説明

空気浄化装置および空気清浄機および加湿器

【課題】小型・軽量でありながら、長寿命で大量のイオンを含んだ微細水滴の噴霧が可能であり、脱臭・除菌・殺菌・防カビ・アレルゲン除去効果の高い空気浄化装置を提供する。
【解決手段】貯水タンク1と貯水タンク1に貯めた水2をある一定の圧力で搬送し、押出するポンプ4と、前記ポンプ4によって押し出された水を噴霧するための単一もしくは複数の微小孔12を持つ平板ノズル5と、前記平板ノズル5の近傍に配置された対向電極6と、前記平板ノズル5と前記対向電極6との間に高電圧を印加する電圧印加部7とを備え、前記平板ノズル5に高電圧を印加し、前記対向電極をアースに接続して、前記平板ノズル5より噴霧された水滴を微細化することを特徴とする空気浄化装置

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電霧化技術を利用した、室内に浮遊するほこりや悪臭、浮遊菌、カビ、アレルゲン物質などを空中内で捕捉して、除去するための空気浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、静電霧化の技術を利用して、集塵、脱臭、殺菌を行うものが特許文献1や特許文献2等により提案されている。ここで、静電霧化とは、水等の液体に高電圧を印加すると、表面に働く静電気力によって不安定になり、液面や液滴が分裂して水が霧化する現象のことである。
【0003】
上記特許文献1に示されるものにあっては、ポンプ等の輸送手段によって送られてくる液体を導電性、または半導電性材料で造られ、且つ、高電圧が印加された吐出ノズルを通して空間内にイオン化された液体を噴霧するようにしたものであり、また、上記特許文献2に示されるものにおいては、空気清浄機内部のフィルターの下流部に配置された水タンクと水タンクより水を搬送する棒状吸水体と棒状吸水体に対向するように配置された対向電極と、棒状吸水体と対向電極との間に高電圧を印加する電圧印加部とを備え、棒状給水体と対向電極との間に高電圧を印加することにより棒状給水体の先端の水が霧化してミストを発生させ、フィルターにより浄化された空気と共に、ミストを室内に拡散させるようにしたものである。
【特許文献1】特開2001−149460号公報
【特許文献2】特開2004−085185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示された従来例にあっては、例えば、工事現場や廃棄物処理場等のような比較的大きく、多少の騒音は気にならない空間においての集塵、脱臭、殺菌には利用することができるが、家庭内空間やオフィス等のような狭い空間や、人が生活する空間において利用するには水の噴霧量が多すぎることや、床面部や下側部を接地しなくてはならないなど、実用的とは言えなかった。また、ポンプ等の液体輸送手段を小型化する工夫が施されておらず、装置の小型化に配慮した構造となっていないことや、液体輸送量を制御する手段を備えていないことから任意の量の液体を必要なときに供給する構造となっていない。
【0005】
一方、上記特許文献2に示された従来例にあっては、水を搬送する手段として吸水材を用いているため強制的に水を搬送することができず、霧化量としては微量であり、また、吸水材が目詰まりを起こさないようにするために定期的なメンテナンスが必要となる。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、装置の小型、軽量、低コスト化と、水の噴霧量を任意に制御することにより家庭内空間やオフィス等で使用することができ、また、長寿命で大量のイオンを含んだ微細水滴の噴霧が可能な、脱臭・除菌・殺菌・防カビ・アレルゲン除去効果の高い空気浄化装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の空気浄化装置は、請求項1記載の通り、貯水タンクと貯水タンクに貯めた水をある一定の圧力で搬送し押出する小型のポンプと、前記ポンプによって押し出された水を噴霧するための単一もしくは複数の小孔を持つ平板ノズルと、前記平板ノズルの近傍に配置された対向電極と、前記平板ノズルと前記対向電極との間に高電圧を印加する電圧印加部とを備え、前記平板ノズルに高電圧を印加し、前記対向電極をアースに接続して、前記平板ノズルより噴霧された水滴を微細化することを特徴とするものである。ここで、平板ノズルとは導電性を持つ薄いプレートに単一もしくは複数の微小孔が配列された平板状のものである。
【0008】
