説明

空気浄化装置

【課題】ストリーマ放電部と脱臭部材とを用いて空気中の臭気物質を除去する空気浄化装置において、脱臭部材の脱臭剤の表面が水によって覆われてしまうのを回避する。
【解決手段】空気通路(11)には、ストリーマ放電を生起するための放電部(30a)と、臭気物質を吸着あるいは酸化分解するための脱臭部材(50)とが設けられる。空気通路(11)には、脱臭部材(50)の脱臭剤(52)に水分が付着するのを阻止するための吸湿部材(60)が更に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中の臭気物質を除去する空気浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気中の臭気物質を除去する空気浄化装置は、例えば室内空間の清浄化を図る用途や、厨房や工場から排出される排出ガスの脱臭を図る用途に広く適用されている。
【0003】
特許文献1には、家庭用の空気浄化装置が開示されている。この空気浄化装置は、ケーシング内の空気通路にプレフィルタ、ストリーマ放電部、触媒フィルタ等の機能部品が配列されている。
【0004】
ストリーマ放電部は、複数組の対となる電極を備えている。電源から各電極対に電圧が印加されると、各電極の間でストリーマ放電が生起されて低温プラズマが発生する。この低温プラズマの発生に伴い、空気中ではラジカル、高速電子、オゾン等の反応性の高い物質(活性種)が生成される。この活性種と空気中の臭気物質が反応することで、臭気物質が酸化分解されて除去される。
【0005】
触媒フィルタ(脱臭部材)は、ストリーマ放電部の下流側に配置されている。触媒フィルタには、基材の表面に脱臭剤が担持されている。具体的に、この脱臭剤としては臭気物質を酸化分解する触媒や、臭気物質を吸着する吸着剤が用いられている。空気が触媒フィルタを通過する際には、空気中に残存する臭気物質が触媒により酸化され、更に吸着剤に吸着される。また、吸着剤に吸着された臭気物質は、ストリーマ放電部で生成された活性種により酸化分解される。これにより、触媒フィルタでは、吸着剤が再生されて吸着能力が回復する。
【0006】
以上のようにして臭気物質が除去された空気は、ケーシングの外部へ放出されて室内へ供給される。その結果、室内空間の清浄化が図られる。
【特許文献1】特開2006−224102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述のような空気浄化装置においては、その使用条件によって、空気通路に流入する空気(被処理空気)中に水分が含まれることがある。具体的には、空気浄化装置で厨房から発生する空気を処理する場合、被処理空気中には調理等に利用した多量の水蒸気が含まれることがある。このように湿った空気を処理する場合、上述した触媒フィルタ等の脱臭部材では、空気中の水分が脱臭部材の表面に付着し、触媒や吸着剤等が水膜で覆われてしまうことがある。その結果、脱臭剤における臭気物質の除去に寄与する有効な表面積が減少し、脱臭部材による臭気物質の除去効率が低下してしまう虞がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ストリーマ放電及び脱臭部材を用いて空気中の臭気物質を除去する空気浄化装置において、脱臭部材の脱臭剤の表面が水によって覆われてしまうのを回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、空気が流れる空気通路(11)に配置されると共に対となる電極(31,32)の間でストリーマ放電を生起する放電部(30a)と、上記空気通路(11)における該放電部(30a)の下流側に配置されると共に空気中の臭気物質を吸着又は酸化分解して除去する脱臭剤を有する脱臭部材(50)とを備えた空気浄化装置を前提としている。そして、この空気浄化装置は、上記空気通路(11)に、上記脱臭部材(50)の脱臭剤への水の付着を阻止するように空気中の水を捕捉する吸湿剤を有する吸湿部材(60)が設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
第1の発明の空気浄化装置では、所定の空気が空気通路(11)へ流入し、放電部(30a)の周囲を流れる。放電部(30a)では、対となる電極(31,32)の間でストリーマ放電が生起される。ストリーマ放電により低温プラズマが生成されると、空気中ではラジカル、高速電子、励起分子等の活性種が発生する。空気中の臭気物質は、これらの活性種と反応して酸化分解される。放電部(30a)を通過した空気は、脱臭部材(50)を通過する。脱臭部材(50)では、空気中に残存する臭気物質が脱臭剤によって酸化分解、あるいは吸着される。
【0011】
本発明では、空気通路(11)に吸湿部材(60)が設けられている。吸湿部材(60)の吸湿剤は、脱臭部材(50)の脱臭剤への水の付着を阻止するように空気中の水を捕捉する。従って、空気中の水分が脱臭部材(50)の脱臭剤の表面を覆ってしまうことが回避される。その結果、脱臭部材(50)の脱臭剤では、所望とする脱臭効果が得られる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明の空気浄化装置において、上記放電部(30a)を流れる空気中へ水を供給する水供給手段(31)を更に備えていることを特徴とするものである。
【0013】
第2の発明では、水供給手段(31)が放電部(30a)を流れる空気中へ水を供給する。このように空気中へ水を供給すると、空気中に含まれる臭気物質が水に捕捉/吸収される。また、水(即ち、HO)の存在下でストリーマ放電を生起すると、強い酸化力を有するOHラジカルの発生が促進される。これにより、ストリーマ放電による臭気物質の除去能力が向上する。更に、放電部(30a)で生成された活性種が、供給された水に付着するようにして飛散することで、活性種の拡散効果が増し、臭気物質の除去能力が更に向上する。
【0014】
ところで、このように水供給手段(31)から空気中へ水を供給すると、脱臭部材(50)が更に濡れやすくなり、脱臭剤の表面が水で覆われ易くなる。しかしながら、本発明では、吸湿部材(60)が脱臭剤への水の付着を阻止するように空気中の水分を捕捉しているので、脱臭部材(50)の脱臭剤では、所望とする脱臭効果が得られる。
【0015】
第3の発明は、第1又は第2の発明の空気浄化装置において、上記吸湿部材(60)は、上記空気通路(11)における上記放電部(30a)の下流側で、且つ上記脱臭部材(50)の上流側に配置されていることを特徴とするものである。
【0016】
第3の発明では、放電部(30a)と脱臭部材(50)との間に吸湿部材(60)が配置される。つまり、空気通路(11)では、空気が吸湿部材(60)を通過してから脱臭部材(50)を流れることになる。従って、空気中の水分は、脱臭部材(50)へ送られる前に吸湿部材(60)によって捕捉されるので、脱臭部材(50)の脱臭剤に水分が付着してしまうことが効果的に阻止される。
【0017】
第4の発明は、第1又は第2の発明の空気浄化装置において、上記脱臭部材(50)は、基材(51)の表面に上記脱臭剤が担持されて構成されており、上記吸湿部材(60)が、上記脱臭部材(50)の基材(51)を兼ねていることを特徴とするものである。
【0018】
第4の発明では、脱臭部材(50)の基材(51)として上記吸湿部材(60)が用いられる。空気中の水分が脱臭部材(50)に付着した場合、この水分が基材(51)となる吸湿部材(60)の吸湿剤に吸収される。その結果、脱臭剤の表面が水分で覆われてしまうことが回避される。
【0019】
第5の発明は、第2乃至第4のいずれか1つの発明の空気浄化装置において、上記水供給手段(31)から空気中への水の供給と、該空気中への水の供給の停止とが所定時間毎に繰り返されるように水供給手段(31)の供給水量を制御する水供給量制御手段(15)を備えていることを特徴とするものである。
