空気浄化ウォール
【課題】 本発明は、好ましくはウォールパネル(1)の形態をとった、居住室の空気の連続式光触媒浄化装置であって、金属製の好ましくは鋼鉄製の外側構造体、ウォールの前部(10)の底部に配置された、処理すべき空気の取入れ開口(11)、直列の紫外線A電灯(3)が取り付けられている内部金属製フレーム(4)、光触媒の二酸化チタン(TiO2)を含有する皮膜で被覆された支持体を含むフィルター(2)、ウォールの前部(10)の頂部に配置された、浄化された空気の出口開口(12)を備え、かつ装置内の空気流が、少なくとも一つのファン(5)による自然循環又は強制循環によって保証されてなるものに関し、紫外線A光が照射される光触媒の表面積を最大限にするため、主としてアナターゼ相の二酸化チタン(TiO2)を含有する皮膜で被覆されたエキスパンドメタル製の格子(2)を少なくとも一つ備えていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化チタンとの接触による不均一光触媒反応の原理で作動しかつ好ましくはウォールパネルの形態をとる空気浄化装置に関する。
【0002】
本発明はまた、前記装置で実施する空気浄化法に関する。
【背景技術】
【0003】
不均一光触媒反応は、光が誘発する水の解離反応について研究された結果、1970年代以来知られている。この技術は、半導体、通常、二酸化チタンに自然太陽光又は人工の紫外線(λ<400nm)を照射することからなっている。この材料は、励起されると、半導体の価電子帯の電子e−を伝導帯中に射出する(還元)。対応する正孔h+(酸化)は、その半導体の表面に吸着されたOH基と反応して高い酸化性のヒドロキシルラジカルOHを生成する。このラジカルは、有機分子、例えば汚染物質と反応しこれを鉱化して水と二酸化炭素を生成する。光触媒反応は、触媒が存在していることによって光化学反応を加速する反応である。光化学反応は、触媒の表面積において、異なる相の二つの環境の間の界面で起こるので不均一である。
【0004】
二酸化チタンTiO2は、異なる結晶形すなわちルチル、アナターゼ、ブルカイト(brookite)及び高圧によって得られる多種類の相で存在している。ルチルとアナターゼの結晶形だけが光触媒活性を示す。特に、アナターゼ形は、活性が最高であり、本発明で利用したが、不規則な八面体の酸素を有する細長い四面体の構造を有する。
【0005】
二酸化チタンは、ペイント、化粧品、食料品などに大量に存在している。したがって二酸化チタンの光活性を利用して、その表面積に吸着された有機分子を分解できる。それ故、二酸化チタンとの接触による不均一光触媒反応は、特に、水の浄化;汚染物質、農薬、染料、細菌の分解;農業と工業用のすすぎ水の解毒;空気の浄化(脱臭、有毒ガスの除去);及び風雨にさらされる野外の物体又は建造物の自己浄化剤として利用された。
【0006】
TiO2に基づいた光触媒フィルターを備えた非常に多種類の空気浄化装置及び/又は脱臭装置(これら装置の中のいくつかは構造上又は建築上の機能を持っているものもある)が提案されている。これらの発明によって、下記問題点:
−例えば、光触媒支持体と電灯の間の形態と配列を最適化し又は反射器を付け加えて光触媒作用に対する紫外線電灯の有効性を増大して紫外線照射の使用を最適化すること(例えば、日本国特許第09−084866号、欧州特許第993859号、日本国特許第2000−334448号、同第10−249166号、同第2001−293336号、同第2002−295872号、同第2001−218820号参照);
−例えば、光触媒反応用の光として可視光を使用するなど触媒活性を得るため利用できるスペクトル光の範囲を増大すること(例えば、日本国特許第2002−083511号、同第2002−035599号参照);
−電灯を早期に取り替えることによる装置の保守を改善すること;
−従来の紫外線電灯ではなくてフラット電灯又は発光ダイオード(LED)を使うことによってコンパクトネス(compactness)を高めること(例えば、日本国特許第2000−051332号、同第09−000941号参照)
はほとんどの場合、解決される。
【0007】
特許されている装置は、ほとんどの場合、空気を強制循環するためにファンを備えているが、その空気流は乱流になる可能性がある。
【0008】
しかし、最新の装置は、以下の要求:
−建築要素として空気浄化装置を組み入れるには、一つには、満足すべき部品の構造上の機械特性と、又一つには、紫外線電灯を正しい方向に配置する必要がある場合、達成が困難な奥行に関する大きなコンパクトネスが必要であること;
−紫外線照射で達成される光触媒フィルターの表面積を最大にすること;
−装置内の空気循環を最適にすること;
−装置の外壁の温度を調節すること;
を、ほとんど又は全く満たしていない。
【発明の開示】
【0009】
本発明は、従来技術の欠点を克服する解決策を提供することを目的としている。
【0010】
本発明は、建造物の構造要素に、そのウォールパネルのレベルで組み入れられる空気浄化装置を提供することを目的としている。
【0011】
特に、本発明は、居住空間の大気から汚染物を連続的に除くため開ループとして作動する空気浄化装置を提供することも目的としている。
【0012】
発明の主な特徴的要素
本発明の第一の目的は、
好ましくはウォールパネルの形態をとった、居住室の空気に使う連続式光触媒浄化装置であって、
−金属製の好ましくは鋼鉄製の外側構造体、
−ウォールの前部の低い部分に配置された、処理すべき空気の取入れ開口、
−直列の紫外線A電灯、すなわち315−400nmの波長範囲の紫外線を発光する電灯が取り付けられている内部金属製フレーム、
−光触媒の二酸化チタン(TiO2)を含有する皮膜で被覆された支持体を含むフィルター、
−ウォールの前部の高い部分に配置された、浄化された空気の出口開口
を備え、かつ装置内の空気流が、少なくとも一つのファンによる自然循環又は強制循環によって保証されてなり、
紫外線A光が照射される光触媒の表面積を最大限にするため、主としてアナターゼ相の二酸化チタン(TiO2)を含有する皮膜で被覆されたエキスパンドメタル(expanded metal)製の格子(grate)を少なくとも一つ備えていることを特徴とする装置
に関する。
【0013】
本発明は、光触媒フィルターの支持体が金属製であるから、従来使用されている紙製の支持体とは対照的に使用寿命が無制限であるという、最新の技術を超える利点を有している。
【0014】
本発明による周囲空気浄化装置は、好ましくは揮発性有機化合物、例えばアルカン類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、芳香族化合物類及びテルペン類などを、二酸化チタンとの接触による光触媒反応で分解することを目的としている。
【0015】
この装置は、より一般的に、例えばウォールパネル、隔壁、床、天井、吊り天井などの構造又は装飾の要素の形態で、建築産業で使用することを目的としている。外側に金属製表面を有するその構造の要素は、プラスター、ペイント、壁紙などのすべてのタイプの被覆仕上げ材料と有利に適合することができる。
【0016】
外側金属構造体は、光輝焼きなましステンレス鋼で製造されているか、又は波長が400nmより小さい光の反射率(reflective index)が90%より大きい薄い層で被覆された内表面を有していることが有利である。
【0017】
一つには照射される全表面積を最大にしそしてもう一つにはフィルターの単位表面積当たり吸収されるパワーを最大にすると、必要な照射パワーを有意に減らすことができ、その結果加熱と運転のコストを減らすことができるので有利であり、最終的に分析すると効率が最適化されている。
【0018】
本発明の好ましい実施態様によれば、外側構造体の前部は間口が少なくとも1.5mで好ましくは2mであり、空気の入口開口と出口開口はスリットの形状であり、幅が等しくかつ前記前部の幅より僅かに小さくて高さは3cmより高く好ましくは5cmに等しい。
【0019】
前記開口は、前記前部の底部と頂部の末端それぞれから好ましくは少なくとも10cmの位置に、より好ましくは5cmの位置に位置している。
【0020】
本発明の本質的な一特徴は、光触媒で被覆されたエキスパンドメタル、好ましくはエキスパンド鋼鉄の表面積を最大にすることであるが、このエキスパンド鋼鉄の全メッシュ表面積(Ssteel)は、そのメッシュの厚みの表面積を除いて、TiO2の皮膜で被覆されており、Ssteelは下記式:
(式中、LDmesh、SDmesh及びSTmeshはそれぞれ、メッシュの長い対角線、短い対角線及びストリップ(strip)である)で表される。
【0021】
この利点をさらに増大するため、メッシュは、その物理的表面積(Ssteel)と全表面積(Smesh)の比率ssteel(下記式で表される)が最小限になるように選択される。
前記比率は好ましくは1/3である。
【0022】
本発明の好ましい実施態様によれば、前記格子は、その格子の周辺にのみ配置されている固定材で垂直に保持され、紫外線A電灯はウォールの幅を横切って3個直列に配置され、ファンは、90°に設定された横流タイプのものであり、かつウォールの頂部に配置され、ファンの数は、居住室中の空気を、確実に、少なくとも30m3/hour/ヒトだけ入れ替えるように選択する。
【0023】
本発明のさらに他の好ましい実施態様によれば、空気浄化装置は、断面が円形、長方形又は正方形の円筒形の形態でありその円筒の軸線に沿って少なくとも一つの紫外線Aのライティングチューブを備え、光触媒TiO2で被覆されたエキスパンドメタル製格子で囲まれ、その円筒の内表面は反射率が90%より大きい。この実施態様はより具体的に述べると、空気を浄化すること又はダクト中の空気から汚染物を除くことを目的としている。
【0024】
本発明の第二の目的は、前記の空気浄化装置の寸法決定を最適化する方法に関し、その方法は、下記ステップ、すなわち
a) 装置の外形を規定し、
b) エキスパンド鋼鉄製格子の数及び照射装置を規定し、
c) 格子に対する照度を計算し、その光強度が設定された許容閾値より大きくなければステップb)に戻り、
d) 空気の流量及び温度分布を計算し、鋼鉄製ウォールの温度が上昇したならばステップb)に戻り、
e) 汚染物の濃度の変化を計算し、全浄化効率が予め規定された限度より大きくなければステップb)に戻り、
f) 浄化又は汚染物除去装置の最適寸法を得る
ステップが特徴である。
【0025】
図面の簡単な記述
図1は本発明の空気浄化ウォールを図式的に示す三次元図である。
【0026】
図2は本発明の活性ウォールを図式的に示す拡大図である。
【0027】
図3はメッシュすなわち二酸化チタンが堆積されているエキスパンドメタル製要素の基本ユニットを図式的に示す図である。
【0028】
図4は横流ファンによって流れが90度、変更されたことを図式的に示す図である。
【0029】
図5aは本発明の空気浄化装置に含まれるエキスパンドメタル格子について計算した原照射チャートを示す。
【0030】
図5bは直接及び間接的な照射によって、エキスパンドメタル格子に到達する原光強度を有するプロファイルの例を示す図である。
【0031】
図6は本発明に関連する浄化モデルに使用される光強度のチャートを示す図である
【0032】
図7は本発明の浄化ウォールの寸法決定を最適化ためのアルゴリズムを示す。
【0033】
図8は一つの格子と三つの電灯を有する浄化ウォールの二次元モデルの一例を図式的に示す図である。
【0034】
図9は本発明の浄化ウォールの効率を、格子の数、直列の電灯の数及び空気循環のタイプ(自然又は強制)の関数として示すグラフである。
【0035】
図10は浄化ウォールの外側フェーシングの温度のプロファイルを、紫外線A電灯及び想定される流れのタイプの関数として示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1と2に示す空気浄化ウォール1は、二酸化チタンとの接触による不均一光触媒反応の既知の原理で作動する。この装置は、開ループとして作動する活性ウォール1を備え、その活性ウォールは、
−空気及び存在している可能性がある汚染物の混合物が装置に入る空気入口11、
−ウォール内に位置する、二酸化チタンが上に堆積されたエキスパンド鋼鉄製の一個又は数個の格子2であって、そのTiO2皮膜を活性化するため、紫外線A電灯3を備えた照射装置によって照射される格子、
−その汚染物を除去された空気を放出する、ウォールの前部10の頂部に配置された開口12
を備えている。その空気流は、ファン(対流循環もしくは強制循環)又は照射装置による温度上昇(自然循環)によって発生する。
