説明

空気吹出装置

【課題】空気吹出装置としての機能が十分に維持されながら、より簡便な手法によって製造され得る空気吹出装置を提供する。
【解決手段】空気吹出装置は、空気導出路を画成する筒体10と、筒体に支持された環状部材20と、を備える。環状部材20は、環状部材から筒体の後端側の開放部12に向かって延びる延設部23b,23cを有する。筒体の後端側の開放部12に面する延設部の端部は、筒体の後端側の開放部に面する環状部材20の端部22と筒体の後端側の開放部12との間に位置する。筒体10の内周面に設けられるとともに内周面から筒体が画成する空気導出路に向かって突出する第1突起部13と、環状部材20の延設部23b,23cに設けられるとともに延設部から筒体の内周面に向かって突出する第2突起部24b,24cと、が接触することにより、筒体10に環状部材20が支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などに適用される空気吹出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車などの室内の環境を調整することを目的とし、同室内へ供給される冷暖房用空気などの流量および流れ方向を操作する空気吹出装置が提案されている。従来の空気吹出装置の一つ(以下、「従来装置」とも称呼される。)は、冷暖房用空気の導出路(流路)を画成する円筒体と、その円筒体の内部に設けられる環状部材と、その環状部材の内部に設けられる風向調整板と、その風向調整板および環状部材を円筒体の内部に保持するための保持部材と、を備えている。この従来装置においては、風向調整板の回動状態(円筒体の軸線周りおよび同軸線に垂直な軸周りの回動角度)が調整されることにより、従来装置から吹き出される空気の流量および流れ方向が操作されるようになっている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−237854号公報
【発明の概要】
【0004】
従来装置は、上述した複数の部材(円筒体、環状部材、風向調整板および保持部材)が組み合わされることによって構成されている。ここで、一般に、空気吹出装置を構成するための各種の部材はそれぞれ独立して製造されるので、部材の数に応じてそれら部材を準備するための工程の数が増大するとともに、それら部材の量および品質などの管理が煩雑となる場合がある。さらに、一般に、空気吹出装置はそれら準備された部材が順次組み付けられることによって製造されるので、部材の数に応じて空気吹出装置を製造するための工程の数が増大するとともに、同行程が煩雑となる場合がある。これらの結果、空気吹出装置を製造するためのコストおよび時間などが増大する場合がある。空気吹出装置を製造するためのコストおよび時間などは、空気吹出装置としての機能が適切に維持される限り、低減されることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、空気吹出装置としての機能が十分に維持されながら、より簡便な手法によって製造され得る空気吹出装置を提供することにある。
【0006】
上記課題を解決するための本発明による空気吹出装置は、空気導出路を画成する筒体と、上述した従来装置における保持部材のような部材を必要とすることなく筒体に支持される環状部材と、を備える。
【0007】
より具体的に述べると、本発明の空気吹出装置は、
空気導出路を画成する筒体であって、該筒体の後端側の開放部から流入した空気が前記空気導出路を通過して該筒体の前端側の開放部から吹き出される「筒体」と、
前記筒体に支持された環状部材であって、該環状部材の少なくとも一部が前記筒体の内部に存在する「環状部材」と、
を備える。
【0008】
上記「筒体」は、その内部に空気導出路を形成し得る筒状の形状を有していればよく、その形状などは特に制限されない。例えば、筒体として、同筒体の軸線に垂直な平面によって同筒体が切断されたときの断面の形状が円形である円筒体が採用され得る。さらに、例えば、筒体として、筒状の形状を有する複数の部材(例えば、内径の大きさがそれぞれ異なる複数の円筒形状の部材)が組み合わされた筒体が採用され得る。また、筒体として、同筒体の軸線が直線である筒体(簡便に述べると、曲がっていない筒体)、および、同筒体の軸線が曲線である筒体(簡便に述べると、曲がっている筒体)のいずれもが採用され得る。
【0009】
上記「環状部材」の「少なくとも一部が筒体の内部に存在する」とは、環状部材の全体(全部)が筒体の内部に存在すること、および、環状部材の一部が筒体の内部に存在し且つ環状部材の他部が筒体の外部に存在すること、の双方を含む。なお、上記「筒体の内部」とは、筒体の内周面、筒体の前端側の開放部、および、筒体の後端側の開放部によって画成される領域を表す。
【0010】
この空気吹出装置において、
前記環状部材は、「該環状部材から前記筒体の後端側の開放部に向かって延びる延設部」を有する。さらに、前記筒体の後端側の開放部に面する前記延設部の端部は、前記筒体の後端側の開放部に面する前記環状部材の端部と前記筒体の後端側の開放部との間に位置する。
【0011】
上記「延設部」は、一の端部が環状部材に接続された固定端であるとともに他の端部(上記「筒体の後端側の開放部に面する端部」に相当。)が自由端である部分であればよく、その形状などは特に制限されない。例えば、延設部として、環状部材の端部(具体的には、筒体の後端側の開放部に面する端部)から同環状部材の軸線方向に平行な方向に向かって延設された部分、および、環状部材の端部から同環状部材の軸線方向に対して所定の角度を有する方向に向かって延設された部分などが採用され得る。
【0012】
