説明

空気処理装置

【課題】本発明の実施形態は、処理能力を低化させずに、メンテナンス性の向上を図ることができる空気処理装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、開口された第1の端部と、前記第1の端部とは反対側の第2の端部に設けられた複数の孔を有した第1の通気部と、を有した第1の筐体と、開口された第3の端部と、前記第3の端部とは反対側の第4の端部に設けられた複数の孔を有した第2の通気部と、を有し、前記第1の筐体の内部の前記第1の端部の側に設けられた第2の筐体と、前記第1の筐体の内部の前記第2の筐体と、前記第1の通気部と、の間に設けられた放電部と、前記第2の筐体の内部に設けられたフィルタと、を備えたことを特徴とする空気処理装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾンを用いて空気中に含まれている臭気成分や有害物質などの分解を行う空気処理装置が知られている。この様な空気処理装置においては、電極に高電圧を印加して放電を生じさせ、この放電によりオゾンを発生させるようにしている。そして、塵や埃などの付着による電気回路のショートを防止するため、電極の上流側にフィルタを配設している。また、放電により発生したノイズが外部に漏れないようにするために、電極やフィルタなどを覆うようにしてシールド部が配設されている。
この様な空気処理装置においては、フィルタを交換する際にシールド部を取り外す必要があり、メンテナンス性が悪くなるという問題があった。また、シールド部を取り外す際にシールド部が破損したり、シールド部を取り付ける際に接触不良などが生じて電磁シールドに対する信頼性が低下したりするおそれもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−165546号公報
【特許文献2】特開2009−45341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、処理能力を低化させずに、メンテナンス性の向上を図ることができる空気処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、開口された第1の端部と、前記第1の端部とは反対側の第2の端部に設けられた複数の孔を有した第1の通気部と、を有した第1の筐体と、開口された第3の端部と、前記第3の端部とは反対側の第4の端部に設けられた複数の孔を有した第2の通気部と、を有し、前記第1の筐体の内部の前記第1の端部の側に設けられた第2の筐体と、前記第1の筐体の内部の前記第2の筐体と、前記第1の通気部と、の間に設けられた放電部と、前記第2の筐体の内部に設けられたフィルタと、を備えたことを特徴とする空気処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本実施の形態に係る空気処理装置の設置状態を例示するための模式断面図である。
【図2】本実施の形態に係る空気処理装置の模式部分断面図である。
【図3】比較例に係る空気処理装置を例示するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施の形態に係る空気処理装置の設置状態を例示するための模式断面図である。なお、図1中の矢印は空気の流れ方向を表している。
図2は、本実施の形態に係る空気処理装置の模式部分断面図である。
図3は、比較例に係る空気処理装置を例示するための模式断面図である。なお、図3中の矢印は空気の流れ方向を表している。
【0008】
まず、比較例に係る空気処理装置について例示する。
図3に示すように、空気処理装置100には、筐体102、放電部103、触媒部104、フィルタ105、制御部106、蓋部107が設けられている。
筐体102は、箱状を呈し、その内部に放電部103、触媒部104、フィルタ105、制御部106が設けられている。また、筐体102の一方の端部は開口されており、この開口を覆うようにして蓋部107が設けられている。
筐体102の他方の端部には複数の孔を有した通気部102aが設けられている。筐体102は、放電により発生したノイズが外部に漏れないように金属などから形成されている。通気部102aに設けられた孔は、通気をさせることができ、且つ放電により発生したノイズが外部に漏れないような大きさとされている。
【0009】
放電部103は、互いに平行となるように設けられた一対の電極を複数組備えている。一対の電極の間には制御部106により高電圧が印加され、電極間に放電が生じるようになっている。この放電により空気中の酸素分子が解離し、他の酸素分子と再結合することによってオゾンが生成される。