【0037】
本発明の空気浄化装置を最適の寸法にするため、特に数学モデルと数値モデルを使って、ウォール内に汚染物の循環を起こす熱の乱対流(thermal and turbulent convective flow)を説明した。浄化装置の汚染物除去に関する有効性を評価するために、この特定の場合のために開発されかつ実験結果で確認された理論的浄化モデルを、限定条件のレベルで導入した。
【0038】
したがって、ウォールの設計と寸法決定のためのすべての試験は、熱、音響及び構造による拘束並びに浄化現象を考慮しなければならない。試験は、主として熱の状況と汚染物の除去に集中して行った。
【0039】
ウォールの寸法を決定する場合には、流量、温度分布及び浄化工程の計算結果を、デカップリング(decoupling)なしで総合最適化アルゴリズムに導入しなければならない。このカップリングの理由は、寸法決定の基準を規定することによって明らかになる。
【0040】
浄化ウォール1は、事務所、会議室などの閉ざされた空間内に配置される。したがって、この空間内の周囲温度は、制限状態で作動する鋼鉄製ウォールの温度に関連している。さらに、この空間を占有する人々とウォールは直接接触する可能性があるので、その鋼鉄の表面温度は制御する必要がある。その結果、第一の最適化基準は、ウォールの温度上昇を最小限にする基準である。
【0041】
第二の最適化基準は、浄化工程の効率の基準である。光触媒反応の総合効率は、検討中の居住空間を浄化するのに必要な時間を短くするため、最大限にしなければならない。
【0042】
これら二つの基準によって、極値を有する最適化関数が生まれる。実際に、第一基準を満たすには、照射装置によるウォールの加熱を少なくし、必要に応じてゼロにしようとする必要がある。第二の基準については、浄化工程の総合効率を最大限にして照射装置を強化するのに充分な光子束が存在していなければならない。最高目的は、最高の浄化効率を保持しながら加熱を最小に抑える照射装置を決定することにある。
【0043】
上記計算を行う場合、ウォール1は、高さが2m(Hwall)、幅が2m(Wwall)及び厚さが10cm(twall)の外側寸法で取り付けられ、寸法決定を最適に行うことができる三つのパラメータは、エキスパンドメタル製の格子2の数、照明装置に使われる紫外線電灯3の数および強制流動させる単一もしくは複数のファン5の使用である(例えば、図5参照)。
【0044】
図2に示すように、使用される活性の鋼鉄製ウォールは、光触媒反応で空気を浄化する最適化された装置を得ることができる特定の機能を各々有する要素、すなわち外側の鋼鉄製構造体(基本的に前部10と後部15)、TiO2の皮膜が堆積されているエキスパンドメタル製の格子2、金属製フレーム4に取り付けられた紫外線A電灯3を有する照射装置の組立て体を備えている。この組立て体は、ファン5及びウォール全体に電力を供給する電気ボックス(図示せず)によって完成する。
【0045】
1. 外側構造体
活性ウォール1の外側構造体は、鋼鉄プレートで構成されている。これらプレートの表面特性は、二酸化チタンを照射する際に重要な役割を持っている。
【0046】
二酸化チタンとの接触による光触媒反応の最適効率を達成するために、すべてのエキスパンドメタル製格子は、照射装置を構成する異なる電灯からの紫外線光を照射されねばならない。これを行うには、外側構造体の鋼鉄フェーシング(facing)の内表面積は、アナターゼ形二酸化チタンの基準波長すなわち387nmより短い波長の光に対する反射率が最大でなければならない。したがって、前記紫外線の反射率の高い(90%より高い)鋼鉄、例えば光輝焼きなましステンレス鋼を使わなくてはならない。
【0047】
実行される好ましい実施態様によれば、外側構造体の前部10は、長さが1.9mで高さが5cmの二つの開口を備えている。前部10の底部に配置されている開口11は、空気を、ウォールに入れて二酸化チタンとの接触による光触媒反応に付して浄化する。
【0048】
前部10の頂部に配置されている開口12は、浄化された空気を、処理すべき空間中にフィードバックする。
【0049】
これら開口の寸法は、いくつかのパラメータ、すなわち、処理される空気の容積、空気がウォール中に滞留している時間及びウォールの入口と出口における空気の速度によって決定される。
【0050】
活性ウォールで処理される空気の容積を最大にするため、前部の底部に位置する入口開口11の面積はできるだけ大きくしなければならない。したがって、1.9mという長さは、前部の強度による機械的拘束及び処理される空気の容積による拘束を満足させるために選択した。最大の浄化効率を達成するには、ウォール中の空気流は水平方向に均一でなければならず、これは入口と出口の長さが等しいことによって正確に達成されるので、出口開口12の長さは入口開口11の長さに等しい。
【0051】
空気が活性ウォール中に滞留する時間を最大にするには、入口と出口をできるだけ離して配置することが不可欠である。したがって、入口開口は、活性ウォールの底から5cmの位置に配置しそして出口開口5は活性ウォールの頂部から5cmの位置に配置した。
【0052】
IAQの規格によれば、建造物内で許容できる平均空気速度は、20〜30cm/sの程度である。さらに、一人のヒト当たりの空気入れ替え速度は30m3/hrの程度である。この二条件を満たすために、開口11と12の高さは、5cmと規定する。
【0053】
2. エキスパンドメタル格子
エキスパンドメタル格子2は、不均一光触媒反応法に使用される半導体の支持体を形成している。実施した試験では、主としてアナターゼ相の二酸化チタンを検討した。
【0054】
エキスパンドメタルは、基本的要素としてメッシュ6を有するマトリックスと定義する(図3参照)。
【0055】
このメッシュ6は、四つのパラメータ、すなわち長い対角線(LDmesh)、短い対角線(SDmesh)、ストリップの幅(WSmesh)及び厚さ(thmesh)で定義される。最初の3パラメータに基づいて、メッシュの金属の表面積(Ssteel)は下記式のように定義できる。
【0056】
エキスパンドメタルの前記4パラメータを定義するため、いくつかのパラメータ、すなわち、二酸化チタンの皮膜の全表面積及びこの表面積の照射装置による照射を考慮しなければならない。
【0057】
最適の浄化効率を達成するため、TiO2皮膜の全表面積は最大にしなければならない。TiO2がエキスパンドメタル上に堆積されると、TiO2で被覆された表面積は、エキスパンドメタルの表面積(Ssteel)に等しい。前記両表面積がこのように等しいことは、二酸化チタンがメッシュ6の厚みの方に堆積していなければ正しい。利用しなければならない工業的堆積法に基づいて、この仮説は成立すると考えられる。実際に、工業用途では、二酸化チタンは、連続した鋼板に堆積させた後にエキスパンド加工を行うので、メッシュの厚み部分に二酸化チタンは存在しない。
【0058】
さらに、二酸化チタンとの接触による不均一光触媒反応法を最大にするため、半導体の全表面に、照射装置から紫外線A光を照射しなければならない。場合によってはいくつかのエキスパンドメタルの格子を有する活性ウォールの場合、光が各格子の両面に到達できることが必要である。これを実施するためには、下記式で表される、メッシュの物理的表面積(Ssteel)とメッシュの表面積(Smesh)の比率が最小でなければならない。
【0059】
これら二つの要件を満たすために、1/3程度のssteel(比率)を選択した。
【0060】
Company MDB(Metal Deploye Belge S.A.,Arcelor Group)から入手したエキスパンドメタルのカタログに基づいて、3種の許容できるメタルを選択したが、それらの参照記号は、62.25.43.30;A28.15.21.10及びA28.15.25.15であり、それぞれ以下の寸法:(LDmesh=62mm,SDmesh=25mm,WSmesh=4.3mm,thmesh=3mm)、(LDmesh=28mm,SDmesh=15mm,WSmesh=2.5mm,thmesh=1mm)、(LDmesh=28mm,SDmesh=15mm,WSmesh=2.5mm,thmesh=1.5mm)に対応している。
【0061】
エキスパンドメタルのタイプの最後の選択基準は、その構造剛性に基づいている。エキスパンドメタルの格子は、活性ウォール内に垂直に配置される。ウォールに内部補強材を乱雑に詰め込むことを避けるために、使用されるエキスパンドメタルは、格子の周囲にのみ固定具で垂直に保持できなければならない。
【0062】
この基準によって、エキスパンドメタルとして62.25.43.30を最終的に選択することができる。というのは、このエキスパンドメタルが、剛性の基準を満たす充分な厚さを有しているからである。
【0063】
3. 照射装置
照射装置は、タイプ CLEO2の25W紫外線A電灯(Philips)を一組備えている。このタイプの電灯は、紫外線A(すなわち320〜400nmの波長)として4.3Wの電力出力を有している。この電灯は、また紫外線Aに対して1.2%の比率で、紫外線Bも生成する。この電灯の大きさは、長さが516.9mmで直径が16mmである。
【0064】
これら電灯は、ウォールの幅(Wwall)にそって3個直列に配列されている。直列の数は、ウォールの寸法を決定するための計算中に決定される。直列の数を決定する基準は、空気及びウォールの外側構造体の加熱を最小にすることと、二酸化チタンが堆積されているエキスパンドメタルの格子の全表面の最小照射閾値を達成することである。
【0065】
4. ファン
ファン5は、活性ウォールを通じて空気を確実に循環させる。ファンによって生じる空気流は、空気入れ替えの基準を満たさねばならない。この基準は、居住空間について、30m3/hour/ヒト程度の空気の入れ替えを推奨している。
【0066】
空気流の調節法は、浄化すべき空間のタイプによって、予想できる。
【0067】
90°に設定された横流ファン、すなわちZiehl−AbeggブランドのQR 06−GKM70PB型の流れ方向を90°まで調節できるファンを使用する。この種のファンは、重要な流れを550m3/hr程度にすることができる。
【0068】
この流量は、エンジンに供給される電力を制御するポテンショメータによって調節する。
【0069】
図4は、横流ファンで流れの方向を90°変えたことを示している。
【0070】
このファンは、ウォール全体を通じて均一な流量を達成するため、活性ウォールの頂部に配置される。
【0071】
5. 電気ボックス
活性ウォールを作動させるには、照射装置とファンに電力を供給する電源が必要である。各電灯及び各ファンに電気プラグを必要としないようにするため、電気ボックスを下部の隅に設置する。この電気ボックスは、ウォールのすべての電気部品に必要なエネルギーを、外部から、単一の電気プラグによって供給され次いで供給する。
【0072】
6. 流れと制限条件
流れをモデル化するため、ナヴィエ−ストークスの非圧縮方程式と定常方程式を使用する。流れに対する熱の影響も、ブシネスクの近似法によってモデルに導入する。ウォール内の空気の流量と入口の表面積で定義されるレイノルズ数は、乱流モデルの使用を正当化するのに充分に大きい。
【0073】
1m/s程度の低い流速及びウォールの低レベルの加熱によって、非圧縮法とブジネスクの近似法を使用するのに必要な仮説が実証される。
【0074】
6.1 動的制限条件
空気の流量は、浄化装置の入口に適用されなければならない。
【0075】
二つの動的制限条件は、空気の入口に適用されなければならない。数値試験中、空気の流量(Qair)を変化させ、そして当然のことながら流れの方向を入口面に垂直にする。
【0076】
出口では、一つだけ制限条件が必要である。基準圧力の値を適用する。
【0077】
6.2 制限乱流条件
浄化装置の入口では、乱流の運動エネルギーの条件(k)及び乱流の運動エネルギーの散逸(ε)を適用しなければならない。これらの条件は、装置の入口から上流の流れに依存していてその流れは数値シミュレーションの際にモデル化されていないので、これら条件を評価することが非常に困難である。
【0078】
これら制限条件を定義するため、我々はこの試験の目的について論じてみる。浄化ウォールの寸法決定に関するこの試験では、装置の効率は、空気浄化によって評価しなければならない。空気を混合することは、汚染物の半導体の表面への最適送達を保証するので、浄化工程にとって好都合であることは分かるであろう。この空気を混合することは、乱流のレベルが主な特徴であり、乱流が大きければ大きいほど汚染物は均一化される。
