説明

空気入りタイヤ

【課題】軽量で、かつ操縦安定性に優れた空気入りタイヤの提供。
【解決手段】このタイヤは、トロイダル状の中子の外面において組み立てられ、モールドとこの中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱されることにより形成される。このタイヤは、トレッドの半径方向内側においてカーカスと積層されるベルト12を備えている。このベルト12は、並列された多数のスチールコード38とトッピングゴム40とを有している。このスチールコード38は、第一コード38aと、この第一コード38aの外径D1よりも小さな外径D2を有する第二コード38bとを含んでいる。この第二コード38bは、この第一コード38aに隣接している。このトッピングゴム40は、基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物が架橋されたものからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの製造方法では、フォーマーのドラム上で、トレッド、サイドウォール等の部材を多数組み合わせて、ローカバー(未架橋タイヤ)が得られる。このローカバーの成形工程では、ドラムが拡径され、ローカバーの形状が整えられる。
【0003】
この製造方法では、ローカバーはモールドに投入される。このとき、ブラダーはローカバーの内側に位置している。ブラダーにガスが充填されると、ブラダーは膨張する。これにより、ローカバーは変形する。モールドが締められ、ブラダーの内圧が高められる。ローカバーは、モールドとブラダーとに挟まれ加圧される。ローカバーは、ブラダー及びモールドからの熱伝導により、加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤが得られる。
【0004】
タイヤの性能は、これを構成する部材の特性を調整することにより制御される。操縦安定性の向上の観点から、タイヤの構成部材として、短繊維を含む部材が採用されることがある。
【0005】
上記短繊維を含む部材の採用例が、特開2004−130859公報に開示されている。この公報に記載のタイヤでは、短繊維を含む部材として短繊維補強ゴム層が用いられている。このタイヤでは、短繊維補強ゴム層はビードのエイペックスの軸方向外側に設けられている。
【0006】
タイヤの構成部材として、ベルトがある。このベルトは、トレッドの半径方向内側においてカーカスと積層している。ベルトは、内側層及び外側層からなる。
【0007】
図示されていないが、内側層及び外側層のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。
【0008】
乗用車用タイヤのベルトや、トラック用タイヤのベルトには、コードとして主にスチールコードが用いられている。スチールコードの引張強さは、大きい。スチールコードは、タイヤの操縦安定性に寄与しうる。複数のフィラメントからなる撚りコードが、ベルトに用いられている。
【0009】
軽量と操縦安定性との観点から、内側層及び外側層のそれぞれに含まれるコードが大きな外径を有する第一コードと小さな外径を有する第二コードとを含むように、ベルトが構成されることがある。このようなベルトを備えたタイヤが、特開2010−269677公報に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−130859公報
【特許文献2】特開2010−269677公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
地球環境保護の観点から、車両の低燃費化が指向されている。低燃費化の一環として、軽量なタイヤが望まれている。スチールコードは、有機繊維コードに比べて比重が大きい。タイヤの軽量の観点からは、スチールコードは不利である。
【0012】
1本のフィラメントからなるコード(いわゆる単線)は、質量が小さい。このコードは小径なので、このコードを含むベルトでは、厚みが小さく設定されうる。このコードを含むベルトは、軽い。このコードは、タイヤの軽量に寄与しうる。しかし、このコードの引張強さは、小さい。このコードを含むタイヤは、操縦安定性に劣る。
【0013】
上記特開2010−269677公報に記載のタイヤでは、操縦安定性の観点から、小さな外径を有する第二コードを大きな外径を有する第一コードに置き換えると、質量が増大してしまう。このタイヤのベルトでは、質量の増加を抑えつつ、操縦安定性のさらなる向上を図るには限界がある。
【0014】
前述したように、操縦安定性の向上の観点から、タイヤの構成部材として、短繊維を含む部材が採用されることがある。短繊維は、質量に与える影響は小さい。しかし、この短繊維を多く含む部材は伸びにくい。このため、タイヤを製造するとき、その形状を整えるシェーピングにおいて、ローカバーの変形にこの部材が追随できないことがある。加硫工程においては、ブラダーの膨張に伴うローカバーの変形にこの部材が追随できないことがある。ローカバーの変形を伴う製造方法では、短繊維を多く含む部材を採用することができないという問題がある。短繊維を含む部材により操縦安定性の向上を図るには限界がある。
【0015】
本発明の目的は、軽量で、かつ操縦安定性に優れた空気入りタイヤの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る空気入りタイヤは、トロイダル状の中子の外面において組み立てられ、モールドとこの中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱されることにより形成される。このタイヤは、その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及びサイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、上記トレッドの半径方向内側においてカーカスと積層されるベルトとを備えている。このベルトは、並列された多数のスチールコードとトッピングゴムとを有している。このスチールコードは、第一コードと、この第一コードの外径D1よりも小さな外径D2を有する第二コードとを含んでいる。この第二コードは、この第一コードに隣接している。このトッピングゴムは、基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物が架橋されたものからなる。
【0017】
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記トッピングゴムにおける短繊維の配合量は基材ゴム100質量部に対して10質量部以上60質量部以下である。
【0018】
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記トッピングゴムにおける短繊維が上記スチールコードの延在方向に配向している。
【0019】
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記第一コードは複数のフィラメントからなる。上記第二コードは、1本のフィラメントからなる。
【0020】
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記第一コードの外径D1に対する上記第二コードの外径D2の比は0.4以上0.8以下である。
【0021】
好ましくは、この空気入りタイヤでは、1つの第一コードとこの第一コードに最も近い他の第一コードとの間に、上記第二コードが存在していないか又は2本以下の第二コードが存在している。1つの第二コードとこの第二コードに最も近い他の第二コードとの間に、この第一コードが存在していないか又は2本以下の第一コードが存在している。
【0022】
本発明に係る空気入りタイヤの製造方法は、
(1)トロイダル状の中子の外面において、その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及びサイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、上記トレッドの半径方向内側においてカーカスと積層されるベルトとを備えており、このベルトが並列された多数のスチールコードとトッピングゴムとを有しており、このスチールコードが第一コードとこの第一コードの外径D1よりも小さな外径D2を有する第二コードとを含んでおり、この第二コードがこの第一コードに隣接しており、このトッピングゴムが基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物からなる、ローカバーが組み立てられる工程、
(2)このローカバーが、モールドに投入される工程
及び
(3)このローカバーが、このモールドと上記中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱される工程
を含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る空気入りタイヤでは、そのベルトのスチールコードが第一コードとこの第一コードの外径よりも小さな外径を有する第二コードとを含んでいる。このベルトでは、大きな外径を有する第一コードが操縦安定性に寄与し、小さな外径を有する第二コードが軽量に寄与している。そして、このベルトのトッピングゴムに含まれる短繊維がこのトッピングゴムの強度を効果的に高めている。しかもこのタイヤは中子を用いて製造されるので、このトッピングゴムは多くの短繊維を含むことができる。このベルトは、操縦安定性を飛躍的に向上しうる。しかも、短繊維が質量に与える影響は小さいので、このタイヤでは、質量の増加を抑えつつ、操縦安定性の向上が達成される。このタイヤは、軽量で、かつ操縦安定性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。
【図2】図2は、図1のタイヤのベルトの一部が示された分解斜視図である。
【図3】図3は、図2のベルトの第一コードが示された拡大断面図である。
【図4】図4は、図2のベルトの第二コードが示された拡大断面図である。
【図5】図5は、図4の第二コードが示された斜視図である。
