空気浮上式ベルトコンベア
【課題】空気浮上式ベルトコンベアにおいて、ベルト支持体を複数の板から構成する場合に、板の継目における段差の調整を容易にする。
【解決手段】ベルト3の下方に配置されベルト3の長手方向に延び、空圧でベルト3を支持するベルト支持体5を備える。ベルト支持体5には、ベルト3を浮上させるためにベルト3の下面へ空気を噴出する噴出孔7aが設けられる。ベルト支持体5は、ベルト3の長手方向に連続して配列された複数の平板7からなる。
【解決手段】ベルト3の下方に配置されベルト3の長手方向に延び、空圧でベルト3を支持するベルト支持体5を備える。ベルト支持体5には、ベルト3を浮上させるためにベルト3の下面へ空気を噴出する噴出孔7aが設けられる。ベルト支持体5は、ベルト3の長手方向に連続して配列された複数の平板7からなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載物を載せる無端状のベルトを空気圧で浮上走行させる空気浮上式ベルトコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、空気浮上式ベルトコンベアの側面図であり、図2は、図1のII−II矢視図である。
【0003】
空気浮上式ベルトコンベアは、鉱石、石炭、穀物などの積載物1をベルト41に載せて次のように搬送する。空気浮上式ベルトコンベヤでは、無端状のベルト41がキャリア側のベルト支持体(トラフ)43上とリターン側のベルト支持体(トラフ)45上を走行させられる。走行するベルト41は、積載物1をベルト支持体43の一方の端部側の投入口46から積載物1を受け取って積載し、ベルト支持体43の他方の端部側のシュート47へ積載物1を降ろす。シュート47へ積載物1を降ろしたベルト41は、ヘッドプーリ49を回って上下逆になり、次いで、リターン側のベルト支持体45上を走行してテールプーリ51を回って上下が元に戻り、再び投入口46から投入された積載物1を載せてキャリア側のベルト支持体43上を走行する。
【0004】
空気浮上式ベルトコンベヤは、浮上走行する。即ち、空気浮上式ベルトコンベヤは、キャリア側のベルト支持体43またはリターン側のベルト支持体45から浮上した状態で、ベルト支持体43上またはベルト支持体45上を走行する。ベルト41を浮上させるために、送風機53、ダクト55、および噴出孔57が設けられる、送風機53は、ダクト55へ空気を供給する。ダクト55に供給された空気は、キャリア側のベルト支持体43またはリターン側のベルト支持体45に形成された噴出孔57を通って、ベルト支持体43またはベルト支持体45とベルト41との間の空間に噴出される。これにより、該空間に圧縮空気の層が形成されることで、ベルト41は、浮上した状態で走行する。
【0005】
上述したような空気浮上式ベルトコンベアは、例えば下記の特許文献1、2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−261213号公報
【特許文献2】特開平8−244933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述したような空気浮上式ベルトコンベアでは、ベルト支持体(トラフ)43、45を、各々独立した板(例えば鉄板)を継ぎ合わせて構成するため、継目の段差調整が負担となっていた。ベルト支持体43、45はベルト41の走行方向(即ち、長手方向)に長いため、断面が曲面である曲面板(図2を参照)を複数用意し、これら曲面板を前記長手方向に継ぎ合わせてベルト支持体43、45を構成している。各曲面板は、その曲がり具合が異なることが多く、曲がり具合の違いにより、曲面板の継目には段差が生じる。段差は、ベルト41の走行抵抗となるため、研磨装置(sander)などで曲面板の表面を削ることで、段差を無くす段差調整が必要であった。このような段差調整は、手間と時間がかかり、負担となっていた。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ベルト支持体を複数の板から構成する場合に、板の継目における段差の調整を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明によると、積載物を載せる無端状のベルトを空気圧で浮上走行させる空気浮上式ベルトコンベアであって、
前記ベルトの下方に配置され前記ベルトの長手方向に延び、空圧で前記ベルトを支持するベルト支持体を備え、
前記ベルト支持体には、前記ベルトを浮上させるために前記ベルトの下面へ空気を噴出する噴出孔が設けられ、
前記ベルト支持体は、前記ベルトの長手方向に連続して配列された複数の平板からなる、ことを特徴とする空気浮上式ベルトコンベアが提供される。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によると、キャリア側の前記ベルト支持体において、3枚の前記平板が前記ベルトの幅方向に連続して配列され、
前記3枚の平板のうち、中央の平板は、水平に配置されるか、または前記長手方向において高低差が生じるように水平面から傾いて配置され、両側の平板は、上面が前記中央の側を向くように水平面から傾けて配置される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によると、リターン側の前記ベルト支持体は、3枚の前記平板が前記ベルトの幅方向に連続して配列され、該3枚の平板の全体の形状が平板状となる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によると、前記3枚の平板の各々には、前記噴出孔が貫通する。
【0013】
また、本発明の好ましい実施形態によると、前記各平板は、同じ構成を有する。好ましくは、前記ベルト支持体は、同じ構成を有する複数の単位構造体からなり、各単位構造体は、1枚の前記平板と、前記噴出孔へ導入する空気が流れるダクトと、を有する。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によると、リターン側の前記ベルト支持体を構成する複数の前記平板が形成する全体の形状は、平板状である。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によると、空気浮上式ベルトコンベアは、前記ベルトがヘッドプーリを回って上下面が逆になることで、該ベルトから落下する積載物を受けるシュートと、前記ヘッドプーリを回った直後のベルトの下面に空気を噴出し、これにより、前記ベルトに残留している積載物を前記シュートへ落下させるノズル装置と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