【0020】
第5の発明では、水供給量制御手段(15)が水供給手段(31)による水の供給を制御する。具体的に、水供給手段(31)は、水の供給と、水の供給の停止とを所定時間毎に繰り返すように制御される。つまり、水供給手段(31)は空気通路(11)へ間欠的に水を供給する。これにより、水供給手段(31)による水供給時には、上記の第2の発明の如く臭気物質の除去能力を向上できる。また、水供給手段(31)の停止時には、空気通路(11)を流れる空気の湿度が低くなることから、吸湿部材(60)の吸湿剤を空気によって乾燥させることができる。従って、水供給手段(31)の停止時には、吸湿部材(60)による水分の捕捉能力を回復できるので、脱臭部材(50)の脱臭剤の濡れを効果的に回避できる。
【0021】
第6の発明は、第2乃至第4のいずれか1つの発明の空気浄化装置において、上記空気通路(11)へ流入する空気中の臭気物質の量を示す指標を検出する臭気検知手段(70)と、上記臭気検知手段(70)で検出された臭気物質の量を示す指標が大きい場合に、上記水供給手段(31)から空気中へ供給される水の量を増大させるように該水供給手段(31)の供給水量を制御する水供給量制御手段(15)とを備えていることを特徴とするものである。ここで、第6の発明(及び後述の第7の発明)でいう「臭気物質の量を示す指標」とは、空気中の臭気物質の濃度、単位時間あたりに処理すべき臭気物質の量(即ち、臭気の負荷)、空気中の臭気物質の臭気濃度(いわゆる官能試験により求められる人間の嗅覚を考慮した臭気の濃度)等を含む意味のものである。
【0022】
第6の発明では、臭気検知手段(70)が空気通路(11)に流入する空気中の臭気物質の量を示す指標(以下、臭気量と称する)を検出する。水供給量制御手段(15)は、検出された臭気量が大きい場合に、水供給手段(31)から供給される水量を増大させる。また、水供給量制御手段(15)は、検出された臭気量が小さい場合に、水供給手段(31)から供給される水量を減少させる(又は0とする)。これにより、臭気量に応じた水の供給がされるので、過剰な水の供給をすることなく、臭気物質を効率良く除去することができる。
【0023】
具体的には、空気浄化装置で処理する空気の臭気量が大きい、つまり臭気の負荷が大きい場合に、水供給手段(31)の供給水量を多くすることで、空気中の臭気物質をこの供給水で多く捕捉でき、且つOHラジカルの発生量の促進や、水による活性種の拡散効果により臭気物質を効率良く除去できる。従って、このような高負荷の臭気を確実に除去できる。
【0024】
一方、空気浄化装置で処理する空気の臭気量が小さい、つまり臭気の負荷が小さい場合に、水供給手段(31)の供給水量を少なく、あるいは0とすることで、空気中へ供給される水量を制限することができる。その結果、吸湿部材(60)や脱臭部材(50)を流れる空気中の水分(水蒸気)の量を低減でき脱臭部材(50)の濡れを抑制できる。また、この間において、吸湿部材(60)の吸湿剤を乾燥させることで、その後に臭気量が再び増大して水供給量が多くなった場合にも、空気中の水を効率よく吸湿剤に捕捉させることができる。
【0025】
第7の発明は、第2乃至第4のいずれか1つの発明の空気浄化装置において、上記脱臭部材(50)の脱臭剤は、空気中の臭気物質を吸着する吸着剤で構成され、上記空気通路(11)へ流入する空気中の臭気物質の量を示す指標を検出する臭気検知手段(70)と、上記臭気検知手段(70)で検出された臭気物質の量を示す指標が大きい場合に、上記水供給手段(31)から空気中へ供給される水の量を減少させるように該水供給手段(31)の供給水量を制御する水供給量制御手段(15)とを備えていることを特徴とするものである。
【0026】
第7の発明では、第6の発明と同様、臭気検知手段(70)が空気通路(11)に流入する空気中の臭気物質の量を示す指標(臭気量)を検出する。水供給量制御手段(15)は、検出された臭気量が大きい場合に、水供給手段(31)から供給される水量を減少させる(又は0とする)。また、水供給量制御手段(15)は、検出された臭気量が小さい場合に、水供給手段(31)から供給される水量を増大させる。これにより、脱臭部材(50)の吸着剤に効率良く臭気物質を吸着させると共に吸着された臭気物質を分解することができる。
【0027】
具体的には、空気浄化装置で処理する空気の臭気量が大きい、つまり臭気の負荷が大きい場合に、水供給手段(31)の供給水量を少なくすることで、脱臭部材(50)の濡れを最小限に抑えることができ、脱臭部材(50)の吸着剤による臭気物質の吸着能力が増大する。その結果、高負荷時においても臭気物質を確実に脱臭部材(50)で除去できる。
【0028】
一方、空気浄化装置で処理する空気の臭気量が小さい、つまり臭気の負荷が小さい場合に、水供給手段(31)の供給水量を多くすることで、OHラジカルの発生量、あるいは活性種の拡散効果が高まる。従って、低負荷時においては、脱臭部材(50)の吸着剤に吸着させた臭気物質をこれらの活性種により分解し、吸着剤の吸着能力を再生できる。よって、その後に再び臭気の負荷が大きくなった場合にも、臭気物質を確実に脱臭部材(50)の吸着剤によって除去できる。
【0029】
第8の発明は、第2乃至第7のいずれか1つの発明の空気浄化装置において、上記放電部(30a)は、上記水供給手段として水を空気中へ噴霧する噴出器(31)と、該噴出器(31)と対向するように設けられる放電電極(32)とを備え、電源(33)から上記噴出器(31)と放電電極(32)との間に電位差を与えることで、上記放電電極(32)から上記噴出器(31)の噴出後の水に向かってストリーマ放電を生起するように構成されていることを特徴とするものである。
【0030】
第8の発明の放電部(30a)には、噴出器(31)と放電電極(32)とが設けられる。噴出器(31)は水供給手段を構成し、噴出器(31)から空気中へ水が噴霧される。電源(33)から噴出器(31)と放電電極(32)との間に電位差が付与されると、噴出器(31)からの噴出後の水に向かって放電電極(32)からストリーマ放電が生起する。
【0031】
具体的には、例えば放電電極(32)がプラス極となり、噴出器(31)がマイナス極となるように電圧を印加すると、噴出器(31)から噴出される水はマイナスの電荷を帯びる。マイナス電荷の噴出水からは、プラス電荷の放電電極(32)に向かって電子なだれが発生し、噴出水はマイナスの電荷を失う。一方、放電電極(32)からはプラス電荷の微小アーク(いわゆるリーダー)が進展し、噴出水に到達する。
【0032】
ここで、プラスに帯電した噴出水は、噴出器(31)から離れる方向に移動しており、しかも粒状に噴霧された複数の水滴の間には微細な空間が形成されているので、リーダーが噴出器(31)まで進展してしまうことがなく、これにより火花放電(スパーク)の発生が抑制される。従って、本発明では、噴出器(31)から噴出された水と放電電極(32)との間で安定的なストリーマ放電が生起する。放電部(30a)では、上述した電子なだれと微小アークの形成とが交互に繰り返されることで、ストリーマ放電が発光を伴ったプラズマ柱として安定して形成される。
【0033】
第9の発明は、第8の発明の空気浄化装置において、上記噴出器(31)は、水を中空円錐状に噴出するように構成され、上記放電電極(32)の先端部は、上記噴出器(31)から噴出される水が存在する中空円錐状の領域の内側に位置しており、上記放電部(30a)は、上記放電電極(32)の先端部から上記噴出器(31)の噴出後の水に向かってストリーマ放電を生起するように構成されていることを特徴とするものである。
【0034】
