説明

空気入りタイヤ用インナーライナーおよび空気入りタイヤ

【課題】軽量でガスバリア性に優れ、極低温条件下においても優れた耐屈曲性を発揮し得るタイヤ用インナーライナー、並びに該インナーライナーを適用した空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】本発明のタイヤ用インナーライナーは、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)を含む樹脂中に粘弾性体(C)を分散させた樹脂組成物(D)からなる層を少なくとも含む、タイヤ用インナーライナーであって、前記粘弾性体(C)は、ガラス転移温度が−90℃以下の軟化剤を1〜30%配合してなることを特徴とする。また、本発明の空気入りタイヤは、カーカスの内側のタイヤ内面に、前記インナーライナーを具えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア性に優れた空気入りタイヤ用インナーライナーおよび空気入りタイヤに関し、特に、極低温下においても優れた耐屈曲性を発揮して耐久性を向上した、空気入りタイヤ用インナーライナーおよび空気入りタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空機、トラック、バス、乗用車等の車両用タイヤは、様々な環境下で使用されるため、極低温下での使用にも耐える必要がある。例えば、航空機用タイヤの場合、−65℃の大気中を飛行することがあり、トラック、バス、乗用車等の車両用タイヤの場合、−50℃で使用されることがある。
【0003】
従来、タイヤの内圧を保持するためにタイヤ内面に配設されるインナーライナーには、ブチルゴムやハロゲン化ブチルゴムなどのいわゆるブチル系ゴムを主原料とするゴム組成物が使用されている。
【0004】
しかし、これらブチル系ゴムを主原料とするゴム組成物はガスバリア性が低く、タイヤの内圧を十分に保持するためには厚さを1mm前後とする必要があるため、タイヤに占めるインナーライナーの重量が約5%と大きくなり、燃費を損ねてしまう場合があった。
【0005】
ブチル系ゴムよりガスバリア性に優れた樹脂は数多く存在するが、空気透過量がブチル系のインナーライナーの10分の1程度の場合、内圧保持性の改良効果を得るためには厚さを100μm超とする必要があり、その場合、タイヤ重量の軽量効果が小さく、また、タイヤ屈曲時の変形によってインナーライナーに破断やクラックが発生してしまう可能性がある。
【0006】
そこで、インナーライナーの耐屈曲性を向上させる方法として、例えば特許文献1では、融点170〜230℃のナイロン樹脂に、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体のハロゲン化物を含むエラストマーを使用する方法が記載されている。しかし、この方法では、ナイロン樹脂の優れたガスバリア性が損なわれる場合がある。
【0007】
一方、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略記することがある)は、空気透過量がブチル系のゴム組成物の100分の1以下であることが知られており、100μm以下の厚さでもタイヤの内圧を十分に保持することができる。このEVOHをタイヤのインナーライナーに適用することによって、タイヤの軽量化が可能であるため、EVOHをインナーライナーに用いることは有効であると言える。例えば、特許文献2には、EVOHからなるインナーライナーを具えた空気入りタイヤが記載されている。
【0008】
しかしながら、通常、EVOHは上記した他のゴムに比べて弾性率が大幅に高く、屈曲時の変形で破断やクラックを生じることがあった。そのため、EVOHからなるインナーライナーを用いた場合、タイヤ使用前の内圧保持性は大きく向上するものの、タイヤ転動時に屈曲変形を受けた使用後のタイヤでは、内圧保持性が使用前と比べて低下することがあった。
【0009】
この問題を解決する手段として、特許文献3には、エチレン含有量20〜70モル%、ケン化度85%以上のEVOH60〜99重量%および疎水性可塑剤1〜40質量%からなるコンポジットフィルムをインナーライナーに使用する方法が記載されている。
【0010】
更に、特許文献4には、エチレン含有量25〜50モル%のEVOH100重量部に対してエポキシ化合物1〜50重量部を反応させて得られる変性EVOHをインナーライナーに使用する技術が記載されており、該インナーライナーは、従来のEVOHからなるタイヤ用インナーライナーと比較して、ガスバリア性を保持したまま、より高度な耐屈曲性を有するとのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平11−199713号公報
【特許文献2】特開平6−40207号公報
【特許文献3】特開2002−52904号公報
【特許文献4】特開2004−176048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記に記載された従来技術によるタイヤのインナーライナーは、通常の温度条件下において使用する際においては、ガスバリア性及び耐屈曲性に優れ、また軽量であるため、タイヤへの適用に適している。
