説明

空気入りラジアルタイヤ

【課題】スチールコード1をベルトプライに用いた空気入りラジアルタイヤにおいて、操縦安定性や乗り心地性、耐久性に優れるとともに軽量化を実現することができるものを提供する。
【解決手段】同一の径の2〜6本の主フィラメント2を、撚り合わせることなく単一の層をなすように並列させて、この周囲に、主フィラメント2より小径で型付けされていない1本のラッピングフィラメント3を巻き付ける。ここで、主フィラメント2は、径(D)が0.15〜0.30mmであり、炭素(C)含有量が0.95〜1.20質量%など特定の組成を有し、引張り強度TS(Mpa)が下式(I)を満たす
−2000×D+4400≦TS(Mpa)≦−2000×D+5400・・・(I)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチールコードをベルト層等の補強材として用いた空気入りラジアルタイヤに関する。特には、操縦安定性と高速運転での耐久性に優れるとともに、軽量化を達成することのできる空気入りラジアルタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りラジアルタイヤは、一般に、カーカス・プライの外面とトレッドゴムとの間に、複数のベルトプライを交差させ積層したベルト部を備えており、このベルトプライには、優れた引張り強度や引張り弾性を有するスチールコードが使用されている。
【0003】
従来、乗用車用タイヤのベルトプライに用いられるスチールコードは、1×n構造(n=3〜5)のものが一般的であったが、1×n構造のスチールコードにおけるトレッド部外傷やクラックからの水分侵入に起因するベルト故障を防ぐために、フィラメントに過大な型付けを施してルーズに撚り合わせた1×n構造や、引き揃えたフィラメント束の周囲に螺旋状にフィラメントを巻き付けたm+n構造、例えば2+2、2+1構造などゴム侵入性を向上したスチールコードが多く開示され、タイヤの耐久性を向上することが行われている。
【0004】
一方、近年、地球環境汚染の問題から、車両の低燃費化が強く要望されるようになり、その一環として空気入りラジアルタイヤの軽量化は、大きな技術的課題の一つとして注目を集めている。ところが、ベルト部に用いられるスチールコードは、比重が大きく、かつ使用量も多いために、軽量化の障害となっている。そのため、上述のスチールコードの構造について種々の工夫がおこなわれているが、タイヤの耐久性と、自動車への実装時の操縦安定性とを、高く保ちつつ、軽量化を達成するのは容易でない。
【0005】
例えば下記特許文献1においては、複数のスチール・フィラメント(単線ワイヤー、スチール素線)からなるスチールコードを用いる代わりに、ばらばらに配置されるスチール・フィラメントそのものでもってベルトプライを形成することが開示されている。スチールコードに比べて断面積を小さくできるために、スチール線の径をコンパクトにすることができるとともに、ベルトプライの厚み及びゴム量を小さくすることができる。特許文献1においては、比較的高い炭素含量(実施例では0.96%)及びクロム含量(実施例では0.2%または0.5%)を有する高強度のスチールワイヤを用いるとともに、スチールコードとしないことによる耐久性の低下をカバーすべく、各スチール・フィラメントに、長手方向に沿って二次元の波付けを行うことが提案されている。しかし、特許文献1に記載の構造であると、タイヤ成形の工程中に、波付けしたスチール・フィラメントが容易に伸びてしまうため、精度の確保が困難であり、タイヤのユニフォーミティが低下して乗り心地を損なうという問題があった。
【0006】
そこで、下記特許文献2〜3においては、複数本のスチール・フィラメントを、単一の層または2層をなすように隣接させて並列し、この周囲に、より細い1本の「真直な」ラッピング・フィラメント、すなわち、波付けその他の型付けがされていないラッピングフィラメントを巻き付けている。このようにして、1層または2層に並列した主フィラメントを束ねることで、扁平なスチールコードとし軽量化を図るとともに、低荷重時の伸びによる精度の低下を防止している。
【0007】
具体的には、特許文献2によると、波付けされた3本の主フィラメントを並列して引き揃えるにあたり、これら主フィラメントの「波形の方向および/または位相を異なるようにして引き揃え」ている(0035段落)。このようにして、「スチールコードに外力が加わったときの伸びを抑制し」、この作用により精度を向上させることができるとしている。しかし、このようなスチールコードの構造であると、束ねた形状が容易に崩れるため、ころがり抵抗が増大し、操縦安定性を損なう結果となり得る。
【0008】
そこで、特許文献3では、主フィラメントの断面形状を正六角形とすることで、主フィラメントの側面同士が接触するようにして、「束形状を確実に保持」し、これにより、ころがり抵抗を小さくして操縦安定性を確保することが開示されている。しかし、特許文献3に記載のスチールコードの構造であると、主フィラメントの製造、及び、その引き揃えの工程が煩雑となる。
