する。この方法では、化学式Iの化合物をホルムアルデヒド捕捉剤として利用する。本明細書において化学式Iで表される化合物は、低レベルのホルムアルデヒドを空気中から抽出して空中浮遊ホルムアルデヒド濃度を減少させることができることが、本発明者らによって発見された。いくつかの実施態様においては、ホルムアルデヒドの濃度は1ppm未満まで減少させることが可能である。いくつかの実施態様においては、捕捉剤との接触前の、ホルムアルデヒドの当初濃度がすでに低い(例えば1ppm未満)場合でさえも、95%を越える空中浮遊アルデヒドの減少が観察される。
【0007】
意外なことに、本発明のホルムアルデヒド捕捉剤は、尿素及びアセトアセトアミド、この2つの化合物は木質複合材及び織物製造プロセスにおいてこの目的で使用されるよく知られた化合物であるが、よりも効率的に空中浮遊ホルムアルデヒドを除去することが見出された。本発明のさらに重要な利点は、ホルムアルデヒドが捕捉されたときに生じる反応生成物(共役化合物)の高い安定性である。その結果、一度捕捉されたホルムアルデヒドが再び放出される可能性が低減される。
【0008】
従来技術の多くは、捕捉剤を、例えば木質複合材及び織物製造プロセス中に取り込む(例えばホルムアルデヒドベースの樹脂中に取り込むなど)ことを含むものであるが、これらとは異なり、本発明は、後処理による捕捉法であり、ホルムアルデヒドを大気中に放出する製品とは関係がないものである。その結果、捕捉剤を製造工程に組み込むことによる弊害、例えば結合剤の有効性が減じられるなどは、本発明においては見られない。
【0009】
本発明の第1の実施態様(実施態様1という)においては、ホルムアルデヒド捕捉剤は、化学式(I)の化合物:
【0010】
【化1】

【0011】
又はその塩であり、式中、
Aは結合又はC(R78)であり;
1はH、OH又はC1−C6アルキル基であり;
2はH、OH又はC1−C6アルキル基あり;
3、R4、R5、及びR6は、独立してH、又はC1−C6アルキル基であり;
7及びR8は、独立してH、OH又はC1−C6アルキル基であり;
式中、R1−R8のアルキル基は、随意に独立してOH、NR910、C1−C6アルキル基、又はフェニル基によって置換されていてもよく、ここでR9及びR10は独立してH、又はC1−C6アルキル基であり、
7及びR8のいずれもがOHでない場合は、R1及びR2の少なくともいずれか一方はOHである。
【0012】
実施態様1において、好適にはR1はHである(実施態様2)。
【0013】
実施態様1−2において、好適にはRAは結合でありかつR2はOHである(実施態様3)。この実施態様において、さらに好適にはR1、R3、及びR4はそれぞれHであり、R5はH又は随意に置換されていてもよいC1−C6アルキル基であり、R6は随意に置換されていてもよいC1−C6アルキル基、好適にはC1−C3アルキル基、より好適にはメチルである。
【0014】
実施態様1−3において、好適にはR1、R3、及びR4はそれぞれHであり、R5及びR6は、それぞれ独立に、随意に置換されていてもよいC1−C6アルキル基であり、より好適にはR5及びR6の一方は非置換であり他方はOHで置換されているものである。
【0015】
実施態様1−3において、好適にはR1、R3、及びR4はそれぞれHであり、R5及びR6は、それぞれ独立に、随意に置換されていてもよいC1−C6アルキル基であり、より好適にはR5及びR6の両方がOHで置換されているものである。
【0016】
実施態様1において、好適にはR1はOHである(実施態様4)。この実施態様においてより好適には、RAは結合でありR2、R3、R4、及びR5はそれぞれHであり、R6は随意に置換されていてもよいC1−C6アルキル基、好適には非置換C1−C3アルキル基、より好適にはメチルである。
【0017】
実施態様1−4による特に好適な捕捉剤は、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−1−メチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N−イソプロピルヒドロキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、モノ−第二級−ブタノールアミン、ジ−第二級−ブタノールアミン、及びこれらの塩である。とりわけ好適なホルムアルデヒド捕捉剤は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである。これらの捕捉剤は、ANGUSケミカルカンパニー(バッファロー グローブ、イリノイ州、米国)、ダウケミカルカンパニー(ミッドランド、ミシガン州、米国)を含む種々の商業的供給源から入手可能であり、又は、当技術分野でよく知られた手段により容易に製造することができる。化学式Iの化合物は塩の形態で使用することができる。適切な塩には、塩酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、及びリン酸塩が含まれる。
【0018】
化学式Iのホルムアルデヒド捕捉剤は、ホルムアルデヒドと反応して本明細書で「共役化合物」と呼ぶ反応生成物を形成することによって、空中浮遊ホルムアルデヒドを捕捉する作用をする。共役化合物形成反応は、周囲条件下の温度及び圧力では本質的に非可逆であり、したがって、ホルムアルデヒドが再放出されないように隔離する極めて効果的な方法である。
【0019】
ホルムアルデヒド捕捉剤におけるアミンとアルコールの基が、異なる原子上に存在している場合には、共役化合物は典型的には環状構造である。いくつかの好適な実施態様においては、共役化合物はオキサゾリジン化合物であり、より好適には化学式(II)の化合物:
【0020】
【化2】

