説明

空気バネにおける高精度レベル測定のためのマイクロ波センサ

【課題】測距装置及び適切な方法及び後者の用途を提供する。
【解決手段】空気バネにおける高精度レベル測定のための装置及び方法。レベルは、マイクロ波空洞共振器の共振周波数を判断することによって測定される。バネ効果はないがマイクロ波センサに対する空洞共振器として作用する導電渦巻バネ(2)が、空気バネに挿入される。共振点が検出器ダイオードによって判断される最高品質モード(H011モード)が、適切な注入(1)を用いて励起され、一方で共振モードを励起するマイクロ波送信器の周波数が測定され、渦巻バネ及び従って同じく空気バネの延長のレベルは、利用される渦巻バネに関して特徴的な予め記録された特性曲線を通して判断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測距装置及び適切な方法及び後者の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電子レベル調節システム、特に空気式懸架のためのものは、距離を判断及びモニタすることができるためにいわゆるレベルセンサが必要である。現在、空気バネの外側に位置し、かつ撓み棒で別々に作動するセンサがこのために使用されている。この形式のセンサは、一般的に環境上の影響に露出され、従って損傷を受けやすい。また、電子レベル調節システムにおける空気バネの有用性をかなり限定する構造的な対策が講じられることも不利である。
従って、本発明の目的は、一方では、公知の欠点を克服することであり、他方では、高い測定精度を有するレベル調節システムを提供することである。
【発明の開示】
【0003】
これらの目的は、請求項1に記載の特徴を有する機器により、請求項8に記載の特徴を有する方法を用いて、かつ請求項13に記載の特徴を有する用途を用いて満足される。
本出願によれば、好ましくは空気バネに一体化された導電バネ要素が、空気バネに準備される。この手段により、マイクロ波空洞共振器が、空気バネの金属基部及び覆いの間の間隔及び距離を判断することができるように形成される。測定原理は、円筒形空洞共振器の共振周波数を判断することに基づいている。この手段により、及び特に導電バネ要素により、電子レベル調節システムに対する構造的干渉が最小になる。
用途に関しては、従って、高精度かつ位置的に正確な測定原理によって確実に距離を判断することができるように、電子レベル調節システムに対して機能的に異なるバネ要素を使用することができる。
【0004】
更に別の有利な実施形態は、更に別の従属請求項の主題を形成している。
有利な態様においては、バネ要素は、適切なワイヤゲージ及び傾きで殆ど理想的な空洞共振器を形成するコイルバネの形態である。このコイルバネは、それ以外に空気バネに対するバネ力なしで設けられて空気バネに挿入されることに注意すべきである。コイルバネの幾何学的形状特性のために、従って円筒形空洞共振器が形成され、そこでは、選択された周波数範囲に対応する複数の波動場がいわゆるモードを形成する。
【0005】
有利な態様においては、空洞共振器への注入により、H011モードが励起される。場の分布のために、このモードは、従って最高の品質で励起され、最高の測定精度が達成される。更に、このモードは、専ら円電流を有し、そのために空洞共振器によって生成された円筒形態、すなわち、円筒の周縁部では、これらの壁電流がゼロに等しい。これは、例えば、コイルバネを使用する時には円筒の覆い又は基部との良好な電気的接触が不要であり、そのために構造的技術が簡素化されることを意味する。更に、それ以外に同時に発生し、かつその壁電流が円筒縁部にわたって広がるE111モードが抑制される。
【0006】
直接デジタル合成器と位相制御ループの助けを借りて、共振周波数を判断するために必要な発振器の周波数は、安定であるように有利に設定される。カプリングがワイヤループによって有利に実施された場合、構造的な対策は、簡素であるように維持される。
共振周波数の判断に関して最適な測定結果を達成するために、測定信号が、Dを共振器の直径として公式R=0.48x(D/2)に従って円筒覆いの中心点から距離Rを隔てて与えられる場合に有利である。
本発明の更に別の有利な実施形態は、更に別の従属請求項の主題を形成している。
添付図面により、本発明の有利な実施形態が再生されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1においては、ベローズ(3)が、十分な品質を有するマイクロ波共振器を形成するのに十分な導電率を有していない市販の空気バネを示している。本出願によれば、他にはいかなるバネ力も有していないコイルバネ(2)が空気バネに挿入され、これが、適切なワイヤゲージ及び傾きにより、ほぼ理想的な空洞共振器を形成する。
幾何学的形状及び選択された周波数範囲に従って、複数の波動場は、円筒形空洞共振器内にいわゆるモードを形成することができ、これを図2に従ってモード図に相応に示している。
【0008】
更に、いわゆるH011モードは、特に、高さの測定、従って空気バネにおけるレベル測定に適している。その場の分布は、図3に示す通りである。それは、最高品質を有するモードである。従って、後者を用いて、最高の測定精度を達成することができる。更に、このモードは、専ら円電流を有する。これらの壁電流は、円筒の周縁部ではゼロに等しい。これは、コイルバネには円筒カバーとの良好な電気的接触が必要なく、それによって構造的技術が簡素化されることを意味する。更に、それ以外に同時に発生し、かつその壁電流が円筒縁部にわたって広がるE111モードが抑制される。図4は、選択された配置の壁電流の電磁場シミュレーションを示している。
【0009】
明確な測定結果を達成するために、更に別の望ましくないモードが抑制されて、H011モードが最適に励起されるものとする。これは、図5に示す注入によって達成される。その場の分布に従って(図6を参照されたい)、それは、好ましくは、半径方向に磁場線を励起する。注入は、それが磁場の最大半径方向成分の点で注入するように配置されるものとする。H011モードは、以下の場の方程式によって説明される。
【0010】
【数1】

