説明

空気力学的コーティングを有するゴルフボール

【課題】空気力学的コーティングを有するゴルフボールを提供する。
【解決手段】ゴルフボール10は、ゴルフボール本体と、ゴルフボール本体の外側表面に塗布されたコーティング20とを含む。コーティングは、樹脂および複数の粒子を含み、この粒子は400nm〜40ミクロンの平均サイズを有する。粒子は、樹脂内に含有されるか、または樹脂層に接着されるおよび/もしくは埋め込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフボールに関する。本発明の特定の例示的局面は、ボールの空気力学的性能を改善するコーティングを有するゴルフボールに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフは、広範なプレーヤー − 性別が異なる、ならびに年齢および/または能力レベルが著しく異なるプレーヤーによって楽しまれている。ゴルフは、このような多様なプレーヤーの集まりが互いに直接試合をする場合でさえも、ゴルフ試合で一緒に競技することができ(例えばハンディをもらう採点法を用いて、一打目を打つ場所を変えて、チーム方式で、など)、なおもゴルフ大会または試合を楽しむことができるという点で、スポーツ界ではあまり類を見ないスポーツである。このような要因が、テレビのゴルフ番組(例えば、ゴルフトーナメント、ゴルフニュース、ゴルフの歴史、および/または他のゴルフ番組)の供給力の増大および少なくとも一部には著名なゴルフスーパースターの出現とあいまって、米国だけでなく世界中で、近年のゴルフの人気を高めている。
【0003】
あらゆる能力レベルのゴルファーが、自身のパフォーマンスを改善し、自身のゴルフスコアを下げ、そうした次のパフォーマンス「レベル」に到達しようとする。あらゆる種類のゴルフ用品製造者がこのような要求に応えており、近年、産業界ではゴルフ用品の劇的な変化および改善が起こっている。例えば広範囲の様々なゴルフボールモデルが現在利用可能であり、ボールは、特定のスウィング速度および/またはその他のプレーヤーの特徴または好みを補完するように設計され、例えば、一部のボールは、さらに遠くまでおよび/または真っ直ぐ飛ぶように設計され;一部のボールは、より高くまたはより平坦な弾道を与えるように設計され;一部はよりスピン、コントール、および/または感触(特にグリーン付近における)を高めるように設計され;一部は、より速いまたはより遅いスウィング速度用に設計される、等が行われている。多くのスウィングおよび/または補助教材も市場で利用可能であり、ゴルフスコアを下げるのを助けることを約束している。
【0004】
競技中にゴルフボールを動かす唯一の道具であるゴルフクラブも、近年、多くの技術的研究および進歩の対象となっている。例えば、市場では近年、パター設計、ゴルフクラブのヘッド設計、シャフト、およびグリップにおける劇的な変化および改善が見られる。さらに、ゴルフクラブの種々の構成要素および/または特徴ならびにゴルフボールの特徴が、特定のユーザーのスウィング特性または特徴により良く合うようにする試みにおいて、他の技術的進歩もなされている(例えば、クラブフィッティング技術、ボール打ち出し角度の測定技術、ボールスピン速度の測定技術、ボールフィッティング技術など)。
【0005】
現代のゴルフボールは、一般に、ワンピース構成またはコアを取り囲む外側カバーを含む多層のいずれかを備える。典型的に、ペイントおよび/または他のコーティングの一つまたは複数の層がゴルフボールの外側表面に塗布される。例えば、ある典型的な設計において、ゴルフボールの外側表面は、少なくとも一つの透明または着色ベースコートプライマーがまず塗られ、続いて透明なコーティングまたはトップコートが少なくとも1回塗布される。透明コーティングは、カバー材料の保護(例えば耐摩耗性または耐久性の改善)、ボールの飛びの空気力学の改善、黄変の予防、および/またはボールの美観の改善などの様々な機能を果たし得る。
【0006】
ある一般的なコーティングは、ゴルフボールの外部に塗布される溶剤系(solvent borne)2成分ポリウレタンを利用する。コーティングは、例えば圧縮空気を用いてコーティング材料を送達およびスプレーすることにより塗布できる。
【0007】
平滑なボール上の空気力学を改善するためにディンプルがゴルフボールに加えられていた。ディンプルの変形は、そのサイズ、形状、深さおよびパターンに関して何年にもわたって導入されている。他の概念としては、ディンプル内に小さいディンプルを含ませることにより、異なる空気力学的性能を与えている。このような小さいディンプルは、ボールの外側表面へのトップコートの塗布中に埋められてしまうことが多く、そのためボールの意図された効果が失われてしまう。
【0008】
産業界では、近年、ゴルフ用品に対する劇的な変化および改善が起こっているが、一部のプレーヤーは、自身のゴルフショット、特に自身のドライブまたはロングアイアンのショットの距離の増大、および/または特にグリーン付近での自身のショットのスピンまたはコントロールの改善を探索し続けている。従って、当技術分野においてゴルフ技術にはさらなる前進の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、空気力学的コーティングを有するゴルフボールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の局面は、樹脂およびゴルフボールの表面に適用された粒子を含むコーティング、およびこのようなコーティングを含むゴルフボールを対象とする。
【0011】
本発明の他の局面は、ゴルフボールの表面に、樹脂および粒子を含むコーティングを塗布する方法を対象とする。
【0012】
以下に、本開示およびその種々の局面の基本的理解を提供するために、本開示の局面の一般的な概要を示す。この概要は、本開示の範囲を多少なりとも限定することを意図するものではなく、後に続くより詳細な説明のための全体的な概説および内容を提供するだけのものである。
【0013】
より具体的には、本発明は以下を提供する。
[1]複数のディンプルが形成された外側表面を有するゴルフボール本体と、
該ゴルフボール本体の前記外側表面に塗布されたコーティングと
を備えるゴルフボールであって、
前記コーティングが、樹脂および複数の粒子を含み、該粒子が400nm〜40ミクロンの平均サイズを有する、ゴルフボール。
[2]粒子が、5〜20ミクロンの平均サイズを有する、[1]のゴルフボール。
[3]樹脂が、8〜50ミクロンの平均の厚さを有する、[1]のゴルフボール。
[4]樹脂が、10〜15ミクロンの平均の厚さを有する、[1]のゴルフボール。
[5]樹脂が熱可塑性エラストマーを含む、[1]のゴルフボール。
[6]熱可塑性エラストマーが、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル樹脂、および最大約15%の酸を含有する酸度の低い(low acid)熱可塑性アイオノマーからなる群より選択される、[5]のゴルフボール。
[7]樹脂がUV硬化性である、[1]のゴルフボール。
[8]コーティングがさらに、流動添加剤、傷/スリップ(mar/slip)添加剤、接着促進剤、増粘剤、光沢低減剤、軟化剤、架橋添加剤、イソシアネート、光学的光沢剤(optical brightener)、およびUV吸収剤からなる群より選択される少なくとも一つの成分を、コーティングの総重量に基づいて最大約5重量%含む、[1]のゴルフボール。
[9]粒子が、コーティングの総重量の1〜30重量%を構成する、[1]のゴルフボール。
[10]粒子が、ヒュームドシリカ、非晶性シリカ、コロイド状シリカ、アルミナ、コロイド状アルミナ、酸化チタン、酸化セシウム、酸化イットリウム、コロイド状イットリア、ジルコニア、コロイド状ジルコニア、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ビニルエステル、エポキシ材料、フェノール類、アミノプラスト、ポリウレタン、およびシリカまたは炭酸塩でコーティングされた炭化ケイ素または窒化アルミニウムの複合粒子からなる群より選択される、[1]のゴルフボール。