【0009】
一方、下記特許文献4においては、タイヤの耐久性向上や軽量化などに対応すべく、「引張強度が4000MPa以上の高強度で、かつ絞り値が40%以上の延性に優れた高強度極細鋼線を安定して得る」方法が開示されている。すなわち、炭素等の添加元素の含量を最適化するとともに、パテンティング処理及び伸線加工の条件を最適化することが記載されている。しかし、引張強度を4000MPa以上とした場合、脆性の回避は必ずしも十分でなく、耐久性を低下させるおそれもある。
【0010】
他方、下記特許文献5においては、橋梁用ワイヤやPC鋼線において、高強度化のために炭素含量(C量)を0.7%以上、シリコン含量(Si量)を0.6%以上にするとともに、C量及びSi量に応じた量の固溶ホウ素(B)をパテンティング処理前から共存させることについて開示されている。しかし、「本実施形態では、線材の径を5.5〜18mmの範囲とすることにより、優れた伸線特性と高強度を安定して得ることができる」(0042段落)とされており、「φ5.2mmのPWS用の鋼線を試作したところ、引張強さTSが」1910〜1932Mpaであった(0058段落)と記載されている。但し、タイヤ用スチールワイヤとは、ワイヤの径及び伸線時の圧延及びパテンティングなどの条件が大きく異なるため、単純な比較は難しい。
【特許文献1】特開平5−345503号公報
【特許文献2】特開平8−120578号公報
【特許文献3】特開2004−060128公報
【特許文献4】特開2007−262496公報
【特許文献5】特開2007−039800公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、スチールコードをベルトプライに用いた空気入りラジアルタイヤにおいて、操縦安定性や乗り心地性、耐久性に優れるとともに軽量化を実現することができる空気入りラジアルタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記課題に鑑み、スチールコードの構造、及びスチール・フィラメントの特性について、鋭意検討していく中で、偶然に、ある特定の条件を採用することにより、非常に優れた効果が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明に係る空気入りラジアルタイヤは、同一の径の2〜6本の主フィラメントを、撚り合わせることなく単一の層をなすように並列させて、この周囲に、主フィラメントより小径で型付けされていない(真直の)1本のスチールフィラメントをラッピングフィラメントとして巻き付けてなるスチールコード(n+1構造:n=2〜6)を、トレッド部の補強コードとして備え、径(D)が0.15〜0.30mmであり、炭素(C)含有量が0.95〜1.20質量%、ケイ素(Si)含有量が0.1〜1.5質量%、マンガン(Mn)含有量が0.1〜1.0質量%であって、アルミニウム(Al)含有量及びチタン(Ti)含有量がいずれも0.01質量%以下であり、窒素(N)含有量及び酸素(O)含有量がいずれも20〜40ppm(質量基準、以下のいずれの「ppm」についても同様)であり、引張り強度TS(Mpa)が下式(I)を満たす。下式(I)において、Dは主フィラメントの径をmm単位で示した数値である。
【0014】
−2000×D+4400≦TS(Mpa)≦−2000×D+5400・・・(I)
また、ラッピングフィラメントに用いるスチールフィラメントは、特に限定されるものではなく、例えば炭素含有量が0.60〜1.02質量%の炭素鋼線材を用いることができ、JIS G 3502規定のピアノ線材からなる各種炭素鋼(例えばSWRS72A, SWRS82Aなど)を用いることができる。
【0015】
本発明の実施形態において、主フィラメントに型付けや波付けが施されたものを用いても良い。その際の好ましい実施形態として、主フィラメントは、波状に型付け(波付け)されており、波付けの二次元面及び並列の二次元面がトレッド面に平行に配置されており、主フィラメントの波付けの高さ及びピッチが互いに同一であり、波付け高さ(波高)が0.03〜0.11mm、波付けピッチ(波長)が3.0mm〜30.0mmである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、主フィラメントに特定の超高強度のスチールフィラメントを用い、撚り合わせることなく、単一の層をなすように並列させ、ラッピングフィラメントで束ねた構造(n+1構造)を用いることにより、操縦安定性や乗り心地性、耐久性に優れるとともに軽量化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の空気入りラジアルタイヤの一実施形態における、その要部としてのスチールコードの構成を示す模式的な平面図である。トレッド面に垂直な方向、すなわち、タイヤ放射方向から見た図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図1〜2に示す実施形態における、ベルトプライの模式的な断面図である。