また、請求項2記載の空気浄化装置は、請求項1記載の空気浄化装置において、平板ノズル後方に送風機を設けることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項3記載の空気浄化装置は、請求項1または2記載の空気浄化装置において、対向電極が平板ノズルの後方もしくは平板ノズル支持体の表面に配置されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項4記載の空気浄化装置は、請求項1または2記載の空気浄化装置において、対向電極が平板ノズルから吐出される微細水滴の吐出方向に配置されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項5記載の空気浄化装置は、請求項4記載の空気浄化装置において、対向電極が円筒形状もしくは格子状であることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項6記載の空気浄化装置は、請求項4記載の空気浄化装置において、対向電極が導電性の不織布であることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項7記載の空気浄化装置は、請求項1乃至6いずれかに記載の空気浄化装置において、対向電極で捕らえた水滴を再び上記貯水タンクに回収することを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項8記載の空気浄化装置は、請求項1乃至7いずれかに記載の空気浄化装置において、ポンプが圧電素子を用いたダイヤフラム式の小型ポンプであることを特徴とするものである。ここで、圧電素子とは電気エネルギーを機械エネルギーに変換する素子である。具体的には内部に向きと大きさが変動する電場を与えることで微小変位の伸縮運動をする素子であり、ダイヤフラム式とはポンプ室の一部を弾性の隔膜(ダイヤフラム)で形成し、隔膜の伸縮運動によりポンプ室の容積を増減させ、さらにポンプの入り口と出口にそれぞれ逆止弁を設置することで液体や気体を一方方向に流す輸送方式であり、圧電素子を用いたダイヤフラム式ポンプとは、圧電素子によって隔膜を上下運動させることで液体や気体の搬送を行うポンプのことである。
【0015】
また、請求項9記載の空気浄化装置は、請求項8記載の空気浄化装置において、ダイヤフラム式ポンプに与える電圧及び周波数を制御し、空中に噴霧する微細水滴の量を任意に変化させることを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項10記載の空気浄化装置は、請求項1乃至9いずれかに記載の空気浄化装置において、微細水滴が除菌あるいは抗ウィルス成分を含むことを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項11記載の空気浄化装置は、請求10記載の空気浄化装置において、除菌あるいは抗ウィルス成分がカテキン、タンニン酸、銀錯体イオン、次亜塩素酸イオン、過酸化水素、もしくはアルコールであることを特徴とするものである。
【0018】
また、請求項12記載の空気浄化装置は、請求項1乃至9いずれかに記載の空気浄化装置において、微細水滴が脱臭作用を有する成分を含むことを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項13記載の空気浄化装置は、請求項12記載の空気浄化装置において、脱臭作用を有する成分がゼオライト、ビタミン等の化学吸着あるいは物理吸着作用を有する成分であることを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項14記載の空気浄化装置は、請求項12記載の空気浄化装置において、脱臭作用を有する成分が過酸化水素、酸化チタン等、酸化作用を有する成分であることを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項15記載の空気浄化装置は、請求項1乃至9いずれかに記載の空気浄化装置において、微細水滴が抗アレルゲン作用を有する成分を含むことを特徴とするものである。
【0022】
また、請求項16記載の空気浄化装置は、請求項15記載の空気浄化装置において、抗アレルゲン作用を有する成分がカテキン、タンニン酸、還元剤であることを特徴とするものである。
【0023】
また、請求項17記載の空気浄化装置は、請求項1乃至9いずれかに記載の空気浄化装置において、微細水滴がアロマ成分を含むことを特徴とするものである。
