説明

空容器回収装置

【課題】空容器回収の作業効率を高めることができる空容器回収装置を提供する。
【解決手段】投入口2より投入された空容器aを、振分け手段7によって仕分けて空容器回収収納部9に収容する空容器回収装置において、振分け手段7を少なくとも並列に2基備え、それら各振分け手段7が空容器を対向方向へ仕分けるように制御した空容器は振分け手段相互間の下部に配置した共用回収収納部9aに収容し、並列に配置した振分け手段7がそれぞれ離反方向に仕分けた空容器aは、振分け手段の外方下部に配置され、共用回収収納部9aの隣に配置した最外側の個別回収収納部9bへ収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料水等が入った缶(アルミ缶、スチール缶等)やペットボトル等の空容器を仕分けて回収する空容器回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料水等が入った缶やペットボトル等の空容器を回収する空容器回収装置は、空容器を缶とペットボトルに仕分けて回収するのが一般的である。また、作業者が効率よく空容器を回収する為に複数台の空容器回収装置を設置することがある。そのような場合には、前記空容器回収装置が回収した空容器を集める作業時は、回収装置毎に且つ回収収納部の数分の作業を行う必要があり、作業回数が多く面倒であり、また、同じ種類の空容器をまとめるという作業も加わるため、作業が繁雑になるという問題がある。
このような問題を解決するために、1台の空容器回収装置に空容器の種類毎の回収収納部を搭載した回収装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、前記空容器回収装置は、数種類の空容器を前記空容器回収装置内で各々の種類毎に収容する複数の回収収納部としたので、それぞれの回収収納部の収容量が限られてしまう為、それぞれの回収収納部が直ぐ空容器で満杯になってしまうという問題がある。また、前記空容器回収装置を複数台設置することも考えられるが、前述のような作業が繁雑になるという問題がある。
さらに、空容器回収装置を設置するスペースエリア(設置空間)が限られることが多く、必要台数分の空容器回収装置を設置することができないという問題がある。
【0003】
また、従来の空容器回収装置は、空容器を装置内に投入する投入口が1つであるため、一人が使用している間は次の人は終了を待たなければならず、利用者にとってその待ち時間は面倒であり、待ち時間が長いと利用率が低下し、空容器の回収率も低下するという問題が生じる可能性があった。
尚、特許文献1のように、種類毎に投入口が設けられた装置も、同じ種類の空容器を投入する投入口が使用中であれば、上記したと同じ問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3102592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、空容器回収の作業効率を高めることができる空容器回収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために本発明の空容器回収装置は、投入口より投入された空容器を、振分け手段によって仕分けて空容器回収収納部に収容する空容器回収装置において、前記振分け手段を少なくとも並列に2基備え、それら各振分け手段が空容器を対向方向へ仕分けるように制御して該振分け手段相互間の下部に配置した共用回収収納部に収容し、前記並列に配置した振分け手段がそれぞれ離反方向に仕分けた空容器は、該振分け手段の外方下部に配置され、前記共用回収収納部の隣に配置した最外側の個別回収収納部へ収容することを特徴とする。
前記共用回収収納部と個別回収収納部のサイズは、共用回収収納部には相隣れる振分け手段の両方から仕分けられる空容器が収容されるため、個別回収収納部より大きいサイズとするのが好ましいが、同じサイズであってもよい。
前記共用回収収納部の隣に個別回収収納部を配置するとは、両収納部を隣接して配置する形態、両収納部を少し間隔をおいて配置する形態の両方を意味するものである。
【0007】