【0013】
しかし、上述のように、例えば、航空機、トラック、バス、乗用車等の車両用タイヤは、−50℃を下回る程の極低温下で使用されることもあり、上記従来技術では、このような極低温下において柔軟性が十分でないため割れやすく、また、優れたバリア性を発揮できない等、依然として改善の余地がある。
【0014】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、軽量でガスバリア性に優れ、且つ冬場などの極低温条件下での使用においても優れた耐屈曲性を発揮するタイヤ用インナーライナーを提供することにある。また、本発明では、そのようなタイヤ用インナーライナーを具えた空気入りタイヤを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、タイヤのインナーライナーにおける上記課題を解決する方途につき鋭意検討していたところ、ガラス転移温度が−90℃以下の軟化剤を含む粘弾性体を樹脂組成物中に分散させ、その樹脂組成物からなる層をタイヤのインナーライナーに含ませることによって、極低温条件下での耐屈曲性を改善し得ることを見出し、本発明を完成するに到った。即ち、上記課題を満たす本発明の要旨構成は、以下の通りである。
【0016】
(1)エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)を含む樹脂中に粘弾性体(C)を分散させた樹脂組成物(D)からなる層を少なくとも含む、タイヤ用インナーライナーであって、前記粘弾性体(C)に、ガラス転移温度が−90℃以下の軟化剤が1〜30質量%配合されていることを特徴とするタイヤ用インナーライナー。
ここで、軟化剤の配合割合は、粘弾性体100質量%に対する割合である。
【0017】
(2)前記粘弾性体(C)の少なくとも一部が、水酸基と親和性の高い官能基を有する、上記(1)に記載のタイヤ用インナーライナー。
【0018】
(3)前記粘弾性体(C)が、マレイン酸、無水マレイン酸、イソシアネート、イソチアシアネート、アルコキシシラン、エポキシ、アミンおよびホウ素含有基を含む化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物で変性されているか、または、該粘弾性体(C)の少なくとも一部がホウ素含有基を有する、上記(1)に記載のタイヤ用インナーライナー。ここで、「ホウ素含有基」とは、ホウ素を含有した官能基のことを言う。
【0019】
(4)前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)が、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100質量部に対しエポキシ化合物(E)1〜50質量部を反応させることによって得たものである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のタイヤ用インナーライナー。
【0020】
(5)前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のケン化度が90%以上である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のタイヤ用インナーライナー。
【0021】
(6)前記エポキシ化合物(E)の分子量が500以下である、上記(4)に記載のタイヤ用インナーライナー。
【0022】
(7)前記エポキシ化合物(E)がグリシドールまたはエポキシプロパンである、上記(6)に記載のタイヤ用インナーライナー。
【0023】
(8)前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のエチレン含有量が25〜50モル%である、上記(1)〜(7)のいずれかに記載のタイヤ用インナーライナー。
【0024】
(9)前記樹脂組成物(D)の破断伸び12%時の温度が−55℃以下である、上記(1)〜(8)のいずれかに記載のタイヤ用インナーライナー。
ここで、前記樹脂組成物(D)の破断伸び12%時の温度(℃)は、二軸押出機によって厚さ20μmの単層フィルムとした前記樹脂組成物を用いて、幅15mmの短冊上の試験片とし、例えば、オートグラフを用いて、チャック間隔50mm、引張速度1000mm/分の条件で試験をして、破断伸びが12%の時に測定される温度を言う。
【0025】
(10)前記樹脂組成物(D)における前記粘弾性体(C)の含有率が10〜70質量%の範囲である、上記(1)〜(9)のいずれかに記載のタイヤ用インナーライナー。
【0026】
(11)前記粘弾性体(C)の平均粒径が5μm以下である、上記(1)〜(10)のいずれかに記載のタイヤ用インナーライナー。
【0027】
(12)前記樹脂組成物(D)からなる層が架橋されている、上記(1)〜(11)のいずれかに記載のタイヤ用インナーライナー。
【0028】