上述した本発明によると、複数の平板をベルトの長手方向に連続して配列することでベルト支持体を構成するので、平板同士の継目において生じやすい段差を容易に調整できる。即ち、平板は、曲面板と違って、その曲がり具合の違いによりその継目に段差が生じることがなく、段差を無くすように平板の高さまたは姿勢を調整するだけでよい。本発明の実施形態による他の効果は後述する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来における空気浮上式ベルトコンベアの側面図である。
【図2】図1のII−II矢視図である。
【図3】本発明の実施形態による空気浮上式ベルトコンベアの側面図である。
【図4】図3のIV−IV矢視図である。
【図5】図3のV−V矢視図であるが、キャリア側のベルト支持体のみを示し、他の部材を省略している。
【図6】図3のVI−VI矢視図であるが、キャリア側のベルト支持体のみを示し、他の部材を省略している。
【図7】図3のVII−VII矢視図であるが、リターン側のベルト支持体のみを示し、他の部材を省略している。
【図8】図3のVIII−VIII矢視図であるが、リターン側のベルト支持体のみを示し、他の部材を省略している。
【図9】キャリア側の平板を支持する高さ調整機構を示している。
【図10】リターン側の平板を支持する高さ調整機構を示している。
【図11】図9または図10のA−A矢視図であり、図9または図10のB−B矢視図でもあり、図9または図10のC−C矢視図でもある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0019】
図3と図4は、本発明の実施形態による空気浮上式ベルトコンベア10を示す。図3は側面図であり、図4は、図3のIV−IV矢視図である。
【0020】
空気浮上式ベルトコンベア10は、無端状のベルト3を空気圧で浮上走行させる装置であり、ベルト3の下方に配置されベルト3の長手方向(以下、単に長手方向ともいう)に延び、ベルト3を空圧で支持するベルト支持体5を備える。ベルト支持体5には、ベルト3を浮上させるためにベルト3の下面へ空気を噴出する噴出孔7aが設けられる。
【0021】
本実施形態によると、ベルト支持体5は、ベルト3の長手方向および幅方向(以下、単に幅方向ともいう)に連続して配列された複数の平板7を有する。これら複数の平板7は、互いに別個の板として製作される。また、各平板7は、その厚み方向から見た場合、その形状が長方形である。図5は、図3のV−V矢視図であるが、キャリア側のベルト支持体5のみを示し、他の部材を省略している。図6は、図3のVI−VI矢視図であるが、キャリア側のベルト支持体5のみを示し、他の部材を省略している。図7は、図3のVII−VII矢視図であるが、リターン側のベルト支持体5のみを示し、他の部材を省略している。図8は、図3のVIII−VIII矢視図であるが、リターン側のベルト支持体5のみを示し、他の部材を省略している。図5〜図8のように、ベルト支持体5は、前記長手方向に連続して配列された複数の平板7を継目9で継ぎ合わせることで構成される。各平板7は、後述の高さ調整機構15(図3、図4では、図示を省略している)に固定される。継目9は、適切な材料で塞がれる。例えば.樹脂やシリコーンなどのシール材やコーキング材で継目9を塞ぐ。なお、継目9は、ベルト3の長手方向または幅方向に隣接する2枚の平板7の境界部である。また、各平板7には、該平板7を貫通する上述の噴出孔7aが形成される。噴出孔7aは、各平板7において、前記長手方向に間隔を置いて複数形成される。
【0022】
ベルト支持体5として、キャリア側のベルト支持体5と、リターン側のベルト支持体5とが設けられる。キャリア側のベルト支持体5は、リターン側のベルト支持体5よりも上方に位置し、噴出孔7aからの噴出空気により、積載物1を上面に載せているベルト3との間に圧縮空気層を形成する。これにより、積載物1を載せたベルト3が、キャリア側のベルト支持体5から浮上する。一方、リターン側のベルト支持体5は、キャリア側のベルト支持体5よりも下方に位置し、噴出孔7aからの噴出空気により、積載物1をシュート29に落とした後のベルト3との間に圧縮空気層を形成する。これにより、積載物1を載せていないベルト3が、リターン側のベルト支持体5から浮上する。
【0023】
キャリア側のベルト支持体5において、3枚の平板7がベルト3の幅方向に連続して配列される。これら3枚の平板7のうち、中央の平板7(以下、中央平板という)は、水平に配置され、両側の平板7(以下、側部平板という)は、上面が前記中央の側を向くように水平面から傾けて配置される。言い換えると、図4において、2つの側部平板7のうち、右側の側部平板7は、水平面から所定の鋭角だけ傾いていることで、該側部平板7における中央平板7と反対側の一方端部が、中央の平板7に継ぎ合わされる該側部平板7の他方端部よりも高くなっている。同様に、図4において、2つの側部平板7のうち、左側の側部平板7は、水平面から所定の鋭角だけ傾いていることで、該側部平板7における中央平板7と反対側の一方端部が、中央の平板7に継ぎ合わされる該側部平板7の他方端部よりも高くなっている。
【0024】
リターン側のベルト支持体5において、3枚の平板7(以下、図4の右側から順に、側部平板7、中央平板7、および側部平板7という)がベルト3の幅方向に連続して配列される。これら側部平板7、中央平板7、および側部平板7は、同じ高さで水平に配置されている。従って、リターン側のベルト支持体5を構成する複数の平板7が形成する全体の形状は、平板状である。
【0025】