[11]コーティングが、樹脂内に含有された粒子を含む、[1]のゴルフボール。
[12]コーティングが、ゴルフボール本体の外側表面に塗布された樹脂層、および該樹脂層の外側表面に接着されたまたは埋め込まれた複数の粒子を含む、[1]のゴルフボール。
[13]ゴルフボール本体が、コアおよびカバー層を備え、複数のディンプルがカバー層に形成される、[1]のゴルフボール。
[14](a)樹脂および複数の粒子を混合する工程;
(b)樹脂および粒子の混合物を、複数のディンプルが形成された、ゴルフボール本体の外側表面に塗布する工程
を含む、ゴルフボール本体の外側表面上にコーティングを形成する方法であって、
粒子が400nm〜40ミクロンの平均粒径を有する、方法
[15]樹脂および粒子の混合物が、スプレーにより塗布される、[14]の方法。
[16]粒子が、5〜20ミクロンの平均サイズを有する、[14]の方法。
[17]さらに、ゴルフボール本体に塗布された樹脂が、8〜50ミクロンの平均の厚さを有する、[14]の方法。
[18]ゴルフボール本体に塗布された樹脂が、10〜15ミクロンの平均の厚さを有する、[14]の方法。
[19](a)複数のディンプルが形成された、ゴルフボール本体の外側表面に、樹脂層を塗布する工程;
(b)該樹脂層の外部表面に、該樹脂層の表面に接着されたまたは埋め込まれた複数の粒子を適用する工程
を含む、ゴルフボール本体の外側表面にコーティングを形成する方法であって、
粒子が400nm〜40ミクロンの平均粒径を有する、方法。
[20]樹脂および粒子の混合物が、スプレーにより塗布される、[19]の方法。
[21]粒子が、5〜20ミクロンの平均サイズを有する、[19]の方法。
[22]さらに、ゴルフボール本体に塗布された樹脂が、8〜50ミクロンの平均の厚さを有する、[19]の方法。
[23]ゴルフボール本体に塗布された樹脂が、10〜15ミクロンの平均の厚さを有する、[19]の方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、空気力学的コーティングを有するゴルフボールを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明およびその特定の利点は、添付の図面を考慮して以下の詳細な説明を参照することによってより完全に理解されよう。
【図1】ディンプルを有するゴルフボールを図示する。
【図2】コーティングを有する、図1に基づくゴルフボールの断面図を図示する。
【図2A】コーティングを有する、図1に基づくゴルフボールの断面図を図示する。
【図3】カバー層および樹脂内に含有された粒子を有する図1に基づくコーティングを有するゴルフボールの一部分の断面図を図示する。
【図4】カバー層および樹脂の表面に適用された粒子を有する図1に基づくコーティングを有するゴルフボールの一部分の断面図を図示する。
【図5】湿潤土砂摩耗に関する試験結果を示す。
【図6】ウェッジ摩耗に関する試験結果を示す。
【図7】ドライバーによるゴルフボールのスピン結果を示す。
【図8】6番アイアンによるゴルフボールのスピン結果を示す。
【図9】ウェッジによるゴルフボールのスピン結果を示す。
【0016】
読者は、これらの図面に示される種々の部分が必ずしも一定縮尺でないことに注意する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
種々の例示構造についての以下の説明において、その一部を形成しておりかつ種々のゴルフボール構造例が例示目的で示されている、添付の図面を参照する。さらに、部分および構造について他の特定の配置も利用でき、本発明の範囲から逸脱することなく構造上および機能上の変更も行えることを理解すべきである。また、「上」、「下」、「前」、「後」、「リヤ」、「サイド」、「アンダーサイド」、「オーバーヘッド」などの用語は、本明細書において、本発明の種々の例示的な特徴および要素を記載するために使用されうるが、これらの用語は本明細書において、便宜上、例えば図中に示される例示方向および/または通常使用における方向に基づいて使用される。本明細書におけるいずれも、構造について特定の三次元的または空間的な方向付けが必要であると解釈されるべきではない。
【0018】
A.ゴルフボールおよび製造システムおよび製造法の一般的な説明
ゴルフボールは、例えばワンピースボール、ツーピースボール、スリーピースボール(糸巻きボールを含む)、フォーピースボール、ファイブピースボールなどの多様な構成を有しうる。これらの様々な種類の構成よりもたらされるプレー特徴における違いは、かなり顕著となる場合がある。一般にゴルフボールは、ソリッドボールまたは糸巻きボールとして分類され得る。ツーピース構成、典型的には、混合カバー、例えばアイオノマー樹脂によって包まれた、架橋ゴムのコア、例えば、ジアクリル酸亜鉛および/または類似の架橋剤で架橋されたポリブタジエンを有するソリッドボールは、多くの平均的な趣味のゴルファーに人気がある。コアとカバー材料の組み合わせにより、ゴルファーが事実上破壊できずかつボールに大きな初速を与える比較的「硬い」ボールが提供され、結果として距離が延びる。ボールを形成する材料が非常に硬いので、ツーピースボールは、クラブで打ったときに硬い「感触」を有する傾向にある。同様に、その硬さのために、これらのボールは、ドライバーから離れた時にスピン速度が比較的小さく、このことは同じく、長い距離に役立つ。
【0019】
糸巻きボールは一般に、ピンと張ったエラストマー材料によって囲まれ、耐久性のあるカバー材料、例えばアイオノマー樹脂、またはより柔軟なカバー材料、例えばバラタもしくはポリウレタンで被覆された、リキッドセンターまたはソリッドセンターで構築される。糸巻きボールは一般に、パフォーマンス(performance)ゴルフボールであると考えられ、ゴルフクラブで打つと良好な弾力性、望ましいスピン特徴、および良い「感触」を有する。しかし、糸巻きボールは一般に、ソリッドゴルフボールに比べて製造が困難である。
【0020】
より最近では、スリーピースボールおよびフォーピースボールが、どちらも平均的な趣味のゴルファー用のボールとして、ならびに、プロおよび他のエリートレベルのプレーヤー用のパフォーマンスボールとして、人気を集めている。このようなボールは典型的に、コア(任意で、内側コアおよび外側コアなどの多重コア)、一つまたは複数マントルまたは中間層(「内側カバー」層とも呼ぶ)、および外側カバー層を含む。
【0021】
種々のゴルフボールが、特定の競技特徴を提供するように設計されている。これらの特徴は一般に、ゴルフボールの初速およびスピンを含み、これを種々のタイプのプレーヤーに対して最適化することができる。例えば、あるプレーヤーは、グリーン付近においてゴルフボールを制御しかつ停止させるために、スピン速度の大きなボールを好む。他のプレーヤーは、距離を最大限に伸ばすためにスピン速度が小さく弾力性が大きいボールを好む。一般に、硬いコアおよび軟らかいカバーを有するゴルフボールは、スピン速度が大きい。反対に、硬いカバーおよび軟らかいコアを有するゴルフボールは、スピン速度が小さい。硬いコアおよび硬いカバーを有するゴルフボールは一般に、距離のために非常に高い弾力性を有するが、硬さを感じて、グリーン付近での制御が難しい場合がある。
【0022】
一部の従来のツーピースボールの飛距離は、典型的な単層コアおよび単層カバー層構成を改変して多層ボール、例えば二重カバー層、二重コア層、および/またはカバーとコアとの間に配置された中間層を有するボールを提供することによって、改善されている。スリーピースボールおよびフォーピースボールは、現在一般に見出され、市販されている。本発明の局面は、上述の糸巻きボール、ソリッドボール、および/または多層ボールの構成を含む、あらゆる種類のボール構成に適用されうる。
【0023】
