説明

空気吸入により可逆的に変形可能な滴下式に分配される液体の包装容器

【課題】外部環境から保護しながら液体を収容し、この液体を特に一滴ずつ制御しながら供給する。
【解決手段】滴下式に分配される液体1の包装容器であり、この容器は、空気吸入により可逆的に変形し、ノズル5を介して液体を分配するヘッド3を具備している。該ヘッド3は、容器の頸部10の内部に嵌合され、チャンバ9の上流に配置された疎水性の微多孔質パッド8を収納する、刳り貫き本体4を備えている。このチャンバ9には、空気溜めが設けられており、二度の液体分配操作の間、キャップ6でノズル5が密封して塞がれているときは液体が微多孔質パッドを通らないようにするとともに、分配ヘッド3が含む部分的に親水性で部分的に疎水性の濾過膜7を乾燥させるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬用溶液、特に点眼薬などの液体の包装および分配の分野に関するものである。本発明は、分配ヘッドを具備する容器を目的とするものであり、該容器は、外部環境から保護しながら液体を収容し、この液体を特に一滴ずつ制御しながら供給するように構築されている。
【背景技術】
【0002】
外部環境から液体を保護し、特に一滴ずつ制御しながらこれを供給するように構築されている、液体を収容するための容器が既知である。このような容器の用途は広く、本発明の範囲に関して限定的ではないが、薬用溶液、特に点眼薬の保存および分配における用途が重視されている。
【0003】
液体の保護に関しては、液体は、汚染物質、特に細菌を含有しがちな周囲の空気との接触を回避しながら、外部環境から保護しなければならない。液体の分配については、収容している液体を排出するために、少なくとも一時的にその容積を減らすことのできる可変性を容器に付与することが一般的である。このような容器は、より詳しくは柔軟な壁を有するものであり、使用者はこの壁に及ぼす圧縮力によって液体を排出させ、そして、液体の保存と分配制御という二つの目的を達成するために分配ヘッドを具備している。
【0004】
しかしながら、特にこれらの目的の両方に到達するために提示された解決方法は、相反する可能性があり、そして当該分野における設計者の努力は、異なる解決方法の間での折衷点を見出すことに特に注がれているものである。さらに、容器に望まれている簡易な構造を考慮し、その取得価格が使い捨てという特徴を踏まえて法外な価格になってはならず、また使用者にとって使いやすいものでなくてはならない。
【0005】
説明のこの段階で、容器の外部からそれに収容されている液体へと、汚染物質が通過しないようにするために、当該分野では、一般的に濾過膜が用いられていることに留意しなくてはならない。この膜は、容器の外に液体を排出するための分配ヘッドが備えるノズル付近に配置され、壁の変形により容器内に及ぼされる圧縮力の作用でこの膜を介して液体が通過できるようにしている。
【0006】
第一の取り組みによれば、不可逆的または準不可逆的な可変性を容器に付与することが提案された。液体の受容容積を画定する容器の内壁は、ベローズで構築され、外装で覆われる。この容器は、さらに、空気を透過させない性質を持つ濾過膜を有し、該濾過膜は、供給される液体を引き出す作用によって、容器に含まれる液体に外気が吸入されることを阻止している。たとえば、このような容器について記載した仏国特許発明第2661401号明細書および仏国特許発明第2770495号明細書(または米国特許第6336571号明細書)を参照することができる。
【0007】
提起される解決すべき問題は、液体の制御された供給である。仏国特許発明第2770495号明細書(米国特許第6336571号明細書)によれば、流れを調整する役割を果たす微多孔質パッドが、厳密に不可逆的に変形する壁を有する容器の分配ヘッドに配置されている。パッドの下流と、空気を透過させない濾過膜の上流とに中間の溜めが設けられている。このような容器は複雑な構造を有し、供給される液体を収容する貯室と同様に分配ヘッドも製造費が高額なものとなる。しかも、このような不可逆的に変形する壁を有する容器では、貯室に含まれる液体を全て分配することは不可能である。実際、ベローズの形では、最後の数滴を押し出すことができず、その結果、液体の一部が無駄になってしまう。