【0079】
最も臨界的な場合、すなわち混合が最低限である場合、を試験するために、我々は浄化装置の入口の流れは層流であると仮定する。その乱流はウォールの内側にのみ発生する。したがって、乱流の運動エネルギーとその散逸に対して入口で適用すべき制限条件は非常に簡単になる。乱流の運動エネルギーとその散逸は削除される。
【0080】
6.3 制限熱条件
制限熱条件については、4種の条件、すなわち、浄化装置の入口での制限条件、電灯に関する制限条件、ウォールの内部に関する制限条件及び二酸化チタンを含むエキスパンドメタル格子の各種部分に関する制限条件を定義する。
【0081】
制限熱条件の一般的な表現としては、対流、放射流、伝導流及び外流がある。この一般的表現は、検討される表面の関数として単純化される。
【0082】
A) 浄化装置の入口
この制限条件は、最も簡単である。その条件によって、浄化ウォール内の平均温度レベルを測定できる。これを行うために20℃の温度を適用する。
【0083】
B) 電灯
入力されるエネルギーは、4.3Wの照射電力を保証するCLEOタイプの25W電灯の装置で保証される。各電灯に対する制限条件は下記式で表される。
上記式中、電灯の熱流は、下記式で表され、
上記式中Rlampは電灯の半径であり(8mm)そしてLlampは電灯の長さである(517mm)。
【0084】
C) ウォールの内側部分
ウォールの制限熱条件は非常に複雑である。なぜならば、光輝焼きなましステンレス鋼製プレート内の伝導交換及びウォールの外側の対流交換と放射交換を考慮しなければならないからである。この種のデータは、正確には定義できない。
【0085】
二つの解決策が考えられる。すなわち、平均外部対流交換係数(average external convective exchange coefficient)と平均外部放射交換係数(average external radiative exchange coefficient)を利用する方法又は浄化装置の寸法を決定するのに最も有利でない場合を想定する方法である。第二の解決策を選択する。実際に、浄化ウォールが、最も有利でない条件下で加熱を最小にできたならば、すべての場合を確実にカバーできる。
【0086】
最も有利でない場合を分析してみる。CLEOタイプの紫外線電灯を備えた照射装置がウォール内で作動しているとき、エキスパンドメタルの格子と光輝焼きなましステンレス鋼のプレートは温度が上昇する。ウォールの前部は、隣接する空間の周囲空気の温度に直接接触している。したがって、その前部から隣接する空間に熱の移動がある。それ故、その隣接空間は前記前部の温度を下げる傾向がある。前記最も有利でない場合は、周囲空間の空気が前記前部の温度値に直ちに到達すると考えられ、すなわちこの状態は断熱の状態である。論理的に温度を上昇させる、前部の外側照射の可能性は考慮しない。
【0087】
この断熱の状態を利用する。すなわち、前部の伝導流及び外側の対流と放射流の合計がゼロであると想定する。
【0088】
したがって、その制限条件は下記式で表される。
上記式中、q〃lightは電灯から表面に到達する光束でありそしてαstainlessは光輝焼きなましステンレス鋼の吸収係数である
【0089】
光輝焼きなましステンレス鋼の吸収係数は、赤外線の場合は0.15の程度であり、紫外線の場合は0.3の程度の値になる。
【0090】
D) エキスパンドメタルの格子
エキスパンドメタルの格子は、前記計算に完全に組み入れる。したがって、照射装置から入力されるエネルギーによる追加入力との連結型制限条件を利用する。
【0091】
7. 汚染物と理論的浄化モデル
浄化装置、すなわち浄化ウォールは、広範囲の汚染物で構成された複雑な混合物に対して作動しなければならない。汚染物は、揮発性有機化合物(VOC)という統括名で分類されている。建造物内の汚染レベルを規制する基準は、各汚染物のみならず揮発性有機化合物の合計量(TVOC)にも限度を課している。許容される平均濃度は、200−500μg/m3の程度である。この濃度レベルは、各汚染物のppmvolume未満の値に相当する。
【0092】
主な汚染物は、六つの範疇:アルカン類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、芳香族類及びテルペン類に分類されている。
【0093】
第一の範疇の汚染物はアルカン類である。アルカン類は、単に、水素原子が結合している炭素連鎖で構成されている分子である(表1)。
【0094】
各化合物の平均濃度を合計することによって得られるアルカン類の合計濃度は103μg/m3である。
アルカン類の一般的範疇には、環状炭素連鎖が含まれている。それはシクロアルカン類である(表2)。
【0095】
シクロアルカン類は、前記範疇のアルカン類に属する化合物の小部分である。その合計濃度は14μg/m3である。
【0096】
列挙されている第二範疇の揮発性有機化合物はアルコール類である(表3)。
【0097】
この範疇に属する上記4種の主要汚染物の個々の濃度は、合計濃度が69μg/m3になる工業的濃度である。
【0098】
第三の範疇は、アルデヒド化合物が特徴である。これら化合物は、個々の濃度が最も高いホルムアルデヒドとアセトアルデヒドである(表4)。
【0099】
この範疇の各化合物の濃度は、合計濃度が116μg/m3になる濃度である。
【0100】
第四範疇はケトン類の範疇である。表5に列挙されている3種の化合物の合計濃度は30.8μg/m3である。
【0101】
芳香族化合物は第五範疇に属する化合物である。また、この範疇は、高濃度の化合物すなわちトルエンを含有している(表6)。
【0102】
芳香族化合物の合計濃度は86μg/m3である。
【0103】
最後の範疇はテルペン化合物をカバーしている(表7)。これら化合物の合計濃度は76.8μg/m3である。
【0104】
揮発性有機化合物の合計濃度は420μg/m3である。
【0105】
汚染物のこの非網羅的リストは、汚染物の平均濃度がppmvolumeより低いことを示している。低濃度の複雑な混合物に関する実験結果を分析している間に、各汚染物が、あたかも試験チャンバー内で唯一の汚染物であるかのように、二酸化チタンとの接触による光触媒反応によって浄化されていることが観察された。この特性を利用して、上記化合物をすべて、浄化装置の寸法決定を行うためのアルゴリズムに導入する。この特性を利用するときには、試験汚染物Aを、VOCの合計濃度の420μg/m3である初期濃度で規定する。
【0106】
上記浄化モデルのパラメータは、アセトアルデヒドを浄化する場合、正確に定義できる。これらのパラメータすなわち量子効率と基準濃度は、二酸化チタンに到達する光子束によって決まる。光子束1.66*10−4,7.26*10−5及び2.56*10−5アインシュタイン/m2/sそれぞれに対して測定したパラメータの三つの値に基づいて、前記量子効率と基準濃度について補間関数を定義する。これらの補間関数によって、光子束の関数として浄化パラメータの値を得ることができる。これらの値の正確さは、入射光子束が1.66*10−4〜2.56*10−5アインシュタイン/m2/sであるだけで保証される。
【0107】
アセトアルデヒドに関する浄化のパラメータは正確に分かっているので、この化合物を試験汚染物として、上記リストに記載のすべてのVOC化合物を取り入れることができるようになる。
【0108】
したがって、本発明の浄化装置は、213ppbvolumeに相当する420μg/m3の濃度のアセトアルデヒドだけで汚染された大気を想定して寸法が決定される。寸法決定時の安全性の余裕を保証するため、当然のことながら、アセトアルデヒドの濃度は1ppmvolumeである。
【0109】
実験結果を分析中に、スプレーで堆積された二酸化チタンの皮膜と接触してアセトアルデヒドが分解する工程で、中間生成物は全く出現しなかった。したがって、考えられる唯一の分解反応は、ヒドロキシルラジカルによるアセトアルデヒドの分解反応である。
【0110】
浄化ウォール内のアセトアルデヒドの分散の全計算を行う際の制限条件として、我々の理論的浄化モデルを使うには、別途測定された値について補間関数で得られる浄化パラメータを決定すること(未発表)、すなわち、アセトアルデヒドの分解方程式で得られる化学量論係数の決定及び二酸化チタンの表面に到達する光子束の測定が必要である。
【0111】
7.1 光子束
光子束の評価は、最適化アルゴリズムにおける重要なステップである。この計算には、視覚計算(visual calculation)ソフトウェア、例えばSPEOSソフトウェア(Optis、フランス)を使用する。このソフトウェアは、物理学の法則による光線の伝搬を計算することによって照射チャートと光束チャートを決定する。これらのチャートによって、与えられた表面上の光強度の分布の空間関数(FSPEOS)、すなわち
(式中、x,yは表面上の点に与えられる空間座標軸であり、
−total―spectrumは、使用される電灯の全発光スペクトルであり、
−Iは光強度(W/m2/nm)であり、
−λは放射線の波長(nm)である)
を定義できる。
【0112】
我々の理論的浄化モデルの場合、光子束、すなわち照射される表面の座標点(x,y)に単位時間当たり到達する光子の数を測定しなければならない。
【0113】
【0114】
光強度のこの定義(1.8)を導入することによって、照射表面の点(x,y)に到達する光子束の式は、下記式:
(式中、E(hv)=hv=h.c/λである)のように書き替えられる。
【0115】
半導体が吸収できる波長の積分値は、発光源の発光スペクトルが分かっているとき(一般に電灯の製造会社が提供する)評価できる。Philips社から入手できるCLEOタイプの電灯の場合、照射装置と照射される表面との距離によって光強度が低下することが分かった。スペクトルを正規化すると、製造業者が提供する電灯の発光スペクトルが得られる。
【0116】
したがって、製造業者が提供するデータからのみ計算可能でかつ照射表面全体にわたって一定の正規化された光子束(Fhv,o)は、下記式:
のように定義される。
【0117】
比率(1.8)も式(1.7)に導入すると、関数FSPEOSの下記式:
が得られる。
【0118】
この式(1.11)における、光源の製造業者のデータから直接計算できる項は以下のようにもう一度得られる。
【0119】
式(1.10,1.11,1.12)を、照射表面に単位時間当たり到達する光子の数の計算式(1.9)に導入すると、下記式:
【0120】
この式(1.13)を使用すると、照射チャートがSPEOSソフトウェア(FSPEOS(x,y))と光源のスペクトルデータから提供され、触媒の表面の各点に到達する光子束を計算できる。
【0121】
7.2 照射チャート
上記パラグラフでは、SPEOSソフトウェアで得られる照射チャート及び光源のスペクトルの特徴に基づいて、我々の浄化モデルに有用なすべてのデータを入手できることが分かった。
【0122】
照射チャートを得るために、浄化ウォールの三次元モデルをSPEOSソフトウェアに導入する。流れのシミュレーションを行うために利用する幾何学的モデルについては、不可欠な要素、重要な要素及び無視できる要素を決定する。しかしながら、これら三つの各範疇で定義された要素は、CFD(計算流体力学)の計算の文脈で定義されている要素とは異なっている。CFDシミュレーションの目的とSPEOSソフトウェアの目的は異なるので、前記三つの範疇の要素は、通常別個に列挙される。
【0123】
CLEOタイプの25Wの紫外線A電灯及び浄化装置の前部と後部は、不可欠な要素に含まれており、現実とは異なっていない形態の特徴と空間位置を有する要素である。
【0124】
浄化格子は、重要な要素に含まれており、すなわち、幾何学的モデルで考慮しなければならないが、現実と異なる形態と空間位置で記載できる要素である。3mmという格子の厚さは、照度の計算では中心的な役割をしていない。格子の厚さで起こる影響は無視できる。その格子は二次元の平坦な表面とみなされる。
【0125】
ファン、ウォールの頂部と底部及び垂直側面部、各種電気システムに対する電源を備えた電機ボックスなどは、無視できる要素、すなわち目的とするシミュレーションに対する影響が無視できる要素に含まれている。ファン、電気ボックスなどは、これらが製作されている材料が紫外線Aの範囲の反射率が非常に低いから無視され、このことは、二酸化チタンで被覆された格子の表面に向かって反射して戻る光の量が無視できることを意味する。ウォールの頂部と底部及び垂直側面部については、格子に対して垂直の照射に対するこれら部分の影響も無視できると我々は考えている。
