説明

空中線設置構造

【課題】簡易的な作業で空中線を設置することができる空中線設置構造を提供する。
【解決手段】空中線設置構造1は、空中線11と、該空中線11をその軸線方向Pに挿入可能とする穴部を有するとともに、該空中線11を支持する基台51とを備える空中線設置構造1であって、前記空中線11は、前記軸線方向Pに延在する空中線本体13と、該空中線本体13の基端に設けられた係合部材21とを有し、前記基台51は、前記穴部に形成され、前記係合部材21と係合する被係合部を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空中線設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、住宅やビル等の建築物においては、無線通信やラジオ・テレビの送受信を行うために、居室の天井や壁面、屋根面等に送信用又は受信用アンテナを設置している。
【0003】
ここで、例えば、天井の上方にアンテナを取り付ける場合には、雄ネジが設けられた入出力接線(以下、アンテナと称する。)を天井に固定し、該アンテナを天井に上下方向に形成された挿通穴挿通させて天井の上方に突出させる。そして、該アンテナに天井の上方からワッシャーを挿通させて、ナットで嵌合する方法が採られている(下記特許文献1参照)。
【0004】
また、上述のように、アンテナをその下方でボルト・ナットで螺合して固定することに加えて、該アンテナの上下方向の中途部分から支線を放射線状に引張させ、該支線を天井面に固縛して、アンテナを強固に設置する方法も採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009―253840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の設置方法では、アンテナを設置するために、ネジ、ワッシャー、ナット等の複数の締結部材が必要となり、部品管理に負担がかかるという問題点があった。
また、締結部材の増加にともない、これらを取り付ける取付時間・工数がかかるという問題点もあった。
【0007】
また、支線を用いる方法では、アンテナ自体の取り付けに加えて、支線を該アンテナと締結する作業、及び支線を天井等に固縛する作業が必要となり、さらに作業時間・工数がかかるという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決することができる空中線の設置構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る空中線設置構造は、空中線と、該空中線をその軸線方向に挿入可能とする穴部を有するとともに、該空中線を支持する基台とを備える空中線設置構造であって、前記空中線は、前記軸線方向に延在する空中線本体と、該空中線本体の基端に設けられた係合部材とを有し、前記基台は、前記穴部に形成され、前記係合部材と係合する被係合部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る空中線設置構造によれば、係合部材と被係合部に係合することにより、空中線を基台に設置することができるため、簡易的な作業で空中線を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る空中線設置構造の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るアーム部及び回動軸において、アーム部を回動させて外方に突出させた状態の模式図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るアーム部及び回動軸において、アーム部を回動させて内方に移動させた状態の模式図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る基台の斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る空中線設置構造において、係合部材と被係合部とを係合していない状態の図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る空中線設置構造において、係合部材と被係合部とを係合させた状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る空中線設置構造について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る空中線設置構造は、上下方向に配設された例えば受信アンテナ等の空中線が、建築物の屋根面等に設けられた基台に設置されたものである。
図1に示すように、空中線設置構造1は、上下方向である軸線方向に配設された空中線11と、該空中線11を支持する基台51とを備えている。
【0013】
前記空中線11は、軸線方向に延在する管体13(空中線本体)と、該管体13の基端に設けられた係合部材21とを有している。
【0014】
管体13は、軸線方向に設けられ、平面視して環状部材である。また、基台51への設置部分に一対の開口部15を有している。
開口部15は、管体13の対向する一対の壁部に設けられ、軸線方向の長穴の貫通孔である。
【0015】
図2に示すように、係合部材21は、前記軸線方向に直交する方向に設けられた回動軸23と、該回動軸23に設けられ、互いに交差するようにX状に配設された一対のアーム部25と、該アーム部25に係止された付勢部材33とを有している。
【0016】
回動軸23は、図1に示す管体13の対向する壁部間に固定されている。
【0017】
図2及び図3に示すように、アーム部25は、回動軸23に互いに回転自在に設けられた一対の部材であり、先端に係合部31を有している。
一対のアーム部25は、互いに対称形状であり、先端に係合部31を有する第一アーム部27と、他端であって該第一アーム部27と略平行に設けられた第二アーム部28と、該第一アーム部27と第二アーム部28とを連結する連結部29とを有している。また、係合部材21は、管体13の内外方向に進退可能に設けられている。換言すると、図1に示すように、係合部材21は、開口部15から管体13の外方に突出し、かつ管体13の内方に退避することができる突出自在とされている。
係合部31は、鉤状部材であり、第一アーム部27の先端に設けられている。
【0018】