図1は、外側表面に形成された複数のディンプル18を含むゴルフボール10の例を示す。図2および2Aは、コア12、中間層14、形成された複数のディンプル18を有するカバー16、およびゴルフボール10の外部表面上に塗布されたコーティング20を有するゴルフボール10の例を示す。あるいは、ゴルフボール10は、コア12がゴルフボール10全体を示し、複数のディンプルがコア12上に形成されているような、ワンピースゴルフボールであってもよい。ボール10はまた、従来の構成および本明細書に記載される種々の例示構成を含む任意の他の所望の構成を有していてもよい。コーティング20の厚さは典型的に、カバー16または中間層14の厚さよりも顕著に薄く、例えば約8〜約50μmの範囲であってもよい。コーティング20は、ボールの外部に実質的に均一に塗布されるべきであり(例えば実質的に均一な厚さ)、ディンプル18の深さおよび体積への影響を最小限にすべきである。コーティング層20を塗布する前にゴルフボール10のカバー16の外部表面に任意でプライマーまたはベースコートを塗布してもよい。
【0024】
センター
ゴルフボールは、例えば低圧縮のセンターを有するように形成されてもよいが、これは依然として従来のツーピースのディスタンス(distance)ボールのものに近いボール完成品のCORおよび初速を示す。センターは、例えば約60以下の圧縮を有してもよい。こうしたセンターを用いて製造されたボール完成品は、インバウンド(inbound)速度125ft./s.にて測定した場合に、約0.795〜約0.815のCORを有する。「COR」とは反発係数を指し、これは、ボールの跳ね返り速度をその初速(すなわち入力速度)で除することによって得られる。この試験は、ある範囲の試験速度(例えば75〜150ft/s)にわたって垂直のスチールプレートに空気砲からサンプルを発射することによって行われる。高いCORを有するゴルフボールがプレートに衝突してそこから跳ね返るとき、その総エネルギーのうち消散するエネルギーは、より低いCORを有するボールよりも少ない。
【0025】
「点」および「圧縮点」という用語は、圧縮スケールまたはATTI Engineering Compression Testerに基づく圧縮スケールを指す。このスケールは、当業者に周知であり、センターまたはボールの相対圧縮を測定する際に使用される。
【0026】
センターは例えば、約40〜約80のショアC硬度を有しうる。センターは、約0.75インチ〜約1.68インチの直径を有しうる。センターを形成するためのベース組成物は、例えば、ポリブタジエンと、約20〜50部のジアクリル酸金属塩、ジメタクリル酸金属塩、またはモノメタクリル酸金属塩とを含みうる。所望ならば、センターの特性をさらに改変するために、ポリブタジエンを、天然ゴム、スチレンブタジエン、および/またはイソプレンなどの当技術分野において公知の他のエラストマーと混合することもできる。エラストマーの混合物を使用する際、センター組成物中の他の構成要素の量は通常、100重量部とした全エラストマー混合物に基づく。ある例において、センター(またはコア)は、Wilmington, DelawareのE.I. DuPont de Nemours and Companyから市販されている、HPF樹脂などの樹脂材料(任意で、硫酸バリウムを含有する)から製造されうる。
【0027】
ジアクリル酸金属塩、ジメタクリル酸金属塩、およびモノメタクリル酸金属塩には、非限定的に、該金属がマグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ナトリウム、リチウムまたはニッケルであるものが含まれる。例えばジアクリル酸亜鉛は、米国ゴルフ協会(「USGA」)試験において大きな初速を有するゴルフボールを提供する。
【0028】
ジアクリル酸金属塩、ジメタクリル酸金属塩、またはモノメタクリル酸金属塩とポリブタジエンとの架橋を促進するためにフリーラジカル開始剤を使用することが多い。適切なフリーラジカル開始剤には、過酸化物化合物、例えばジクミルペルオキシド;1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン;ビス(t-ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン;2,5-ジメチル-2,5ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン;またはジ-t-ブチルペルオキシド;およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。100%活性における開始剤は、ブタジエン、または一種または複数種の他のエラストマーと混合したブタジエン100部に基づいて、約0.05〜約2.5pphの範囲の量で添加されうる。添加される開始剤の量は、約0.15〜約2pphの範囲であることが多く、約0.25〜約1.5pphの範囲であることがさらに多い。ゴルフボールセンターは、コアの成形プロセスの際にポリブタジエンと架橋するジアクリル酸亜鉛-過酸化物硬化系に、5〜50pphの酸化亜鉛(ZnO)を組み入れてもよい。
【0029】
センター組成物はまた、センターの密度および/または比重を調整するためにエラストマー(またはそれ以外)組成物に添加される、充填剤も含みうる。充填剤の非限定例には、酸化亜鉛、硫酸バリウム、およびリグラインド、例えば約30メッシュの粒径に粉砕されたリサイクルコア成形用マトリックスが含まれる。利用される充填剤の量および種類は、USGAによって最大ゴルフボール重量が1.620ozと確立されていることを踏まえ、組成物中の他の成分の量および重量によって決定される。充填剤は通常、約2.0〜約5.6の範囲の比重である。センターの比重が低下するようにセンター中の充填剤の量をより少なくしてもよい。
【0030】
センターの比重は、センター、カバー、中間層およびボール完成品の大きさ、ならびにカバーおよび中間層の比重等の要素に依存して、例えば約0.8〜約1.3の範囲であってもよい。促進剤、例えばテトラメチルチウラム、加工助剤、加工オイル、可塑剤、染料および顔料、酸化防止剤、ならびに当業者に周知の他の添加剤などの他の成分もまた、それらが通常使用される目的を達成するのに十分な量で、使用されうる。
【0031】
中間層
ゴルフボールはまた、例えば、動的加硫された熱可塑性エラストマー、官能化スチレン-ブタジエンエラストマー、熱可塑性ゴム、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、熱硬化性エラストマー、熱可塑性ウレタン、メタロセンポリマー、熱硬化性ウレタン、アイオノマー樹脂、またはこれらの混合物から形成される、一つまたは複数の中間層を有してもよい。例えば中間層は、熱可塑性または熱硬化性のポリウレタンを含んでもよい。市販の動的加硫された熱可塑性エラストマーは、非限的に、SANTOPRENE(登録商標)、SARLINK(登録商標)、VYRAM(登録商標)、DYTRON(登録商標)、およびVISTAFLEX(登録商標)が含まれる。SANTOPRENE(登録商標)は、動的加硫されたPP/EPDMである。官能化スチレン-ブタジエンエラストマー、すなわち無水マレイン酸またはスルホン酸などの官能基を有するスチレン-ブタジエンエラストマーの例には、テキサス州ヒューストンのShell Corporationから入手可能なKRATON FG-1901xおよびFG-1921xが含まれる。
【0032】
適切な熱可塑性ポリウレタンの例には、オハイオ州クリーブランドのB.F. Goodrich Companyから市販されている、ESTANE(登録商標)58133、ESTANE(登録商標)58134およびESTANE(登録商標)58144が含まれる。
【0033】