【0126】
我々の幾何学的モデルの要素が定義されたならば、シミュレーションを行うのに必要なパラメータを導入する。すべての表面は、光の主体に関する物理特性、すなわち、考えられる光反射のタイプ、材料の表面の状態で決まるランバート、ガウスなどの反射;反射率のスペクトル依存性などを特徴としている。光源については、それらのスペクトルとパワーを導入する。
【0127】
SPEOSソフトウェアを利用するシミュレーションは、多量のエネルギーを、各エキスパンドメタル格子上の各点に提供しなければならない。この情報を得るには、さらなるプロセシングを照射チャートに実施しなければならない。実際に、照射チャートは、検討中の点におけるエネルギー量を推定するため、その点で表面に交差する光線の数を「計数する」単純で平坦な二次元の表面である(図5a)。同様に、SPEOSソフトウェアは、直接の及び間接的な照射によって格子に到達する光強度のプロファィルを描くことができる(図5bに示す例参照)。
【0128】
前記のさらなるプロセシングは、単に、エキスパンドメタル格子の実際の表面に原照射チャート(raw illumination chart)を投影することからなっている。この操作は、単に、エキスパンドメタル格子が位置している場所以外はゼロでありかつエキスパンドメタル格子が位置している場所では1に等しい関数Γ(x,y)を、原照射チャートに乗ずることによって実施する。我々の浄化モデルに導入すべき光強度のチャートが得られる(図6)。
【0129】
これらの強度チャートを導入する二つの方法、すなわち
1) すべてのデータを、計算コードで使用されるファイルに導入する方法、及び
2) 光強度の空間分布を示す数学関数を定義する方法
を利用できる。
【0130】
【0131】
これはフーリエ積分である。この関数FSPEOS(x,y)が我々の浄化モデルに使用される。光強度の分布を得るには、振幅がg(kx,ky)のフラット波(flat wave)を、全波数にわたって(0,∞)積分しなければならない。我々の試験では、試験されているシステムの幾何学的特徴は周期性を規定できるので、前記フーリエ積分関数はフーリエ級数に簡約できる。
【0132】
第一近似において、光強度は恐らく水平方向に一定であるからフーリエ積分のxに対する依存性が除かれる。さらに、yによる電灯の周期性によって、前記積分を2電灯間の距離の波長倍数の合計で置き換えることができる。
上記式中、Ajは波jの振幅を示し、dlampは2列の電灯間の距離を示す。
【0133】
一般にこの合計は、関与している要素の無限数に関連している。場合によっては、最初の数モードの関与している要素だけが有効であるので、モードの無限合計をモードの有限数の合計に約分できる。
【0134】
関数FSPEOSを得るために、SPEOSソフトウェアによるシミュレーションで提供された原照射チャートに対して、フーリエ分析を実施する。この分析によって、式(1.15)で定義されないパラメータだけすなわちフーリエ分解(Fourier decomposition)の係数Ajが得られる。
【0135】
【0136】
浄化ウォールの外枠の内側部分に、質量の流れのないことが、制限条件として保持されている。我々の浄化モデルが、エキスパンドメタルの格子上に、アセトアルデヒドに対して導入される。SPEOSソフトウェアからのデータ及び浄化パラメータの補間関数を導入することによって、アセトアルデヒドが時間の経過と共に減少する状態を示す式を特定することができる。
【0137】
浄化ウォールの寸法を決定する試験では、ウォール入口の濃度を利用しなければならない。定常モードでの浄化装置の効率を計算すべきであるから、1ppmvolumeに等しい一定の濃度を適用する。出口については条件を適用しない。
【0138】
【0139】
汚染物の上記流量に基づいて、汚染物Aに対する浄化ウォールの効率(ηA,wall)は、下記式のように定義される。
【0140】
この定義式(1.18)の値は、浄化装置が全く役に立たないときのゼロと、浄化すべき空間に汚染物を再び導入することがない浄化装置に対応する、装置が完全に有効であるときの1との間で変化する。
【0141】
図7は浄化装置の最適化アルゴリズムを要約して示す。
【0142】
【0143】
この二次元法は、二次元法向けに開発された計算コードを使用できる。
【0144】
【0145】
エキスパンドメタルは、通孔の大きさが前記表面積比を保持する大きさである穴あきウォールとしてモデル化される(図8:1格子と3電灯)。ngratesのエキスパンドメタル格子を有する活性ウォールの場合、二酸化チタンの合計表面積は下記式で表される。
STiO2=2ngrate Ssteel Hwall Lwall (1.19)
【0146】
係数2は、二酸化チタンが格子の両面に堆積されていることを示している。
【0147】
図9は、一つ又は二つの格子が使われているかどうか及び自然循環もしくは強制循環であるかどうかによって決まる、紫外線A電灯の列の数の関数としての浄化ウォールの効率曲線を示す。最も高い効率は、最大列数の電灯(4電灯)、2格子及び自然循環によって得られる。
【0148】
TiO2皮膜の活性化因子として、紫外線Aの光束を使うと、浄化ウォール内の温度が上昇する。外側フェーシングの温度上昇の状態を確認するため、放射熱、対流熱および伝導熱の流れを考慮しながら、流れと温度の範囲を計算できるCFDソフトウェアを使用した。図10は、電灯の数および自然対流もしくは強制対流で決まる、ウォールの高さyの関数としての温度上昇ΔT=T−T0の例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明の空気浄化ウォールを図式的に示す三次元図である。
【図2】本発明の活性ウォールを図式的に示す拡大図である。
【図3】メッシュすなわち二酸化チタンが堆積されているエキスパンドメタル製要素の基本ユニットを図式的に示す図である。
【図4】横流ファンによって流れが90度、変更されたことを図式的に示す図である。
【図5a】本発明の空気浄化装置に含まれるエキスパンドメタル格子について計算した原照射チャートを示す。
【図5b】直接及び間接的な照射によって、エキスパンドメタルの格子に到達する原光強度を有するプロファイルの例を示す図である。
【図6】本発明に関連する浄化モデルに使用される光強度のチャートを示す図である
【図7】本発明の浄化ウォールの寸法決定を最適化ためのアルゴリズムを示す。
【図8】一つの格子と三つの電灯を有する浄化ウォールの二次元モデルの一例を図式的に示す図である。
【図9】本発明の浄化ウォールの効率を、格子の数、直列の電灯の数及び空気循環のタイプ(自然又は強制)の関数として示すグラフである。
【図10】浄化ウォールの外側フェーシングの温度のプロファイルを、紫外線A電灯及び想定される流れのタイプの関数として示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化チタンとの接触による不均一光触媒反応の原理で作動しかつ好ましくはウォールパネルの形態をとる空気浄化装置に関する。
【0002】
本発明はまた、前記装置で実施する空気浄化法に関する。
【背景技術】
【0003】
不均一光触媒反応は、光が誘発する水の解離反応について研究された結果、1970年代以来知られている。この技術は、半導体、通常、二酸化チタンに自然太陽光又は人工の紫外線(λ<400nm)を照射することからなっている。この材料は、励起されると、半導体の価電子帯の電子e−を伝導帯中に射出する(還元)。対応する正孔h+(酸化)は、その半導体の表面に吸着されたOH基と反応して高い酸化性のヒドロキシルラジカルOHを生成する。このラジカルは、有機分子、例えば汚染物質と反応しこれを鉱化して水と二酸化炭素を生成する。光触媒反応は、触媒が存在していることによって光化学反応を加速する反応である。光化学反応は、触媒の表面積において、異なる相の二つの環境の間の界面で起こるので不均一である。
【0004】
二酸化チタンTiO2は、異なる結晶形すなわちルチル、アナターゼ、ブルカイト(brookite)及び高圧によって得られる多種類の相で存在している。ルチルとアナターゼの結晶形だけが光触媒活性を示す。特に、アナターゼ形は、活性が最高であり、本発明で利用したが、不規則な八面体の酸素を有する細長い四面体の構造を有する。
【0005】
二酸化チタンは、ペイント、化粧品、食料品などに大量に存在している。したがって二酸化チタンの光活性を利用して、その表面積に吸着された有機分子を分解できる。それ故、二酸化チタンとの接触による不均一光触媒反応は、特に、水の浄化;汚染物質、農薬、染料、細菌の分解;農業と工業用のすすぎ水の解毒;空気の浄化(脱臭、有毒ガスの除去);及び風雨にさらされる野外の物体又は建造物の自己浄化剤として利用された。
【0006】
TiO2に基づいた光触媒フィルターを備えた非常に多種類の空気浄化装置及び/又は脱臭装置(これら装置の中のいくつかは構造上又は建築上の機能を持っているものもある)が提案されている。これらの発明によって、下記問題点:
−例えば、光触媒支持体と電灯の間の形態と配列を最適化し又は反射器を付け加えて光触媒作用に対する紫外線電灯の有効性を増大して紫外線照射の使用を最適化すること(例えば、日本国特許第09−084866号、欧州特許第993859号、日本国特許第2000−334448号、同第10−249166号、同第2001−293336号、同第2002−295872号、同第2001−218820号参照);
−例えば、光触媒反応用の光として可視光を使用するなど触媒活性を得るため利用できるスペクトル光の範囲を増大すること(例えば、日本国特許第2002−083511号、同第2002−035599号参照);
−電灯を早期に取り替えることによる装置の保守を改善すること;
−従来の紫外線電灯ではなくてフラット電灯又は発光ダイオード(LED)を使うことによってコンパクトネス(compactness)を高めること(例えば、日本国特許第2000−051332号、同第09−000941号参照)
はほとんどの場合、解決される。
【0007】
特許されている装置は、ほとんどの場合、空気を強制循環するためにファンを備えているが、その空気流は乱流になる可能性がある。
【0008】
しかし、最新の装置は、以下の要求:
−建築要素として空気浄化装置を組み入れるには、一つには、満足すべき部品の構造上の機械特性と、又一つには、紫外線電灯を正しい方向に配置する必要がある場合、達成が困難な奥行に関する大きなコンパクトネスが必要であること;
−紫外線照射で達成される光触媒フィルターの表面積を最大にすること;
−装置内の空気循環を最適にすること;
−装置の外壁の温度を調節すること;
を、ほとんど又は全く満たしていない。
【発明の開示】
【0009】
本発明は、従来技術の欠点を克服する解決策を提供することを目的としている。
【0010】
本発明は、建造物の構造要素に、そのウォールパネルのレベルで組み入れられる空気浄化装置を提供することを目的としている。
【0011】
特に、本発明は、居住空間の大気から汚染物を連続的に除くため開ループとして作動する空気浄化装置を提供することも目的としている。
【0012】
発明の主な特徴的要素
本発明の第一の目的は、
好ましくはウォールパネルの形態をとった、居住室の空気に使う連続式光触媒浄化装置であって、
−金属製の好ましくは鋼鉄製の外側構造体、
−ウォールの前部の低い部分に配置された、処理すべき空気の取入れ開口、
−直列の紫外線A電灯、すなわち315−400nmの波長範囲の紫外線を発光する電灯が取り付けられている内部金属製フレーム、
−光触媒の二酸化チタン(TiO2)を含有する皮膜で被覆された支持体を含むフィルター、
−ウォールの前部の高い部分に配置された、浄化された空気の出口開口
を備え、かつ装置内の空気流が、少なくとも一つのファンによる自然循環又は強制循環によって保証されてなり、
紫外線A光が照射される光触媒の表面積を最大限にするため、主としてアナターゼ相の二酸化チタン(TiO2)を含有する皮膜で被覆されたエキスパンドメタル(expanded metal)製の格子(grate)を少なくとも一つ備えていることを特徴とする装置
に関する。
【0013】
本発明は、光触媒フィルターの支持体が金属製であるから、従来使用されている紙製の支持体とは対照的に使用寿命が無制限であるという、最新の技術を超える利点を有している。
【0014】