【0021】
又はそれらの塩であり、式中R1、R3、R4、R5、及びR6は、化学式(I)について、その好適な実施態様も含めて、すでに定義したとおりである。
【0022】
さらに好適な実施態様において、共役化合物はオキサジンであり、より好適には化学式(III)のオキサジン:
【0023】
【化3】

【0024】
又はそれらの塩であり、式中R1、R3、R4、R5、及びR6は、化学式(I)について、その好適な実施態様も含めて、すでに定義したとおりである。
【0025】
ホルムアルデヒド捕捉剤におけるアルコールがアミン上(例えば、化学式IのR1がOHの場合)にある場合は、共役化合物は典型的にはニトロンである。好適な実施態様においては、ニトロンは化学式(IV)の化合物:
【0026】
【化4】

【0027】
又はそれらの塩であり、式中R2、R3、R4、R5、及びR6は、化学式(II)について、その好適な実施態様も含めて、上に定義したとおりである。
【0028】
前述の好適な実施態様にしたがったいくつかの好適な共役化合物には、次のものが含まれる:
【0029】
【化5】

【0030】
又はそれらの塩。
【0031】
化学式Iのホルムアルデヒド捕捉剤は、本発明において、ホルムアルデヒドを放出する物品を取り囲む環境又は空間から、空中浮遊ホルムアルデヒドを捕捉するために使用される。本捕捉剤は、例えば特定の応用に応じて、場合によっては捕捉剤若しくは生成共役化合物の物理的状態(例えば液体か固体かなど)に応じて、種々の形態で使用することが可能である。例えば、ホルムアルデヒド捕捉剤が固体である場合は、トレーの中でばらばらに分散させておくこともできるし、あるいは、ホルムアルデヒドで汚染された環境の中におかれた透過性の容器又はカートリッジに入れておくことができる。ホルムアルデヒド捕捉剤が固体であり共役化合物も固体である場合は、ホルムアルデヒド捕捉剤は、例えば粉末製剤として、除湿用包装製品に通常入っているシリカゲルの包装に用いられるようなタイプの紙の小袋中に入れて、用いることもできる。この実施態様においては、ホルムアルデヒド捕捉剤を入れた小袋は、例えば、包装材中のホルムアルデヒドの蓄積量を減少させるために、包装材中に入れることもできる。
【0032】
ホルムアルデヒド捕捉剤は、シリカ、活性炭、木粉などのような固体粒子上に被覆してもよい。共役化合物が液体であれば、被覆は、ホルムアルデヒドを隔離する上で固体−固体製品と同様の効果を達成する。
【0033】
さらなる例として、捕捉剤は、倉庫、ホルムアルデヒド樹脂が用いられる木質複合材及び織物生産設備、移動住宅、屋根裏、空気処理システムのような継続的に空気が流れている場所、エアダクト、又は、暖房/冷房装置の吸気口又は排気口付近の空気流が濃縮されている場所での使用に適している。捕捉剤は、積層に押出加工して、壁板などの基材に応用することもできる。捕捉剤はまた、カーペットの裏糊付けに添加し、壁紙に付着させ、ホルムアルデヒドを含まない糊、例えば壁紙ペーストに含ませ、キャビンフィルターに用いて流入する空気からホルムアルデヒドを除去し、又は、仕上げ紙に混和し若しくは繊維に被覆してガラス繊維絶縁体に用いることができる。捕捉剤はまた、例えばカーテンやドレスシャツのようなパーマネントプレスした製品などの織物にも用いることができる。ホルムアルデヒド捕捉剤はまた、家庭で用いられる消費者向け静置形芳香剤モジュールに含有させることもできる。
【0034】