第9の発明では、噴出器(31)から中空円錐状に水が噴出される一方、この中空円錐状の領域の内側に放電電極(32)の先端部が配設される。これにより、放電電極(32)の先端部と、中空円錐状の噴出水との間には一定の間隔が確保される。その結果、放電電極(32)と噴出水との間の距離を一定に保つことでき、ストリーマ放電が更に安定する。これに対し、例えば噴出器から中実の円錐状に噴出水を噴霧した場合には、噴出水と放電電極(32)の先端部との間の距離が変化して不均一となり易いので、ストリーマ放電が安定しないことになる。
【0035】
また、噴出器(31)から中空円錐状に水を噴出させて内部に放電電極(32)の先端部を位置させると、放電電極(32)の先端部から噴出水に向かって放射状にストリーマ放電が拡がることになる。その結果、ストリーマ放電に伴い発生する活性種が広範囲に均一に拡散するので、活性種による臭気物質の分解効率が向上する。
【0036】
第10の発明は、第9の発明の放電装置において、上記放電電極(32)は、その先端が上記噴出器(31)の噴出口側を向くような針状の電極で構成されていることを特徴とするものである。
【0037】
第10の発明の放電電極(32)は、その先端が噴出器(31)の噴出口側を向くような針状に形成される。放電部(30a)では、噴出器(31)から噴出された中空円錐状の噴出水に対して、針状の放電電極(32)の先端から放射状にストリーマ放電が拡がり活性種が広範囲に生成される。
【発明の効果】
【0038】
本発明では、空気通路(11)に吸湿剤を有する吸湿部材(60)を設け、空気中の水分を吸湿部材(60)で捕捉するようにしている。従って、脱臭部材(50)の脱臭剤の表面が水で覆われてしまうのを阻止でき、この脱臭剤における臭気物質の除去に寄与する有効な表面積が充分確保できる。従って、脱臭部材(50)では、臭気物質を吸着あるいは触媒により酸化分解でき、空気浄化装置(10)で所望とする脱臭性能を得ることができる。
【0039】
また、放電部(30a)で発生した活性種と、脱臭部材(50)に吸着させた臭気物質との接触効率を高めて脱臭部材(50)の吸着能力を効率良く回復させることができる。従って、脱臭部材(50)で臭気物質を安定的に除去することができる。
【0040】
また、第2の発明では、水供給手段(31)から放電部(30a)を流れる空気中へ水を供給することで、空気中に含まれる臭気物質を水へ吸収/溶解させて除去することができる。また、ストリーマ放電が生起する放電場に多量の水を存在させることで、OHラジカルの発生を促すことができ、このOHラジカルを利用して臭気物質を効果的に分解することができる。更に、水を飛散させることで活性種の拡散効果を高めることができ、臭気物質を活性種により効果的に分解することができる。
【0041】
一方、このように水供給手段(31)から水を供給するようにすると、空気通路(11)を流れる空気に含まれる水分の量が更に多くなり易い。しかしながら、上記吸湿部材(60)の吸湿剤によって空気中の水分を捕捉することで、脱臭部材(50)の濡れを未然に回避でき、脱臭部材(50)で所望とする吸着作用あるいは触媒作用を得ることができる。
【0042】
特に、第3の発明によれば、脱臭部材(50)の上流側に吸湿部材(60)を配置することで、脱臭部材(50)に流入する前の空気中から確実に水分を除去できる。従って、脱臭部材(50)の濡れを一層確実に防止することができる。
【0043】
また、第4の発明によれば、脱臭部材(50)の基材(51)として吸湿部材(60)を用いるようにしているので、脱臭部材(50)の周囲を流れる空気中の水分を基材(51)へ吸収させることができ、脱臭剤の表面が水膜で覆われるのを回避できる。また、脱臭部材(50)と吸湿部材(60)とを一体的に構成することで、部品点数の削減、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0044】
また、第5の発明によれば、水供給手段(31)から空気中へ間欠的に水を供給するようにしたので、水の供給の停止時には、空気を利用して吸湿部材(60)の吸湿剤を乾燥させることができる。従って、吸湿部材(60)による水分の吸収能力を長時間に亘って維持でき、脱臭部材(50)の濡れを一層確実に防止できる。
【0045】
更に、第6の発明では、臭気の負荷が大きい場合に水供給手段(31)からの水の供給量を多くすることで、臭気物質を積極的に水に吸収させて除去できる。また、OHラジカルの発生を促し、活性種の拡散効果を向上させて高負荷の臭気を確実に分解できる。
【0046】
特に、臭気物質として疎水性と親水性の物質が混在するような場合には、活性種によって疎水性の物質を低分子化させて親水性の物質に変化させると共に、親水性の物質を水に溶解させて除去できるので、この臭気物質を放電部(30a)側で除去する方が脱臭性能が向上し易い。また、放電部(30a)から脱臭部材(50)までのスペースが比較的広く、臭気物質と活性種の反応時間、あるいは臭気物質と水の接触時間を充分確保できる装置構造である場合にも、臭気物質を放電部(30a)側で除去する方が脱臭性能が向上し易い。従って、このような場合には、本発明のように臭気の高負荷時に水の供給量を多くすることで、空気浄化装置(10)の脱臭性能を効果的に向上できる。
【0047】
また、第6の発明によれば、臭気の負荷が小さい場合に水供給手段(31)からの水の供給量を少なくすることで、吸湿部材(60)の吸湿剤を速やかに乾燥できる。従って、吸湿部材(60)による水分の吸湿能力を長期に亘って維持でき、脱臭部材(50)の濡れを一層確実に防ぐことができる。
【0048】
第7の発明では、臭気の負荷が大きい場合に水供給手段(31)からの水の供給量を少なくすることで、脱臭部材(50)や吸湿部材(60)を速やかに乾燥状態とすることができる。これにより、吸湿部材(60)の吸湿能力を再生すると共に、脱臭部材(50)の濡れを最小限に抑えて吸着能力を最大限に発揮させることができる。従って、高負荷の臭気を脱臭部材(50)に吸着させて確実に除去できる。
【0049】
特に、臭気物質として親水性の物質が少なく疎水性の物質が多く含まれる場合には、この臭気物質を脱臭部材(50)で吸着させる方が脱臭性能が向上し易い。また、放電部(30a)から脱臭部材(50)までの間のスペースが比較的狭く、臭気物質と活性種の反応時間、あるいは臭気物質と水の接触時間を充分確保できない装置構造である場合にも、臭気物質を脱臭部材(50)で吸着させる方が脱臭性能が向上し易い。従って、このような場合には、本発明のように臭気の高負荷時に水の供給量を少なくすることで、空気浄化装置(10)の脱臭性能を向上できる。
【0050】
また、第7の発明によれば、臭気の負荷が小さい場合に水供給手段(31)からの水の供給量を多くすることで、OHラジカル等の活性種の発生量、あるいは拡散効果を促すことができる。従って、脱臭部材(50)に吸着させた臭気物質を活性種により徐々に酸化分解して、脱臭部材(50)の吸着能力を回復させることができる。
【0051】
第8の発明では、噴出器(31)から噴出される水に対して放電電極(32)からストリーマ放電を行うようにしている。これにより、本発明によれば、スパークの発生を抑制しながら安定したストリーマ放電を維持することができ、活性種を安定して生成することができる。
【0052】
特に、第9や第10の発明によれば、噴出された水が存在する中空円錐状の領域の内部に放電電極(32)の先端を位置させるようにしたので、放電電極(32)と噴出後の水との間に一定の間隔を保持でき、ストリーマ放電が更に安定する。また、放電電極(32)の先端部から水に向かって、放射状のストリーマ放電を生起することができ、放電電極(32)の周囲に均一且つ広範囲に活性種を生成することができる。従って、空気浄化装置(10)の脱臭性能を効果的に向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0054】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1の空気浄化装置(10)は、厨房空間から発生した排ガスを浄化するものである。空気浄化装置(10)は、厨房空間の空気を室外へ排出させる排気ダクトに設けられている。