各平板7の下面には、図4、図6、図8のように、ダクト11が溶接などにより取り付けられる。ダクト11は、対応する平板7における前記幅方向の中央に位置し、該平板7における前記長手方向の一端から前記長手方向の他端まで延びている。また、ダクト11は、図4の例では、断面がコの字状であり、前記長手方向の両端には、開口部が形成されている。前記長手方向に隣接する2枚の平板7にぞれぞれ設けられる2つのダクト11の開口部が、互いに突き合され、継ぎ合わされる。当該2つのダクト11の境界が、シール材やコーキングで埋められることで、当該2つのダクト11の内部が両者の境界において上述のシール材やコーキングで気密にされ、かつ、当該2つのダクト11の内部同士は前記開口部を通して連通する。なお、ベルト支持体5において前記長手方向の両端にある平板7について、この平板7のダクト11の一方端は、隣接する平板7のダクト11に突き合されないので、適宜の手段により気密に閉じられる。また、ダクト11には、後述の送風機13から配管14(図3において破線で示す)を通して空気が導入される空気導入孔11aが形成される。また、平板7の下面に取り付けられるダクト11の内部には、平板7に形成される上述の噴出孔7aが連通する。
【0026】
本実施形態によると、複数の平板7は、同じ構成を有する。即ち、キャリア側のベルト支持体5とリターン側のベルト支持体5の各々において、前記長手方向に配列される複数の平板7は、同じ構成を有し、前記幅方向に配列される複数の平板7は、同じ構成を有する。また、キャリア側のベルト支持体5を構成する各平板7は、リターン側のベルト支持体5を構成する各平板7と同じ構成を有する。従って、キャリア側のベルト支持体5も、リターン側のベルト支持体5も、同じ構成を有する複数の平板7を前記長手方向と前記幅方向に連続して配列することで構成される。ここで、複数の平板7が同じ構成を有するとは、これら平板7が、同じ寸法と形状を有することをいう。ただし、これら平板7の間で噴出孔7aの数と位置が異なっていても、これら平板7は、同じ構成を有すると言ってよい。また、製作誤差が複数の平板7の間に生じていても、これら平板7は、同じ構成を有すると言ってよい。
【0027】
上述のように、複数の平板7が同じ構成を有する場合、好ましくは、キャリア側のベルト支持体5とリターン側のベルト支持体5の各々は、同じ構成を持つ複数の単位構造体から構成される。各単位構造体は、1枚の平板7と、該平板7に形成された噴出孔7aに該平板7の下面側から連通するダクト11と、を有する。従って、キャリア側のベルト支持体5とリターン側のベルト支持体5の各々において、前記長手方向に配列される複数の単位構造体は、同じ構成を有し、前記幅方向に配列される複数の単位構造体は、同じ構成を有する。また、キャリア側のベルト支持体5を構成する各単位構造体は、リターン側のベルト支持体5を構成する各単位構造体と同じ構成を有する。より好ましくは、単位構造体は、1枚の平板7と、該平板7に設けられるダクト11と、後述の結合部材17とからなる。複数の単位構造体が同じ構成を有するとは、複数の単位構造体の間でダクト11の形状と寸法と(平板7への)取付位置が同じであることをいう。また、単位構造体が結合部材17も有する場合には、複数の単位構造体が同じ構成を有するとは、複数の単位構造体の間でダクト11の形状と寸法と(平板7への)取付位置が同じであるだけでなく、複数の単位構造体の間で結合部材17の形状と寸法と(平板7への)取付位置と数が同じであることを言う。ただし、複数の単位構造体の間で、空気導入孔11aの寸法や位置が異なっていても、これら単位構造体は、同じ構成であると言ってよい。また、図3〜図8の例では、前記長手方向に配列される複数の単位構造体の各々のダクト11に空気導入孔11aが形成されているが、前記長手方向に配列される複数の単位構造体のうち1つ以上の単位構造体のダクト11に、空気導入孔11aが形成されていればよいので、複数の単位構造体の間に、ダクト11に空気導入孔11aが形成されているか形成されていないかの違いがあっても、これら単位構造体は、同じ構成であると言ってよい。
【0028】
また、空気浮上式ベルトコンベア10は、平板7を支持し平板7の高さを調整する高さ調整機構15を備える、高さ調整機構15を図9に示す。図9は、図4において、キャリア側のベルト支持体3を構成する平板7とこれら平板7を支持する高さ調整機構15を示している。図10は、図4において、リターン側のベルト支持体3を構成する平板7とこれら平板7を支持する高さ調整機構15を示している。図11は、図9または図10のA−A矢視図であり、図9または図10のB−B矢視図でもあり、図9または図10のC−C矢視図でもある。高さ調整機構15は、各平板7毎に設けられる。各高さ調整機構15は、1対の支柱19、横材21、1対の高さ調整ボルト23、および1対の土台25を有する。支柱19には、平板7の下面に溶接されたL字状の結合部材17がボルト35で結合される。支柱19は、横材21と一体となっている。横材21は、1対の高さ調整ボルト23により土台25に対し高さと傾きが調整可能となっている。高さ調整ボルト23の一端部は、横材21のボルト孔21aに螺合し、高さ調整ボルト23の他端部は、土台25のボルト孔25aに螺合する。高さ調整ボルト23の一端部と他端部は、ネジが互いに逆向きに切られているので、高さ調整ボルト23を回転させることで、横材21と土台25との距離が調整される。高さ調整ボルト23に一体的に固定されたナット23aをレンチやスパナなどで回転させることで、高さ調整ボルト23が回転する。1対の高さ調整ボルト23の両方または一方を回転することで、平板7の高さまたは傾きが調整できる。なお、高さ調整機構15が、各平板7毎に、前記長手方向に2つ以上設けられるのがよい。
【0029】
好ましくは、空気浮上式ベルトコンベア10は、シュート29(即ち、排出口29)内に設けられたノズル装置26を備える。シュート(chute)29は、ベルト3がヘッドプーリ31を回って上下面が逆になることで、ベルト3から落下する積載物1を受ける。ノズル装置26は、ヘッドプーリ31を回った直後のベルト3の下面に空気を噴出し、これにより、ベルト3に残留している積載物1をシュート29へ落下させる。好ましくは、ノズル装置26が噴出する空気は、上述のベルト支持体5の噴出孔7aへ空気を送る送風機13から供給される。
【0030】