【0024】
また、請求項18記載の空気浄化装置は、請求項17記載の空気浄化装置において、アロマ成分がローズマリー、ミント、ラベンダー、フィトンチッドの抽出成分であることを特徴とするものである。
【0025】
また、請求項19記載の空気浄化装置は、請求項1乃至9いずれかに記載の空気浄化装置において、平板ノズルの上流側に上記成分を担持した不織布を設けることを特徴とするものである。
【0026】
また、請求項20記載の空気清浄機は、請求項1乃至19いずれかに記載の空気浄化装置を備えることを特徴としたものである。
【0027】
また、請求項21記載の加湿器は、請求項1乃至19いずれかに記載の空気浄化装置を備えることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、小型、軽量、低コスト、低騒音でありながら、長寿命で大量のイオンあるいは活性基を含んだ微細水滴の噴霧が可能であり、脱臭・除菌・殺菌・防カビ・抗アレルゲン作用、リフレッシュ効果の高い空気浄化装置を提供することができる。また、上記空気浄化装置を利用して空気清浄効果の高い空気清浄機や加湿器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の請求項1記載の発明は、貯水タンクと貯水タンクに貯めた水をある一定の圧力で搬送し押出する小型のポンプと、前記ポンプによって押し出された水を噴霧するための単一もしくは複数の微小孔を持つ平板ノズルと、前記平板ノズルの近傍に配置された対向電極と、前記平板ノズルと前記対向電極との間に高電圧を印加する電圧印加部とを備え、前記平板ノズルに高電圧を印加し、前記対向電極をアースに接続して、前記平板ノズルより噴霧された水滴を微細化することを特徴とするものである。
【0030】
平板ノズルを構成するプレートは、プレートの板厚を薄くすることで、マイクロオーダーの微小孔を設けたとしても圧力損失を抑えることができ、また、プレートに微小孔を加工する際、孔径および微細孔の数を細かに制御できるため、ポンプの排圧に合わせた最良のノズルを容易に形成することができる。こうすることで、排圧の低い小型のポンプでもノズルから極細の水柱を吐出することが可能となる。平板ノズルから吐出された水柱は極細であるため、平板ノズルに高電圧を印加することで効率よく静電霧化させて微細な水粒を発生させることが可能となる。また、平板ノズル近傍に対向電極を設置して、平板ノズルに高電圧を印加し、対向電極をアースに接続することで平板ノズルの微小孔から発射された水粒は過剰の電荷が与えられ、そして過剰に与えられた電荷を保持するだけの表面積を得ようとして分裂を起こすことによって、さらに微細化され微細水滴となり、イオン風に乗せて放出できる。また、平板ノズルと対向電極との間の大きな電位差のために起こる極微小の放電によって平板ノズル近傍に存在する空気分子の一部は電離し、イオンおよび活性基に変換されると同時に平板ノズルの小孔から供給された微小水滴に溶け込むことによって、微細水滴にイオンおよび活性基を内包させることができる。ここでいうイオンとは酸素や水蒸気などの気体分子が電子と衝突して電離する際に得られる空気イオンのことであり、具体的には酸素に電子が結合したO2-などが挙げられる。また活性基とは酸素や水蒸気などの気体分子が電離する際に得られる酸化作用の強い反応体であり、代表としてOH・(OHラジカル)等が挙げられる。これにより、装置を小型、軽量化することができ、設置場所を問わず室内空間に長寿命且つ多量のイオンを含んだ微細水滴を放出することが可能である。さらに突起のない平板ノズルにおいては、対向電極との間に空気の過剰な電離が起きて大きな放電が起こることはないために放電によりオゾンが過剰に発生することを抑制することができるという作用を有する。
【0031】
また、請求項2記載の発明は、送風機を備え、前記送風機により微細化された水滴を空気浄化装置外に吹出すことを特徴とするものである。
【0032】
静電霧化により微細化された水粒は、送風機の風で容易に細かく砕かれ、さらに微細化し、イオン化する。目に見えなくなるほど微細化した水粒は、送風機の風に乗って室内の広い範囲にわたって拡散させることができるという作用を有する。
【0033】
また、請求項3記載の発明は対向電極が、平板ノズルの後方もしくは平板ノズル支持体の表面に配置されていることを特徴とするものである。
【0034】