【0010】
触媒部104は、放電部103において生成されたオゾンのうち、所望の空気処理に使用されなかった余剰のオゾンを分解するために設けられている。
フィルタ105は、空気処理装置100に導入される空気に含まれている塵や埃などを除去する。
制御部106は、放電部103に設けられた電極間に高電圧を印加する。
蓋部107は、箱状を呈し、一方の端部が開口されている。また、蓋部107の開口寸法は筐体102の外形寸法よりも大きくなっており、筐体102の開口を覆うようにして蓋部107を取り付けることができるようになっている。蓋部107の他方の端部には複数の孔107aが設けられている。蓋部107は、放電により発生したノイズが外部に漏れないように金属などから形成されている。孔107aは、放電により発生したノイズが外部に漏れないような大きさとされている。
そのため、本比較例においては、筐体102と蓋部107とが協働してシールド部となる。
【0011】
ここで、フィルタ105を交換する際にはシールド部である蓋部107を取り外す必要がある。また、蓋部107は粘着テープなどを用いて筐体102に固定されているため、蓋部107を取り外す際には粘着テープなどを剥がし、蓋部107を取り付ける際には粘着テープなど貼り付ける必要がある。そのため、メンテナンスに要する時間が長くなったり、手間もかかったりするため、メンテナンス性が悪いという問題がある。
また、蓋部107を取り外す際に蓋部107が破損したり、蓋部107を取り付ける際に接触不良などが生じて電磁シールドに対する信頼性が低下したりするおそれもある。
【0012】
次に、図1、図2に戻って本実施の形態に係る空気処理装置1について例示する。
図1、図2に示すように空気処理装置1には、筐体2(第1の筐体の一例に相当する)、放電部3、触媒部4、フィルタ5、制御部6、筐体7(第2の筐体の一例に相当する)が設けられている。
【0013】
筐体2は、箱状を呈し、その内部に放電部3、触媒部4、制御部6が設けられている。また、筐体2の一方の端部は開口されており、この開口を塞ぐようにして筐体7が設けられている。
筐体2の他方の端部には複数の孔を有した通気部2a(第1の通気部の一例に相当する)が設けられている。筐体2全体に複数の孔を設けるようにすれば、筐体2の剛性が弱くなりすぎるので、通気部2aに複数の孔を設けるようにしている。すなわち、筐体2は、開口された端部2c1(第1の端部の一例に相当する)と、端部2c1とは反対側の端部2c2(第2の端部の一例に相当する)に設けられた複数の孔を有した通気部2aと、を有している。
筐体2は、放電により発生したノイズが空気処理装置1の外部に漏れないように金属などから形成されている。通気部2aに設けられた孔は、空気処理装置1の外部から入り、その後、フィルタ5、放電部3、及び触媒部4等で順次処理されて通過した空気を通気させることができ、且つ、放電部3での放電により発生したノイズが空気処理装置1の外部に漏れないような大きさとされている。
【0014】
通気部2aは、筐体2と一体的に形成されたものとすることもできるし、溶接やカシメなどにより接合及び導通されたものとすることもできる。また、通気部2aは、板状体に孔が設けられたものとすることもできるし、網状体とすることもできる。例えば、通気部2aは、プレス加工により複数の孔が設けられた板状体、エキスパンドメタル、ワイヤを編み込んだ金網などから形成されたものとすることができる。
【0015】
通気部2aは、通気面に設置されるため、開口率を大きくして通気抵抗を小さくするようにすることが好ましい。また、放電により発生したノイズが空気処理装置1の外部に漏れないような大きさとする必要がある。例えば、開口率を70%以上、孔における最大寸法を3mm以下(例えば、円形の孔の場合は直径寸法が3mm以下)、厚み寸法を0.3mm以下とすることができる。
【0016】
通気部2aから筐体2の開口端側に向けて支持部2bが立設されている。支持部2bは、放電部3の電極3a、3bと略平行となるようにして設けることができる。その様にすれば、一対の電極3a、3b同士の間を支持部2bが挿通するようにすることができる。
後述するように、支持部2bは、筐体7の通気部7a(第2の通気部の一例に相当する)を支持する。すなわち、筐体2は、通気部2aから立設した支持部2bを有し、支持部2bの通気部2aとは反対側の端部は、通気部7aと当接している。この様に、支持部2bの端部を筐体7の通気部7aに当接させることで通気部7aを支持し、通気部7aが放電部3の電極3a、3b側に撓むことが抑制されるようになっている。そのため、放電部3の電極3a、3bの近傍に筐体7の通気部7aを配設しても、筐体7の通気部7aと放電部3の電極3a、3bとが接触して電気的に短絡することを防止することができる。また、支持部2bを設けることで通気部2aの撓みを抑制することができる。また、支持部2bを設けることで筐体2自体の剛性も大きくすることができる。