上述した空気浮上式ベルトコンベア10の動作を説明する。空気浮上式ベルトコンベア10は、キャリア側ベルト支持体5またはリターン側のベルト支持体5から浮上した状態で、キャリア側のベルト支持体5上とリターン側のベルト支持体5上を走行する。空気浮上式ベルトコンベア10を浮上させるために、送風機13は、空気をダクト11へ供給する。ダクト11に供給された空気は、キャリア側のベルト支持体5(即ち、平板7とリターン側のベルト支持体5(即ち、平板7)に形成された噴出孔7aを通って、キャリア側のベルト支持体5またはリターン側のベルト支持体5とベルト3との間の空間に噴出される。これにより、該空間に圧縮空気の層が形成されることで、ベルト3は、ベルト支持体5から浮上した状態で走行する。空気浮上式ベルトコンベア10は、投入口27、シュート29、ヘッドプーリ31、およびテールプーリ33をさらに備え、次のように、積載物1を搬送する。ヘッドプーリ31とテールプーリ33にベルト3が掛けられ、ヘッドプーリ31またはテールプーリ33が回転駆動されることで、前記長手方向にベルト3が走行する。テールプーリ33側にある投入口27からベルト3上に積載物1が投入される。この積載物1は、ベルト3の走行により、ヘッドプーリ31まで搬送され、ヘッドプーリ31を回る時に、ベルト3の上下が反転することでシュート29内へ落とされる。ヘッドプーリ31を回った直後にベルト3の下面には、ノズル装置26から空気が噴出され、これにより、ベルト3の下面に残留した積載物がシュート29内へ落下する。
【0031】
上述した本発明の実施形態によると、以下の効果(A)〜(F)が得られる。
【0032】
(A)複数の平板7をベルト3の長手方向に連続して配列することでベルト支持体5を構成するので、平板7同士の継目9において生じやすい段差を容易に調整できる。即ち、平板7は、曲面板と違って、その曲がり具合の違いにより継目に段差が生じることがなく、段差を無くすように平板7の高さまたは姿勢を調整するだけでよい。また、このように段差が無くなることで、ベルト3の走行抵抗が低減されるので、ベルト走行に用いるモータの出力を下げられ、ベルト走行による騒音と振動が低減される。
【0033】
(B)キャリア側のベルト支持体5において、3枚の平板7(即ち、中央平板7とその両側の側部平板7)がベルト3の幅方向に連続して配列され、これら3枚の平板7のうち、中央平板7は、水平に配置され、両側の側部平板7は、上面が前記中央の側を向くように水平面から傾けて配置されるので、キャリア側のベルト支持体5からベルト3が、外れてしまうことが防止される。
【0034】
(C)キャリア側のベルト支持体5において、両側の側部平板7の各噴出孔7aが空気を噴出する方向は、中央平板7の側を向く水平方向の成分を有するので、該噴出孔7aから噴出する空気によりベルト3の蛇行が防止される。なお、各噴出孔7aが空気を噴出する方向は、図4、図9において、噴出孔7aが平板を貫通している方向である。
【0035】
(D)好ましくは、同じ構成を有する平板7を複数製作して、これら平板7を前記長手方向と前記幅方向に継ぎ合わせることでベルト支持体5を製作できるので、ベルト支持体5の製作に要する加工費と、ベルト支持体5を現場に据え付けるための作業時間とが、大幅に短縮される。さらに好ましくは、同じ構成を有する単位構造体を複数製作し、これら単位構造体を前記長手方向と前記幅方向に継ぎ合わせることでベルト支持体5を製作できるので、ベルト支持体5の製作に要する加工費と、ベルト支持体5を現場に据え付けるための作業時間とが、さらに短縮される。
【0036】
(E)リターン側のベルト支持体5は、その全体が水平な上面を有する平板状に構成されているので、リターン側のベルト支持体5の鉛直寸法を小さくできる。
【0037】
(F)ノズル装置26が、ベルト3下面に残留している積載物1をシュート29内へ落下させてベルト3を清掃できる。
【0038】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、以下のように変更してよい。以下の各変更内容を、単独でまたは組み合わせて採用してよく、この場合、他の構成は、上述した実施形態や図3〜図11と同じであってよい。
【0039】
上述の実施形態では、リターン側のベルト支持体5は、前記幅方向において3枚の平板7を継ぎ合わせていたが、これら3枚の平板を1枚の平板に置き換えてもよい。
【0040】
高さ調整機構15は、上述の実施形態で説明した構成に限定されず、各平板7の高さと姿勢が調整できれば、他の構成を有する機構であってもよい。
【0041】
上述の実施形態では、キャリア側のベルト支持体5において、前記幅方向の中央にある中央平板7は、水平に配置されたが、中央平板7は、該中央平板7における前記長手方向の一端と他端との間で高低差が生じるように水平面から傾いて配置されてもよい。この場合、側部平板7は、該側部平板7の上面が前記中央の側を向くように水平面から傾いて、かつ、中央平板7と同様に、該側部平板7における前記長手方向の一端と他端との間で高低差が生じるように水平面から傾いて配置される。
【符号の説明】
【0042】
1 積載物、3 ベルト、5 ベルト支持体、
7 平板、7a 噴出孔、9 継目、
10 空気浮上式ベルトコンベア、11 ダクト、
11a 空気導入孔、13 送風機、14 配管、
15 高さ調整機構、17 結合部材、19 支柱、
21 横材、21a ボルト孔、23 高さ調整ボルト、
23a ナット、25 土台、25a ボルト孔、
26 ノズル装置、27 投入口、29 シュート、
31 ヘッドプーリ、33 テールプーリ、
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載物を載せる無端状のベルトを空気圧で浮上走行させる空気浮上式ベルトコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、空気浮上式ベルトコンベアの側面図であり、図2は、図1のII−II矢視図である。
【0003】