【0055】
図1に示すように、空気浄化装置(10)は、所定のケーシングの内部に空気が流通する空気通路(11)が形成されている。空気通路(11)は、一端が厨房空間に臨む排気フードと繋がっており他端が室外空間に開口している。空気通路(11)には図示しない送風ファンが設けられている。送風ファンを運転することにより、空気通路(11)では、その一端側から厨房空間の空気が流入して他端側から室外空間へ空気が流出する。
【0056】
空気通路(11)には、その上流側から下流側に向かって順に、グリスフィルタ(21)、放電ユニット(30)の放電部(30a)、集塵ユニット(40)、デミスタ(22)、及び脱臭部材(50)が配設されている。グリスフィルタ(21)は、空気中に含まれる比較的大きなダスト(オイルミストや塵埃)を物理的に捕集するものである。
【0057】
放電ユニット(30)は、ストリーマ放電を生起することで空気中の臭気物質を分解するための活性種(ラジカル、高速電子、励起分子、オゾン等)を発生させるものである。放電ユニット(30)は、噴出器(31)と放電電極(32)と電源(33)とを備えている。
【0058】
噴出器(31)は、空気の流れる方向に延びる細長の筒状に形成され、空気通路(11)に水平な姿勢で支持されている。噴出器(31)の噴出口は、空気通路(11)の下流側を向いている。噴出器(31)は、その噴出口から10〜200μm程度の粒径の液滴が噴霧されるように噴出口の孔径や噴霧量等が設定されている。また、噴出器(31)は、その噴出口から中空円錐状に水が噴霧されるように噴出口の形状や噴霧量等が設定されている。つまり、噴出器(31)は、水が存在する中空円錐状の領域と、その内部で水が存在しない円錐状の領域とを形成するように構成されている。また、噴出器(31)は、耐腐食性に優れたステンレス材料で構成されている。
【0059】
また、噴出器(31)は、水通路を介して所定の水源と接続されている。水源は、水道や水を貯留する貯留タンク等が用いられる。水源からは水通路を通じて噴出器(31)へ水が供給される。水源から噴出器(31)までの水の供給は、例えばポンプや水頭差を利用するもの等が用いられる。本実施形態では、所定の貯留タンクに給水、あるいは回収された水をポンプ(14)を用いて噴出器(31)まで送るようにしている。以上のように、噴出器(31)やポンプ(14)等によって、空気通路(11)へ水を供給するための水供給手段が構成されている。
【0060】
放電電極(32)は、噴出器(31)に対向するように配設されている。放電電極(32)は、針状の電極を構成しており、その先端部が噴出器(31)側(空気の流れの上流側)を向いている。また、放電部(30a)は、噴出器(31)から噴出された水が存在する中空円錐状の領域の内部に上記放電電極(32)が位置するように構成されている。具体的に、針状の放電電極(32)は、噴出器(31)の軸線や上記中空円錐状の領域の軸線と同軸となっている。
【0061】
噴出器(31)及び放電電極(32)は、電源(33)と電気的に接続している。本実施形態では、噴出器(31)がマイナス極となり放電電極(32)がプラス極となっているが、これらの関係を逆にしても良い。また、噴出器(31)及び放電電極(32)のいずれか一方をアース極としても良く、要するに噴出器(31)と放電電極(32)との間に電位差を付与できれば如何なる構成であっても良い。また、電源(33)は高圧の直流電源であることが好ましいが、交流電源やパルス電源であっても良い。また、電源(33)は、放電部(30a)での放電の電流値が一定となるように制御する、いわゆる定電流制御されるものが好ましい。
【0062】
噴出器(31)と放電電極(32)とは、対となる電極を構成し、ストリーマ放電を生起する放電部(30a)を構成している。噴出器(31)と放電電極(32)との間に電位差を付与すると、噴出器(31)から噴出された水に向かって放電電極(32)からストリーマ放電が生起する。即ち、放電ユニット(30)では、噴出器(31)から噴出される水と放電電極(32)との間でストリーマ放電が生起するように、噴出器(31)及び放電電極(32)の相互の位置関係や電源(33)から付与される電位差や放電電流値が設定されている。なお、本実施形態では、対となる噴出器(31)と放電電極(32)とが、空気通路(11)に2組設けられているが、これらを1組若しくは3組以上設けても良い。
【0063】
上記集塵ユニット(40)は、空気中に含まれる比較的小さなダストを帯電させて電気的に捕集するものである。集塵ユニット(40)は、ダストを帯電させるための荷電部(41)と、帯電したダストを電気的に誘引して捕集する集塵部(45)とを備えている。
【0064】
荷電部(41)には、空気流れと直交するように延びる複数のイオン化線(42)と、各イオン化線(42)と平行に延びる複数の第1電極板(43)とが設けられている。イオン化線(42)及び第1電極板(43)が電源と電気的に接続され、イオン化線(42)がプラス極に、第1電極板(43)がマイナス極となっている。
【0065】
集塵部(45)は、集塵板(46)と第2電極板(47)とが平行な姿勢で交互に配列されている。集塵板(46)及び第2電極板(47)は電源と電気的に接続されており、集塵板(46)はマイナス極(即ち、上記イオン化線(42)と逆の極性)となり、第2電極板(47)はプラス極となっている。
【0066】
上記デミスタ(22)は、空気中に含まれる比較的大きな水滴を物理的に捕捉する水滴捕集手段を構成している。デミスタ(22)で捕捉された水は貯留容器(23)に滴下して回収される。貯留容器(23)に回収した水は、例えば上記噴出器(31)からの噴出水として利用される。
【0067】
デミスタ(22)の下流側には、脱臭部材(50)が設けられている。実施形態1の脱臭部材(50)では、空気中の水分を捕捉するための吸湿剤(吸湿部材)が一体となっている。具体的には、図2に示すように、脱臭部材(50)は、シート状あるいは板状の基材(51)を有している。そして、この基材(51)が吸湿剤を有する吸湿部材(60)を構成している。基材(51)を構成する吸湿剤は、シリカ系無機材料、アルミナ系無機材料、特にゼオライト、シリカゲル、コージェライト等のセラミックス材料が用いられ、水分に対して所定の吸収/吸着能力を有している。また、基材(51)を構成する吸湿剤は、多孔性無機材料であることが好ましく、特に上記基材(51)を、セラミックスを含む繊維(例えばセラミックスペーパー)で構成すると、軽量且つ加工性が良いので好適である。更に、基材(51)は、空気が流通可能な複数の孔を有しているものを用いると、空気通路(11)での圧力損失を低減できる。具体的に、基材(51)の構造としては、メッシュ構造、ハニカム構造、フィルタ構造、格子構造等を採用できる。
【0068】
また、脱臭部材(50)では、基材(51)の表面に脱臭剤(52)が担持されている。脱臭剤(52)は、臭気物質を酸化分解する触媒機能と、臭気物質を吸着する吸着機能とのいずれか一方又は両方の機能を有している。つまり、脱臭剤(52)は触媒もしくは吸着剤として機能する。また、脱臭剤(52)は、上記吸湿剤と比較すると水分の吸湿/吸収能力は低くなっている。
【0069】