メタロセンポリマー、すなわちメタロセン触媒を用いて形成されたポリマーの例には、マサチューセッツ州ハイアニスのSentinel Productsから市販されているものが含まれる。適切な熱可塑性ポリエステルには、ポリブチレンテレフタレートが含まれる。熱可塑性アイオノマー樹脂は、モノオレフィンのポリマーに対して、3〜12個の炭素原子を有する不飽和モノカルボン酸または不飽和ジカルボン酸およびこれらのエステルからなる群より選択される少なくとも一つの物質による、交差金属結合(cross metallic bond)を与えることによって得ることができる(このポリマーは、1〜50重量%の不飽和モノカルボン酸もしくはジカルボン酸および/またはこれらのエステルを含有する)。より詳細には、酸含有エチレンコポリマーアイオノマーなどの低弾性率アイオノマーには、E/X/Yコポリマー(ここでEはエチレンであり、Xは軟化コモノマー、例えばアクリレートまたはメタクリレートである)が含まれる。アイオノマー樹脂の非限定例には、それぞれDuPontおよびExxonから市販されているSURLYN(登録商標)およびIOTEK(登録商標)が含まれる。
【0034】
あるいは、中間層は、第1および第2の成分の混合物であってもよく、ここで第1の成分は、動的加硫された熱可塑性エラストマー、官能化スチレン-ブタジエンエラストマー、熱可塑性もしくは熱硬化性のポリウレタン、またはメタロセンポリマーであり、第2の成分は、熱可塑性もしくは熱硬化性のポリウレタン、熱可塑性ポリエーテルエステルもしくはポリエーテルアミド、熱可塑性アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリエステル、別の動的加硫されたエラストマー、別の官能化スチレン-ブタジエンエラストマー、別のメタロセンポリマー、またはこれらの混合物などの材料である。第1および第2の成分の少なくとも一方が、熱可塑性または熱硬化性のポリウレタンを含みうる。
【0035】
1つまたは複数の中間層はまた、エチレンメタクリル酸/アクリル酸コポリマーを含有する混合物から形成されてもよい。酸含有エチレンコポリマーの非限定例には、エチレン/アクリル酸;エチレン/メタクリル酸;エチレン/アクリル酸/n-ブチルアクリレートまたはイソブチルアクリレート;エチレン/メタクリル酸/n-ブチルアクリレートまたはイソブチルアクリレート;エチレン/アクリル酸/メチルアクリレート;エチレン/メタクリル酸/メチルアクリレート;エチレン/アクリル酸/イソボルニルアクリレートまたはメタクリレート、およびエチレン/メタクリル酸/イソボルニルアクリレートまたはメタクリレートが含まれる。市販のエチレンメタクリル酸/アクリル酸コポリマーの例には、DuPontから入手可能なNUCREL(登録商標)ポリマーが含まれる。
【0036】
あるいは、中間層は、エチレンメタクリル酸/アクリル酸コポリマーと熱可塑性材料を含む第2の成分とを含む、混合物から形成されてもよい。中間混合物に使用するのに適した熱可塑性材料としては、ポリエステルエステルブロックコポリマー、ポリエーテルエステルブロックコポリマー、ポリエーテルアミドブロックコポリマー、アイオノマー樹脂、動的加硫された熱可塑性エラストマー、無水マレイン酸もしくはスルホン酸などの官能基が結合したスチレン-ブタジエンエラストマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステル、メタロセンポリマー、および/またはこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
中間層は、約0.8以上の比重を有する場合が多い。一部の例では、中間層は、1.0超の、例えば約1.02〜約1.3の範囲の比重を有する。中間層の比重は、例えば、硫酸バリウム、酸化亜鉛、二酸化チタンおよびこれらの組み合わせなどの充填剤を添加することによって調整されうる。
【0038】
中間層混合物は、約10,000psi未満、多くの場合約5,000〜約8,000psiの曲げ弾性率を有してもよい。中間層は、約35〜70のショアD硬度を有することが多い。中間層およびコア構成は一緒になって、約65未満、多くの場合約50〜約65の圧縮を有してもよい。通常、中間層は、約0.020インチ〜約0.2インチの厚さを有する。ゴルフボールは、単一の中間層または複数の中間層を含んでもよい。ボールが複数の中間層を含む場合、コアの外側の第1の中間層は、例えばコアの硬度を上回る硬度を有する熱可塑性材料またはゴム材料(合成または天然ゴム)を含んでもよい。第2の中間層は、第1の中間層の周りに配置されてもよく、第1の中間層を上回る硬度を有してもよい。第2の中間層は、ポリエーテルまたはポリエステル熱可塑性ウレタン、熱硬化性ウレタン、およびアイオノマー、例えば酸含有エチレンコポリマーアイオノマーなどの材料で形成されてもよい。
【0039】
さらに、望ましければ、第3の中間層(またはさらなる層)を、第1と第2の中間層の間に配置してもよい。第3の中間層は、上述のような種々の材料から形成されてもよい。例えば第3の中間層は、第1の中間層を上回る硬度を有してもよい。
【0040】
カバー層
ゴルフボールは通常、熱可塑性または熱硬化性の材料の層を一つまたは複数含む、カバー層も有する。アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリウレタン、バラタおよびこれらの混合物などの種々の材料を使用してもよい。
【0041】
カバーは、弾性率の非常に低いアイオノマー(VLMI)を含む組成物で形成されてもよい。本明細書において使用される場合、「弾性率の非常に低いアイオノマー」という用語または頭字語「VILMI」は、ポリマー中に約10重量%〜約50重量%で存在する、一般に(メタ)アクリレートエステルである軟化コモノマーXをさらに含む、アイオノマー樹脂である。VLMIは、エチレンなどのα-オレフィン、n-ブチルアクリレートまたはイソブチルアクリレートなどの軟化剤、および、アクリル酸またはメタクリル酸などのα,β-不飽和カルボン酸のコポリマーであり、ここで酸基の少なくとも一部がマグネシウムカチオンによって中和されている。軟化コモノマーの他の例には、n-ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、およびメチルメタクリレートが含まれる。一般にVLMIは、約2,000psi〜約10,000psiの曲げ弾性率を有する。VLMIは「軟質」アイオノマーと称されることがある。
【0042】
アイオノマー、例えば酸含有エチレンコポリマーアイオノマーにはE/X/Yコポリマーが含まれるが、ここでEはエチレンであり、Xは、ポリマーの0〜50重量%で存在する軟化コモノマー、例えばアクリレートまたはメタクリレートであり、Yは、ポリマーの5〜35(多くの場合10〜20)重量%で存在するアクリル酸またはメタクリル酸であり、ここで酸部分は、カチオン、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、スズ、亜鉛もしくはアルミニウム、またはこのようなカチオンの組み合わせ(リチウム、ナトリウムおよび亜鉛が最も好ましい)によって1〜90%(通常は少なくとも40%)中和されて、アイオノマーを形成する。特定の酸含有エチレンコポリマーとしては、エチレン/アクリル酸、エチレン/メタクリル酸、エチレン/アクリル酸/n-ブチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/n-ブチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/イソブチルアクリレート、エチレン/アクリル酸/イソブチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/n-ブチルメタクリレート、エチレン/アクリル酸/メチルメタクリレート、エチレン/アクリル酸/メチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/メチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/メチルメタクリレート、およびエチレン/アクリル酸/n-ブチルメタクリレートが含まれる。
