説明

空気循環式寝具

【課題】運転開始直後における寝具内の温度をきめ細かく制御することで、より一層快適に眠りにつくことができる空気循環式寝具を提供する。
【解決手段】空気を冷却する温度調節ユニット20と、温度調節ユニット20から吹き出した空気を循環させる空気流路11が形成された寝具本体10と、温度調節ユニット20から寝具本体10へ空気を送風する送風ファンと、寝具本体10に埋設された加熱装置70と、温度調節ユニット20及び加熱装置70を制御する制御部58とを備えた空気循環式寝具1において、制御部58は、冷房運転開始から所定時間、前記設定温度より低い温度に設定された初期温度に冷却された空気を空気流路11内に循環させる冷房初期制御を行い、暖房運転開始から所定時間、加熱装置70の発熱量を通常運転時より多い発熱量に設定して寝具本体10を加熱する暖房初期制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
温度調節ユニットにより温度調節された空気を循環させて寝具内の温度を調節する空気循環式寝具に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックなどの車両内で休憩する場合、夏場においては車両内の室温が高くなることが多いことから、車両自体の空気調和装置を作動させて車内を冷房しながら休憩することがある。しかしながら、空気調和装置を動かすためだけにエンジンを回し続けることになるので、エネルギーの浪費に繋がるばかりでなく大気汚染や騒音公害など環境汚染の原因になるという問題がある。
【0003】
そこで、従来、内部に人間が横たわる空間を有する寝具本体とこの寝具本体に接続される空気調和装置とを有し、空気調和装置に設けられた冷凍機などの冷熱源によって発生した冷気を送風装置が寝具本体に供給する寝具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、このような寝具では、夏場に冷房された寝具内に入ったとしても身体が外部の高温に曝され熱くなっているため、すぐには快適に眠りにつくことができないおそれがある。また、冬場においても、身体や寝具自体が冷えているため、寝具内に入ってもすぐに快適に眠りにつくことができないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−105084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題を考慮してなされたものであり、運転開始直後における寝具内の温度をきめ細かく制御することで、より一層快適に眠りにつくことができる空気循環式寝具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る空気循環式寝具は、空気を冷却する温度調節ユニットと、前記温度調節ユニットから吹き出した空気を循環させる空気流路が形成された寝具本体と、前記温度調節ユニットから前記寝具本体へ空気を送風する送風ファンと、前記寝具本体に埋設された加熱装置と、前記温度調節ユニット、前記送風ファン及び前記加熱装置を制御する制御部とを備え、前記制御部が、前記送風ファンを駆動させて前記温度調節ユニットによって冷却された空気を前記空気流路内に循環させて前記寝具本体を設定温度に冷却する冷房運転と、前記加熱装置に電源を供給して前記寝具本体を加熱する暖房運転とを行う空気循環式寝具において、前記制御部は、前記冷房運転開始から所定時間、前記設定温度より低い温度に設定された初期温度に前記寝具本体を冷却する冷房初期制御を行い、前記冷房初期制御終了後、前記設定温度に前記寝具本体を冷却し、前記暖房運転開始から所定時間、前記加熱装置の発熱量を初期発熱量に設定して前記寝具本体を加熱する暖房初期制御を行い、前記暖房初期制御終了後、前記加熱装置の発熱量を前記初期発熱量より小さい発熱量に設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の空気循環式寝具では、上記構成により、運転開始直後における寝具内の温度をきめ細かく制御することができ、使用者がより一層快適に眠りにつくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の1実施形態に係る空気循環式寝具の構成を示す図である。
【図2】図1の空気循環式寝具の平面図である。
【図3】図1の空気循環式寝具が備える加熱装置の断面図である。
【図4】図1の空気循環式寝具が備える温度調節ユニットの正面からの断面図である。
【図5】図1の空気循環式寝具が備える温度調節ユニットの側断面図である。