(13)カーカスの内側のタイヤ内面に上記(1)〜(12)のいずれかに記載のタイヤ用インナーライナーを具えることを特徴とする空気入りタイヤ。
【0029】
(14)航空機用,トラック用、またはバス用である上記(13)に記載の空気入りタイヤ。
【発明の効果】
【0030】
本発明によるタイヤ用インナーライナーは、軽量でガスバリア性に優れ、かつ極低温下においても優れた耐屈曲性を発揮するため、耐久性に優れている。従って、本発明によるインナーライナーを、例えば、航空機、トラック、バス、乗用車等のタイヤに適用することにより、タイヤの重量を減少させることが可能であり、また、極低温条件下での走行に際して、インナー割れ等を生じにくいタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明において使用される押出機の好適なスクリュー構成の実施態様の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
本発明のタイヤ用インナーライナーは、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)(以下、EVOH(A)と略記することがある)を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)(以下、変性EVOH(B)と略記する場合がある)を含む樹脂中に、ガラス転移温度が−90℃以下の軟化剤1〜30%を配合してなる粘弾性体(C)を分散させた、樹脂組成物(D)からなる層を少なくとも含むことを特徴とする。ここで、前記インナーライナーは、樹脂組成物(D)のみで構成されていても、また一部に含んでいてもよい。
【0033】
上記EVOH(A)に、例えば、エポキシ化合物(E)を反応させて得られる変性EVOH(B)は、通常のEVOHに比べて弾性率が低い。また、この変性EVOH(B)を含む樹脂中に、ガラス転移温度が−90℃以下の軟化剤を1〜30%含む粘弾性体(C)を分散させることで、より弾性率の低い樹脂組成物(D)を得ることができる。従って、上記樹脂組成物(D)からなる層を含むインナーライナーは、弾性率が大幅に低下しており、耐屈曲性に優れるため、破断やクラックを生じ難い。
【0034】
また、前記EVOH(A)を変性させて、結晶性を発現している水酸基を、例えば下記式(I)に示すような化学構造に変えることにより、前記EVOH(A)の結晶性を低下させ、柔軟化することができる。
【0035】
【化1】

(式中、R、RおよびRは、C、HまたはOのいずれかを含む。)
【0036】
上記粘弾性体(C)は、ジエン系または非ジエン系ゴムのいずれかを含むことが好ましい。上記粘弾性体(C)が、ジエン系または非ジエン系ゴムのいずれかを含むことにより、樹脂組成物(D)が広い温度範囲でエラスティックに振舞うことができるので、耐疲労性を向上できる。
【0037】
また、前記粘弾性体(C)の主鎖骨格としては、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、水素添加SBR、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム(CSM)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)、エチレン−ブテンゴム、エチレン−オクテンゴム、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)や、一部に官能基を持つ変性天然ゴム、ニトリルゴム(NBR)、およびハロゲン基を含む粘弾性体、例えば、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)および下記式(II)で示される臭素化イソブチレン−p−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0038】
【化2】

【0039】
また、本発明のタイヤ用インナーライナーにおいては、前記粘弾性体(C)の少なくとも一部が、水酸基と親和性の高い官能基を有することが好ましい。前記粘弾性体(C)の少なくとも一部が水酸基と親和性の高い官能基を有することにより、前記変性EVOH(B)中における粘弾性体(C)の分散径のバラツキが小さくなり、また、平均粒子径を小さくすることができる。
【0040】
ここで、水酸基と親和性の高い官能基としては、ホウ素含有基、マレイン酸残基、無水マレイン酸残基、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、イソチアシアネート基、エポキシ基、アミノ基、アルコキシシリル基等が挙げられる。
【0041】
さらに、前記粘弾性体(C)が、マレイン酸、無水マレイン酸、イソシアネート、イソチアシアネート、アルコキシシラン、エポキシ、アミンおよびホウ素含有基を含む化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物で変性されているか、または該粘弾性体(C)の少なくとも一部がホウ素含有基を有することが好ましい。