【図6】図6は、図2のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】図7は、図6のトッピングゴムの短繊維が示された模式図である。
【図8】図8は、図1のタイヤの製造の様子が示された模式図である。
【図9】図9は、本発明の他の実施形態に係るタイヤの第一コードが示された断面図である。
【図10】図10は、本発明のさらに他の実施形態に係るタイヤの第一コードが示された断面図である。
【図11】図11は、本発明のさらに他の実施形態に係るタイヤの第一コードが示された断面図である。
【図12】図12は、本発明のさらに他の実施形態に係るタイヤのベルトの一部が示された分解斜視図である。
【図13】図13は、本発明のさらに他の実施形態に係るタイヤのベルトの一部が示された分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0026】
図1には、空気入りタイヤ2が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
【0027】
このタイヤ2は、トレッド4、サイドウォール6、ビード8、カーカス10、ベルト12、インナーライナー14、クッション層16及びチェーファー18を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。
【0028】
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4の外面は、路面と接地するトレッド面20を形成する。トレッド面20には、溝22が刻まれている。この溝22により、トレッドパターンが形成されている。図示されていないが、トレッド4は通常、ベース層とキャップ層とを有している。キャップ層は、ベース層の半径方向外側に位置している。キャップ層は、ベース層に積層されている。ベース層は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。ベース層の典型的な基材ゴムは、天然ゴムである。キャップ層は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
【0029】
サイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6は、その半径方向外側端において、トレッド4と接合されている。このサイドウォール6は、耐カット性及び耐光性に優れた架橋ゴムからなる。このサイドウォール6は、カーカス10の損傷を防止する。
【0030】
ビード8は、サイドウォール6よりも半径方向略内側に位置している。このタイヤ2では、ビード8は、第一パート24aと、第二パート24bとから構成されている。このタイヤ2では、軸方向において、第一パート24aはカーカス10の内側に位置している。軸方向において、第二パート24bはカーカス10の外側に位置している。
【0031】
第一パート24aは、第一コア26aと、この第一コア26aから半径方向外向きに延びる第一エイペックス28aとを備えている。第一コア26aはリング状であり、巻回された非伸縮性の第一ワイヤー30aを含む。このタイヤ2では、第一コア26aは第一ワイヤー30aが周方向に沿って渦巻き状に巻き回されることにより形成されている。第一ワイヤー30aの典型的な材質は、スチールである。第一エイペックス28aは、半径方向外向きに先細りである。第一エイペックス28aは、高硬度な架橋ゴムからなる。
【0032】
第二パート24bは、第二コア26bと、この第二コア26bから半径方向外向きに延びる第二エイペックス28bとを備えている。第二コア26bはリング状であり、巻回された非伸縮性の第二ワイヤー30bを含む。このタイヤ2では、第二コア26bは第二ワイヤー30bが周方向に沿って渦巻き状に巻き回されることにより形成されている。第二ワイヤー30bの典型的な材質は、スチールである。第二エイペックス28bは、半径方向外向きに先細りである。第二エイペックス28bは、高硬度な架橋ゴムからなる。
【0033】
カーカス10は、カーカスプライ32からなる。カーカスプライ32は、両側のビード8の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6の内側に沿っている。このタイヤ2では、カーカスプライ32の端はビード8の第一パート24aとその第二パート24bとの間に挟まれている。
【0034】
図示されていないが、カーカスプライ32は並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、45°から90°、さらには75°から90°である。換言すれば、このカーカス10はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。カーカス10が、2枚以上のカーカスプライ32から形成されてもよい。
【0035】
ベルト12は、カーカス10の半径方向外側に位置している。ベルト12は、トレッド4の半径方向内側においてカーカス10と積層されている。ベルト12は、カーカス10を補強する。ベルト12は、内側層34及び外側層36からなる。図1から明らかなように、軸方向において、内側層34の幅は外側層36の幅よりも若干大きい。
【0036】
図2は、図1のタイヤ2のベルト12の一部が示された分解斜視図である。図2において、矢印Xは軸方向を表し、矢印Yは半径方向を表し、矢印Zは周方向を表している。図2に示されるように、内側層34及び外側層36のそれぞれは、並列された多数のコード38とトッピングゴム40とからなる。各コード38は、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、10°以上35°以下である。内側層34のコード38の傾斜方向は、外側層36のコード38の傾斜方向とは逆である。このベルト12は、「カットベルト」と称されている。このベルト12のコード38は、スチールコードである。
【0037】
内側層34は、多数の第一コード38aと、多数の第二コード38bとを含んでいる。内側層34において、第一コード38aと第二コード38bとは、交互に配置されている。第二コード38bは、第一コード38aと隣接している。
【0038】
軽量と操縦安定性との両立の観点から、このタイヤ2の内側層34では、1つの第一コード38aとこの第一コード38aに最も近い他の第一コード38aとの間に、上記第二コード38bが存在していないか又は2本以下の第二コード38bが存在しているのが好ましい。図示されているように、このタイヤ2では、1つの第一コード38aとこの第一コード38aに最も近い他の第一コード38aとの間に、1本の第二コード38bが存在している。
【0039】
軽量と操縦安定性との両立の観点から、このタイヤ2の内側層34では、1つの第二コード38bとこの第二コード38bに最も近い他の第二コード38bとの間に、この第一コード38aが存在していないか又は2本以下の第一コード38aが存在しているのが好ましい。図示されているように、このタイヤ2では、1つの第二コード38bとこの第二コード38bに最も近い他の第二コード38bとの間に、1本の第一コード38aが存在している。
【0040】
外側層36も、多数の第一コード38aと、多数の第二コード38bとを含んでいる。外側層36において、第一コード38aと第二コード38bとは、交互に配置されている。第二コード38bは、第一コード38aと隣接している。
【0041】
軽量と操縦安定性との両立の観点から、このタイヤ2の外側層36では、1つの第一コード38aとこの第一コード38aに最も近い他の第一コード38aとの間に、上記第二コード38bが存在していないか又は2本以下の第二コード38bが存在しているのが好ましい。図示されているように、このタイヤ2では、1つの第一コード38aとこの第一コード38aに最も近い他の第一コード38aとの間に、1本の第二コード38bが存在している。
【0042】
軽量と操縦安定性との両立の観点から、このタイヤ2の外側層36では、1つの第二コード38bとこの第二コード38bに最も近い他の第二コード38bとの間に、この第一コード38aが存在していないか又は2本以下の第一コード38aが存在しているのが好ましい。図示されているように、このタイヤ2では、1つの第二コード38bとこの第二コード38bに最も近い他の第二コード38bとの間に、1本の第一コード38aが存在している。
【0043】
内側層34におけるコード38のパターンは、外側層36におけるコード38のパターンと同等である。内側層34の剛性は、外側層36の剛性とほぼ等しい。この内側層34及び外側層36により、優れた操縦安定性、乗り心地及び耐久性が達成されうる。
【0044】
図3は、図2のベルト12の第一コード38aが示された拡大断面図である。この第一コード38aは、4本のフィラメント42からなる。具体的には、第一コード38aは、2本のコアフィラメント42cと2本のシースフィラメント42sとからなる。それぞれのフィラメント42の材質は、スチールである。2本のコアフィラメント42cが撚られることで、コア44が形成されている。それぞれのシースフィラメント42sは、コア44の周りを巻かれている。この第一コード38aは、いわゆる層撚りタイプである。この第一コード38aは、「2+2構造」を有する。図2では、フィラメント42の図示が省略されている。
【0045】
図4は、図2のベルト12の第二コード38bが示された拡大断面図である。この第二コード38bは、1本のフィラメント46からなる。このフィラメント46の材質は、スチールである。第二コード38bは、いわゆる単線である。第二コード38bは、「1×1構造」を有する。図2から明らかなように、第二コード38bの外径は、第一コード38aの外径よりも小さい。第二コード38bの質量は、第一コード38aのそれよりも小さい。
【0046】
このベルト12では、コード38の総数に対する第一コード38aの本数の比率は、ほぼ50%である。このベルト12では、コード38の総数に対する第二コード38bの本数の比率は、ほぼ50%である。このタイヤ2は、第一コード38aによって発揮される特性と、第二コード38bによって発揮される特性とを併せ持つ。
【0047】