脱臭剤(52)は、例えばパラジウム、イリジウム、ロジウム、オスニウム、ルテニウム、ニッケル、コバルト、鉄、マンガン、カドミウム、亜鉛、チタン、アルミニウム、金、銀、銅、プラチナのうち少なくとも一種の金属元素を含む材料、遷移金属酸化物、希土類酸化物、又は典型元素酸化物等から構成される。上記遷移金属酸化物としては、鉄、チタン、マンガン、ニッケル、コバルト、銅、ジルコニウム、クロム、モリブデンのうち少なくとも1種から選ばれる金属の酸化物が挙げられる。また、上記希土類酸化物としては、セリウム、イットリウム、ネオジム、プラセオジム、サマリウムのうち少なくとも1種から選ばれる金属の酸化物が挙げられる。さらに、上記典型元素酸化物としては、スズ、インジウム、アルミニウム、ケイ素、炭素、マグネシウム、カルシウムのうち少なくとも1種から選ばれる金属の酸化物が挙げられる。特に、脱臭剤(52)としては、二酸化チタンや酸化亜鉛、あるいはタングステン酸化物や硫化カドミウムが好適である。
【0070】
空気浄化装置(10)は、噴出器(31)から空気通路(11)への水の供給(噴霧)を制御する水供給量制御手段(15)を備えている。具体的に、実施形態1の水供給量制御手段(15)は、空気浄化装置(10)の運転中において、噴出器(31)の噴霧動作と停止動作とが所定時間毎に繰り返されるようにポンプ(14)の発停を制御する。
【0071】
−運転動作−
次に、空気浄化装置(10)の運転動作について説明する。送風ファンが運転されて空気通路(11)を空気が流れる状態において、空気浄化装置(10)を運転させると、ポンプ(14)が起動して噴出器(31)から水が噴霧される。また、電源(33)から噴出器(31)及び放電電極(32)に電圧が印加される。また、荷電部(41)や集塵部(45)においても、対応する各電極にそれぞれ電圧が印加される。
【0072】
空気通路(11)に流入した空気は、グリスフィルタ(21)を通過する。グリスフィルタ(21)では、空気中に含まれる比較的大きなダスト(例えば粒径が10ミクロン以上のもの)が物理的に捕集される。
【0073】
グリスフィルタ(21)を通過した空気は、放電ユニット(30)の放電部(30a)に流入する。放電ユニット(30)では、放電電極(32)から噴出後の水に向かってストリーマ放電が生起している。具体的には、図3に示すように、噴出器(31)の噴出口からはマイナスの電荷の粒状の水滴(31a)が飛び出している。噴出されたマイナス電荷の水滴(31a)からは、放電電極(32)に向かって電子なだれが発生する。これにより、この水滴(31a)はマイナス電荷を失い、電気的にニュートラルの状態になる。
【0074】
一方、放電電極(32)からはプラス電荷のリーダーと呼ばれる微小アーク(光柱)が水滴(31a)に向かって進展する。ここで、マイナスに帯電した水滴(31a)が仮に停滞している、あるいは噴出器(31)側へ向かって移動する場合には、上記リーダーが噴出器(31)側まで更に進展してスパークが発生し易くなる。これに対し、本実施形態では噴出器(31)から噴出された水滴(31a)が噴出器(31)から離れる方向(即ち、放電電極(32)に近づく方向)へ移動しているので、リーダの進展が抑制されてスパークの発生が防止される。加えて、噴出された複数の水滴(31a)は、互いに僅かな間隔で離れることになり、各水滴(31a)の間には空間が形成される。この空間が水滴(31a)間の絶縁体として機能するので、リーダーの進展が抑制されてスパークの発生が防止される。放電ユニット(30)の放電部(30a)では、電子なだれ→リーダー形成→リーダー消滅→電子なだれ→・・・が繰り返され、ストリーマ放電が発光を伴ったフレア状のプラズマ柱として安定して形成される。
【0075】
また、同図に示すように、噴出器(31)からは中空円錐状に水滴(31a)が噴霧されており、放電電極(32)はこのような中空円錐状の領域の内部に配置される。従って、放電電極(32)の先端から水滴(31a)の間に一定の距離が保持されるので、スパークの発生が防止されてストリーマ放電が安定する。また、放電電極(32)は、中空円錐状の領域の軸心に位置しているので、放電電極(32)の先端から水滴(31a)までの距離が、周方向に亘って均一となる。従って、放電電極(32)の先端からは、その周囲の水滴(31a)に対して放射状あるいはフレア状にストリーマ放電が生起する。
【0076】
以上のようなストリーマ放電により、放電部(30a)では活性種(高速電子、イオン、オゾン、ラジカルや、その他励起分子(励起酸素分子、励起窒素分子、励起水分子など))が発生する。特に、放電場には多量の水が供給されているので、水の存在下において、OHラジカルの発生が促される。また、発生した活性種が、噴霧された水に付着するようにして飛散することで、活性種の拡散効果が増すことになる。
【0077】
空気中に含まれる臭気物質は、上記活性種と反応することで酸化分解して除去される。また、臭気物質のうち親水性の物質については、噴出器(31)から噴出された水に吸収されて捕捉される。更に、臭気物質のうち疎水性の物質については、活性種によって酸化されて親水性に変化し易い。従って、親水性となった臭気物質も、噴出器(31)から噴出された水に吸収されて捕捉される。
【0078】
以上のように放電ユニット(30)の放電部(30a)では、ストリーマ放電による臭気物質の酸化分解作用と、噴出器(31)から噴霧される水を利用した臭気物質の吸収/溶解作用(即ち、スクラバー作用)により、臭気物質が効果的に除去される。なお、このような臭気物質の除去は、空気通路(11)における放電ユニット(30)の放電部(30a)の下流側でも同様に行われることになる。
【0079】
放電ユニット(30)の放電部(30a)を通過した空気は、集塵ユニット(40)の近傍を流れる。集塵ユニット(40)では、先ず荷電部(41)において空気中に含まれる微細なダストがプラスの電荷を帯びる。その後に集塵部(45)では、プラスの電荷を帯びたダストがマイナス電極となる集塵板(46)に誘引される。その結果、集塵板(46)の表面に次々とダストが捕捉されていく。
【0080】
集塵ユニット(40)を通過した空気は、デミスタ(22)の近傍を流れる。デミスタ(22)では、空気中に含まれている水滴が物理的に捕捉される。デミスタ(22)に捕捉された水滴は貯留容器(23)に回収され、例えば噴出器(31)へ再び供給される。
【0081】
デミスタ(22)を通過した空気は、脱臭部材(50)の近傍を流れる。脱臭部材(50)では、基材(51)に担持された脱臭剤(52)の吸着作用や触媒作用により、空気中に残存する臭気物質が除去される。ここで、上記の噴出器(31)から多量の水を噴霧している場合、あるいは厨房空間での調理等に伴い排ガス中に多量の水蒸気が含まれている場合、脱臭部材(50)の近傍を流れる空気は、未だ水滴を含んでいたり、湿度が極めて高い状態であったりすることがある。従って、このような空気中の水分に対して何ら対策を講じていない場合、脱臭部材(50)の脱臭剤(52)の表面に多量の水が付着して脱臭剤(52)の有効界面が減少し、所望とする触媒作用や吸着作用を得ることができないことがある。
【0082】
そこで、実施形態1では、脱臭部材(50)の基材(51)を吸湿部材(60)で構成することで脱臭剤(52)の表面が水膜で覆われてしまうのを阻止している。即ち、脱臭部材(50)に付着した水は基材(51)に吸収あるいは吸着されるので、その分だけ脱臭剤(52)が濡れにくくなる。従って、脱臭剤(52)の表面が水膜で覆われてしまうことが抑制されるので、脱臭部材(50)では所望の触媒作用や吸着作用が得られ、臭気物質が更に除去されることになる。
【0083】
以上のようにして清浄化された空気は、空気通路(11)を流出して室外へ排出される。このような空気浄化装置(10)の運転時には、水供給量制御手段(15)が噴出器(31)へ供給する水を制御する。具体的に、水供給量制御手段(15)は、所定時間毎に噴出器(31)の噴霧動作と停止動作とを交互に繰り返すようにポンプ(14)を発停させる。なお、噴霧動作の継続時間と停止動作の継続時間とは、コントローラ等で変更可能に設定される。噴出器(31)の噴霧動作時には、上述のように活性種が多量に発生して臭気物質が積極的に分解/除去される。
【0084】