本発明による周囲空気浄化装置は、好ましくは揮発性有機化合物、例えばアルカン類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、芳香族化合物類及びテルペン類などを、二酸化チタンとの接触による光触媒反応で分解することを目的としている。
【0015】
この装置は、より一般的に、例えばウォールパネル、隔壁、床、天井、吊り天井などの構造又は装飾の要素の形態で、建築産業で使用することを目的としている。外側に金属製表面を有するその構造の要素は、プラスター、ペイント、壁紙などのすべてのタイプの被覆仕上げ材料と有利に適合することができる。
【0016】
外側金属構造体は、光輝焼きなましステンレス鋼で製造されているか、又は波長が400nmより小さい光の反射率(reflective index)が90%より大きい薄い層で被覆された内表面を有していることが有利である。
【0017】
一つには照射される全表面積を最大にしそしてもう一つにはフィルターの単位表面積当たり吸収されるパワーを最大にすると、必要な照射パワーを有意に減らすことができ、その結果加熱と運転のコストを減らすことができるので有利であり、最終的に分析すると効率が最適化されている。
【0018】
本発明の好ましい実施態様によれば、外側構造体の前部は間口が少なくとも1.5mで好ましくは2mであり、空気の入口開口と出口開口はスリットの形状であり、幅が等しくかつ前記前部の幅より僅かに小さくて高さは3cmより高く好ましくは5cmに等しい。
【0019】
前記開口は、前記前部の底部と頂部の末端それぞれから好ましくは少なくとも10cmの位置に、より好ましくは5cmの位置に位置している。
【0020】
本発明の本質的な一特徴は、光触媒で被覆されたエキスパンドメタル、好ましくはエキスパンド鋼鉄の表面積を最大にすることであるが、このエキスパンド鋼鉄の全メッシュ表面積(Ssteel)は、そのメッシュの厚みの表面積を除いて、TiO2の皮膜で被覆されており、Ssteelは下記式:
(式中、LDmesh、SDmesh及びSTmeshはそれぞれ、メッシュの長い対角線、短い対角線及びストリップ(strip)である)で表される。
【0021】
この利点をさらに増大するため、メッシュは、その物理的表面積(Ssteel)と全表面積(Smesh)の比率ssteel(下記式で表される)が最小限になるように選択される。
前記比率は好ましくは1/3である。
【0022】
本発明の好ましい実施態様によれば、前記格子は、その格子の周辺にのみ配置されている固定材で垂直に保持され、紫外線A電灯はウォールの幅を横切って3個直列に配置され、ファンは、90°に設定された横流タイプのものであり、かつウォールの頂部に配置され、ファンの数は、居住室中の空気を、確実に、少なくとも30m3/hour/ヒトだけ入れ替えるように選択する。
【0023】
本発明のさらに他の好ましい実施態様によれば、空気浄化装置は、断面が円形、長方形又は正方形の円筒形の形態でありその円筒の軸線に沿って少なくとも一つの紫外線Aのライティングチューブを備え、光触媒TiO2で被覆されたエキスパンドメタル製格子で囲まれ、その円筒の内表面は反射率が90%より大きい。この実施態様はより具体的に述べると、空気を浄化すること又はダクト中の空気から汚染物を除くことを目的としている。
【0024】
本発明の第二の目的は、前記の空気浄化装置の寸法決定を最適化する方法に関し、その方法は、下記ステップ、すなわち
a) 装置の外形を規定し、
b) エキスパンド鋼鉄製格子の数及び照射装置を規定し、
c) 格子に対する照度を計算し、その光強度が設定された許容閾値より大きくなければステップb)に戻り、
d) 空気の流量及び温度分布を計算し、鋼鉄製ウォールの温度が上昇したならばステップb)に戻り、
e) 汚染物の濃度の変化を計算し、全浄化効率が予め規定された限度より大きくなければステップb)に戻り、
f) 浄化又は汚染物除去装置の最適寸法を得る
ステップが特徴である。
【0025】
図面の簡単な記述
図1は本発明の空気浄化ウォールを図式的に示す三次元図である。
【0026】
図2は本発明の活性ウォールを図式的に示す拡大図である。
【0027】
図3はメッシュすなわち二酸化チタンが堆積されているエキスパンドメタル製要素の基本ユニットを図式的に示す図である。
【0028】
図4は横流ファンによって流れが90度、変更されたことを図式的に示す図である。
【0029】
図5aは本発明の空気浄化装置に含まれるエキスパンドメタル格子について計算した原照射チャートを示す。
【0030】
図5bは直接及び間接的な照射によって、エキスパンドメタル格子に到達する原光強度を有するプロファイルの例を示す図である。
【0031】
図6は本発明に関連する浄化モデルに使用される光強度のチャートを示す図である
【0032】
図7は本発明の浄化ウォールの寸法決定を最適化ためのアルゴリズムを示す。
【0033】
図8は一つの格子と三つの電灯を有する浄化ウォールの二次元モデルの一例を図式的に示す図である。
【0034】
図9は本発明の浄化ウォールの効率を、格子の数、直列の電灯の数及び空気循環のタイプ(自然又は強制)の関数として示すグラフである。
【0035】
図10は浄化ウォールの外側フェーシングの温度のプロファイルを、紫外線A電灯及び想定される流れのタイプの関数として示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1と2に示す空気浄化ウォール1は、二酸化チタンとの接触による不均一光触媒反応の既知の原理で作動する。この装置は、開ループとして作動する活性ウォール1を備え、その活性ウォールは、
−空気及び存在している可能性がある汚染物の混合物が装置に入る空気入口11、
−ウォール内に位置する、二酸化チタンが上に堆積されたエキスパンド鋼鉄製の一個又は数個の格子2であって、そのTiO2皮膜を活性化するため、紫外線A電灯3を備えた照射装置によって照射される格子、
−その汚染物を除去された空気を放出する、ウォールの前部10の頂部に配置された開口12
を備えている。その空気流は、ファン(対流循環もしくは強制循環)又は照射装置による温度上昇(自然循環)によって発生する。
【0037】
本発明の空気浄化装置を最適の寸法にするため、特に数学モデルと数値モデルを使って、ウォール内に汚染物の循環を起こす熱の乱対流(thermal and turbulent convective flow)を説明した。浄化装置の汚染物除去に関する有効性を評価するために、この特定の場合のために開発されかつ実験結果で確認された理論的浄化モデルを、限定条件のレベルで導入した。
【0038】
したがって、ウォールの設計と寸法決定のためのすべての試験は、熱、音響及び構造による拘束並びに浄化現象を考慮しなければならない。試験は、主として熱の状況と汚染物の除去に集中して行った。
【0039】
ウォールの寸法を決定する場合には、流量、温度分布及び浄化工程の計算結果を、デカップリング(decoupling)なしで総合最適化アルゴリズムに導入しなければならない。このカップリングの理由は、寸法決定の基準を規定することによって明らかになる。
【0040】
浄化ウォール1は、事務所、会議室などの閉ざされた空間内に配置される。したがって、この空間内の周囲温度は、制限状態で作動する鋼鉄製ウォールの温度に関連している。さらに、この空間を占有する人々とウォールは直接接触する可能性があるので、その鋼鉄の表面温度は制御する必要がある。その結果、第一の最適化基準は、ウォールの温度上昇を最小限にする基準である。
【0041】
第二の最適化基準は、浄化工程の効率の基準である。光触媒反応の総合効率は、検討中の居住空間を浄化するのに必要な時間を短くするため、最大限にしなければならない。
【0042】
これら二つの基準によって、極値を有する最適化関数が生まれる。実際に、第一基準を満たすには、照射装置によるウォールの加熱を少なくし、必要に応じてゼロにしようとする必要がある。第二の基準については、浄化工程の総合効率を最大限にして照射装置を強化するのに充分な光子束が存在していなければならない。最高目的は、最高の浄化効率を保持しながら加熱を最小に抑える照射装置を決定することにある。
【0043】
上記計算を行う場合、ウォール1は、高さが2m(Hwall)、幅が2m(Wwall)及び厚さが10cm(twall)の外側寸法で取り付けられ、寸法決定を最適に行うことができる三つのパラメータは、エキスパンドメタル製の格子2の数、照明装置に使われる紫外線電灯3の数および強制流動させる単一もしくは複数のファン5の使用である(例えば、図5参照)。
【0044】
図2に示すように、使用される活性の鋼鉄製ウォールは、光触媒反応で空気を浄化する最適化された装置を得ることができる特定の機能を各々有する要素、すなわち外側の鋼鉄製構造体(基本的に前部10と後部15)、TiO2の皮膜が堆積されているエキスパンドメタル製の格子2、金属製フレーム4に取り付けられた紫外線A電灯3を有する照射装置の組立て体を備えている。この組立て体は、ファン5及びウォール全体に電力を供給する電気ボックス(図示せず)によって完成する。
【0045】
1. 外側構造体
活性ウォール1の外側構造体は、鋼鉄プレートで構成されている。これらプレートの表面特性は、二酸化チタンを照射する際に重要な役割を持っている。
【0046】
二酸化チタンとの接触による光触媒反応の最適効率を達成するために、すべてのエキスパンドメタル製格子は、照射装置を構成する異なる電灯からの紫外線光を照射されねばならない。これを行うには、外側構造体の鋼鉄フェーシング(facing)の内表面積は、アナターゼ形二酸化チタンの基準波長すなわち387nmより短い波長の光に対する反射率が最大でなければならない。したがって、前記紫外線の反射率の高い(90%より高い)鋼鉄、例えば光輝焼きなましステンレス鋼を使わなくてはならない。
【0047】
実行される好ましい実施態様によれば、外側構造体の前部10は、長さが1.9mで高さが5cmの二つの開口を備えている。前部10の底部に配置されている開口11は、空気を、ウォールに入れて二酸化チタンとの接触による光触媒反応に付して浄化する。
【0048】
前部10の頂部に配置されている開口12は、浄化された空気を、処理すべき空間中にフィードバックする。
【0049】
これら開口の寸法は、いくつかのパラメータ、すなわち、処理される空気の容積、空気がウォール中に滞留している時間及びウォールの入口と出口における空気の速度によって決定される。
【0050】
活性ウォールで処理される空気の容積を最大にするため、前部の底部に位置する入口開口11の面積はできるだけ大きくしなければならない。したがって、1.9mという長さは、前部の強度による機械的拘束及び処理される空気の容積による拘束を満足させるために選択した。最大の浄化効率を達成するには、ウォール中の空気流は水平方向に均一でなければならず、これは入口と出口の長さが等しいことによって正確に達成されるので、出口開口12の長さは入口開口11の長さに等しい。
【0051】
空気が活性ウォール中に滞留する時間を最大にするには、入口と出口をできるだけ離して配置することが不可欠である。したがって、入口開口は、活性ウォールの底から5cmの位置に配置しそして出口開口5は活性ウォールの頂部から5cmの位置に配置した。
【0052】
IAQの規格によれば、建造物内で許容できる平均空気速度は、20〜30cm/sの程度である。さらに、一人のヒト当たりの空気入れ替え速度は30m3/hrの程度である。この二条件を満たすために、開口11と12の高さは、5cmと規定する。
【0053】
2. エキスパンドメタル格子
エキスパンドメタル格子2は、不均一光触媒反応法に使用される半導体の支持体を形成している。実施した試験では、主としてアナターゼ相の二酸化チタンを検討した。
【0054】
エキスパンドメタルは、基本的要素としてメッシュ6を有するマトリックスと定義する(図3参照)。
【0055】
このメッシュ6は、四つのパラメータ、すなわち長い対角線(LDmesh)、短い対角線(SDmesh)、ストリップの幅(WSmesh)及び厚さ(thmesh)で定義される。最初の3パラメータに基づいて、メッシュの金属の表面積(Ssteel)は下記式のように定義できる。
【0056】
エキスパンドメタルの前記4パラメータを定義するため、いくつかのパラメータ、すなわち、二酸化チタンの皮膜の全表面積及びこの表面積の照射装置による照射を考慮しなければならない。
【0057】