上記「延設部」は、環状部材の径方向における内側の面(以下、「延設部の内周面」とも称呼される。)および同径方向における外側の面(以下、「延設部の外周面」とも称呼される。)を有する。延設部の内周面と環状部材の内周面との関係について、延設部の内周面は、環状部材の内周面と段差無く接続されていてもよく(いわゆる、面一であってもよく)、環状部材の内周面と所定の段差を介して接続されていてもよい。さらに、延設部の内周面の曲率半径は、環状部材の内周面の曲率半径と同一であってもよく、異なってもよい。また、延設部の外周面と環状部材の外周面との関係についても、上記同様である。
【0013】
上記構成を有する環状部材は、筒体の内部に支持される。具体的に述べると、まず、上記筒体は、前記筒体の内周面に設けられるとともに該内周面から前記筒体が画成する空気導出路に向かって突出する「第1突起部」を有する。一方、上記環状部材は、前記環状部材の前記延設部に設けられるとともに該延設部から前記筒体の内周面に向かって突出する「第2突起部」を有する。そして、この第1突起部と第2突起部とが接触(例えば、両者が係合)することにより、前記筒体に前記環状部材が支持される。
【0014】
上記「第1突起部」および「第2突起部」は、これら双方が接触することによって筒体に環状部材が支持され得る部分であればよく、これらの形状および数、ならびに、これらが設けられる位置などは特に制限されない。なお、第1突起部および第2突起部の具体的な態様については、後述される。
【0015】
上述したように、本発明の空気吹出装置においては、筒体に設けられる第1突起部と環状部材の延設部に設けられる第2突起部とが接触することにより、筒体から環状部材が分離することなく筒体に環状部材が支持される。そのため、従来装置に採用されている保持部材のような部材を個別に設ける必要がない。よって、空気吹出装置を製造するための部材の数が低減されるとともに、より簡便な手法によって(例えば、環状部材を筒体の前端側の開放部から筒体の内部に挿入し、第1突起部と第2突起部とを係合させることによって)、空気吹出装置が製造され得る。
【0016】
さらに、空気吹出装置としての機能を維持する観点においても、本発明の空気吹出装置は、環状部材の延設部によって筒体が画成する空気導出路の大きさ(空気導出路を通過する空気の流量に影響を与え得る同空気導出路の有効断面積など)を縮小してしまうことを、出来る限り防ぎ得る。具体的に述べると、環状部材の延設部の端部は、「環状部材と筒体の後端側の開放部との間」に位置する(すなわち、同端部が筒体の後端側の開放部にまでは達していない)。そのため、同端部が筒体の後端側の開放部にまで達している場合に比べ、延設部が空気導出路の大きさに与える影響が小さいことになる。よって、環状部材に延設部を設けても、空気吹出装置を通過し得る空気の量(以下、「通過空気量」とも称呼される。)が出来る限り維持され得る。また、環状部材に延設部が設けられずに環状部材の全体が筒体の開放部にまで達している場合に比べ、空気吹出装置の単位大きさ当たりの空気導出路の大きさが大きいことになる。よって、この場合に比べ、空気吹出装置の単位大きさ当たりの通過空気量が増大され得る。
【0017】
このように、本発明の空気吹出装置は、空気吹出装置としての機能が十分に維持されながら、より簡便な手法によって製造され得るものである。
【0018】
以下、本発明の空気吹出装置のいくつかの態様が説明される。
【0019】
まず、本発明の空気吹出装置の第1の態様において、空気吹出装置は、
前記第1突起部の前記環状部材の延設部に面する端部(以下、単に「第1突起部の先端部」とも称呼される。)と、前記環状部材の延設部と、が接触しない、ように構成され得る。
【0020】
上述したように、第1突起部と第2突起部とが接触(例えば、係合)することによって、筒体に環状部材が支持される。このとき、空気吹出装置としての機能を維持する観点において、これら第1突起部および第2突起部によって環状部材の動き(例えば、筒体の内部において環状部材が回動すること)が阻害されないことが望ましいと考えられる。そこで、本態様の空気吹出装置は、第1突起部の先端部と、環状部材の延設部と、が接触しないように構成される。
【0021】
これにより、第1突起部の先端部と環状部材の延設部とが接触する場合に比べ、それらの間に生じる摩擦抵抗力に起因して環状部材の動きが阻害されることが防がれ得る。よって、第1突起部および第2突起部を用いて筒体に環状部材を支持しても、空気吹出装置としての機能が出来る限り維持され得る。
【0022】
また、本発明の空気吹出装置の第2の態様において、空気吹出装置は、
前記第2突起部の前記筒体の内周面に面する端部(以下、単に「第2突起部の先端部」とも称呼される。)と、前記筒体の内周面と、が接触しない、ように構成され得る。
【0023】
これにより、上記同様の理由により、第2突起部の先端部と筒体の内周面とが接触する場合に比べ、環状部材の動きが阻害されることが防がれ得るので、空気吹出装置としての機能が出来る限り維持され得る。
【0024】
本発明の空気吹出装置の第3の態様において、
前記第1突起部は、前記筒体の軸線を含む平面によって切断されたたときの該第1突起部の断面の形状が略三角形である、ように構成され得る。
【0025】
上記「略三角形」とは、実質的に三角形であると考えられ得る形状であればよく、特に制限されない。例えば、略三角形として、3つの辺が直線である実際の三角形、3つの辺のうちの少なくとも1つの辺が曲線である形状、および、3つの頂点のうちの少なくとも1つの頂点が所定の曲率半径を有する円弧である(すなわち、角が丸められた)形状、などが挙げられ得る。
【0026】
