説明

空気二次電池用正極触媒及び空気二次電池

【課題】酸素の還元活性と、水の酸化活性と、の両方に優れた空気二次電池用正極触媒、及び該触媒を用いた空気二次電池の提供。
【解決手段】下式で表される多核金属錯体を用いてなる空気二次電池用正極触媒。


(式中、Z1は3価の有機基である。Eは酸素原子又は硫黄原子である。Q1は少なくとも2つの窒素原子を有する2価の有機基である。T1は窒素原子を有する有機基であり、複数のT1は互いに結合していてもよい。Mは遷移金属原子又は遷移金属イオンある。X1は対イオン又は中性分子である。)


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
多核金属錯体を用いてなる空気二次電池用正極触媒。
【請求項2】
前記多核金属錯体が、2つ以上の中心金属と、前記中心金属に配位結合する配位子と、を有するものであり、
前記配位子が、前記中心金属に配位可能な4つ以上の原子で囲まれた空間を有し、前記4つ以上の原子は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる1種以上の原子であり、前記空間に前記中心金属を収容可能とする構造を、分子内に2つ以上有する(2つ以上の前記構造は、同一でも異なっていてもよい。)有機化合物である請求項1に記載の空気二次電池用正極触媒。
【請求項3】
前記多核金属錯体の中心金属の数が、2〜6である請求項1又は2に記載の空気二次電池用正極触媒。
【請求項4】
前記多核金属錯体の中心金属が、周期表の第4周期から第6周期に属する遷移金属原子又はそのイオンである請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気二次電池用正極触媒。
【請求項5】
前記多核金属錯体が、下記一般式(A−1)で表される多核金属錯体である請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気二次電池用正極触媒。
【化1】

(式中、
は3価の有機基であり、複数のZは互いに同一でも異なっていてもよい。
Eは酸素原子又は硫黄原子であり、複数のEは互いに同一でも異なっていてもよい。
は少なくとも2つの窒素原子を有する2価の有機基である。
は窒素原子を有する有機基であり、複数のTは互いに同一でも異なっていてもよく、複数のTは互いに結合していてもよい。
lは1以上の整数であり、lが2以上の場合、lが付された複数の前記一般式は互いに同一でも異なっていてもよい。
Mは遷移金属原子又は遷移金属イオンであり、mは2以上の整数であり、複数のMは互いに同一でも異なっていてもよい。
は対イオン又は中性分子であり、nは0以上の整数であり、nが2以上の場合、複数のXは互いに同一でも異なっていてもよい。)
【請求項6】
前記Tが、含窒素芳香族複素環を有する有機基である請求項5に記載の空気二次電池用正極触媒。
【請求項7】
前記一般式(A−1)で表される多核金属錯体が、下記一般式(A−2)で表される多核金属錯体である請求項5又は6に記載の空気二次電池用正極触媒。
【化2】

(式中、
は水素原子又は置換基であり、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよく、隣り合うR同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成してもよい。
は少なくとも2つの窒素原子を有する2価の有機基である。
は窒素原子を有する有機基である。複数のTは互いに同一でも異なっていてもよく、複数のTは互いに結合していてもよい。
lは1以上の整数であり、lが2以上の場合、lが付された複数の前記一般式は互いに同一でも異なっていてもよい。
Mは遷移金属原子又は遷移金属イオンであり、mは2以上の整数であり、複数のMは互いに同一でも異なっていてもよい。
は対イオン又は中性分子であり、nは0以上の整数であり、nが2以上の場合、複数のXは互いに同一でも異なっていてもよい。)
【請求項8】
前記Tが、含窒素芳香族複素環を有する有機基である請求項7に記載の空気二次電池用正極触媒。
【請求項9】
前記一般式(A−2)で表される多核金属錯体が、下記一般式(A−3)で表される多核金属錯体である請求項7に記載の空気二次電池用正極触媒。
【化3】

(式中、
は水素原子又は置換基であり、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよく、隣り合うR同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成してもよい。
及びQは、それぞれ独立に下記一般式(A−3−1)、(A−3−2)、(A−3−3)、(A−3−4)、(A−3−5)又は(A−3−6)で表される2価の基である。
lは1以上の整数であり、lが2以上の場合、lが付された複数の前記一般式は互いに同一でも異なっていてもよい。
Mは遷移金属原子又は遷移金属イオンであり、mは2以上の整数であり、複数のMは互いに同一でも異なっていてもよい。
は対イオン又は中性分子であり、nは0以上の整数であり、nが2以上の場合、複数のXは互いに同一でも異なっていてもよい。)
【化4】