【図6】空気循環式寝具が備える冷凍サイクルを示す図である。
【図7】図4のA−A断面図である。
【図8】図4のB−B断面図ある。
【図9】操作部を示す平面図である。
【図10】図1の空気循環式寝具の制御構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の1実施形態に係る空気循環式寝具における冷房運転起動時の制御の手順を示すフロー図である。
【図12】本発明の1実施形態に係る空気循環式寝具における暖房運転起動時の制御の手順を示すフロー図である。
【図13】空気循環式寝具のタイマー制御の手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
空気循環式寝具(以下、寝具という)1は、図1及び図2に示すように、使用者Aを収容する寝袋状の寝具本体10と、空気を冷却する温度調節ユニット20とを備える。
【0012】
寝具本体10は、例えばトラックなどの車両2内に配設され使用者Aが休憩する際に使用されるもので、敷きマット及び掛けマットが一体となった寝袋状をなしており、使用者Aの胴体を収容する胴体収容部10aと使用者Aの足を収容する足収容部10bとを備える。寝具本体10は、睡眠中の発汗による不快感を抑えつつ身体の冷えを防止するため、汗などの水分を通すが、空気を通しにくい素材で構成されている。
【0013】
なお、本実施形態では寝具本体として敷きマット及び掛けマットが一体となった寝袋について説明するが、本発明はこれに限定されず、内部の少なくとも一部に空気を循環させることができるものであればよく、例えば、敷きマット及び掛けマットのいずれか一方であっても良く、また、敷きマット及び掛けマットの双方を備えたものであってもよい。
【0014】
寝具本体10内部には、温度調節ユニット20により冷却された空気が流通する空気流路11が形成されている。空気流路11の両端部は、足収容部10bの先端において寝具本体10の外方に開口し、一方の開口部12が温度調節ユニット20の吹出口に取り付けた吹出ダクト22と連結され、他方の開口部14が温度調節ユニット20の吸込口に取り付けた吸込ダクト24と連結されている。
【0015】
また、寝具本体10には、加熱装置70と、この加熱装置70の温度を検出する加熱温度センサ56とが設けられている。
【0016】
加熱装置70は、図3に示すように、周囲を布カバー72で覆った金属製の箱体71を備え、箱体71の内部に発熱体73と温度ヒューズ74と温度調整部75が収納されている。
【0017】
箱体71の下面には、下方へ突出する一対の足部76が互いに所定間隔をあけて設けられており、一対の足部76の間に凹部77が形成されている。
【0018】
発熱体73は電源線66を介して電源部64より電源の供給を受けて発熱するものであり、発熱体73の周囲が雲母などの絶縁性及び蓄熱性を有する保護部73aによって被覆されている。発熱体73より発生した熱は、保護部73aを介して箱体71に伝達され箱体71を加熱する。
【0019】
温度調整部75は、例えば正特性サーミスタ素子(PTC素子)を備え、発熱体73の発熱量が多くなって箱体71の温度が上がるとPTC素子の抵抗が大きくなり、発熱体73ヘの通電量が減少することで発熱体73による過昇温を防止するものである。
【0020】
加熱装置70は、足収容部10bの敷きマット部分に設けられ寝具本体10の側方に開口する収納部78に収納され、本実施形態では、寝具本体10に設けられた空気流路11が凹部77に位置するように加熱装置70は収納部78に収納される(図3参照)。これにより、使用者Aの足が上方より加熱装置70に載せられても、使用者Aの足の重みによって空気流路11が塞がれることなく流路を確保することができる。
【0021】
収納部78の開口部はファスナ等の留め具79によって開閉自在に設けられており、加熱装置70が足収容部10bに寝具本体10に取り外し可能に埋設されている。
【0022】
加熱温度センサ56は、例えば、加熱装置70の箱体71に設けられた凹部77に付設され加熱装置70の温度を検出する。加熱温度センサ56によって検出された温度(検出値)は、制御部58に信号線69を介して入力される。
【0023】
温度調節ユニット20は、図4及び図5に示すように、薄鋼板製の筐体21を有し、その内部に、寝具本体10に設けられた空気流路11へ流通させる空気を冷却するための冷凍サイクル30と、冷凍サイクル30の第2熱交換器36と熱交換した空気を空気流路11に送風する送風ファン37と、温度調節ユニット20全体の制御を司る制御部58とを備え、車両2に搭載される不図示のバッテリより電力の供給を受けて駆動される。
【0024】