【0043】
カバー原料の加工を補助するため、アイオノマー樹脂を、所望の特徴を有するカバーを得るために混合してもよい。この理由から、カバーは、2つ以上のアイオノマー樹脂の混合物から形成されてもよい。混合物は、例えば非常に柔らかい材料およびより硬いの材料を含んでもよい。カバー原料の所望の特徴を得るために、異なるメルトフローインデックスを有するアイオノマー樹脂が使用されることが多い。SURLYN(登録商標)8118、7930および7940は、それぞれ約1.4、1.8、および2.6g/10minのメルトフローインデックスを有する。SURLYN(登録商標)8269およびSURLYN(登録商標)8265はそれぞれ、約0.9g/10minのメルトフローインデックスを有する。アイオノマー樹脂の混合物は、例えば約1〜約3g/10minのメルトフローインデックスを有するカバーを形成するために使用されてもよい。カバー層は、例えば約45〜約80の範囲のショアD硬度を有してもよい。
【0044】
カバーはまた、熱可塑性および/または熱硬化性材料を含んでいてもよい。例えば、カバーは、ウレタンまたはポリウレタンのような熱可塑性材料を含んでいてもよい。ポリウレタンは、ポリウレタンプレポリマーと硬化剤との間の反応生成物である。ポリウレタンプレポリマーは、ポリオールとジイソシアネートとの反応によって形成される生成物である。多くの場合、触媒を使用して、硬化剤とポリウレタンプレポリマーとの反応を促進する。注型ポリウレタンの場合、硬化剤は、典型的にはジアミンまたはグリコールである。
【0045】
別の例として、熱硬化性注型ポリウレタンを使用してもよい。熱硬化性注型ポリウレタンは一般に、ジイソシアネート、例えば2,4-トルエンジイソシアネート(TDI)、メチレンビス-(4-シクロヘキシルイソシアネート)(HMDI)、またはパラフェニレンジイソシアネート(「PPDI」)、および、メチレンジアミン(MDA)などのポリアミンで硬化するポリオール、またはトリメチロールプロパンなどの三官能性グリコール、またはN,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンなどの四官能性グリコールを用いて調製される。他の適切な熱硬化性材料としては、熱硬化性ウレタンアイオノマーおよび熱硬化性ウレタンエポキシ樹脂が含まれるが、これらに限定されない。熱硬化性材料の他の例には、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレン-ブタジエン、およびスチレン-プロピレン-ジエンゴムが含まれる。
【0046】
カバーが複数層、例えば内側カバー層および外側カバー層を含む場合、種々の構成および材料が好適である。例えば内側カバー層で中間層を囲み、外側カバー層をその上に配置することができ、または、内側カバー層で複数の中間層を囲むことができる。内側および外側カバー層の構成を用いる場合、外側カバー層材料は、上述のような注入成形可能な(castable)反応性液体材料およびその反応生成物の少なくとも一つを含む熱硬化性材料であってもよく、約30ショアD〜約60ショアDの硬度を有してもよい。
【0047】
内側カバー層は、硬質(例えば約50ショアD以上)で高い曲げ弾性率を有する広範な弾性材料から形成されてもよく、これはゴルフボールの隣接層に使用される他の材料と適合性である。内側カバー層材料は、約65,000psi以上の曲げ弾性率を有してもよい。適切な内側カバー層材料は、硬質で曲げ弾性率の高いアイオノマー樹脂およびそれらの混合物を含み、これは、モノオレフィンのポリマーに対して3〜12個の炭素原子を有する不飽和モノカルボン酸または不飽和ジカルボン酸およびこれらのエステルからなる群より選択される少なくとも一つとの交差金属結合を与えることによって得られうる(このポリマーは、1〜50重量%の不飽和モノカルボン酸もしくは不飽和ジカルボン酸および/またはこれらのエステルを含有する)。より詳細には、こうした酸含有エチレンコポリマーアイオノマー成分は、E/X/Yコポリマーを含み、ここでEはエチレンであり、Xは、ポリマーの0〜50重量%で存在する軟化コモノマー、例えばアクリレートまたはメタクリレートであり、Yは、ポリマーの5〜35重量%で存在するアクリル酸またはメタクリル酸であり、ここで酸部分は、カチオン、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、スズ、亜鉛、もしくはアルミニウム、またはそのようなカチオンの組み合わせによって約1〜90%中和されて、アイオノマーを形成する。特定の酸含有エチレンコポリマーの例には、エチレン/アクリル酸、エチレン/メタクリル酸、エチレン/アクリル酸/n-ブチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/n-ブチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/イソブチルアクリレート、エチレン/アクリル酸/イソブチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/n-ブチルメタクリレート、エチレン/アクリル酸/メチルメタクリレート、エチレン/アクリル酸/メチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/メチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/メチルメタクリレート、およびエチレン/アクリル酸/n-ブチルメタクリレートが含まれる。
【0048】
存在してもよい他の適切な内側カバー材料の例には、熱可塑性または熱硬化性のポリウレタン、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、またはポリエステル、動的加硫されたエラストマー、官能化スチレン-ブタジエンエラストマー、メタロセンポリマー、ポリアミド、例えばナイロン、アクリロニトリルブタジエン-スチレン-コポリマー(ABS)、またはこれらの混合物が含まれる。
【0049】
製造プロセス
本発明の例に従うゴルフボールは、本発明から逸脱することなく、当技術分野において公知でありかつ使用される従来の様式を含む任意の望ましい様式で製造され得、ゴルフボールを製造するためのある一般的な技術とは、積層プロセスである。センターの周りに多層を形成するために積層体が最初に形成される。積層体は、少なくとも2つの層を含み、3つの層を含む場合がある。各層について使用するべき未硬化コア材料を混合し、該材料をカレンダー圧延して薄いシートにすることによって、積層体が形成されうる。または、未硬化中間層材料を混合し、該材料を圧延してシートにすることによって積層体を形成してもよい。積層体シートを一緒に積み重ね、カレンダー圧延機を用いて3つの層を有する積層体を形成できる。または、シートは押出成形によって形成されてもよい。
【0050】
積層体はまた、各材料層の間に接着剤を用いて形成してもよい。例えば、エポキシ樹脂を接着剤として使用してもよい。接着剤は、良好な剪断強度および引張強度、例えば約1500psiを超える引張強度を有するべきである。接着剤は、硬化時に約60未満のショアD硬度を有することが多い。シートに適用される接着剤層は非常に薄く、例えば厚さ約0.004インチ未満にすべきである。
【0051】
好ましくは、各積層体シートは、ゴルフボール完成品における層の厚さをわずかに上回る厚さに形成される。これらの厚さは異なっていてもよいが、すべて、好ましくは約0.1インチ未満の厚さを有する。シートは非常に均一な厚さを有するべきである。
【0052】