最適の浄化効率を達成するため、TiO2皮膜の全表面積は最大にしなければならない。TiO2がエキスパンドメタル上に堆積されると、TiO2で被覆された表面積は、エキスパンドメタルの表面積(Ssteel)に等しい。前記両表面積がこのように等しいことは、二酸化チタンがメッシュ6の厚みの方に堆積していなければ正しい。利用しなければならない工業的堆積法に基づいて、この仮説は成立すると考えられる。実際に、工業用途では、二酸化チタンは、連続した鋼板に堆積させた後にエキスパンド加工を行うので、メッシュの厚み部分に二酸化チタンは存在しない。
【0058】
さらに、二酸化チタンとの接触による不均一光触媒反応法を最大にするため、半導体の全表面に、照射装置から紫外線A光を照射しなければならない。場合によってはいくつかのエキスパンドメタルの格子を有する活性ウォールの場合、光が各格子の両面に到達できることが必要である。これを実施するためには、下記式で表される、メッシュの物理的表面積(Ssteel)とメッシュの表面積(Smesh)の比率が最小でなければならない。
【0059】
これら二つの要件を満たすために、1/3程度のssteel(比率)を選択した。
【0060】
Company MDB(Metal Deploye Belge S.A.,Arcelor Group)から入手したエキスパンドメタルのカタログに基づいて、3種の許容できるメタルを選択したが、それらの参照記号は、62.25.43.30;A28.15.21.10及びA28.15.25.15であり、それぞれ以下の寸法:(LDmesh=62mm,SDmesh=25mm,WSmesh=4.3mm,thmesh=3mm)、(LDmesh=28mm,SDmesh=15mm,WSmesh=2.5mm,thmesh=1mm)、(LDmesh=28mm,SDmesh=15mm,WSmesh=2.5mm,thmesh=1.5mm)に対応している。
【0061】
エキスパンドメタルのタイプの最後の選択基準は、その構造剛性に基づいている。エキスパンドメタルの格子は、活性ウォール内に垂直に配置される。ウォールに内部補強材を乱雑に詰め込むことを避けるために、使用されるエキスパンドメタルは、格子の周囲にのみ固定具で垂直に保持できなければならない。
【0062】
この基準によって、エキスパンドメタルとして62.25.43.30を最終的に選択することができる。というのは、このエキスパンドメタルが、剛性の基準を満たす充分な厚さを有しているからである。
【0063】
3. 照射装置
照射装置は、タイプ CLEO2の25W紫外線A電灯(Philips)を一組備えている。このタイプの電灯は、紫外線A(すなわち320〜400nmの波長)として4.3Wの電力出力を有している。この電灯は、また紫外線Aに対して1.2%の比率で、紫外線Bも生成する。この電灯の大きさは、長さが516.9mmで直径が16mmである。
【0064】
これら電灯は、ウォールの幅(Wwall)にそって3個直列に配列されている。直列の数は、ウォールの寸法を決定するための計算中に決定される。直列の数を決定する基準は、空気及びウォールの外側構造体の加熱を最小にすることと、二酸化チタンが堆積されているエキスパンドメタルの格子の全表面の最小照射閾値を達成することである。
【0065】
4. ファン
ファン5は、活性ウォールを通じて空気を確実に循環させる。ファンによって生じる空気流は、空気入れ替えの基準を満たさねばならない。この基準は、居住空間について、30m3/hour/ヒト程度の空気の入れ替えを推奨している。
【0066】
空気流の調節法は、浄化すべき空間のタイプによって、予想できる。
【0067】
90°に設定された横流ファン、すなわちZiehl−AbeggブランドのQR 06−GKM70PB型の流れ方向を90°まで調節できるファンを使用する。この種のファンは、重要な流れを550m3/hr程度にすることができる。
【0068】
この流量は、エンジンに供給される電力を制御するポテンショメータによって調節する。
【0069】
図4は、横流ファンで流れの方向を90°変えたことを示している。
【0070】
このファンは、ウォール全体を通じて均一な流量を達成するため、活性ウォールの頂部に配置される。
【0071】
5. 電気ボックス
活性ウォールを作動させるには、照射装置とファンに電力を供給する電源が必要である。各電灯及び各ファンに電気プラグを必要としないようにするため、電気ボックスを下部の隅に設置する。この電気ボックスは、ウォールのすべての電気部品に必要なエネルギーを、外部から、単一の電気プラグによって供給され次いで供給する。
【0072】
6. 流れと制限条件
流れをモデル化するため、ナヴィエ−ストークスの非圧縮方程式と定常方程式を使用する。流れに対する熱の影響も、ブシネスクの近似法によってモデルに導入する。ウォール内の空気の流量と入口の表面積で定義されるレイノルズ数は、乱流モデルの使用を正当化するのに充分に大きい。
【0073】
1m/s程度の低い流速及びウォールの低レベルの加熱によって、非圧縮法とブジネスクの近似法を使用するのに必要な仮説が実証される。
【0074】
6.1 動的制限条件
空気の流量は、浄化装置の入口に適用されなければならない。
【0075】
二つの動的制限条件は、空気の入口に適用されなければならない。数値試験中、空気の流量(Qair)を変化させ、そして当然のことながら流れの方向を入口面に垂直にする。
【0076】
出口では、一つだけ制限条件が必要である。基準圧力の値を適用する。
【0077】
6.2 制限乱流条件
浄化装置の入口では、乱流の運動エネルギーの条件(k)及び乱流の運動エネルギーの散逸(ε)を適用しなければならない。これらの条件は、装置の入口から上流の流れに依存していてその流れは数値シミュレーションの際にモデル化されていないので、これら条件を評価することが非常に困難である。
【0078】
これら制限条件を定義するため、我々はこの試験の目的について論じてみる。浄化ウォールの寸法決定に関するこの試験では、装置の効率は、空気浄化によって評価しなければならない。空気を混合することは、汚染物の半導体の表面への最適送達を保証するので、浄化工程にとって好都合であることは分かるであろう。この空気を混合することは、乱流のレベルが主な特徴であり、乱流が大きければ大きいほど汚染物は均一化される。
【0079】
最も臨界的な場合、すなわち混合が最低限である場合、を試験するために、我々は浄化装置の入口の流れは層流であると仮定する。その乱流はウォールの内側にのみ発生する。したがって、乱流の運動エネルギーとその散逸に対して入口で適用すべき制限条件は非常に簡単になる。乱流の運動エネルギーとその散逸は削除される。
【0080】
6.3 制限熱条件
制限熱条件については、4種の条件、すなわち、浄化装置の入口での制限条件、電灯に関する制限条件、ウォールの内部に関する制限条件及び二酸化チタンを含むエキスパンドメタル格子の各種部分に関する制限条件を定義する。
【0081】
制限熱条件の一般的な表現としては、対流、放射流、伝導流及び外流がある。この一般的表現は、検討される表面の関数として単純化される。
【0082】
A) 浄化装置の入口
この制限条件は、最も簡単である。その条件によって、浄化ウォール内の平均温度レベルを測定できる。これを行うために20℃の温度を適用する。
【0083】
B) 電灯
入力されるエネルギーは、4.3Wの照射電力を保証するCLEOタイプの25W電灯の装置で保証される。各電灯に対する制限条件は下記式で表される。
上記式中、電灯の熱流は、下記式で表され、
上記式中Rlampは電灯の半径であり(8mm)そしてLlampは電灯の長さである(517mm)。
【0084】
C) ウォールの内側部分
ウォールの制限熱条件は非常に複雑である。なぜならば、光輝焼きなましステンレス鋼製プレート内の伝導交換及びウォールの外側の対流交換と放射交換を考慮しなければならないからである。この種のデータは、正確には定義できない。
【0085】
二つの解決策が考えられる。すなわち、平均外部対流交換係数(average external convective exchange coefficient)と平均外部放射交換係数(average external radiative exchange coefficient)を利用する方法又は浄化装置の寸法を決定するのに最も有利でない場合を想定する方法である。第二の解決策を選択する。実際に、浄化ウォールが、最も有利でない条件下で加熱を最小にできたならば、すべての場合を確実にカバーできる。
【0086】
最も有利でない場合を分析してみる。CLEOタイプの紫外線電灯を備えた照射装置がウォール内で作動しているとき、エキスパンドメタルの格子と光輝焼きなましステンレス鋼のプレートは温度が上昇する。ウォールの前部は、隣接する空間の周囲空気の温度に直接接触している。したがって、その前部から隣接する空間に熱の移動がある。それ故、その隣接空間は前記前部の温度を下げる傾向がある。前記最も有利でない場合は、周囲空間の空気が前記前部の温度値に直ちに到達すると考えられ、すなわちこの状態は断熱の状態である。論理的に温度を上昇させる、前部の外側照射の可能性は考慮しない。
【0087】
この断熱の状態を利用する。すなわち、前部の伝導流及び外側の対流と放射流の合計がゼロであると想定する。
【0088】
したがって、その制限条件は下記式で表される。
上記式中、q〃lightは電灯から表面に到達する光束でありそしてαstainlessは光輝焼きなましステンレス鋼の吸収係数である
【0089】
光輝焼きなましステンレス鋼の吸収係数は、赤外線の場合は0.15の程度であり、紫外線の場合は0.3の程度の値になる。
【0090】
D) エキスパンドメタルの格子
エキスパンドメタルの格子は、前記計算に完全に組み入れる。したがって、照射装置から入力されるエネルギーによる追加入力との連結型制限条件を利用する。
【0091】
7. 汚染物と理論的浄化モデル
浄化装置、すなわち浄化ウォールは、広範囲の汚染物で構成された複雑な混合物に対して作動しなければならない。汚染物は、揮発性有機化合物(VOC)という統括名で分類されている。建造物内の汚染レベルを規制する基準は、各汚染物のみならず揮発性有機化合物の合計量(TVOC)にも限度を課している。許容される平均濃度は、200−500μg/m3の程度である。この濃度レベルは、各汚染物のppmvolume未満の値に相当する。
【0092】
主な汚染物は、六つの範疇:アルカン類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、芳香族類及びテルペン類に分類されている。
【0093】
第一の範疇の汚染物はアルカン類である。アルカン類は、単に、水素原子が結合している炭素連鎖で構成されている分子である(表1)。
【0094】
各化合物の平均濃度を合計することによって得られるアルカン類の合計濃度は103μg/m3である。
アルカン類の一般的範疇には、環状炭素連鎖が含まれている。それはシクロアルカン類である(表2)。
【0095】
シクロアルカン類は、前記範疇のアルカン類に属する化合物の小部分である。その合計濃度は14μg/m3である。
【0096】
列挙されている第二範疇の揮発性有機化合物はアルコール類である(表3)。
【0097】
この範疇に属する上記4種の主要汚染物の個々の濃度は、合計濃度が69μg/m3になる工業的濃度である。
【0098】
第三の範疇は、アルデヒド化合物が特徴である。これら化合物は、個々の濃度が最も高いホルムアルデヒドとアセトアルデヒドである(表4)。
【0099】
この範疇の各化合物の濃度は、合計濃度が116μg/m3になる濃度である。
【0100】
第四範疇はケトン類の範疇である。表5に列挙されている3種の化合物の合計濃度は30.8μg/m3である。
【0101】
芳香族化合物は第五範疇に属する化合物である。また、この範疇は、高濃度の化合物すなわちトルエンを含有している(表6)。
【0102】
芳香族化合物の合計濃度は86μg/m3である。
【0103】
最後の範疇はテルペン化合物をカバーしている(表7)。これら化合物の合計濃度は76.8μg/m3である。
【0104】
揮発性有機化合物の合計濃度は420μg/m3である。
【0105】
汚染物のこの非網羅的リストは、汚染物の平均濃度がppmvolumeより低いことを示している。低濃度の複雑な混合物に関する実験結果を分析している間に、各汚染物が、あたかも試験チャンバー内で唯一の汚染物であるかのように、二酸化チタンとの接触による光触媒反応によって浄化されていることが観察された。この特性を利用して、上記化合物をすべて、浄化装置の寸法決定を行うためのアルゴリズムに導入する。この特性を利用するときには、試験汚染物Aを、VOCの合計濃度の420μg/m3である初期濃度で規定する。
【0106】