前述の通り第一コード38aは層撚りタイプなので、この第一コード38aの引張強さは大きい。この第一コード38aにより、タイヤ2の操縦安定性が達成される。第二コード38bは単線なので、この第二コード38bは軽量である。この第二コード38bにより、タイヤ2の軽量が達成される。このタイヤ2により、車両の低燃費が達成される。第二コード38bはさらに、乗り心地にも寄与する。
【0048】
もしベルト12の第一コード38aのみが用いられる場合、このタイヤ2の質量は大きい。もしベルト12に第二コード38bのみが用いられる場合、このタイヤ2は操縦安定性に劣る。本発明に係るタイヤ2では、第一コード38a及び第二コード38bにより、軽量と操縦安定性とが両立される。
【0049】
軽量と操縦安定性との両立の観点から、内側層34において、第一コード38aの本数N1と第二コード38bの本数N2との比(N1/N2)は20/80以上80/20以下が好ましく、25/75以上75/25以下がより好ましく、33/67以上67/33以下が特に好ましい。
【0050】
軽量と操縦安定性との両立の観点から、外側層36において、第一コード38aの本数N1と第二コード38bの本数N2との比(N1/N2)は20/80以上80/20以下が好ましく、25/75以上75/25以下がより好ましく、33/67以上67/33以下が特に好ましい。
【0051】
操縦安定性の観点から、第一コード38aのそれぞれのフィラメント42の直径は0.15mm以上が好ましく、0.20mm以上が特に好ましい。タイヤ2の軽量の観点から、第一コード38aのそれぞれのフィラメント42の直径は0.31mm以下が好ましく、0.26mm以下が特に好ましい。
【0052】
操縦安定性の観点から、第二コード38bのフィラメント42の直径は0.20mm以上が好ましく、0.25mm以上が特に好ましい。タイヤ2の軽量の観点から、第二コード38bのフィラメント42の直径は0.50mm以下が好ましく、0.45mm以下が特に好ましい。
【0053】
操縦安定性の観点から、内側層34におけるコード38の密度は25エンズ/5cm以上が好ましく、30エンズ/5cm以上が特に好ましい。タイヤ2の軽量の観点から、内側層34におけるコード38の密度は50エンズ/5cm以下が好ましく、45エンズ/5cm以下が特に好ましい。
【0054】
操縦安定性の観点から、外側層36におけるコード38の密度は25エンズ/5cm以上が好ましく、30エンズ/5cm以上が特に好ましい。タイヤ2の軽量の観点から、外側層36におけるコード38の密度は50エンズ/5cm以下が好ましく、45エンズ/5cm以下が特に好ましい。
【0055】
図5は、図4の第二コード38bが示された斜視図である。第二コード38bはスパイラル形状を有する。このスパイラル形状は、素線が捻られることで得られる。この第二コード38bは、操縦安定性に寄与する。図5において矢印Pで示されているのは、スパイラルピッチである。操縦安定性の観点から、スパイラルピッチPは20mm以下が好ましく、15mm以下が特に好ましい。製作容易の観点から、スパイラルピッチPは5mm以上が好ましい。
【0056】
このタイヤ2のベルト12では、内側層34のトッピングゴム40はゴム組成物が架橋されたものからなる。外側層36のトッピングゴム40もゴム組成物が架橋されたものからなる。このタイヤ2では通常、外側層36のトッピングゴム40には内側層34のトッピングゴム40のゴム組成物と同じゴム組成物が用いられる。この外側層36のトッピングゴム40に、内側層34のトッピングゴム40のゴム組成物と異なるゴム組成物が用いられてもよい。
【0057】
このタイヤ2では、トッピングゴム40のゴム組成物は、基材ゴムを含む。この基材ゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリクロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びイソブチレン−イソプレン共重合体が例示される。2種以上のゴムが併用されてもよい。
【0058】
トッピングゴム40のゴム組成物は、短繊維をさらに含む。短繊維は、トッピングゴム40の強度に寄与しうる。この短繊維としては、有機繊維が例示される。有機繊維としては、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びポリエステル繊維が例示される。質量の軽量化及び低コスト化の観点から、この短繊維として、クラフト紙及び新聞古紙からなる原料紙が細片化されて叩解されることにより得られる紙繊維が用いられてもよい。
【0059】
このタイヤ2では、トッピングゴム40に含まれる短繊維の配合量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上が好ましい。これにより、トッピングゴム40が適度な強度を有する。このトッピングゴム40は、タイヤ2の操縦安定性に寄与しうる。この観点から、この短繊維の配合量は、25質量部以上がより好ましく、30質量部以上がさらに好ましく、30質量部よりも多いのが特に好ましい。
【0060】
このタイヤ2では、短繊維の配合量は基材ゴム100質量部に対して60質量部以下が好ましい。これにより、コード38とトッピングゴム40とが十分に接着されうる。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この観点から、この短繊維の配合量は45質量部以下がより好ましい。
【0061】
好ましくは、トッピングゴム40のゴム組成物は、硫黄を含む。硫黄により、ゴム分子同士が架橋される。硫黄と共に、又は硫黄に代えて、他の架橋剤が用いられてもよい。電子線によって架橋がなされてもよい。
【0062】
好ましくは、トッピングゴム40のゴム組成物は、硫黄と共に加硫促進剤を含む。スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤等が、用いられうる。
【0063】
トッピングゴム40のゴム組成物は、補強材を含む。典型的な補強材は、カーボンブラックである。FEF、GPF、HAF、ISAF、SAF等が用いられうる。トッピングゴム40の強度の観点から、カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して5質量部以上が好ましい。トッピングゴム40の軟質の観点から、カーボンブラックの量は50質量部以下が好ましい。カーボンブラックと共に、又はカーボンブラックに代えて、シリカが用いられてもよい。乾式シリカ及び湿式シリカが用いられうる。
【0064】
トッピングゴム40のゴム組成物は、軟化剤を含む。好ましい軟化剤として、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイルが例示される。トッピングゴム40の軟質の観点から、軟化剤の量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上が好ましい。トッピングゴム40の強度の観点から、軟化剤の量は40質量部以下が好ましい。
【0065】
トッピングゴム40のゴム組成物には、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、架橋助剤等が、必要に応じ添加される。
【0066】
図6、図2のVI−VI線に沿った断面図である。この図6には、ベルト12におけるトッピングゴム40の周方向に沿った断面が示されている。この図6において、上下方向が周方向であり、矢印Aで示されている方向がコード38の延在方向である。なお、この図6には、コード38は示されていない。
【0067】
図示されているように、トッピングゴム40は、多数の短繊維48と、マトリクス50とで構成されている。換言すれば、このトッピングゴム40は繊維補強ゴム(FRR)からなる。これら短繊維48は、マトリクス50に分散している。これら短繊維48の長手方向は、コード38の延在方向に略沿っている。このトッピングゴム40において、短繊維48はコード38の延在方向に配向している。この短繊維48は、トッピングゴム40の強度を効果的に高める。このトッピングゴム40は、操縦安定性に寄与しうる。
【0068】
図7は、図6のトッピングゴム40の短繊維48が示された模式図である。矢印θで示されているのは、短繊維48の角度である。角度θは、直線X1と直線X2とのなす角度の絶対値である。直線X1は、コード38の延在方向に延びている。直線X2は、短繊維48の一端52a及び他端52bを通過している。この角度θは、短繊維48の長手方向がコード38の延在方向に対してなす角度である。角度θは、0°以上90°以下である。なお、図7中、両矢印Lfで示されているのが繊維長である。この繊維長Lfは、一端52aから他端52bまでの長さが計測されることにより得られる。
【0069】
トッピングゴム40が操縦安定性に効果的に寄与しうるとの観点から、角度θが20°以下である短繊維48の数の、短繊維48の総数に対する比率は、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。比率の算出においては、トッピングゴム40の、周方向に沿った断面に露出した短繊維48の角度が、測定される。無作為に抽出された100本の短繊維48について、角度の測定がなされる。なお、角度θが20°以下である短繊維48の数の、短繊維48の総数に対する比率が90%以上である場合が、短繊維48がコード38の延在方向に配向している状態である。
【0070】
このタイヤ2では、短繊維48が効果的にトッピングゴム40の強度を高めるという観点から、短繊維48の平均長さLf(図7参照)は、20μm以上が好ましい。平均長さLfが20μm以上である短繊維48により、このトッピングゴム40が十分に補強される。マトリクス50への分散性の観点から、平均長さLfは5000μm以下が好ましい。
【0071】
短繊維48の平均直径Dfは、0.04μm以上が好ましい。平均直径Dfが0.04μm以上である短繊維48により、トッピングゴム40の強度が十分に高められる。マトリクス50への分散性の観点から、平均直径Dfは500μm以下が好ましい。
【0072】