【図4】変形例におけるスチールコードの構成を示す、図2に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の空気入りラジアルタイヤの要部をなす、ベルトプライ用の各スチールコードは、スチールフィラメントのみからなり、同一の径の2〜6本の主フィラメントと、これを束ねる1本のラッピングフィラメントとからなる。主フィラメントの径は、0.15〜0.30mm、好ましくは、0.15〜0.25mmである。主フィラメントの径が0.15mm未満であると、スチールコードの剛性が低くなりすぎるためタイヤ装着時の操縦安定性が低下する。0.30mmを超えると剛直になり過ぎて、圧縮変形に伴う表面歪みが増加するため、ベルトプライの耐疲労性が悪化し、タイヤの耐久性が低下する。ラッピングフィラメントは、曲げ剛性が主フィラメントよりも小さく、例えば、主フィラメントの10〜40%である。また、ラッピングフィラメントの径は、主フィラメントの径より小さく、例えば、主フィラメントの径の0.4〜0.6倍である。ラッピングフィラメントの径が、この範囲より大きいと、スチールコードの径が増大するために好ましくなく、一方、この範囲より小さいと、結束力が不充分となるおそれがあるので好ましくない。
【0019】
これらの主フィラメントは、一つの平面に沿って1層をなすように並列される。すなわち、スチールコードに垂直の断面にて、一列をなすように引き揃えられる。そのため、各スチールコードは、扁平であり、長径/短径の比が、例えば1.5〜5倍、好ましくは2〜4倍である。なお、主フィラメントの数が6本を越えると、一列をなすように並列させるのが困難となり、束としての形状が不揃いになる。1本のコード中にて並列される主フィラメントの本数は、好ましくは4〜6本、より好ましくは5〜6本である。このような本数であると、束としての形状を安定に保ちつつ、コードの扁平度を増大させてベルト層などの厚みを小さくすることができる。
【0020】
一方、ラッピングフィラメントとしては、波付けが施されず、いわゆる「真直」のものが用いられる。巻き付けを容易にし、巻き付けの拘束力を、一様に高いものとする上で好ましいからである。なお、ラッピングフィラメントによる拘束力により、引き揃えられた主フィラメントにスチールコードとしての一体感をもたせることができ、走行中の路線変更やカーブを曲がる際のベルト材の面内変形に対する高い剛性が得られる。主フィラメントは、必ずしも断面が円形でなくても良い。例えば、主フィラメントとして、扁平なものを用いれば、スチールコードをさらに扁平にすることができる。
【0021】
また、主フィラメントは、型付けや波付けを施したものを用いてもよく、波付けする際には、いずれも、スチールコードの長径方向にのみ波付けされている。すなわち、長径方向及び長さ方向に沿った平面内にて、二次元的に波付けされる。特に、スチールコードをなす複数の主フィラメントが、同一の波付け高さ(波高)及び同一の波付けピッチ(波長)を有する。このように、全ての主フィラメントについて同一の波付けを行うことにより、スチールコードに引張り荷重が加わった際に、並列される主フィラメント間で、ほぼ同一の伸び挙動を行うようになる。すなわち、応力が集中することなく、均等に作用するため、各スチールフィラメントの抗張力を最大限に利用することができ、スチールコードの抗張力が増大する。
【0022】
なお、ベルトプライを形成する際、スチールコードの長径が、いずれの部位でも、必ず、ベルト面に平行になるように配置される。したがって、スチールコードの主フィラメントが二次元的に波付けされる方向は、トレッド面に平行である。そのため、ベルトプライの厚みを小さくできるとともに、タイヤ走行の際、波付けの波形が、接地時にトレッド面に沿って周方向へとスムーズに押し広げられることとなる。
【0023】
好ましい実施態様において、主フィラメントの波付け高さは、0.03〜0.11mm、好ましくは0.05〜0.10mmである。波付けピッチは、3.0mm〜30.0mm、好ましくは3.0mm〜5.0mmである。一方、ラッピングフィラメントを巻き付けるピッチ(巻き付けピッチ)は、3.0mm〜30.0mm、好ましくは3.0mm〜5.0mmであり、波付けピッチの1.0〜2.0倍である。
【0024】
好ましい実施態様において、各スチールコードをなす複数の主フィラメントは、波付けについて、互いに位相をずらすような操作をおこなっていない。すなわち、基本的に同一の位相をなし、スチールコードの長径方向にて、互いに、山の箇所同士、谷の箇所同士が重なりあって、相互の隙間が比較的小さい構造をなしている。そのため、各スチールコードは、長さ方向に沿った部位ごとで、主フィラメントの束の長径方向寸法にばらつきが少なく、ラッピングフィラメントによる結束が強力に行われるのに有利な構造となっている。したがって、スチールコード内へのゴムの浸入を容易にせずとも、耐疲労性や耐食性を高く保つことができる。
【0025】
