説明

空気入りタイヤ

【課題】転がり抵抗を悪化させることなく、吸音材を用いずに空洞共鳴音を低減することを可能にした空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】
少なくとも2層のカーカス層4のうちサイドウォール部2において最外側に配置される外側カーカス層4aを構成するカーカスコード及び/又はカーカスコートゴムの60℃におけるtanδを、サイドウォール部2において外側カーカス層4aよりも内側に配置される内側カーカス層4bを構成するカーカスコード及び/又はカーカスコートゴムの60℃におけるtanδよりも高くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、転がり抵抗を悪化させることなく、空洞共鳴音を低減することを可能にした空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤにおいて、騒音を発生させる原因の一つにタイヤ内部に充填された空気の振動による空洞共鳴音がある。この空洞共鳴音は、タイヤを転動させたときにトレッド部が路面の凹凸によって振動し、トレッド部の振動がタイヤ内部の空気を振動させることによって生じるものである。
【0003】
従来、このような空洞共鳴音を低減する手法として、多孔質材料からなる吸音材を空気入りタイヤのトレッド部の内面に設置することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、このような吸音材を設置する方法は、空洞共鳴現象自体を抑制するもののではなく、空洞共鳴現象により発生した空洞共鳴音を吸収すると云うものであるため、空洞共鳴音を低減することは出来ても、空洞共鳴現象に対する根本的な解決にはなっていなかった。また、タイヤに新たな部材として吸音材を付加することが必須であるため、タイヤ重量の増加、ユニフォミティの低減、コスト増などが発生する虞があり、それら問題点への対策が実用上不可欠であるという問題がある。そのため、吸音材を用いることなく、空洞共鳴現象自体の発生を抑制することで空洞共鳴音を低減することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4148977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述する問題点を解決するもので、転がり抵抗を悪化させることなく、吸音材を用いずに空洞共鳴音を低減することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、一対のビード部と、これらビード部からそれぞれ径方向外側に延びるサイドウォール部と、これらサイドウォール部の半径方向外側同士を連結する円筒状のトレッド部とを備え、前記一対のビード部間に複数本のカーカスコードをカーカスコートゴムで被覆してなる少なくとも2層のカーカス層を装架した空気入りタイヤにおいて、前記少なくとも2層のカーカス層のうち前記サイドウォール部において最外側に配置される外側カーカス層を構成するカーカスコード及び/又はカーカスコートゴムの60℃におけるtanδを、前記サイドウォール部において前記外側カーカス層よりも内側に配置される内側カーカス層を構成するカーカスコード及び/又はカーカスコートゴムの60℃におけるtanδよりも高くしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上述のように、サイドウォール部において最外側に配置される外側カーカス層を構成するカーカスコード及び/又はカーカスコートゴムの60℃におけるtanδを、サイドウォール部において外側カーカス層よりも内側に配置される内側カーカス層を構成するカーカスコード及び/又はカーカスコートゴムの60℃におけるtanδよりも高くしたので、サイドウォール部のヒステリシスロスが増加し、トレッド部で振動が発生しても、その振動がサイドウォール部において熱エネルギーに変換されるので、タイヤ内部の空気の振動を抑制し、空洞共鳴音の発生を抑えることが出来る。また、相対的に張力が高い内側カーカス層の60℃におけるtanδを低く保つことで、転がり抵抗が増大することを抑制することが出来る。
【0009】