筐体21内部は、高さ方向のほぼ中央部を発泡スチロール成型体などからなる断熱仕切壁23で上下の空間に区画されている。断熱仕切壁23の上方の空間には、機械室25が設けられ、冷凍サイクル30の一環をなす圧縮機31、第1熱交換器33、放熱ファン38等が配設される。
【0025】
また、断熱仕切壁23の下方の空間には、断熱仕切壁23と同様の断熱材により覆われ断熱空間をなす温調室27が設けられている。温調室27の内部には、吸込ダクト24から取り込まれた空気を冷却する冷熱源である第2熱交換器36や第2熱交換器36によって冷却された空気を吹出ダクト22を介して寝具本体10へ送風する送風ファン37等が配設される。
【0026】
冷凍サイクル30は、図6に示すように、圧縮機31、四方弁32、第1熱交換器33、ドライヤ34、キャピラリーチューブ35及び第2熱交換器36を環状に順次接続してなり、第2熱交換器36が寝具本体10の空気流路11を流通する空気と熱交換する。
【0027】
図6において、実線の矢印は冷房運転時の冷媒の流れを示し、圧縮機31から吐出した冷媒は四方弁32を通って凝縮器としての第1熱交換器33に流入して凝縮され、ドライヤ34で水分を除去した後キャピラリーチューブ35に入る。キャピラリーチューブ35で減圧された冷媒は、蒸発器としての第2熱交換器36で蒸発し第2熱交換器36を冷却することで気化し四方弁32を通って圧縮機31に戻り、再び四方弁32を介して第1熱交換器33に流入し循環する。また、破線の矢印は暖房運転時の冷媒の流れを示し、四方弁32を切り替えて、第1熱交換器33が蒸発器となり、第2熱交換器36が凝縮器となるように冷媒が循環する。
【0028】
図7に示すように、機械室25内には、圧縮機31が温度調節ユニット20の幅方向の一側に寄せて振動吸収用のクッション体50を介して固着されている。
【0029】
第1熱交換器33は、蛇行曲げした冷媒管を多数のフィンに嵌入させて奥行き寸法を薄くした直方体状をなしている。第1熱交換器33は、筐体21の前面に形成した吸込み開口51に沿わせて立設されており、吸込み開口51と第1熱交換器33との間には埃などを遮蔽するためのフィルタ52を設けている。
【0030】
第1熱交換器33の背面には圧縮機31の側方底部に開口した排気口53が穿設されており、この排気口53の端縁に放熱ファン38が立設されている。放熱ファン38は、圧縮機31や第1熱交換器33等の高温部品を冷却するものであって、その駆動により、外気を前面の吸込み開口51から内部に吸引して第1熱交換器33と熱交換させた後、排気口53から下方の排気ダクト54に向けて放出するようにしている(図5参照)。
【0031】
断熱仕切壁23の下方に配された温調室27には、図8に示すように、第1熱交換器33から冷媒が導入される第2熱交換器36を、温調室27の奥行き方向中央部より前方に寄せて、幅方向に亙って立設状態で配置している。
【0032】
第2熱交換器36は、第1熱交換器33と同様、蛇行曲げした冷媒管と冷媒管に嵌着した多数のフィンとから所定の幅と高さ寸法を有して奥行き寸法を薄くした横長の直方体をなしている。第2熱交換器36の側方であって温調室27の幅方向一方側(本実施形態では、図8中の左側)には、例えばシロッコファンからなる送風ファン37が温調室27の奥行き方向に亙り、配設されている。
【0033】
温調室27の幅方向一方側に配設された送風ファン37の前方には、温調室27内の第2熱交換器36によって温度調節された空気を寝具本体10の空気流路11に導入する吹出ダクト22が配設されている。
【0034】
温調室27の幅方向他方側(本実施形態では、図8中の右側)に位置する第2熱交換器36の前面には、吸込ダクト24が配設されており、寝具本体10の開口部14を介して寝具本体10の空気流路11を循環した空気を吸込ダクト24より温調室27内に導入する。そして、吸込ダクト24内には、温度センサ39が配設されており、寝具本体10の空気流路11を循環して戻ってきた空気の温度を検出する。
【0035】
また、温調室27の前面にはコネクタ80が配設されている。コネクタ80は、吹出ダクト22及び吸込ダクト24の間に配置されており、電源線66及び信号線69が連結されることで、電源線66が電源部64に接続され、信号線69が制御部58に接続される。
【0036】
上記構成により、温度調節ユニット20において温度調節された空気が、吹出ダクト22を介して寝具本体10の空気流路11に送り込まれ、寝具本体10の空気流路11を流通した空気が吸込ダクト24を介して温度調節ユニット20に戻る。温度調節ユニット20に戻った空気は、第2熱交換器36によって再び冷却された後、寝具本体10の空気流路11に送り込まれ循環することで、寝具本体10を冷却する。