【0017】
支持部2bの材質は金属とすることもできるし、樹脂などの非金属とすることもできる。支持部2bの材質を金属とすると、支持部2bの剛性を大きくすることができる。そのため、通気部2aの撓みを小さくすることができ、筐体2自体の剛性も大きくすることができる。ただし、支持部2bの材質を金属とすると電極3a、3bの電界が引き寄せられて放電に悪影響を及ぼすおそれがある。そのため、支持部2bの材質を金属とする場合には、支持部2bと電極3a、3bとの間の距離を大きくするようにすることが好ましい。支持部2bの材質を樹脂などの非金属とすると、金属の場合と比べて支持部2bの剛性は小さくなるが、放電に対する悪影響を抑制することができる。
【0018】
また、支持部2bを設けることで筐体2の内部を分割することができる。この場合、分割された筐体2の内部にあわせて放電部3や触媒部4を分割するようにすることができる。その様にすれば、セル生産方式による生産が可能となるので生産性を向上させることができる。
【0019】
放電部3は、筐体2の内部の筐体7と通気部2aとの間に設けられている。放電部3は、互いに平行となるように設けられた一対の電極3a、3bを複数組備えている。一対の電極3a、3bの間には制御部6により高電圧が印加され、電極3a、3b間に放電が生じるようになっている。この放電により空気中の酸素分子が解離し、他の酸素分子と再結合することによってオゾンが生成される。
【0020】
触媒部4は、筐体2の内部の放電部3と通気部2aとの間に設けられている。触媒部4は、放電部3において生成されたオゾンのうち、所望の空気処理(例えば、有害物質の分解など)に使用されなかった余剰のオゾンを分解させるために設けられている。すなわち、触媒部4は、所望の空気処理に使用されなかった余剰のオゾンを分解除去することで、空気処理装置1から排出される空気の無害化あるいは空気処理装置1から排出される空気に含まれるオゾンの濃度を低減させる。
【0021】
触媒部4は、例えば、多孔状、ハニカム状、三次元網目状の構造体にオゾン分解触媒を担持させたものとすることができる。触媒部4は、オゾン分解触媒を含みオゾン分解触媒によりオゾンを分解することができる様になっている。オゾン分解触媒としては、例えば、二酸化マンガンなどを例示することができる。
【0022】
フィルタ5は、筐体7の内部に設けられている。
フィルタ5は、空気処理装置1に導入される空気に含まれている塵や埃などを除去する。すなわち、フィルタ5は、空気に含まれている塵や埃などが放電部3の電極3a、3bなどに付着して電気的な短絡などが生じることを抑制するために設けられている。
フィルタ5は、例えば、織布や不織布などの繊維シートを蛇腹状または波状に屈曲成形したものを複数枚積層したものとすることができる。その様にすれば、フィルタ5の表面積を増大させることができるので集塵効率を向上させることができる。また、フィルタ5の通気孔の総開口面積を増大させることができるので圧力損失を低減させることができる。なお、フィルタ5の構成は例示をしたものに限定されるわけではなく、例えば、繊維を3次元網目構造としたものなどとすることができる。
【0023】
制御部6は、放電部3に設けられた電極3a、3b間に高電圧を印加する。
制御部6は、例えば、トランスなどの図示しない高電圧発生部を備えたものとすることができる。
【0024】
筐体7は、箱状を呈し、一方の端部7c1(第3の端部の一例に相当する)が開口されている。
筐体7の開口には、筐体7の中心側に向けて突出した保持部7bが設けられている。すなわち、筐体7は、端部7c1の側に筐体7の中心側に向けて突出した保持部7bを有している。保持部7bは、フィルタ5が筐体7から脱離することを抑制するために設けられている。
前述したように、フィルタ5が、繊維シートを蛇腹状または波状に屈曲成形されたものであったり、繊維を3次元網目構造としたものであったりした場合には、フィルタ5を湾曲させり、平面方向に縮めたりすることができる。そのため、筐体7の開口に保持部7bが設けられていてもフィルタ5を容易に挿抜させることができる。なお、保持部7bを設けているので、フィルタ5を意図的に取り外そうとしなければ、筐体7からフィルタ5が脱離するおそれは少ない。
【0025】
また、フィルタ5を交換する際には、筐体2から筐体7を取り外す必要がないので、筐体7が破損するおそれがない。また、フィルタ5を交換する際には、筐体2から筐体7を取り外す必要がないので、接触不良などが生じて電磁シールドに対する信頼性が低下したりするおそれもない。