本発明においては、外側カーカス層を構成するカーカスコードの60℃におけるtanδを、内側カーカス層を構成するカーカスコードの60℃におけるtanδよりも高くすると共に、外側カーカス層を構成するカーカスコードの60℃におけるtanδを0.10以上0.30以下にすることが好ましい。このように、特に外側カーカス層のカーカスコードの60℃におけるtanδを相対的に高くする場合に、そのtanδの範囲を規定することで、より効果的に空洞共鳴音を抑制することが出来る。
【0010】
このとき、外側カーカス層を構成するカーカスコードと内側カーカス層を構成するカーカスコードとを異なる材料から構成することで、これら外側カーカス層と内側カーカス層のtanδを設定することが好ましい。
【0011】
本発明においては、外側カーカス層を構成するカーカスコートゴムの60℃におけるtanδを内側カーカス層を構成するカーカスコートゴムの60℃におけるtanδよりも高くすると共に、外側カーカス層を構成するカーカスコートゴムの60℃におけるtanδを0.10以上0.30以下にすることが好ましい。このように、特に外側カーカス層のカーカスコートゴムにおいて60℃におけるtanδを相対的に高くする場合に、そのtanδの範囲を規定することで、より効果的に空洞共鳴音を抑制することが出来る。
【0012】
本発明においては、内側カーカス層の両端部をビードコアの廻りにタイヤ内側から外側に巻き上げる一方、外側カーカス層の両端部を内側カーカス層の両端部の外側に配置し、且つビードコアの廻りにタイヤ外側から内側に巻き下ろすことが好ましい。このようにカーカス層を構成することで、転がり抵抗の低減と空洞共鳴音の抑制をより効果的に両立することが出来る。
【0013】
尚、本発明でいうカーカスコードの60℃におけるtanδ(貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”の比E”/E’)は次のようにして測定した。レオロジー社製粘弾性測定解析装置DVE−V4を使用し、20℃に保たれた室内において、試験片長さ約40mmに切断した試料をチャック間距離20mmに設定した粘弾性スペクトロメータに装着し、正量繊度(実デニール数)及び比重により計算される繊維実断面積に対して初荷重1MPaを与え、1℃/分で200℃まで昇温しながら、周波数20Hz、変位量±0.1%(約20μm:初荷重負荷後のチャック間距離に対する歪み)で粘弾性特性の温度分散を測定し、60℃におけるtanδを求めた。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す。図1において、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。左右一対のビード部3,3間には2層のカーカス層4a,4bが装架され、これらカーカス層4a,4bの端部がビードコア5の周りにタイヤ内側から外側に折り返されている。ビードコア5の外周側にはゴムからなる断面三角形状のビードフィラー6が配置されている。トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には、2層のベルト層7がタイヤ全周に亘って配置されている。これらベルト層7は、タイヤ周方向に対して傾斜する補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。更に、ベルト層7の外周側にはベルトカバー層8が配置されている。ベルトカバー層8は、タイヤ周方向に配向する補強コードを含み、その補強コードをタイヤ周方向に連続的に巻回したものである。
【0017】
カーカス層4a,4bはいずれも複数本のカーカスコードをカーカスコートゴムで被覆して形成されている。そして、サイドウォール部2において最外側に配置される外側カーカス層4aを構成するカーカスコード及び/又はカーカスコートゴムの60℃におけるtanδを、この外側カーカス層4aよりも内側に配置される内側カーカス層4bを構成するカーカスコード及び/又はカーカスコートゴムの60℃におけるtanδよりも高く設定している。
【0018】
このように外側カーカス層4aと内側カーカス層4bを構成するカーカスコードやカーカスコートゴムの60℃におけるtanδを特定の関係に設定しているので、サイドウォール部2のヒステリシスロスが増加する。その結果、トレッド部1で振動が発生しても、その振動がサイドウォール部2において熱エネルギーに変換されるので、タイヤ内部の空気の振動を抑制し、空洞共鳴音の発生を抑えることが出来る。また、相対的に張力の高い内側カーカス層4bを構成するカーカスコード及び/又はカーカスコートゴムの60℃におけるtanδを低く保っているので、転がり抵抗が増大することを抑制することが出来る。