上記浄化モデルのパラメータは、アセトアルデヒドを浄化する場合、正確に定義できる。これらのパラメータすなわち量子効率と基準濃度は、二酸化チタンに到達する光子束によって決まる。光子束1.66*10−4,7.26*10−5及び2.56*10−5アインシュタイン/m2/sそれぞれに対して測定したパラメータの三つの値に基づいて、前記量子効率と基準濃度について補間関数を定義する。これらの補間関数によって、光子束の関数として浄化パラメータの値を得ることができる。これらの値の正確さは、入射光子束が1.66*10−4〜2.56*10−5アインシュタイン/m2/sであるだけで保証される。
【0107】
アセトアルデヒドに関する浄化のパラメータは正確に分かっているので、この化合物を試験汚染物として、上記リストに記載のすべてのVOC化合物を取り入れることができるようになる。
【0108】
したがって、本発明の浄化装置は、213ppbvolumeに相当する420μg/m3の濃度のアセトアルデヒドだけで汚染された大気を想定して寸法が決定される。寸法決定時の安全性の余裕を保証するため、当然のことながら、アセトアルデヒドの濃度は1ppmvolumeである。
【0109】
実験結果を分析中に、スプレーで堆積された二酸化チタンの皮膜と接触してアセトアルデヒドが分解する工程で、中間生成物は全く出現しなかった。したがって、考えられる唯一の分解反応は、ヒドロキシルラジカルによるアセトアルデヒドの分解反応である。
【0110】
浄化ウォール内のアセトアルデヒドの分散の全計算を行う際の制限条件として、我々の理論的浄化モデルを使うには、別途測定された値について補間関数で得られる浄化パラメータを決定すること(未発表)、すなわち、アセトアルデヒドの分解方程式で得られる化学量論係数の決定及び二酸化チタンの表面に到達する光子束の測定が必要である。
【0111】
7.1 光子束
光子束の評価は、最適化アルゴリズムにおける重要なステップである。この計算には、視覚計算(visual calculation)ソフトウェア、例えばSPEOSソフトウェア(Optis、フランス)を使用する。このソフトウェアは、物理学の法則による光線の伝搬を計算することによって照射チャートと光束チャートを決定する。これらのチャートによって、与えられた表面上の光強度の分布の空間関数(FSPEOS)、すなわち
(式中、x,yは表面上の点に与えられる空間座標軸であり、
−total―spectrumは、使用される電灯の全発光スペクトルであり、
−Iは光強度(W/m2/nm)であり、
−λは放射線の波長(nm)である)
を定義できる。
【0112】
我々の理論的浄化モデルの場合、光子束、すなわち照射される表面の座標点(x,y)に単位時間当たり到達する光子の数を測定しなければならない。
【0113】
【0114】
光強度のこの定義(1.8)を導入することによって、照射表面の点(x,y)に到達する光子束の式は、下記式:
(式中、E(hv)=hv=h.c/λである)のように書き替えられる。
【0115】
半導体が吸収できる波長の積分値は、発光源の発光スペクトルが分かっているとき(一般に電灯の製造会社が提供する)評価できる。Philips社から入手できるCLEOタイプの電灯の場合、照射装置と照射される表面との距離によって光強度が低下することが分かった。スペクトルを正規化すると、製造業者が提供する電灯の発光スペクトルが得られる。
【0116】
したがって、製造業者が提供するデータからのみ計算可能でかつ照射表面全体にわたって一定の正規化された光子束(Fhv,o)は、下記式:
のように定義される。
【0117】
比率(1.8)も式(1.7)に導入すると、関数FSPEOSの下記式:
が得られる。
【0118】
この式(1.11)における、光源の製造業者のデータから直接計算できる項は以下のようにもう一度得られる。
【0119】
式(1.10,1.11,1.12)を、照射表面に単位時間当たり到達する光子の数の計算式(1.9)に導入すると、下記式:
【0120】
この式(1.13)を使用すると、照射チャートがSPEOSソフトウェア(FSPEOS(x,y))と光源のスペクトルデータから提供され、触媒の表面の各点に到達する光子束を計算できる。
【0121】
7.2 照射チャート
上記パラグラフでは、SPEOSソフトウェアで得られる照射チャート及び光源のスペクトルの特徴に基づいて、我々の浄化モデルに有用なすべてのデータを入手できることが分かった。
【0122】
照射チャートを得るために、浄化ウォールの三次元モデルをSPEOSソフトウェアに導入する。流れのシミュレーションを行うために利用する幾何学的モデルについては、不可欠な要素、重要な要素及び無視できる要素を決定する。しかしながら、これら三つの各範疇で定義された要素は、CFD(計算流体力学)の計算の文脈で定義されている要素とは異なっている。CFDシミュレーションの目的とSPEOSソフトウェアの目的は異なるので、前記三つの範疇の要素は、通常別個に列挙される。
【0123】
CLEOタイプの25Wの紫外線A電灯及び浄化装置の前部と後部は、不可欠な要素に含まれており、現実とは異なっていない形態の特徴と空間位置を有する要素である。
【0124】
浄化格子は、重要な要素に含まれており、すなわち、幾何学的モデルで考慮しなければならないが、現実と異なる形態と空間位置で記載できる要素である。3mmという格子の厚さは、照度の計算では中心的な役割をしていない。格子の厚さで起こる影響は無視できる。その格子は二次元の平坦な表面とみなされる。
【0125】
ファン、ウォールの頂部と底部及び垂直側面部、各種電気システムに対する電源を備えた電機ボックスなどは、無視できる要素、すなわち目的とするシミュレーションに対する影響が無視できる要素に含まれている。ファン、電気ボックスなどは、これらが製作されている材料が紫外線Aの範囲の反射率が非常に低いから無視され、このことは、二酸化チタンで被覆された格子の表面に向かって反射して戻る光の量が無視できることを意味する。ウォールの頂部と底部及び垂直側面部については、格子に対して垂直の照射に対するこれら部分の影響も無視できると我々は考えている。
【0126】
我々の幾何学的モデルの要素が定義されたならば、シミュレーションを行うのに必要なパラメータを導入する。すべての表面は、光の主体に関する物理特性、すなわち、考えられる光反射のタイプ、材料の表面の状態で決まるランバート、ガウスなどの反射;反射率のスペクトル依存性などを特徴としている。光源については、それらのスペクトルとパワーを導入する。
【0127】
SPEOSソフトウェアを利用するシミュレーションは、多量のエネルギーを、各エキスパンドメタル格子上の各点に提供しなければならない。この情報を得るには、さらなるプロセシングを照射チャートに実施しなければならない。実際に、照射チャートは、検討中の点におけるエネルギー量を推定するため、その点で表面に交差する光線の数を「計数する」単純で平坦な二次元の表面である(図5a)。同様に、SPEOSソフトウェアは、直接の及び間接的な照射によって格子に到達する光強度のプロファィルを描くことができる(図5bに示す例参照)。
【0128】
前記のさらなるプロセシングは、単に、エキスパンドメタル格子の実際の表面に原照射チャート(raw illumination chart)を投影することからなっている。この操作は、単に、エキスパンドメタル格子が位置している場所以外はゼロでありかつエキスパンドメタル格子が位置している場所では1に等しい関数Γ(x,y)を、原照射チャートに乗ずることによって実施する。我々の浄化モデルに導入すべき光強度のチャートが得られる(図6)。
【0129】
これらの強度チャートを導入する二つの方法、すなわち
1) すべてのデータを、計算コードで使用されるファイルに導入する方法、及び
2) 光強度の空間分布を示す数学関数を定義する方法
を利用できる。
【0130】
【0131】
これはフーリエ積分である。この関数FSPEOS(x,y)が我々の浄化モデルに使用される。光強度の分布を得るには、振幅がg(kx,ky)のフラット波(flat wave)を、全波数にわたって(0,∞)積分しなければならない。我々の試験では、試験されているシステムの幾何学的特徴は周期性を規定できるので、前記フーリエ積分関数はフーリエ級数に簡約できる。
【0132】
第一近似において、光強度は恐らく水平方向に一定であるからフーリエ積分のxに対する依存性が除かれる。さらに、yによる電灯の周期性によって、前記積分を2電灯間の距離の波長倍数の合計で置き換えることができる。
上記式中、Ajは波jの振幅を示し、dlampは2列の電灯間の距離を示す。
【0133】
一般にこの合計は、関与している要素の無限数に関連している。場合によっては、最初の数モードの関与している要素だけが有効であるので、モードの無限合計をモードの有限数の合計に約分できる。
【0134】
関数FSPEOSを得るために、SPEOSソフトウェアによるシミュレーションで提供された原照射チャートに対して、フーリエ分析を実施する。この分析によって、式(1.15)で定義されないパラメータだけすなわちフーリエ分解(Fourier decomposition)の係数Ajが得られる。
【0135】
【0136】
浄化ウォールの外枠の内側部分に、質量の流れのないことが、制限条件として保持されている。我々の浄化モデルが、エキスパンドメタルの格子上に、アセトアルデヒドに対して導入される。SPEOSソフトウェアからのデータ及び浄化パラメータの補間関数を導入することによって、アセトアルデヒドが時間の経過と共に減少する状態を示す式を特定することができる。
【0137】
浄化ウォールの寸法を決定する試験では、ウォール入口の濃度を利用しなければならない。定常モードでの浄化装置の効率を計算すべきであるから、1ppmvolumeに等しい一定の濃度を適用する。出口については条件を適用しない。
【0138】
【0139】
汚染物の上記流量に基づいて、汚染物Aに対する浄化ウォールの効率(ηA,wall)は、下記式のように定義される。
【0140】
この定義式(1.18)の値は、浄化装置が全く役に立たないときのゼロと、浄化すべき空間に汚染物を再び導入することがない浄化装置に対応する、装置が完全に有効であるときの1との間で変化する。
【0141】
図7は浄化装置の最適化アルゴリズムを要約して示す。
【0142】
【0143】
この二次元法は、二次元法向けに開発された計算コードを使用できる。
【0144】
【0145】
エキスパンドメタルは、通孔の大きさが前記表面積比を保持する大きさである穴あきウォールとしてモデル化される(図8:1格子と3電灯)。ngratesのエキスパンドメタル格子を有する活性ウォールの場合、二酸化チタンの合計表面積は下記式で表される。
STiO2=2ngrate Ssteel Hwall Lwall (1.19)
【0146】
係数2は、二酸化チタンが格子の両面に堆積されていることを示している。
【0147】
図9は、一つ又は二つの格子が使われているかどうか及び自然循環もしくは強制循環であるかどうかによって決まる、紫外線A電灯の列の数の関数としての浄化ウォールの効率曲線を示す。最も高い効率は、最大列数の電灯(4電灯)、2格子及び自然循環によって得られる。
【0148】
TiO2皮膜の活性化因子として、紫外線Aの光束を使うと、浄化ウォール内の温度が上昇する。外側フェーシングの温度上昇の状態を確認するため、放射熱、対流熱および伝導熱の流れを考慮しながら、流れと温度の範囲を計算できるCFDソフトウェアを使用した。図10は、電灯の数および自然対流もしくは強制対流で決まる、ウォールの高さyの関数としての温度上昇ΔT=T−T0の例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明の空気浄化ウォールを図式的に示す三次元図である。
【図2】本発明の活性ウォールを図式的に示す拡大図である。
【図3】メッシュすなわち二酸化チタンが堆積されているエキスパンドメタル製要素の基本ユニットを図式的に示す図である。
【図4】横流ファンによって流れが90度、変更されたことを図式的に示す図である。
【図5a】本発明の空気浄化装置に含まれるエキスパンドメタル格子について計算した原照射チャートを示す。
【図5b】直接及び間接的な照射によって、エキスパンドメタルの格子に到達する原光強度を有するプロファイルの例を示す図である。
【図6】本発明に関連する浄化モデルに使用される光強度のチャートを示す図である
【図7】本発明の浄化ウォールの寸法決定を最適化ためのアルゴリズムを示す。
【図8】一つの格子と三つの電灯を有する浄化ウォールの二次元モデルの一例を図式的に示す図である。