空気浮上式ベルトコンベアは、鉱石、石炭、穀物などの積載物1をベルト41に載せて次のように搬送する。空気浮上式ベルトコンベヤでは、無端状のベルト41がキャリア側のベルト支持体(トラフ)43上とリターン側のベルト支持体(トラフ)45上を走行させられる。走行するベルト41は、積載物1をベルト支持体43の一方の端部側の投入口46から積載物1を受け取って積載し、ベルト支持体43の他方の端部側のシュート47へ積載物1を降ろす。シュート47へ積載物1を降ろしたベルト41は、ヘッドプーリ49を回って上下逆になり、次いで、リターン側のベルト支持体45上を走行してテールプーリ51を回って上下が元に戻り、再び投入口46から投入された積載物1を載せてキャリア側のベルト支持体43上を走行する。
【0004】
空気浮上式ベルトコンベヤは、浮上走行する。即ち、空気浮上式ベルトコンベヤは、キャリア側のベルト支持体43またはリターン側のベルト支持体45から浮上した状態で、ベルト支持体43上またはベルト支持体45上を走行する。ベルト41を浮上させるために、送風機53、ダクト55、および噴出孔57が設けられる、送風機53は、ダクト55へ空気を供給する。ダクト55に供給された空気は、キャリア側のベルト支持体43またはリターン側のベルト支持体45に形成された噴出孔57を通って、ベルト支持体43またはベルト支持体45とベルト41との間の空間に噴出される。これにより、該空間に圧縮空気の層が形成されることで、ベルト41は、浮上した状態で走行する。
【0005】
上述したような空気浮上式ベルトコンベアは、例えば下記の特許文献1、2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−261213号公報
【特許文献2】特開平8−244933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述したような空気浮上式ベルトコンベアでは、ベルト支持体(トラフ)43、45を、各々独立した板(例えば鉄板)を継ぎ合わせて構成するため、継目の段差調整が負担となっていた。ベルト支持体43、45はベルト41の走行方向(即ち、長手方向)に長いため、断面が曲面である曲面板(図2を参照)を複数用意し、これら曲面板を前記長手方向に継ぎ合わせてベルト支持体43、45を構成している。各曲面板は、その曲がり具合が異なることが多く、曲がり具合の違いにより、曲面板の継目には段差が生じる。段差は、ベルト41の走行抵抗となるため、研磨装置(sander)などで曲面板の表面を削ることで、段差を無くす段差調整が必要であった。このような段差調整は、手間と時間がかかり、負担となっていた。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ベルト支持体を複数の板から構成する場合に、板の継目における段差の調整を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明によると、積載物を載せる無端状のベルトを空気圧で浮上走行させる空気浮上式ベルトコンベアであって、
前記ベルトの下方に配置され前記ベルトの長手方向に延び、空圧で前記ベルトを支持するベルト支持体を備え、
前記ベルト支持体には、前記ベルトを浮上させるために前記ベルトの下面へ空気を噴出する噴出孔が設けられ、
前記ベルト支持体は、前記ベルトの長手方向に連続して配列された複数の平板からなる、ことを特徴とする空気浮上式ベルトコンベアが提供される。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によると、キャリア側の前記ベルト支持体において、3枚の前記平板が前記ベルトの幅方向に連続して配列され、
前記3枚の平板のうち、中央の平板は、水平に配置されるか、または前記長手方向において高低差が生じるように水平面から傾いて配置され、両側の平板は、上面が前記中央の側を向くように水平面から傾けて配置される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によると、リターン側の前記ベルト支持体は、3枚の前記平板が前記ベルトの幅方向に連続して配列され、該3枚の平板の全体の形状が平板状となる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によると、前記3枚の平板の各々には、前記噴出孔が貫通する。
【0013】
また、本発明の好ましい実施形態によると、前記各平板は、同じ構成を有する。好ましくは、前記ベルト支持体は、同じ構成を有する複数の単位構造体からなり、各単位構造体は、1枚の前記平板と、前記噴出孔へ導入する空気が流れるダクトと、を有する。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によると、リターン側の前記ベルト支持体を構成する複数の前記平板が形成する全体の形状は、平板状である。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によると、空気浮上式ベルトコンベアは、前記ベルトがヘッドプーリを回って上下面が逆になることで、該ベルトから落下する積載物を受けるシュートと、前記ヘッドプーリを回った直後のベルトの下面に空気を噴出し、これにより、前記ベルトに残留している積載物を前記シュートへ落下させるノズル装置と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
上述した本発明によると、複数の平板をベルトの長手方向に連続して配列することでベルト支持体を構成するので、平板同士の継目において生じやすい段差を容易に調整できる。即ち、平板は、曲面板と違って、その曲がり具合の違いによりその継目に段差が生じることがなく、段差を無くすように平板の高さまたは姿勢を調整するだけでよい。本発明の実施形態による他の効果は後述する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来における空気浮上式ベルトコンベアの側面図である。
【図2】図1のII−II矢視図である。
【図3】本発明の実施形態による空気浮上式ベルトコンベアの側面図である。
【図4】図3のIV−IV矢視図である。
【図5】図3のV−V矢視図であるが、キャリア側のベルト支持体のみを示し、他の部材を省略している。
【図6】図3のVI−VI矢視図であるが、キャリア側のベルト支持体のみを示し、他の部材を省略している。
【図7】図3のVII−VII矢視図であるが、リターン側のベルト支持体のみを示し、他の部材を省略している。