【0008】
第二の取り組みによれば、可逆的な変形特性を容器に付与することが提案された。特に、このような容器を記載している仏国特許発明第2816600号明細書(または米国特許出願公開第2004/0074925号明細書)を参照できる。この容器の分配ヘッドの構造は単純である。該分配ヘッドは、周囲の空気に存在しがちな汚染物質から液体を保護する膜を有する。さらに、初回の使用前に外部環境から液体を厳密に保護するようになされている。このため、分配ヘッドは、初回の供給操作のときに即時に蓋に孔をあけるように、容器の頸部に可動式に取り付けられている。しかしながら、この構成によって、またさらに詳細には、容器に対する分配ヘッドの可動性から、蓋に孔をあけ、そして特に密接な嵌合によって使用者が容器の頸部の内部に分配ヘッドを組み立てた後に、相互の密封性が失われるリスクが生ずる。こうしたリスクを減らすことができても、このような手順は分配ヘッドの複雑さを増長させ、第一に求められている簡易構造の損失に至らせる。さらに、蓋が残っていることは、液体の制御された供給にとって不都合となる障害物を形成する可能性が高い。
【0009】
以上から、当該分野の設計者は、分配ヘッドの簡易性と、場合によっては周囲の空気に存在する汚染物質からの液体の保護と、供給される液体の分量の自由度と、貯室に含まれる全ての液体の最適な利用との間で、折衷点を見出すという問題に依然として突き当たっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、こうした折衷点の探求の一環を成すものであり、このような折衷点に応える解決方法を提供する、滴下式に分配される液体の包装容器を提案することをめざすものである。本発明は、より詳細には、薬用、生物学用、または同様の溶液、特に点眼薬等の、変質しやすい液体の包装の一環を成すものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の進歩性のある手順は、概して、第一に、容器の内部に空気を吸入することによって可逆的に弾性変形する壁を有する貯室を備えるタイプの容器を選択することから成る。この選択は、この壁に及ぼされる圧力の作用で液体の供給を可能にし、一定の分量の液体を供給した後に、容器が自発的に最初の形態に戻れるようにすることをめざすものである。可逆的に変形する壁を有するこのような貯室は、それ自体が既に、複数の部品と多くの組み立ての操作を要する従来技術の不可逆的に変形する貯室と比較して、製造がずっと容易であるという利点を有する。
【0012】
概して、本発明によるこのような容器は、液体の供給ノズルを備えた、刳り貫き本体を有する分配ヘッドを具備し、そして該本体は、貯室の下流で分配ヘッドの本体に対して配置された疎水性材料から成る微多孔質パッドを有する。前記本体は、容器の頸部の内部に不可逆的に組み立てられる。
【0013】
さらに、容器がノズルを密封して塞ぐ着脱式キャップを具備することが提案されており、該ノズルは前記疎水性の微多孔質パッドに結合されており、容積からノズルへと、保存場所に保存された液体がその容器の外に自然に流れ出ることを阻止している。これらの配置は、キャップによってノズルが密封して塞がれているとき、そして、容器の使用中ずっと、疎水性の微多孔質パッドを介した液体の自然な通過を抑制するためのものである。その逆に、容器の壁に及ぼされる圧力によって一定の分量の液体の所望の供給を行うようにノズルが解放されるとき、疎水性の微多孔質パッドを介して保存場所に保存された液体が容器の容積の外に自然に流れ出ることが可能になる。さらに、一定の分量の液体を供給した後に、疎水性の微多孔質パッドを介した保存場所の容積への吸入により空気の透過が可能になり、この吸入は、容器の壁が最初の形態に弾性的に戻ることによって引き起こされ、この戻りによって、容器は一定の分量の液体を引くにもかかわらず最初の形態に戻る。
【0014】