上記手段によれば、相隣れる振分け手段が対向方向に仕分けた空容器を、1つの共用回収収納部に収容し、前記振分け手段が離反する方向に仕分けた空容器を、個別回収収納部へ収容するように制御したので、限られた設置空間において、空容器の回収作業回数を減らし、作業効率を高めることができる。
また、前記対向方向に仕分けられる空容器を同じ種類の空容器とすることで、空容器の回収作業回数を減らし、作業効率を高めることができる。尚、前記同じ種類の空容器とは、例えば、金属、ペットなどの空容器の材質、あるいは、空容器の色、あるいは、どこの国で販売された商品の空容器(例えばビンやペットボトル)かを空容器に付されたラベルに印字されたバーコードを読み取って販売している国を判断し、同じ国で販売された商品の空容器(例えばペットボトルやビンなど)を共用回収収納部に収容し、他国で販売された商品の空容器(例えばペットボトルやビンなど)を個別回収収納部へ収容するようにしてもよい。
【0008】
前記投入口は、1個、或いは複数個(例えば、振分け手段の数と同じ数)等、何れでもよい。但し、投入口を1個とする場合は、投入された空容器を並列配置した振分け手段に分配供給する分配搬送手段を装備する必要がある。
また、前記投入口を複数設ける具体例としては、前記並列に配置した各振分け手段へ空容器を搬送する搬送手段毎に、その搬送手段の始端側に設ける。
その場合は、1台の回収装置を、複数の利用者が同時に使用することが可能となり、装置の利用率、及び空容器の回収率を高めることができる。
【0009】
また、前記回収装置には、前記共用回収収納部及び個別回収収納部の空容器収容が限界に至ったか否かを検知する検知手段を、前記振分け手段の仕分け方向下部に配置し、前記検知手段が収容の限界を検知すると回収機能を停止するようにしてもよい。
その場合、前記共用回収収納部の収容量を検知する検知手段は、前記共用回収収納部へ空容器を仕分ける両方の振分け手段の仕分け方向下部にそれぞれ配置し、その検知手段の何れか一方が収容の限界を検知すると回収機能を停止するようにする。
それにより、回収収納部が最大収容量を超えて空容器を収容することは無く、従って、空容器の回収作業において回収収納部を取り出すことができないという現象が発生するのを確実に防止できる。
【0010】
また、本発明に係る空容器回収装置は、空容器をそのまま回収するものでもよいが、より回収効率を高めるために空容器を減容処理する圧潰手段を備えた装置としてもよい。その場合、圧潰手段は前記振分け手段の仕分け方向から回収収納部に至る経路間に配置する。又、圧潰手段は各振分け手段の仕分け先全てに備える、或いは空容器の種類に応じて選択装備する等、何れでもよい。
また、本発明に係る空容器回収装置は、ケース内に各構成部材を必要数配置して構成するのが一般的であるが、例えば、投入口、搬送手段を1個備え、振分け手段、圧潰手段を各1基装備した空容器回収装置の単位体を複数個、並列に連結して処理機構部を構成し、その処理機構部の下方に回収収納部(共用回収収納部、個別回収収納部)を配置して構成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の空容器回収装置は、利用者に不便を強いることなく、限られた設置空間において空容器の回収作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る空容器回収装置の実施の形態の一例を示す概略側面図。
【図2】一部を切欠して示す概略正面図。
【図3】共用回収収納部における空容器の収容状態を示し、(a)は本実施例、(b)は従来構造。
【図4】本発明に係る空容器回収装置のブロック図。
【図5】回収処理の流れを示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る空容器回収装置の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示す空容器回収装置Aは、デポジットシステムに対応する処理確認のチケットを発行するプリンタを備えたもので、1は回収装置のケース、2,2’は前記ケース1の前面に開口した空容器投入口で、前記ケース1内には前記空容器投入口2,2’の背後に位置して空容器aを所定位置まで搬送する搬送手段3、搬送された空容器aをバーコード読み取り位置に支持する転動支持手段4、前記搬送手段3から前記転動支持手段4に載せ替えるために前記搬送手段3を上下揺動させる上下移動手段5、前記搬送手段3又は転動支持手段4で支持されている空容器aに表示されているバーコードを読み取るバーコードリーダー6、バーコードの読み取りを完了した空容器を容器(種類)別の圧潰手段に仕分ける振分け手段7、その仕分けられた空容器aを圧潰する圧潰手段8,8’、圧潰処理した空容器を収容する回収収納部9、回収収納部に収容される空容器が最大収容量に達したか否かを検知する検知手段10、空容器を回収処理したことを証明するチケットを発行するプリンタ11等が装備されている。