【0019】
このとき、tanδの大小関係が逆転すると、ヒステリシスロスの増加量が不充分になり、振動を熱エネルギーに変換する効果が充分に得られず、空洞共鳴音の発生を抑制することが出来ない。また、転がり抵抗の増大を抑制することが出来ない。
【0020】
尚、図1の実施形態では、カーカス層4a,4bの端部がビードコア5の周りにタイヤ内側から外側に折り返されているので、サイドウォール部2においてタイヤ幅方向の最外側に配置される外側カーカス層4aは、トレッド部1においてはタイヤ径方向の最内側に配置される。同様に、内側カーカス層4bは、サイドウォール部2において外側カーカス層4aのタイヤ幅方向内側に配置されているが、トレッド部1においては外側カーカス層4aのタイヤ径方向外側に配置される。
【0021】
また、図1の実施形態では、2層のカーカス層4a,4bが設けられているが、3層以上のカーカス層を設けるようにしても良い。
【0022】
本発明では、上述のように、外側カーカス層4aを構成するカーカスコード及びカーカスコートゴムのいずれか一方、又は両方のtanδを相対的に高く設定しても構わない。カーカスコード及びカーカスコートゴムのいずれか一方のtanδを規定する場合、特に、外側カーカス層4aを構成するカーカスコードの60℃におけるtanδを内側カーカス層4bを構成するカーカスコードの60℃におけるtanδよりも高く設定する場合、外側カーカス層4aを構成するカーカスコードの60℃におけるtanδを0.10以上0.30以下にすることが好ましい。このようにtanδの範囲を規定することで、より効果的に空洞共鳴音を抑制することが出来る。
【0023】
このtanδが0.10より小さいと、ヒステリシスロスの増加量が不充分になり、振動を熱エネルギーに変換する効果が充分に得られず、空洞共鳴音の発生を抑制する効果が不充分になる。逆に、このtanδが0.30より大きいと、発熱が高くなり過ぎて転がり抵抗が悪化する。
【0024】
尚、相対的にtanδが低い内側カーカス層4bについては、カーカスコードの60℃におけるtanδを0.03以上0.08以下にすることが好ましい。このカーカスコードのtanδが0.03より小さいと外側カーカス層4aのヒステリシスロス増加に伴う空洞共鳴音の低減効果が充分に得られない。逆に、このカーカスコードのtanδが0.08より大きいと転がり抵抗を低減する効果が充分に得られない。
【0025】
また、外側カーカス層4aを構成するカーカスコードの60℃におけるtanδと内側カーカス層4bを構成するカーカスコードの60℃におけるtanδとの差は0.04以上0.27以下の範囲にすることが好ましい。この差が0.04より小さいと空洞共鳴音を低減する効果が著しく低下する。逆に、この差が0.27より大きいと転がり抵抗の悪化が顕著になる。
【0026】
ここで、カーカスコードの60℃におけるtanδを設定するには、例えば、外側カーカス層4aを構成するカーカスコードと内側カーカス層4bを構成するカーカスコードとを異なる材料から構成すると良い。例えば、相対的に高tanδの外側カーカス層4aを構成するカーカスコードをレーヨン繊維から構成し、相対的に低tanδの内側カーカス層4bを構成するカーカスコードをポリエチレンテレフタレートから構成することが出来る。或いは、相対的に高tanδのカーカスコードと相対的に低tanδのカーカスコードの組み合わせとして、ポリエチレンナフタレートとポリエチレンテレフタレート、レーヨンとナイロン、ポリエチレンナフタレートとナイロン、ポリエチレンテレフタレートとナイロンなどを例示することが出来る。
【0027】
また、上述の場合と異なり、外側カーカス層4aを構成するカーカスコートゴムの60℃におけるtanδを内側カーカス層4bを構成するカーカスコートゴムの60℃におけるtanδよりも高くする場合、外側カーカス層4aを構成するカーカスコートゴムの60℃におけるtanδを0.10以上0.30以下にすることが好ましい。このようにtanδの範囲を規定することで、より効果的に空洞共鳴音を抑制することが出来る。
【0028】
上述のカーカスコードのtanδを設定する場合と同様に、このtanδが0.10より小さいと、ヒステリシスロスの増加量が不充分になり、振動を熱エネルギーに変換する効果が充分に得られず、空洞共鳴音の発生を抑制する効果が不充分になる。逆に、このtanδが0.30より大きいと、発熱が高くなり過ぎて転がり抵抗が悪化する。