微多孔質パッドは、好ましくは、ぬれ性がないように疎水性を与えるポリエチレンまたは同等の材料で製造されるが、しかしながらその微多孔質性により、使用者によってもたらされる圧力の圧力差が十分であるという条件で、パッドを介して液体の通過が可能になる。
【0015】
本発明による容器のこのような形状、とりわけ、可逆的に変形する貯室と、微多孔質パッドと、密封して塞ぐキャップとの組み合わせは、非常に有利である。実際、一定の分量の液体の供給に続いて空気を吸入し、容器の壁が最初の形態に弾性的に戻った後にキャップを再びノズルの閉塞位置に戻すと、パッドの上流部分と下流部分との間に圧力差を発生し、それを介して水頭損失が生じる。この圧力差によって、たとえ容器の壁が偶発的に押されても、容器に収容されている液体がパッドを介して通過することが阻止され、容器が収容している液体を外部の汚染から保護しながら入物の密封性を確保する。しかも、このような形状により、押し出されなかった液体が容器の容積に再度吸入されるため、パッドの下流に液体が停滞することが全くない。
【0016】
有利には、本発明による容器は、貯室にある全ての収容物の最適な使用という本発明の目的に応えるものであり、それは二つの異なる方法で行われる。一方では、可逆的に弾性変形することが可能な壁により、容器は、液体の最後の一滴までこの液体の押し出し容積をもとのまま保持する。実際、空気は、押し出される各分量の液体に代わって容器に吸入されているため、入物で利用できる押し出し圧力は、使用中ずっと最後の一滴を分配するまで同じであり続ける。他方では、既に述べたように、パッドの下流には、外部要因によって汚染される可能性がある液体滴は一滴も残らず、それは、汚染されていない一定の分量を新たに分配する前に除去されるべきものである。
【0017】
さらに、水頭損失が形成される微多孔質パッドは、流れを調節する役割を果たし、液体の様々な分量の分配制御が促される。さらに該パッドは、キャップがはずされ、また、入物が逆さになり分配ヘッドが下に向けられても、入物に収容されている液体が、容器の壁に圧力が全く及ぼされない限り流れ出ないようにされている。
【0018】
変質しやすい液体、特に薬用溶液の容器の用途の枠内においては、好ましくは、分配ヘッドが周囲の空気に存在する汚染物質、特に細菌の吸気から、液体を保護する濾過膜を具備している。そこで、本発明によれば、少なくとも一部が親水性で一部が疎水性の膜を選択し、これを介して液体と空気の透過を選択的に可能にし、該膜を、分配ヘッドのノズル上流で、該ノズルとパッドとの間に配置する。膜の部分的な親水性は、壁の変形により容器に及ぼされる圧縮作用の下で液体が膜を通過することを可能にする一方で、膜の部分的な疎水性は、使用者によって圧縮力がもたらされた後に壁が最初の形態に弾性的に戻るとき、容器に外気の取り込みを許可する。
【0019】
膜は、有利には、さらに追加水頭損失を構成し、これにより、疎水性の微多孔質パッドと組み合わせて、容器の壁を圧縮しない限り容器の外に液体が全く漏れないようにすることができる。
【0020】
膜を介した空気の透過を促すために、本発明は、微多孔質パッドと膜との間に介在して設けられている中間チャンバの存在のおかげで、容器を底で立たせた位置にしたとき、液体を二度供給する間にこの膜を乾燥して保つようにしている。このような中間チャンバを利用して液体の供給調節室を構成することができる。このため、有利には、分配ヘッドから一滴ずつ液体を出させるために、液体の供給の操作時に分配される少なくとも一滴の液体を集めるのに十分な体積を、該チャンバに付与することが可能である。
【0021】
中間チャンバの体積は、さらに、そして有利には空気溜めを構成し、該空気溜めは、ノズルがキャップで塞がれたときに、微多孔質パッドを介して液体が通過することを妨げようとする圧力を保持する。中間チャンバと組み合わされると、微多孔質パッドの疎水性は、該パッドを介した液体の通過を妨げる障害物の役割を促していることに留意しなくてはならない。
【0022】