短繊維48のアスペクト比(Lf/Df)は、10以上が好ましい。アスペクト比(Lf/Df)が10以上である短繊維48により、トッピングゴム40の強度が十分に高められる。マトリクス50への分散性の観点から、アスペクト比(Lf/Df)は500以下が好ましい。
【0073】
このタイヤ2では、そのベルト12のスチールコード38が第一コード38aとこの第一コード38aの外径よりも小さな外径を有する第二コード38bとを含んでいる。このベルト12では、大きな外径を有する第一コード38aが操縦安定性に寄与し、小さな外径を有する第二コード38bが軽量に寄与している。そして、このベルト12のトッピングゴム40に含まれる短繊維48がこのトッピングゴム40の強度を効果的に高めているので、このタイヤ2のベルト12は操縦安定性を飛躍的に向上しうる。しかも、この短繊維48が質量に与える影響は小さいので、このタイヤ2では、質量の増加を抑えつつ、操縦安定性の向上が達成される。このタイヤ2は、軽量で、かつ操縦安定性に優れる。
【0074】
図2に示されているように、このタイヤ2では、外径の小さな第二コード38bを覆うトッピングゴム40の量は、外径の大きな第一コード38aを覆うトッピングゴム40の量よりも多い。前述したように、トッピングゴム40は短繊維48を含んでいる。このタイヤ2では、外径の小さな第二コード38bを覆うトッピングゴム40において短繊維48による効果が主に発揮されうる。このタイヤ2では、短繊維48による効果を得るために、ベルト12全体の厚みを大きくする必要はない。このタイヤ2では、質量の増加を抑えつつ、操縦安定性の向上が達成されうる。
【0075】
図3において、両矢印D1は第一コード38aの外径を表している。図4において、両矢印D2は第二コード38bの外径を表している。
【0076】
このタイヤ2では、第一コード38aの外径D1に対する第二コード38bの外径D2の比は0.4以上0.8以下が好ましい。この比が0.4以上に設定されることにより、両コード38の剛性差に起因して生じる損傷が抑えられる。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この観点から、この比は0.55以上がより好ましい。この比が0.8以下に設定されることにより、トッピングゴム40に含まれる短繊維48の効果が十分に発揮されうる。このタイヤ2では、軽量と操縦安定性とが両立される。この観点から、この比は0.65以下がより好ましい。
【0077】
以上説明されたタイヤ2は、次のようにして製造される。この製造方法では、中子が準備される。図示されていないが、この中子はトロイダル状の外面を備えている。この外面は、空気が充填されその内圧が正規内圧の5%に保持された状態にあるタイヤ2の内面形状に近似されている。
【0078】
この製造方法では、中子の外面にインナーライナー14が巻かれる。インナーライナー14の端に、ビード8の一部をなす第一パート24aが組み合わされる。第一パート24a及びインナーライナー14が組み合わされたものの外側に、カーカスプライ32が形成される。このカーカスプライ32の端に、ビード8の他の一部をなす第二パート24bが組み合わされる。
【0079】
この製造方法では、ベルト12のトッピングゴム40をなすゴム組成物がコード38とともに押し出され、この押し出されたものが所定長さで切断されることにより、多数の短冊が形成される。図示されていないが、この短冊においては、トッピングゴム40に含まれる短繊維48は押出方向に配向している。コード38の延在方向は押出方向に一致するので、この短冊における短繊維48はコード38の延在方向に配向している。
【0080】
図示されていないが、この製造方法では、タイヤ2のトレッド4の半径方向内側に相当する部分において、短冊が他の短冊と接合されつつカーカスプライ32に積層される。これにより、内側層34が形成される。この内側層34に、短冊が他の短冊と接合されつつ積層される。これにより、外側層36が形成される。この製造方法では、外側層36をなす短冊は、これに含まれるコード38の傾斜方向が内側層34のコード38の傾斜方向とは逆となるように積層される。
【0081】
この製造方法では、内側層34及び外側層36が形成されると、サイドウォール6、トレッド4等がさらに組み合わされ、ローカバー(未架橋タイヤ)が得られる。この製造方法では、ローカバーが組み立てられる工程は成形工程と称される。
【0082】
この製造方法では、中子の外面においてベルト12をはじめとする多数の要素が組み合わされてローカバーが得られる。前述したように、この中子の外面は、空気が充填されその内圧が正規内圧の5%に保持された状態にあるタイヤ2の内面形状に近似されている。この製造方法では、従来の製造方法のようなローカバーのシェーピングは不要である。この製造方法では、成形工程においてローカバーは引き延ばされない。
【0083】
ローカバーは、開かれたモールドに投入される。この製造方法では、ローカバーは中子に組み合わされた状態でモールドに投入される。したがって、モールドに投入されたローカバーの内側には、中子が位置している。
【0084】
この製造方法では、モールドが締められると、ローカバーはモールドのキャビティ面と中子の外面とに挟まれて加圧される。この状態が、図8に示されている。
【0085】
この製造方法では、ローカバー(図8中の符号R)は、中子(図8中の符号N)及びモールド(図8中の符号M)からの熱伝導により、加熱される。加圧と加熱とにより、ローカバーRをなす各要素のゴム組成物が流動する。加熱によりゴム組成物が架橋反応を起こし、図1に示されたタイヤ2が得られる。このタイヤ2は、ローカバーRをモールドMと中子Nとの間に形成されたキャビティ(図8中の符号C)内で加圧及び加熱することにより形成される。この製造方法では、ローカバーRが加圧及び加熱される工程は架橋工程と称される。
【0086】
前述したように、この製造方法では、ローカバーRは中子Nに組み合わされた状態でモールドMに投入され、モールドMのキャビティ面(図8中の符号CS)と中子Nの外面(図8中の符号NS)とに挟まれて加圧及び加熱される。この製造方法では、従来の製造方法で使用されるブラダーは不要である。この製造方法では、架橋工程においてローカバーは引き延ばされない。
【0087】
この製造方法では、ベルト12のトッピングゴム40は、短繊維48を含むゴム組成物からなる要素をモールドMと中子Nとの間に形成されたキャビティC内で加圧及び加熱されることにより形成される。前述したように、この製造方法では、成形工程においてローカバーRをなす各要素は引き延ばされない。架橋工程においても、ローカバーRをなす各要素は引き延ばされない。このため、この製造方法では、引っ張ると伸びずに破断してしまう程度に多量の短繊維48がトッピングゴム40のゴム組成物に配合されても、ローカバーRは成形されうる。そして、このローカバーRからタイヤ2が得られる。この製造方法によれば、多量の短繊維48を含有するトッピングゴム40を含むベルト12を備えたタイヤ2が高品質にしかも安定に生産されうる。しかも、このベルト12は操縦安定性に寄与しうる。本発明によれば、軽量で、かつ操縦安定性に優れたタイヤ2が得られうる。
【0088】
本発明では、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用タイヤ2の場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。後述するタイヤ2も、同様である。
【0089】
本発明では、タイヤの各部材の寸法及び角度は、タイヤが正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤに空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤには荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤが依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤが依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用タイヤの場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。後述するタイヤも、同様である。
【0090】
図9は、本発明の他の実施形態に係るタイヤの第一コード54が示された断面図である。このタイヤの、第一コード54以外の構成は、図1及び2に示されたタイヤ2のそれと同等である。従って、このタイヤの内側層及び外側層は、それぞれ、図9に示された第一コード54と、図4に示された第二コード38bとを含んでいる。
【0091】
図9に示された第一コード54は、3本のフィラメント56からなる。具体的には、第一コード54は、1本のコアフィラメント56cと2本のシースフィラメント56sとからなる。それぞれのフィラメント56の材質は、スチールである。それぞれのシースフィラメント56sは、コアフィラメント56cの周りを巻かれている。この第一コード54は、いわゆる層撚りタイプである。この第一コード54は、「1+2構造」を有する。
【0092】
前述の通り第一コード54は層撚りタイプなので、この第一コード54の引張強さは大きい。この第一コード54により、タイヤの操縦安定性が達成される。第二コード38b(図4参照)は単線なので、この第二コード38bは軽量である。この第二コード38bにより、タイヤの軽量が達成される。このタイヤにより、車両の低燃費が達成される。第二コード38bはさらに、乗り心地にも寄与する。
【0093】
操縦安定性の観点から、第一コード54のそれぞれのフィラメント56の直径は0.17mm以上が好ましく、0.22mm以上が特に好ましい。タイヤの軽量の観点から、第一コード54のそれぞれのフィラメント56の直径は0.33mm以下が好ましく、0.28mm以下が特に好ましい。
【0094】
このタイヤでは、内側層及び外側層は、それぞれ、トッピングゴムを含んでいる。このトッピングゴムは、図1に示されたタイヤ2のベルト12の一部をなすトッピングゴム40と同等である。このトッピングゴムは、基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物が架橋されたものからなる。