【0026】
また、可撓性の保持部7bとしたり、開閉可能な保持部7bとしたりすることもできる。その様にすれば、湾曲させたり、平面方向に縮めたりすることができないフィルタ5にも対応することができる。
すなわち、保持部7bは、筐体7の内部に設けられたフィルタ5を挿抜可能となるようにされていればよい。
【0027】
筐体7の他方の端部7c2(第4の端部の一例に相当する)には複数の孔を有した通気部7aが設けられている。筐体7全体に複数の孔を設けるようにすれば、筐体7の剛性が弱くなりすぎるので、通気部7aに複数の孔を設けるようにしている。
すなわち、筐体7は、開口された端部7c1と、端部7c1とは反対側の端部7c2に設けられた複数の孔を有した通気部7aと、を有し、筐体2の内部の端部2c1の側に設けられている。
【0028】
筐体7は、放電により発生したノイズが空気処理装置1の外部に漏れないように金属などから形成されている。通気部7aに設けられた孔は、空気処理装置1の外部から入り、その後、フィルタ5を通過した空気を、放電部3から触媒部4の順に通気させることができ、且つ、放電部3での放電により発生したノイズが空気処理装置1の外部に漏れないような大きさとされている。そのため、筐体2と筐体7とが協働して放電部3において発生したノイズを遮蔽することができる。
【0029】
通気部7aは、筐体7と一体的に形成されたものとすることもできるし、溶接やカシメなどにより接合及び導通されたものとすることもできる。また、通気部7aは、板状体に孔が設けられたものとすることもできるし、網状体とすることもできる。例えば、通気部7aは、プレス加工により複数の孔が設けられた板状体、エキスパンドメタル、ワイヤを編み込んだ金網などから形成されたものとすることができる。
【0030】
通気部7aは、通気面に設置されるため、開口率を大きくして通気抵抗を小さくするようにすることが好ましい。また、放電により発生したノイズが空気処理装置1の外部に漏れないような大きさとする必要がある。例えば、開口率を70%以上、孔における最大寸法を3mm以下(例えば、円形の孔の場合は直径寸法が3mm以下)、厚み寸法を0.3mm以下とすることができる。
ここで、通気部7aの大きさを大きくすると通気部7aの剛性が低くなるので、通気部7aが撓み易くなる。例えば、通気部7aの一辺の長さを100mm以上とすると、通気部7aが撓み易くなる。この場合、前述した支持部2bを設けるようにすれば、通気部7aの大きさを大きくしても通気部7aと放電部3の電極3a、3bとが接触することを抑制することができる。また、放電部3の電極3a、3bの近傍に筐体7の通気部7aを配設することができる。そのため、空気処理装置1の通気性の向上や薄型化などを図ることができる。
【0031】
前述したように、筐体2の開口を塞ぐようにして筐体7が設けられている。この際、シールド効果を高めるために、筐体2と筐体7とがほぼ隙間無く接触しているようにすることが好ましい。例えば、筐体2の開口に筐体7を嵌め合わせたり、図示しない付勢手段により筐体2に筐体7を押し付けたりすることができる。また、筐体2と筐体7との導通を確実なものとするために、筐体2と筐体7とを電気配線でつなぐようにすることもできる。ここで、フィルタ5は、塵や埃などが詰まることにより通気性が悪化して性能が経時的に劣化する。そのため、比較的頻繁にフィルタ5を交換がすることが必要となる場合が多い。これに対して、フィルタ5により塵や埃などが除去されるので、フィルタ5の下流側に設けられる放電部3、触媒部4はメンテナンスの回数を少なくすることができる。そのため、筐体2の開口に筐体7を嵌め合わせたり、図示しない付勢手段により筐体2に筐体7を押し付けたり、電気配線で筐体2と筐体7とをつないだりしても、放電部3や触媒部4などに関するメンテナンス性が大きく損なわれるようなことはない。
【0032】
また、空気処理装置1に空気を導入する導入部20、導入部20と空気処理装置1とを一体化させるための管体21をさらに設けるようにすることができる。
導入部20は、空気に圧力を与え、これを送り出すことで、空気処理装置1の外部の空気を筐体2の内部に導入する。導入部20は、例えば、図1に例示をしたような軸流式のプロペラ送風機などとすることができる。ただし、導入部20は図1に例示をしたものに限定されるわけではなく、空気に圧力を与えこれを送り出すことができるものを適宜選択することができる。
【0033】