【0042】
前記官能基としては、直接前記変性EVOH(B)分子と反応できるものに限らず、これを他の薬剤で予備反応させることにより、前記変性EVOH(B)分子と反応できるような例も含む。
【0043】
官能基は、予め前記粘弾性体(C)の重合体の重合時またはポスト重合時の処理によって付与させてもよいし、前記変性EVOH(B)と樹脂組成物(D)とを混練りする際、または混練りの直前に、前記変性EVOH(B)と他の低分子化合物との反応によって導入してもよい。
【0044】
前記ホウ素含有基としては、ボロン酸基または水の存在下でボロン酸基に転化し得るホウ素含有基などの官能基が挙げられる。前記ホウ素含有基のうち、ボロン酸基とは下記式(III)で示されるものである。
【0045】
【化3】

【0046】
また、水の存在下でボロン酸基に転化し得るホウ素含有基とは、水の存在下で加水分解を受けて上記式(III)で示されるボロン酸基に転化し得るホウ素含有基を指す。より具体的には、水単独、水と有機溶媒(トルエン、キシレン、アセトンなど)との混合物、5%ホウ酸水溶液と前記有機溶媒との混合物などを溶媒とし、室温〜150℃の条件下で10〜120分加水分解したときにボロン酸基に転化し得る官能基を意味する。
【0047】
このような官能基の代表例としては、下記式(IV)で示されるボロン酸エステル基、下記式(V)で示されるボロン酸無水物基、下記式(VI)で示されるボロン酸塩基などが挙げられる。
【0048】
【化4】

【0049】
【化5】

【0050】
【化6】

【0051】
式中、XおよびYは水素原子、脂肪族炭化水素基(炭素数1〜20の直鎖状または分岐状の、アルキル基またはアルケニル基など)、脂環式炭化水素基(シクロアルキル基またはシクロアルケニル基など)、芳香族炭化水素基(フェニル基、ビフェニル基など)を表し、XおよびYは同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0052】
但し、XおよびYがともに水素原子の場合は除かれる。また、XとYは結合していてもよい。またR、RおよびRは上記XおよびYと同様の水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基を表し、R、RおよびRは同じでもよいし異なっていてもよい。また、Mはアルカリ金属を表す。さらに、上記のX、Y、R、RおよびRは他の基、例えば水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子などを有していてもよい。
【0053】
上記式(IV)で示されるボロン酸エステル基の具体例としては、ボロン酸ジメチルエステル基、ボロン酸ジエチルエステル基、ボロン酸ジブチルエステル基、ボロン酸ジシクロヘキシルエステル基、ボロン酸エチレングリコールエステル基、ボロン酸プロピレングリコールエステル基、ボロン酸1,3−プロパンジオールエステル基、ボロン酸1,3−ブタンジオールエステル基、ボロン酸ネオペンチルグリコールエステル基、ボロン酸カテコールエステル基、ボロン酸グリセリンエステル基、ボロン酸トリメチロールエタンエステル基、ボロン酸トリメチロールプロパンエステル基、ボロン酸ジエタノールアミンエステル基などが挙げられる。
【0054】
また、上記式(VI)で示されるボロン酸塩基としては、ボロン酸のアルカリ金属塩基などが挙げられる。具体的には、ボロン酸ナトリウム塩基、ボロン酸カリウム塩基などが挙げられる。
【0055】
このようなホウ素含有基のうち、熱安定性の観点からボロン酸環状エステル基が好ましい。ボロン酸環状エステル基としては、例えば5員環または6員環を含有するボロン酸環状エステル基が挙げられる。具体的には、ボロン酸エチレングリコールエステル基、ボロン酸プロピレングリコールエステル基、ボロン酸1,3−プロパンジオールエステル基、ボロン酸1,3−ブタンジオールエステル基、ボロン酸グリセリンエステル基などが挙げられる。
【0056】
本発明のタイヤ用インナーライナーにおいて、前記粘弾性体(C)を構成する高分子材料は、分子構造がランダムであり、融点(Tm)またはガラス転移温度(Tg)が50℃以上のブロックまたはセグメントを、含まないか、または含んだとしてもその量が少ないことが好ましい。例えば、前記粘弾性体(C)がスチレンのブロックまたはセグメントを含むと、室温付近ではスチレン層がガラス状態であり、非常に硬く振舞うため樹脂組成物(D)の柔軟性が低下する可能性がある。また、例えば、スチレンを含んでいてもランダムであれば、樹脂組成物(D)の柔軟性を確保することができる。ここで、Tgは、示差走査熱量測定(DSC)により測定した。
【0057】
他方、前記粘弾性体(C)を構成する高分子材料は、ペレット形状の保持のために微量のブロック成分を含んでもよい。例えば、前記粘弾性体(C)を構成する高分子材料がスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体である場合、該共重合体のポリスチレン含有は19%以下であることが好ましく、16%以下がより好ましい。
【0058】