【0011】
ここで、J’01=3.8321、ベッセル関数0次J’0を推定するためのゼロ位置、J0及びJ’0=−J1はベッセル関数、Dは共振器の直径、Lは共振器の長さである。
Hの公式に対して見ることができるように、半径方向の依存度は、係数:
【0012】
【数2】

【0013】
によって得られる。J’0(x)の最大値は、x=1.841を用いて達成される。rに関する条件:
【0014】
【数3】

【0015】
の解は、r=0.48.D/2を与える。
従って、注入は、理想的に蓋の中心点から距離rで加えられるものとする。
更に、注入は、それが作動周波数範囲で共振器の品質を低減しないように単に弱く接続するように設計されるものとする。図7は、注入の適応の周波数応答を示している。適応の領域は、ワイヤループ(1)の長さによって設定される。コイルバネが選択された状態で、作動周波数範囲は、3.4と4.3GHzの間であり、一方、注入の長さは、それが約3GHzの範囲に適応するように選択される。
【0016】
更に、コイルバネは、電磁波の放射が最小になって、監督機関によって制定された限界値を超えないように設計されるものとする。
損失がない誘導体で完全に満たされた理想的な円筒形空洞共振器におけるH011モードの共振周波数は、以下の公式で計算することができる。
【0017】
【数4】