また、図1に例示をしたものの場合には、空気処理装置1において、通気部2aよりも、さらに処理された空気を排出する側に近い下流側に導入部20を設け、空気を引き込むようにして筐体2の内部に導入しているが、これに限定されるわけではない。空気処理装置1において、外部から空気が入り込む側により近い上流側に導入部20を設け、空気を押し込むようにして筐体2の内部に導入することもできる。
なお、導入部20の制御、例えば、導入部20の起動、停止、風量の制御などを制御部6により行うようにすることもできる。
【0034】
管体21は、両端部が開口された筒状を呈し、その内部に空気処理装置1、導入部20が設けられている。
導入部20と管体21は必ずしも必要ではなく、例えば、空調設備などに空気処理装置1を設けるような場合には、これらを省略することもできる。
【0035】
また、放電により発生した紫外線により光触媒を励起して臭気成分や有害物質などの分解をおこなう図示しない光触媒フィルタをさらに設けるようにすることもできる。光触媒フィルタとしては、例えば、ガラスやセラミックスなどの無機材料からなる基体の表面に、酸化チタンに代表される光触媒粒子を固定したものなどを例示することができる。
【0036】
また、空気処理装置1の設置対象としては特に限定されるわけではなく、家庭用として用いられるもの、業務用として用いられるもの、公共の場所に設置されるものなどに幅広く適用させることができる。
空気処理装置1の用途としては、例えば、厨房などにおいて用いられる脱臭装置、ゴミ処理機や分煙機に用いられる脱臭装置、エアコンディショナーなどの空調設備や冷蔵庫の内部貯蔵空間の脱臭を行う脱臭装置などに適用させることができる。
ただし、空気処理装置1の用途は例示をしたものに限定されるわけではなく、例えば、除菌を行ったり、ホルムアルデヒトなどの有害物質や臭気成分などの分解を行ったりするものなどに広く適用させることができる。
【0037】
次に、空気処理装置1の作用について例示をする。
制御部6により電極3a、3bの間に高電圧が印加され、電極3a、3b間に放電が生じる。
また、送風機などの導入部20により筐体2の内部に空気が導入される。
導入された空気に含まれていた塵や埃などはフィルタ5により除去され、塵や埃などが除去された空気が電極3a、3bの間に導入される。
【0038】
電極3a、3bの間に導入された空気中の酸素分子が放電により解離し、他の酸素分子と再結合することによってオゾンが生成される。
そして、生成されたオゾンにより空気中の臭気成分や有害物質が分解、除去される。また、カビ類などの菌の除菌が行われる。
また、光触媒フィルタが設けられている場合には、放電により発生した紫外線により光触媒が励起されて、光触媒の作用による臭気成分や有害物質の分解除去、除菌などが併せて行われる。
【0039】
臭気成分や有害物質の分解除去、除菌などに使用されなかった余剰のオゾンが含まれた空気は、触媒部4に導入され、触媒部4においてオゾンが分解除去される。
余剰のオゾンが分解除去された空気は、空気処理装置1から排出される。
この場合、空気処理装置1から排出される空気には残存オゾンが存在する場合があるが、残存オゾンの含有量は所定の基準値以下(例えば、0.06ppm以下程度)にされている。
【0040】
次に、空気処理装置1のメンテナンスについて例示をする。
空気処理装置1のメンテナンスとしては、フィルタ5の交換を例示することができる。 空気処理装置1に導入された空気に含まれていた塵や埃などはフィルタ5により除去される。そのため、塵や埃などがフィルタ5に詰まり、通気性が悪化するなどしてフィルタ5の性能が経時的に劣化するので、フィルタ5の交換が必要となる。
【0041】
比較例に係る空気処理装置100においてフィルタ105を交換する場合には、粘着テープなどを剥がして蓋部107を取り外し、フィルタ105の交換を行う。その後、蓋部107を筐体102に取付け、粘着テープなどで蓋部107を筐体102に固定する必要がある。
そのため、メンテナンスに要する時間が長くなったり、手間もかかったりするため、メンテナンス性が悪いという問題がある。
また、蓋部107を取り外す際に蓋部107が破損したり、蓋部107を取り付ける際に接触不良などが生じて電磁シールドに対する信頼性が低下したりするおそれもある。
【0042】
これに対して、本実施の形態に係る空気処理装置1においてフィルタ5を交換する場合には、フィルタ5を湾曲させたり、平面方向に縮めたりすることで、筐体7からフィルタ5を容易に取り外すことができる。また、新しいフィルタ5を筐体7に取り付ける際にも、フィルタ5を湾曲させたり、平面方向に縮めたりすることで、筐体7にフィルタ5を容易に取り付けることができる。
また、保持部7bが可撓性のものであったり、開閉可能なものであったりする場合には、保持部7bを持ち上げるだけでフィルタ5の挿抜を容易に行うことができる。