【0095】
このタイヤでは、そのベルトが第一コード54とこの第一コード54の外径よりも小さな外径を有する第二コード38bとを含んでいる。このベルトでは、大きな外径を有する第一コード54が操縦安定性に寄与し、小さな外径を有する第二コード38bが軽量に寄与している。そして、このベルトのトッピングゴムに含まれる短繊維がこのトッピングゴムの強度を効果的に高めているので、このタイヤのベルトは操縦安定性を飛躍的に向上しうる。しかも、この短繊維が質量に与える影響は小さいので、このタイヤでは、質量の増加を抑えつつ、操縦安定性の向上が達成される。このタイヤは、軽量で、かつ操縦安定性に優れる。
【0096】
図示されていないが、このタイヤでは、外径の小さな第二コード38bを覆うトッピングゴムの量は、外径の大きな第一コード54を覆うトッピングゴムの量よりも多い。前述したように、トッピングゴムは短繊維を含んでいる。このタイヤでは、外径の小さな第二コード38bを覆うトッピングゴムにおいて短繊維による効果が主に発揮されうる。このタイヤでは、短繊維による効果を得るために、ベルト全体の厚みを大きくする必要はない。このタイヤでは、質量の増加を抑えつつ、操縦安定性の向上が達成されうる。
【0097】
図9において、両矢印D1は第一コード54の外径を表している。図4に示されているように、第二コード38bは外径D2を有している。
【0098】
このタイヤでは、第一コード54の外径D1に対する第二コード38bの外径D2の比は0.4以上0.8以下が好ましい。この比が0.4以上に設定されることにより、両コード38の剛性差に起因して生じる損傷が抑えられる。このタイヤは、耐久性に優れる。この観点から、この比は0.55以上がより好ましい。この比が0.8以下に設定されることにより、トッピングゴムに含まれる短繊維の効果が十分に発揮されうる。このタイヤでは、軽量と操縦安定性とが両立される。この観点から、この比は0.65以下がより好ましい。
【0099】
図示されていないが、ベルトのトッピングゴムは、短繊維を含むゴム組成物からなる要素をモールドと中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱されることにより形成される。このタイヤの製造方法では、図1に示されたタイヤ2の製造方法と同様、その成形工程においてローカバーをなす各要素は引き延ばされない。架橋工程においても、ローカバーをなす各要素は引き延ばされない。このため、この製造方法では、引っ張ると伸びずに破断してしまう程度に多量の短繊維がトッピングゴムのゴム組成物に配合されても、ローカバーは成形されうる。そして、このローカバーからタイヤが得られる。この製造方法によれば、多量の短繊維を含有するトッピングゴムを含むベルトを備えたタイヤが高品質にしかも安定に生産されうる。しかも、このベルトは操縦安定性に寄与しうる。本発明によれば、軽量で、かつ操縦安定性に優れたタイヤが得られうる。
【0100】
図10は、本発明のさらに他の実施形態に係るタイヤの第一コード58が示された断面図である。このタイヤの、第一コード58以外の構成は、図1及び2に示されたタイヤ2のそれと同等である。従って、このタイヤの内側層及び外側層は、それぞれ、図10に示された第一コード58と、図4に示された第二コード38bとを含んでいる。
【0101】
図10に示された第一コード58は、4本のフィラメント60からなる。それぞれのフィラメント60の材質は、スチールである。これらフィラメント60が、撚られている。この第一コード58は、いわゆる単撚りタイプである。この第一コード58は、「1×4構造」を有する。
【0102】
前述の通り第一コード58は撚りタイプなので、この第一コード58の引張強さは大きい。この第一コード58により、タイヤの操縦安定性が達成される。第二コード38b(図4参照)は単線なので、この第二コード38bは軽量である。この第二コード38bにより、タイヤの軽量が達成される。このタイヤにより、車両の低燃費が達成される。第二コード38bはさらに、乗り心地にも寄与する。
【0103】
操縦安定性の観点から、第一コード58のそれぞれのフィラメント60の直径は0.19mm以上が好ましく、0.24mm以上が特に好ましい。タイヤの軽量の観点から、第一コード58のそれぞれのフィラメント60の直径は0.35mm以下が好ましく、0.30mm以下が特に好ましい。
【0104】
このタイヤでは、内側層及び外側層は、それぞれ、トッピングゴムを含んでいる。このトッピングゴムは、図1に示されたタイヤ2のベルト12の一部をなすトッピングゴム40と同等である。このトッピングゴムは、基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物が架橋されたものからなる。
【0105】
このタイヤでは、そのベルトが第一コード58とこの第一コード58の外径よりも小さな外径を有する第二コード38bとを含んでいる。このベルトでは、大きな外径を有する第一コード58が操縦安定性に寄与し、小さな外径を有する第二コード38bが軽量に寄与している。そして、このベルトのトッピングゴムに含まれる短繊維がこのトッピングゴムの強度を効果的に高めているので、このタイヤのベルトは操縦安定性を飛躍的に向上しうる。しかも、この短繊維が質量に与える影響は小さいので、このタイヤでは、質量の増加を抑えつつ、操縦安定性の向上が達成される。このタイヤは、軽量で、かつ操縦安定性に優れる。
【0106】
図示されていないが、このタイヤでは、外径の小さな第二コード38bを覆うトッピングゴムの量は、外径の大きな第一コード58を覆うトッピングゴムの量よりも多い。前述したように、トッピングゴムは短繊維を含んでいる。このタイヤでは、外径の小さな第二コード38bを覆うトッピングゴムにおいて短繊維による効果が主に発揮されうる。このタイヤでは、短繊維による効果を得るために、ベルト全体の厚みを大きくする必要はない。このタイヤでは、質量の増加を抑えつつ、操縦安定性の向上が達成されうる。
【0107】
図10において、両矢印D1は第一コード58の外径を表している。図4に示されているように、第二コード38bは外径D2を有している。
【0108】
このタイヤでは、第一コード58の外径D1に対する第二コード38bの外径D2の比は0.4以上0.8以下が好ましい。この比が0.4以上に設定されることにより、両コード38の剛性差に起因して生じる損傷が抑えられる。このタイヤは、耐久性に優れる。この観点から、この比は0.55以上がより好ましい。この比が0.8以下に設定されることにより、トッピングゴムに含まれる短繊維の効果が十分に発揮されうる。このタイヤでは、軽量と操縦安定性とが両立される。この観点から、この比は0.65以下がより好ましい。
【0109】
図示されていないが、ベルトのトッピングゴムは、短繊維を含むゴム組成物からなる要素をモールドと中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱されることにより形成される。このタイヤの製造方法では、図1に示されたタイヤ2の製造方法と同様、その成形工程においてローカバーをなす各要素は引き延ばされない。架橋工程においても、ローカバーをなす各要素は引き延ばされない。このため、この製造方法では、引っ張ると伸びずに破断してしまう程度に多量の短繊維がトッピングゴムのゴム組成物に配合されても、ローカバーは成形されうる。そして、このローカバーからタイヤが得られる。この製造方法によれば、多量の短繊維を含有するトッピングゴムを含むベルトを備えたタイヤが高品質にしかも安定に生産されうる。しかも、このベルトは操縦安定性に寄与しうる。本発明によれば、軽量で、かつ操縦安定性に優れたタイヤが得られうる。
【0110】
図11は、本発明のさらに他の実施形態に係るタイヤの第一コード62が示された断面図である。このタイヤの、第一コード62以外の構成は、図1及び2に示されたタイヤ2のそれと同等である。従って、このタイヤの内側層及び外側層は、それぞれ、図11に示された第一コード62と、図4に示された第二コード38bとを含んでいる。
【0111】
図11に示された第一コード62は、3本のフィラメント64からなる。それぞれのフィラメント64の材質は、スチールである。これらフィラメント64が、撚られている。この第一コード62は、いわゆる単撚りタイプである。この第一コード62は、「1×3構造」を有する。
【0112】
前述の通り第一コード62は撚りタイプなので、この第一コード62の引張強さは大きい。この第一コード62により、タイヤの操縦安定性が達成される。第二コード38b(図4参照)は単線なので、この第二コード38bは軽量である。この第二コード38bにより、タイヤの軽量が達成される。このタイヤにより、車両の低燃費が達成される。第二コード38bはさらに、乗り心地にも寄与する。
【0113】
操縦安定性の観点から、第一コード62のそれぞれのフィラメント64の直径は0.19mm以上が好ましく、0.24mm以上が特に好ましい。タイヤの軽量の観点から、第一コード62のそれぞれのフィラメント64の直径は0.35mm以下が好ましく、0.30mm以下が特に好ましい。
【0114】
このタイヤでは、内側層及び外側層は、それぞれ、トッピングゴムを含んでいる。このトッピングゴムは、図1に示されたタイヤ2のベルト12の一部をなすトッピングゴム40と同等である。このトッピングゴムは、基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物が架橋されたものからなる。
【0115】
このタイヤでは、そのベルトが第一コード62とこの第一コード62の外径よりも小さな外径を有する第二コード38bとを含んでいる。このベルトでは、大きな外径を有する第一コード62が操縦安定性に寄与し、小さな外径を有する第二コード38bが軽量に寄与している。そして、このベルトのトッピングゴムに含まれる短繊維がこのトッピングゴムの強度を効果的に高めているので、このタイヤのベルトは操縦安定性を飛躍的に向上しうる。しかも、この短繊維が質量に与える影響は小さいので、このタイヤでは、質量の増加を抑えつつ、操縦安定性の向上が達成される。このタイヤは、軽量で、かつ操縦安定性に優れる。
【0116】