主フィラメントは、下記のような適度に超高強度のスチールフィラメントである。まず、炭素(C)含有量が0.95〜1.20質量%、ケイ素(Si)含有量が0.1〜1.5質量%、マンガン(Mn)含有量が0.1〜1.0質量%、窒素(N)含有量が20〜40ppmである。また、アルミニウム(Al)含有量及びチタン(Ti)含有量が好ましくは0.01質量%以下であり、酸素(O)含有量が好ましくは20〜40ppmである。また、好ましくは、ホウ素(B)含有量が4〜30ppmで、このうち固溶ホウ素(B)の含有量が3ppm以上である。また、引張り強度TSが下記式(I)を満たす。下式(I)において、Dはmm単位で示す径の数値である。
【0026】
−2000×D+4400≦TS(Mpa)≦−2000×D+5400・・・(I)
上記式(I)において、−2000×Dの項は、強度の径依存性を打ち消すための補正項であり、フィラメント径0.15〜0.30mmの範囲で、ほぼフィラメント径の影響を除けることが実験的に確かめられている。フィラメント径が0.20mmである場合には、補正項の数値が−400となり、上記(I)式は、4000≦TS(Mpa)≦5000となる。
【0027】
炭素(C)含有量は、0.95重量%未満であると所望の引っ張り強度を安定して得ることができず、1.20重量%を越えると、初析セメンタイトが生成して伸線加工性が劣化し伸線加工中に断線の原因となるだけでなく、スチールフィラメントの靱性を劣化させてしまう。Si含有量は、0.1質量%未満であると、脱酸剤としての作用、及び、パテンティングの際の強度向上が不充分となるおそれがあり、1.5質量%を超えると、初析フェライトの析出を促進し、ベイナイトが生成することで、伸線加工での限界加工度が低下する。Mn含有量は、0.1質量%未満であると、脱酸剤としての作用が不充分となるおそれがあり、1.0質量%を超えると、Mnの偏析が生じやすく、線材の中心部に偏析することで、マルテンサイトやベイナイトを生成し、伸線加工性を低下させる。N含有量は、20ppm未満であると、微量に存在するAl、BあるいはTiと窒化物を生成することでオーステナイト粒度の粗大化を防止する作用が不充分となり得るために、強度または耐久性が劣化するおそれがある。一方、40ppmを超えると、伸線中の時効を促進することで、強度低下などを引き起こすおそれがある。他方、酸素(O)含有量は、20ppm未満であると、結晶粒形成促進の効果が不充分であり、40ppmを超えると、酸化物生成によりスチールフィラメントの靭性を低下させる。
【0028】
さらに、アルミニウム(Al)含有量及びチタン(Ti)含有量は、いずれも0.01質量%(100ppm)以下である。Al含有量が0.01質量%を超えると、硬質のアルミナ系介在物を生成し、伸線加工性が低下する。Ti含有量が0.01質量%を超えると、Tiの酸化物を生成し、伸線加工性が低下する。0.01質量%未満のAlまたはTiは、Mnと同様に脱酸剤としての寄与を行うことができる。
【0029】
好ましい実施形態において、ホウ素(B)含有量が4〜30ppmであり、このうち、固溶B含有量が3ppm以上である。ホウ素(B)は、パテンティング処理前に固溶状態で存在するならば、非パーライト組織が析出するのを抑制する。固溶B含有量が3ppm未満であると、この効果が不充分である。また、ホウ素(B)の総含有量が4質量ppm未満であると、固溶B含有量を3ppm以上とすることが困難である。一方、ホウ素(B)含有量が30ppmを超えると、粗大なFe3(CB)6炭化物を生成し、伸線加工性を低下させてしまうおそれがある。ホウ素(B)含有量が4〜30ppmであって、窒素(N)含有量が20〜40ppmであると、適度に上記窒化物を生成する上でも好ましい。
【0030】
好ましい実施形態において、クロム(Cr)含有量、ニッケル(Ni)含有量、コバルト(Co)含有量、及びバナジウム(V)含有量がいずれも、0.5質量%以下(0%を含まない)である。また、銅(Cu)含有量、モリブデン(Mo)含有量、タングステン(W)含有量及びニオブ(Nb)含有量が、いずれも0.2質量%以下(0%を含まない)である。クロム(Cr)は、特には0.01質量%以上の添加でパーライトのラメラ間隔を微細化して伸線加工性を向上させる効果があるが、含有量が0.5質量%を超えると、パーライト変態が終了するまでの時間が長くなり、マルテンサイトやベイナイトなどの過冷組織を生成しやすくなる。ニッケル(Ni)は、特には0.01質量%以上の添加で鋼線の靭性を高める効果があるが、含有量が0.5質量%を超えるとパーライト変態が終了するまでの時間が長くなる。コバルト(Co)は特には0.01質量%以上の添加で初析セメンタイトの析出を抑制する効果があり、バナジウム(V)は特には0.01質量%以上の添加でオーステナイト粒の粗大化を防止するとともにスチールフィラメントの強度を上昇させる効果がある。しかし、これらいずれも、含有量が0.5質量%を超えると、添加の効果は既に飽和していることから、過剰含有分が無駄となり、製造コストが増大してしまう。銅(Cu)は、スチールフィラメントの耐食性を高める効果があるが、0.2質量%を超えるとイオウ(S)と反応してCuSを生成するため、線材製造過程で鋼塊や線材などにキズ(疵)を発生させるおそれがある。モリブデン(Mo)は、特には0.01質量%以上の添加でパーライト組織を微細化させる効果があるが、0.2質量%を超えると粗大な炭化物Mo2Cを生成し、伸線加工性を低下させる。タングステン(W)及びニオブ(Nb)は、いずれも特には0.01質量%以上の添加で耐食性を高める効果があるが、これらのいずれかが0.2質量%を超えると、パーライト変態が終了するまでの時間が長くなる。