これにより、例えば、第1突起部に対して筒体の軸線に平行な方向から第2突起部が接近するとともに第1突起部を第2突起部が乗り越えることによって第1突起部と第2突起部とが係合される場合、第1突起部の断面の形状が四角形である場合などに比べ、第1突起部を第2突起部が容易に乗り越え得ると考えられる。そのため、この場合、空気吹出装置がより容易に製造され得ると考えられる。
【0027】
さらに、本発明の空気吹出装置の第4の態様において、空気吹出装置は、
「複数」の前記第1突起部が前記筒体の内周面に設けられるとともに、該複数の第1突起部の少なくとも一つと、前記第2突起部と、が接触する、ように構成され得る。
【0028】
換言すると、本態様において、複数の第1突起部の少なくとも一部と第2突起部とが接触することによって筒体に環状部材が支持されれば、必ずしも複数の第1突起部の全てが第2突起部と接触しなくてもよい。
【0029】
ところで、複数の第1突起部の一部が第2突起部と接触する場合、複数の第1突起部のうちの他部は第2突起部と接触することなく空気導出路に突出した状態となる。しかし、この場合であっても、上記第3の態様のように第1突起部の断面の形状が略三角形であれば、同断面の形状が四角形である場合などに比べ、空気導出路に突出した第1突起部によって空気導出路を通過する空気の流れが乱されることが出来る限り防がれ得ると考えられる。よって、筒体に第1突起部を設けても、空気吹出装置としての機能が出来る限り維持され得る。
【0030】
本発明の空気吹出装置の第5の態様において、空気吹出装置は、
前記筒体の前端側の開放部と前記第1突起部との距離よりも、前記筒体の後端側の開放部と前記第1突起部との距離が小さい(簡便に述べると、第1突起部が筒体の後端側の開放部の近傍に設けられる)ように構成され得る。
【0031】
上述したように、第1突起部が複数設けられるとき、複数の第1突起部のうちの一部が空気導出路に突出した状態となる場合がある。しかし、この場合であっても、筒体の「後端側」の開放部の近傍に第1突起部が設けられれば、仮に第1突起部によって空気導出路を通過する空気の流れが乱されても、同空気が筒体の「前端側」の開放部にまで移動するまでに空気の流れの乱れが低減され得ると考えられる。そのため、第1突起部が筒体の「前端側」の開放部に近傍に設けられる場合に比べ、筒体から吹き出される空気の流れが乱されることが出来る限り防がれ得ると考えられる。よって、筒体に第1突起部を設けても、空気吹出装置としての機能が出来る限り維持され得る。
【0032】
ところで、一般に、空気吹出装置から吹き出される空気の流量および流れ方向を調整するための風向調整板が環状部材の内部に設けられ得る。このとき、風向調整板とともに環状部材を動かす(例えば、筒体の軸線周りに回動させる)ことにより、上記空気の流れ方向などが調整され得る。
【0033】
そこで、例えば、本発明の空気吹出装置の第6の態様において、
前記筒体は円筒体であり、前記環状部材は前記筒体の軸線周りに前記筒体に対して同軸的に回動可能に前記筒体に支持される、ように構成され得る。
【0034】
以上が、本発明の空気吹出装置のいくつかの態様についての説明である。
【0035】
上述したように、本発明の空気吹出装置は、筒体に設けられた第1突起部と環状部材の延設部に設けられた第2突起部とが接触することにより、筒体に環状部材が支持されるようになっている。ここで、特に第1突起部と第2突起部との位置関係に着目し、本発明の空気吹出装置を上述した観点とは別の観点から表現すると、
本発明の空気吹出装置は、
空気導出路を画成する筒体であって、該筒体の後端側の開放部から流入した空気が前記空気導出路を通過して該筒体の前端側の開放部から吹き出される筒体と、
前記筒体の軸線周りに前記筒体に対して同軸的に回動可能に前記筒体に支持された環状部材であって、該環状部材の少なくとも一部が前記筒体の内部に存在する環状部材と、を備えるとともに、
前記筒体に対して前記環状部材が回動するときの前記筒体に対する前記環状部材の位置を表す「回動位置」にかかわらず、前記筒体の内周面に該内周面の周方向に間隔を開けて設けられる複数の第1突起部であって該内周面から前記筒体が画成する空気導出路に向かって突出する複数の第1突起部のうちの少なくとも一つと、前記環状部材の外周面に該外周面の周方向に間隔を開けて設けられる複数の第2突起部であって該外周面から前記筒体の内周面に向かって突出する複数の第2突起部のうちの少なくとも一つと、が接触することにより、前記筒体に前記環状部材が支持される、空気吹出装置である、
とも表現され得る。
【0036】
このとき、第1突起部と第2突起部とが接触する態様は、特に制限されない。例えば、上記空気吹出装置は、前記複数の第1突起部のうちの一または二以上の第1突起部と、前記複数の第2突起部のうちの一の第2突起部と、が前記環状部材の回動位置にかかわらず接触するように、構成され得る。
【0037】
さらに、例えば、上記空気吹出装置は、
前記筒体の内周面上の二つの領域であって、前記筒体の軸線に対して対称な位置に存在する二つの領域、において、
前記二つの領域のうちの一方の領域中に存在する少なくとも1つの前記第1突起部と、少なくとも1つの前記第2突起部とが前記環状部材の回動位置にかかわらず接触するとともに、前記二つの領域のうちの他方の領域中に存在する少なくとも1つの前記第1突起部と、少なくとも1つの前記第2突起部とが前記環状部材の回動位置にかかわらず接触する、ように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の空気吹出装置を構成する一の部材を示す模式図である。
【図2】本発明の空気吹出装置を構成する他の部材を示す模式図である。
【図3】本発明の空気吹出装置を構成するさらに他の部材を示す模式図である。
【図4】本発明の空気吹出装置を構成するさらに他の部材を示す模式図である。
【図5】リテーナにインナレジスタが支持される様子を模式的に示す拡大図である。
