説明

空気入りタイヤ

【課題】雰囲気温度や走行による発熱によって変色することでファッション性に優れ、また加工性及び発色性に優れる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】空気入りタイヤは、ゴム成分と、非カーボンブラック系充填剤と、温度変化により可逆的に変色する感温変色成分を封入してなる感温変色性のマイクロカプセルとを含み、該マイクロカプセルをゴム成分に直接混合分散させて得られたゴム組成物を加硫成形してなる感温変色ゴム部30を備える。感温変色ゴム部30は、サイドウォール部14の少なくとも一部を構成することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度変化によって変色するゴム組成物を用いた空気入りタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気入りタイヤにおいては、視認性やファッション性を高めるために、黒色以外に着色されたカラーゴムをサイドウォール部に配置することが試みられている。しかしながら、カラーゴムを用いた場合、一色のみで色が変化しないため、ファッション性の向上という点でユーザーへのアピール度は低い。
【0003】
また、例えば、下記特許文献1や特許文献2には、蓄光性蛍光体を配合したゴム組成物をタイヤのサイドウォール部に用いることにより、夜間の視認性や意匠的装飾効果を高めることが開示されている。しかしながら、このような蛍光ゴムの場合、視認性やファッション性の効果は夜間のみに限られる。
【0004】
一方、下記特許文献3には、タイヤのサイドウォール部の一部にサーモトロピック液晶を設置することでファッション性を向上させる技術が開示されている。かかるサーモトロピック液晶は、温度変化により分子配列が変化することで反射光の波長を変化させ、それにより外観色が変化するように見えるものであるが、耐熱性が低い。そのため、特許文献3では、ゴム組成物にサーモトロピック液晶を配合するというものではなく、加硫成形後のタイヤに対し、バインダを用いて接着することで、サーモトロピック液晶をサイドウォール部に設置しており、そのため、加工性に劣り、また走行時の剥離といった耐久性の問題も懸念される。
【0005】
また、下記特許文献4には、感温変色材を含有する温度指示手段を持つタイヤが開示されており、該感温変色材として感温変色成分をマイクロカプセルに封入したものを用いて、前記感温変色材を含むゴム組成物をタイヤのサイドウォール部に組み込むことも開示されている。しかしながら、特許文献4では、上記マイクロカプセルをポリ塩化ビニル(PVC)に分散させたものを用いている。そのため、感温変色材のゴム成分に対する分散性が悪く、ゴム組成物全体としての均一な発色が得られない。また、このようにPVC等の樹脂によりマスターバッチ化した感温変色材を用いた場合、均一に分散させるためには、樹脂の融点以上の温度で混合分散させる必要があり、高温によりマイクロカプセルが破損したり、熱履歴によりマイクロカプセルの損傷につながる。更に、かかる樹脂マスターバッチの場合、ゴム成分との相性が問題となり、樹脂に合わせたゴム成分の選択が必要となる。
【特許文献1】特開2000−185528号公報
【特許文献2】特開2003−049021号公報
【特許文献3】特開2003−104014号公報
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0139142号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、雰囲気温度や走行による発熱によって変色することでファッション性に優れるとともに、加工性及び発色性に優れる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る空気入りタイヤは、ゴム成分と、非カーボンブラック系充填剤と、温度変化により可逆的に変色する感温変色成分を封入してなる感温変色性のマイクロカプセルとを含み、該マイクロカプセルをゴム成分に直接混合分散させて得られたゴム組成物を加硫成形してなるゴム部を備えるものである。
【0008】
ここで、前記ゴム部はサイドウォール部の少なくとも一部を構成することが好ましい。また、前記感温変色成分が、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、変色温度調整剤とを含むものであることが好ましく、この場合、耐熱性に優れることから、タイヤの加硫成形後においても変色効果を維持することができ、好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、感温変色性のマイクロカプセルを含有させた上記ゴム部が、雰囲気温度や走行時の内部発熱等の温度変化により変色する。そのため、従来のカラーゴムや蛍光ゴムの場合と比較して、ファッション性に関してユーザーへのアピール度が高い。また、感温変色成分の変色温度の設定によっては、異常発熱状態の視認も可能となり、タイヤの安全性が高まる。また、該ゴム部は加硫成形することでタイヤ本体とともに形成されるものであり、タイヤの加硫成形後に別途取り付けられるものではないので、加工性や耐久性に優れる。
【0010】
更に、上記マイクロカプセルを樹脂に分散させることなく、そのままゴム成分に混合分散させるため、ゴム混合時のせん断力により、温度上昇を極力抑えながら、マイクロカプセルをゴムマトリックスに均一に分散させることができる。そのため、ゴム組成物全体として均一な発色効果が得られ、また、マイクロカプセルに対する熱履歴が抑えられてその損傷を低減することができ、優れた発色性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