一方、噴出器(31)の停止動作時には、上述したストリーマ放電が行われず、活性種も発生しない。この場合には、空気中に含まれる臭気物質は、脱臭部材(50)の脱臭剤(52)による吸着作用/触媒作用により分解除去される。このように噴出器(31)による噴霧動作を停止させると、脱臭部材(50)へは比較的低湿度の空気が流れるので、この空気によって脱臭部材(50)を乾燥させることができる。即ち、停止動作時には、脱臭部材(50)の脱臭剤(52)や、吸湿部材としての基材(51)が乾燥され、基材(51)の吸湿能力も再生される。従って、その後に噴霧動作を再開しても、基材(51)で充分に水分を吸収することができ、脱臭剤(52)の表面が水で覆われてしまうのを回避できる。
【0085】
−実施形態1の効果−
上記実施形態1では、脱臭部材(50)の基材(51)として吸湿剤を有する吸湿部材(60)を用いるようにしている。これにより、脱臭部材(50)の脱臭剤(52)の表面に水膜が形成されてしまうのを回避でき、脱臭剤(52)で所望とする吸着作用や触媒作用を得ることができる。また、放電部(30a)で発生した活性種と脱臭剤(52)との接触効率が高まり、脱臭剤(52)に吸着された臭気物質を速やかに酸化分解できる。従って、空気浄化装置(10)の脱臭性能を向上できる。更に、脱臭部材(50)と吸湿部材(60)とを一体的に構成することで、部品点数の削減、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0086】
また、噴出器(31)から放電部(30a)を流れる空気中へ水を供給させることで、臭気物質をスクラバー作用により除去できる。また、水の存在下でストリーマ放電を生起することで、OHラジカルの発生を促すことができ、このOHラジカルで臭気物質を酸化分解することができる。更に、噴出された水によって活性種の拡散効果を向上でき、臭気物質の分解効率が向上する。
【0087】
また、噴出器(31)から噴出された水に対してストリーマ放電を生起させることで、スパークの発生を抑制でき、ストリーマ放電を安定させることができる。更に、噴出器(31)から中空円錐状に水を噴霧すると共に、この中空円錐状の領域の内部に放電電極(32)を位置させることで、放電電極(32)の先端と噴出後の水との間に一定の距離を維持できる。従って、いわゆる電極間距離が所定の距離に維持され、ストリーマ放電を更に安定させることができる。加えて、放電電極(32)の先端部からフレア状あるいは放射状にストリーマ放電を生起させることができるので、放電電極(32)の周囲において活性種を均等に分散させながら生成できる。従って、臭気物質の分解効率が更に向上する。
【0088】
また、噴出された水により放電電極(32)を洗い流すこともできるので、放電電極(32)の表面にオイルミストや埃等の汚れが付着してしまうのも未然に回避できる。更に、噴出された水と活性種とが接触することで、噴出水の殺菌効果も得られるので、例えば水中での菌の増殖に伴って発生するスカム等が噴出器(31)で目詰まりしてしまうことも未然に回避できる。
【0089】
更に、水供給手段(31)から空気中へ間欠的に水を供給するようにしたので、水の供給の停止時には、空気を利用して吸湿部材(60)の吸湿剤を乾燥させることができる。従って、吸湿部材(60)による水分の吸収能力を長時間に亘って維持でき、脱臭部材(50)の濡れを一層確実に防ぐことができる。
【0090】
−実施形態1の変形例−
〈変形例1〉
変形例1に係る空気浄化装置(10)は、上記実施形態1において、脱臭部材(50)の構成が異なるものである。具体的に、変形例1では、脱臭部材(50)と吸湿部材(60)とが別体に構成されている。
【0091】
図4に示すように、変形例1では、空気通路(11)における脱臭部材(50)の上流側に吸湿部材(60)が配設されている。即ち、吸湿部材(60)は、空気通路(11)において、放電ユニット(30)及び集塵ユニット(40)の下流側で、且つ吸湿部材(60)の上流側に配置されている。
【0092】
図5に示すように、吸湿部材(60)は、基材(61)の表面に吸湿剤(62)が担持されて構成されている。基材(61)は、上記実施形態1の基材(51)と同様、所定の吸湿能力を有するもの(例えばセラミックスペーパー)で構成されている。また、吸湿剤(62)は、上記実施形態1の吸湿剤と同様の材料から成る粒状の担体を構成している。
【0093】
一方、吸湿部材(60)の下流側の脱臭部材(50)は、所定の材料から成る基材(51)の表面に、上記実施形態1と同様の脱臭剤(52)(吸着剤や触媒)が担持されて構成されている。なお、脱臭部材(50)の基材(51)を上記実施形態1と同様、吸湿部材(吸湿剤)で構成しても良いのは勿論のことである。
【0094】
変形例1の空気浄化装置(10)の運転時には、空気が脱臭部材(50)を流れる前に上記吸湿部材(60)を通過する。ここで、空気中に含まれる水分は、吸湿部材(60)の基材(61)や吸湿剤(62)に吸収/吸着されて捕捉される。従って、吸湿部材(60)を通過した後の空気は、比較的乾燥した状態となる。この空気が脱臭部材(50)へ送られることで、脱臭部材(50)の脱臭剤(52)に水分が付着されてしまうことが阻止され、脱臭剤(52)の表面が水膜で覆われてしまうことが回避される。
【0095】
以上のように、変形例1では、脱臭部材(50)の上流側において、空気中の水分を吸湿部材(60)により確実に除去するようにしている。従って、脱臭部材(50)への水分の付着を未然に回避でき、脱臭部材(50)で所望とする吸着作用、あるいは触媒作用を得ることができる。
【0096】
〈変形例2〉
変形例2に係る空気浄化装置(10)は、上記実施形態1と噴出器(31)による水分の供給の制御方法が異なるものである。また、変形例2の空気浄化装置(10)は、空気通路(11)に流入する臭気物質の量を検出する臭気センサ(70)を有している。
【0097】
具体的に、臭気センサ(70)は、臭気物質の量を示す指標、即ち所定の臭気物質の物質濃度、臭気物質の臭気濃度(人間の嗅覚で臭気の濃度、あるいは強度を表したもの)、空気浄化装置(10)で単位時間あたりに処理すべき臭気物質の量(即ち、臭気の負荷)等を計測可能な臭気検知手段を構成している。
【0098】
変形例2の水供給量制御手段(15)は、臭気センサ(70)で検出した臭気物質の量を示す指標(以下、臭気量と称する)に基づいて、噴出器(31)から空気中へ供給される水の量を制御する。具体的に、変形例2では、検出された臭気量が大きい場合に噴出器(31)の噴霧量を増大させ、検出された臭気量が小さい場合に噴出器(31)の噴霧量を減少させるようにポンプ(14)を制御する。
【0099】
より詳細には、空気浄化装置(10)の運転時において、臭気センサ(70)で検出した臭気量が大きい場合には、噴出器(31)の噴霧量が多くなるようにポンプ(14)が制御される。これにより、臭気の負荷が大きな条件下においても、噴出器(31)から噴出した水によって臭気物質を多く捕捉でき、且つストリーマ放電に伴うOHラジカルの発生の促進や、水による活性種の拡散効果により、臭気物質を効率良く除去できる。従って、このような高負荷の臭気を確実に除去できる。
【0100】
一方、空気浄化装置(10)の運転時において、臭気センサ(70)で検出した臭気量が小さい場合には、噴出器(31)の噴霧量が小さくなるようにポンプ(14)が制御される。これにより、臭気の負荷が小さな条件下では、噴出器(31)から空気中へ供給される水量が制限される。その結果、脱臭部材(50)へ送られる空気中の水分を最小限に抑えることができ、脱臭部材(50)の濡れを効果的に防止できる。また、この運転では、空気によって吸湿剤を迅速に乾燥させることができるので、吸湿剤の吸湿能力を再生することができる。従って、その後に臭気量が増大して噴出器(31)の噴霧量が多くなっても、空気中の水分を吸湿剤で効率良く捕捉でき、その結果、水分の付着に起因する脱臭部材(50)の能力低下を未然に防止できる。