中間チャンバは、さらに、そして有利には、容器の壁に圧力を及ぼすのをやめると、膜をまだ通過していない液体を収容する容積を構成する。そのため、有利には、中間チャンバが膜の全面に広がり、液体が供給された後に容器の壁に及ぼされる圧力がやんだ際に、膜の乾燥を促すのに十分なように膜から軸方向の距離に配置されるようにし、底で支持され、分配ヘッドが上にくるようにして容器が休止位置に戻るようにする。結果、押し出されなかった残りの液体は全て中間チャンバに収容されたままになり、毛管現象によって膜をぬらし続けることはない。微多孔質パッドの疎水性はまた、膜の乾燥を促すことに留意しなくてはならない。
【0023】
以上に説明した様々な特徴については後にさらに完全に定義および説明するが、本発明は、これらの特徴により、工業的な実践において従来から用いられていた複雑な動力学的閉鎖システムから解放されるという長所を有する。本発明が提案する配置により、キャップ若しくは他の破砕式の仕切りも、他の形のバルブも不要になり、また、滴下式に分配される液体の貯室容器に対して分配ヘッドを並進または回転する入物の開放手順からも解放される。
【0024】
とりわけ、疎水性の微多孔質パッドと、濾過膜と、中間チャンバとの存在を互いに有利に組み合わせることにより、分配ヘッドに、押し出し時の液体の流れの調節機能と、分配ヘッドにおけるキャップの密閉によって中間チャンバに留められている空気の圧力と組み合わせられた膜の閉塞と乾燥の機能とが共に付与されることが分かる。
【0025】
本発明の枠内において全く適切な微多孔質パッドは、長手方向への液体の通過のために、孔径の平均が0.3から10ミクロンの微細導管を有する。
【0026】
このような値の幅は、本発明の重要な用途、すなわち薬用溶液、特に点眼薬の保存および分配において特に適している。
【0027】
さらに、上記の値の幅により、微多孔質パッドは、初回の使用前に、容器に収容される液体から膜を隔離するのに十分な水頭損失を確実に発生させられる。これにより、有利には、初回の使用前の容器のストックの段階時に膜が液体と接することによって劣化することが回避される。
【0028】
さらに、本発明の枠内において、このような微多孔質パッドと孔径がパッドのものより小さく、特に0.1から0.2ミクロンの間に含まれる、部分的に親水性で部分的に疎水性の膜との組み合わせが、非常に有利である。これにより、分配ヘッドの流れの密封特性と調節特性とが改善される。
【0029】
膜は、たとえば、親水性を付与するポリアミド樹脂またはポリエーテルスルホン樹脂を主成分とするポリマー材料で製造可能である。その場合、該膜は、その表面の一部においてその構造を変更することによって部分的に疎水性となる。このような変更はそれ自体、たとえばラジカル反応開始剤の存在下でのグラフト化によって、従来の方法で実施可能である。有利には、膜を、その表面の20〜50%を占有する中央帯で疎水性にするように処理が行われ、該中央帯は、液体の押し出しの際にぬれ性を付与される。
【0030】
好ましくは、分配ヘッドの本体が、密接な接触による嵌合によって頸部の内部に組み立てられる。
【0031】
好ましくは、本体は、容器の頸部の内部に圧入するために弾性変形可能であり、このような圧入を容易にするために、好ましくは、本体の底にセンタリング部材が設けられている。このセンタリング部材は、好ましくは容器の頸部に分配ヘッドの本体を嵌合する半径方向の接合フランジから構成され、接合フランジは、互いの間に断面を画定する。
【0032】
容器の密封性と、容器の頸部内部への本体の密接な接触導入とをさらに促進するために、有利には、分配ヘッドの本体の外面は、ともにモノブロック集合体を構成する前記本体から出ている周辺リングを具備しており、この周辺リングは、好ましくは複数であり、本体に軸方向に配分されている。
【0033】
有利には、分配ヘッドの本体は、接合面から出ているリングが延長された主軸に対して半径方向にあり、そして特に、場合によっては上記の周辺リングに平行であるという条件で、成形によって得られる。接合面から生じるこのリングは、とりわけ本体の末端、センタリング部材の接合面の境界に位置し、分配ヘッドと容器との密封性が最適なものとなるようにする。
【0034】
着脱式のキャップについては、このキャップは、好ましくはねじ止めによって容器に嵌め込まれており、分配ヘッドへのキャップの締め付け、つまりは、これらの部材の密封性を得やすくしている。