即ち、ケース1内に、搬送手段3、転動支持手段4、上下移動手段5、バーコードリーダー6、振分け手段7、圧潰手段8,8’、及び検知手段10からなる回収処理装置が2基、所定間隔を置いて並列配置され、その回収処理装置の相互間の下方に共用回収収納部9a、両回収処理装置の外側下方に個別回収収納部9b,9b’が配置されて構成されている。
【0014】
空容器投入口2,2’から投入された空容器(スチール缶、アルミ缶、ペットボトル等)をバーコードリーダー6による読み取り可能位置まで搬送する搬送手段3は、細幅の無端状ベルト3aを駆動プーリ3bと従動プーリ3cとに亘って巻回したベルトコンベヤで構成され、駆動プーリ3bはモータ3dからベルト等の動力伝達手段を介して駆動回転されるように構成されている。そして、搬送面を構成する無端状ベルト3aの表面は、後述する転動支持手段4を構成するローラの表面(アルミ材)における摩擦抵抗より大きい材質、例えば、ウレタン樹脂、或いは塩化ビニル樹脂等で構成されている。
また、前記搬送手段3は、ケース1内に架設した基台12上にロードセル13を介して支持した取付台14上に上下揺動可能に載置されている。
【0015】
前記搬送手段3の支持は、搬送始端側である駆動プーリ3bの軸端を取付台14上に起立した起立枠15で回動可能に支持し、搬送手段3の機長方向の略中央位置が、取付台14上に設置した上下移動手段5で支持されている。
上下移動手段5は、モータ5aと、そのモータ5aの出力軸に取り付けた偏心回転板5bと、偏心回転板5bと前記搬送手段3を連結するアーム5cとで構成され、モータ5aが作動することでアーム5cが揺動し、それにより搬送手段3が搬送始端(駆動プーリ3b)側を支点として搬送終端(従動プーリ3c)側が上下される。尚、この上下移動手段5は、図示の構成に限定されず、搬送始点側を支点として反対側を上下し得る方法であれば何れの方式でもよい。
【0016】
又、前記搬送手段3の搬送路を挟んで始端側側部には、該搬送手段3の搬送方向に向かって第1容器検出センサ16、第2容器検出センサ17、及び材質センサ(光学的センサ)18が所定の間隔をおいて順次配置され、更に搬送手段3の無端状ベルト3aにおける往路面(搬送面)と復路面との間にはスチール缶とアルミ缶を判別する磁気センサ19が配置されている。
これにより、投入された空容器aがスチール缶である場合は磁気センサ19で検出され、投入された空容器がペットボトルである場合は材質センサ(光学的センサ)18で検出される。
又、第1及び第2容器検出センサ16,17は、空容器aの移動方向を検出する。即ち、センサの検出信号の順番が第1容器検出センサ16→第2容器検出センサ17である場合は投入、第2容器検出センサ17→第1容器検出センサ16の順番である場合は返却或いは不正な取出しとなる。
更に、前記搬送手段3の終端側側部には該搬送手段3で空容器aが所定位置(バーコードリーダーによる読み取り位置)まで搬送されたか否かを検出する第3容器検出センサ20が配置されている。この第3容器検出センサ20が空容器の存在を検出することで、搬送手段3の搬送が停止される。
【0017】
転動支持手段4は、前記搬送手段3を構成する無端状ベルト3aを挟んで左右両側に水平に配置した2本のローラ4a,4bと、その2本のローラ4a,4bを回転させるモータ4cと、そのモータ4cの回転を前記2本のローラ4a,4bに伝達する歯付プーリと歯付ベルトからなる動力伝達部材4dとで構成されている。尚、動力伝達部材4dはモータ4cの歯付プーリと搬送手段3を挟んで平行に配置した2本のローラの歯付プーリとにわたって歯付ベルトを三角形状に巻回し、2本のローラ4a,4bが同一方向に回転するように構成されている。