【0037】
温調室27は平面視において上方の排気口53に対応した位置が内方に向けて凹設され、排気ダクト54が形成されている。排気ダクト54は機械室25に設けられた排気口53と車両2の底面あるいは側壁に設けられた排気口3とを接続する。放熱ファン38の駆動時には、圧縮機31や第1熱交換器33と熱交換した空気を排気口53から排気ダクト54を介して下方に流下させ排気口3から車両2の外部へ放出する。
【0038】
温度調節ユニット20には、各種動作条件を設定するための操作部26が配線接続されており、使用者Aが寝具本体10に入った状態で温度調節ユニット20を遠隔操作できるようになっている。
【0039】
操作部26は、図9に例示するように、温度調節ユニット20の電源のON・OFFを切り換える電源スイッチ26aと、冷房運転と暖房運転とを切り換える冷房・暖房スイッチ26bと、寝具本体10の空気流路11を流通する空気の温度を設定する温度設定スイッチ26cと、後述する車内温度制御を実行させる温度制御スイッチ26dと、温度調節ユニット20の電源を自動的にOFFするまでの時間であるタイマー時間を切り換えるタイマースイッチ26eとを備える。これらの各スイッチ26a,26b,26c,26d,26eは、押圧操作している間だけ操作信号が出力され制御部58に入力される。また、操作部26には、空気循環式寝具1のON・OFFなどの運転状態などを表示する表示部28が配設されるとともに、寝具本体10を設置する空間、すなわち、車両2内の温度(室温)を検出する外部温度センサ57が内蔵されている。
【0040】
制御部58は、例えば、機械室25の上方に配設されており、マイクロコンピュータを含んで構成され、図10に示すように、上記した操作部26からの操作信号以外にも、車両2のエンジン制御部59からエンジンの停止を検出するエンジン停止信号が入力され、温度センサ39から寝具本体10の空気流路11を循環して戻ってきた空気の温度検出する温度検出信号が入力され、加熱温度センサ56から加熱装置70の温度を検出する加熱温度信号が入力され、さらに、外部温度センサ57から車両2内の温度を検出する外部温度検出信号が入力される。
【0041】
制御部58は、上記の各種信号の入力やメモリ60に記憶された制御プログラムに基づいて、駆動制御信号を駆動部62に出力することで、表示部28や、冷凍サイクル30が備える圧縮機31、四方弁32、送風ファン37、放熱ファン38を駆動制御する。また、制御部58は、電源信号を電源部64に入力することで、電源部64が加熱装置70の発熱体73に供給する電源を制御する。
【0042】
そして、温度調節ユニット20の動作状態において冷房・暖房スイッチ26bを押圧操作して冷房運転が選択されると、温度センサ39の検出温度が初期温度と一致するように冷凍サイクル30を制御する冷房初期制御運転を行い、その後、温度センサ39の検出温度が設定温度と一致するように冷凍サイクル30を制御する冷房運転を行う。
【0043】
具体的には、図11に示すように、ステップS1において、制御部58は、メモリ60より前回動作時の動作条件、本実施形態では、寝具本体10の温度設定が「強」「中」「弱」のいずれに設定されているのかメモリ60から読み込み、ステップS2に進む。
【0044】
一例として、本実施形態において制御部58は、温度設定スイッチ26cによって「強」が選択されると24℃、「中」が選択されると26℃、「弱」が選択されると28℃に寝具本体10の空気流路11内を循環する空気の温度(設定温度)を定める。
【0045】
なお、ステップS1では、温度調節ユニット20の起動時に、温度設定スイッチ26cが押圧操作されると、メモリ60から読み込んだ前回動作条件に換えて押圧操作されたスイッチに対応する動作条件を読み込む。
【0046】
ステップS2において、制御部58は、ステップS1で設定した設定温度より3℃低い温度に初期温度を設定し、寝具本体10の空気流路11を循環する空気の温度を初期温度に調節する冷房初期制御運転を行う。
【0047】
次いで、ステップS3では、冷房初期制御運転を開始してから所定時間(本実施形態では、例えば5分間)経過したか否か判断し、所定時間経過していればステップS4に進み、経過していなければステップS3を繰り返し、温度センサ39の検出温度が上記のように設定された初期温度と一致するように制御部58は冷凍サイクル30を制御し、寝具本体10の空気流路11を循環する空気の温度を初期温度に温度調節する冷房初期制御運転を所定時間だけ行う。
【0048】