【0035】
このため、有利には、キャップは、分配ヘッドのノズルの内部に侵入する突出部と、このノズルを覆うスカートとを結合する密封部材の組み合わせを備えている。突出部とスカートは、有利には、特に成形により単一部品である該キャップを得ているときに、このキャップから出ている。
【0036】
本発明は、添付図面に関してなされた以下の説明を読めば、いっそう理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の個々の変形実施形態による液体包装容器を示す、軸方向断面図である。
【図2】本発明の個々の変形実施形態による液体包装容器を示す、軸方向断面図である。
【図3】容器が含むセンタリング部材の領域での、図2に示された容器の半径方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1と図2は、本発明の個々の変型実施形態による液体包装容器を示す、軸方向断面図である。
図3は、容器が備えるセンタリング部材の領域での、図2に示された容器の半径方向断面図である。
【0039】
図1、2では、液体1を包装するための容器は、可逆的に自発変形することができ、それにより、使用者によって手動で容器の壁2に及ぼされる圧縮力による液体1の分配と、空気の吸入により容器が最初の形態に自発的に戻ることが可能になっている。この容器には、液体1の保存容積15が設けられており、一滴ずつ液体を分配するヘッド3を具備している。この分配ヘッド3は、主に、ノズル5を備えた刳り貫き本体4と、ノズル5を閉塞する着脱式のキャップ6とから構成される。また、部分的に親水性で部分的に疎水性であり、そのために通気性があるとともに一方では液体を通すこともできる抗菌性の濾過膜7が、ノズル5の上流に配置されており、周囲の空気に場合によっては存在する汚染物質、特に細菌の、望ましくない導入から液体を保護している。
【0040】
分配ヘッド3の本体4は、その内部刳り貫きに微多孔質パッド8を収納しており、該パッドは、特にポリエチレン等の疎水性材料で製造され、容器の壁2に圧縮力が及ぼされないときに液体1がノズル5を通過しないようにしている。微多孔質パッド8は、膜7から離れて上流に、このパッド8と膜7との間に中間チャンバ9を設けられるように配置されている。
【0041】
中間チャンバ9は、パッドの全面に広がって空気溜めを構成し、該空気溜めは、キャップ6によってノズル5が閉塞されているときに、パッド8の表面全体に圧力を及ぼし、キャップ6によってノズル5が閉塞されているときに液体1が微多孔質パッド8を介して通過することを阻止している。さらに詳細には、キャップ6は、容器の外、そしてまたさらに詳細には中間チャンバ9の外への空気の排出を妨げている。空気は微多孔質パッド8の下流に閉じ込められ、該パッドは、ノズル5がキャップ6によって閉塞されている限り、自身を介した液体1の通過を妨げる。逆に、液体1を供給するには、微多孔質パッド8は、ノズル5を介して空気が容器の外に排出されることが可能になると、この供給を妨げることをしない。中間チャンバ9は、ノズル5を介して分配されるのに先立ち、微多孔質パッド8を通過する液体1の流れを自発的に調整するために用いられる。
【0042】
中間チャンバ9は、膜の全面に広がっており、容器の壁2に圧力及ぼすのをやめると膜7から離れて液体1を収容し、このようにして、液体の二度の供給の間に膜の乾燥を促すために、容積を構成している。
【0043】
本体4は、圧力嵌めによって容器の頸部10の内部に固定して組み立てられる。図1および図2に示した様々な変型実施形態によれば、こうした嵌合は、図1に示したように本体4の外面と頸部10の内面との密接な接触によって直接行われるか、または、好ましくは、図2に示したように本体4の周辺に設けられる輪環リング11を介して行われる。これらの実施例においては、容器の頸部10の内部への導入を容易にするために本体4の底に設けられた、センタリング部材12の好適な存在に留意しなくてはならない。例として示されたセンタリング部材12は、頸部10に本体4を嵌合する半径方向の接合フランジ13から全体が構成され、図3からさらに詳細に分かるように、フランジ13は、互いの間で刳り貫かれた区域を画定している。