本方法における次の工程は、センターの周りに多層を形成させることである。これは、金型の上型と下型との間に2つの積層体を配置することによって達成されうる。積層体は、金型半型中でキャビティを形成してもよい。次いで積層体は、結合したときにセンターの周りに積層体層が形成されるようなパターンに切断されうる。例えば、積層体を切断して、野球ボールまたはテニスボールのカバーと同様に、数字の8形状またはバーベル様のパターンにしてもよい。他のパターン、例えば湾曲三角形、半球状のカップ形、楕円形、または、センターの周りに積層体層を形成するために一緒に結合することができる他のパターンを使用してもよい。次いでパターンを金型間に配置し、金型半型中でキャビティを形成させてもよい。層の厚さの均一性が維持されるように、真空源を使用して、積層体を金型キャビティへと形成させることが多い。
【0053】
積層体をキャビティへと形成した後、次いでセンターを、積層体間に挿入する。次に積層体は、当技術分野で周知の温度および圧力の条件下でセンターの周りに圧縮成形される。金型半型は通常、圧縮成形プロセスの際に積層体から過剰な層材料を流出させるための孔を有する。圧縮成形の代替として、コアおよび/または中間層は、射出成形または他の適切な技術によって形成されてもよい。
【0054】
次の工程は、ゴルフボールコアの周りにカバーを形成することを含む。センターおよび任意の中間層を含むコアは、一対のカバー金型半型の内部で複数の引き込み式ピンによって支持されてもよい。引き込み式ピンは、当業者に公知の従来手段によって作動させうる。
【0055】
コアを支持するピンと共に金型半型を閉じた後、複数の射出ポートまたはゲート、例えば縁部ゲートまたはサブゲートを通して、カバー材料を液体状態で金型内に射出する。縁部ゲートにより、得られるゴルフボールはすべて相互連結しており、大きなマトリックスとして一緒に金型半型から取り出すことができる。サブゲーティング(sub-gating)により、金型半型からゴルフボールを取り出している間にゴルフボールから金型ランナーが自動的に分離される。
【0056】
所定量のカバー材料を金型半型内に射出して、コアを実質的に囲んだ後、引き込み式ピンを引っ込めることができる。コアと金型半型との間の同心性を維持しながら液体カバー材料を流動させて、コアと金型半型との間のキャビティを実質的に満たす。次いでカバー材料をコアの周りで固化させ、ゴルフボールを金型半型から取り出して、コーティング、塗装、および/または、以下でより詳細に記載されるような本発明の実施例に従うプロセスを含むその他の仕上げプロセスを含む、仕上げプロセスに供する。
【0057】
B.コーティング材料の包括的説明
コーティングは、樹脂および複数の粒子を備える。樹脂は、任意の好適な樹脂であってもよく、その非限定例としては、熱可塑性物質、例えばポリウレタン、ポリエステル、アクリル樹脂、例えば最大約15%の酸を含有する酸度の低い(low acid)熱可塑性アイオノマーなどの熱可塑性エラストマー、およびUV硬化系が含まれる。
【0058】
コーティングは、樹脂に組み入れられる追加の添加剤、例えば流動添加剤、傷/スリップ(mar/slip)添加剤、接着促進剤、増粘剤、光沢低減剤、軟化剤、架橋添加剤、イソシアネート、または強靭化もしくは引掻耐性を生じる他の剤、光学的光沢剤、UV吸収剤などを含んでもよい。このような添加剤の量は、コーティングの総重量に基づき、通常0〜約5重量%、多くの場合0〜約1.5重量%の範囲である。
【0059】
さらに、固体粒子は、以下でより詳細に記載されるように、樹脂内に含有されていてもよく、または樹脂の表面に接着および/または表面に埋め込まれてもよい。
【0060】
C.コーティングデバイスの包括的説明
コーティング材料は、スプレーガン(固定または連接型のいずれか)によって送達できる。使用されうるデバイスの例としては、加熱スプレー装置および静電気デバイスおよび大空気量低圧(HVLP)デバイスが挙げられる。ゴルフボールは、一般にワークホルダーに配置され、そこでゴルフボールは、外部表面が完全に被覆されるように、特定の時間スプレー区域中を回転し、通過する。追加的または代替的に、望ましれれば、コーティング材料を塗布するスプレーヘッドは、ボール構造全体に均一なコーティングを塗布するのを助けるためにボールに関して可動性であってもよく、および/または連接されてもよい。本発明に使用するための好適なコーティングシステムおよび方法は、当技術分野において公知であり、使用されているような従来のコーティングシステムを含んでもよい。
【0061】
本発明の一部の局面において、窒素ガスまたは窒素が豊富な空気を含むキャリア流体を、ゴルフボールの外部表面にコーティング材料を送達するために使用してもよい。窒素は、その元素ガス状態で清浄で乾燥している(無水)。窒素は、湿分および静電気に関連する問題を取り除くためにイオン化できる。
【0062】
窒素が豊富な空気を用いるコーティングを塗布するための好適な装置について、例えば米国特許第6,821,315号に記載されており、この文献の開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。このようなデバイスは、N2 Spray Solutionsから市販されている。一般にこのようなデバイスは、圧力下でキャリア流体およびコーティング材料を混合することによって作動する。キャリア流体は、窒素が豊富な空気を含み、一般にこれは、約90〜99.5体積%の窒素を含有する。窒素が豊富な空気は、例えば'315特許に記載されるように、空気を中空繊維膜を通過させることによって製造できる。
【0063】
キャリア流体の温度は、コーティング特性を最適化するために調節できる。一般に、キャリア流体を加熱すると粘度が低下し、溶剤の必要性が低減する。粘度が低下すると流れが改善され、噴霧化を助け、溶剤を一掃し、結果として固体含量の高い微細スプレーを生じる。キャリア流体は、例えば約100〜約170°F(38〜76.6℃)、多くの場合約150〜約170°F(65.6〜76.6℃)の温度に加熱されうる。他のパラメータ、例えば圧力も、乾燥の特質および/または他の効率を改善するために好適に調節されてもよい。例えば、約40psi(275.8kPa)の噴霧化空気圧力を使用してもよい。2009年5月22日に出願された、「Method of Applying Topcoat to Exterior Surface of Golf Ball」と題される米国特許出願第12/470,820号には、窒素含有または窒素が豊富な送達流体を利用して、コーティング材料をゴルフボールに塗布するシステムおよび方法が記載されている。この特許出願は、全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0064】
D.本発明の具体的な例
「ゴルフボール本体」という用語は、トップコートを塗布する前のゴルフボール(例えば、コア、中間層、ディンプルを有するカバー層)を意味する。以下の考察に関して、「コーティング」という用語は、ゴルフボールに塗布されるトップコートまたは最終層を特定するために使用される場合が多いが、さらに以下で記載されるように、望ましければ、粗い表面全体が依然としてもたらされるという条件で、必要に応じ別のコーティングを粗いコーティング材料の上に塗布してもよい。「塗装(paint)」または「塗装(painting)」という用語は、「コーティング」または「コーティング」プロセスと同意語として使用されることが多い。
【0065】
本発明の局面は、カバー層上にトップコートまたは他のコーティングを有するゴルフボールに関し、ここでこのコーティングは、粒子が含有された、または粒子が上に適用された樹脂を含む。粒子は、以下でより詳細に記載されるように、わずかに粗い表面を有するゴルフボール表面を提供する。
【0066】
樹脂が粒子を含有する場合、樹脂がゴルフボール本体に塗布されて、コーティングを形成した後、粒子は、樹脂の平均の厚さを超えて突出してもよい。場合によっては、粒子の平均サイズが、樹脂の平均の厚さを超えてもよい。図3に示されるように、一般に粒子22は、樹脂20の薄い部分が依然として粒子を覆うように表面から突出する。そのため、ボールの表面は、図3に示されるように、幾分粗くなる。
【0067】