(式中、
、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は置換基であり、複数のR、R、R、R、R及びRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、複数のR、R、R、R、R及びRは、それぞれ互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成してもよい。
は、下記式(A−3−a)、(A−3−b)又は下記一般式(A−3−c)で表される2価の基であり、複数のAは、互いに同一でも異なっていてもよい。)
【化5】

(式中、Rは水素原子又はヒドロカルビル基である。)
【請求項10】
前記Mが、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル及び銅からなる群より選ばれる一種以上である請求項5〜9のいずれか一項に記載の空気二次電池用正極触媒。
【請求項11】
前記mが2である請求項5〜10のいずれか一項に記載の空気二次電池用正極触媒。
【請求項12】
前記多核金属錯体が、2つ以上の中心金属と、前記中心金属に配位結合する配位子と、を有するものであり、
前記配位子が、下記(a)及び(b)の要件を満たす芳香族化合物である請求項1又は2に記載の空気二次電池用正極触媒。
(a)前記中心金属に配位可能な4つ以上の窒素原子で囲まれた空間を有し、前記空間に前記中心金属を収容可能とする構造を、分子内に2つ以上有する(2つ以上の前記構造は、同一でも異なっていてもよい。)。
(b)前記構造を構成する窒素原子のうち少なくとも1つが含窒素複素六員環に含まれる窒素原子である。
【請求項13】
前記構造は、該構造を構成する窒素原子の数nと、前記空間の中心から該構造を構成する各窒素原子の中心までの平均距離r(Å)とが、下記式(A)で示される要件を満たす請求項12に記載の空気二次電池用正極触媒。
0<r/n≦0.7 …(A)
【請求項14】
前記窒素原子の数nと前記平均距離rとが、下記式(B)で示される要件を満たす請求項13に記載の空気二次電池用正極触媒。
0.2≦r/n≦0.6 …(B)
【請求項15】
前記構造は、該構造を構成する窒素原子の数nが4以上6以下である請求項12〜14のいずれか一項に記載の空気二次電池用正極触媒。
【請求項16】
前記配位子を構成する全炭素原子の質量Wと、前記配位子を構成する全窒素原子の質量Wとが、下記式(C)で示される要件を満たす請求項12〜15のいずれか一項に記載の空気二次電池用正極触媒。
0<W/W≦1.1 …(C)
【請求項17】
前記構造が、下記一般式(B−1)で表される芳香族化合物である請求項12〜16のいずれか一項に記載の空気二次電池用正極触媒。
【化6】

(式中、
mは1以上の整数である。
1a、Q1b及びQ1cは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環であり、前記配位可能な4つ以上の窒素原子をそれぞれ含む。Q1bが複数ある場合は、それらは同一でも異なっていてもよい。ただし、Q1a、Q1b及びQ1cのうち少なくとも1つは、含窒素芳香族複素六員環である。
1a及びZ1bは、それぞれ独立に、直接結合又は連結基であり、Z1bが複数ある場合は、それらは同一でも異なっていてもよい。
1a及びQ1b、並びに、Q1b及びQ1cは、各々、一体となって多環式芳香族複素環を形成していてもよい。
mが2以上の整数であり、かつ、Z1bが直接結合である場合、隣り合う2つのQ1bは、一体となって多環式芳香族複素環を形成していてもよい。
1a及びQ1cは直接結合して、又は、連結基を介して互いに結合していてもよく、一体となって多環式芳香族複素環を形成していてもよい。)
【請求項18】
前記式(B−1)において、mが2又は4である請求項17に記載の空気二次電池用正極触媒。
【請求項19】
前記Q1a、Q1b及びQ1cが、それぞれ独立にピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、1,3,5−トリアジン環、1,2,4−トリアジン環、1,2,4,5−テトラジン環、1H−ピロール環、2H−ピロール環、3H−ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、1,2,5−オキサジアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,5−チアジアゾール環、及び、これらの環構造を有する多環式芳香族複素環、からなる群から選ばれる環(当該環は置換基を有していてもよい。)である請求項17又は18に記載の空気二次電池用正極触媒。
【請求項20】
2つの含窒素芳香族複素環であるQ1aとQ1b又は2つの含窒素芳香族複素環であるQ1bとQ1cと、該2つの含窒素芳香族複素環を互いに結合する直接結合又は連結基と、からなる有機基が、下記式(B−4−a)〜(B−4−c)、(B−5−a)〜(B−5−d)又は(B−6−a)〜(B−6−d)のいずれかで表される2価の有機基である請求項17〜19のいずれか一項に記載の空気二次電池用正極触媒。
【化7】