【0018】
ここで、以下の通りである。
【0019】
【数5】

【0020】
図8は、理想的な共振器に対する共振器高さの関数としての共振周波数と、同じ内径を有するコイルバネの実測値との変化を示している。
共振器の高さを測定するためには、従って、その共振周波数を求めなければならない。これは、図9に示す配置を用いて実施されることが好ましい。
直接デジタル合成器(DDS)(4)と、周波数分割装置(5)、位相弁別器(6)、及びループフィルタ(7)から成る位相固定ループ(PLL)との力を借りて、発振器(8)の周波数は、安定であるように設定される。傾斜波発生器(9)は、DDSに周波数を線形的に同調させる。検出器(10)が共振点に達するとすぐに、周波数同調が保持され、DDSの現在の周波数値が読み出される。共振器の高さ及び従って空気バネのレベルは、従って、図8に示す特性曲線によって正確に判断することができる。選択した例においては、1mmの測距精度を達成するために、発振器周波数は、10MHzに正確に設定すべきである。
【0021】
この例においては、空気バネの上昇は75mmである。これは、3.4と4.3GHzの間の周波数範囲を網羅すべきであることを意味する。しかし、技術的に利用可能な発振器は、このような大きな同調幅を有していない。こういう理由から、第2の発振器が、周波数の上部部分に対してHFスイッチ(11)によって同じく接続されている。
代替的に、送信器も図10に示す配置によって形成することができる。2.3GHz発振器(13)の中間周波数側でダウンミキサ(12)が作動され、一方、ローカル発振器側では、より高周波の発振器(14)がある。発振器の帯域幅は中心周波数に比例するので、このより高周波の発振器は、1.1GHzの所要帯域幅を網羅することができる。次に、ミキサのRF出力に対して、望ましい送信周波数が設定される。しかし、ミキサは、帯域通過フィルタ(15)によって除去される多くの更に別の望ましくない同時送信を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本出願による装置を有する空気バネの断面図である。
【図2】有利なモード選択が再生されるモード図を再生した図である。
【図3】H011モードの場の分布を示す図である。
【図4】壁電流の電磁場シミュレーションを示す図である。
【図5】電磁測定信号の注入及び抽出を示す図である。
【図6】注入の領域における場の分布を示す図である。
【図7】測定信号の注入と抽出に関する周波数応答を示す図である。
【図8】共振器レベル、すなわち、距離を判断するためにその関数として共振周波数との間の関連を示す図である。
【図9】共振周波数を判断するための配置を示す図である。
【図10】送信器の代替配置を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1 注入
2 導電渦巻バネ
3 ベローズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基部及び覆いを有する空気バネ内の距離を測定するための装置であって、
マイクロ波空胴共振器を形成するために、導電バネ要素が空気バネの金属覆い及び基部の間に設けられている、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記バネ要素は、コイルバネ、好ましくは金属コイルバネであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
注入が、H011モードを通して励起することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項4】
位相制御ループ(位相固定ループ)を有する直接デジタル合成器が、発振器を離調させるため及び共振周波数を正確に判断するために設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つのワイヤループが、注入のために設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つのワイヤループが、測定信号を注入するのに使用され、1つのワイヤループが、該測定信号を抽出するのに使用されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記測定信号の前記注入は、Dを前記共振器の直径として次式:
R=0.48x(D/2)
に従って前記覆いの中心点から距離(R)離れてもたらされることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
好ましくは請求項1から請求項7に記載の装置と共に使用するための空気バネ内の距離を測定する方法であって、
マイクロ波空洞共振器を形成するためにバネの金属覆い及び基部の間に導電バネ要素が設けられた空気バネ内に、HF測定信号が給送される、
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
コイルバネ、好ましくは金属コイルバネが、バネ要素として使用されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記マイクロ波空洞共振器は、H011モードに励起されることを特徴とする請求項8又は請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記注入は、前記H011モードの場の最大強度の領域に位置していることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記測定信号の前記注入は、Dが前記共振器の直径を示すものとして次式:
R=0.48x(D/2)
に従って前記覆いの中心点から距離(r)離れてもたらされることを特徴とする請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
好ましくはマイクロ波空洞の共振周波数特性によって空気バネの覆い及び基部の間の距離を判断するための、マイクロ波空洞を形成するための空気バネ内の金属バネ要素の使用。
【請求項14】
コイルバネ、好ましくは金属コイルバネが、前記バネ要素として使用されることを特徴とする請求項13に記載の用途。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【公表番号】特表2008−512659(P2008−512659A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530660(P2007−530660)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【国際出願番号】PCT/EP2005/009727
【国際公開番号】WO2006/027267
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(504310102)アスティックス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (6)
【Fターム(参考)】