図示されていないが、このタイヤでは、外径の小さな第二コード38bを覆うトッピングゴムの量は、外径の大きな第一コード62を覆うトッピングゴムの量よりも多い。前述したように、トッピングゴムは短繊維を含んでいる。このタイヤでは、外径の小さな第二コード38bを覆うトッピングゴムにおいて短繊維による効果が主に発揮されうる。このタイヤでは、短繊維による効果を得るために、ベルト全体の厚みを大きくする必要はない。このタイヤでは、質量の増加を抑えつつ、操縦安定性の向上が達成されうる。
【0117】
図11において、両矢印D1は第一コード62の外径を表している。図4に示されているように、第二コード38bは外径D2を有している。
【0118】
このタイヤでは、第一コード62の外径D1に対する第二コード38bの外径D2の比は0.4以上0.8以下が好ましい。この比が0.4以上に設定されることにより、両コード38の剛性差に起因して生じる損傷が抑えられる。このタイヤは、耐久性に優れる。この観点から、この比は0.55以上がより好ましい。この比が0.8以下に設定されることにより、トッピングゴムに含まれる短繊維の効果が十分に発揮されうる。このタイヤでは、軽量と操縦安定性とが両立される。この観点から、この比は0.65以下がより好ましい。
【0119】
図示されていないが、ベルトのトッピングゴムは、短繊維を含むゴム組成物からなる要素をモールドと中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱されることにより形成される。このタイヤの製造方法では、図1に示されたタイヤ2の製造方法と同様、その成形工程においてローカバーをなす各要素は引き延ばされない。架橋工程においても、ローカバーをなす各要素は引き延ばされない。このため、この製造方法では、引っ張ると伸びずに破断してしまう程度に多量の短繊維がトッピングゴムのゴム組成物に配合されても、ローカバーは成形されうる。そして、このローカバーからタイヤが得られる。この製造方法によれば、多量の短繊維を含有するトッピングゴムを含むベルトを備えたタイヤが高品質にしかも安定に生産されうる。しかも、このベルトは操縦安定性に寄与しうる。本発明によれば、軽量で、かつ操縦安定性に優れたタイヤが得られうる。
【0120】
図12は、本発明のさらに他の実施形態に係るタイヤのベルト66の一部が示された分解斜視図である。このタイヤのベルト66以外の構成は、図1に示されたタイヤ2のそれと同等である。このベルト66は、内側層68及び外側層70からなる。内側層68及び外側層70のそれぞれは、並列された多数のコード72とトッピングゴム74とからなる。各コード72は、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、10°以上35°以下である。内側層68のコード72の傾斜方向は、外側層70のコード72の傾斜方向とは逆である。
【0121】
内側層68は、多数の第一コード72aと、多数の第二コード72bとを含んでいる。内側層68において、2本の第一コード72aのグループと1本の第二コード72bのグループとが、交互に配置されている。第二コード72bは、第一コード72aに隣接している。
【0122】
軽量と操縦安定性との両立の観点から、このタイヤの内側層68では、1つの第一コード72aとこの第一コード72aに最も近い他の第一コード72aとの間に、上記第二コード72bが存在していないか又は2本以下の第二コード72bが存在しているのが好ましい。図示されているように、このタイヤでは、1つの第一コード72aとこの第一コード72aに最も近い他の第一コード72aとの間に、第二コード72bは存在していない。
【0123】
軽量と操縦安定性との両立の観点から、このタイヤの内側層68では、1つの第二コード72bとこの第二コード72bに最も近い他の第二コード72bとの間に、この第一コード72aが存在していないか又は2本以下の第一コード72aが存在しているのが好ましい。図示されているように、このタイヤでは、1つの第二コード72bとこの第二コード72bに最も近い他の第二コード72bとの間に、2本の第一コード72aが存在している。
【0124】
外側層70も、多数の第一コード72aと、多数の第二コード72bとを含んでいる。外側層70において、2本の第一コード72aのグループと1本の第二コード72bのグループとが、交互に配置されている。第二コード72bは、第一コード72aと隣接している。
【0125】
軽量と操縦安定性との両立の観点から、このタイヤの外側層70では、1つの第一コード72aとこの第一コード72aに最も近い他の第一コード72aとの間に、上記第二コード72bが存在していないか又は2本以下の第二コード72bが存在しているのが好ましい。図示されているように、このタイヤでは、1つの第一コード72aとこの第一コード72aに最も近い他の第一コード72aとの間に、第二コード72bは存在していない。
【0126】
軽量と操縦安定性との両立の観点から、このタイヤの外側層70では、1つの第二コード72bとこの第二コード72bに最も近い他の第二コード72bとの間に、この第一コード72aが存在していないか又は2本以下の第一コード72aが存在しているのが好ましい。図示されているように、このタイヤでは、1つの第二コード72bとこの第二コード72bに最も近い他の第二コード72bとの間に、2本の第一コード72aが存在している。
【0127】
内側層68におけるコード72のパターンは、外側層70におけるコード72のパターンと同等である。内側層68の剛性は、外側層70の剛性とほぼ等しい。この内側層68及び外側層70により、優れた操縦安定性、耐摩耗性及び乗り心地が達成されうる。
【0128】
第一コード72aの構成は、図3に示された第一コード38aの構成と同等である。第一コード72aは、撚りタイプである。第一コード72aが、図9、図10又は図11に示された構成を有してもよい。第二コード72bの構成は、図4に示された第二コード38bの構成と同等である。第二コード72bは、単線である。
【0129】
このベルト66では、コード72の総数に対する第一コード72aの本数の比率は、ほぼ67%である。このベルト66では、コード72の総数に対する第二コード72bの本数の比率は、ほぼ33%である。このタイヤは、第一コード72aによって発揮される特性と、第二コード72bによって発揮される特性とを併せ持つ。特にこのタイヤでは、操縦安定性の向上が重視されている。
【0130】
前述の通り第一コード72aは撚りタイプなので、この第一コード72aの引張強さは大きい。この第一コード72aにより、タイヤの操縦安定性が達成される。第二コード72bは単線なので、この第二コード72bは軽量である。この第二コード72bにより、タイヤの軽量が達成される。このタイヤにより、車両の低燃費が達成される。第二コード72bはさらに、乗り心地にも寄与する。
【0131】
操縦安定性の観点から、内側層68におけるコード72の密度は25エンズ/5cm以上が好ましく、30エンズ/5cm以上が特に好ましい。タイヤの軽量の観点から、内側層68におけるコード72の密度は50エンズ/5cm以下が好ましく、45エンズ/5cm以下が特に好ましい。
【0132】
操縦安定性の観点から、外側層70におけるコード72の密度は25エンズ/5cm以上が好ましく、30エンズ/5cm以上が特に好ましい。タイヤの軽量の観点から、外側層70におけるコード72の密度は50エンズ/5cm以下が好ましく、45エンズ/5cm以下が特に好ましい。
【0133】
このタイヤでは、内側層68はトッピングゴム74を含んでいる。このトッピングゴム74は、図1に示されたタイヤ2の内側層34をなすトッピングゴム40と同等である。このトッピングゴム74は、基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物が架橋されたものからなる。
【0134】
このタイヤでは、外側層70はトッピングゴム74を含んでいる。このトッピングゴム74は、図1に示されたタイヤ2の外側層36をなすトッピングゴム40と同等である。このトッピングゴム74は、基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物が架橋されたものからなる。
【0135】
このタイヤでは、そのベルト66のスチールコード72が第一コード72aとこの第一コード72aの外径よりも小さな外径を有する第二コード72bとを含んでいる。このベルト66では、大きな外径を有する第一コード72aが操縦安定性に寄与し、小さな外径を有する第二コード72bが軽量に寄与している。そして、このベルト66のトッピングゴム74に含まれる短繊維がこのトッピングゴム74の強度を効果的に高めているので、このタイヤのベルト66は操縦安定性を飛躍的に向上しうる。しかも、この短繊維が質量に与える影響は小さいので、このタイヤでは、質量の増加を抑えつつ、操縦安定性の向上が達成される。このタイヤは、軽量で、かつ操縦安定性に優れる。
【0136】
図示されていないが、このタイヤでは、外径の小さな第二コード72bを覆うトッピングゴム74の量は、外径の大きな第一コード72aを覆うトッピングゴム74の量よりも多い。前述したように、トッピングゴム74は短繊維を含んでいる。このタイヤでは、外径の小さな第二コード72bを覆うトッピングゴム74において短繊維による効果が主に発揮されうる。このタイヤでは、短繊維による効果を得るために、ベルト66全体の厚みを大きくする必要はない。このタイヤでは、質量の増加を抑えつつ、操縦安定性の向上が達成されうる。
【0137】
図示されていないが、ベルト66のトッピングゴム74は、短繊維を含むゴム組成物からなる要素をモールドと中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱されることにより形成される。このタイヤの製造方法では、図1に示されたタイヤ2の製造方法と同様、その成形工程においてローカバーをなす各要素は引き延ばされない。架橋工程においても、ローカバーをなす各要素は引き延ばされない。このため、この製造方法では、引っ張ると伸びずに破断してしまう程度に多量の短繊維がトッピングゴム74のゴム組成物に配合されても、ローカバーは成形されうる。そして、このローカバーからタイヤが得られる。この製造方法によれば、多量の短繊維を含有するトッピングゴム74を含むベルト66を備えたタイヤが高品質にしかも安定に生産されうる。しかも、このベルト66は操縦安定性に寄与しうる。本発明によれば、軽量で、かつ操縦安定性に優れたタイヤが得られうる。