対向電極を平板ノズルの後方周囲もしくは平板ノズルの絶縁性支持体の表面に、平板ノズルと接触しないように設ける。こうすることで静電霧化によりイオン化した微細水滴は後方から対向電極による引力を受ける。しかし、平板ノズルより吐出される勢いが勝るため、微細水滴が平板ノズルを中心として同心円上に広角に拡散される。そのため、凝集によってその大きさを増加させることなく、また対向電極に付着させることなく全ての微細水滴を室内に供給することができるという作用を有する。
【0035】
また、請求項4記載の発明は、対向電極が水滴の噴霧方向に配置されていることを特徴とするものである。
【0036】
静電霧化によりイオン化した微細水滴は前方から対向電極による引力を受ける。微細水滴はノズルより吐出される勢いに加えて、対向電極からの引力を受けて速度を増し、より遠くまで噴霧できるという作用を有する。
【0037】
さらに、請求項5記載の発明は、上記対向電極を円筒形状もしくは格子状であることを特徴とするものである。
【0038】
対向電極を円筒形状にした場合、噴霧された微細水滴は対向電極の円筒空間の中を通過する際、凝集によって質量の大きくなった水滴は対向電極で捕捉され、質量が小さく、室内空間に拡散されやすい微細水滴のみを効率よく空中に放出することができるという作用を有する。また、対向電極を格子状とする場合も同様の作用が得られる。
【0039】
また、請求項7記載の発明は、上記対向電極で捕らえた水滴を再び貯水タンクに回収することを特徴とするものである。
【0040】
これは、上記貯水タンクを対向電極の下側に設置することが最も簡便であるが、それができない場合は対向電極と貯水タンクの間に水路を設けてもよい。
【0041】
これにより、貯水タンクに回収された水は再びポンプで搬送され、平板ノズルより吐出されるため、タンク内の水を入れ替える負担が軽減されるという作用を有する。
【0042】
また、請求項8記載の発明は、ポンプが圧電素子を用いたダイヤフラム式の小型なポンプであることを特徴とするものである。
【0043】
近年、パソコンなどの精密機械の冷却システムや医療分野における薬液搬送装置、その他様々な分野でマイクロポンプと称される微少量の液体や気体の輸送制御が可能なポンプの開発が盛んに行われている。その輸送機構は実に様々であるが、中でも圧電素子に交流電圧を印加して機械運動を起こさせ、圧電素子と重なるように設けられた弁を備えた隔膜を上下に動かすことによって液体の吸引と押出を同時に行うマイクロポンプは機構が単純であるため、小型、軽量であるだけでなく、低コスト化が実現される。さらに、モーターや回転軸を使わず駆動源として圧電素子を用いていることから、低消費電力、低騒音、低電磁ノイズが実現される。また、他の輸送機構よりも低流量が可能であり、流量としては数ml/m程度である。さらに、ダイヤフラムを任意の振幅および速度で運動させることにより、一定かつ任意の量の水を供給することが可能である。
【0044】
これにより空気浄化装置の小型、軽量、さらに低コスト、低騒音化が可能である。しかも、流量が数ml/m程度であるならば、貯水タンクも大きいものを必要とせず、装置の小型化に都合が良い。さらにこの流量であれば湿度にはほとんど影響はなく、しかも静電霧化で微細水滴として存在するため家庭やオフィスなどの比較的狭い室内空間であっても結露する心配はなく、人が生活する場においても快適性を損なうことはない。且つ、長寿命且つ多量のイオンを含んだ微細水が室内空間を浄化し得るには十分な量である。さらに搬送物質を自ら吸引できる自己吸引性をもつために、ポンプを貯水タンクの下側に配置する必要がなく、装置のフリーレイアウトが可能である。
【0045】
また、請求項9記載の発明は、上記ダイヤフラム式ポンプに与える電圧及び周波数を制御し、空中に噴霧する微細水滴の量を任意に変化させることを特徴とするものである。
【0046】
ダイヤフラム式ポンプの駆動源である圧電素子は印加する電圧および周波数を変化させることによって機械運動の振幅の幅および速度が変化する。これにより、印加する電圧および周波数を制御することで空気浄化に必要な水の供給量を必要に応じて制御することができるという作用を有する。
【0047】
また、請求項10記載の発明は微細水滴が除菌および/あるいは抗ウィルス成分を含むことを特徴とするものである。
【0048】
イオンを含んだ微細水滴は、除菌および抗ウィルス効果を有しており、微細水滴の噴霧により室内空間の除菌およびウィルスを除去することは可能であるが、微細水滴に上記成分を含有することでその効果をより一層高めることが可能である。また、貯水タンク内の水に上記成分を含ませておけば、貯水タンク内の菌発生を抑制することもできるという作用を有する。