【0031】
主フィラメントとして用いるスチーフィラメントの強度が、上記式(I)の範囲よりも小さいならば、ベルト材強度を得るためには、スチールコードの打ち込み本数が密になりすぎる。そのため、隣り合うスチールコード間の間隔が狭くなることから、コードセパレーションを生じやすくなり、タイヤの耐久性が低下する。また、上記式(I)の範囲を超えるならば、延性が極端に悪くなり、脆化による早期破壊を誘発するので、やはりタイヤ耐久性が低下する。
【0032】
本発明の空気入りラジアルタイヤは、各ベルトプライの幅寸法中におけるスチールコードの占有率(「コード占有率」)が、好ましくは50〜75%である。スチールコードの占有率は、50%未満であると、スチールコード間の距離が開き過ぎることから、曲げ剛性の低下、及びこれによる操縦安定性の低下を招く。一方、75%を超えると、ベルトプライが剛直になり過ぎるため、乗り心地が損なわれ、特には、轍乗り越し性(轍(わだち)への進入及び脱出を行った際の、スムーズさ、及び、轍からの反撥によるハンドルの取られ)が損なわれる。また、スチールコード間の距離が過度に小さくなることから、スチールコード間の応力をゴム層により充分に吸収し得ない箇所が生じ、「コードセパレーション」と呼ばれる、スチールコード間の分離・剥離が生じやすくなる。その結果、タイヤの耐久性が低下する。ここで、コード占有率(%)とは、コードを所定の打ち込み密度で引き揃えて配列しゴム被覆された、いわゆるトッピング反において、次式で計算される値を使用する。コード占有率(%)=コード径(mm)×コード打ち込み本数(本/25.4mm)×100/25.4(mm)。
【実施例】
【0033】
本発明の各実施例(実施例1〜2)におけるスチールコード及びベルトプライの構成について、図1〜3を参照しつつ簡単に説明する。本実施形態では、各スチールコード1が、断面が円形の5本の主フィラメント2−1,2−2,2−3,2−4,2−5からなり、これらの主フィラメント2の間で、正弦波状の波付けの位相が互いにほぼ等しい。図1に示す具体的な形態において、主フィラメント2の波付けのピッチと、ラッピングフィラメント3を巻き付けるピッチとが、いずれも同一のピッチPとなっている。そして、主フィラメント2がなす束の側面には、波付けによって湾入状の凹部が形成されるが、ラッピングフィラメント3は、この凹部の箇所に巻き付くことで、スチールコード1の左右へと方向転換をおこなう。また、図3に示すように、ベルトプライ4の厚みは、スチールコード1の短径(厚み)Tよりも少し大きい。
【0034】
各実施例で用いた他の構成及び条件は、下記表1〜表4に示すとおりである。
【0035】
径が互いに異なる2種のスチールフィラメントを、主フィラメント2及びラッピングフィラメント3として用いた。まず、直径0.20mmのスチールフィラメントについて、正弦波状かつ二次元状に所定の波付けを行って主フィラメント2を得た。そして、5本の主フィラメント2について、撚りをかけることなく、波付け方向に並列させ、互いに山同士及び谷同士が重なり合うようにして扁平な束とした。この後、波付け等を行わないままの直径0.15mmのラッピングフィラメント3を、主フィラメント2の束に、所定ピッチにて巻き付けた。この巻き付けの際、主フィラメント2の束には、撚りがかからないようにした。
【0036】
表1〜2の上半部に、各実施例における主フィラメントの炭素含有量、及びその他の合金元素組成を示す。表1〜2に示すように、実施例1〜4では、炭素含有量を0.97〜1.12%(質量%、以下同様)の範囲で変化させ、他の条件はほぼ同一とすることで、炭素含有量の影響を見た。また、実施例5〜10では、主フィラメントの炭素含有量を1.07%に固定しつつ、主フィラメントの他の合金元素組成を変化させ、その影響を見た。表1〜2において、Al及びTiは表記がない場合0.001%未満であり、Ni, Cu, V, Co, Nbは表記がない場合0.01%未満である。すなわち、いずれの実施例、いずれの比較例においても、Al含有量及びTi含有量は、0.001%以下であり、Cu, V, Co, Nbは、0.01%以下であった。なお、いずれの実施例でも、いずれの比較例においても、同一のラッピングフィラメントを用いた。このラッピングフィラメントには、径が0.15mmのものを用いた。主フィラメントについて、各合金元素の含有量の測定は、以下のとおり各JIS規定に準拠して行った。C: JIS G 1211の「高周波遊動加熱路燃焼−赤外線吸収法」。Si, Mn, P, Al, Ti, Mo, Cr. Ni, Cu, V, Co: JIS G 1258-1の「熱分解・二硫酸カリウム融解法」、但しCrは、塩酸:硝酸:水(質量比1:1:2)の水溶液に鋼材を溶解してIPC分析。S: JIS G 1215の「燃焼−高周波遊動加熱赤外線吸収法」。B: JIS G 1258-6の「熱分解・炭酸ナトリウム融解法」。N: JIS G 1228の「不活性ガス融解−熱伝導度法」。O: JIS Z 2613の「不活性ガス融解−熱伝導度法」。Nb: JIS G 1258-4の「熱分解・二硫酸カリウム融解法」。