付勢部材33は、例えば、コイル状のバネであり、一端が回動軸23に固定されるとともに、他端が連結部29に係止されている。これによって、付勢部材33は、図2に示すアーム部25の一対の第二アーム部28、係合部31をそれぞれ互いに離間した状態とするように常時付勢している。換言すると、図1に示すように、係合部31を管体13の開口部15から外方に突出させるように常時付勢している。
【0019】
図4に示すように、基台51は、略水平面とされた上面51A及び底面51Bと、該上面51Aと底面51Bとを連結する連結面51Cとを有する略円錐台形状であり、水平面の上に載置可能とされている。
また、基台51は、管体13(図1参照。以下同じ。)を軸線方向に挿入可能とする穴部53と、係合部31と係合する被係合部61とを有している。
なお、基台51は、例えば、コンクリートや鋼材等の重量のある材料により構成されている。
【0020】
穴部53は、基台51の上面51Aから下方に向かって形成された凹所55と、該凹所55に連通して形成され、円柱状の挿通部57とを有している。
凹所55は、基台51の上面51Aから下方に向かって形成された平面視して略矩形のものである。
挿通部57は、凹所55の底面55Aから下方に向かって基台51の底面51Bまで達するように形成された平面視して円形の孔であり、該孔の径は、管体13の径よりもわずかに大きい径である。
【0021】
被係合部61は、凹所55の壁面55Bに固定される一対の固定部63と、該一対の固定部63から立設する立設部64と、該立設部64の端部を互いに連結する被係合本体65とを有している。
固定部63は、該壁面55Bに例えばビス等で固定されている。
【0022】
次に、空中線11を基台51に設置する方法について説明する。
まず、空中線11は、通常時は、図2に示すように、アーム部25に付勢部材33からの付勢力が作用しているため、アーム部25が互いに離間した状態となっている。
この状態から、一対のアーム部25の第二アーム部28にX方向の力を加えて、アーム部25を回動軸23を支点として、対向する第一アーム部27、第二アーム部28、連結部29をそれぞれ近接するように回動し、図3及び図5に示す状態とする。すなわち、図5に示すように、対向する第一アーム部27の幅方向寸法Lを、管体13の径と略同一とする。
このように、アーム部25が互いに近接した状態で、空中線11を基台51の穴部53に挿入する。そして、第一アーム部27が凹所55に達するまで挿通し、第二アーム部28に加えていた力を解除する。すると、一対の第一アーム部27は、付勢力により互いに離間する方向に回動し、図5に示すように、第一アーム部27の先端に設けられた係合部31が被係合部61の被係合本体65と係合する。このようにして、空中線11は基台51に対して固定される。
【0023】
このように構成された空中線設置構造1では、管体13を基台51の穴部53に挿入し、アーム部25の係合部31を基台51の被係合部61に係合するだけで、空中線11を設置することができる。よって、例えば、基台51を水平面に対してアンカー等で固定し、または管体13を基台51に対してボルト等で螺合する作業が不要であるため、簡易的な作業で空中線11を設置することができる。
【0024】
また、上記のように、アンカーやボルト等の締結部材が不要であるため、空中線11を設置するために必要な部品点数を削減でき、部品管理が容易となる。
【0025】
また、管体13は、基台51の上面51Aから底面51Bまで達する挿通部57に挿通されるため、管体13を支持する長さを長く確保することができる。また、挿通部57の径が管体13の径と略同一で形成されているため、管体13は挿通部57の内部での水平方向の移動が規制される。また、基台51は、例えばコンクリート等の重量のある材料で構成されているため、管体13を強固に支持することができる。したがって、基台51は管体13を確実に、安定的に支持することができるため、管体13が転倒し、空中線11等が破損する虞がない。
【0026】
また、係合部材21は、付勢部材33により、一対のアーム部25を互いに離間した状態、換言すると係合部31と互いに離間した状態とするように付勢されている。したがって、係合部31と被係合部61とをより確実に係合し、かつ該係合した状態を安定的に維持することができる。
【0027】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、基台51は円錐台形のみに限られず、空中線11を安定的に支持できる直方体形状の部材であってもよい。
さらに、基台51の穴部53の深さは、基台51の底面51Bまで達していなくとも、空中線11を安定的に支持できる充分な深さであればよい。
【符号の説明】
【0028】
1…空中線設置構造
11…空中線
13…管体(空中線本体)
15…開口部
21…係合部材
23…回動軸
25…アーム部
31…係合部
33…付勢部材
51…基台
53…穴部
61…被係合部
P…軸線方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空中線と、該空中線をその軸線方向に挿入可能とする穴部を有するとともに、該空中線を支持する基台とを備える空中線設置構造であって、
前記空中線は、前記軸線方向に延在する空中線本体と、該空中線本体の基端に設けられた係合部材とを有し、
前記基台は、前記穴部に形成され、前記係合部材と係合する被係合部を有することを特徴とする空中線設置構造。
【請求項2】
請求項1に記載の空中線設置構造において、
前記空中線本体は、管体により形成され、
前記係合部材は、前記空中線本体の内外方向に進退可能に設けられていることを特徴とする空中線設置構造。
【請求項3】
請求項2に記載の空中線設置構造において、
前記空中線本体は、前記基台への設置部分に開口部を有し、
前記空中線本体の対向する壁部間に回動軸が設けられるとともに、該回動軸に互いに回転自在に、先端に係合部を有するアーム部が設けられ、
前記アーム部を回動して、前記係合部が前記開口部から外方に突出自在とされていることを特徴とする空中線設置構造。
【請求項4】
請求項3に記載の空中線設置構造において、
前記アーム部には、前記係合部を前記開口部から外方へ突出させる付勢部材が設けられていることを特徴とする空中線設置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−74353(P2013−74353A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210110(P2011−210110)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】