ホルムアルデヒドの発生源がホルムアルデヒドベースの樹脂又は接着剤であれば、ホルムアルデヒド捕捉剤を樹脂又は接着剤中に混和することはあまり好ましくない、というのは、樹脂/接着剤がホルムアルデヒドを奪い合い、その結果、材料の望ましい特性を弱めるからである。
【0035】
ホルムアルデヒド捕捉剤の溶液を、木質複合材製品などの物品の表面、そのような物品に用いる包装容器、建物の枠組みに直接塗布し、又は別のやり方として他の織物(例えばカーテン、カーペット、エアーストリップ(air strips)の上に付着させることは、もうひとつの方法である。というのも、乾燥することにより、結晶(又はホルムアルデヒド捕捉剤が固体でないときはその吸収されたもの)は、空中浮遊ホルムアルデヒドとの反応に容易に利用できるからである。被覆する基材に応じて様々な被覆法を用いることができ、そのような方法としては、スプレー、浸漬、サイジング、カーテンコーティング、ブレードコーティング、及びはけ塗りが含まれる。
【0036】
ホルムアルデヒド捕捉剤の有効性のために、化合物の周囲で積極的に空気を循環させる必要はない。実際、ホルムアルデヒド捕捉剤は周囲の環境から受動的に(すなわち機械的な空気循環を行わずに)ホルムアルデヒドを除去するように使用することが好適である。この好適な実施態様を促進するため、捕捉剤を前述したように小袋で提供することも好適であり、これにより捕捉剤を長期間ホルムアルデヒドに暴露する作用が生じる(例えば、自己組立式の家具の包装材の内側に小袋をおいたところなど)。
【0037】
本発明の好適な実施態様においては、ホルムアルデヒド捕捉剤及び共役化合物は、両者ともに、周囲温度(約22〜27℃)及び圧力(約1atm)で固体である。この実施態様を固体−固体コンビネーションという。そのような固体−固体コンビネーションは極めて好適である。というのは、もし共役化合物が周囲温度及び圧力で液体であれば必要となり得るような、共役化合物を保持するための格納装置又は支持材が、必要とはされないからである。その結果、固体−固体コンビネーションは、広範囲のプロダクトデザインに適している。固体−固体の実施態様に特に好適なホルムアルデヒド捕捉剤は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである。この化合物は、ホルムアルデヒドとの反応によってモノ及び/又はビスオキサゾリジンを形成する。
【0038】
本明細書で用いるとき、「アルキル基」は、指示された数の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキル基を包含する。炭素原子数が特定して指示されていない場合には、アルキル基は1〜20個、より好適には1〜10個、さらに好適には1〜6個の炭素原子を含む。アルキル基の非限定的な例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、メチルヘキシル、ヘプタニル、メチルヘプタニル、及び同類のものが含まれる。アルキル基は非置換でもよいし指示された基で置換されていてもよい。
【0039】
以下の実施例は本発明を例証するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0040】
例1〜11
いくつかのホルムアルデヒド捕捉剤の評価
次の捕捉剤が本実施例において評価される。
【0041】
【化6】