【0138】
図13は、本発明のさらに他の実施形態に係るタイヤのベルト76の一部が示された分解斜視図である。このタイヤのベルト76以外の構成は、図1に示されたタイヤ2のそれと同等である。このベルト76は、内側層78及び外側層80からなる。内側層78及び外側層80のそれぞれは、並列された多数のコード82とトッピングゴム84とからなる。各コード82は、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、10°以上35°以下である。内側層78のコード82の傾斜方向は、外側層80のコード82の傾斜方向とは逆である。
【0139】
内側層78は、多数の第一コード82aと、多数の第二コード82bとを含んでいる。内側層78において、1本の第一コード82aのグループと2本の第二コード82bのグループとが、交互に配置されている。第二コード82bは、第一コード82aに隣接している。
【0140】
軽量と操縦安定性との両立の観点から、このタイヤの内側層78では、1つの第一コード82aとこの第一コード82aに最も近い他の第一コード82aとの間に、上記第二コード82bが存在していないか又は2本以下の第二コード82bが存在しているのが好ましい。図示されているように、このタイヤでは、1つの第一コード82aとこの第一コード82aに最も近い他の第一コード82aとの間に、2本の第二コード82bが存在している。
【0141】
軽量と操縦安定性との両立の観点から、このタイヤの内側層78では、1つの第二コード82bとこの第二コード82bに最も近い他の第二コード82bとの間に、この第一コード82aが存在していないか又は2本以下の第一コード82aが存在しているのが好ましい。図示されているように、このタイヤでは、1つの第二コード82bとこの第二コード82bに最も近い他の第二コード82bとの間に、第一コード82aは存在していない。
【0142】
外側層80も、多数の第一コード82aと、多数の第二コード82bとを含んでいる。外側層80において、1本の第一コード82aのグループと2本の第二コード82bのグループとが、交互に配置されている。第二コード82bは、第一コード82aと隣接している。
【0143】
軽量と操縦安定性との両立の観点から、このタイヤの外側層80では、1つの第一コード82aとこの第一コード82aに最も近い他の第一コード82aとの間に、上記第二コード82bが存在していないか又は2本以下の第二コード82bが存在しているのが好ましい。図示されているように、このタイヤでは、1つの第一コード82aとこの第一コード82aに最も近い他の第一コード82aとの間に、2本の第二コード82bが存在している。
【0144】
軽量と操縦安定性との両立の観点から、このタイヤの外側層80では、1つの第二コード82bとこの第二コード82bに最も近い他の第二コード82bとの間に、この第一コード82aが存在していないか又は2本以下の第一コード82aが存在しているのが好ましい。図示されているように、このタイヤでは、1つの第二コード82bとこの第二コード82bに最も近い他の第二コード82bとの間に、第一コード82aは存在していない。
【0145】
内側層78におけるコード82のパターンは、外側層80におけるコード82のパターンと同等である。内側層78の剛性は、外側層80の剛性とほぼ等しい。この内側層78及び外側層80により、優れた操縦安定性、耐摩耗性及び乗り心地が達成されうる。
【0146】
第一コード82aの構成は、図3に示された第一コード38aの構成と同等である。第一コード82aは、撚りタイプである。第一コード82aが、図9、図10又は図11に示された構成を有してもよい。第二コード82bの構成は、図4に示された第二コード38bの構成と同等である。第二コード82bは、単線である。
【0147】
このベルト76では、コード82の総数に対する第一コード82aの本数の比率は、ほぼ33%である。このベルト76では、コード82の総数に対する第二コード82bの本数の比率は、ほぼ67%である。このタイヤは、第一コード82aによって発揮される特性と、第二コード82bによって発揮される特性とを併せ持つ。特にこのタイヤでは、軽量化が重視されている。
【0148】
前述の通り第一コード82aは撚りタイプなので、この第一コード82aの引張強さは大きい。この第一コード82aにより、タイヤの操縦安定性が達成される。第二コード82bは単線なので、この第二コード82bは軽量である。この第二コード82bにより、タイヤの軽量が達成される。このタイヤにより、車両の低燃費が達成される。第二コード82bはさらに、乗り心地にも寄与する。
【0149】
操縦安定性の観点から、内側層78におけるコード82の密度は25エンズ/5cm以上が好ましく、30エンズ/5cm以上が特に好ましい。タイヤの軽量の観点から、内側層78におけるコード82の密度は50エンズ/5cm以下が好ましく、45エンズ/5cm以下が特に好ましい。
【0150】
操縦安定性の観点から、外側層80におけるコード82の密度は25エンズ/5cm以上が好ましく、30エンズ/5cm以上が特に好ましい。タイヤの軽量の観点から、外側層80におけるコード82の密度は50エンズ/5cm以下が好ましく、45エンズ/5cm以下が特に好ましい。
【0151】
このタイヤでは、内側層78はトッピングゴム84を含んでいる。このトッピングゴム84は、図1に示されたタイヤ2の内側層34をなすトッピングゴム40と同等である。このトッピングゴム84は、基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物が架橋されたものからなる。
【0152】
このタイヤでは、外側層80はトッピングゴム84を含んでいる。このトッピングゴム84は、図1に示されたタイヤ2の外側層36をなすトッピングゴムと同等である。このトッピングゴム84は、基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物が架橋されたものからなる。
【0153】
このタイヤでは、そのベルト76のスチールコード82が第一コード82aとこの第一コード82aの外径よりも小さな外径を有する第二コード82bとを含んでいる。このベルト76では、大きな外径を有する第一コード82aが操縦安定性に寄与し、小さな外径を有する第二コード82bが軽量に寄与している。そして、このベルト76のトッピングゴム84に含まれる短繊維がこのトッピングゴム84の強度を効果的に高めているので、このタイヤのベルト76は操縦安定性を飛躍的に向上しうる。しかも、この短繊維が質量に与える影響は小さいので、このタイヤでは、質量の増加を抑えつつ、操縦安定性の向上が達成される。このタイヤは、軽量で、かつ操縦安定性に優れる。
【0154】
図示されていないが、このタイヤでは、外径の小さな第二コード82bを覆うトッピングゴム84の量は、外径の大きな第一コード82aを覆うトッピングゴム84の量よりも多い。前述したように、トッピングゴム84は短繊維を含んでいる。このタイヤでは、外径の小さな第二コード82bを覆うトッピングゴム84において短繊維による効果が主に発揮されうる。このタイヤでは、短繊維による効果を得るために、ベルト76全体の厚みを大きくする必要はない。このタイヤでは、質量の増加を抑えつつ、操縦安定性の向上が達成されうる。
【0155】
図示されていないが、ベルト76のトッピングゴム84は、短繊維を含むゴム組成物からなる要素をモールドと中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱されることにより形成される。このタイヤの製造方法では、図1に示されたタイヤ2の製造方法と同様、その成形工程においてローカバーをなす各要素は引き延ばされない。架橋工程においても、ローカバーをなす各要素は引き延ばされない。このため、この製造方法では、引っ張ると伸びずに破断してしまう程度に多量の短繊維がトッピングゴム84のゴム組成物に配合されても、ローカバーは成形されうる。そして、このローカバーからタイヤが得られる。この製造方法によれば、多量の短繊維を含有するトッピングゴム84を含むベルト76を備えたタイヤが高品質にしかも安定に生産されうる。しかも、このベルト76は操縦安定性に寄与しうる。本発明によれば、軽量で、かつ操縦安定性に優れたタイヤが得られうる。
【実施例】
【0156】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0157】
[実施例1]
中子の外面にローカバーを成形し、この中子と組み合わせたままこのローカバーをモールドに投入した。このローカバーをモールドと中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱することにより、図1及び図2に示された基本構成を備え、下記の表3に示された仕様を備えた実施例1の空気入りタイヤ(サイズ:195/65R15)を得た。このタイヤが中子工法で製造されたことが、この表において「A」で表されている。このタイヤでは、ベルトの内側層と外側層とは同等の構成とされた。ベルトのトッピングゴムにおける短繊維の配合量は、基材ゴム100質量部に対して40質量部とされた。したがって、このトッピングゴムは引っ張ると直ぐに破断した。このことが、この表において、「B」で表されている。短繊維には、アラミド繊維からなる短繊維(平均外径=10μm、平均長さ=500μm)が用いられた。第一コードにおいて、構造は「2+2」であり、外径D1は0.6mmである。第二コードにおいて、構造は「1×1」であり、外径D2は0.4mmである。したがって、外径D1に対する外径D2の比(D2/D1)は、0.67である。この実施例1では、1つの第一コードとこの第一コードに最も近い他の第一コードとの間に、1本の第二コードが存在している。1つの第二コードとこの第二コードに最も近い他の第二コードとの間に、1本の第一コードが存在している。
【0158】
[実施例2−11及び比較例8]