【0049】
上記成分としては請求項11に記載するようにカテキン、タンニン酸、銀錯体イオン、次亜塩素酸イオン、過酸化水素エタノール等アルコール類などが挙げられるが、水溶性で除菌および/あるいは抗ウィルス効果を有している物質であればなんら限定されるものではない。
【0050】
また、請求項12記載の発明は微細水滴が脱臭成分を含むことを特徴とするものである。
【0051】
イオンを含んだ微細水滴は、脱臭効果を有しており、微細水滴の噴霧により室内空間の脱臭は可能であるが、微細水滴に上記脱臭成分を含有することでその効果をより一層高めることができるという作用を有する。
【0052】
上記脱臭成分としては請求項13および14に記載するようにゼオライト、ビタミン等、化学吸着あるいは物理吸着作用を有する成分、過酸化水素、酸化チタン等、酸化作用を有する成分が挙げられる。
【0053】
また、請求項15記載の発明は微細水滴が抗アレルゲン作用を有する成分を含むことを特徴とするものである。
【0054】
イオンを含んだ微細水滴は、抗アレルゲン作用を有しており、微細水滴の噴霧により室内空間のアレルゲンの不活化は可能であるが、微細水滴に上記抗アレルゲン作用を有する成分を含有することでその効果をより一層高めることができるという作用を有する。
【0055】
上記抗アレルゲン作用を有する成分としては請求項16に記載するようにカテキン、タンニン酸、還元剤等が挙げられる。
【0056】
また、請求項17記載の発明は微細水滴がアロマ成分を含むことを特徴とするものである。
【0057】
イオンを含んだ微細水滴はリフレッシュ作用を有しており、微細水滴の噴霧によりリフレッシュ効果を高めることが可能であるが、微細水滴に上記アロマ成分を含有することでその効果をより一層高めることができるという作用を有する。
【0058】
上記アロマ成分としては請求項18に記載するようにローズマリー、ミント、ラベンダー、フィトンチッド等の抽出成分が挙げられるが、アロマ効果を有している物質であればなんら限定されるものではない。
【0059】
また、請求項10、12、13、15、17記載の上記成分を担持した不織布を平板ノズルの上流側に設けるのも良い。これにより、ポンプによって搬送された水に不織布に担持された上記成分が溶け込み、それら上記成分の溶け込んだ水が平板ノズルによって微細化され室内空間に上記成分を拡散することができるという作用を有する。
【0060】
請求項20記載の空気清浄機は、上記請求項1乃至19に記載の空気浄化装置を備えることを特徴としたものである。上記請求項1乃至19に記載の空気浄化装置を、空気清浄フィルタ、送風機を有する空気清浄機に積み込み、イオンおよび活性基を含んだ微細水滴を室内に供給することによって、取り込んだ空気中に含まれる粉塵や臭気成分、もしくは菌やウィルス、アレルゲン等を空気清浄フィルタによって分離、除去、不活化するのみならず、室内空間に存在するこれら有害成分をも分解もしくは不活化することができるという作用を有する。
【0061】
請求項21記載の加湿器は、請求項1乃至19記載の空気浄化装置と、送風手段とを備え、上記空気浄化装置により発生した微細水滴を上記送風手段によって更に微細化し、高湿度な空気を室内へ供給することを特徴とする。
【0062】
これにより、加湿フィルター等の加湿構造体を必要とせず、加湿器本体の小型化が可能となる。また、ヒーター等の空気加熱手段を上記送風手段と上記空気浄化装置の間に設けるのも良い。これにより、微細水滴を気化させて加湿効率を上げることが可能となるという作用を有する。
【0063】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0064】
(実施の形態1)
本発明の空気浄化装置は、図1に示すように、貯水タンク1と小型のポンプ4と単一もしくは複数の小孔を持つ平板ノズル5と、前記平板ノズル5の水柱を吐出する方向に配置された円筒形状の対向電極6と、前記平板ノズル5と前記対向電極6との間に高電圧を印加する電圧印加部7とを備えてなり、貯水タンク1に貯めた水2をポンプ4である一定の圧力で水路3を通って平板ノズル5へ搬送かつ押出することで水柱8が吐出される。このとき平板ノズル5に高電圧を印加し、対向電極6をアースに接続することで、水柱8が静電霧化により微細化され微細水滴9が放出される。微細水滴9は送風機10によってさらに細かくされ、室内の広範囲な空間に供給される。この微細水9はイオンを含んでいるため反応性が高く、除菌、脱臭、殺菌などの効果がある。
【0065】