【0018】
また、この転動支持手段4のローラ4a,4bは、前記センサによる検出範囲を通過し終えた位置から搬送手段3の終端側側近までの長さを有しており、缶及びペットボトルを安定よく支持し得るようになっている。尚、転動支持手段4を構成する2本のローラ4a,4bは、前記搬送手段3による搬送時、2本のローラのうちの何れか1本が空容器と接触している。
そして、前記搬送手段3が上下移動手段5によって前方下向きに傾斜下降されると、それまで無端状ベルト3aと2本のローラ4a,4bの片方の二点で支持されていた状態は、無端状ベルト3aによる支持がなくなることで2本のローラ4a,4bによる二点支持に切り替わり、ローラ4a,4bの回転によって空容器aは転動されることになる。
【0019】
バーコードリーダー6は、投入された空容器aの周面に表示されているバーコードbを読み取るもので、前記転動支持手段4の上方位置に、転送支持手段の方向に向けて吊り下げ支持されている。尚、このバーコードリーダーは、複数個(図面では2個)を所定角度に固定してもよいが、首振り回動式、スライド式等として読み取り可能範囲を拡大するようにしてもよい。また、バーコードリーダー6の台数は複数台に限らず、1台でもよいものである。
このバーコードリーダー6によるバーコードの読み取りは、投入された空容器aから読み取ったデータを、制御手段のデータベースに格納されている情報と比較して処理される。尚、デポジットシステムに対応する装置においては、仮にデポジット対象でない空容器である場合には、容器の回収は行うが、チケットの発行を行わないようにすることも可能である。
【0020】
前記バーコードリーダー6による読み取りが完了すると、空容器aはその種類に応じた圧潰手段8,8’に振分け手段7で仕分け排除される。
その振分け手段7は、金属板或いは樹脂板などによって上下面及び前面(投入された空容器と対応する面)が開放された筒枠7aと、その筒枠7aを左右方向に揺動させる揺動機構7bとで構成され、前記転動支持手段4の直上に位置して左右方向に揺動可能に支持されている。
左右方向への揺動は、転動支持手段4の2本のローラ4a,4b上に支持されている空容器aを転動支持手段4の左右両側に配置した圧潰手段8,8’に仕分け供給するもので、図1に示すように筒枠7aの上部中央を支点として左右揺動するように構成されている。
その揺動機構7bは、カム等の揺動手段と、その揺動手段を駆動するモータとで構成されている。尚、前記筒枠7aの上面の開放は、前記バーコードリーダー6による読み取りを確実に行うことができるようにするためである。
【0021】
圧潰手段8,8’は、空容器aを減容化するもので、2個の歯付きドラム8a,8bと、空容器aを前記歯付きドラム8a,8bに押し込む回転羽根8cと、振分け手段7で仕分けられた空容器aを前記歯付きドラム8a,8bに案内するホッパー8dとで構成されている。そして、左右の圧潰手段8,8’は一個のモータ21で駆動するように構成されている。尚、この圧潰手段8,8’は、図示の形態に限定されず、例えば、2本のローラの間を通して扁平状に潰すようなもの等、適宜選択し得るものである。また、空容器aを押し潰すことなく仕分けてそのまま回収する場合は、この圧潰手段の装備は不要となる。
前記圧潰手段8,8’で減容処理された空容器は、その下方に配置されている回収収納部9(共用回収収納部9a、個別回収収納部9b)に収容される。回収収納部9(共用回収収納部9a、個別回収収納部9b)は、ケース1の前面或いは側面に設けた開閉扉を開けて出し入れされる。
【0022】
前記回収収納部9は、並列に2基配置された振分け手段7、7の対向方向に仕分けられた空容器aを収容する共用回収収納部9aと、2基の振分け手段7、7がそれぞれ離反方向に仕分けた空容器aを収容する2個の個別回収収納部9bで、前記共用回収収納部9aは前記振分け手段7,7の相互間下方に配置され、個別回収収納部9bは前記振分け手段7,7の外側下方に配置されている。
具体的には、一方(図1の向かって左側)の振分け手段7の下方に配置された圧潰手段8と、他方(図1の向かって右側)の振分け手段7の下方に配置された圧潰手段8’との両方にまたがって共用回収収納部9aを配置し、一方(図1の向かって左側)の振分け手段7の下方に配置された圧潰手段8’の下方、及び他方(図1の向かって右側)の振分け手段7の下方に配置された圧潰手段8の下方にそれぞれ個別回収収納部9bを配置する。