【0012】
本発明において用いるゴム組成物は、ゴム成分と非カーボンブラック系充填剤と感温変色材とを含有するものである。
【0013】
上記ゴム成分としては、特に限定されず、各種ゴムポリマーを用いることができる。例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM又はEPM)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組みあわせて用いることができる。好ましくは、臭素化ブチルゴム(BR−IIR)や塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)などの耐候性に優れるハロゲン化ブチルゴムを用いることであり、より詳細には、ハロゲン化ブチルゴムと天然ゴム及び/又はポリイソプレンゴムとのブレンドゴムを用いることが好ましい。
【0014】
上記ゴム組成物には充填剤として、非カーボンブラック系充填剤を配合し、カーボンブラックは実質的に配合しない。カーボンブラックを配合すると、感温変色材による着色効果が得られないからである。非カーボンブラック系充填剤としては、例えば、シリカ、クレー、タルク、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタンなどの白色の充填剤が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組みあわせて用いることができる。非カーボンブラック系充填剤の配合量は特に限定されないが、充填剤による補強効果を確保するため、ゴム成分100重量部に対して30〜120重量部であることが好ましい。
【0015】
上記感温変色材としては、温度変化により可逆的に変色する感温変色成分を封入してなる感温変色性のマイクロカプセルを用いることを特徴とする。マイクロカプセル化することで感温変色成分の組成を一定に保って、安定した変色効果を発揮することができる。感温変色成分としては、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、変色温度調整剤とで構成されるものが、ゴムの加硫温度に対する耐熱性を確保する上で好適である。
【0016】
かかる感温変色成分としては、例えば、特開2003−313453号公報、特開2005−220201号公報などに開示されているものを用いることができる。
【0017】
詳細には、上記電子供与性呈色性有機化合物は、電子受容性化合物と呈色反応をおこして発色する成分であり、通常はロイコ色素が用いられる。ロイコ色素としては、公知のものを用いることができ、例えば、トリフェニルメタンフタリド系、フルオラン系、インドリルフタリド系、ロイコオーラミン系、スピロピラン系などが挙げられ、ロイコ色素を1種又は2種以上組み合わせて用いることにより発色時の色彩を調整することができる。
【0018】
また、上記電子受容性化合物は、電子供与性呈色性有機化合物と呈色反応をおこして発色させる顕色剤成分であり、例えば、フェノール類、ビスフェノール類、トリアゾール類、芳香族カルボン酸類、脂肪族カルボン酸類、リン酸類、またはこれらのエステル類、エーテル類や金属塩類などが挙げられる。
【0019】
また、上記変色温度調整剤は、溶融又は融解することで電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物との間の電子の授受を阻害することにより上記呈色反応温度を制御する減感剤成分であり、例えば、アルコール類、エステル類、エーテル類、脂肪酸類などの有機媒体を用いることができる。変色温度調整剤による変色温度の設定は、目的に応じて有機媒体の種類や組成を変更することにより適宜に行うことができ、例えば、ファッション性向上のために通常の走行によって色を変化させる場合には、変色の設定温度を30〜40℃としておけばよい。また、例えば、低内圧走行時のサイドウォール部の異常を視認できるようにするためには、変色の設定温度を45〜60℃としておけばよい。
【0020】
このような感温変色成分をマイクロカプセル化するには、例えば、コアセルべーション法、in situ重合法、界面重合法等の公知のマイクロカプセル化法を用いることができる。マイクロカプセルの平均粒子径は、特に限定されないが、通常は0.5〜100μm、好ましくは0.5〜20μmである。
【0021】
かかる感温変色性のマイクロカプセルとしては、例えば、松井色素化学工業所製「クロミカラー」、日本カプセルプロダクツ社製「ETSD powder」などがある。但し、後述するように該マイクロカプセルをゴム成分に直接混合分散するため、樹脂によりマスターバッチ化されていないパウダー状のものを入手し、使用することが好ましい。
【0022】
該感温変色性のマイクロカプセルの配合量は、特に限定するものではないが、ゴム成分100重量部に対して1〜20重量部であることが、タイヤの一部に使用する加硫成形ゴム組成物として好ましい。
【0023】
上記ゴム組成物には、タイヤ本体とともに加硫成形するため、通常は加硫剤が配合される。加硫剤としては、一般的には、硫黄、チウラムポリスルフィド、モルフォリン誘導体等の硫黄系加硫剤が用いられるが、有機過酸化物、金属過酸化物などの非硫黄系架橋剤を用いてもよい。なお、加硫剤の配合量は、特に限定するものではないが、通常、ゴム成分100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましい。