図2に平板ノズルの代表的な構造を示す。金属など導電性を有するプレートに微小孔12を設けた構造となっている。平板ノズル5は、水の導入路を有するノズル支持体11に固定されている。平板ノズル5とノズル支持体11の接合面は接着剤などで密着させ、水の漏出がないようにするとよい。また、平板ノズル5は円盤形であり、微小孔12が単一の場合は円の中心、複数の場合は同心円状に等角間隔で配置されるとよい。また、円の中心と同心円状の両方に配置してもなんら問題はない。平板ノズル5の大きさは特に制限はないが、小型化を考慮すれば円形状においてその径を数mm〜15mm程度にするのがよい。微小孔12の数、微小孔12の径、平板ノズル5の板厚はポンプの排圧に合わせて決定するのが望ましいが、微小孔12の孔径はあまり大きすぎると水柱が太くなり電圧を印加しても効率よく微細化できないため、概ね100μm以下が好ましく、また平板ノズル5の板厚は10〜300μmの範囲にあることが好ましい。微小孔12はエッチング加工により形成されるが、微小孔12を形成できるのであればその方法に限定する必要はない。また、平板ノズル5の材料を金属のような導電性を有するものにすることで特別な導通加工なしで直接電圧を印加することができるので、ノズル部の簡略化にもなる。
【0066】
ポンプ4は様々な形態のものを用いてもその効果に差は生じないが、圧電素子と隔壁で構成されたダイヤフラム式マイクロポンプを用いることによって装置の小型化を実現することができる。動作電圧10〜300V、動作周波数2〜20Hzの範囲で電圧を印加することで水の供給量を任意に制御することが可能で、また消費電力は数Wと非常に小さいことが特徴である。また、このときポンプの最大流量は1000μl/m以上、ポンプの最大排圧は45kPa以上である。大きさはおよそ20mm角、厚さ5mm以下であり非常に小型であるため装置の小型化を実現することが可能となる。
【0067】
このように平板ノズル5の厚みを極力薄くできることから微小孔12の圧力損失を下げることが可能となるために、排圧の低い小型のダイヤフラム式ポンプであっても微小孔から水を噴霧することができ、装置の小型化を実現することが可能となる。
【0068】
対向電極6の形状としては棒状、板状など様々な形状が考えられるが、円筒形状にすることで噴霧された微細水滴9が円筒空間の中を通過する際、凝集によって大きくなった水滴は対向電極6で捕らえて、反応性の高い小さい微細水滴9のみを効率よく空中に放出することができる。円筒の径は吐出ノズルよりも一回り程度大きいことが好ましく、また、円筒の奥行き寸法は数mmから10mmの範囲であることが好ましい。平板ノズル5と対向電極6の間隔としては5mm〜50mmの範囲にあることが好ましい。また、対向電極6を格子状とする場合も同様の作用が得られる。
【0069】
本発明によって得られた図1の構成を持つ空気浄化装置を64リットルのチャンバーに入れ、チャンバー内に発生させたアンモニアの濃度変化を、装置がない場合および平板ノズル5に−8kVの電圧を印加して装置を作動させた場合の両方において評価した。結果を表1に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
表1に示すように装置を作動させない場合とさせた場合とで有為な差が確認された。本発明における空気浄化装置が空間におけるアンモニア等の臭気成分の除去に有効であることがわかった。
【0072】
さらに突起のない平板ノズル5は対向電極6を設置しても過剰な放電が起こることはない。平板ノズル5と直径20mmφの円筒形状を持つ対向電極6との距離を15mmとし、平板ノズル5に高電圧を印加し、対向電極6をアースに接続したときの放電電流とオゾン発生濃度を表2に示す。
【0073】
【表2】

【0074】
オゾン発生濃度は対向電極6から50mm離れた位置の空気をサンプリングし、オゾンモニターを用いて測定を行った。
【0075】
表2に示すように、本発明における空気浄化装置では過剰な放電電流が流れるような放電とならないため、イオンおよび活性基を含んだ微細水滴のみを発生させ、オゾンの発生を抑制できることがわかった。
【0076】
なお、実施の形態1では対向電極6に付着した水滴を回収するために、対向電極6の真下に貯水タンク1を設けたが、対向電極6と貯水タンク1の間に水滴回収用の水路を設けても効果に差異を生じない。なお、平板ノズル5の材質として金属を用いているが、ある一定の強度と導電性を有するのであれば他の材質のものを用いても効果に差を生じない。また、支持体11の材質として樹脂を用いているが、絶縁性を有するのであれば他の材料を用いてもその効果に差を生じない。