また、本発明において、上記変性EVOH(B)の製造方法は、特に限定されないが、前記EVOH(A)100質量部に対し、前記エポキシ化合物(E)1〜50質量部を反応させて得ることが好ましい。
【0059】
より詳しくは、EVOHの溶液に、酸触媒またはアルカリ触媒存在下、好ましくは酸触媒存在下、エポキシ化合物(E)を添加し、反応させることによって変性EVOHを製造する。
【0060】
反応溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒が挙げられる。また、酸触媒としては、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸および三フッ化ホウ素などが挙げられ、アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ナトリウムメトキシドなどが挙げられる。尚、触媒量は、EVOH100質量部に対し、0.0001〜10質量部の範囲が好ましい。
【0061】
また、EVOH(A)とエポキシ化合物(E)とを押出機内で反応させることによっても変性EVOH(B)を製造することができる。使用する押出機としては、特に制限はないが、一軸押出機、二軸押出機または二軸以上の多軸押出機を使用し、200℃〜300℃程度の温度でEVOH(A)とエポキシ化合物(E)とを反応させることが好ましい。
【0062】
上記エポキシ化合物(E)としては、一価のエポキシ化合物が好ましい。二価以上のエポキシ化合物は、EVOHと架橋反応し、ゲル、ブツなどを発生して、インナーライナーの品質を低下させる場合がある。
【0063】
尚、変性EVOHの製造容易性、ガスバリア性、耐屈曲性および耐疲労性の観点から、前記エポキシ化合物(E)は、分子量が500以下であることが好ましく、そのような化合物の中でも、グリシドール、エポキシプロパン及びエポキシブタンが好ましく、エポキシプロパンが特に好ましい。
【0064】
また、上記エポキシ化合物(E)は、EVOH(A)100質量部に対して1〜50質量部を反応させるこが好ましく、2〜40質量部を反応させることが更に好ましく、5〜35質量部を反応させることが一層好ましい。
【0065】
上記EVOH(A)は、ガスバリア性、耐屈曲性および耐疲労性を得る観点から、メルトフローレート(MFR)が190℃、2160g荷重下で0.1〜30g/10分であることが好ましく、0.3〜25g/10分であることが更に好ましく、0.5〜20g/10分であることが一層好ましい。
【0066】
また、上記EVOH(A)は、ケン化度が90%以上であることが好ましい。ケン化度を90%以上とすることにより、ガスバリア性及び成形時の熱安定性を十分に確保することが可能である。尚、上記EVOH(A)のケン化度は、95%以上であることが更に好ましく、99%以上であることが一層好ましい。
【0067】
上記EVOH(A)は、エチレン含有量が25〜50モル%であることが好ましい。エチレン含有量を25モル%以上とすることにより、耐屈曲性、耐疲労性および溶融成形性が良好であり、また、50モル%以下とすることにより、ガスバリア性を十分に確保することが可能である。尚、上記EVOH(A)のエチレン含有量は、30〜48モル%であることが更に好ましく、35〜45モル%であることが一層好ましい。
【0068】
上記樹脂組成物(D)は、破断伸び12%時の温度が−55℃以下であることが好ましい。破断伸び12%時の温度が−55℃以下であると、極低温条件下で使用した際の耐久性を向上させることができる。
【0069】
また、上記樹脂組成物(D)における粘弾性体(C)の含有率は、10〜70質量%の範囲であることが好ましい。粘弾性体(C)の含有率が10質量%以上とすることにより、耐屈曲性をより効果的に向上することができ、また、70質量%を以下とすることにより、ガスバリア性の低下を防止することが可能である。
【0070】
更に、上記粘弾性体(C)の平均粒径は、5μm以下であることが好ましい。上記粘弾性体(C)の平均粒径を5μm以下とすることにより、樹脂組成物(D)からなる層の耐屈曲性を、より効果的に改善することが可能である。尚、上記粘弾性体(C)の平均粒径は、例えば、サンプルを凍結し、該サンプルをミクロトームにより切片にして、透過電子顕微鏡(TEM)で観察することによって測定することが可能である。
【0071】
上記樹脂組成物(D)は、変性EVOH(B)と粘弾性体(C)とを混練して調整することができる。また、上記樹脂組成物(D)は、インナーライナーの製造時にフィルム状であることが好ましく、該樹脂組成物(D)からなる層は、溶融成形、好ましくはTダイ法、インフレーション法などの押出成形により、好ましくは120〜270℃の溶融温度でフィルムやシートなどに成形され、インナーライナーとして使用される。
【0072】
前記樹脂組成物(D)からなる層は、架橋されていることが好ましい。前記樹脂組成物(D)からなる層が架橋されていることにより、タイヤの加硫工程でのインナーライナーの変形、及びインナーライナーのガスバリア性、耐屈曲性、耐疲労性の低下等を抑制することが可能である。
