説明

空気吹出装置

【課題】吹出部が導入部と流路拡大部からなる場合に、流路拡大部から室内空間へ吹き出される空気流量を均一に近づける手段を提供する。
【解決手段】人を乗せて走行する車両の室内空間へ空気を吹き出す空気吹出装置10であって、空気を室内空間1に吹き出す吹出部5aを備え、吹出部5aは、空気調節装置3aからの空気が導入される導入部15と、導入部15に下流側から直結する流路拡大部17と、を有する。流路拡大部17は、導入部15における空気流方向と交差する交差方向に、導入部から拡大している。流路拡大部17には、交差方向に延びる吹出孔形成体21aを設ける。吹出孔形成体21aには、複数の吹出孔23を形成する。吹出孔形成体21aにおいて、導入部15と流路拡大部17との接続位置から交差方向に離れた単位領域ほど、該単位領域内における吹出孔23の開口率が大きくなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人を乗せて走行する車両の室内空間に空気を吹き出す空気吹出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気吹出装置は、空気を送り出す空気調節装置と、空気調節装置から送られてくる空気を車両の室内空間に吹き出す吹出部とを有する。このような空気吹出装置は、例えば下記特許文献1に記載されている。
【0003】
なお、特許文献1に記載された空気吹出装置では、例えば、室内空間の天井側に設置された空調室内機(空気調節装置)が、ダクトを通して、室内空間の天井に設けられた吹出口に空気を送っている。この空気は、吹出口から室内空間に吹き出される。吹き出された空気は、その後、室内空間の床部にある吸込口から吸い込まれる。吸い込まれた空気は、ダクトを通って空調室内機へ戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−255122号公報
【特許文献2】特開2008−265569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、車両に付随する各機構の設置スペース19を確保することや、ダクトを短縮するなどの条件を考慮する場合、図1のような吹出部41の配置になる場合がある。図1において、吹出部41は、空気調節装置(図示せず)からの空気が導入される導入部43と、導入部43に下流側から直結する流路拡大部45とを有する。流路拡大部45の内部流路は、上述の条件により十分に広くできないため、流路拡大部45にディフューザ構造(導入部43から徐々に流路を広げていく構造)を採用できず、図1のように、流路拡大部45は、導入部43から急拡大せざるを得ない場合がある。このように内部流路が急拡大する流路拡大部45では、流れの剥離が生じやすく不均一流れとなるため、流路拡大部45から室内空間1へ吹き出される空気流量も不均一になる。
【0006】
この問題を解決するために、流路拡大部45と室内空間1との間に、圧損抵抗が均一で、かつ、圧損抵抗の大きな部材2を設置することが考えられる。しかし、実際には部材2の圧損抵抗を相当大きくしなければ、流路拡大部45から室内空間1へ吹き出される空気流量の均一化を実現できず、この場合には、空調動力が大きくなってしまうという欠点があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、吹出部が上述のような導入部と流路拡大部からなる場合に、大きな空調動力を用いることなく、流路拡大部から室内空間へ吹き出される空気流量を均一に近づける手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明によると、人を乗せて走行する車両の室内空間へ空気を吹き出す空気吹出装置であって、
空気を送り出す空気調節装置と、
前記空気調節装置から送られてくる空気を前記室内空間に吹き出す吹出部と、を備え、
前記吹出部は、
前記空気調節装置からの空気が導入される導入部と、
該導入部に下流側から直結する流路拡大部と、を有し、
前記流路拡大部は、前記導入部における空気流方向と交差する交差方向に、前記導入部から拡大しており、
前記流路拡大部には、前記流路拡大部の内部空間を前記室内空間側と仕切るように前記交差方向に延びる吹出孔形成体が設けられ、該吹出孔形成体には、前記内部空間から前記室内空間側へ空気を吹き出す複数の吹出孔が形成され、
前記吹出孔形成体において、前記導入部と前記流路拡大部との接続位置から前記交差方向に離れた単位領域ほど、該単位領域内における前記吹出孔の開口率が大きくなっている、ことを特徴とする空気吹出装置が提供される。