【0077】
(実施の形態2)
図1と同じ概略構造を持ち、対向電極を平板ノズルの後方に設けた空気浄化装置の構成を図3を用いて説明する。
【0078】
本実施形態においては対向電極6が平板ノズル5の後方に設けられている。図3の実施形態において、対向電極6の形状については円筒形もしくは格子状に限定されるものではない。また、この対向電極6と平板ノズル5の間隔は5mmから50mmの範囲が好ましい。
【0079】
平板ノズル5の後方に対向電極6が設置されることにより、静電霧化によりイオン化した微細水滴9は後方から対向電極6による引力を受ける。しかし、平板ノズル5より吐出される勢いが勝るため、微細水滴9が平板ノズル5を中心として同心円上に広角に拡散される。そのため、凝集によって微細水滴9の大きさを増加させることなく、また対向電極6に付着させることなく全ての微細水滴9を室内に供給することが可能である。なお、図3では対向電極6を平板ノズル5の後方周囲に空気を介在させて設けているが、一定の絶縁距離を設けて支持体11の表面に対向電極6を設けても同様の効果を得られる。
【0080】
(実施の形態3)
図4、図5を用いて本発明の空気浄化装置を備えた空気清浄機の構成を説明する。図4は空気清浄機の側面図であり、図5は正面図である。
【0081】
フィルタ15の後方にファン16を搭載した空気清浄機13において、ファン16の下流側に空気浄化装置17を設置し、吸い込み口14より導入された汚れた空気をフィルタ15で清浄化した後、吹き出し口18より送風する際、空気浄化装置17より噴霧した微細水滴9を送風に乗せて室内空間に供給する仕組みとなっている。図4に示す実施形態ではファン16の上方に空気浄化装置17を配置して、吹き出し口18から微細水滴9を放出しているが、空気浄化装置17がファン16の下流側にあり、吹き出し口18より微細水滴9を放出できる形態であるならば、特に配置は制限しない。イオンおよび活性基を含んだ微細水滴9を室内に供給することによって、取り込んだ空気中に含まれる粉塵や臭気成分、もしくは菌やウィルス、アレルゲン等を空気清浄フィルタによって分離、除去、不活化するのみならず、室内空間に存在するこれら有害成分をも分解もしくは不活化することが可能である。
【0082】
(実施の形態4)
図6を用いて本発明の空気浄化装置を備えた加湿装置の構成を説明する。
【0083】
ファン16の下流側に空気加熱手段20を備えた加湿装置19において、空気加熱手段20のさらに下流側に空気浄化装置17を設置し、空気加熱手段20によって温められた乾燥空気が吹き出し口18より送風する際、水槽21から導入され、空気浄化装置17によって噴霧された微細水滴9を素早く気化させ、加湿された空気を室内空間に供給する仕組みとなっている。
【0084】
本実施形態において、加湿フィルター等の加湿構造体を必要とせず、加湿装置本体の小型化が可能となる。また、図6に示す本実施形態では空気加熱手段20をファン16と空気浄化装置17の間に設けているが、加熱しなくても微細水滴9による加湿効果は十分あるため、室内空間の湿度に合わせて空気加熱手段20を作動あるいは停止させることで消費電力の削減にも効果がある。空気加熱手段20としてはヒータ等がある。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の空気浄化装置を用いることにより、小型、軽量、低コスト、低騒音でありながら、室内の除菌、脱臭、殺菌能力の高い空気浄化装置を提供することができ、家庭用、業務用の空気清浄機やエアコンなどに搭載することで、フィルターだけでは取りきれない汚れや臭いも浄化し、快適な室内環境の実現が期待できる。また、フィルターを設けずに空気を浄化しながら加湿できる加湿装置としての利用も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】実施の形態1の空気浄化装置の概略断面図
【図2】平板ノズルの概略図
【図3】実施の形態2の空気浄化装置の概略断面図
【図4】実施の形態3の空気清浄機の側面断面図
【図5】同上の正面断面図
【図6】実施の形態4の加湿装置の断面図
【符号の説明】
【0087】
1 貯水タンク
2 水
3 水路
4 ポンプ
5 平板ノズル
6 対向電極
7 電圧印加部
8 水柱
9 微細水滴
10 送風機
11 ノズル支持体(支持体)
12 微小孔
13 空気清浄機
14 吸い込み口
15 フィルタ
16 ファン
17 空気浄化装置
18 吹き出し口