【0042】
種々のホルムアルデヒド捕捉剤の相対的な有効性を示すために、一連の実験を行う。捕捉剤の試料(約0.10g)を小さいガラス製の時計皿に量りとる。捕捉剤を入れた時計皿を一つずつ、清浄で乾燥した1リットルのガラス瓶の中に収納する。ガラス製バイアル瓶に入った18.5%ホルムアルデヒド水溶液のアリコート(10マイクロリットル)を広口瓶の中に入れ、続いてこれを、ドレーゲル管(Drager tube)に試料を抽出するための接続口を備えたキャップを用いて密閉する。広口瓶は、周囲実験室条件下で4日間平衡にさせる。次に、ドレーゲル管を広口瓶の接続口に挿入し、広口瓶の上方空間の気体を回収することによって、気相中の遊離したアルデヒドの試料を広口瓶からサンプリングする。サンプリングの間、上方空間は、希釈効果をもたらす周囲空気によってたえず満たされる。サンプリングの過程での希釈を補償するために、補正係数を適用する。補正係数は、次のような予測平均濃度を用いて計算される。
【0043】
【表1】

【0044】
いくつかの場合においては、当初に選んだドレーゲル管が、測定するホルムアルデヒドの範囲を外れたものであることがある。このような場合は、可能であれば、適正な目盛りの範囲に入るように、もうひとつ別のドレーゲル管を試してみるべきである。多数回にわたって管の計測する場合は、この2番目の管で計測を行う際の当初濃度は、もとの濃度である59.1%とし、これに対応して補正係数は(100/59.1)=1.69とする。したがって、この2番目の管を用いて採取するアリコートの数に応じた追加的な補正は、このもとの希釈率に上乗せして適用される。例えば、2番目の管で1回100mLアリコートを採取の場合は1.69×1.05=1.77となり、2番目の管で5−100mLアリコートの場合は1.69×1.28=2.16である。
【0045】
【表2】

【0046】
一般的にいって、本発明のホルムアルデヒド捕捉剤は、対照試料(瓶番号1)との比較で、遊離ホルムアルデヒドを減少させるのに有効である。加えて、データを見ても分かるように、TA及びMEAはとりわけ良好であり、気相ホルムアルデヒドを検出不能な量まで減少させることが観察され、これは5桁分の減少に相当する。他の有機ベースの非アミノアルコールホルムアルデヒド捕捉剤、尿素(比較例)、アセトアセトアミド(比較例)、tBHA(実施例)及びtBHAアセテート(実施例)もまた、結果は一定ではないが有効性を示している。最後に、無機物質である亜硫酸水素ナトリウムが、ホルムアルデヒド濃度を低減させる上で極めて有効であることが示されているが、この生成物は大気暴露(atmospheric exposure)に対して有害なSO2煙霧を放出することから、その有用性は著しく制限される。
【0047】
例12及び13
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TA)の塗膜の評価
TA結晶の試料(0.1g)を水に溶解する(総溶液重量0.3g)。この溶液を段ボール紙片(1.5”x4.5”)の表面上に均一に塗り、開放状態の試験台上で一晩中空気乾燥させる。同じボール紙片を0.3gの脱イオン水で処理し、その後は同一の手順に従う。乾燥したボール紙の試料は、一つずつ、清浄で乾燥した1リットルの瓶に収納する。ガラス製バイアル瓶に入った18.5%ホルムアルデヒド水溶液のアリコート(10マイクロリットル)を、広口瓶の中に入れ、つづいてこれを、ドレーゲル管に試料を抽出するための接続口を備えたキャップを用いて密閉する。広口瓶は、周囲実験室条件下で4日間平衡にさせる。次に、ドレーゲル管を広口瓶の接続口に挿入し、広口瓶の上方空間の気体を回収することによって、気相中の遊離したアルデヒドの試料を広口瓶からサンプリングする。サンプリングの過程での希釈を補償するために、補正係数を適用する。
【0048】
【表3】