【0073】
ここで、架橋方法としては、エネルギー線を照射する方法が好ましく、該エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、α線、γ線などの電離放射線が挙げられ、これらの中でも電子線が特に好ましい。また、樹脂および粘弾性体は電子線架橋型が好ましい。電子線の照射は、樹脂組成物(D)をフィルムやシートなどの成形体に加工した後に行うことが好ましい。
【0074】
電子線の線量としては、2.5〜60Mradの範囲が好ましく、5〜50Mradの範囲が更に好ましい。電子線の線量が2.5Mrad以上であれば、架橋の進行が十分早く、また、60Mrad以下であれば、成形体を劣化させることがない。
【0075】
≪軟化剤について≫
本発明の粘弾性体(C)に用いる軟化剤は、ガラス転移温度(Tg)が−90℃以下である。これは、軟化剤のガラス転移温度(Tg)が−90℃を超えると、極低温条件下での耐クラック性を確保できない。ここで、軟化剤のガラス転移温度(Tg)は、ASTM D3418−82(Peapproved 1988)に準拠して示差走査熱量計(DSC)で測定した値である。
【0076】
上記軟化剤としては、Tgが−90℃以下である限り特に制限はなく、ゴム用軟化剤から適宜選択して用いることができ、また、例えば、トリス(2−メチルヘキシル)ホスフェートなどのリン酸エステル、ジ−n−ブチルセバケートなどのセバシン酸エステルなどを用いることも可能である。これら軟化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0077】
本発明の樹脂組成物(D)における上記軟化剤の配合量は、前記粘弾性体(C)成分中に1〜30質量%であり、2〜25質量%の範囲が好ましい。軟化剤の配合量が1質量%未満では、極低温条件下での耐クラック性を確保できず、一方、30質量%を超えると、ゴム組成物のガスバリア性が大きく低下してしまう。また、軟化剤の配合量が2質量%以上であれば、極低温条件下での耐クラック性の改善効果が大きく、一方、25質量%以下であれば、ゴム組成物のガスバリア性を十分に確保することができる。
【0078】
以上に、本発明によるタイヤ用インナーライナーについて詳細に記述した。
本発明の空気入りタイヤは、カーカスの内側のタイヤ内面に上記に記載した本発明のタイヤ用インナーライナーを具えることを特徴とする。本発明によるタイヤ用インナーライナーを具えた本発明の空気入りタイヤは、軽量でガスバリア性に空気保持性に優れ、さらに、冬場などの極低温下での使用においても耐久性を損ねない。
【0079】
また、本発明の空気入りタイヤは、航空機用、トラック用、またはバス用として用いる場合に効果的である。従来、重量の大きい上記のような車両において、極低温下での耐久性の維持が特に困難であったためである。
【実施例】
【0080】
以下に、実施例を基にして、本発明をより詳細に説明する。
表1に記載の配合処方のタイヤ用インナーライナー(実施例1〜4および比較例1〜4)を、後述の製造方法にて製造し、空気保持性および極低温条件下でのクラック性について、後述の評価方法にて評価した。表1にその結果を示す。
【0081】
ここで、表1中に記載の「合成例1」および「合成例2」の製造方法については、以下に示す通りである。
【0082】
≪合成例1≫
(変性EVOH)
加圧反応槽に、エチレン含量44モル%、ケン化度99.9%のEVOH(190℃、2160g荷重下でのMFR:5.5g/10分)2質量部およびN−メチル−2−ピロリドン8質量部を仕込み、120℃で撹拌して、EVOHを完全に溶解させた。これにエポキシ化合物(E)としてエポキシプロパン0.4質量部を添加後、160℃で4時間加熱した。
【0083】
加熱終了後、蒸留水100質量部に析出させ、多量の蒸留水で十分にN−メチル−2−ピロリドンおよび未反応のエポキシプロパンを洗浄し、変性EVOHを得た。
【0084】
更に、得られた変性EVOHを粉砕機で粒子径2mm程度に細かくした後、再度多量の蒸留水で十分に洗浄した。洗浄後の粒子を8時間室温で真空乾燥させた後、二軸押出機を用いて200℃で溶融し、ペレット化した。
【0085】
≪合成例2≫
(変性EVOH)
東芝機械社製TEM−35BS押出機(37mmφ、L/D=52.5)を使用し、図1に示すようにスクリュー構成およびベントおよび圧入口を設置した。バレルC1を水冷し、バレルC2〜C3を200℃、バレルC4〜C15を240℃に設定し、スクリュー回転数400rpmで運転した。C1の樹脂フィード口からEVOHを15kg/hrの割合でフィードし、溶融した後、ベント1から水および酸素を除去し、C9の液圧入口からグリシドールを2.5kg/hrの割合でフィードすることにより(フィード時の圧力:6MPa)、グリシドール変性EVOHを得た。
【0086】
また、表1中に記載の粘弾性体(C)の諸元および合成例については、以下に示す通りである。
【0087】
≪イソシアネート変性SBRの合成例≫