(式中、
Xは、=C(Rα)−、−N(Rβ)−、=N−、−O−、−S−又は−Se−である。
Yは、−N(H)−又は=N−である。
4b、R4c、R5b、R5c、R5d、R6b、R6c、R6d、Rα及びRβは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基であり、隣り合う置換基同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成してもよい。
複数あるX、Y、R4b、R4c、R5b、R5c、R6b及びR6cは、各々、同一でも異なっていてもよい。)
【請求項21】
2つの含窒素芳香族複素環であるQ1aとQ1b又は2つの含窒素芳香族複素環であるQ1bとQ1cと、該2つの含窒素芳香族複素環を互いに結合する直接結合又は連結基と、からなる有機基が、下記一般式(B−7−a)〜(B−7−e)、(B−8−a)〜(B−8−e)、(B−9−a)〜(B−9−e)又は(B−10−a)〜(B−10−e)のいずれかで表される2価の有機基である請求項20に記載の空気二次電池用正極触媒。
【化8】

(式中、
7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R8a、R8b、R8c、R8d、R8e、R9a、R9b、R9c、R9d、R9e、R10a、R10b、R10c、R10d及びR10eは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基であり、隣り合う置換基同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成してもよい。
複数あるR7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R8a、R8b、R8c、R8d、R8e、R9a、R9b、R9c、R9d、R9e、R10a、R10b、R10c、R10d及びR10eは、各々、同一でも異なっていてもよい。)
【請求項22】
前記配位子が、下記式(XI)で表される芳香族化合物である請求項12〜21のいずれか一項に記載の空気二次電池用正極触媒。
【化9】

(式中、
γは、水素原子又は置換基を表す。複数あるRγは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。複数のRγが置換基である場合にはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、隣り合う置換基同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成してもよい。
、A及びAは、それぞれ独立に下記一般式(B−7−a)〜(B−7−e)、(B−8−a)〜(B−8−e)、(B−9−a)〜(B−9−e)又は(B−10−a)〜(B−10−e)のいずれかで表される2価の有機基である。
【化10】

(式中、
7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R8a、R8b、R8c、R8d、R8e、R9a、R9b、R9c、R9d、R9e、R10a、R10b、R10c、R10d及びR10eは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基であり、隣り合う置換基同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成してもよい。
複数あるR7a、R7b、R7c、R7d、R7e、R8a、R8b、R8c、R8d、R8e、R9a、R9b、R9c、R9d、R9e、R10a、R10b、R10c、R10d及びR10eは、各々、同一でも異なっていてもよい。))
【請求項23】
前記中心金属が、周期表の第4周期から第6周期に属する遷移金属原子又はそのイオンである請求項12〜22のいずれか一項に記載の空気二次電池用正極触媒。
【請求項24】
前記中心金属の数が2〜4である請求項12〜23のいずれか一項に記載の空気二次電池用正極触媒。
【請求項25】
前記多核金属錯体とカーボンとを含む組成物を用いてなる請求項1〜24のいずれか一項に記載の空気二次電池用正極触媒。
【請求項26】
前記多核金属錯体の残基を有するポリマーとカーボンとを含む組成物を用いてなる請求項1〜24のいずれか一項に記載の空気二次電池用正極触媒。
【請求項27】
前記多核金属錯体、前記多核金属錯体とカーボンとを含む組成物、又は、前記多核金属錯体の残基を有するポリマーとカーボンとを含む組成物を、
300℃以上1200℃以下の温度で加熱して得られた変性物を形成材料とする請求項1〜26のいずれか一項に記載の空気二次電池用正極触媒。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか一項に記載の空気二次電池用正極触媒を正極触媒層に含み、亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、リチウム、水素、及び、これらのイオンからなる群より選ばれる一種以上を負極活物質として用いた空気二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−238591(P2012−238591A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−103998(P2012−103998)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】