説明

空気モニタリング装置

【課題】 サンプリングフリットの目詰まりを防止する、相対的に小型かつ軽量の空気モニタリング装置を提供する。
【解決手段】 空気モニタリング装置(100)が、微粒子を含む空気流(102)を受け入れるように構成された外側ケーシング(101)と、外側ケーシング(101)内部に配置されたボア(103)と、外側ケーシング(101)内部に配置された回収プローブ(104)と、を備える。回収プローブ(104)は、ボア(103)の出口と、回収プローブ(104)の入口と、の間に溝(105)が設けられるように構成され、閾値よりも大きい粒径を有する空気流(102)中の微粒子が回収プローブ(104)の内部を通流するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アメリカ航空宇宙局(NASA)に付与の政府契約番号NNJ06TA25Cのもと、米国政府の補助によりなされた。米国政府は本発明の一定の権利を有する。
【0002】
本発明は、概して空気モニタリングの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
気体からの粒子状物質の分離は、気体の大気分析、気体中の微粒子の状態分析(キャラクタリゼーション)を含む、様々な空気モニタリング用途にとって不可欠であり、気体中の微粒子から機械装置もしくは電子装置を保護するために不可欠である。一部の空気モニタリング用途では、モニタリング装置の外部にある大気圧下の気体と、モニタリング装置の内部にある真空と、の間の境界面で気体がサンプリングされる。この境界面は、一連のミクロン径の孔隙を有するように構成された焼結金属を有するフリット(frit)を備える。孔隙の大きさ以上の粒径を有する微粒子がフリットの表面に影響を及ぼしうる場合、その孔隙が塞がれてしまうおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バーチャルインパクター(virtual impactor)は、測定される大粒子と気体とをサンプリング用の2つの別々の空気流に分けることによりフリットの目詰まりに対処するタイプの空気モニタリング装置である。しかしながら、バーチャルインパクター装置の2つの流路は、別々のポンプと、別々の流量制御装置を必要とし、これにより空気モニタリング装置のサイズや重量、パワードレインが大きくなり、その複雑さを増大させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様では、空気モニタリング装置が、微粒子を含む空気流を受け入れるように構成された外側ケーシングと、外側ケーシング内部に配置されたボア(bore)と、外側ケーシング内部に配置された回収プローブ(collection probe)と、を備える。回収プローブは、ボアの出口と、回収プローブの入口と、の間に溝が設けられるように構成され、閾値よりも大きい粒径を有する空気流中の微粒子が回収プローブの内部を通流するように構成される。
【0006】
本発明のその他の態様、特徴、技術は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】空気モニタリング装置の実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
空気モニタリング装置の実施例が、以下に詳述する例示の実施例とともに提供される。
【0009】
実施例の空気モニタリング装置の断面図を図1に示す。空気モニタリング装置100は、ボア103と、回収プローブ104と、を含んだ外側ケーシング101を備え、一部の実施例では、外側ケーシング101、ボア103、および回収プローブ104は円筒形である。ボア103の出口と、回収プローブ104の入口と、の間に溝105が配置される。微粒子を多く含んだ空気流102が外側ケーシング101に流入し、ボア103を通して加速される。ボア103は外側ケーシング101の直径(破線110で示す)よりも小さい直径(破線111で示す)を有し、その結果、ボア103は空気流102を加速させるように作用する。ボア103は、空気流102中の微粒子が相対的に高速に達し、それにより大きい運動量を有することを保証するように十分に長い。空気流102がボア103を出ると、空気流102は空気流106と空気流107とに分けられる(空気流106,107は、空気流102の一部106,107とも称する)。粒径閾値よりも大きい粒径を有する空気流102中の粒子は空気流107の一部となる。ボア103における空気流102の加速度により付与される大きい運動量の結果、空気流102中の閾値よりも大きい粒径の粒子は溝105を通して曲がることができず、空気流107の一部として回収プローブ104に流入する。空気流107はまた、粒径閾値以下の粒径を有する粒子を含みうる。空気流106は粒径閾値以下の粒径を有する粒子のみを含む。空気流106中の閾値よりも小さい粒子は相対的に低い運動量を有しており、溝105を通して首尾よく曲がり、回収プローブ104の外側と、外側ケーシング101の内側と、の間を流れる。空気流106はサンプリングおよび分析用のフリット108と相互に作用する。空気流106は閾値サイズ以下の粒径を有する微粒子のみを含むため、フリット108を目詰まりさせることなく空気流106がサンプリングされる。フリット108は、外側ケーシング101の外径部分における、溝105と回収プローブ104の末端部との間の任意の適切な位置に配置され、ある実施例では、溝105に相対的に近接する。空気流106,107は、回収プローブ104の周りを通過した後に(空気流106の場合)、もしくは回収プローブ104を通過した後に(空気流107の場合)、外側ケーシング101から出る。ボア103および回収プローブ104は製造が比較的簡単であり、空気モニタリング装置100を通して適切な空気流が一旦確立されれば、能動的制御を全く必要としない。
【0010】