次いで、ステップS4では、温度センサ39の検出温度がステップS1で設定した設定温度と一致するように制御部58は冷凍サイクル30を制御し、寝具本体10の空気流路11を循環する空気の温度を設定温度に温度調節する冷房運転を行い、制御部58は冷房初期制御運転を終了する。
【0049】
また、上記した冷房運転時に温度制御スイッチ26dを押圧操作すると、制御部58は、車両内の温度に応じて空気流路11に送風する空気量を調整する車内温度制御を実行する。
【0050】
詳細には、操作部26に内蔵された外部温度センサ57により検出された車両2内の温度が所定温度以上であれば(例えば、外部温度センサ57の検出温度が上記のステップS1で設定された設定温度より5℃以上大きければ)、所定時間(本実施形態では、例えば5分間)通常の冷房運転時より送風ファン37の回転数を大きく設定し、寝具本体10の空気流路11を循環する空気の流量を通常制御運転時より多く設定する。そして、所定時間経過後、送風ファン37の回転数を低下させ、空気流路11を循環する空気の流量を通常制御運転時の流量まで減少させる。
【0051】
一方、温度調節ユニット20の動作状態において冷房・暖房スイッチ26bを押圧操作して暖房運転が選択されると、制御部58は、加熱装置70を駆動して加熱装置70の発熱量を所定量(初期発熱量)に設定する暖房初期制御運転を所定時間(本実施形態では、例えば5分間)行い、その後、加熱装置70の発熱量を初期発熱量より小さい発熱量に設定する暖房運転を行う。
【0052】
また、上記した暖房運転時に温度制御スイッチ26dを押圧操作すると、制御部58は、車両2内の温度に応じて送風ファン37の回転を制御する車内温度制御を実行する。
【0053】
詳細には、図12に示すように、ステップS11において、操作部26に内蔵された外部温度センサ57により検出された車両2内の温度が所定温度以下であるか否か判断し、所定温度以下であればステップS12に進み、所定温度より高ければ車内温度制御を終了して暖房運転を行う。
【0054】
ステップS12において、加熱温度センサ56により検出された寝具本体10の温度が所定温度以上であるか否か判断し、所定温度以上であればステップS13に進み、所定温度未満であればステップS12を継続する。
【0055】
ステップS13では、加熱装置70が所定温度以上となり十分に暖まったとして、制御部58は加熱装置70に電源を供給し加熱装置70を発熱させた状態で送風ファン37を回転駆動させて空気流路11内に空気を循環させる。これにより、加熱装置70によって暖められた空気が空気流路11内を循環することとなり、寝具本体10を加熱することができる。
【0056】
また、本実施形態の空気循環式寝具1では、温度調節ユニット20の動作中に、タイマースイッチ26eが押圧操作されると、制御部58はタイマー制御運転を開始する。
【0057】
詳細には、図13のフロー図に示すように、制御部58は、ステップS21において、押圧された時点から押圧操作されたタイマースイッチ26eに対応付けられた時間経過後に温度調節ユニット20を停止する時刻(停止時刻)を設定する。
【0058】
例えば、「6」のタイマースイッチ26eが押圧操作された場合、制御部58は、タイマースイッチ26eが押圧操作された時点から6時間後に停止時刻を設定し、同様に、「4」及び「2」のタイマースイッチ26eが押圧操作された場合、制御部58はタイマースイッチ26eが押圧操作された時点から4時間後及び2時間後に停止時刻をそれぞれ設定する。
【0059】
また、制御部58は停止時刻の設定と併せて、停止時刻から所定時間(本実施形態では、例えば、10分間)遡った停止時刻前の所定時刻(終了制御開始時刻)を設定し、ステップS22に進む。
【0060】
ステップS22では、ステップS21において設定した終了制御開始時刻を経過した否か判断する。終了制御開始時刻を経過していればステップS23に進み、終了制御開始時刻を経過していなければステップS22を繰り返し、上記した冷房運転又は暖房運転を行う。
【0061】
ステップS23において、制御部58は、冷房運転及び暖房運転のいずれの運転を行っているか判別し、冷房運転を実行している場合はステップS24に進み、暖房運転を実行している場合はステップS25に進む。
【0062】
ステップS24において、制御部58は、ステップS21で設定した終了制御開始時刻から停止時刻までの間、温度センサ39の検出温度が設定温度から寝具本体10の設置場所の雰囲気温度(外部温度)に漸次近づくように冷凍サイクル30を制御し、寝具本体10の空気流路11を循環する空気の温度を設定温度から寝具本体10の外部温度に漸次近づける終了制御運転を行い、停止時刻を経過して終了制御運転が終了するとステップS26に進む。
【0063】