そして、前記共用回収収納部9aは2基の振分け手段7から振り分けられた空容器aを収容する為、個別回収収納部9bより大きく形成されている。
【0023】
また、前記共用回収収納部9a、及び個別回収収納部9bは、それぞれの回収箱における最大収容量L(満杯)が設定されている。最大収容量Lとは、回収収納部における空容器の収容限界を意味し、回収収納部の上縁(開口縁)から底側に少し下がった位置(仮想水平線)とする。この位置は、収容した空容器の山が、周囲の部材、例えば、圧潰手段の動作に支障をきたしたり、回収収納部の取り出しに支障をきたしたりしない収容量の限界を表す。
そして、前記共用回収収納部9a、個別回収収納部9bに対する減容化された空容器aの収容量が、それぞれの回収収納部における最大収容量(満杯)に達したか否かを検知する検知手段10が配置されている。
【0024】
前記検知手段10は、測定光を照射する発光素子(LEDやレーザダイオード等の光源)10aと、測定対象物(空容器)によって反射した反射測定光を受光する受光素子(PSDやCOMS等)10bを対で備えた今日周知の距離センサで、測定対象物(空容器)の距離(位置)の変化に伴い前記受光素子上の結像位置は距離と比例的に変化する。この受光素子上の受光位置を解析し、距離を測定する三角測距方式の距離センサを使用する。尚、検知手段として使用する光学的な距離センサとしては、三角測距方式の距離センサに限らず、測定光が照射されてから受光されるまでのわずかな時間を測定し、その時間差を距離に換算するタイム・オブ・フライト方式の距離センサでもよい。
【0025】
前記検知手段10は、それぞれの回収収納部9a、9bにおける空容器aの集積傾向による頂部位置(圧潰手段から回収収納部へ落下されてできる空容器aの山の頂部)を検知できるよう配置されている。そして、前記検知手段10は、ケース1のフレームなどに取り付けられるが、その取り付けは検知手段10の発光素子10aと受光素子10bを個々にフレームに取り付ける、或いは発光素子10aと受光素子10bを台板に所定の角度で取り付け、その台板をケースのフレームに取り付ける等、何れの方法でもよい。
また、台板に対する発光素子10aと受光素子10bの取り付け、フレームに対する台板の取り付けは、長穴などにより位置調節自在とすることで、前記空容器の集積傾向に合わせて検知手段10の光軸を最適な位置に調整することができる。
【0026】
また、前記検知手段10はそれぞれの回収収納部9の収容状況を検知する為、回収収納部毎に設けられるが、共用回収収納部9aには並設した2基の振分け手段7,7の対向する仕分け方向の空容器が圧潰手段8と、圧潰手段8’で減容化されて落下収容される。その為、共用回収収納部9aには前記二つの圧潰手段8,8’から回収収納部へ落下集積される空容器の山が二つできるようになり、その二つの山の頂部を個々に検知できるように、図3(a)に示すように、共用回収収納部9aに臨む前記圧潰手段8,8’の下方に検知手段10が配置されている。それにより、共用回収収納部9aに二方向から空容器が落下されても、それぞれの山の収容状況を検知できるため、最大収容量を超えて収容されるのを確実に防止できる。しかし、例えば図3(b)に示すように、回収収納部9の略中央位置に検知手段10が1個配置されていた場合は、該回収収納部にできる空容器の二つの山を検知できず、該検知手段10が最大収容量を検知した時には左右の空容器の山は最大収容量を超えている可能性がある。この様になると、空容器の山が邪魔して回収収納部を引き出すことができない、或いは空容器の山が圧潰手段の動作に支障をきたすといった問題が生じる。本装置はこのような問題を解消する。
そして、回収収納部9に対応する検知手段10の何れかが、回収収納部9における収容量が最大収容量に達したことを検知した場合、本回収装置の回収機能を停止し、新たに空容器が回収装置に投入されるのを止めると同時に、装置の表示部に回収箱が最大収容量(満杯)になったことを表示し、回収収納部の交換の旨を装置の管理者等に連絡されるようにする。
【0027】