樹脂自体が、ゴルフボールカバー18に塗布される場合に粗い表面を提供するために必要な粒子を含有しない場合、樹脂を塗布した後かつ乾燥する前に、粒子を湿潤樹脂に塗布してもよい。粒子は樹脂に接着してもよく、および/または樹脂中に埋め込まれてもよいが、依然として樹脂表面から延びて幾分粗い表面を提供する。図4に示されるように、この例示的構造および方法において、粒子22は、樹脂20の表面に適用される。
【0068】
粒子は、例えばゴルフボールのより長い飛行を可能にするために、飛びにおけるゴルフボールの空気力学的性能の微調整および改善を可能にする。粒子は、コーティングの仕上げをより粗くして、ミクロスケールで小さいディンプルとして作用し、これがボールの周りの空気流に乱流を増大させてゴルフボールのフロー分離を低減し、その結果圧力抵抗を低減する。また、望ましければ、ゴルフボールの耐久性は、例えばコーティングの特性および/またはコーティングに使用される材料に応じて、切断耐性および耐摩耗性の両方について改善されてもよい。
【0069】
上記で与えられた本発明の種々の例示局面の包括的説明を踏まえて、本発明に従うゴルフボール構造の種々の特定例について以下でより詳細に説明する。
【0070】
II.本発明の局面に従う例示的なゴルフボールおよび方法の詳細な説明
次の考察および添付の図面は、本発明の局面に従う種々の例示的なゴルフボールについて説明する。同じ参照番号が複数の図面に見られる場合、その参照番号は、全体を通して同じまたは類似の部品を指すために本明細書および図面にて一貫して使用される。
【0071】
図3および図4はそれぞれ、樹脂と、樹脂内に含有された粒子または樹脂上に適用および/もしくは埋め込まれた粒子とを備えるトップコートまたは他のコーティングを含むゴルフボールに関する本発明の局面を示す。
【0072】
粒子は、任意の形状を有することができ、規則的、不規則的、均一、不均一、またはこれらの組み合わせであってもよい。粒子は、球または立方体などの規則的形状を含む任意の多角形または幾何学的形状であってもよい。球は、丸い断面を有していてもよく、または細長いまたは楕円形の断面を与えるように平坦化されてもよい。立方体は、正方形または長方形の断面を有していてもよい。不規則形状は、不規則な表面、不規則な外周、突出、または延長によって規定されてもよい。粒子は、丸く、細長く、平滑で、粗くてもよく、またはかどを有していてもよい。異なる形状の粒子の組み合わせを使用してもよい。結晶のまたは規則的な粒子、例えばテトラポッドも使用できる。
【0073】
粒子は、当技術分野において公知の任意の材料、例えば有機または無機材料、プラスチック、複合材料、および金属から製造されてもよい。好適な粒子は、シリカなどの非晶性粒子、および例えば酸化亜鉛、酸化鉄、または酸化チタンである金属酸化物などの結晶性粒子を含むが、これらに限定されない。さらなる例として、粒子は、ヒュームドシリカ、非晶性シリカ、コロイド状シリカ、アルミナ、コロイド状アルミナ、酸化チタン、酸化セシウム、酸化イットリウム、コロイド状イットリア、ジルコニア、コロイド状ジルコニア、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ビニルエステル、エポキシ材料、フェノール類、アミノプラスト、ポリウレタン、およびシリカまたは炭酸塩でコーティングされた炭化ケイ素または窒化アルミニウムの複合粒子を含んでもよい。
【0074】
粒子は、ゴルフボールの粗さを微調整して、ゴルフボールの所望の空気力学的品質を達成するとともに、耐摩耗性を改善するために選択されてもよい。粒子は、任意の好適な硬度および耐久性を有するものであってよい。より軟質の粒子は、例えばスピンに影響を及ぼす傾向にある。
【0075】
粒子の平均サイズは、粒子用に選択される材料に依存する。一般に、粒径は、400nm〜40ミクロンの範囲であり、一部の例示的な構成においては、5〜20ミクロンの範囲である。一つの特定例において、粒径は8〜12ミクロンの範囲である。粒子は、ほぼ同じサイズであってもよく、または規定範囲内で異なるサイズであってもよい。粒子が樹脂表面に適用される場合、それらは一般にコーティング内に含有される場合よりも小さい。
【0076】
熱可塑性物質、例えばポリウレタン、ポリエステル、アクリル樹脂、例えば最大約15%の酸を含有する酸度の低い熱可塑性アイオノマーなどの熱可塑性エラストマー、およびUV硬化系を含む任意の好適な樹脂を使用してもよい。特定の例には、AKZO NOBEL 7000A103が含まれる。
【0077】
追加の添加剤、例えば流動添加剤、傷/スリップ添加剤、接着促進剤、増粘剤、光沢低減剤、軟化剤、架橋添加剤、イソシアネート、または強靭化または引掻耐性を生じる他の剤、光学的光沢剤、UV吸収剤などが、任意で樹脂に組み入れられてもよい。このような添加剤の量は、通常0〜約5重量%、多くの場合0〜約1.5重量%の範囲である。
【0078】
ゴルフボール本体への塗布前の樹脂の粘度は、一般に2番Zahnカップによって測定した場合、16〜24秒である。一般に樹脂は、コーティングをゴルフボール本体上に容易にスプレーするのに十分薄いが、ゴルフボール本体への塗布後に樹脂が実質的に流れないように十分厚い。
【0079】
塗布された樹脂(乾燥後)の厚さは、典型的には、約8〜約50μm、一部の例では約10〜約15μmの範囲である。粒子が樹脂内に含有されている場合、樹脂の厚さは、粒子が樹脂から突出できるように粒径より小さくてもよい。
【0080】
コーティングは、複数の粒子、一般にはコーティングの総重量に基づいて0.1〜30重量%の粒子、例えば3〜10重量%の粒子を含有する。
【0081】
コーティングは、透明または不透明であってもよく、白色であってもよく、または濃淡もしくは色相を有していてもよい。粒子は任意の色を有していてもよい。一般に、コーティングおよび粒子のゴルフボール外側への適用により、従来のゴルフボールの多くがより明るいまたは輝いた仕上がりであるのに比べて、ボールに多少光沢のないまたはマットな仕上がりを与える。粒子は、例えば透明コートにて光の一部を拡散させる傾向がある。
【0082】
本発明の一つの局面によれば、コーティングは、ゴルフボール本体の表面に樹脂を塗布して乾燥することによって形成される。樹脂を塗布する方法は限定されない。例えば、ポリウレタンなどの2成分硬化タイプの樹脂を、静電コーティング方法、またはスプレーガンを用いるスプレー方法によって、例えば水性ポリオール液をポリイソシアネートと混合した後に塗布してもよい。コーティングをスプレーガンで塗布する場合、水性ポリオール液およびポリイソシアネートは、少しずつ混合されてもよく、または水性ポリオール液およびポリイソシアネートは、それぞれのポンプによって供給され、スプレーガンの直前にあるストリームラインに位置するスタティックミキサを通して一定の割合で連続的に混合される。あるいは、水性ポリオール液およびポリイソシアネートは、それらの混合比を制御するためのデバイスを有するスプレーガンを用いてそれぞれエアスプレーされることができる。続いて、ゴルフボール本体の表面上の2成分硬化タイプのウレタン樹脂は乾燥される。
【0083】
一つの局面において、コーティングは、樹脂(任意の添加剤を含む)およびその樹脂に混合された粒子を含む。コーティングは、上述されたようにゴルフボール本体に塗布される。ゴルフボール本体への塗布に先立って、粒子を別個の成分として樹脂に添加してもよく、または2成分コーティング組成物における成分の一つと予め混合してもよい。
【0084】
別の局面において、樹脂層(任意の添加剤を含む)は、上述されたようにゴルフボール本体に塗布される。乾燥に先立って、粒子は、メディアブラスター、サンドブラスター、粉末コーティングデバイス、または他の好適なデバイスを用いて湿潤樹脂層の上部に適用される。粒子は、表面に接着でき、および/または樹脂層の表面に埋め込むことができる。
【0085】
