説明

空気入りタイヤ

【課題】従来品に比べて、カラー層の耐汚染性に優れた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】タイヤ側部の幅方向外側に、バリア層を介してカラー層が形成された空気入りタイヤであって、前記バリア層の主成分ポリマーと隣接ゴム中に含まれる汚染成分との溶解パラメータ(SP値)の差が5.0以上であり、前記バリア層に含まれる副成分ポリマーと隣接ゴム中に含まれる汚染成分との溶解パラメータ(SP値)の差が0〜5.0の範囲であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ側部の幅方向外側に、バリア層を介してカラー層が形成された空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
サイドウォール部などのタイヤ側部に、装飾用としてカラー層を形成したタイヤは、近年高付加価値タイヤとして一般的に知られている。
ただし、このカラー層については、前記サイドゴム部分から、オイル分や老化防止剤等が移行することによって、茶色に変色するという問題がある。そのため、この変色を防止する目的で、種々の技術が開発されている。
【0003】
上記カラー層の変色を抑制する方法としては、カラー層にブチルゴム(IIR)を用いることが一般的である。ただし、ブチルゴムは、分子中に二重結合を殆ど持たず、カラー層と隣接するサイドゴムとの共架橋性に乏しいことから、ブチルゴムにエチレンプロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)や、天然ゴム等をブレンドしたブレンドゴムを用いることで、耐久性を高めている。
【0004】
また、上記カラー層の変色を抑制する他の方法として、サイドゴムとカラー層との間に所定のバリア層を設けることで、オイル分や老化防止剤の拡散を抑制し、カラー層の変色を抑制する技術が挙げられる。
【0005】
例えば、特許文献1では、カラー層及びバリア層の組成について適正化を図ることで、比較的小さな厚みで、耐久性、及び、カラー層の変色抑制効果(耐汚染性)を有するカラー層を備えた空気入りタイヤが開示されている。
【0006】
しかしながら、上記記載の技術では、いずれも、ポリマー成分のみの耐汚染性に頼る部分が大きくため、耐汚染性が十分ではなかった。そのため、上記カラー層の変色を有効に抑制できる空気入りタイヤの開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−168616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、サイドゴムとカラー層との間に形成されたバリア層の適正化を図ることによって、従来に比べてカラー層の耐汚染性に優れた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討をした結果、前記バリア層において、ポリマー成分における非ジエン系ポリマーの割合が70質量%以上であり、該バリア層と隣接するゴム中に含有する汚染成分との溶解パラメータσ(SP値)の差が0〜2.0、好ましくはσ=0〜1.0の範囲内の添加物を添加することによって、従来品に比べて、カラー層の耐汚染性を大きく向上できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下の通りである。
(1)タイヤ側部の幅方向外側に、バリア層を介してカラー層が形成された空気入りタイヤであって、
前記バリア層は、ポリマー成分における非ジエン系ポリマーの割合が70質量%以上であり、該バリア層と隣接するゴム中に含有する汚染成分との溶解パラメータσ(SP値)の差が0〜2.0の範囲である添加物を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
(2)前記バリア層中の添加物は、汚染成分との溶解パラメータσ(SP値)の差がσ=0〜1.0の範囲であることを特徴とする上記(1)に記載の空気入りタイヤ。
(3)前記バリア層中の添加物は、ゴム成分100質量部に対して、1.0〜5.0質量部配合されることを特徴とする上記(1)に記載の空気入りタイヤ。
(4)前記バリア層中の添加物の融点は、前記汚染成分の融点との差が±10℃以内であることを特徴とする上記(1)に記載の空気入りタイヤ。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来のカラー層が形成された空気入りタイヤに比べて、カラー層の耐汚染性に優れた空気入りタイヤを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の空気入りタイヤの一実施形態について、その一部を模式的に示した幅方向断面図である。
【図2】本発明の空気入りタイヤのバリア層及びサイドゴムの一部を拡大して模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の構成と限定理由を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の空気入りタイヤの一実施形態について、トレッドの一部について幅方向断面で見た状態を模式的に示した図である。図2は、本発明の空気入りタイヤのバリア層及びサイドゴムの断面を拡大して示した図である。
【0014】