【0101】
以上のように、変形例2では、臭気の高負荷時に水の供給量を多くするようにしている。ここで、臭気物質として疎水性の物質と親水性の物質とが混在するような場合には、活性種によって疎水性の物質を低分子化させて親水性の物質に変化させると共に親水性の物質を水に溶解させて除去できるので、この臭気物質を放電部(30a)側で除去する方が脱臭性能が向上し易い。また、変形例2の空気浄化装置(10)では、放電部(30a)から脱臭部材(50)までのスペースが比較的広く、臭気物質と活性種の反応時間、あるいは臭気物質と水の接触時間を充分確保できるので、臭気物質を放電部(30a)側で除去する方が脱臭性能が向上し易い。従って、変形例2のように臭気の高負荷時に水の供給量を多くすることで、空気浄化装置(10)の脱臭性能を効果的に向上できる。
【0102】
なお、臭気センサ(70)で検出した臭気量が小さい場合には、ポンプ(14)を停止させて噴出器(31)の噴霧動作を完全に停止しても良い。また、噴出器(31)の噴霧量は、臭気量に応じてリニアに制御しなくても良く、所定の判定値を基準として段階的に制御するものであっても良い。
【0103】
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2の空気浄化装置(10)は、家庭向けのいわゆる空気清浄機であって、室内空間の清浄化を図るものである。空気浄化装置(10)は室内に設置されており、室内空気を取り込んで処理した後、処理後の空気を室内へ供給する。
【0104】
図7に示すように、空気浄化装置(10)は、矩形状のケーシング(80)を備えている。ケーシング(80)には、前面に空気吸込口(81)が、上面に空気吹出口(82)がそれぞれ形成されている。ケーシング(80)内には、空気吸込口(81)から空気吹出口(82)に亘って、空気が流れる空気通路(11)が形成されている。
【0105】
空気通路(11)には、その上流側から下流側に向かって順に、プレフィルタ(84)、放電ユニット(30)、吸湿部材(60)、脱臭部材(50)、及び送風ファン(86)が配設されている。プレフィルタ(84)は、空気中の比較的大きな塵埃を物理的に捕集する集塵用のフィルタを構成している。
【0106】
放電ユニット(30)は、上記実施形態1と同様、噴出器(31)と放電電極(32)と電源(33)とを有している。実施形態2の噴出器(31)は、その噴出口が下方を向くよう支持されている。一方、放電電極(32)は、対応する噴出器(31)の下側に配設され、その先端部が上方を向いている。そして、噴出器(31)及び放電電極(32)の軸心は、鉛直となるようにして互いに一致している。噴出器(31)、放電電極(32)、及び電源(33)のこれ以外の構成は、上記実施形態1と同様である。
【0107】
また、実施形態2では、ケーシング(80)内の下部に回収容器(90)が設置されている。回収容器(90)は、噴出器(31)の鉛直下方に位置し、噴出器(31)から噴出された水を回収可能に構成されている。
【0108】
回収容器(90)は、水返送流路(91)を介して水タンク(93)と繋がっている。水タンク(93)は、ケーシング(80)内の上部に配設されている。また、水返送流路(91)には、回収容器(90)に回収された水を水タンク(93)に送るための返送ポンプ(92)が設けられている。更に、水タンク(93)は、所定の水通路を通じて噴出器(31)と繋がっている。この水通路には、ポンプ(14)が設けられ、水タンク(93)の水を噴出器(31)へ移送可能となっている。
【0109】
吸湿部材(60)及び脱臭部材(50)は、上記実施形態1の変形例1と同様に構成されている。つまり、吸湿部材(60)は、基材(61)の表面に水分の吸湿能力を吸湿剤が担持されると共に脱臭部材(50)の上流側に配設されている。一方、脱臭部材(50)は、基材(51)の表面に脱臭剤(52)が担持されている。また、実施形態2の脱臭剤(52)は、臭気物質を吸着する吸着作用を少なくとも有している。
【0110】
また、実施形態2の空気浄化装置(10)は、上記実施形態1の変形例2と同様に、空気通路(11)へ流入する空気中の臭気物質の量を検出する臭気センサ(70)が設けられている。更に、実施形態2の空気浄化装置(10)は、噴出器(31)の噴霧量を制御するための水供給量制御手段(15)を有している。水供給量制御手段(15)は、臭気センサ(70)で検出された臭気量が小さい場合に噴出器(31)の噴霧量を増大させ、検出された臭気量が大きい場合に噴出器(31)の噴霧量を減少させるようにポンプ(14)を制御する。
【0111】
−運転動作−
次に、実施形態2の空気浄化装置(10)の運転動作について説明する。空気浄化装置(10)の運転時には、送風ファン(86)及びポンプ(14)が運転状態となり、噴出器(31)及び放電電極(32)に電源(33)から電圧が印加される。
【0112】
送風ファン(86)によって空気吸込口(81)から空気通路(11)に取り込まれた室内空気は、プレフィルタ(84)を通過する。プレフィルタ(84)では、空気中に含まれる塵埃が捕捉される。その後、空気は放電ユニット(30)の放電部(30a)を通過する。
【0113】
放電ユニット(30)の放電部(30a)では、上記実施形態1と同様、噴出器(31)から中空円錐状に噴出される水に対して、放電電極(32)からストリーマ放電が生起している。このストリーマ放電によりOHラジカル等の活性種が発生し、臭気物質が活性種と反応して酸化分解される。また、臭気物質は噴出器(31)から噴出された水に吸収されて除去される。
【0114】
放電ユニット(30)の放電部(30a)を流出した空気は、吸湿部材(60)を通過する。吸湿部材(60)では、空気中に含まれる水分が基材(61)や吸湿剤(62)に捕捉される。吸湿部材(60)によって水分が除去された空気は、脱臭部材(50)を通過する。ここで、この空気は比較的湿度が低くなっているので、脱臭部材(50)の濡れが抑制される。従って、脱臭部材(50)では、空気中に残存する臭気物質が効果的に脱臭剤(52)に吸着され、更には触媒作用により効果的に酸化分解されて除去される。以上のようにして清浄化された空気は、空気吹出口(82)より室内へ供給される。
【0115】
また、このような運転動作時には、水供給量制御手段(15)によって噴出器(31)の噴霧量が制御される。具体的には、臭気センサ(70)で検出した臭気量が大きい場合には、噴出器(31)の噴霧量が少なくなるようにポンプ(14)が制御される。これにより、臭気の負荷が大きな条件では、脱臭部材(50)の濡れを最小限に抑えることができる。従って、脱臭部材(50)では、吸着剤としての脱臭剤(52)の表面が水膜に覆われるのを確実に回避でき、脱臭剤(52)による吸着剤の吸着能力を最大限に発揮させることができる。従って、高負荷の臭気物質を脱臭部材(50)に確実に吸着させて除去できる。また、この運転では、空気によって吸湿部材(60)の吸湿剤の吸湿能力を確実に再生させることができる。
【0116】
一方、臭気センサ(70)で検出した臭気量が小さい場合には、噴出器(31)の噴霧量が多くなるようにポンプ(14)が制御される。これにより、臭気の負荷が小さいな条件では、ストリーマ放電に伴うOHラジカルの発生を促し、更に活性種の拡散効果を高めることができる。その結果、脱臭部材(50)の吸着された臭気物質を活性種によって時間をかけながら酸化分解することができ、脱臭部材(50)の吸着能力を回復させることができる。よって、その後に再び臭気の負荷が大きくなった場合にも、脱臭部材(50)によって臭気物質を確実に除去することができる。
【0117】