【図8】図3のVIII−VIII矢視図であるが、リターン側のベルト支持体のみを示し、他の部材を省略している。
【図9】キャリア側の平板を支持する高さ調整機構を示している。
【図10】リターン側の平板を支持する高さ調整機構を示している。
【図11】図9または図10のA−A矢視図であり、図9または図10のB−B矢視図でもあり、図9または図10のC−C矢視図でもある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0019】
図3と図4は、本発明の実施形態による空気浮上式ベルトコンベア10を示す。図3は側面図であり、図4は、図3のIV−IV矢視図である。
【0020】
空気浮上式ベルトコンベア10は、無端状のベルト3を空気圧で浮上走行させる装置であり、ベルト3の下方に配置されベルト3の長手方向(以下、単に長手方向ともいう)に延び、ベルト3を空圧で支持するベルト支持体5を備える。ベルト支持体5には、ベルト3を浮上させるためにベルト3の下面へ空気を噴出する噴出孔7aが設けられる。
【0021】
本実施形態によると、ベルト支持体5は、ベルト3の長手方向および幅方向(以下、単に幅方向ともいう)に連続して配列された複数の平板7を有する。これら複数の平板7は、互いに別個の板として製作される。また、各平板7は、その厚み方向から見た場合、その形状が長方形である。図5は、図3のV−V矢視図であるが、キャリア側のベルト支持体5のみを示し、他の部材を省略している。図6は、図3のVI−VI矢視図であるが、キャリア側のベルト支持体5のみを示し、他の部材を省略している。図7は、図3のVII−VII矢視図であるが、リターン側のベルト支持体5のみを示し、他の部材を省略している。図8は、図3のVIII−VIII矢視図であるが、リターン側のベルト支持体5のみを示し、他の部材を省略している。図5〜図8のように、ベルト支持体5は、前記長手方向に連続して配列された複数の平板7を継目9で継ぎ合わせることで構成される。各平板7は、後述の高さ調整機構15(図3、図4では、図示を省略している)に固定される。継目9は、適切な材料で塞がれる。例えば.樹脂やシリコーンなどのシール材やコーキング材で継目9を塞ぐ。なお、継目9は、ベルト3の長手方向または幅方向に隣接する2枚の平板7の境界部である。また、各平板7には、該平板7を貫通する上述の噴出孔7aが形成される。噴出孔7aは、各平板7において、前記長手方向に間隔を置いて複数形成される。
【0022】
ベルト支持体5として、キャリア側のベルト支持体5と、リターン側のベルト支持体5とが設けられる。キャリア側のベルト支持体5は、リターン側のベルト支持体5よりも上方に位置し、噴出孔7aからの噴出空気により、積載物1を上面に載せているベルト3との間に圧縮空気層を形成する。これにより、積載物1を載せたベルト3が、キャリア側のベルト支持体5から浮上する。一方、リターン側のベルト支持体5は、キャリア側のベルト支持体5よりも下方に位置し、噴出孔7aからの噴出空気により、積載物1をシュート29に落とした後のベルト3との間に圧縮空気層を形成する。これにより、積載物1を載せていないベルト3が、リターン側のベルト支持体5から浮上する。
【0023】
キャリア側のベルト支持体5において、3枚の平板7がベルト3の幅方向に連続して配列される。これら3枚の平板7のうち、中央の平板7(以下、中央平板という)は、水平に配置され、両側の平板7(以下、側部平板という)は、上面が前記中央の側を向くように水平面から傾けて配置される。言い換えると、図4において、2つの側部平板7のうち、右側の側部平板7は、水平面から所定の鋭角だけ傾いていることで、該側部平板7における中央平板7と反対側の一方端部が、中央の平板7に継ぎ合わされる該側部平板7の他方端部よりも高くなっている。同様に、図4において、2つの側部平板7のうち、左側の側部平板7は、水平面から所定の鋭角だけ傾いていることで、該側部平板7における中央平板7と反対側の一方端部が、中央の平板7に継ぎ合わされる該側部平板7の他方端部よりも高くなっている。
【0024】
リターン側のベルト支持体5において、3枚の平板7(以下、図4の右側から順に、側部平板7、中央平板7、および側部平板7という)がベルト3の幅方向に連続して配列される。これら側部平板7、中央平板7、および側部平板7は、同じ高さで水平に配置されている。従って、リターン側のベルト支持体5を構成する複数の平板7が形成する全体の形状は、平板状である。
【0025】
各平板7の下面には、図4、図6、図8のように、ダクト11が溶接などにより取り付けられる。ダクト11は、対応する平板7における前記幅方向の中央に位置し、該平板7における前記長手方向の一端から前記長手方向の他端まで延びている。また、ダクト11は、図4の例では、断面がコの字状であり、前記長手方向の両端には、開口部が形成されている。前記長手方向に隣接する2枚の平板7にぞれぞれ設けられる2つのダクト11の開口部が、互いに突き合され、継ぎ合わされる。当該2つのダクト11の境界が、シール材やコーキングで埋められることで、当該2つのダクト11の内部が両者の境界において上述のシール材やコーキングで気密にされ、かつ、当該2つのダクト11の内部同士は前記開口部を通して連通する。なお、ベルト支持体5において前記長手方向の両端にある平板7について、この平板7のダクト11の一方端は、隣接する平板7のダクト11に突き合されないので、適宜の手段により気密に閉じられる。また、ダクト11には、後述の送風機13から配管14(図3において破線で示す)を通して空気が導入される空気導入孔11aが形成される。また、平板7の下面に取り付けられるダクト11の内部には、平板7に形成される上述の噴出孔7aが連通する。
【0026】
本実施形態によると、複数の平板7は、同じ構成を有する。即ち、キャリア側のベルト支持体5とリターン側のベルト支持体5の各々において、前記長手方向に配列される複数の平板7は、同じ構成を有し、前記幅方向に配列される複数の平板7は、同じ構成を有する。また、キャリア側のベルト支持体5を構成する各平板7は、リターン側のベルト支持体5を構成する各平板7と同じ構成を有する。従って、キャリア側のベルト支持体5も、リターン側のベルト支持体5も、同じ構成を有する複数の平板7を前記長手方向と前記幅方向に連続して配列することで構成される。ここで、複数の平板7が同じ構成を有するとは、これら平板7が、同じ寸法と形状を有することをいう。ただし、これら平板7の間で噴出孔7aの数と位置が異なっていても、これら平板7は、同じ構成を有すると言ってよい。また、製作誤差が複数の平板7の間に生じていても、これら平板7は、同じ構成を有すると言ってよい。