【0029】
尚、相対的にtanδが低い内側カーカス層4bについては、カーカスコートゴムの60℃におけるtanδを0.03以上0.08以下にすることが好ましい。このカーカスコートゴムのtanδが0.03より小さいと外側カーカス層4aのヒステリシスロス増加に伴う空洞共鳴音の低減効果が充分に得られない。逆に、このカーカスコートゴムのtanδが0.08より大きいと転がり抵抗を低減する効果が充分に得られない。
【0030】
また、外側カーカス層4aを構成するカーカスコートゴムの60℃におけるtanδと内側カーカス層4bを構成するカーカスコートゴムの60℃におけるtanδとの差は0.04以上0.27以下の範囲にすることが好ましい。この差が0.04より小さいと空洞共鳴音を低減する効果が著しく低下する。逆に、この差が0.27より大きいと転がり抵抗の悪化が顕著になる。
【0031】
本発明において、カーカス層4の構成は、先述の図1の実施形態に限定されず、例えば図2に示すように、内側カーカス層4bの両端部をビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側に巻き上げる一方、外側カーカス層4aの両端部を内側カーカス層4bの両端部の外側に配置し、且つビードコア5の廻りにタイヤ外側から内側に巻き下ろすことが出来る。尚、この場合は、トレッド部1において、外側カーカス層4aがタイヤ径方向外側に、内側カーカス層4bがタイヤ径方向内側に配置される。
【0032】
このようにカーカス層4a,4bを配置することで、転がり抵抗の低減と空洞共鳴音の抑制をより効果的に両立することが出来る。即ち、この構成における外側カーカス層4aは、ビードコア5の廻りに巻き上げられない為、外側カーカス層4aを転がり抵抗へ寄与させることなく、効果的にヒステリシスロスを高めて空洞共鳴音を抑制することが出来、これら両性能を高度に両立することが出来る。更に、外側カーカス層4aの巻き上げ部分が減少する為、タイヤ質量が軽量化し、低燃費化の効果も得ることが出来る。
【実施例】
【0033】
タイヤサイズ215/55R17 94Vの空気入りタイヤにおいて、カーカス構造、カーカスコードの60℃におけるtanδ(外側カーカス層及び内側カーカス層)、カーカスコートゴムの60℃におけるtanδ(外側カーカス層及び内側カーカス層)を表1,2のように異ならせた従来例1、比較例1〜2、実施例1〜17の20種類の試験タイヤを製作した。
【0034】
尚、表1,2において、60℃におけるtanδが0.05,0.08,0.10であるカーカスコードはそれぞれポリエチレンテレフタレートから構成され、更に撚り数を異ならせることで、tanδ値を設定している。また、60℃におけるtanδが0.13,0.15であるカーカスコードはそれぞれレーヨン繊維から構成され、更に撚り数を異ならせることで、tanδ値を設定している。更に、60℃におけるtanδが0.03であるカーカスコードはナイロン繊維から構成し、更に撚り数を異ならせることで、tanδ値を設定している。また60℃におけるtanδが0.30であるカーカスコードはポリエチレンナフタレートから構成し、更に撚り数を異ならせることで、tanδ値を設定している。
【0035】
これら20種類の試験タイヤについて、下記の評価方法により空洞共鳴音、ロードノイズ特性、転がり抵抗、タイヤ質量を評価し、その結果を表1,2に併せて示した。
【0036】
空洞共鳴音
各試験タイヤをリムサイズ17×7Jのホイールに組み付け、空気圧を230kPaとして排気量2.4Lの乗用車に装着し、コンクリート路を時速40km/hで走行し、運転席の位置で車内騒音を測定し、空洞共鳴周波数(230Hz付近)の音圧レベル(dB)を求めた。評価結果は、測定された実数値にて示した。この値が小さいほど空洞共鳴音が小さいことを意味する。
【0037】
ロードノイズ特性
各試験タイヤをリムサイズ17×7Jのホイールに組み付け、空気圧を230kPaとして排気量2.4Lの乗用車に装着し、コンクリート路を時速40km/hで走行し、テストドライバーにより官能評価を行った。評価結果は、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど、ロードノイズ特性が優れていることを意味する。
【0038】
転がり抵抗