一部の実施例では、粒子の閾値は約0.2μmの粒径である。粒子の閾値は、回収プローブ104の外側と内側との間の流速の比率を調節することにより大きくしてもよく、あるいは小さくしてもよい。流速の比率は、ネッキング109の直径(破線112で示す)、溝105の大きさ、空気流102の流速、および/または(ボア103において空気流102に付与される加速度の量を決定する)ボア103の直径111を調節することにより調節される。しかしながら、達成される流速の範囲には物理的限界が存在し、これはまた、相対的に小さいサイズの粒径閾値を制限するように作用する。粒子の閾値がますます小さいサイズに達するに従い、回収プローブ104とボア103との間の溝105はより小さくならなければならない。これにより溝105を通しての伝導性は低下し、その結果、フリット108への空気流106は、空気流102が全く溝105へと通流しないレベルにまで達する。その場合、フリット108は回収プローブ104の外側で捕捉された空気を測定するだけである。これはネッキング109の直径112を小さくすることにより緩和される。しかしながら、これは空気モニタリング装置100を通る全空気流を制限する影響をもたらす。
【0011】
実施例の技術的効果および利点は、サンプリングフリットの目詰まりを防止する相対的に小型かつ軽量の空気モニタを含むことである。
【0012】
ここで用いられる用語は特定の実施例のみを記述する目的で用いるものであり、本発明を限定することを意図するものではない。説明のために本発明を詳述したが、これは本発明を網羅するもしくは開示された形に限定することを意図するものではない。ここでは記載されていない任意の修正、変形、変更、置換、もしくは同等の配置が、本発明の範囲および精神を逸脱することなく当業者にとって明らかであろう。さらに、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明の態様は、記載の実施例の一部のみを含みうることを理解されたい。したがって、本発明は、上記の記載によって限定されるものとして見るのではなく、付記の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0013】
100…空気モニタリング装置
101…外側ケーシング
102,106,107…空気流
103…ボア
104…回収プローブ
105…溝
108…フリット
109…ネッキング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子を含む空気流(102)を受け入れるように構成された外側ケーシング(101)と、
前記外側ケーシング(101)内部に配置されたボア(103)と、
前記外側ケーシング(101)内部に配置された回収プローブ(104)と、
を備え、
前記回収プローブ(104)は、前記ボア(103)の出口と、前記回収プローブ(104)の入口と、の間に溝(105)が設けられるように構成されるとともに、閾値よりも大きい粒径を有する前記空気流(102)中の微粒子が前記回収プローブ(104)の内部を通流するように構成されることを特徴とする空気モニタリング装置(100)。
【請求項2】
前記閾値以下の粒径を有する微粒子を含んだ前記空気流(102)の一部(106)が、前記溝(105)を通流し、かつ、前記回収プローブ(104)の外側と、前記外側ケーシング(101)の内側と、の間を通流することを特徴とする請求項1に記載の空気モニタリング装置(100)。
【請求項3】
前記外側ケーシング(101)における、前記溝(105)と、前記回収プローブ(104)の出口と、の間に配置されたフリット(108)をさらに備え、このフリット(108)は、前記閾値以下の粒径を有する微粒子を含んだ前記空気流(102)の一部(106)をサンプリングするように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の空気モニタリング装置(100)。
【請求項4】
前記回収プローブ(104)は、その出口部にネッキング(109)を備え、該ネッキング(109)は直径(112)を有しており、前記閾値は、前記ネッキング(109)の前記直径(112)に基づいて決定されることを特徴とする請求項1に記載の空気モニタリング装置(100)。
【請求項5】
前記閾値は、前記空気流(102)の流速に基づいて決定されることを特徴とする請求項1に記載の空気モニタリング装置(100)。
【請求項6】
前記閾値は、約0.2μmであることを特徴とする請求項1に記載の空気モニタリング装置(100)。
【請求項7】
前記ボア(103)は、前記外側ケーシング(101)の直径(110)よりも小さい直径(111)を有し、前記空気流(102)の速度を増加させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気モニタリング装置(100)。
【請求項8】
前記閾値は、前記ボア(103)の前記直径(111)に基づいて決定されることを特徴とする請求項7に記載の空気モニタリング装置(100)。
【請求項9】
前記閾値は、前記溝(105)の大きさに基づいて決定されることを特徴とする請求項1に記載の空気モニタリング装置(100)。

【図1】
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【公開番号】特開2011−169903(P2011−169903A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35282(P2011−35282)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(500107762)ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション (165)
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
【住所又は居所原語表記】One Hamilton Road, Windsor Locks, CT 06096−1010, U.S.A.
【Fターム(参考)】