なお、実施形態2においても、臭気センサ(70)で検出した臭気量が大きい場合には、ポンプ(14)を停止させて噴出器(31)の噴霧動作を完全に停止しても良い。また、噴出器(31)の噴霧量は、臭気量に応じてリニアに制御しなくても良く、所定の判定値を基準として段階的に制御するものであっても良い。
【0118】
−実施形態2の効果−
上記実施形態2においても、脱臭部材(50)の上流側において、空気中の水分を吸湿部材(60)により確実に除去するようにしている。従って、脱臭部材(50)への水分の付着を未然に回避でき、脱臭部材(50)で所望とする吸着作用、あるいは触媒作用を得ることができる。
【0119】
また、上記実施形態2では、臭気の負荷が大きい場合に噴出器(31)からの水の供給量を少なくすることで、脱臭部材(50)や吸湿部材(60)を速やかに乾燥状態とすることができる。これにより、吸湿部材(60)の吸湿能力を速やかに再生すると共に、脱臭部材(50)の濡れを最小限に抑えて吸着能力を最大限に発揮させることができる。従って、高負荷の臭気を脱臭部材(50)に吸着させて除去できる。
【0120】
特に、臭気物質として疎水性の物質が多く含まれる場合には、この臭気物質を脱臭部材(50)で吸着させる方が脱臭性能が向上し易い。また、実施形態2の空気浄化装置(10)は、放電部(30a)から脱臭部材(50)までの間のスペースが比較的狭く、臭気物質と活性種の反応時間、あるいは臭気物質と水の接触時間を充分確保できないので、臭気物質を脱臭部材(50)で吸着させる方が脱臭性能が向上し易い。従って、実施形態2のように臭気の高負荷時に水の供給量を少なくすることで、空気浄化装置(10)の脱臭性能を向上できる。
【0121】
また、臭気の負荷が小さい場合に噴出器(31)からの水の供給量を多くすることで、OHラジカル等の活性種の発生量、あるいは拡散効果を促すことができる。従って、脱臭部材(50)に吸着された臭気物質を徐々に酸化分解して、脱臭部材(50)の吸着能力を回復させることができる。
【0122】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0123】
以上説明したように、本発明は、空気中の臭気物質を除去する空気浄化装置について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】図1は、実施形態1に係る空気浄化装置の全体構成図である。
【図2】図2は、実施形態1の脱臭部材の概略の構成図である。
【図3】図3は、放電部の近傍を拡大した概略の構成図である。
【図4】図4は、実施形態1の変形例1に係る空気浄化装置の全体構成図である。
【図5】図5は、実施形態1の変形例1の吸湿部材の概略の構成図である。
【図6】図6は、実施形態1の変形例2に係る空気浄化装置の全体構成図である。
【図7】図7は、実施形態2に係る空気浄化装置の全体構成図である。
【符号の説明】
【0125】
10 空気浄化装置
11 空気通路
15 水供給量制御手段
30a 放電部
31 噴出器(水供給手段)
32 放電電極
33 電源
50 脱臭部材
51 基材
52 脱臭剤
60 吸湿部材
61 基材
62 吸湿剤
70 臭気センサ(臭気検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が流れる空気通路(11)に配置されると共に対となる電極(31,32)の間でストリーマ放電を生起する放電部(30a)と、上記空気通路(11)における該放電部(30a)の下流側に配置されると共に空気中の臭気物質を吸着又は酸化分解して除去する脱臭剤を有する脱臭部材(50)とを備えた空気浄化装置であって、
上記空気通路(11)には、上記脱臭部材(50)の脱臭剤への水の付着を阻止するように空気中の水を捕捉する吸湿剤を有する吸湿部材(60)が設けられていることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記放電部(30a)を流れる空気中へ水を供給する水供給手段(31)を更に備えていることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記吸湿部材(60)は、上記空気通路(11)における上記放電部(30a)の下流側で、且つ上記脱臭部材(50)の上流側に配置されていることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項4】
請求項1又は2において、
上記脱臭部材(50)は、基材(51)の表面に上記脱臭剤が担持されて構成されており、
上記吸湿部材(60)が、上記脱臭部材(50)の基材(51)を兼ねていることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1つにおいて、
上記水供給手段(31)から空気中への水の供給と、該空気中への水の供給の停止とが所定時間毎に繰り返されるように水供給手段(31)の供給水量を制御する水供給量制御手段(15)を備えていることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項6】
請求項2乃至4のいずれか1つにおいて、
上記空気通路(11)へ流入する空気中の臭気物質の量を示す指標を検出する臭気検知手段(70)と、
上記臭気検知手段(70)で検出された臭気物質の量を示す指標が大きい場合に、上記水供給手段(31)から空気中へ供給される水の量を増大させるように該水供給手段(31)の供給水量を制御する水供給量制御手段(15)とを備えていることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項7】
請求項2乃至4のいずれか1つにおいて、
上記脱臭部材(50)の脱臭剤は、空気中の臭気物質を吸着する吸着剤で構成され、
上記空気通路(11)へ流入する空気中の臭気物質の量を示す指標を検出する臭気検知手段(70)と、
上記臭気検知手段(70)で検出された臭気物質の量を示す指標が大きい場合に、上記水供給手段(31)から空気中へ供給される水の量を減少させるように該水供給手段(31)の供給水量を制御する水供給量制御手段(15)とを備えていることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項8】
請求項2乃至7のいずれか1つにおいて、
上記放電部(30a)は、上記水供給手段として水を空気中へ噴霧する噴出器(31)と、該噴出器(31)と対向するように設けられる放電電極(32)とを備え、電源(33)から上記噴出器(31)と放電電極(32)との間に電位差を与えることで、上記放電電極(32)から上記噴出器(31)の噴出後の水に向かってストリーマ放電を生起するように構成されていることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項9】
請求項8において、
上記噴出器(31)は、水を中空円錐状に噴出するように構成され、
上記放電電極(32)の先端部は、上記噴出器(31)から噴出される水が存在する中空円錐状の領域の内側に位置しており、
上記放電部(30a)は、上記放電電極(32)の先端部から上記噴出器(31)の噴出後の水に向かってストリーマ放電を生起するように構成されていることを特徴とする空気浄化装置。
【請求項10】
請求項9において、
上記放電電極(32)は、その先端が上記噴出器(31)の噴出口側を向くような針状の電極で構成されていることを特徴とする放電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−125122(P2009−125122A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300502(P2007−300502)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】