【0044】
さらに、図示された変形実施形態では、協働する凸部分14を介した容器の頸部10へのキャップ6のねじ止めによる組み立てについて書き留める。容器へのキャップ6のねじ止めを容易にし、互いの密封性を強固なものにするために、キャップ6は、分配ヘッドのノズル5の内部に侵入する突出部15と、ノズルを覆うスカート16とを備えている。
【符号の説明】
【0045】
1 液体
2 壁
3 分配ヘッド
4 本体
5 ノズル
6 着脱式キャップ
7 濾過膜
8 微多孔質パット
9 中間チャンバ
10 頸部
11 リング
12 センタリング部材
13 接合フランジ
14 凸部分
15 突出部
16 スカート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【特許文献1】仏国特許発明第2661401号明細書
【特許文献2】仏国特許発明第2770495号明細書
【特許文献3】仏国特許発明第2816600号明細書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
滴下式に分配される液体の包装容器であり、該容器は、壁(2)に対して及ぼされる圧力の作用の下での液体(1)の供給と、一定の分量の液体(1)を供給した後に、容器が自発的に最初の形態に戻ることを可能にするために容器の内部に空気を吸入することによって可逆的に弾性変形する壁(2)を有する貯室と、液体(1)を供給するノズル(5)を備え、貯室の下流に配置されている微多孔質パッド(8)を収容している刳り貫き本体(4)を備える分配ヘッド(3)とを備えることを特徴とするものであり、
本体(4)は、前記容器の頸部(10)の内部に不可逆的に組み立てられており、該容器は、さらに、容器がノズル(5)を密封して塞ぐ着脱式キャップ(6)を具備しており、該ノズルは疎水性の微多孔質パッド(8)に結合されており、容積(15)からノズル(5)へと、保存場所に保存された液体がその容器の外に自然に流れ出ることを阻止しており、それは、第一に、キャップ(6)によってノズル(5)が密封して塞がれているとき、疎水性の微多孔質パッド(8)を介した液体(1)の自然な通過を抑制するためのものであり、そして第二に、逆に容器の壁(2)に及ぼされる圧力によって一定の分量の液体(1)の所望の供給を行うようにノズル(5)が解放されるとき、微多孔質パッド(8)を介して保存場所に保存された液体(1)が容器(15)の容積の外に自然に流れ出ることを可能にするものであり、そして第三に、さらに、一定の分量の液体(1)を供給した後に、容器の壁(2)が最初の形態に弾性的に戻ることにより、疎水性の微多孔質パッド(8)を介した保存場所の容積(15)への吸入によって空気の透過を可能にするものである。
【請求項2】
微多孔質パッド(8)は、疎水性を付与するためにポリエチレンで製造され、
その微多孔質の性質は、少なからず使用者によって容器の壁に及ぼされた圧力によって引き起こされる圧力差の作用の下で該パッドを介した液体の通過を許可することを特徴とする、請求項1に記載の滴下式に分配される液体の包装容器。
【請求項3】
前記微多孔質パッド(8)は、孔径の平均が0.3から10ミクロンの微細導管を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の滴下式に分配される液体の包装容器。
【請求項4】
抗菌性の濾過膜(7)が、前記ノズル(5)の上流に配置されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一つに記載の滴下式に分配される液体の包装容器。
【請求項5】
前記濾過膜(7)は、その壁に圧力をかけることによって容器に及ぼされる超過圧力作用の下で、液体が膜を通過するために部分的に親水性であり、また、壁に及ぼされていた圧力の解放によって容器に及ぼされる負圧作用の下で空気の膜への透過を許可するために、部分的に疎水性であることを特徴とする、請求項4に記載の滴下式に分配される液体の包装容器。
【請求項6】