【0009】
上述した本発明の空気吹出装置では、流路拡大部において、前記交差方向に流れる空気の圧損に対応して、各単位領域内における前記吹出孔の開口率を設定する。これにより、大きな空調動力を用いることなく、吹出部から吹き出す空気流量を均一に近づけることができる。その原理は次の通りである。
図2に示すように、パスAとパスBを考える。パスAは、導入部15から流路拡大部17を最短パスで横切って、吹出孔形成体21aから空気が出て行くパスである。パスBは、導入部15から流路拡大部17を交差方向に流れて、最長パスとなる下流端から空気が吹出孔形成体21aを経て出て行くパスである。
パスA,Bともに導入部15での圧力Pinは等しいこと、及び、吹出孔形成体21aを通過した直後の圧力Poutが、パスA,Bによらず同じ、であることを考慮すれば、流路拡大部21aでのパスA,Bの圧力損失をそれぞれΔPa1,ΔPb1とし、吹出孔形成体21aの通過圧力損失がパスA,Bでそれぞれ,ΔPa2,ΔPb2
とすると,
ΔPa1+ΔPa2=ΔPb1+ΔPb2
が成り立つので、左辺=ΔPa(Qa),右辺=ΔPb(Qb)となる。ここで、ΔP()は、この括弧内の変数の関数であることを示し、Qa,QbはパスAとパスBそれぞれの流量を意味する。
従って、ΔPa(Qa)=ΔPb(Qb)となるように、パスAの流量Qaと,パスBの流量Qbが決定される。
流路拡大部では交差方向の圧損のためΔPb1>ΔPa1なので,吹出孔形成体21aの開口率γが一様な場合には,Qa>Qb(分布がつく)となるが、本発明のように、吹出孔形成体21aの開口率γを,γa<γbとすれば,Qa=Qb(一様分布)とするように流量配分を均等にできる。なお、γaは、パスAにおける吹出孔形成体21aの開口率であり、γbは、パスBにおける吹出孔形成体21aの開口率である。
よって、このような開口率の設定により、吹出孔形成体21aから吹き出す空気流量を、均一にでき、または、均一に近づけることができる。また、開口率に変化をつけることで、空調動力を抑えることができる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によると、前記接続位置から前記交差方向に離れた単位領域ほど、該単位領域内の前記各吹出孔の貫通面積が大きくなっている。
【0011】
このように、前記接続位置から前記交差方向に離れた単位領域ほど、該単位領域内の前記各吹出孔の貫通面積を大きくすることで、前記接続位置に近い単位領域の吹出孔から空気が吹き出す場合よりも、前記接続位置から遠い単位領域の吹出孔から空気が吹き出す場合のほうが、吹出孔形成体での圧損が小さくなる。その結果、上述のように、前記吹出部から前記室内空間へ吹き出される空気流量を、前記交差方向において均一に近づけることができる。
【0012】
また、本発明の好ましい実施形態によると、前記空気調節装置は、前記車両の下部に位置しており、
前記各吹出孔は、鉛直上向き方向に前記室内空間側へ吹き出し、
前記室内空間の下部において空気を吸い込む吸込部を備える。
【0013】
この構成では、空気吹出装置を室内空間の天井側に設けない。即ち、前記空気調節装置を、前記車両の下部に設け、各吹出孔は、鉛直上向き方向に前記室内空間側へ空気を吹き出し、吸込部は、前記室内空間の下部において空気を吸い込む。このように、空気吹出装置を室内空間の天井側に設けないので、室内空間の高さ寸法を大きくできる。
また、吹出部は、前記交差方向の均一な空気流量分布で、空気を鉛直上向きに吹き出し、かつ、吸込部は、室内空間の下部において空気を吸い込む。これにより、吹出部から吹き出た空気は、上昇した後、下降して吸込部へ吸い込まれるので、室内空間において空気が効率よく広範囲に流れる。
【発明の効果】
【0014】
上述した本発明によると、流路拡大部において、前記交差方向に流れる空気の圧損に対応して、各単位領域内における前記吹出孔の開口率を設定することにより、吹出部から吹き出す空気流量を均一に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本願の課題を説明する図である。
【図2】本発明の原理を説明する図である。
【図3】特許文献2に記載されている案内軌条式鉄道車両の平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による空気吹出装置を示す平面図である。
【図5】図4のV−V矢視図である。
【図6】図5のA−A矢視図である。
【図7】(A)は、図5のA−A矢視図であるが、第2実施形態の場合を示し、(B)は、(A)のB−B矢視分解図である。