プリンタ11は、本装置に投入された空容器のうち、デポジット対象の空容器を持ち込んだ提供者に容器回収のチケット(証明書)を発行するものである。提供者は発行されたチケットを所定のお店等に持っていくことで、所定の対価の金額、或いは商品と交換することができる。
又、回収した空容器の材質(アルミ缶、スチール缶、ペットボトル等)、飲料メーカー、商品種類、数量などのデータは、全てケース内のデータ処理装置(図示省略)に記録し、その集計データは随時取り出せるようになっている。
【0028】
上記した空容器回収装置の各構成部材は図4のブロック図に示すように、各ブロックを制御するCPU(制御手段)22にバス23を介してROM24、RAM25、表示手段26、読取手段(バーコードリーダ)6、印字手段(プリンタ)11、計量手段(ロードセル)13、容器検出手段(容器検出センサ、材質センサ、磁気センサ)16,17,18,19、搬送手段3、振分手段7、圧潰手段8,8’、検知手段10が接続されている。
上記ROM24には、CPU22が実行する各種プログラムが記憶されている。
上記RAM25は、CPU22が実行するためのデータ等を一時記憶するもので、例えば、空容器の材質(アルミ缶、スチール缶、ペットボトル等)、飲料メーカー(製造国名を含む)、商品の種類等の商品ファイル、空容器を共用回収収納部と個別回収収納部へ仕分けて収容する条件(例えば、投入された空容器の材質がペットボトルを共用回収収納部に収容し、それ以外は個別回収収納部へ収容する、或いは、投入された空容器の商品を製造した国が自国である場合は共用回収収納部に収容し、それ以外は個別回収収納部へ収容するなど)を記憶させた設定ファイル、或いは印字手段で印字する印字情報、或いは表示手段26で表示するメッセージ等を記憶している。
表示手段26は、液晶表示器等で構成され、デポジット情報やエラー警告等が表示されるように構成されている。
印字手段(プリンタ)11は、本装置に投入された空容器のうち、デポジット対象の空容器を持ち込んだ提供者に容器回収のレシート(チケット)を発行するものである。提供者はこのチケットを所定のお店等に持っていくことで、所定の対価の金額、或いは商品と交換することができる。また、回収した空容器aの材質(アルミ缶、スチール缶、ペットボトル等)、飲料メーカー、商品種類、数量等のデータは、全てケース内のデータ処理装置(図示省略)に記憶して、その集計データは随時取り出せるようになっている。
計量手段(ロードセル)13は、投入された空容器に飲み残し等が残存していないかを判定するための重量を計量する。
【0029】
次に、上記した空容器回収装置の処理動作の概略を図5のフローチャートに基づいて説明する。
(スタート)…電源スイッチをONすることで各部は動作可能状態となる。
(ST1)…共用回収収納部及び個別回収収納部の収容量を検知する各検知手段10が最大収容量(満杯)を検知しているか判断される。何れかの検知手段10が最大収容量(満杯)を検知している場合(YES)は、装置の回収機能を停止し、且つ表示部に回収収納部が満杯である旨、及び管理者などへの連絡依頼等が表示される。何れの検知手段10が最大収容量(満杯)を検知していなければ(NO)、空容器の投入(回収)が可能であるため(ST2)に進む。
(ST2)…容器投入口に空容器aが挿入(投入)されると、第1容器検出センサ16と第2容器検出センサ17とで、挿入か否かが判断され、前記センサ16,17の検出タイミング(順番)により挿入と判断された場合(YES)には(ST3)に進み、そうでない場合(NO)は(ST4)に進み、返却の場合(YES)は投入口から空容器を取り出し、(ST1)に戻る。
【0030】
(ST3)…材質センサ(光学的センサ)18と磁気センサ19とにより空容器のチェックが行われ、回収処理対象品(本説明ではアルミ缶とペットボトルを回収対象品とする)であるか否かが判断される。ペットボトルは材質センサ(光学的センサ)18で、スチール缶は磁気センサ19で検出される。又、空容器は搬送手段3を支持するロードセルで搬送手段を含めた重量が検出されており、その検出重量が設定値以上である場合は、飲料物が容器に残っていると判断してエラーとする。回収対象品(アルミ缶とペットボトル)である場合(YES)は(ST5)に進む。