【図6】本発明の空気吹出装置の構成の概略を示す断面図である。
【図7】リテーナ側突起部とインナレジスタ側突起部とが接触する態様を示す模式図である。
【図8】リテーナ側突起部とインナレジスタ側突起部とが接触する態様を示す模式図である。
【図9】リテーナ側突起部とインナレジスタ側突起部とが接触する態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の空気吹出装置の実施形態が、図面を参照しながら説明される。
【0040】
<装置の概要>
図1〜図4は、本発明の実施形態に係る空気吹出装置の一例(以下、「実施装置」とも称呼される。)を構成する代表的な部材を示す模式図である。実施装置は、図1に示すリテーナ10、図2に示すインナレジスタ20、図3に示す空気流調整部材30、および、図4に示す操作荷重付与部材40から構成される。以下、これら各種の部材の構成が、より詳細に説明される。
【0041】
図1(a)はリテーナ10を正面から見た場合におけるリテーナ10の概略図であり、図1(b)はリテーナ10を背面から見た場合におけるリテーナ10の概略図である。リテーナ10は、図1(a)および図1(b)に示すように、円筒状の形状を有するとともに、前端側の開放部(以下、「前端部11」とも称呼される。)および後端側の開放部(以下、「後端部12」とも称呼される。)を有する、円筒体である。リテーナ10は、後述されるように、上記各種の部材が組み合わされることによって実施装置が構成されたとき、空気導出路を画成するようになっている(例えば、図6を参照。)。この空気導出路は、リテーナ10の後端部12から同空気導出路に流入した空気が同空気導出路を通過して前端部11から吹き出される流路である。
【0042】
より具体的に述べると、リテーナ10は、2つの円筒体が接続された形状を有している。すなわち、リテーナ10は、図1(a)に示すように、前端側の円筒体(前端部11を有する円筒体)11aと、後端側の円筒体(後端部12を有する円筒体)12aと、を有している。ここで、後端側の円筒体12aの内周面には、その内周面からリテーナ10が画成する空気導出路に向かって突出する複数の突起部13(以下、「リテーナ側突起部」とも称呼される。)が設けられている。これらリテーナ側突起部13は、リテーナ10の軸線を含む平面によって切断されたときの断面の形状が略三角形であるように構成されている(図5(a)を参照。)。さらに、このリテーナ側突起部13は、後端側の円筒体12aの内周面の周方向に等しい間隔を開けて円環状に配置されている。このとき、リテーナ側突起部13は後端側の円筒体12aに設けられているので、リテーナ側突起部13とリテーナ10の後端部12との距離は、リテーナ側突起部13とリテーナ10の前端部11との距離よりも小さいことになる。
【0043】
さらに、リテーナ10の前端側の円筒体11aの内径は、後端側の円筒体12aの内径よりも大きい。そして、前端側の円筒体11aと後端側の円筒体12aとが接続される位置の近傍において、円環状の段差部14がリテーナ10の内周面に形成されている。この段差部14は、連続的に繰り返し並べられた複数の突起部を有している。これら複数の突起部のそれぞれは、リテーナ10の前端部11に向かって突出している。また、後端側の円筒体12aの内部には、後端側の円筒体12aの内部全体にわたって網状部15が設けられている。
【0044】
図2(a)はインナレジスタ20を正面から見た場合におけるインナレジスタ20の概略図であり、図2(b)はインナレジスタ20を背面から見た場合におけるインナレジスタ20の概略図である。インナレジスタ20は、図2(a)および図2(b)に示すように、略環状の形状を有するとともに、前端側の開放部(以下、「前端部21」とも称呼さえる。)および後端側の開放部(以下、「後端部22」とも称呼される。)を有する、環状の部材である。インナレジスタ20は、後述されるように、上記各種の部材によって実施装置が構成されたとき、リテーナ10の内部においてリテーナ10に支持されるようになっている(例えば、図6を参照。)。
【0045】
より具体的に述べると、インナレジスタ20は、インナレジスタ20の後端部22からインナレジスタ20の軸線に沿って延びる複数の延設部23a,23b,23cを有する。複数の延設部23a,23b,23cは、一の端部がインナレジスタ20に固定された固定端であるとともに、他の端部が自由端であるように構成されている。また、延設部23a,23b,23cは、インナレジスタ20の周方向に異なる間隔を開けて設けられている。さらに、複数の延設部のうちの延設部23aは、インナレジスタ20の後端部22からインナレジスタ20の軸線方向に対して所定の角度(インナレジスタ20の内側に向かう角度)を有する方向に向かって延びている。一方、延設部23b,23cは、インナレジスタ20の端部からインナレジスタ20の軸線方向に平行な方向に向かって延びている。これら延設部23a,23b,23cは、上記各種の部材によって実施装置が構成されたとき、リテーナ10の後端部12に向かって延びるようになっている。
【0046】
延設部23a,23b,23cの外周面には、延設部のそれぞれからインナレジスタ20の径方向外側に向かって突出する突起部24a,24b,24c(以下、「インナレジスタ側突起部」とも称呼される。)が設けられている。これらインナレジスタ側突起部24a,24b,24cは、上記各種の部材によって実施装置が構成されたとき、リテーナ10の内周面に向かって突出するようになっている。
【0047】