【0037】
JIS G3510に準じて、主フィラメント2及びラッピングフィラメント3の径を測定した。また、波付け後における主フィラメント2の波付けの高さ及びピッチは、以下の方法で測定した。波付け高さHは、波付けされた主フィラメント2について、一つの山から次の谷までに至る波付けの振幅方向の距離を、5カ所で測定し、その平均とした。波付けピッチPは、波付けされた主フィラメント2について、一つの山から次の山にまで至る波付けの連続方向(コード軸方向)の距離を、5カ所で測定し、その平均とした。また、得られたスチールコード1について、JIS G3510に準じて、長径(幅)W及び短径(厚み)Tを測定するとともに、引張試験機(島津製作所(株)オートグラフ)で、引張り強度を測定した。さらに、スチールコード1の断面形状を観察し、主フィラメント2同士が、一層に、ほぼ同一平面に並んでいるかどうかについて判断し、良好なものを○、不良のものを×とした。
【0038】
一方、比較対象の基準とした従来例は、0.27mm径の断面が円形のスチールフィラメントを、コアフィラメント及びシースフィラメントに用い、2本の、撚り合わせない状態(無撚り)のコアフィラメントの周りに、2本のシースフィラメントを巻き付けたものである。巻き付け(撚り)のピッチは、14.0mmである。
【0039】
次ぎに、各スチールコードを13.3本/25.4mm(インチ)〜14.9本/インチの打ち込み数で、コード上下のゴム被覆厚みを一定として反幅300mmにてカレンダー装置を用いてトッピング反を作製した。この後、トッピング反をベルトプライ(裁断角度23°、2プライ)に適用した。重量は、表1中に、タイヤ1本あたりの重量に換算した後、従来例を100とする指数で表示した。なお、タイヤ全体に占めるベルト層の重量比率は、約12.5%である。
【0040】
一方、カーカスプライはポリエステルコード1100dtex/2、打ち込み数24本/25mmを2プライとした。このようにして、各タイヤで共通にしたサイズ205/55R16の乗用車タイヤを製造し、下記評価を行った。
【0041】
・タイヤ耐久性:試験タイヤを内圧110kPa(1.1kgf/cm2 )でJIS規定の標準リムに組み付け、JATMA規定の最大荷重時の62%だけ撓む荷重で、ドラムにタイヤを押し付け、負荷をかけた。本走行は、420rpmで720時間行った。但し、明確な異常が認められたならばその時点で走行試験を終了した。そして、走行試験終了後のタイヤを解体し、ベルト端部におけるエッジセパレーションの長さを計測するとともに、コード折れの有無を観察した。エッジセパレーションについては、次のように判定を行った。0mm:無。1〜3mm:微小。4〜6mm:小。7〜9mm:中。10mm以上:大。
【0042】
・実車操縦安定性:各タイヤをJIS規定の標準リムを用いて内圧200kPaに調整し、排気量2000ccの乗用車に装着した。そして、操縦安定性評価用のテストコースにて、訓練された3名のテストドライバーにより、ハンドル応答性、剛性感、グリップ感等の操縦安定性を総合的に官能評価した。この際、従来例を6点として10点満点で相対比較にて行い、3名の平均点を、従来例を100とする指数で示した。数値の大きいほど操縦安定性が良好であることを示している。
【0043】
・轍(わだち)乗り越し性:実車操縦安定性と同様の条件にて、試験車両の前輪に試験タイヤを装着し、轍乗り越し性評価用テストコースにて3名のテストドライバーにより轍乗り越し性を官能評価した。スムーズに載り越せるものを「○」、乗り越しにくいものを「×」とした。
【表1】

【表2】

【0044】
表1〜2の結果に示すとおり、実施例1〜10では、ベルト層の重量を小さく抑えつつ、従来例と同等のタイヤ耐久性及び従来例より有意に優れた実車操縦安定性が得られた。また、轍乗り越し性においても、従来例と同等の結果が得られた。実施例3〜5及び8〜10では、他の実施例よりも、フィラメントの引っ張り強度及びコードの引っ張り強度が大きく、このため、実車操縦安定性が優れていた。実施例1〜2は炭素含量が他の実施例よりも少し低く、実施例6は、Cr含量が0.01%未満であって、かつホウ素(B)含有量が1ppm未満であり、実施例7はホウ素(B)含有量が過剰であった。これらのことが、実施例1〜2及び6〜7で、比較的強度が低く操縦安定性が低かった理由であると考えられた。実施例8〜9は、フィラメント強度が最も高かったが、これは、ホウ素(B)含有量が最も適当で、かつ、モリブデン(Mo)などの含有量も適当であったためと考えられる。
【0045】