試験タイヤを、リムサイズ17×7Jのホイールに組み付け、ISO28580に準拠して、ドラム径1707.6mmのドラム試験機を用い、空気圧230kPa、荷重4.41kN、速度80km/hの条件で転がり抵抗を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど転がり抵抗が低いことを意味する。
【0039】
タイヤ質量
試験タイヤの重量を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどタイヤ重量が軽量であることを意味する。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
表1,2から判るように、実施例1〜17はいずれもカーカスコード及びカーカスコートゴムが全て同じtanδである従来例1よりも空洞共鳴音を低減し、ロードノイズ特性及び転がり抵抗を改善した。特に、カーカスコードを図2のように配置した実施例15〜17は、空洞共鳴音の低減、ロードノイズ及び転がり抵抗の改善をより高度に達成すると共に、タイヤ質量を低減した。
【0043】
一方、カーカスコードとカーカスコートゴムとの間でtanδを異ならせるものの、外側カーカス層と内側カーカス層との間でtanδをそれぞれ同一にした比較例1,2は、空洞共鳴音を低減し、ロードノイズ特性を改善することは出来るものの、転がり抵抗が悪化した。
【符号の説明】
【0044】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
4a 外側カーカス層
4b 内側カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルトカバー層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のビード部と、これらビード部からそれぞれ径方向外側に延びるサイドウォール部と、これらサイドウォール部の半径方向外側同士を連結する円筒状のトレッド部とを備え、前記一対のビード部間に複数本のカーカスコードをカーカスコートゴムで被覆してなる少なくとも2層のカーカス層を装架した空気入りタイヤにおいて、
前記少なくとも2層のカーカス層のうち前記サイドウォール部において最外側に配置される外側カーカス層を構成するカーカスコード及び/又はカーカスコートゴムの60℃におけるtanδを、前記サイドウォール部において前記外側カーカス層よりも内側に配置される内側カーカス層を構成するカーカスコード及び/又はカーカスコートゴムの60℃におけるtanδよりも高くしたことを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記外側カーカス層を構成するカーカスコードの60℃におけるtanδを、前記内側カーカス層を構成するカーカスコードの60℃におけるtanδよりも高くすると共に、前記外側カーカス層を構成するカーカスコードの60℃におけるtanδを0.10以上0.30以下にしたことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記外側カーカス層を構成するカーカスコードと前記内側カーカス層を構成するカーカスコードとを異なる材料から構成したことを特徴とする請求項2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記外側カーカス層を構成するカーカスコートゴムの60℃におけるtanδを前記内側カーカス層を構成するカーカスコートゴムの60℃におけるtanδよりも高くすると共に、前記外側カーカス層を構成するカーカスコートゴムの60℃におけるtanδを0.10以上0.30以下にしたことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記内側カーカス層の両端部をビードコアの廻りにタイヤ内側から外側に巻き上げる一方、前記外側カーカス層の両端部を前記内側カーカス層の両端部の外側に配置し、且つ前記ビードコアの廻りにタイヤ外側から内側に巻き下ろしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−95354(P2013−95354A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242091(P2011−242091)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)