ステップS25において、制御部58は、ステップS21で設定した終了制御開始時刻から停止時刻までの間、加熱装置70の発熱量を漸次小さくなるように制御する終了制御運転を行い、停止時刻を経過して終了制御運転が終了するとステップS26に進む。
【0064】
そして、ステップS26において制御部58は温度調節ユニット20を停止させタイマー制御運転を終了する。
【0065】
また、制御部58は、温度調節ユニット20の動作中に温度センサ39の検出温度が、所定時間(例えば、10秒間)内に所定温度(例えば、5℃)以上変化した場合、吹出ダクト22又は吸込ダクト24が寝具本体10から脱落しているなどの理由により、車両2内の空気が吸込ダクト24より温調室27内に導入されているとして、表示部28にエラー表示を行い異常報知を行う。なお、制御部58は、吹出ダクト22又は吸込ダクト24が寝具本体10から脱落した場合に、エラー表示に換えて又はエラー表示と併せて警告音を出力してもよい。
【0066】
以上のように本実施形態の空気循環式寝具1では、冷房運転の開始時から所定時間、設定温度より低い温度に設定された空気を空気流路11内に循環させる冷房初期制御運転を行うため、寝具本体10の涼しさを強調することができ高温に曝され熱くなった身体であっても快適に眠りにつくことができる。しかも、冷房初期制御運転を所定時間実行すると、空気流路11を循環する空気の温度を初期温度から設定温度へ上昇させて通常の冷房運転に移行するので、使用者Aが冷却され過ぎることがない。
【0067】
また、暖房運転の開始時から所定時間、加熱装置70の発熱量を初期発熱量に設定し、その後、加熱装置70の発熱量を初期発熱量より小さい発熱量に設定するため、寝具本体10の暖かさを強調することができ、冬場の外気に曝されて冷えた身体であっても快適に眠りにつくことができる。しかも、暖房初期制御運転を所定時間実行すると、加熱装置70の発熱量を減少させて通常の暖房運転に移行するので、使用者Aが熱くて寝苦しく感じることもない。
【0068】
また、本実施形態の空気循環式寝具1では、冷房運転時において、外部温度センサ57により検出された車両2内の温度が所定温度以上であれば、通常の冷房運転時より送風ファン37の回転数を大きく設定し、寝具本体10の空気流路11を循環する空気の流量を通常制御運転時より多くすることで、車両2内の温度に応じて空気流路11に送風する空気量を調整することができ、適切な運転強度で寝具本体10を冷却することができ、快適な睡眠環境が得られる。
【0069】
また、本実施形態の空気循環式寝具1では、暖房運転時において加熱装置に電源を供給しながら前記送風ファンを駆動させることができるため、加熱装置70からの熱を寝具本体10へ移動させることができる。
【0070】
また、加熱温度センサ56の検出温度が所定温度以上に到達してから送風ファン37を回転駆動させて空気流路11内に空気を循環させるため、暖房運転中に冷たい空気が空気流路11内を循環することが無い。しかも、足収容部10bには加熱装置70が埋設されるとともに吹出ダクト22を接続する開口部12が設けられているため、制御部58が加熱装置70に電源を供給しながら送風ファン37を回転駆動させて空気流路11内に空気を循環させることで足収容部10bを暖めた加熱装置70からの熱を胴体収容部10aへ移動させることができる。これにより、足収容部10bから胴体収容部10aに向けて温度が漸次低くなるように寝具本体10内に適度な温度勾配を設けることができ、快適な睡眠環境が得られる。
【0071】
また、本実施形態の空気循環式寝具1では、停止時刻前に設定された終了制御開始時刻から停止時刻までの間、冷房運転中であれば、寝具本体10の空気流路11を循環する空気の温度を設定温度から寝具本体10の外部温度に徐々に近づけ、暖房運転中であれば、加熱装置70の発熱量を漸次小さくなるように制御する終了制御運転を行うため、タイマー制御運転により停止時刻に温度調節ユニット20が停止しても寝具本体10の温度が急激に変化することなく、快適な目覚めが可能となる。
【0072】
また、本実施形態の空気循環式寝具1では、吹出ダクト22又は吸込ダクト24が寝具本体10から脱落すると制御部58が異常を報知するため、速やかに使用者Aにダクト22,24の脱落を知らしめることができる。
【0073】
特に、吸込ダクト24が寝具本体10から脱落しているなどの理由により、車両2内の空気が吸込ダクト24より温調室27内に導入されると、温度センサ39の検出温度と設定温度との偏差が大きくなる。そうすると、制御部58は冷凍サイクル30の運転強度を強く設定してしまい、冷房運転時において寝具本体10を冷やし過ぎて、使用者Aの体調を害するおそれがあるが、本実施形態の空気循環式寝具1では、速やかに使用者Aに異常を知らしめることができるため、寝具本体10を冷やし過ぎることを防止することができる。