【図8】(A)は、図7(A)において、吹出孔形成部材の構成要素のうち第1の網目状部材のみを示した場合であり、(B)は、図7(A)において、第2の網目状部材のみを示した場合であり、(C)は、図7(A)において、第3の網目状部材のみを示した場合である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0017】
本発明の空気吹出装置は、人を乗せて走行する車両に設けられる。また、空気吹出装置は、人が存在する室内空間へ空気を吹き出して循環させる。本発明の空気吹出装置は、案内軌条式鉄道車両に適用可能である。図3は、案内軌条式鉄道車両を示す平面図である。図3に基づいて、案内軌条式鉄道車両を説明する。
案内軌条式鉄道車両は、走行経路に沿って延びる案内軌条51に案内されて走行する。そのために、案内軌条式鉄道車両は、案内アーム53と走行車輪55を有する。案内アーム53は、案内軌条51の側面に接触する転動ローラ53aを有し、案内軌条51の形状に従って水平面内で回転自在である。走行車輪55は、案内アーム53と一体的に水平面内で回転することで、案内軌条51に沿う方向を向く。これにより、案内軌条式鉄道車両は、案内軌条に沿って走行する。図3において、符号57は、案内軌条式鉄道車両の車体を示す。案内軌条式鉄道車両の詳しい構成は、例えば特許文献2に記載されている。
なお、本発明の空気吹出装置10は、換気を要する室内空間を有する他の車両にも適用可能である。例えば、本発明の空気吹出装置10は、電車やバスにも適用可能である。
【0018】
[第1実施形態]
図4〜図6に基づいて、本発明の第1実施形態による空気吹出装置10を説明する。図4は、車両の室内空間1とその付近を示す平面図である。図5は、図4のV−V矢視図である。図6は、図5のA−A矢視図である。
【0019】
空気吹出装置10は、空気調節装置3a、吹出部5a、吹出孔形成体21aおよび吸込部7aを備える。
【0020】
空気調節装置3aは、空気を送り出す送風機(図示せず)を有する。この送風機により空気調節装置3aから送り出された空気は、ダクト13aを通して吹出部5aへ導入される。空気調節装置3aは、前記車両の下部に位置している。図5では、空気調節装置3aは、車両の室内空間1よりも下方に位置している。空気調節装置3aには、空気を冷却または加熱する室内熱交換器が内蔵されていてもよい。この場合、室内熱交換器により冷却または加熱された空気を、前記送風機によりダクト13aへ送り出すことができる。
【0021】
吹出部5aは、空気調節装置3aから送られてくる空気を室内空間1に吹き出す。吹出部5aは、導入部15と流路拡大部17を有する。導入部15には、空気調節装置3aからの空気がダクト13aを通して導入される。流路拡大部17は、導入部15に下流側から直結する。流路拡大部17は、機器の配置スペース19を確保するため、導入部15における空気流方向と交差する交差方向(図5の左右方向)に、導入部15から内部空間16が拡大している。また、流路拡大部17には、後述の吹出孔形成体21aが設けられる。図5において、流路拡大部17の下流端に形成された開口には、目の粗い金網18が取り付けられている。また、吹出部5aは、室内空間1内において、車両の前後方向に対する左右方向の端部に位置する。図4の例では、吹出部5aは、室内空間1内において、前記左右方向の両方端部にそれぞれ設けられる。左右の各吹出部5aは、同じ構成を有する。また、左右の吹出部5aには、それぞれ左右のダクト13aを通して、空気調節装置3aから空気が導入される。
【0022】
吹出孔形成体21aは、流路拡大部17の内部空間16を室内空間1側と仕切るように前記交差方向に延びる。吹出孔形成体21aには、流路拡大部17の内部空間16から室内空間1側へ空気を吹き出す複数の吹出孔23が形成される。吹出孔形成体21aは、好ましくは、板状部材である。この場合、各吹出孔23は、板状の吹出孔形成体21aの厚み方向(図5の例では、前記空気流方向)に吹出孔形成体21aを貫通する。各吹出孔23は、鉛直上向き方向に室内空間1側へ空気を吹き出す。図6は、図5のA−A矢視図である。図6において、破線は、吹出孔形成体21aにおいて前記交差方向に並ぶ複数の単位領域25の区切りである。各単位領域25の面積は互いに同じである。図5と図6から分かるように、吹出孔形成体21aにおいて、導入部15における流路拡大部17との接続位置から前記交差方向に離れた単位領域25ほど、該単位領域25内単位領域25における吹出孔23の開口率が大きくなっている。この開口率は、単位領域25内にある全ての吹出孔23の貫通面積の合計値を、該単位領域25の面積で割った値である。図6の例では、吹出孔23の密度は、複数の単位領域25の間で同じであるが、各吹出孔23の寸法(即ち、貫通面積)は、前記接続位置から前記交差方向に離れた単位領域25ほど大きくなっている。これにより、前記接続位置から前記交差方向に離れた単位領域25ほど、該単位領域25における吹出孔23の開口率が大きくなっている。この場合、位置によっては、単位領域25内に1つだけ吹出孔23があってもよいし、単位領域25内に吹出孔23が無くてもよい。なお、複数の単位領域25の面積は、互いに同じでなくともよい。