【0049】
対照のボール紙(瓶番号13)の結果を前の例の対照試料(瓶番号1)と比較すると、ホルムアルデヒドは、処理していないボール紙に部分的に吸着していることが示される。ホルムアルデヒドをさらに検知不能なレベルまで低減するという、TAの有する大きなプラス効果は、TAが基体に物理的に塗布された場合であっても変わっていない。このことは、TA及び他のホルムアルデヒド捕捉剤で処理した物品が、空中浮遊ホルムアルデヒドの濃度を低減させる手段として応用できることを明確に示すものである。
【0050】
以上のように、本発明をその好適な実施態様にしたがって説明してきたが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正することができる。したがって、本出願は、本明細書において開示された一般的な原理を用いた本発明の、どのような変形、使用、又は適応をも対象とすることを意図するものである。さらに本出願は、現開示からの発展であり、本発明に関係する本技術分野での既知の又は習慣的なやり方の範囲内であって、特許請求の範囲の限度内にあるものを対象とすることを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空中浮遊ホルムアルデヒドを捕捉する方法であって:
環境中に空中浮遊ホルムアルデヒドを放出する物品を準備すること;
空中浮遊ホルムアルデヒドがホルムアルデヒド捕捉剤と反応して共役化合物を形成するように、空中浮遊ホルムアルデヒドをホルムアルデヒド捕捉剤と接触させること、ここにおいて、ホルムアルデヒド捕捉剤は化学式Iで示されるもの:
【化1】

又はその塩であり、式中、RAは結合又はC(R78)であり;R1はH、OH、又はC1−C6アルキル基であり;R2はH、OH、又はC1−C6アルキル基であり;R3、R4、R5及びR6は独立してH、又はC1−C6アルキル基であり;かつ、R7及びR8は独立してH、OH、又はC1−C6アルキル基であり;
式中、R1−R8のアルキル基は随意に独立してOH、NR910、C1−C6アルキル基、又はフェニル基によって置換されていてもよく、ここでR9及びR10は独立してH又はC1−C6アルキル基であり;
7及びR8のいずれもがOHでない場合は、R1及びR2の少なくともいずれか一方はOHであること;
を含む方法。
【請求項2】
1がHである請求項1記載の方法。
【請求項3】
Aが結合でありR2がOHである請求項1記載の方法。
【請求項4】
1、R3、及びR4がそれぞれHであり、R5がH又は随意に置換されたC1−C6アルキル基であり、R6が随意に置換されたC1−C6アルキル基である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
1がOHである請求項3記載の方法。
【請求項6】
Aが結合でありR2、R3、R4、及びR5がそれぞれHである請求項5記載の方法。
【請求項7】
6が随意に置換されたC1−C6アルキル基である請求項5記載の方法。
【請求項8】
ホルムアルデヒド捕捉剤が、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−1−メチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、n−イソプロピルヒドロキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、モノ−第二級−ブタノールアミン、ジ−第二級−ブタノールアミン、及びこれらの塩、からなる群から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項9】
ホルムアルデヒド捕捉剤及び共役化合物が周囲温度及び圧力で固体である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
共役化合物がオキサゾリジン、オキサジン、又はニトロンである、請求項1記載の方法。
【請求項11】
共役化合物が化学式II、III、又はIVのものである、請求項1記載の方法。
【化2】

【請求項12】
ホルムアルデヒド捕捉剤が物品上又は物品のパッケージ上に塗布される、請求項1記載の方法。
【請求項13】
ホルムアルデヒド捕捉剤が小袋に入れて提供される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
空中浮遊ホルムアルデヒドを捕捉する方法であって:
環境中に空中浮遊ホルムアルデヒドを放出する物品を準備すること;
空中浮遊ホルムアルデヒドがトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンと反応して共役化合物を形成するように、空中浮遊ホルムアルデヒドをトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンと接触させること、ここにおいて、共役化合物は、
【化3】

又はそれらの混合物であること;
を含む方法。
【請求項15】
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが物品上に塗布される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが小袋に入れて提供される、請求項14記載の方法。

【公表番号】特表2012−509100(P2012−509100A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536359(P2011−536359)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/059914
【国際公開番号】WO2010/056441
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【出願人】(591252611)アンガス ケミカル カンパニー (32)
【Fターム(参考)】