19 加湿装置
20 空気加熱手段
21 水槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水タンクと貯水タンクに貯めた水をある一定の圧力で搬送し押出するポンプと、前記ポンプによって押し出された水を噴霧するための単一もしくは複数の小孔を持つ平板ノズルと、前記平板ノズルの近傍に配置された対向電極と、前記平板ノズルと前記対向電極との間に高電圧を印加する電圧印加部とを備え、前記平板ノズルに高電圧を印加し、前記対向電極をアースに接続して、前記平板ノズルより噴霧された水滴を微細化することを特徴とする空気浄化装置。
【請求項2】
送風機を備え、前記送風機により微細化された水滴を空気浄化装置外に吹出すことを特徴とする請求項1記載の空気浄化装置。
【請求項3】
対向電極が平板ノズルの後方もしくは平板ノズル支持体の表面に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の空気浄化装置。
【請求項4】
対向電極が水滴の噴霧方向に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の空気浄化装置。
【請求項5】
対向電極を円筒形状もしくは格子状とし、噴霧された微細水滴のうち、凝集によって大きくなった水滴を前記対向電極で捕集し、小さい微細水滴のみを空中に放出することを特徴とする請求項4または5記載の空気浄化装置。
【請求項6】
対向電極が導電性の不織布であることを特徴とする請求項4記載の空気浄化装置。
【請求項7】
対向電極で捕らえた水滴を再び上記貯水タンクに回収することを特徴とする請求項4記載の空気浄化装置。
【請求項8】
ポンプが圧電素子を用いたダイヤフラム式の小型なポンプであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の空気浄化装置。
【請求項9】
ダイヤフラム式ポンプに与える電圧及び周波数を制御し、空中に噴霧する微細水滴の量を任意に変化させることを特徴とする請求項8記載の空気浄化装置。
【請求項10】
微細水滴が除菌あるいは抗ウィルス成分を含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の空気浄化装置。
【請求項11】
上記除菌あるいは抗ウィルス成分がカテキン、タンニン酸、銀錯体イオン、次亜塩素酸イオン、過酸化水素、もしくはアルコールであることを特徴とする請求項10記載の空気浄化装置。
【請求項12】
微細水滴が脱臭作用を有する成分を含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の空気浄化装置。
【請求項13】
上記脱臭成分がゼオライト、ビタミン等、化学あるいは物理吸着作用を有する成分であることを特徴とする請求項12記載の空気浄化装置。
【請求項14】
上記脱臭成分が過酸化水素、酸化チタン等、酸化作用を有する成分であることを特徴とする請求項12記載の空気浄化装置。
【請求項15】
微細水滴が抗アレルゲン作用を有する成分を含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の空気浄化装置。
【請求項16】
上記抗アレルゲン成分がカテキン、タンニン酸、還元剤であることを特徴とする請求項15記載の空気浄化装置。
【請求項17】
微細水滴がアロマ成分を含むことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の空気浄化装置。
【請求項18】
上記アロマ成分がローズマリー、ミント、ラベンダー、もしくはフィトンチッドの抽出成分であることを特徴とする請求項17記載の空気浄化装置。
【請求項19】
平板ノズルの上流側に上記成分を担持した不織布を設けたことを特徴とする請求項1乃至18記載の空気浄化装置。
【請求項20】
上記請求項1乃至19のいずれかに記載の空気浄化装置を備えることを特徴とした空気清浄機。
【請求項21】
上記請求項1乃至19のいずれかに記載の空気浄化装置を備えることを特徴とした加湿器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−97960(P2006−97960A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−283881(P2004−283881)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】