説明

空気汚染度検知装置

【課題】 空気中に飛散する花粉や埃などの飛散量を簡易に検知することを可能とする空気汚染度検知装置を提供する。
【解決手段】 検知部5は発振回路11、圧電トランス12、整流回路13によって発生させた直流高電圧を検知電極14に印加し、負極14aを大気中に曝してプラス帯電した花粉等の粒子が付着することによる負極14aのマイナス電位の単位時間当たりの減衰率から空気の汚染度を検知して表示部6に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中に漂う花粉や排気ガスなどの大気汚染物質の量を検知する空気汚染度検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
春先に大量に発生する杉花粉や檜花粉が付着することに起因する花粉症になる人の増加が著しい。また、大量に排出される排気ガスや飛散する埃などによって喘息症状を発症するなど、空気中に飛散する塵埃やガスによってアレルギー症状を発症しやすい人が増加している。アレルギー症状を発症しやすい人は、花粉や埃などの飛散量が多いときは外出を控え、外出するときには防御対策を図ることが望ましい。
【0003】
最近では花粉の飛散量が天気予報の一部として放送されることが多くなったことから大まかな花粉飛散情報を知ることができるが、局地的な情報を得ることはできない。花粉や埃の飛散量がどの程度であるかを個人的に知ることができる簡易な手段が望まれている。
【0004】
花粉の飛散量を検知する従来技術として、吸引した空気にレーザ光を照射して空気中に存在する花粉がレーザ光により発光する蛍光を検出し、検出量から花粉の有無や飛散量を演算する花粉検出装置が知られている(特許文献1参照)。また、環境測定のための薄膜半導体マイクロセンサに碁盤目状に複数の感応部を設け、花粉が感応部に付着すると感応膜の発熱及びヒータが発熱して花粉が燃焼するので、発生した還元性ガスを検知して花粉の種類と個数を検出する花粉測定装置が知られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−006059号公報
【特許文献2】特開2000−310608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術は花粉検知に有効と考えられるが、個人が所有するには装置構成が大掛かりであり、コスト的にも最良のものとは言えない。また、空気を吸引する手段や花粉を燃焼させる手段などを必要としているため、消費電力が大きくなり、AC電源を用いる必要がある。
【0006】
本発明が目的とするところは、電池電源によっても動作可能な装置により屋外設置を容易にして花粉や埃の飛散量を簡易に検知することができる空気汚染度検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る空気汚染度検知装置は、マイナス電位に帯電させた電極を空気中に曝し、空気中に漂うプラス帯電粒子との反応によって電極のマイナス電位が低下する単位時間当りの減衰率から空気中に漂う汚染物質の量を検知する検知手段と、この検知手段によって検知された空気の汚染量を表示する表示手段とを備えてなることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、マイナス電位に帯電させた電極に空気中に漂う花粉や埃などのプラスに帯電した汚染物質の粒子が付着すると、電極のマイナス電位が低下するので、単位時間当たりのマイナス電位の減衰率から汚染物質の量が検知できるので、検知された汚染物量を表示手段により表示する。
【0009】
上記構成において、少なくとも検知手段は屋外に配置する必要があるので、表示手段による表示を室内から見ることができるようにする必要がある。装置全体を屋外に配置する場合には、離隔した位置に装置が配置されていても表示手段による表示が室内から観察できるように段階表示する点灯数で表示するのが好適である。また、表示手段による表示が透明ガラスを通して室内から観察できるように、窓ガラスの外側に装着する窓ガラス装着手段を設けて構成すると、窓の透明ガラスを通して屋外の空気汚染度を知ることができる。
【0010】
また、屋外に配置した検知手段が検知した空気の汚染度情報を表示手段に向けて送信する送信手段と、室内に配置した表示手段に前記送信手段から送信されてきた汚染度情報を取り込む受信手段とを設けて構成することにより、屋外に配置した検知手段により検知された空気の汚染状態を室内に配置した表示手段によって知ることができる。送信手段と受信手段との間の接続は、有線又は無線接続として構成することができ、無線接続は微弱電波、赤外線、超音波などを伝送媒体とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、空気中に飛散している花粉や埃などの量を簡易に検知することができるので個人的な所有が容易であり、花粉症やアレルギー症状を発症しやすい人は検知量を目安にして外出を控えたりマスクなどの防御対策を講じたりすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、第1の実施形態に係る空気汚染度検知装置1の構成を示すブロック図で、空気中の花粉や埃などの量を検知する検知部5と、検知部5によって検知された空気の汚染度を表示する表示部6とを備えて構成されている。
【0013】
前記検知部5は、直流電源10から供給される直流電力により所定振幅、所定周波数で発振する発振回路11から出力される交流電圧を圧電トランス12の入力電極12a、12bに印加して圧電体12cを振動させ、出力電極12dと接地間に発生する高電圧を整流回路13により整流して検知電極14に印加する。検知電極14は、負極14aと正極14bとを誘電体14cを介して対極させ、負極14aを大気中に露出させている。大気中に露出する負極14aに帯電したマイナス電位は、大気中に飛散する花粉や埃などのプラスに帯電した汚染粒子が負極14aに付着することにより、付着量に応じてマイナス電位が低下するので、負極14aの電位を電圧検出回路15によって検出し、単位時間当たりのマイナス電位の減衰率を計測回路16によって計測する。なお、減衰率は検知部にあたる空気量で変化する為、好ましくは風速計による補正、或いは大気をサンプリングした後、密閉状態で測定を開始することが好ましい。