さらに、インナレジスタ20の前端部21と後端部22との間の所定の位置に、取付溝25が設けられている。この取付溝25には、上記各種の部材によって実施装置が構成されるとき、操作荷重付与部材40が取り付けられるようになっている。加えて、この取付溝25のインナレジスタ20の径方向において対向する位置に、軸受孔26が設けられている。この軸受孔26には、上記各種の部材によって実施装置が構成されるとき、空気流調整部材30が取り付けられるようになっている。
【0048】
図3は、空気流調整部材30の概略図である。空気流調整部材30は、複数の風向調整板31a,31b,31c,31dを備えている。これら風向調整板31a,31b,31c,31dは、複数の連結部材32a,32b,32cによって連結されている。風向調整板31bの長径側の両端部には、一対の丸軸状の回動軸33が設けられている。空気流調整部材30は、上記各種の部材によって実施装置が構成されるとき、この一対の回動軸33を結ぶ軸線を中心に回動するようになっている。さらに、風向調整板31cの長径側の端部のうちの一方には、平板状の形状を有する係止腕部34が設けられている。係止腕部34には、風向調整板31cの長径側外側に向かって突出する凸部34aが設けられている。
【0049】
図4は、操作荷重付与部材40の概略図である。操作荷重付与部材40は、回動軸支持部41、連結部42および2本の脚部43を有する。回動軸支持部41と脚部43とは、湾曲した連結部42によって連結されている。回動軸支持部41には軸受孔41aが設けられている。2本の脚部43のそれぞれの先端部には、第1突部44と第2突部45とが設けられている。操作荷重付与部材40は、上記各種の部材によって実施装置が構成されるとき、インナレジスタ20の取付溝25に取り付けられるようになっている。そして、このように取り付けられたとき、第1突部44がインナレジスタ20の軸線方向に沿う向きに向かって突出するとともに、第2突部45がインナレジスタ20の径方向外側に向かって突出するようになっている。また、連結部42は、インナレジスタ20の径方向内側の向きに向かって突出するように湾曲するようになっている。
【0050】
以上に説明した各種の部材が組み付けられることにより、実施装置が構成される。具体的に述べると、まず、操作荷重付与部材40が、連結部42の長手方向がインナレジスタ20の軸線に対して平行となるようにインナレジスタ20の取付溝25に嵌め込まれる。そして、空気流調整部材30の一対の回動軸33の一方が、インナレジスタ20の軸受孔26に挿入されるとともに、回動軸33の他方がインナレジスタ20の取付溝25に取り付けられた操作荷重付与部材40の回動軸支持部41に設けられた軸受孔41aに圧入嵌合される。これにより、空気流調整部材30が、インナレジスタ20の内部において回動可能となるように、インナレジスタ20に取り付けられる。
【0051】
次いで、空気流調整部材30が取り付けられたインナレジスタ20は、リテーナ10の前端部11からリテーナ10の内部に挿入される。そして、リテーナ10に設けられたリテーナ側突起部13と、インナレジスタ20の延設部23a,23b,23cに設けられたインナレジスタ側突起部24a,24b,24cと、が係合することにより、リテーナ10の内部にインナレジスタ20が支持される。このとき、インナレジスタ20は、リテーナ10の軸線周りにリテーナ10に対して同軸的に回動可能となっている。
【0052】
以下、リテーナ10にインナレジスタ20が支持される様子が、図5〜図9を参照しながらより詳細に説明される。
【0053】
図5は、リテーナ側突起部13とインナレジスタ側突起部(本図においては、24b)とが上述したように係合する様子を模式的に示す拡大図である。リテーナ10の前端部11からインナレジスタ20が挿入されると、図5(a)の矢印に示すように、インナレジスタ20の延設部23bに設けられたインナレジスタ側突起部24bが、リテーナ10に設けられたリテーナ側突起部13に向かって近づく。そして、インナレジスタ側突起部24bがリテーナ側突起部13に到達すると、図5(b)に示すように、インナレジスタ側突起部24bはリテーナ側突起部13を乗り越えてリテーナ側突起部13に係合する。このように、インナレジスタ側突起部(本図においては、24b)がリテーナ側突起部13に係合することにより、リテーナ10からインナレジスタ20が分離することなくリテーナ10の内部にインナレジスタ20が支持されることになる。
【0054】
ここで、リテーナ10にインナレジスタ20が支持されているとき、図5(b)に示すように、リテーナ側突起部13の延設部23bに面する端部は、延設部23に接触していない。また、同様に、インナレジスタ側突起部24bのリテーナ10の内周面に面する端部も、リテーナ10の内周面に接触していない。
【0055】
図6は、リテーナ10の内部にインナレジスタ20が支持された状態を模式的に示す空気吹出装置の断面図である。理解を容易にするため、図6においては、インナレジスタ20内に取り付けられた空気流調整部材30は図示を省略されている。なお、図中の矢印に示すように、実施装置において、空気は、リテーナ10の後端部12からリテーナ10に流入し、リテーナ10が画成する空気導出路を通過した後、リテーナ10の前端部11から吹き出されるようになっている。
【0056】
図6に示すように、インナレジスタ20がリテーナ10の内部に支持されているとき、延設部23b,23cのリテーナ10の後端部12に面する端部は、インナレジスタ20とリテーナ10の後端部12との間に位置している。なお、図示されていないものの、延設部24aの同後端部12に面する端部も、インナレジスタ20とリテーナ10の後端部12との間に位置している。
【0057】