窒素置換された内容積5Lの反応器に、シクロヘキサン2000g、1,3−ブタジエン450g、スチレン50g、およびテトラヒドロフラン25gを仕込んだ後、n−ブチルリチウム0.32gを加えて断熱下30〜90℃で重合反応を行った。
【0088】
重合転化率が100%に達した後、ジフェニルメタンジイソシアナートをn−ブチルリチウムに対して2当量加えて反応させた。更に、老化防止剤としてジ−tert−ブチル−p−クレゾールをゴム100gに対して0.7g添加して、常法にて脱溶・乾燥を行った。
【0089】
≪変性EP≫
変性ポリエチレン(EP)としては三井化学(株)製、タフマーMP0620を使用した。
【0090】
≪無水マレイン酸変性SBRの合成例≫
乾燥し、窒素置換された800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン300g、1,3−ブタジエン41.25g、スチレン8.75g、ジテトラヒドロフリルプロパン0.38ミリモルを注入し、これにn−ブチルリチウム(BuLi)0.43ミリモルを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。
この重合系に、更に末端変性剤として3−トリエトキシシリルプロピル無水コハク酸0.43ミリモルを加えた後、更に30分間変性反応を行った。
この後、該重合系に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5重量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応の停止を行い、更に常法に従って乾燥することにより無水マレイン酸変性SBRを得た。
【0091】
≪エポキシ変性NR≫
エポキシ変性天然ゴム(E−NR)としてMuang Mai Guthrie Public Company Limited製、EPOXYPRENE25を使用した。
【0092】
≪無水マレイン酸変性SEBS≫
無水マレイン酸変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)としては旭化成製タフテックM1943を使用した。
【0093】
≪臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン≫
臭素化イソブチレン−p−メチルスチレンとしてエクソンモービルケミカル製のExxpro89−4を使用した。
【0094】
さらに、表1中に記載の「軟化剤A」および「軟化剤B」の諸元、並びに前記各軟化剤のガラス転移温度(Tg)の測定方法については、以下に示す通りである。
【0095】
≪軟化剤A≫
出光興産株式会社製、ダイアナプロセスオイルNS−28,Tg=−80℃、を使用した。
【0096】
≪軟化剤B≫
大八化学工場株式会社製,TOP,トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート,Tg=−120℃、を使用した。
【0097】
≪軟化剤のガラス転移温度(Tg)の測定方法≫
使用した軟化剤のTgは、ASTM D3418−82(Peapproved 1988)に準拠して示差走査熱量計(DSC)で測定した。
【0098】
≪タイヤ用インナーライナーの作製方法≫
合成例1および2で得られた変性EVOHと、表中に示す粘弾性体(C)とを二軸押出機で混練し、表1および2に示す配合処方の樹脂組成物(D)を得た。次に、日新ハイボルテージ(株)製電子線照射装置「生産用キュアトロンEBC200−100」を使用して、加速電圧200kV、照射エネルギー30Mradの条件で樹脂組成物(D)に電子線照射して架橋処理を施し、タイヤ用インナーライナーを作製した。
【0099】
また、比較例1のインナーライナーは、天然ゴム30質量部および臭素化ブチルゴム[JSR(株)製,Bromobutyl 2244]70質量部に対して、GPFカーボンブラック[旭カーボン(株)製, ♯55]60質量部、SUNPAR2280[日本サン石油(株)製]7質量部、ステアリン酸[旭電化工業(株)製]1質量部、NOCCELER DM[大内新興化学工業(株)製]1.3質量部、酸化亜鉛[白水化学工業(株)製]3質量部および硫黄[軽井沢精錬所製]0.5質量部を配合して調製することにより製造した。
【0100】
【表1】

【0101】
≪樹脂組成物(D)の破断伸び12%時の温度(℃)の評価について≫
東洋精機社製二軸押出機によって、下記押出条件で製膜し、厚さ20μmの単層フィルムを作製した。次に該フィルムを用いて、幅15mmの短冊状の試験片を作製し、−36℃、50%RHの条件下で恒温室内に1週間放置した後、(株)島津製作所製オートグラフ[AG−A500型]を用いて、チャック間隔50mm、引張速度1000mm/分の条件で、試験をして破断伸びが12%の温度を測定した。
【0102】
≪押出条件≫
スクリュー:20mmφ、フルフライト
シリンダー、ダイ温度設定:C1/C2/C3/ダイ=200/200/200/200(℃)
【0103】
≪ガスバリア性(指数)の評価について≫