【図9】本発明の浄化ウォールの効率を、格子の数、直列の電灯の数及び空気循環のタイプ(自然又は強制)の関数として示すグラフである。
【図10】浄化ウォールの外側フェーシングの温度のプロファイルを、紫外線A電灯及び想定される流れのタイプの関数として示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくはウォールパネル(1)の形態をとった、居住室の空気の連続式光触媒浄化装置であって、
−金属製の好ましくは鋼鉄製の外側構造体、
−ウォールの前部(10)の底部に配置された、処理すべき空気の取入れ開口(11)、
−直列の紫外線A電灯(3)が取り付けられている内部金属製フレーム(4)、
−光触媒の二酸化チタン(TiO2)を含有する皮膜で被覆された支持体を含むフィルター(2)、
−ウォールの前部(10)の頂部に配置された、浄化された空気の出口開口(12)
を備え、かつ装置内の空気流が、少なくとも一つのファン(5)による自然循環又は強制循環によって保証されてなるものにおいて、
紫外線A光が照射される光触媒の表面積を最大限にするため、主としてアナターゼ相の二酸化チタン(TiO2)を含有する皮膜で被覆されたエキスパンドメタル製の格子(2)を少なくとも一つ備えていることを特徴とする装置。
【請求項2】
外側金属構造体が、鋼鉄で製造されているか、又は波長が400nmより小さい光の反射率が90%より大きい薄い層で被覆された内表面を有している請求項1に記載の装置。
【請求項3】
外側金属構造体が光輝焼きなましステンレス鋼で製造されている請求項2に記載の装置。
【請求項4】
外側構造体の前部(10)は幅が少なくとも1.5mで好ましくは2mであり、空気の入口開口と出口開口(11,12)はスリットの形状であり、幅が前記前部(10)の幅と等しくかつ長さが前記前部(10)の長さより僅かに小さくて高さは3cmより高く好ましくは5cmに等しい請求項1,2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記開口(11,12)は、前記前部(10)の底部と頂部の末端それぞれから10cm未満の位置に、好ましくは5cmの位置に位置している請求項4に記載の装置。
【請求項6】
エキスパンドメタルがエキスパンド鋼鉄であり、このエキスパンド鋼鉄のメッシュ(6)の全表面積(Ssteel)は、そのメッシュの厚みの表面積を除いて、TiO2の皮膜で被覆されており、Ssteelは下記式:
(式中、LDmesh、SDmesh及びwsmeshはそれぞれ、メッシュの長い対角線、短い対角線及びストリップである)で表される請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
メッシュ(6)は、その物理的表面積(Ssteel)と全表面積(Smesh)の比率ssteel(下記式で表される)が最小限になるように選択され、前記比率は好ましくは1/3である請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記格子(2)は、その格子の周辺にのみ配置されている固定材で垂直に保持される請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
紫外線A電灯(3)はウォールの幅を横切って3個直列に配置される請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
ファン(5)は、90°に設定された横流タイプのものであり、かつウォールの頂部に配置され、ファンの数は、居住室中の空気を、確実に、少なくとも30m3/hour/ヒトだけ入れ替えるように選択される請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
空気浄化装置は、断面が円形、長方形又は正方形の円筒形の形態であり、その円筒の軸線に沿って少なくとも一つの紫外線Aのライティングチューブを備え、光触媒TiO2で被覆されたエキスパンドメタル製格子で囲まれ、その円筒の内表面は反射率が90%より大きい請求項1,2又は3に記載の装置。
【請求項12】
揮発性有機化合物、例えばアルカン類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、芳香族化合物類及びテルペン類などを、二酸化チタンの光触媒反応で分解するための請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置の使用。
【請求項13】
例えばウォールパネル、隔壁、床、天井、吊り天井などの構造又は装飾の要素の形態で、建築分野における請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置の使用であって、前記要素は、プラスター、ペイント、壁紙などの被覆仕上げ材料で被覆された外側金属製表面を有する使用。
【請求項14】
空気ダクトの形態での請求項11に記載の装置の使用。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置の寸法決定を最適化する方法であって、以下のステップを特徴とする方法;
a) 装置の外形を規定し、
b) エキスパンド鋼鉄製格子(2)の数及び照射装置(3)の数を規定し、
c) 格子に対する照度を計算し、その光強度が設定された閾値より大きくなければステップb)に戻り、
d) 空気の流量及び温度分布を計算し、鋼鉄製ウォール(11,15)の温度が上昇したならばステップb)に戻り、
e) 汚染物の濃度の変化を計算し、全浄化効率が予め規定された限度より大きくなければステップb)に戻り、
f) 浄化又は汚染物除去装置の最適寸法を得る。
【請求項1】
好ましくはウォールパネル(1)の形態をとった、居住室の空気の連続式光触媒浄化装置であって、
−金属製の好ましくは鋼鉄製の外側構造体、
−ウォールの前部(10)の底部に配置された、処理すべき空気の取入れ開口(11)、
−直列の紫外線A電灯(3)が取り付けられている内部金属製フレーム(4)、
−光触媒の二酸化チタン(TiO2)を含有する皮膜で被覆された支持体を含むフィルター(2)、
−ウォールの前部(10)の頂部に配置された、浄化された空気の出口開口(12)
を備え、かつ装置内の空気流が、少なくとも一つのファン(5)による自然循環又は強制循環によって保証されてなるものにおいて、
紫外線A光が照射される光触媒の表面積を最大限にするため、主としてアナターゼ相の二酸化チタン(TiO2)を含有する皮膜で被覆されたエキスパンドメタル製の格子(2)を少なくとも一つ備えていることを特徴とする装置。
【請求項2】
外側金属構造体が、鋼鉄で製造されているか、又は波長が400nmより小さい光の反射率が90%より大きい薄い層で被覆された内表面を有している請求項1に記載の装置。
【請求項3】
外側金属構造体が光輝焼きなましステンレス鋼で製造されている請求項2に記載の装置。
【請求項4】
外側構造体の前部(10)は幅が少なくとも1.5mで好ましくは2mであり、空気の入口開口と出口開口(11,12)はスリットの形状であり、幅が前記前部(10)の幅と等しくかつ長さが前記前部(10)の長さより僅かに小さくて高さは3cmより高く好ましくは5cmに等しい請求項1,2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記開口(11,12)は、前記前部(10)の底部と頂部の末端それぞれから10cm未満の位置に、好ましくは5cmの位置に位置している請求項4に記載の装置。
【請求項6】
エキスパンドメタルがエキスパンド鋼鉄であり、このエキスパンド鋼鉄のメッシュ(6)の全表面積(Ssteel)は、そのメッシュの厚みの表面積を除いて、TiO2の皮膜で被覆されており、Ssteelは下記式:
(式中、LDmesh、SDmesh及びwsmeshはそれぞれ、メッシュの長い対角線、短い対角線及びストリップである)で表される請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
メッシュ(6)は、その物理的表面積(Ssteel)と全表面積(Smesh)の比率ssteel(下記式で表される)が最小限になるように選択され、前記比率は好ましくは1/3である請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記格子(2)は、その格子の周辺にのみ配置されている固定材で垂直に保持される請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
紫外線A電灯(3)はウォールの幅を横切って3個直列に配置される請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
ファン(5)は、90°に設定された横流タイプのものであり、かつウォールの頂部に配置され、ファンの数は、居住室中の空気を、確実に、少なくとも30m3/hour/ヒトだけ入れ替えるように選択される請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
空気浄化装置は、断面が円形、長方形又は正方形の円筒形の形態であり、その円筒の軸線に沿って少なくとも一つの紫外線Aのライティングチューブを備え、光触媒TiO2で被覆されたエキスパンドメタル製格子で囲まれ、その円筒の内表面は反射率が90%より大きい請求項1,2又は3に記載の装置。
【請求項12】
揮発性有機化合物、例えばアルカン類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、芳香族化合物類及びテルペン類などを、二酸化チタンの光触媒反応で分解するための請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置の使用。
【請求項13】
例えばウォールパネル、隔壁、床、天井、吊り天井などの構造又は装飾の要素の形態で、建築分野における請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置の使用であって、前記要素は、プラスター、ペイント、壁紙などの被覆仕上げ材料で被覆された外側金属製表面を有する使用。
【請求項14】
空気ダクトの形態での請求項11に記載の装置の使用。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置の寸法決定を最適化する方法であって、以下のステップを特徴とする方法;
a) 装置の外形を規定し、
b) エキスパンド鋼鉄製格子(2)の数及び照射装置(3)の数を規定し、
c) 格子に対する照度を計算し、その光強度が設定された閾値より大きくなければステップb)に戻り、
d) 空気の流量及び温度分布を計算し、鋼鉄製ウォール(11,15)の温度が上昇したならばステップb)に戻り、
e) 汚染物の濃度の変化を計算し、全浄化効率が予め規定された限度より大きくなければステップb)に戻り、
f) 浄化又は汚染物除去装置の最適寸法を得る。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図5a】
【図6】
【図3】
【図4】
【図5b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図5a】
【図6】
【公表番号】特表2007−507259(P2007−507259A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529467(P2006−529467)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/BE2004/000138
【国際公開番号】WO2005/030372
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(591000986)アルセロール フランス (9)
【氏名又は名称原語表記】ARCELOR France
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/BE2004/000138
【国際公開番号】WO2005/030372
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(591000986)アルセロール フランス (9)
【氏名又は名称原語表記】ARCELOR France
【Fターム(参考)】
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