別の局面において、非常に薄い樹脂層が粒子の上部に塗布され、適切な位置に粒子を保持してもよい。一般にこの樹脂層は、最初に塗布された同じ樹脂層で構成されるが、より薄い粘度を有し得る。この追加の薄い樹脂層を、必要によりまたは所望により、ボールの外部表面の粗さを微調整または多少低減するために提供してもよい。
【実施例】
【0086】
ゴルフボールを次のコーティングを用いて調製し、次いで種々の特性について試験した。
発明#1 - 小さいシリカ粒子(1um〜500nm)を有するポリウレタン透明コート。平滑な外観。
発明#2 - 大きいシリカ粒子(1um〜5um)を有するポリウレタン透明コート。粗くマットな外観。
比較 - 粒子を有していない標準的なポリウレタン透明コート。
【0087】
湿潤土砂摩耗試験において、ボールを湿潤土砂中で8時間転がした。ボールを視覚的に比較した。低いスコアは、ボールに対する損傷が少ないことを示した。ボールは1〜5で格付けされ、1は最良であり、5は最低であった。図5を参照のこと。
【0088】
ウェッジ摩耗試験において、ボールを標準的な56度のウェッジで打ち、スカッフィングの程度を視覚的に分析した。低いスコアは同様にボールに対する損傷が少ないことを示した。ボールは1〜5で格付けされ、1は最良であり、5は最低であった。図6を参照のこと。
【0089】
スピングラフ(図7〜9)は、本発明のコーティングが、ドライバーのスピンを増大させることなく、アイアンおよびウェッジのスピンオフを増大できることを示す。これは、ドライブからの距離を延ばし(より低いスピン)、グリーン付近でのコントロールをし易くする(より高いスピン)のに有利である。
【0090】
本発明のゴルフボール本体は、その構造に限定されず、ワンピースゴルフボール、ツーピースゴルフボール、少なくとも3つの層を備えるマルチピースゴルフボール、および巻芯ゴルフボールを含む。本発明は、ゴルフボールのあらゆるタイプに適用できる。
【0091】
III.結論
本発明を、種々の例示的構造、特徴、要素、ならびに構造、特徴、および要素の組み合わせに関して、添付の図面および上記にて説明する。しかし、開示によって与えられる目的は、本発明に関連した種々の特徴および概念の例を提供することであり、本発明の範囲を限定するものではない。関連分野の当業者は、多数の変形および変更が、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲から逸脱することなく、上述の態様に対して行うことができることを認識するであろう。例えば、図と組み合わせて上記で説明した種々の特徴および概念は、個々におよび/または本発明から逸脱することなくいずれかの組み合わせまたはサブコンビネーションにて使用できる。
【符号の説明】
【0092】
10:ゴルフボール
12:コア
14:中間層
16:カバー
18:ディンプル
20:コーティング
22:粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のディンプルが形成された外側表面を有するゴルフボール本体と、
該ゴルフボール本体の前記外側表面に塗布されたコーティングと
を備えるゴルフボールであって、
前記コーティングが、樹脂および複数の粒子を含み、該粒子が400nm〜40ミクロンの平均サイズを有する、ゴルフボール。
【請求項2】
粒子が、5〜20ミクロンの平均サイズを有する、請求項1記載のゴルフボール。
【請求項3】
樹脂が、8〜50ミクロンの平均の厚さを有する、請求項1記載のゴルフボール。
【請求項4】
樹脂が、10〜15ミクロンの平均の厚さを有する、請求項1記載のゴルフボール。
【請求項5】
樹脂が熱可塑性エラストマーを含む、請求項1記載のゴルフボール。
【請求項6】
熱可塑性エラストマーが、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル樹脂、および最大約15%の酸を含有する酸度の低い(low acid)熱可塑性アイオノマーからなる群より選択される、請求項5記載のゴルフボール。
【請求項7】
樹脂がUV硬化性である、請求項1記載のゴルフボール。
【請求項8】
コーティングがさらに、流動添加剤、傷/スリップ(mar/slip)添加剤、接着促進剤、増粘剤、光沢低減剤、軟化剤、架橋添加剤、イソシアネート、光学的光沢剤(optical brightener)、およびUV吸収剤からなる群より選択される少なくとも一つの成分を、コーティングの総重量に基づいて最大約5重量%含む、請求項1記載のゴルフボール。
【請求項9】
粒子が、コーティングの総重量の1〜30重量%を構成する、請求項1記載のゴルフボール。
【請求項10】
粒子が、ヒュームドシリカ、非晶性シリカ、コロイド状シリカ、アルミナ、コロイド状アルミナ、酸化チタン、酸化セシウム、酸化イットリウム、コロイド状イットリア、ジルコニア、コロイド状ジルコニア、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ビニルエステル、エポキシ材料、フェノール類、アミノプラスト、ポリウレタン、およびシリカまたは炭酸塩でコーティングされた炭化ケイ素または窒化アルミニウムの複合粒子からなる群より選択される、請求項1記載のゴルフボール。
【請求項11】
コーティングが、樹脂内に含有された粒子を含む、請求項1記載のゴルフボール。
【請求項12】
コーティングが、ゴルフボール本体の外側表面に塗布された樹脂層、および該樹脂層の外側表面に接着されたまたは埋め込まれた複数の粒子を含む、請求項1記載のゴルフボール。
【請求項13】
ゴルフボール本体が、コアおよびカバー層を備え、複数のディンプルがカバー層に形成される、請求項1記載のゴルフボール。
【請求項14】
(a)樹脂および複数の粒子を混合する工程;
(b)樹脂および粒子の混合物を、複数のディンプルが形成された、ゴルフボール本体の外側表面に塗布する工程
を含む、ゴルフボール本体の外側表面上にコーティングを形成する方法であって、
粒子が400nm〜40ミクロンの平均粒径を有する、方法
【請求項15】
樹脂および粒子の混合物が、スプレーにより塗布される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
粒子が、5〜20ミクロンの平均サイズを有する、請求項14記載の方法。
【請求項17】
さらに、ゴルフボール本体に塗布された樹脂が、8〜50ミクロンの平均の厚さを有する、請求項14記載の方法。
【請求項18】
ゴルフボール本体に塗布された樹脂が、10〜15ミクロンの平均の厚さを有する、請求項14記載の方法。
【請求項19】
(a)複数のディンプルが形成された、ゴルフボール本体の外側表面に、樹脂層を塗布する工程;
(b)該樹脂層の外部表面に、該樹脂層の表面に接着されたまたは埋め込まれた複数の粒子を適用する工程
を含む、ゴルフボール本体の外側表面にコーティングを形成する方法であって、
粒子が400nm〜40ミクロンの平均粒径を有する、方法。
【請求項20】
樹脂および粒子の混合物が、スプレーにより塗布される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
粒子が、5〜20ミクロンの平均サイズを有する、請求項19記載の方法。
【請求項22】
さらに、ゴルフボール本体に塗布された樹脂が、8〜50ミクロンの平均の厚さを有する、請求項19記載の方法。
【請求項23】
ゴルフボール本体に塗布された樹脂が、10〜15ミクロンの平均の厚さを有する、請求項19記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−251135(P2011−251135A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−156290(P2011−156290)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【分割の表示】特願2010−180877(P2010−180877)の分割
【原出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)