【0023】
吸込部7aは、室内空間1の下部に設けられる。この吸込部7aは、室内空間1の空気を吸い込む。吸込部7aに吸い込まれた空気は、ダクト27aを通って空気調節装置3aに戻される。空気調節装置3aに戻された空気は、再びダクト13aへ送り出される。このように、空気は、空気調節装置3a、ダクト13a、吹出部5a、室内空間1、吸込部7a、ダクト27aの順に流れて循環する。なお、このように循環する空気の一部を、循環途中において、外気と入れ替えてもよい。
【0024】
図4において、上述した構成が、同じ室内空間1に対し2組設けられる。即ち、室内空間1の後方側部分に対し、上述した空気調節装置3a、ダクト13a、吹出部5a、吹出孔形成体21a、吸込部7a、ダクト27aが設けられ、室内空間1の前方側部分に対し、上述と同じ構成と機能を持つ空気調節装置3b、ダクト13b、吹出部5b、吹出孔形成体21b、吸込部7b、ダクト27bが設けられる。即ち、空気調節装置3bは空気調節装置3aと同じ構成と機能を持ち、ダクト13bはダクト13aと同じ構成と機能を持ち、吹出部5bは吹出部5aと同じ構成と機能を持ち、吹出孔形成体21bは吹出孔形成体21aと同じ構成と機能を持ち、吸込部7bは吸込部7aと同じ構成と機能を持ち、ダクト27bはダクト27aと同じ構成と機能を持つ。なお、例えば、空気吹出装置10により循環する空気量は、1150m/minであり、外気導入量は、750m/minであり、室内空間1への全空気吹出量は、1900m/minである。また、例えば、ダクト13a,13bにおける流速は、3.6m/sであり、ダクト27a,27bにおける流速は、1.6m/sである。
【0025】
上述した第1実施形態による空気吹出装置10は、以下の効果(A)〜(C)を奏する。
【0026】
(A)流路拡大部17において、前記交差方向に流れる空気の圧損に対応して、各単位領域25内における吹出孔23の開口率を設定する。この設定で、図2に基づく上述の原理により、吹出部5aから吹き出す空気流量を、均一にでき、または、均一に近づけることができる。
即ち、前記接続位置から前記交差方向に離れた単位領域25ほど、該単位領域25内の前記各吹出孔23の貫通面積を大きくすることで、前記接続位置に近い単位領域25の吹出孔23から空気が吹き出す場合よりも、前記接続位置から遠い単位領域25の吹出孔23から空気が吹き出す場合のほうが、吹出孔形成体21aでの圧損が小さくなる。その結果、吹出部5aから室内空間1へ吹き出される空気流量を、前記交差方向において均一に近づけることができる。
【0027】
(B)空気吹出装置10を室内空間1の天井側に設けない。即ち、空気調節装置3aを、前記車両の下部に設け、各吹出孔23は、鉛直上向き方向に室内空間1側へ空気を吹き出し、吸込部7aは、室内空間1の下部において空気を吸い込む。このように、空気吹出装置10を室内空間1の天井側に設けないので、室内空間1の高さを大きくすることができる。なお、符号2は、室内空間1の天井面を示し、符号4は、室内空間1の床面を示す。
【0028】
(C)吹出部5aは、交差方向の均一な空気流量分布で、空気を鉛直上向きに吹き出し、かつ、吸込部7aは、室内空間1の下部において空気を吸い込む。これにより、吹出部5aから吹き出た空気は、上昇した後、下降して吸込部7aへ吸い込まれるので、室内空間1において鉛直方向に関して空気が効率よく広範囲に流れる。
【0029】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による空気吹出装置10について説明する。第2実施形態による空気吹出装置10において、以下で述べる構成以外の構成は、第1実施形態による空気吹出装置10と同じである。
【0030】