前記分配ヘッドは、前記微多孔質パッド(8)と前記膜(7)との間に介在するように設けられた、前記液体の供給調節を行う中間チャンバ(9)を含むことを特徴とする、請求項4または5に記載の滴下式に分配される液体の包装容器。
【請求項7】
前記中間チャンバは、供給の操作のときに分配する少なくとも一滴の液体を集めるのに十分な一定の体積を有することを特徴とする、請求項6に記載の滴下式に分配される液体の包装容器。
【請求項8】
前記中間チャンバは、ノズル(5)がキャップ(6)で塞がれたときに、微多孔質パッド(8)を介して液体(1)が通過することを妨げようとする圧力を及ぼす、空気溜めを構成するのに十分な体積で、パッドの全面に広がっていることを特徴とする、請求項6または7に記載の滴下式に分配される液体の包装容器。
【請求項9】
中間チャンバ(9)は、容器の壁に圧力を及ぼすのをやめ、このようにして液体の二度の供給の間に膜の乾燥を促したときに、膜をまだ通過していない液体を収容するのに十分な軸方向の距離にある膜の全面に広がっていることを特徴とする、請求項6から8のいずれか一つに記載の滴下式に分配される液体の包装容器。
【請求項10】
本体(4)が、密接な接触による嵌合によって容器の頸部(10)の内部に組み立てられることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一つに記載の滴下式に分配される液体の包装容器。
【請求項11】
本体(4)は、容器の頸部(10)の内部に圧入するために弾性変形可能であり、このような圧入を容易にするために、本体(4)の底にセンタリング部材(12)が設けられていることを特徴とする、請求項10に記載の滴下式に分配される液体の包装容器。
【請求項12】
センタリング部材(12)は、容器の頸部(10)に分配ヘッドの本体(4)を嵌合する半径方向の接合フランジ(13)から構成され、フランジ(13)は、互いの間に刳り貫かれた断面を画定することを特徴とする、請求項11に記載の滴下式に分配される液体の包装容器。
【請求項13】
分配ヘッドの本体(4)の外面は、ともにモノブロック集合体を構成する前記本体(4)から出ている少なくとも一つの輪環リング(11)を具備しており、該輪環リングは、場合によっては複数であり、軸方向に配分されていることを特徴とする、請求項10から12のいずれか一つに記載の滴下式に分配される液体の包装容器。
【請求項14】
分配ヘッドの本体(4)は、成形の接合面から生じるリング(17)が、とりわけ本体(4)の末端、センタリング部材(12)の接合面の境界に位置し、分配ヘッドと容器との密封性が最適なものとなるようになされるという条件で、成形によって得られることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一つに記載の滴下式に分配される液体の包装容器。
【請求項15】
着脱式のキャップ(6)は、ねじ止めによって容器に嵌め込まれていることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一つに記載の滴下式に分配される液体の包装容器。
【請求項16】
キャップ(6)は、分配ヘッドのノズル(5)の内部に侵入する突出部(15)と、このノズル(5)を覆うスカート(16)とを結合する密封部材の組み合わせを備えていることを特徴とする、請求項15に記載の滴下式に分配される液体の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−210979(P2012−210979A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−113156(P2012−113156)
【出願日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【分割の表示】特願2007−517521(P2007−517521)の分割
【原出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(503171360)
【氏名又は名称原語表記】LABORATOIRES THEA
【Fターム(参考)】