本発明による空気入りタイヤは、図1に示すように、タイヤ側部(図1では、サイドウォール部2)におけるサイドゴム10のタイヤ幅方向外側に、バリア層20を介してカラー層30が形成された空気入りタイヤ1である。ここで、前記タイヤ側部とは、タイヤの幅方向断面で見たときに側方に位置する部分(トレッド端からビード部までの部分)のことをいう。
【0015】
そして本発明は、前記バリア層20の主成分ポリマーが非ジエン系ポリマーであること、及び、前記バリア層20は添加物21を有し、該添加物の溶解パラメータσ(SP値)と隣接ゴム(図1ではサイドゴム10)に含まれる汚染成分とのSP値との差が0〜2.0の範囲と小さいことを特徴とする。ここで、主成分ポリマーであるとは、ポリマー成分のうちの非ジエンポリマーの割合が70質量%以上であることをいう。
前記バリア層20が主に非ジエン系ポリマーからなることで、前記汚染成分40のカラー層30への浸入を抑制できる結果、耐汚染性に優れるという効果を奏する。加えて、前記添加物の溶解パラメータσ(SP値)が、老化防止剤等の汚染成分のSP値と近くなることで、図2に示すように、前記添加物21と前記汚染成分40とが相溶する結果、前記汚染成分40のカラー層30への浸入を抑制し、さらに優れた耐汚染性を実現できる。
【0016】
なお、前記汚染成分のSP値と、前記添加物のSP値との差については、どちらのSP値が大きくなっても、SP値の差(絶対値)が0〜2.0の範囲であれば良く、0〜1.0の範囲であることが好ましい。
【0017】
また、前記汚染成分と相溶することによる優れた耐汚染性を実現するために、前記添加物の融点は前記汚染成分の融点とほぼ同じか、もしくはそれ以下が望ましく、具体的には、前記添加物の融点と前記汚染成分の融点との差が±10℃以内であることが好ましい。
ただし、上記融点の差が±10℃を超える場合でも、前記添加物の融点が100℃以下であれば問題ない。なぜならば通常タイヤ加硫時温度で溶解すれば、少なくとも加硫時における汚染成分のカラー層への移行抑制効果は発揮されるからである。
【0018】
(カラー層)
本発明の空気入りタイヤに形成されるカラー層は、図1に示すように、前記タイヤ側部にあるサイドゴム10に形成されるゴム層30のことであり、タイヤの意匠性を向上するための層である。
【0019】
前記カラー層を構成するゴム組成物としては、特に限定はされないが、耐汚染性を確保する点から、ブチルゴム(IIR)などの非ジエン系ポリマーが好ましい。
【0020】
また、前記ブチルゴムの含有量については、ゴム成分100質量部に対して、70.0〜100.0質量部の範囲であることが好ましい。これらの範囲内とすることで、前記カラー層の耐汚染性が有効に発揮できるためである。
【0021】
また、前記ゴム成分については、その他の一般的なタイヤ用ゴム成分を適宜含むことができる。例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等の少なくとも1種を含むことができる。
【0022】
なお、前記カラー層として、例えば白ゴム層を形成する場合には、白色充填剤を配合する。その配合量については、ゴム成分100質量部に対して40〜120質量部の範囲内とされることが好ましい。特に60質量部以上とされることが好ましく、100質量部以下とされることが好ましい。
【0023】
前記白色充填剤としては、例えば酸化チタン、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク等が挙げられる。例えば酸化チタンを用いた場合は、白色充填剤としての寄与の他、ゴム組成物の紫外線による劣化を防止し、耐変色性および耐久性を向上させる効果を有する。
【0024】
その他の色のカラー層を形成する場合には、上記の白色充填剤に代えるか、又は上記の白色充填剤とともに、青色、赤色、黄色、緑色等の着色顔料を、例えばゴム成分100質量部に対して、0.5〜30質量部程度配合することができる。
【0025】
また、前記カラー層を構成するゴム組成物は、架橋剤、加硫促進剤などをさらに配合することができる。架橋剤としては、有機過酸化物、硫黄系加硫剤が好ましく用いられ、ゴム成分100質量部に対してたとえば0.3〜3.0質量部の範囲内で配合され得る。
【0026】
有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等を使用することができる。また、硫黄系加硫剤としては、例えば、硫黄、モルホリンジスルフィド等を使用することができる。
【0027】
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、若しくは、キサンテート系加硫促進剤のうち少なくとも一つを含有するものを使用することが可能である。
【0028】
また、加工性を向上させるため、軟化剤を前記ゴム組成物に配合することもできる。ここで軟化剤としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤、蜜ロウ、カルナバロウ、ラノリンなどのワックス類の他、トール油、サブ、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸等が挙げられる。
【0029】
さらに、可塑剤、例えばDMP(フタル酸ジメチル)、DEP(フタル酸ジエチル)、DBP(フタル酸ジブチル)、DHP(フタル酸ジヘプチル)、DOP(フタル酸ジオクチル)、DINP(フタル酸ジイソノニル)、DIDP(フタル酸ジイソデシル)、BBP(フタル酸ブチルベンジル)、DLP(フタル酸ジラウリル)、DCHP(フタル酸ジシクロヘキシル)等を使用しても良い。