【0024】
上記ゴム組成物には、その他の配合剤として、ステアリン酸、亜鉛華、軟化剤、カップリング剤、可塑剤、加硫促進剤など、タイヤ用ゴム組成物において一般に使用される各種の添加剤を配合することができる。但し、かかる添加剤は、いずれも非汚染性の薬品、即ちベースとなるゴム成分を実質的に着色しないものであることが好ましい。そのため、本発明のゴム組成物では、汚染性の老化防止剤は実質的に配合しないことが好ましい。
【0025】
上記ゴム組成物を調製するに際しては、上記マイクロカプセルをゴム成分に直接混合分散させることを特徴とする。すなわち、マイクロカプセルは、PVC等の樹脂に分散させることなく、パウダー状のままゴム成分に撹拌混合して分散させる。粘弾性材料であるゴムポリマーは、攪拌混合時のせん断力により、熱履歴を抑えながら、粉体状のマイクロカプセルをマトリックス中に均一に分散させることができる。
【0026】
詳細には、例えば、第1ステップで、混合機にゴム成分と非カーボンブラック系充填剤とを投入し混合するとともに、パウダー状の上記マイクロカプセルをそのまま添加して混合撹拌し、次いで、第2ステップで、これに加硫剤を添加して混合することによりゴム組成物が得られる。なお、混合機としては、ゴム組成物を混合することができるものであれば、特に限定されず、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル、ブレンダーミキサーなどが挙げられる。
【0027】
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いてタイヤを加硫成形することで得られるものである。かかるタイヤの加硫条件としては、特に限定されるものではないが、通常、140〜180℃で10〜30分間で行われる。
【0028】
本発明においては、タイヤのゴム部分の全体を上記ゴム組成物で形成してもよいが、通常、上記ゴム組成物は部分的に用いられる。すなわち、トレッド部、サイドウォール部およびビード部のうちの少なくとも一部に該ゴム組成物からなるゴム部が設けられる。その場合、トレッド部やサイドウォール部、ビード部の各部の全体を上記ゴム部で形成してもよく、あるいはまた、各部の一部を上記ゴム部で形成してもよい。いずれにしても、外部から視認できるように該ゴム部をタイヤ表面側に設けることが好ましい。好ましくは、サイドウォール部の全体又は一部が上記ゴム部により形成されていることである。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りラジアルタイヤ10の半断面図である。このタイヤ10は、左右一対のビード部12及びサイドウォール部14と、両サイドウォール部14間にまたがるトレッド部16とを備えて構成されている。ビード部12には、環状のビードコア18と、その半径方向外側のゴム製ビードフィラー20とが配設されている。左右一対のビードコア18間には、タイヤ周方向に対し直角に配列した多数のコードが延在してなるカーカス層22が設けられており、該カーカス層22の両端部がビードコア18にて係止されている。トレッド部16におけるカーカス層22の半径方向外側には非伸張性コードからなるベルト層24が設けられ、このベルト層24のタイヤ半径方向外側にトレッドゴム26が設けられている。また、サイドウォール部14におけるカーカス層22の外側にサイドウォールゴム28が設けられている。
【0030】
かかる構成からなるタイヤ10において、本実施形態では、サイドウォールゴム28の一部が上記ゴム組成物からなる感温変色ゴム部30として形成されており、詳細には、サイドウォールゴム28の半径方向中央部が感温変色ゴム部30とされ、その上下両側が通常の黒色のサイドウォールゴム部28a,28bとされている。
【0031】
図2(c)に拡大して示すように、サイドウォール部14表面の感温変色ゴム部30周りにはカバーゴム層32が覆設されている。カバーゴム層32は、通常のサイドウォールゴム部28a,28bと同色の黒色ゴム層であり、感温変色ゴム部30の一部を覆うことで、その非覆設部により所定の絵柄、文字、記号、模様などの表示情報40が外部に表される。図3に示すように、この例では、タイヤ周方向の全周にわたって延びるリング状模様からなる表示情報40が形成されている。なお、カバーゴム層32は、感温変色ゴム部30を汚染しないように、老化防止剤等の汚染性薬品を含まない非汚染性ゴム組成物で形成されている。
【0032】
図2(c)に示す構造は次のようにして形成することができる。すなわち、図2(a)に示すように、カーカス層22の外側にサイドウォールゴム部28a,28bとその間に感温変色ゴム部30を張り付け、更にその外側にカバーゴム層32を張り付けて、グリーンタイヤを作成する。そして、感温変色ゴム部30の表面に周方向に延びる凸部34を成形するように凹部36を持つ成形型38を用いて、該グリーンタイヤを加硫成形する。そして、加硫成形後、図2(b)に示すように、凸部34の先端面のカバーゴム層32を一点鎖線Xで示すように削って、図2(c)に示すように感温変色ゴム部30の所定の一部を露出させればよい。このように形成することで、上記所定の表示情報40を精度よく、しかも簡単に形成することができる。
【0033】