短繊維の配合量を下記の表2、3及び4の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−11及び比較例8のタイヤを得た。実施例2−5及び比較例8のそれぞれでは、各トッピングゴムは、引っ張ると僅かに伸長した(伸長率で約3%)。このことが、この表において、「S」で表されている。これら以外では、トッピングゴムは引っ張ると直ぐに破断した。
【0159】
[実施例12−18]
第二コードの外径D2を変えて比(D2/D1)を下記の表4及び5の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例12−18のタイヤを得た。
【0160】
[実施例19−21]
ベルトの第一コードの構成を変えて外径D1及び比(D2/D1)を下記の表5の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例19−21のタイヤを得た。
【0161】
[比較例1−4]
比較例1−4は、中子工法で製造された従来のタイヤである。比較例2は、ベルトに含まれる第一コード及び第二コードに、構造が「2+2」であり外径が0.6mmであるコードを用いた他は実施例1と同様の構成を有している。比較例1は、ベルトのトッピングゴムに短繊維を含めなかった他は比較例2と同様の構成を有している。比較例4は、ベルトに含まれる第一コード及び第二コードに、構造が「1×1」であり外径が0.4mmであるコードを用いた他は実施例1と同様の構成を有している。比較例3は、ベルトのトッピングゴムに短繊維を含めなかった他は比較例4と同様の構成を有している。
【0162】
[比較例5−7]
従来の製造方法により、実施例5と同じ構成を有する比較例5のタイヤを製作し、実施例6と同じ構成を有する比較例6のタイヤを製作し、実施例1と同じ構成を有する比較例7のタイヤを製作し、実施例1と同じ構成を有する比較例6のタイヤを製作した。この製造方法では、その成形工程において、ローカバーはシェーピングされた。架橋工程では、ブラダーを用いてローカバーが膨張された。このように従来の工法でタイヤを製造したことが、この表において「C」で表されている。
【0163】
[実施例22]
ベルトを図12に示された構成を有するベルトに変えた他は実施例1のタイヤと同様にして、実施例22のタイヤを得た。この実施例22では、1つの第一コードとこの第一コードに最も近い他の第一コードとの間に、第二コードは存在していない。1つの第二コードとこの第二コードに最も近い他の第二コードとの間に、2本の第一コードが存在している。
【0164】
[実施例23]
ベルトにおいて、1つの第一コードとこの第一コードに最も近い他の第一コードとの間には第二コードを存在させず、1つの第二コードとこの第二コードに最も近い他の第二コードとの間に3本の第一コードが存在させた他は実施例22のタイヤと同様にして、実施例23のタイヤを得た。
【0165】
[実施例24]
ベルトを図13に示された構成を有するベルトに変えた他は実施例1のタイヤと同様にして、実施例24のタイヤを得た。この実施例24では、1つの第一コードとこの第一コードに最も近い他の第一コードとの間に、2本の第二コードが存在している。1つの第二コードとこの第二コードに最も近い他の第二コードとの間に、第一コードは存在していない。
【0166】
[実施例25]
ベルトにおいて、1つの第一コードとこの第一コードに最も近い他の第一コードとの間に3本の第二コードを存在させ、1つの第二コードとこの第二コードに最も近い他の第二コードとの間に3本の第一コードが存在させなかった他は実施例24のタイヤと同様にして、実施例25のタイヤを得た。
【0167】
[ベルトの質量]
ベルトの質量を計測した。この結果が、比較例1を100とした指数値で下記の表1から6に示されている。数値が小さいほど質量が小さいことが示されている。
【0168】
[操縦安定性及び乗り心地]
タイヤを15×6JJのリムに組み込み、このタイヤに内圧が230kPaとなるように空気を充填した。このタイヤを、排気量が2000ccである乗用車に装着した。ドライバーに、この乗用車をレーシングサーキットで運転させて、操縦安定性及び乗り心地を評価させた。この結果が、満点が10点とされた指数として下記の表1から6に示されている。数値が大きいほど好ましい。
【0169】
[耐久性]
タイヤを正規リムに組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を200kPaとした。このタイヤをドラム式走行試験機に装着し、7.0kNの縦荷重をタイヤに負荷した。このタイヤを、80km/hの速度で、半径が1.7mであるドラムの上を走行させた。タイヤが破壊するまでの走行時間を、測定した。この結果が、指数として、下記の表1から6に示されている。数値が大きいほど、好ましい。
【0170】
[生産性]
1本のタイヤの生産に要する時間を計測した。その結果が、下記の表1から6に、比較例1を100とした指数値で示されている。この数値が大きいほど、評価が高い。
【0171】
【表1】

【0172】
【表2】

【0173】
【表3】

【0174】
【表4】

【0175】
【表5】

【0176】
【表6】

【0177】
表1から6に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。なお、比較例6及び7では、シェーピング中にトッピングゴムが破断したため、ローカバーを成形することができなかった。したがって、この比較例6及び7のタイヤは製造できなかった。
【産業上の利用可能性】
【0178】
以上説明された方法は、様々なタイヤにも適用されうる。
【符号の説明】
【0179】
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・ビード
10・・・カーカス
12、66、76・・・ベルト
34、68、78・・・内側層
36、70、80・・・外側層
38、38a、38b、54、58、62、72、72a、72b、82、82a、82b・・・コード
40、74、84・・・トッピングゴム
48・・・短繊維

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トロイダル状の中子の外面において組み立てられ、モールドとこの中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱されることにより形成されており、
その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及びサイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、上記トレッドの半径方向内側においてカーカスと積層されるベルトとを備えており、
このベルトが、並列された多数のスチールコードとトッピングゴムとを有しており、
このスチールコードが、第一コードと、この第一コードの外径D1よりも小さな外径D2を有する第二コードとを含んでおり、
この第二コードが、この第一コードに隣接しており、
このトッピングゴムが、基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物が架橋されたものからなる、空気入りタイヤ。
【請求項2】
上記トッピングゴムにおける短繊維の配合量が、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上60質量部以下である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
上記トッピングゴムにおける短繊維が、上記スチールコードの延在方向に配向している請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
上記第一コードが、複数のフィラメントからなり、
上記第二コードが、1本のフィラメントからなる請求項1から3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
上記第一コードの外径D1に対する上記第二コードの外径D2の比が、0.4以上0.8以下である請求項1から4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
1つの第一コードとこの第一コードに最も近い他の第一コードとの間に、上記第二コードが存在していないか又は2本以下の第二コードが存在しており、
1つの第二コードとこの第二コードに最も近い他の第二コードとの間に、この第一コードが存在していないか又は2本以下の第一コードが存在している請求項1から5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
トロイダル状の中子の外面において、その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及びサイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、上記トレッドの半径方向内側においてカーカスと積層されるベルトとを備えており、このベルトが並列された多数のスチールコードとトッピングゴムとを有しており、このスチールコードが第一コードとこの第一コードの外径D1よりも小さな外径D2を有する第二コードとを含んでおり、この第二コードがこの第一コードに隣接しており、このトッピングゴムが基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物からなる、ローカバーが組み立てられる工程と、
このローカバーが、モールドに投入される工程と、
このローカバーが、このモールドと上記中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱される工程と
を含む、空気入りタイヤの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−86667(P2013−86667A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229442(P2011−229442)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】