【0030】
また、前記ゴム組成物に、スコーチを防止または遅延させるためスコーチ防止剤、例えば無水フタル酸、サリチル酸、安息香酸などの有機酸、N−ニトロソジフェニルアミンなどのニトロソ化合物、N−シクロヘキシルチオフタルイミドなどを配合することができる。
【0031】
なお、老化防止剤については、前記カラー層を構成するゴム組成物中に含まないことが好ましい。カラー層の変色の原因となるためである。
【0032】
さらに、前記カラー層を構成するゴム組成物には、シランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤は、シリカ等の白色系補強剤とゴム成分との結合を強固にし、ゴム組成物中における該白色系補強剤の分散性を向上させる効果を有する。シランカップリング剤としては、たとえばチオール系、アミン系、ハロゲン系の官能基を有するもの等を単独または2種以上の組合せで好ましく使用することができる。
【0033】
また、前記カラー層のタイヤ幅方向の厚さについては、特に限定はされないが、0.5〜3.0mmの範囲であることが好ましい。0.5mm未満の場合、意匠性を十分に確保できないおそれがあり、一方、3.0mmを超えると製造コストが大きくなるためである。
【0034】
(バリア層)
本発明の空気入りタイヤに形成されるバリア層は、図1に示すように、サイドウォール部2(タイヤ側部)にあるサイドゴム10とカラー層30との間に形成され、前記サイドゴム10とカラー層30との密着性を確保し、前記カラー層30へ老化防止剤等が浸入することを抑制するための層20である。
そして、前記バリア層20は、溶解パラメータ(SP値)の異なる主成分ポリマー及び副成分ポリマーを含んだゴム組成物からなる。前記主成分ポリマーのSP値が、老化防止剤等の汚染成分40のSP値と遠くなることで、汚染成分のバリア層への移行を抑制し、前記副成分ポリマーのSP値が、老化防止剤等の汚染成分40のSP値と近くなることで仮に汚染成分がバリア層中へ移行しても副成分ポリマーと相溶することができる結果、カラー層10への前記汚染成分40の浸入を有効に抑制できる。
ここで、前記溶解パラメータ(SP値)とは、2成分系溶液の溶解度の目安となる値であり、2つの成分のSP値の差が小さくなるほど溶解度が大きくなる。
【0035】
なお、前記汚染成分の種類としては、例えば、アミン系老化防止剤(アルキル化ジフェニルアミンや、4,4−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等)、アロマテックオイル、グアニジン系加硫促進剤(1,3−ジフェニルグアニジンやN,N’−ジ−o−トリルグアニジン等)が挙げられ、そのSP値σの範囲は、9.0〜11.0程度である。
【0036】
前記バリア層の非ジエン系ポリマーとは、不飽和度が2.5mol%以下のポリマーのことである。例えば、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロスルフォン化ゴム(CSM)及びニトリルゴム(NBR)、ウレタンゴム(U)のうちの少なくとも1種を用いることができる。
【0037】
前記ゴム組成物中の非ジエン系ポリマーは、ゴム成分100質量部に対して、70.0〜100.0質量部配合されることが好ましい。前記非ジエン系ポリマーの配合量が70.0質量部未満の場合、前記汚染成分が透過し易いジエン系ポリマーの連続体が形成されるため、耐汚染性が低下するおそれがあるからである。
【0038】
その中でも、前記非ジエン系ゴムが、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)、及びクロロスルフォン化ゴム(CSM)、アクリロニトリルゴム(NBR)、ウレタンゴム(U)のうちの少なくとも1種であることが好ましい。老化防止剤等に対するバリア性を確保し、前記カラー層の耐汚染性を向上させることができるからであり、他の非ジエン系ゴムからなる場合、十分な前記カラー層の耐汚染性を確保できないおそれがある。
【0039】
なお、前記バリア層については、着色の有無については特に限定されない。例えば、白いバリア層を形成する場合には、白色充填剤を配合し、その他の色のバリア層については、必要に応じた色の着色顔料を配合する。また、前記サイドゴムと同様に、カーボンブラックを配合してもかまわない。充填材の配合量についても、特に限定はされない。
【0040】
また、前記バリア層を構成するゴム組成物は、架橋剤、加硫促進剤などをさらに配合することができる。架橋剤としては、前記カラー層と同様に、有機過酸化物、硫黄系加硫剤が好ましく用いられ、ゴム成分100質量部に対してたとえば0.3〜3.0質量部の範囲内で配合され得る。
【0041】
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、若しくは、キサンテート系加硫促進剤のうち少なくとも一つを含有するものを使用することが可能であり、その中でも、前記サイドゴムとの高い接着性を得る点から、チアゾール系の加硫促進剤を用いることが好ましい。
【0042】
また、加工性を向上させるため、軟化剤を前記ゴム組成物に配合することもできる。ここで軟化剤については、上記のカラー層を構成するゴム組成物と同じものを用いることができる。さらに、可塑剤や、スコーチ防止剤、シランカップリング剤についても、上記のカラー層を構成するゴム組成物と同様である。