なお、図3に示す感温変色ゴム部30による表示情報40の例は、一例にすぎず、本発明では、様々な表示情報とすることができ、例えば、図4に示すように、サイドウォール部の14の周方向における一部に文字情報40を設けることもできる。このような文字情報も上記図2(a)〜(c)で説明したのと同様の方法により形成することができる。その他、上記のようにサイドウォール部以外の部位にも様々な表示情報を形成することができる。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合に従い、実施例1,2及び比較例1〜3のゴム組成物を調製した。調製に際しては、第1ステップで、ゴム成分に、充填剤であるクレー、顔料(赤色MB、感温変色材A〜C)、ステアリン酸及び亜鉛華を添加して混合し、次いで、第2ステップで、加硫剤及び加硫促進剤を添加して混合することにより、ゴム組成物を得た。
【0036】
ここで、表1中の「赤色MB」は、温度変化により変色しない赤色顔料をゴムに配合したマスターバッチである。
【0037】
また、「感温変色材A」及び「感温変色材B」は、ともに、電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物と変色温度調整剤を含む感温変色成分を封入してなる感温変色性のマイクロカプセルであり、樹脂によりマスターバッチ化されていないパウダー状のマイクロカプセルそのものである。「感温変色材A」は30℃を設定温度として、これより低温で赤色、高温で無色となる顔料、「感温変色材B」は29℃を設定温度として、これより低温で赤色、高温で無色となる顔料である。
【0038】
また、「感温変色材C」は、感温変色材Bと同様のマイクロカプセルをPVC溶液に分散させたものである(色素含量は約10重量%)。
【0039】
得られた各ゴム組成物をサイドウォール部の一部として用いて、図1〜3に示す空気入りラジアルタイヤ(タイヤサイズ:175/80R13)を、常法に従い、加硫成形(160℃×25分間)により作製した。得られたタイヤについて変色テストを実施した。変色テストは、各タイヤを雰囲気温度20℃と40℃でそれぞれ1時間以上放置し、放置後における上記ゴム組成物からなるゴム部の色を目視にて確認した。
【0040】
その結果、表1に示すように、顔料を配合していない比較例1や、単なる赤色顔料を配合した比較例2では、温度の違いにより色の変化がおこらなかった。また、PVCでマスターバッチ化したマイクロカプセルを添加した比較例3では、ゴム成分に対する分散性が悪く、該マイクロカプセルが不均一に分散されていたため、ゴム組成物全体としての均一な発色が得られなかった。これに対し、実施例1及び実施例2の各タイヤでは、20℃放置時に赤色であったサイドウォール部の上記ゴム部が(図3(a)参照、グレー部分40が赤色であることを示す。)、40℃放置時には白色となっており(図3(b)参照)、温度変化による変色が確認され、また、赤色の発色も均一で見栄えのよいものであった。
【表1】

【0041】
以上のように、空気入りラジアルタイヤのサイドウォール部に感温変色性のマイクロカプセルを配合してなるゴム部材を設けたことにより、雰囲気温度や、走行によってサイドウォール部内に生じる発熱等の温度変化により変色させることができ、意匠的装飾効果を向上することができる。また、該マイクロカプセルの変色温度の設定によっては、異常発熱状態の視認も可能となり、タイヤの安全性を向上することも可能となる。更に、上記ゴム部材をタイヤ本体とともに加硫成形することで設置するので、タイヤの加硫成形後に別途取り付ける場合に比べて、加工性に優れるとともに、走行時の剥離などいった耐久性の問題も抑制される。しかも、耐熱性のある変色顔料を用いたことにより、タイヤの加硫成形後においても変色効果を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの半断面図である。
【図2】同空気入りタイヤの製造工程を示す要部拡大断面図である。
【図3】同空気入りタイヤの変色状態を示す斜視概念図である。
【図4】他の実施形態に係る空気入りタイヤの要部拡大側面図である。
【符号の説明】
【0043】
10…空気入りタイヤ
14…サイドウォール部
28…サイドウォールゴム
30…感温変色ゴム部
32…カバーゴム層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分と、非カーボンブラック系充填剤と、温度変化により可逆的に変色する感温変色成分を封入してなる感温変色性のマイクロカプセルとを含み、該マイクロカプセルをゴム成分に直接混合分散させて得られたゴム組成物を加硫成形してなるゴム部を備える空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記ゴム部がサイドウォール部の少なくとも一部を構成する請求項1記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記感温変色成分が、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、変色温度調整剤とを含むものである請求項1記載の空気入りタイヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−56785(P2008−56785A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234568(P2006−234568)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】