(ST5)…搬送手段3が作動し、空容器aをバーコード読み取り位置(所定位置)へ搬送する。空容器が所定位置へ搬送されたか否かは第3容器検出センサ20で検出される。
(ST6)…この読み取り位置への搬送中に、空容器aに表示されているバーコードbの読み取りが行われ、読み取りが完了した場合(YES)は(ST7)へ進み、読み取りが完了していない場合(NO)は(ST8)に進み、搬送手段3が転動支持手段4より下方に移動(降下)され、空容器aを転動支持手段4に載せ替え、該転動支持手段4の作動で空容器aを転動させ、バーコードの読み取りを行う。
(ST7)…読み取ったデータに基づき空容器が回収対象品であるか否かが判断され、回収対象品である場合(YES)は(ST9)に進み、回収対象品でない場合(NO)は搬送手段3を上昇させて空容器aを転動支持手段4から搬送手段3に載せ替え、該搬送手段3を逆回転させて空容器aを投入口側に搬送する。
【0031】
(ST9)…回収対象品である場合、振分け手段7がそれぞれの種類(本説明ではアルミ缶とペットボトル)に応じて作動し、転動支持手段4上の空容器aを圧潰手段8又は8’に仕分ける。本説明では、ペットボトルを共用回収収納部9aに、アルミ缶を左右の個別回収収納部9bに収容するようにした場合、左右何れの投入口からペットボトルの空容器が投入されても、それらは振分け手段で対向方向に仕分けられ、仕分け方向の下部に配置された圧潰手段8(又は圧潰手段8’)で圧潰処理され、下方の共用回収収納部9aに落下収容される。そして、共用回収収納部9a又は個別回収収納部9bに収容される空容器の量は検知手段10で常時監視され、収容量がそれぞれの回収収納部の最大収容量(満杯)を超えないようになっている。また、前記回収対象品がアルミ缶である場合、その空容器は振分け手段7)で離反方向に仕分けられ、その仕分け方向の下方に配置された圧潰手段8’(又は圧潰手段8)で圧潰処理され、下方の個別回収収納部9bに落下収容される。そして、圧潰手段8,8’による圧潰処理が完了すると、その処理内容がプリンタで印字され、チケットが発行される。しかし、チケット発行前に第1容器検出センサ16と第2容器検出センサ17により空容器の取出しが検出されると、チケットの発行は禁止される。
また、共用回収収納部9aにおける空容器の収容量は二つの圧潰手段8,8’からの落下集積状況が対応する検知手段10で別々に検知監視されているが、前記検知手段10の接続を変えることで、二つの検知手段で検出した結果に基づいて共用回収収納部の回収状態を判断することができ、収容の偏りも検出可能となる。
【0032】
上記装置によれば、投入口2(又は投入口2’)から投入された空容器は上記フローチャートに基づいて仕分け→圧潰(減容)されて回収収納部に収容される。そして、空容器の種類によっては左右何れの投入口から投入されても共用回収収納部9aに収容されるため、効率よく回収することができる。また、複数の投入口を有する為、一方が使用中であっても、他の空いている投入口から空容器を投入できるため、利用のために並ぶ(順番待ちする)といったことは解消でき、装置の利用率を向上できる。
【0033】
本発明に係る空容器回収装置は、投入口を2個備えた実施の形態に示す装置の場合、ケース1内に各構成部材を図示するように配置して構成するのが一般的であるが、例えば、投入口を1個備え、ケース内に搬送手段、転動支持手段、振分け手段、圧潰手段を各1組装備した空容器回収装置の単位体を2台並列に連結して処理機構部を構成し、その処理機構部の下方に回収収納部(共用回収収納部、個別回収収納部)を配置して構成してもよい。尚、単位体の連結は2台に限らず3台以上でもよく、その場合、単位体の連結部下方には共用回収収納部を、最外側(左右)に位置する単位体の空容器回収装置における振分け手段の外側方向(離反方向)下部には個別回収収納部を配置する。また、連結した装置における振分け手段の対向する仕分け方向は、同じ種類の空容器が仕分けられるように設定を変える必要がある。
【0034】
本発明の空容器回収装置は図示した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜変更可能である。
(1)実施の形態では、振分け手段の下流側に、空容器を減容化する圧潰手段を備えた例を示しているが、これに限定されず、圧潰手段を備えず、空容器を減容化することなくそのまま回収する装置でもよい。