比較例1は、炭素含量が低く、またホウ素(B)含有量が過少であったため、フィラメント強度及びコード強度が低くなり、コード打ち込み本数を多くする必要があった。このため、耐久性試験後には、7〜9mmのベルト端部での剥離が見られた。比較例2は、炭素含有量が過剰であったため、ベルト層の重量をかなり小さくできたものの、コードの靭性が不足し、耐久性試験後にはコード折れが見られた。比較例3は、フィラメント径が過小であるため、コード打ち込み数を増大させる必要があり、そのため、ベルトエッジセパレーションが大きく、コード折れも見られた。
【0046】
比較例4は、主フィラメント2の径を0.32mmと大きくしたところ、実施例と同様の軽量化効果が得られるものの、耐久性試験後にはコード折れが見られた。その原因としては、主フィラメント径が過大で、タイヤコードの耐久性が低下し、結果的にタイヤの耐久性が低下したものと考えられる。
【0047】
比較例5は、コードあたりの主フィラメントの数が1であるためコード打ち込み数を非常に大きくとる必要があり、コード占有率が100%を超えてしまった。比較例5は、耐久性などの性能が得られないことが明らかであるため、性能試験を行わなかった。比較例6は、並列される主フィラメント2の数を7としたため、ラッピングフィラメント3を巻き付けた際に、主フィラメント2が一層に整列する形状が崩れて安定したコード形状が得られなかった。そのため、耐久性試験後にはコード折れが見られた。
【0048】
次に、表3に、波付けの波高さ及び波ピッチを変化させた実施例及び比較例を示す。表3に示すように、実施例11と実施例5とでは、波付けの波高さのみが異なっている。波高さをより大きくした実施例11において、コード折れは見られず、ベルト端部の剥離は実施例5と同様微小レベルであるが、実施例5と比較し剥離量が若干少なかった。これは、実施例11の場合、接地時にタイヤ周方向へと波形が押し広げられる余地が大きいことに起因して、応力が、より分散し、タイヤ故障が生じ難くなっているとともに、変形の生じ易さから操縦安定性が低下したものと考えられる。
【0049】
比較例7〜9の空気入りラジアルタイヤは、下記に言及する構成を除き、実施例5のタイヤと同一である。比較例7のタイヤは、波付けの波高さを0.15mmと、過大なものとした結果、ベルト層軽量化の程度は実施例と同様であったものの、操縦安定性が低下した。比較例8は、波付けのピッチを2.0mmと過少にした結果、ベルト層軽量化の程度は実施例と同様であったものの、操縦安定性が低下した。比較例9は、波付けの波高さを0.01mmと、過少にした結果、タイヤ耐久性において劣っていた。但し、操縦安定性は高かった。
【表3】

【0050】
下記の表4には、ベルトコードについての、上記表1〜2の各実施例及び各比較例を含む49種類の試験例についてまとめて示す。
【表4】

【0051】
表4において、上記の実施例または比較例に該当するものには、試験例No.の左の欄外に、その旨を記載している。表4中の各試験例において、ラッピングフィルムには径が0.15mmの同一のスチールフィラメントを用いており、複数の主フィラメントを用いる場合に、撚り合わせることなく単一の層をなすように並列させている。また、いずれの試験例においても、各主フィラメントには、上記表1〜2中に記載したように、0.06mmの波付け高さ及び4.5mmの波付けピッチを有するように、同一の波付けを施した。
【0052】
表4の試験例2は、実施例1(試験例3)と同一のスチール材料からなるフィラメントを主フィラメントに用いたが、主フィラメント径が0.15mmと小さいために、コード引っ張り強度(コード強力)が小さくなっている。また、このコードをベルトプライに用いたタイヤを実車に装着した場合、コードの剛性が小さいために操縦安定性が多少不利になるか、または打ち込み数を多くする必要からタイヤ耐久性において多少不利である。一方、表4の試験例4(試験例6と試験例7の間に表示)では、実施例1(試験例3)と同一のスチール材料からなるフィラメントを主フィラメントに用いたが、主フィラメント径が0.30mmと大きいために、フィラメント強度は少し小さめであったが、コードの長径及び短径が大きくなり、コード強力が大きくなった。この場合、コードの剛性が比較的大きくなり、タイヤ耐久性において多少不利である。
【0053】
試験例23及び26のコードは、実施例5(試験例16)よりも炭素含量がさらに高いスチール材を用い、他の条件は、実施例5と同様としたものであり、コード引っ張り強度が実施例5の場合より少し大きくなっている。但し、コードの剛性が比較的大きくなり、タイヤ耐久性において多少不利である。一方、試験例25のコードは、試験例26と同一のスチール材を用い主フィラメントの径を0.15mmとしたものであり、コード強力が小さめであり、ベルトプライに用いたタイヤを装着した場合、コードの剛性が小さいために操縦安定性がやや低めとなるか、または打ち込み数を多くする必要があるためにタイヤ耐久性が低めになる。試験例27のコードは、試験例25及び26と同一のスチール材を用い主フィラメントの径を0.30mmと大きくしために、コードの剛性が比較的大きくなり、タイヤ耐久性において多少不利である。