さらに、図6に示すように、インナレジスタ20の延設部23b,23cに設けられたインナレジスタ側突起部24b,24cと、リテーナ10に設けられた複数のリテーナ側突起部13の一部と、が接触(係合)している。なお、図示されていないものの、インナレジスタ20の延設部23aに設けられたインナレジスタ側突起部24aと、複数のリテーナ側突起部13の一部と、も接触(係合)している。すなわち、複数のリテーナ側突起部13のうちのうちの「一部」のリテーナ側突起部13はインナレジスタ20のインナレジスタ側突起部(24a,24b,24c)と接触するとともに、「他部」のリテーナ側突起部13は空気導出路に向かって突出した状態となっている。
【0058】
リテーナ側突起部13a〜13oとインナレジスタ側突起部24a,24b,24cとの接触の態様についてより具体的に述べると、図7は、実施装置をリテーナ10の後端部12側から見た場合における、リテーナ側突起部13とインナレジスタ側突起部24a,24b,24cとの接触の様子を示す模式図である。以下、便宜上、リテーナ10に対してインナレジスタ20が回動するときのリテーナ10に対するインナレジスタ20の位置は「回動位置」とも称呼される。
【0059】
図7に示すように、インナレジスタ20が図示される回動位置にあるとき、インナレジスタ側突起部24aは、4つのリテーナ側突起部13a,13b,13c,13dと接触している。また、インナレジスタ側突起部24bは1つのリテーナ側突起部13iと接触し、インナレジスタ側突起部24cは1つのリテーナ側突起部13kと接触している。
【0060】
なお、図7(および、後述される図8〜図9)においては、理解を容易にするため、インナレジスタ側突起部24a,24b,24cに関連する部分(すなわち、インナレジスタ側突起部24a,24b,24cおよび延設部23a,23b,23c)に着色が施されている。この着色は、インナレジスタ側突起部24a,24b,24cに関連する部分を容易に視認せしめ得ることを意図するものであり、同部分の断面を表すこと等を意図するものではない。
【0061】
一方、図8は、実施装置をリテーナ10の後端部12側から見た場合における、インナレジスタ20が他の回動位置にあるときのリテーナ側突起部13とインナレジスタ側突起部24a,24b,24cとの接触の様子を示す模式図である。図8に示すように、この回動位置において、インナレジスタ側突起部24aは、3つのリテーナ側突起部13d,13e,13fと接触している。また、インナレジスタ側突起部24bは2つのリテーナ側突起部13k,13lと接触し、インナレジスタ側突起部24cは2つのリテーナ側突起部13m,13nと接触している。
【0062】
このように、実施装置においては、インナレジスタ20の回動位置にかかわらず、複数のリテーナ側突起部13a〜13oのうちの少なくとも一つと、複数のインナレジスタ側突起部24a,24b,24cのうちの少なくとも一つと、が接触するようになっている。より詳細に述べると、複数のリテーナ側突起部13a〜13oのうちの一または二以上と、複数のインナレジスタ側突起部24a,24b,24cのうちの一つと、が接触するようになっている。
【0063】
次いで、リテーナ側突起部13a〜13oとインナレジスタ側突起部24a,24b,24cとの接触の態様が、図9を参照しながら、さらに説明される。
【0064】
本説明においては、図9に示すように、リテーナ10の内周面上に、仮想的な二つの領域AR1,AR2が想定される。これら領域AR1,AR2は、リテーナ10の軸線AXに対して対称な位置に存在する。実施装置においては、一方の領域AR1中に存在する少なくとも1つのリテーナ側突起部(13a〜13d)と、少なくとも1つのインナレジスタ側突起部(24a)と、が接触している。さらに、他方の領域AR2中に存在する少なくとも1つのリテーナ側突起部(13i,13k)と、少なくとも1つのインナレジスタ側突起部(24b,24c)と、も接触している。なお、上記説明から明らかなように、図9に示すリテーナ側突起部13a〜13oとインナレジスタ側突起部24a,24b,24cとの接触の態様は、インナレジスタ20の回動位置にかかわらず維持される。
【0065】
以上が、リテーナ10にインナレジスタ20が支持される様子についての説明である。上記説明のようにリテーナ側突起部13とインナレジスタ側突起部(24a,24b,24c)とが接触(係合)することにより、インナレジスタ20の少なくとも一部がリテーナ10の内部に存在する状態にて、インナレジスタ20がリテーナ10に支持されるようになっている。
【0066】
以上に説明したように各部材が組み立てられることにより、実施装置が構成される。
実施装置においては、操作荷重付与部材40により、実施装置から吹き出される空気の流量および流れ方向を操作するときの操作荷重および節度感などが得られるようになっている。具体的に述べると、操作荷重付与部材40の軸受孔41aと、空気流調整部材30の回動軸33と、の間に生じる抵抗力(摩擦力)により、空気流調整部材30を実施装置の軸線に垂直な軸線周りに回動操作する際の操作荷重が得られる。さらに、操作荷重付与部材40の第1突部44と、円環状の段差部14と、の間に生じる抵抗力(第1突部44が円環状の段差部14に設けられた複数の突起部を乗り越えるときの抵抗力)により、空気流調整部材30を実施装置の軸線周りに回動操作する際の操作荷重およびその際の節度感が得られる。
【0067】
また、空気流調整部材30に設けられた凸部34aは、空気流調整部材30がインナレジスタ20の前端部21を完全に閉鎖するとき(すなわち、実施装置から空気が吹き出されない全閉状態とするとき)、インナレジスタ20の内周面などに設けられる係止部(図示省略)に係止される。これにより、空気流調整部材30が全閉状態とされる場合における節度感が得られる。
【0068】