【0027】
上述のように、複数の平板7が同じ構成を有する場合、好ましくは、キャリア側のベルト支持体5とリターン側のベルト支持体5の各々は、同じ構成を持つ複数の単位構造体から構成される。各単位構造体は、1枚の平板7と、該平板7に形成された噴出孔7aに該平板7の下面側から連通するダクト11と、を有する。従って、キャリア側のベルト支持体5とリターン側のベルト支持体5の各々において、前記長手方向に配列される複数の単位構造体は、同じ構成を有し、前記幅方向に配列される複数の単位構造体は、同じ構成を有する。また、キャリア側のベルト支持体5を構成する各単位構造体は、リターン側のベルト支持体5を構成する各単位構造体と同じ構成を有する。より好ましくは、単位構造体は、1枚の平板7と、該平板7に設けられるダクト11と、後述の結合部材17とからなる。複数の単位構造体が同じ構成を有するとは、複数の単位構造体の間でダクト11の形状と寸法と(平板7への)取付位置が同じであることをいう。また、単位構造体が結合部材17も有する場合には、複数の単位構造体が同じ構成を有するとは、複数の単位構造体の間でダクト11の形状と寸法と(平板7への)取付位置が同じであるだけでなく、複数の単位構造体の間で結合部材17の形状と寸法と(平板7への)取付位置と数が同じであることを言う。ただし、複数の単位構造体の間で、空気導入孔11aの寸法や位置が異なっていても、これら単位構造体は、同じ構成であると言ってよい。また、図3〜図8の例では、前記長手方向に配列される複数の単位構造体の各々のダクト11に空気導入孔11aが形成されているが、前記長手方向に配列される複数の単位構造体のうち1つ以上の単位構造体のダクト11に、空気導入孔11aが形成されていればよいので、複数の単位構造体の間に、ダクト11に空気導入孔11aが形成されているか形成されていないかの違いがあっても、これら単位構造体は、同じ構成であると言ってよい。
【0028】
また、空気浮上式ベルトコンベア10は、平板7を支持し平板7の高さを調整する高さ調整機構15を備える、高さ調整機構15を図9に示す。図9は、図4において、キャリア側のベルト支持体3を構成する平板7とこれら平板7を支持する高さ調整機構15を示している。図10は、図4において、リターン側のベルト支持体3を構成する平板7とこれら平板7を支持する高さ調整機構15を示している。図11は、図9または図10のA−A矢視図であり、図9または図10のB−B矢視図でもあり、図9または図10のC−C矢視図でもある。高さ調整機構15は、各平板7毎に設けられる。各高さ調整機構15は、1対の支柱19、横材21、1対の高さ調整ボルト23、および1対の土台25を有する。支柱19には、平板7の下面に溶接されたL字状の結合部材17がボルト35で結合される。支柱19は、横材21と一体となっている。横材21は、1対の高さ調整ボルト23により土台25に対し高さと傾きが調整可能となっている。高さ調整ボルト23の一端部は、横材21のボルト孔21aに螺合し、高さ調整ボルト23の他端部は、土台25のボルト孔25aに螺合する。高さ調整ボルト23の一端部と他端部は、ネジが互いに逆向きに切られているので、高さ調整ボルト23を回転させることで、横材21と土台25との距離が調整される。高さ調整ボルト23に一体的に固定されたナット23aをレンチやスパナなどで回転させることで、高さ調整ボルト23が回転する。1対の高さ調整ボルト23の両方または一方を回転することで、平板7の高さまたは傾きが調整できる。なお、高さ調整機構15が、各平板7毎に、前記長手方向に2つ以上設けられるのがよい。
【0029】
好ましくは、空気浮上式ベルトコンベア10は、シュート29(即ち、排出口29)内に設けられたノズル装置26を備える。シュート(chute)29は、ベルト3がヘッドプーリ31を回って上下面が逆になることで、ベルト3から落下する積載物1を受ける。ノズル装置26は、ヘッドプーリ31を回った直後のベルト3の下面に空気を噴出し、これにより、ベルト3に残留している積載物1をシュート29へ落下させる。好ましくは、ノズル装置26が噴出する空気は、上述のベルト支持体5の噴出孔7aへ空気を送る送風機13から供給される。
【0030】
上述した空気浮上式ベルトコンベア10の動作を説明する。空気浮上式ベルトコンベア10は、キャリア側ベルト支持体5またはリターン側のベルト支持体5から浮上した状態で、キャリア側のベルト支持体5上とリターン側のベルト支持体5上を走行する。空気浮上式ベルトコンベア10を浮上させるために、送風機13は、空気をダクト11へ供給する。ダクト11に供給された空気は、キャリア側のベルト支持体5(即ち、平板7とリターン側のベルト支持体5(即ち、平板7)に形成された噴出孔7aを通って、キャリア側のベルト支持体5またはリターン側のベルト支持体5とベルト3との間の空間に噴出される。これにより、該空間に圧縮空気の層が形成されることで、ベルト3は、ベルト支持体5から浮上した状態で走行する。空気浮上式ベルトコンベア10は、投入口27、シュート29、ヘッドプーリ31、およびテールプーリ33をさらに備え、次のように、積載物1を搬送する。ヘッドプーリ31とテールプーリ33にベルト3が掛けられ、ヘッドプーリ31またはテールプーリ33が回転駆動されることで、前記長手方向にベルト3が走行する。テールプーリ33側にある投入口27からベルト3上に積載物1が投入される。この積載物1は、ベルト3の走行により、ヘッドプーリ31まで搬送され、ヘッドプーリ31を回る時に、ベルト3の上下が反転することでシュート29内へ落とされる。ヘッドプーリ31を回った直後にベルト3の下面には、ノズル装置26から空気が噴出され、これにより、ベルト3の下面に残留した積載物がシュート29内へ落下する。
【0031】
上述した本発明の実施形態によると、以下の効果(A)〜(F)が得られる。
【0032】