【0054】
試験例28のコードは、試験例25〜27と同一のスチール材を用い、主フィラメントの径を0.32mmと過大にした比較例である。コードの長径及び短径が過大であり、剛性が過大であるために、タイヤ耐久性に劣る。一方、試験例24のコードは、試験例25〜28と同一のスチール材を用い、主フィラメントの径を0.14mmと過小にした比較例である。フィラメント強度が本発明の範囲外であり、コードの剛性が小さい。
【0055】
最後に、図4を用いて、スチールコードの構成の変形例について説明する。変形例のスチールコード1’は、主フィラメント2の断面が、円形でなく、扁平な形状となっている。各主フィラメント2における、径Dに対する厚みDTの比は、例えば、0.6〜0.8倍である。変形例によると、スチールコードの厚みをより小さくできる。但し、並列される主フィラメントの数は、例えば5以下または4以下である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上の通り、本発明の空気入りラジアルタイヤは、操縦安定性や乗り心地性、耐久性に優れるとともに軽量化を実現するもので、特には各種乗用車用タイヤに好適である。
【符号の説明】
【0057】
1 スチールコード 2 主フィラメント 3 ラッピングフィラメント
4 ベルトプライ 5 ベルト結合ゴム材 D 主フィラメントの径
DT 変形例の主フィラメントの厚み H 波付けの高さ
P 波付け及び巻き付けのピッチ T スチールコードの短径(厚み)
W スチールコードの長径(幅)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量基準の含有率で、C:0.95〜1.20%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜1.0%、Al:0.01%以下、Ti:0.01%以下、N:20〜40ppm、O:20〜40ppmを含有し、直径(D)が0.15〜0.30mmであり、引張り強度TS(Mpa)が下式(I)を満たすスチールフィラメントを主フィラメントとして用い、
同一の径の2〜6本の前記主フィラメントを、撚り合わせることなく単一の層をなすように並列させて主フィラメント束とし、前記主フィラメントより小径で真直の1本のスチールフィラメントをラッピングフィラメントとして前記主フィラメント束の周囲に巻き付けてなるスチールコード(n+1構造:n=2〜6)を、タイヤベルト層に用いたことを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
−2000×D+4400≦TS(Mpa)≦−2000×D+5400・・・(I)
但し、Dは主フィラメントの径をmm単位で示した数値。
【請求項2】
前記主フィラメントをなすスチールフィラメントは、ホウ素(B)含有量が4〜30質量ppmであり、このうち、固溶ホウ素(B)含有量が3質量ppm以上であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
【請求項3】
前記主フィラメントをなすスチールフィラメントは、質量%で、Cr、Ni及びCoがいずれも0.5%以下、V、Cu、Mo及びWがいずれも0.2%以下、Nbが0.1%以下であり、これらCr、Ni、Co、V、Cu、Mo、W及びNbからなる群より選択される少なくとも1種以上を、0.01%以上含有することを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
【請求項4】
前記主フィラメントをなすスチールフィラメントが、型付けまたは波付けされたものである請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
【請求項5】
前記主フィラメントをなすスチールフィラメントの波付けの高さ及びピッチが互いに同一であり、波付け高さ(波高)が0.03〜0.11mm、波付けピッチ(波長)が3.0mm〜30.0mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
【請求項6】
各ベルトプライの幅寸法におけるスチールコードの占有率が50〜75%である請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
【請求項7】
少なくとも2枚のベルトプライが備えられた請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−106570(P2012−106570A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256068(P2010−256068)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【出願人】(000003528)東京製綱株式会社 (139)
【Fターム(参考)】