さらに、空気流調整部材30を実施装置の軸線周りに回動操作するとき、操作荷重付与部材40の第2突部45がリテーナ10の内周面に接触していることにより、インナレジスタ20とリテーナ10が衝突することに起因する異音が発生することなどが抑制される。
【0069】
以上、説明したように、本発明の空気吹出装置の一の実施形態(実施装置)は、
空気導出路を画成する筒体10であって、該筒体10の後端側の開放部12から流入した空気が前記空気導出路を通過して該筒体10の前端側の開放部11から吹き出される筒体10と、
前記筒体10に支持された環状部材20であって、該環状部材20の少なくとも一部が前記筒体10の内部に存在する環状部材20と、
を備えている。
【0070】
上記実施装置において、
前記環状部材20は、該環状部材20から前記筒体10の後端側の開放部12に向かって延びる延設部23a〜23cを有し、
前記筒体10の後端側の開放部12に面する前記延設部23a〜23cの端部が、前記筒体10の後端側の開放部12に面する前記環状部材20の端部22と前記筒体10の後端側の開放部12との間に位置する。
【0071】
さらに、上記実施装置において、
前記筒体10の内周面に設けられるとともに該内周面から前記筒体10が画成する空気導出路に向かって突出する第1突起部13と、前記環状部材20の前記延設部23a〜23cに設けられるとともに該延設部23a〜23cから前記筒体10の内周面に向かって突出する第2突起部24a〜24cと、が接触することにより、前記筒体10に前記環状部材20が支持されている。
【0072】
上記実施装置を構成する各種の部材は、以下の特徴を有する。
【0073】
まず、前記第1突起部13の前記環状部材20の延設部23a〜23cに面する端部と、前記環状部材20の延設部23a〜23cと、は接触していない。また、前記第2突起部24a〜24cの前記筒体10の内周面に面する端部と、前記筒体10の内周面と、も接触していない。
【0074】
次いで、前記第1突起部13が前記筒体10の軸線を含む平面によって切断されたときの該第1突起部13の断面の形状は、略三角形である(図5を参照。)。
【0075】
さらに、複数の前記第1突起部13が前記筒体10の内周面に設けられるとともに、該複数の第1突起部13の少なくとも一つと、前記第2突起部24a〜24cと、が接触している。
【0076】
加えて、前記筒体10の前端側の開放部11と前記第1突起部13との距離よりも、前記筒体10の後端側の開放部12と前記第1突起部13との距離が小さくなっている。
【0077】
さらに、前記筒体10が円筒体10であり、前記環状部材20が前記筒体10の軸線周りに前記筒体10に対して同軸的に回動可能に前記筒体10に支持されている。
【0078】
上記実施装置における第1突起部13と第2突起部24a〜24cとの関係に着目すると、実施装置は、
空気導出路を画成する筒体10であって、該筒体10の後端側の開放部12から流入した空気が前記空気導出路を通過して該筒体10の前端側の開放部11から吹き出される筒体10と、
前記筒体10の軸線周りに前記筒体10に対して同軸的に回動可能に前記筒体10に支持された環状部材20であって、該環状部材20の少なくとも一部が前記筒体10の内部に存在する環状部材20と、
を備えるとともに
前記筒体10に対して前記環状部材20が回動するときの前記筒体10に対する前記環状部材20の位置を表す回動位置にかかわらず、前記筒体10の内周面に該内周面の周方向に間隔を開けて設けられる複数の第1突起部13であって該内周面から前記筒体10が画成する空気導出路に向かって突出する複数の第1突起部13のうちの少なくとも一つと、前記環状部材20の外周面に該外周面の周方向に間隔を開けて設けられる複数の第2突起部24a〜24cであって該外周面から前記筒体10の内周面に向かって突出する複数の第2突起部24a〜24cのうちの少なくとも一つと、が接触することにより、前記筒体10に前記環状部材20が支持されている。
【0079】
さらに、前記複数の第1突起部13のうちの一または二以上の第1突起部13と、前記複数の第2突起部24a〜24cのうちの一の第2突起部24a〜24cと、が前記環状部材20の回動位置にかかわらず接触している。
【0080】
加えて、前記筒体10の内周面上の二つの領域であって、前記筒体10の軸線AXに対して対称な位置に存在する二つの領域、において、
前記二つの領域のうちの一方の領域中に存在する少なくとも1つの前記第1突起部13と、少なくとも1つの前記第2突起部24a〜24cとが前記環状部材20の回動位置にかかわらず接触するとともに、前記二つの領域のうちの他方の領域中に存在する少なくとも1つの前記第1突起部13と、少なくとも1つの前記第2突起部24a〜24cとが前記環状部材20の回動位置にかかわらず接触している。
【0081】
本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【0082】
例えば、リテーナ側突起部13は、リテーナ10の網状部15(図1(b)を参照。)がリテーナ10の内周面に接続されている位置の間に設けられ得る。これにより、リテーナ10が射出成形などの手法によって形成される場合、リテーナ側突起部13がリテーナ10の内周面に容易に形成され得る。
【0083】
さらに、上記実施装置においては、複数のリテーナ側突起部13は、リテーナ10の内周面の周方向に等しい間隔を開けて配置されている。しかし、リテーナ側突起部13は、同内周面の周方向に異なる間隔を開けて配置されてもよい。
【0084】
また、上記実施装置においては、複数のインナレジスタ側突起部24a,24b,24cは、インナレジスタ20の周方向に異なる間隔を開けて設けられた延設部23a,23b,23cに配置されている。すなわち、複数のインナレジスタ側突起部24a,24b,24cは、同周方向に異なる間隔を開けて配置されている。しかし、インナレジスタ側突起部24a,24b,24cは、同周方向に等しい間隔を開けて配置されてもよい。すなわち、インナレジスタ側突起部24a,24b,24cが同周方向に等しい間隔を開けて配置されるように、延設部23a,23b,23cが設けられてもよい。