【0043】
なお、老化防止剤については、前記バリア層を構成するゴム組成物中には含まないことが好ましい。カラー層の変色の原因となるためである。
【0044】
また、前記バリア層のタイヤ幅方向の厚さについては、特に限定はされないが、0.5〜3.0mmの範囲であることが好ましい。0.5mm未満の場合、耐汚染性を確保できないおそれがあり、一方、3.0mmを超えると製造コストが大きくなるためである。
【0045】
(サイドゴム)
前記サイドゴムは、図1に示すように、空気入りタイヤ1のタイヤ側部を構成するためのゴム部材10である。本発明の空気入りタイヤ1では、そのタイヤ幅方向外側に、前記バリア層20を介して前記カラー層30が形成されている。前記サイドゴム10を構成するゴム組成物については、特に限定はされず、通常の空気入りタイヤに用いられるゴム組成物を用いればよい。
【実施例】
【0046】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
(実施例1〜6及び比較例1〜3)
混練機を用い、表1に示す配合成分のうち、硫黄及び加硫促進剤を除いた成分を、約130℃で3分間混練した。その後、硫黄及び加硫促進剤を加え、2軸オープンロールでさらに約100℃で2分間練り込んだ後、所定の厚みのバリア層及び隣接ゴムからなるシートとして取り出した。該シートから各実施例及び比較例の試料片を作製した。
【0048】
(評価)
(1)耐汚染性
各実施例及び比較例で作製した試料片の上に、白ゴムを設けた後に加硫を行い、100℃恒温槽に48時間入れた前後での白ゴム表面の色差を分光測色計CM-700d(コニカミノルタ(株)製)を用いて測定することで、耐汚染性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
なお、耐汚染性の評価については、比較例1の耐汚染性を100としたときの相対値として示し、数値が大きいほど耐汚染性が高く、良好な結果となる。
【0049】
(2)耐亀裂進展性
上記各試料片を、恒温漕で100℃、24時間熱劣化した後、1mmの初期亀裂を入れた後、定歪20%で連続的な歪みを一定時間かけた後の亀裂長さを測定することで、評価を行った。耐亀裂進展性の評価は、比較例1の耐亀裂進展性を100としたときの相対値として示し、数値が大きいほど耐亀裂進展性が高く、良好な結果となる。
【0050】
【表1】

【0051】
*1 日本ブチル株式会社製 「JSRブロモブチル 2255」
*2 (TSRグレード)
*3 JX日鉱日石エネルギー株式会社製 「A/O MIX」
*4 旭カーボン株式会社製 「旭 NPG」
*5 J&K SCIENTIFIC LTD製 「RAC-23」
*6 関東化学株式会社 「7-Azaindole」
*7 ミヨシ油脂製 「MXST−L」
*8 九州白水製 「ハクスイテック」
*9 三新化学工業株式会社製 「サンセラーCM−G」
*10 四国化成工業株式会社製 「ミュークロンOT−20」
*11 大内新興化学工業株式会社製 「ノクラック6C」
【0052】
表1の結果から、実施例1〜6については、カラー層の耐汚染性及び耐亀裂進展性のいずれについても良好であることがわかった。一方、比較例1〜3については、実施例に比べると耐汚染性に劣ることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明によれば、従来のカラー層が形成された空気入りタイヤに比べて、カラー層の耐汚染性に優れた空気入りタイヤを提供できる。その結果、より長期間において空気入りタイヤを使用することが可能となり、産業上有用な効果を奏する。
【符号の説明】
【0054】
1 空気入りタイヤ
2 サイドウォール部
10 サイドゴム
20 バリア層
21 ポリマー
30 カラー層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ側部の幅方向外側に、バリア層を介してカラー層が形成された空気入りタイヤであって、
前記バリア層は、ポリマー成分における非ジエン系ポリマーの割合が70質量%以上であり、該バリア層と隣接するゴム中に含有する汚染成分との溶解パラメータσ(SP値)の差が0〜2.0の範囲である添加物を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記バリア層中の添加物は、汚染成分との溶解パラメータσ(SP値)の差がσ=0〜1.0の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記バリア層中の添加物は、ゴム成分100質量部に対して、1.0〜5.0質量部配合されることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記バリア層中の添加物の融点は、前記汚染成分の融点との差が±10℃以内であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−95382(P2013−95382A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242694(P2011−242694)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】