(2)実施の形態では、共用回収収納部のサイズを個別回収収納部より大きくした例を示しているがこれに限らず、両者のサイズは同じ、或いは、個別回収収納部のサイズを大きくし共用回収収納部のサイズを小さくしてもよく、適宜回収する空容器の条件に伴いサイズ変更してもよい。
でもよい。
(3)実施の形態では、検知手段として光学的センサ(フォトセンサ)を用いた例を示しているがこれに限らず、ON/OFFスイッチ等の接触型のメカスイッチ等、その形式(方式)、形態は問わない。
(4)実施の形態では、振分け手段へ空容器を搬送する搬送手段毎に投入口を設けた例を示したが、これに限らず、例えば、図示実施例のように振分け手段が2基設けられている場合、その2基の振分け手段の略中間に投入口を1個設け、内部に分配手段を装備して前記振分け手段に分配するようにしてもよい。
(5)実施の形態では、仕分け手段が対向方向に仕分ける空容器を同じ種類のビンあるいはペットボトルの何れかを仕分けるように制御させて、空容器の回収作業回数を減らし、作業効率を高める例をしめしたがこれに限らず、例えば、前記同じ種類の空容器を金属、ペットなどの空容器の材質、あるいは、空容器の色、あるいは、どこの国で販売された商品の空容器(例えばビンやペットボトル)かを空容器に付されたラベルに印字されたバーコードを読み取って販売している国を判断し、同じ国で販売された商品の空容器(例えばペットボトルやビンなど)を共用回収収納部に収容し、他国で販売された商品の空容器(例えばペットボトルやビンなど)を個別回収収納部へ収容するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
A…空容器回収装置 a…空容器
2,2’…投入口 3…搬送手段
7,7’…振分け手段 8,8’…圧潰手段
9…回収収納部 9a…共用回収収納部
9b…個別回収収納部 10…検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入口より投入された空容器を、振分け手段によって仕分けて空容器回収収納部に収容する空容器回収装置において、
前記振分け手段を少なくとも並列に2基備え、それら各振分け手段が空容器を対向方向へ仕分けるように制御して該振分け手段相互間の下部に配置した共用回収収納部に収容し、前記並列に配置した振分け手段がそれぞれ離反方向に仕分けた空容器は、該振分け手段の外方下部に配置され、前記共用回収収納部の隣に配置した最外側の個別回収収納部へ収容することを特徴とする空容器回収装置。
【請求項2】
前記投入口が、前記並列に配置した各振分け手段へ空容器を搬送する搬送手段毎に設けられていることを特徴とする請求項1記載の空容器回収装置。
【請求項3】
前記共用回収収納部及び個別回収収納部の空容器収容が限界に至ったか否かを検知する検知手段が、前記振分け手段の仕分け方向下部に配置され、前記検知手段が収容の限界を検知すると回収機能を停止することを特徴とする請求項1又は2記載の空容器回収装置。
【請求項4】
前記共用回収収納部の収容量を検知する検知手段は、前記共用回収収納部へ空容器を仕分ける両方の振分け手段の仕分け方向下部にそれぞれ配置され、その検知手段の何れか一方が収容の限界を検知すると回収機能を停止することを特徴とする請求項3記載の空容器回収装置。
【請求項5】
前記振分け手段の仕分け方向から回収収納部に至る経路に、仕分けられた空容器を減容処理する圧潰手段が配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の空容器回収装置。
【請求項6】
前記請求項1記載の空容器回収装置は、投入口、搬送手段を各1個、振分け手段を1基備えた空容器回収装置の単位体を複数個、並列に連結して構成されていることを特徴とする空容器回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−75327(P2013−75327A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217980(P2011−217980)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】