【符号の説明】
【0074】
1…空気循環式寝具 2…車両 10…寝具本体
10a…胴体収容部 10b…足収容部 11…空気流路
20…温度調節ユニット 21…筐体 22…吹出ダクト
24…吸込ダクト 25…機械室 26…操作部
27…温調室 28…表示部 30…冷凍サイクル
39…温度センサ 56…加熱温度センサ 57…外部温度センサ
58…制御部 70…加熱装置 73…発熱体
76…足部 77…凹部 A…使用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を冷却する温度調節ユニットと、前記温度調節ユニットから吹き出した空気を循環させる空気流路が形成された寝具本体と、前記温度調節ユニットから前記寝具本体へ空気を送風する送風ファンと、前記寝具本体に埋設された加熱装置と、前記温度調節ユニット、前記送風ファン及び前記加熱装置を制御する制御部とを備え、
前記制御部が、前記送風ファンを駆動させて前記温度調節ユニットによって冷却された空気を前記空気流路内に循環させて前記寝具本体を設定温度に冷却する冷房運転と、前記加熱装置に電源を供給して前記寝具本体を加熱する暖房運転とを行う空気循環式寝具において、
前記制御部は、
前記冷房運転開始から所定時間、前記設定温度より低い温度に設定された初期温度に前記寝具本体を冷却する冷房初期制御を行い、前記冷房初期制御終了後、前記設定温度に前記寝具本体を冷却し、
前記暖房運転開始から所定時間、前記加熱装置の発熱量を初期発熱量に設定して前記寝具本体を加熱する暖房初期制御を行い、前記暖房初期制御終了後、前記加熱装置の発熱量を前記初期発熱量より小さい発熱量に設定する
ことを特徴とする空気循環式寝具。
【請求項2】
前記寝具本体は、使用者の胴体を収容する胴体収容部と使用者の足を収容する足収容部とを備え、前記足収容部に前記加熱装置が埋設されていることを特徴とする請求項1に記載の空気循環式寝具。
【請求項3】
前記加熱装置が前記寝具本体に取り外し可能に埋設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気循環式寝具。
【請求項4】
前記寝具本体を設置する空間の温度を検出する外部温度センサを備え、
前記制御部は、前記冷房運転時において、前記外部温度センサの検出温度が所定温度以上であれば、所定流量の空気を前記空気流路内に所定時間循環させ、その後、前記所定流量より少ない流量の空気を前記空気流路内に循環させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気循環式寝具。
【請求項5】
前記加熱装置の温度を検出する加熱温度センサと、前記寝具本体を設置する空間の温度を検出する外部温度センサとを備え、
前記制御部は、前記暖房運転時において、前記外部温度センサの検出温度が所定温度以下であれば、前記加熱温度センサの検出温度が所定温度以上になるまで前記送風ファンを停止させた状態で前記加熱装置に電源を供給し、前記加熱温度センサの検出温度が所定温度以上になると、前記加熱装置に電源を供給しながら前記送風ファンを駆動させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気循環式寝具。
【請求項6】
前記制御部は、前記冷房運転において、停止時刻前の所定時刻から前記停止時刻まで前記設定温度を前記寝具本体の外部温度に漸次近づけ、前記停止時刻に前記温度調節ユニットを停止させ、前記暖房運転において、停止時刻前の所定時刻から前記停止時刻まで前記加熱装置の発熱量を漸次小さくし、前記停止時刻に前記加熱装置を停止させるタイマー制御を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気循環式寝具。
【請求項7】
前記空気流路を循環する空気の温度を検出する温度センサを備え、
所定時間内に所定値以上の温度変化を前記温度センサが検出すると、前記制御部は異常報知を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気循環式寝具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−62248(P2011−62248A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213364(P2009−213364)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】