【0014】
計測回路16によって計測されたマイナス電位の単位時間当たりの減衰率は、負極14aに付着した花粉や埃などの量に対応しているので、汚染度演算回路18によって空気の汚染度に換算して表示部6に向けて出力する。表示部6は汚染度を数値表示あるいは複数のLEDの点灯数などによって表示する。
【0015】
前記負極14aに帯電させたマイナス電位は、自然放電や湿度による影響などによっても暫減するので、制御回路17によって発振回路11を計測のための単位時間に対応する所定の時間間隔で所定時間動作させ、負極14aに帯電させるマイナス電位を所定電位に回復させる。
【0016】
上記構成において、検知部5は屋外に配置し、表示部6は室内又は室内から表示が見える場所に配置することが望ましい。簡易には検知部5と表示部6とを一体にして空気汚染度検知装置1を構成し、図2に示すように、表示部6を室内に向けて透明な窓ガラスの屋外側に空気汚染度検知装置1を吸盤20によって吸着させることができるように構成することができる。この構成によれば、窓ガラスを通して屋外に配置した空気汚染度検知装置1による検知表示を見ることができる。しかし、窓の開閉の障害になる場合があり、設置位置が限定されて正確な汚染度検知が困難になる課題がある。そこで、検知部5と表示部6とを分離して、それらの間を有線または無線接続する構成が好適なものとなる。
【0017】
図3は、第2の実施形態に係る空気汚染度検知装置2の構成を示すもので、第1の実施形態と共通する構成要素の記載及び説明は省略する。
【0018】
図3において、屋外の任意場所に配置される検知部5aは、第1の実施形態に示した構成に加えて、汚染度演算回路18からの出力信号により搬送波を変調して微弱電波により送信する送信回路19を設けて構成されている。また、室内の任意場所に配置される表示部6aは、送信回路19から送信された微弱電波を受信して復調し、検知部5aで検知された汚染度を出力する受信回路21を設けて構成されている。
【0019】
上記構成により、微弱電波が届く範囲であれば検知部5a及び表示部6aは任意場所に配置することができる。上記構成では、検知部5aと表示部6aとの間の接続を微弱電波による無線接続としているが、直線的に見通せる距離であれば、信号の伝送媒体として赤外線や超音波を用いることも可能である。また、より安価に構成するならば、検知部5aと表示部6aとの間を有線接続することもできる。
【0020】
また、上記構成のように、検知部5aと表示部6aとを分離配置した場合、直流電源10は、検知部5a及び表示部6aそれぞれに設けることになる。室内に配置する表示部6aの直流電源10は、一次電池、二次電池あるいはAC電源から得られる直流電力のいずれであっても自由に選択することができる。屋外に配置する検知部5aの直流電源10は、一次電池、二次電池、太陽電池のいずれでも適用可能であるが、太陽電池によって充電される二次電池を適用するのが好適である。
【産業上の利用可能性】
【0021】
以上の説明の通り本発明によれば、空気中に飛散している花粉や埃などの量を簡易に検知することができるので個人的な所有が容易であり、花粉症やアレルギー症状を発症しやすい人は検知量を目安にして外出を控えたりマスクなどの防御手段を用意したりする予防対策に好適な空気汚染度検知装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施形態に係る空気汚染度検知装置の構成を示すブロック図。
【図2】窓ガラスに装着できる空気汚染度検知装置の構成を示す斜視図。
【図3】第2の実施形態に係る空気汚染度検知装置の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0023】
1,2 空気汚染度検知装置
5,5a 検知部
6,6a 表示部
10 直流電源
14 検知電極
16 計測回路
19 送信回路
21 受信回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイナス電位に帯電させた電極を空気中に曝し、空気中に漂うプラス帯電粒子との反応によって電極のマイナス電位が低下する単位時間当りの減衰率から空気中に漂う汚染物質の量を検知する検知手段と、この検知手段によって検知された空気の汚染度を表示する表示手段とを備えてなることを特徴とする空気汚染度検知装置。
【請求項2】
表示手段による表示が透明ガラスを通して室内から観察できるように、窓ガラスの外側に装着する窓ガラス装着手段が設けられてなる請求項1に記載の空気汚染度検知装置。
【請求項3】
表示手段による汚染量の表示は段階表示する点灯数で表示する請求項1に記載の空気汚染度検知装置。
【請求項4】
屋外に配置した検知手段が検知した空気の汚染量情報を表示手段に向けて送信する送信手段と、室内に配置した表示手段に前記送信手段から送信されてきた汚染量情報を取り込む受信手段とが設けられてなる請求項1に記載の空気汚染度検知装置。
【請求項5】
送信手段と受信手段との間の接続は、有線接続である請求項4に記載の空気汚染度検知装置。
【請求項6】
送信手段と受信手段との間の接続は、微弱電波又は赤外線又は超音波を伝送媒体とする無線接続である請求項4に記載の空気汚染度検知装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−292664(P2006−292664A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−116794(P2005−116794)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】