図7(A)は、図5のA−A矢視図であるが、第2実施形態の吹出孔形成体21aを示す。図7(B)は、図7(A)のB−B矢印から見た、吹出孔形成体21aの分解図である。図7(B)では、吹出孔形成体21aのみを示している。図7に示すように、第2実施形態では、吹出孔形成体21aは、複数の網目状部材29,31,33からなる。即ち、図7(B)のように、複数の網目状部材29,31,33を、この図の「積層方向」に積み重ねることで、吹出孔形成体21aを構成する。図8(A)は、図7(A)において、網目状部材29、31、33のうち網目状部材31、33を省略した図である。図8(B)は、図7(A)において、網目状部材29、31、33のうち網目状部材29、33を省略した図である。図8(C)は、図7(A)において、網目状部材29、31、33のうち網目状部材29、31を省略した図である。
【0031】
図7、図8において、吹出孔形成体21aには、前記接続位置に近い順に、第1〜第3の単位領域25が存在する。第1の網目状部材29は、第1〜第3の単位領域25にわたって延び、第2の網目状部材31は、第1および第2の単位領域25のみにわたって延び、第3の網目状部材33は、第1の単位領域25のみにわたって延びている。図7、図8から分かるように、網目状部材29が積層されている数は、前記接続位置から前記交差方向に離れた単位領域25ほど少なくなっている。即ち、第1の単位領域25では、第1〜第3の網目状部材29が積層されており、第2の単位領域25では、第1および第2の網目状部材29,31が積層されており、第3の単位領域25では、第1の網目状部材29のみが存在する。網目状部材29、31、33の積層方向から見た場合に、積層された複数の網目部材29,31,33の網の合成により形成されている網目が吹出孔23となる。即ち、前記積層方向の1枚または複数枚の網目状部材29、31、33の合成網目により、前記積層方向に貫通している各吹出孔23が区画される。なお、網目状部材29、31、33の各々は、均一な寸法の網目で形成されてよい。好ましくは、複数の網目状部材29、31、33の間で、網目の寸法は異なっている。
【0032】
上述した第2実施形態の構成により、前記接続位置から前記交差方向に離れた単位領域25ほど、該単位領域25内における吹出孔23の開口率が大きくなっている。
なお、上述では、複数枚の網目状部材により開口率が互いに異なる領域25の数は、3つであったが、3つでなくてもよい。また、吹出孔形成体21aとして、互いに開口率が異なる複数の網目状部材(メッシュ)を、前記交差方向に並べてもよい。
【0033】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0034】
1 室内空間、3a,3b 空気調節装置、5a,5b 吹出部、7a,7b 吸込部、10 空気吹出装置、13a,13b ダクト、15 導入部、16 内部空間、17 流路拡大部、18 金網、19 配置スペース、21a,21b 吹出孔形成体、23 吹出孔、25 単位領域、27a,27b ダクト、29,31,33 網目状部材、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人を乗せて走行する車両の室内空間へ空気を吹き出す空気吹出装置であって、
空気を送り出す空気調節装置と、
前記空気調節装置から送られてくる空気を前記室内空間に吹き出す吹出部と、を備え、
前記吹出部は、
前記空気調節装置からの空気が導入される導入部と、
該導入部に下流側から直結する流路拡大部と、を有し、
前記流路拡大部は、前記導入部における空気流方向と交差する交差方向に、前記導入部から拡大しており、
前記流路拡大部には、前記流路拡大部の内部空間を前記室内空間側と仕切るように前記交差方向に延びる吹出孔形成体が設けられ、該吹出孔形成体には、前記内部空間から前記室内空間側へ空気を吹き出す複数の吹出孔が形成され、
前記吹出孔形成体において、前記導入部と前記流路拡大部との接続位置から前記交差方向に離れた単位領域ほど、該単位領域内における吹出孔の開口率が大きくなっている、ことを特徴とする空気吹出装置。
【請求項2】
前記空気調節装置は、前記車両の下部に位置しており、
前記各吹出孔は、鉛直上向き方向に前記室内空間側へ吹き出し、
前記室内空間の下部において空気を吸い込む吸込部を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の換気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−241257(P2010−241257A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−91867(P2009−91867)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)