JIS K 7126「プラスチックフィルムおよびシートの気体透過度試験方法」のA法(差圧法)に従って、各ゴム組成物の気体透過係数を測定し、比較例1のゴム組成物の気体透過係数を100として指数表示した。指数値が大きい程、気体透過係数が小さく、空気保持性が良好であることを示す。
【0104】
≪極低温条件下での耐クラック性(指数)の評価について≫
JIS K 6301に記載の低温衝撃脆化試験法により各ゴム組成物の脆化温度を測定し、比較例1のゴム組成物の脆化温度を100として指数表示した。指数値が大きい程、極低温条件下での耐クラック性が良好であることを示す。
【0105】
比較例2を見ると、ガラス転移温度Tg(℃)が−90℃以下の軟化剤を30%以上配合した場合、極低温条件下での耐クラック性について向上するものの、ガスバリア性が低下することがわかる。また、比較例3および4を見ると、配合する軟化剤のガラス転移温度Tg(℃)が−90℃以上である場合、および、軟化剤を配合しない場合にあっては、ガスバリア性および極低温条件下での耐クラック性の両性能について低下することがわかる。
【0106】
また、表1に示す結果より、本発明の要件を満たすタイヤ用インナーライナーは、ガスバリア性および極低温条件下での耐クラック性について、上記比較例1〜4よりも優れていることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)を含む樹脂中に粘弾性体(C)を分散させた樹脂組成物(D)からなる層を少なくとも含む、タイヤ用インナーライナーであって、前記粘弾性体(C)に、ガラス転移温度が−90℃以下の軟化剤が1〜30質量%配合されていることを特徴とするタイヤ用インナーライナー。
【請求項2】
前記粘弾性体(C)の少なくとも一部が、水酸基と親和性の高い官能基を有する、請求項1に記載のタイヤ用インナーライナー。
【請求項3】
前記粘弾性体(C)が、マレイン酸、無水マレイン酸、イソシアネート、イソチアシアネート、アルコキシシラン、エポキシ、アミンおよびホウ素含有基を含む化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物で変性されているか、または前記粘弾性体(C)の少なくとも一部がホウ素含有基を有する、請求項1に記載のタイヤ用インナーライナー。
【請求項4】
前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(B)が、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100質量部に対しエポキシ化合物(E)1〜50質量部を反応させることによって得たものである、請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用インナーライナー。
【請求項5】
前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のケン化度が90%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用インナーライナー。
【請求項6】
前記エポキシ化合物(E)の分子量が500以下である、請求項4に記載のタイヤ用インナーライナー。
【請求項7】
前記エポキシ化合物(E)がグリシドールまたはエポキシプロパンである、請求項6に記載のタイヤ用インナーライナー。
【請求項8】
前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のエチレン含有量が25〜50モル%である、請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤ用インナーライナー。
【請求項9】
前記樹脂組成物(D)の破断伸び12%時の温度が−55℃以下である、請求項1〜8のいずれかに記載のタイヤ用インナーライナー。
【請求項10】
前記樹脂組成物(D)における前記粘弾性体(C)の含有率が10〜70質量%の範囲である、請求項1〜9のいずれかに記載のタイヤ用インナーライナー。
【請求項11】
前記粘弾性体(C)の平均粒径が5μm以下である、請求項1〜10のいずれかに記載のタイヤ用インナーライナー。
【請求項12】
前記樹脂組成物(D)からなる層が架橋されている、請求項1〜11のいずれかに記載のタイヤ用インナーライナー。
【請求項13】
カーカスの内側のタイヤ内面に請求項1〜12のいずれかに記載のタイヤ用インナーライナーを具えることを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項14】
航空機用,トラック用、またはバス用である請求項13に記載の空気入りタイヤ。

【図1】
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【公開番号】特開2011−161986(P2011−161986A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24567(P2010−24567)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】