【符号の説明】
【0085】
10・・・リテーナ、13・・・リテーナ側突起部、20・・・インナレジスタ、23a,23b,23c・・・延設部、24a,24b,24c・・・インナレジスタ側突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気導出路を画成する筒体であって、該筒体の後端側の開放部から流入した空気が前記空気導出路を通過して該筒体の前端側の開放部から吹き出される筒体と、
前記筒体に支持された環状部材であって、該環状部材の少なくとも一部が前記筒体の内部に存在する環状部材と、
を備えた空気吹出装置において、
前記環状部材が、該環状部材から前記筒体の後端側の開放部に向かって延びる延設部を有し、
前記筒体の後端側の開放部に面する前記延設部の端部が、前記筒体の後端側の開放部に面する前記環状部材の端部と前記筒体の後端側の開放部との間に位置し、
前記筒体の内周面に設けられるとともに該内周面から前記筒体が画成する空気導出路に向かって突出する第1突起部と、前記環状部材の前記延設部に設けられるとともに該延設部から前記筒体の内周面に向かって突出する第2突起部と、が接触することにより、前記筒体に前記環状部材が支持される、
空気吹出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空気吹出装置において、
前記第1突起部の前記環状部材の延設部に面する端部と、前記環状部材の延設部と、が接触しない、空気吹出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の空気吹出装置において、
前記第2突起部の前記筒体の内周面に面する端部と、前記筒体の内周面と、が接触しない、空気吹出装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の空気吹出装置において、
前記第1突起部が前記筒体の軸線を含む平面によって切断されたときの該第1突起部の断面の形状が略三角形である、空気吹出装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の空気吹出装置において、
複数の前記第1突起部が前記筒体の内周面に設けられるとともに、該複数の第1突起部の少なくとも一つと、前記第2突起部と、が接触する、空気吹出装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の空気吹出装置において、
前記筒体の前端側の開放部と前記第1突起部との距離よりも、前記筒体の後端側の開放部と前記第1突起部との距離が小さい、空気吹出装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の空気吹出装置において、
前記筒体が円筒体であり、前記環状部材が前記筒体の軸線周りに前記筒体に対して同軸的に回動可能に前記筒体に支持された、空気吹出装置。
【請求項8】
空気導出路を画成する筒体であって、該筒体の後端側の開放部から流入した空気が前記空気導出路を通過して該筒体の前端側の開放部から吹き出される筒体と、
前記筒体の軸線周りに前記筒体に対して同軸的に回動可能に前記筒体に支持された環状部材であって、該環状部材の少なくとも一部が前記筒体の内部に存在する環状部材と、
を備えた空気吹出装置において、
前記筒体に対して前記環状部材が回動するときの前記筒体に対する前記環状部材の位置を表す回動位置にかかわらず、前記筒体の内周面に該内周面の周方向に間隔を開けて設けられる複数の第1突起部であって該内周面から前記筒体が画成する空気導出路に向かって突出する複数の第1突起部のうちの少なくとも一つと、前記環状部材の外周面に該外周面の周方向に間隔を開けて設けられる複数の第2突起部であって該外周面から前記筒体の内周面に向かって突出する複数の第2突起部のうちの少なくとも一つと、が接触することにより、前記筒体に前記環状部材が支持される、
空気吹出装置。
【請求項9】
請求項8に記載の空気吹出装置において、
前記複数の第1突起部のうちの一または二以上の第1突起部と、前記複数の第2突起部のうちの一の第2突起部と、が前記環状部材の回動位置にかかわらず接触する、空気吹出装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の空気吹出装置において、
前記筒体の内周面上の二つの領域であって、前記筒体の軸線に対して対称な位置に存在する二つの領域、において、
前記二つの領域のうちの一方の領域中に存在する少なくとも1つの前記第1突起部と、少なくとも1つの前記第2突起部とが前記環状部材の回動位置にかかわらず接触するとともに、前記二つの領域のうちの他方の領域中に存在する少なくとも1つの前記第1突起部と、少なくとも1つの前記第2突起部とが前記環状部材の回動位置にかかわらず接触する、空気吹出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−49367(P2013−49367A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188861(P2011−188861)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(308016242)豊和化成株式会社 (65)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】