【0043】
また、フィルタ5を交換する際には、筐体2から筐体7を取り外す必要がないので、筐体7が破損したり、接触不良などが生じて電磁シールドに対する信頼性が低下したりするおそれもない。
【0044】
なお、フィルタ5の下流側に設けられる放電部3や触媒部4に付着した塵や埃などを除去する場合には、筐体2から筐体7を取り外す必要があるが、フィルタ5により塵や埃などが除去されるので放電部3や触媒部4に関するメンテナンスの回数は少ないものとなる。そのため、放電部3や触媒部4に関するメンテナンスによりメンテナンス性が大幅に悪化したり、電磁シールドに対する信頼性が大幅に低下したりするおそれはない。
【0045】
以上説明した実施形態によれば、処理能力を低下させずに、メンテナンス性の向上を図ることができる空気処理装置を実現することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明及びそれと等価とみなされるものの範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【0046】
例えば、空気処理装置1が備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 空気処理装置、2 筐体、2a 通気部、2b 支持部、3 放電部、3a 電極、3b 電極、4 触媒部、5 フィルタ、6 制御部、7 筐体、7a 通気部、7b 保持部、20 導入部、21 管体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口された第1の端部と、前記第1の端部とは反対側の第2の端部に設けられた複数の孔を有した第1の通気部と、を有した第1の筐体と、
開口された第3の端部と、前記第3の端部とは反対側の第4の端部に設けられた複数の孔を有した第2の通気部と、を有し、前記第1の筐体の内部の前記第1の端部の側に設けられた第2の筐体と、
前記第1の筐体の内部の前記第2の筐体と、前記第1の通気部と、の間に設けられた放電部と、
前記第2の筐体の内部に設けられたフィルタと、
を備えたことを特徴とする空気処理装置。
【請求項2】
前記第1の筐体の内部の前記放電部と、前記第1の通気部と間には、前記放電部を通過した空気を処理する触媒部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空気処理装置。
【請求項3】
前記第1の筐体は、前記第1の通気部から立設した支持部を有し、
前記支持部の前記第1の通気部とは反対側の端部は、前記第2の通気部と当接したこと、を特徴とする請求項1または2に記載の空気処理装置。
【請求項4】
前記第2の筐体は、前記第3の端部の側に前記第2の筐体の中心側に向けて突出した保持部を有したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の空気処理装置。
【請求項5】
前記放電部は、互いに平行な一対の電極を複数組有し、
前記支持部は、前記一対の電極同士の間を挿通したことを特徴とする請求項3または4に記載の空気処理装置。
【請求項6】
前記保持部は、前記第2の筐体の内部に設けられたフィルタを挿抜可能となるように設けられたことを特徴とする請求項4または5に記載の空気処理装置。
【請求項7】
前記フィルタは、繊維シートを蛇腹状または波状に屈曲成形したものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の空気処理装置。
【請求項8】
前記フィルタは、繊維を3次元網目構造としたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の空気処理装置。
【請求項9】
前記放電部は、放電によりオゾンを発生させ、
前記触媒部は、オゾン分解触媒を含み前記オゾン分解触媒によりオゾンを分解することを特徴とする請求項2〜8のいずれか1つに記載の空気処理装置。
【請求項10】
前記第1の筐体の内部に空気を導入する導入部をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の空気処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−95770(P2012−95770A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244717(P2010−244717)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】