(A)複数の平板7をベルト3の長手方向に連続して配列することでベルト支持体5を構成するので、平板7同士の継目9において生じやすい段差を容易に調整できる。即ち、平板7は、曲面板と違って、その曲がり具合の違いにより継目に段差が生じることがなく、段差を無くすように平板7の高さまたは姿勢を調整するだけでよい。また、このように段差が無くなることで、ベルト3の走行抵抗が低減されるので、ベルト走行に用いるモータの出力を下げられ、ベルト走行による騒音と振動が低減される。
【0033】
(B)キャリア側のベルト支持体5において、3枚の平板7(即ち、中央平板7とその両側の側部平板7)がベルト3の幅方向に連続して配列され、これら3枚の平板7のうち、中央平板7は、水平に配置され、両側の側部平板7は、上面が前記中央の側を向くように水平面から傾けて配置されるので、キャリア側のベルト支持体5からベルト3が、外れてしまうことが防止される。
【0034】
(C)キャリア側のベルト支持体5において、両側の側部平板7の各噴出孔7aが空気を噴出する方向は、中央平板7の側を向く水平方向の成分を有するので、該噴出孔7aから噴出する空気によりベルト3の蛇行が防止される。なお、各噴出孔7aが空気を噴出する方向は、図4、図9において、噴出孔7aが平板を貫通している方向である。
【0035】
(D)好ましくは、同じ構成を有する平板7を複数製作して、これら平板7を前記長手方向と前記幅方向に継ぎ合わせることでベルト支持体5を製作できるので、ベルト支持体5の製作に要する加工費と、ベルト支持体5を現場に据え付けるための作業時間とが、大幅に短縮される。さらに好ましくは、同じ構成を有する単位構造体を複数製作し、これら単位構造体を前記長手方向と前記幅方向に継ぎ合わせることでベルト支持体5を製作できるので、ベルト支持体5の製作に要する加工費と、ベルト支持体5を現場に据え付けるための作業時間とが、さらに短縮される。
【0036】
(E)リターン側のベルト支持体5は、その全体が水平な上面を有する平板状に構成されているので、リターン側のベルト支持体5の鉛直寸法を小さくできる。
【0037】
(F)ノズル装置26が、ベルト3下面に残留している積載物1をシュート29内へ落下させてベルト3を清掃できる。
【0038】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、以下のように変更してよい。以下の各変更内容を、単独でまたは組み合わせて採用してよく、この場合、他の構成は、上述した実施形態や図3〜図11と同じであってよい。
【0039】
上述の実施形態では、リターン側のベルト支持体5は、前記幅方向において3枚の平板7を継ぎ合わせていたが、これら3枚の平板を1枚の平板に置き換えてもよい。
【0040】
高さ調整機構15は、上述の実施形態で説明した構成に限定されず、各平板7の高さと姿勢が調整できれば、他の構成を有する機構であってもよい。
【0041】
上述の実施形態では、キャリア側のベルト支持体5において、前記幅方向の中央にある中央平板7は、水平に配置されたが、中央平板7は、該中央平板7における前記長手方向の一端と他端との間で高低差が生じるように水平面から傾いて配置されてもよい。この場合、側部平板7は、該側部平板7の上面が前記中央の側を向くように水平面から傾いて、かつ、中央平板7と同様に、該側部平板7における前記長手方向の一端と他端との間で高低差が生じるように水平面から傾いて配置される。
【符号の説明】
【0042】
1 積載物、3 ベルト、5 ベルト支持体、
7 平板、7a 噴出孔、9 継目、
10 空気浮上式ベルトコンベア、11 ダクト、
11a 空気導入孔、13 送風機、14 配管、
15 高さ調整機構、17 結合部材、19 支柱、
21 横材、21a ボルト孔、23 高さ調整ボルト、
23a ナット、25 土台、25a ボルト孔、
26 ノズル装置、27 投入口、29 シュート、
31 ヘッドプーリ、33 テールプーリ、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載物を載せる無端状のベルトを空気圧で浮上走行させる空気浮上式ベルトコンベアであって、
前記ベルトの下方に配置され前記ベルトの長手方向に延び、空圧で前記ベルトを支持するベルト支持体を備え、
前記ベルト支持体には、前記ベルトを浮上させるために前記ベルトの下面へ空気を噴出する噴出孔が設けられ、
前記ベルト支持体は、前記ベルトの長手方向に連続して配列された複数の平板からなる、ことを特徴とする空気浮上式ベルトコンベア。
【請求項2】
キャリア側の前記ベルト支持体において、3枚の前記平板が前記ベルトの幅方向に連続して配列され、
前記3枚の平板のうち、中央の平板は、水平に配置されるか、または前記長手方向において高低差が生じるように水平面から傾いて配置され、両側の平板は、上面が前記中央の側を向くように水平面から傾けて配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の空気浮上式ベルトコンベア。
【請求項3】
リターン側の前記ベルト支持体は、3枚の前記平板が前記ベルトの幅方向に連続して配列され、
該3枚の平板の全体の形状が平板状となる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の空気浮上式ベルトコンベア。
【請求項4】
前記3枚の平板の各々には、前記噴出孔が貫通する、ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の空気浮上式ベルトコンベア。
【請求項5】
前記各平板は、同じ構成を有する、ことを特徴とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気浮上式ベルトコンベア。
【請求項6】
前記ベルト支持体は、同じ構成を有する複数の単位構造体からなり、
各単位構造体は、1枚の前記平板と、前記噴出孔へ導入する空気が流れるダクトと、を有する、ことを特徴とすることを特徴とする請求項5に記載の空気浮上式ベルトコンベア。
【請求項7】
リターン側の前記ベルト支持体を構成する複数の前記平板が形成する全体の形状は、平板状である、ことを特徴とする請求項1に記載の空気浮上式ベルトコンベア。
【請求項8】
前記ベルトがヘッドプーリを回って上下面が逆になることで、該ベルトから落下する積載物を受けるシュートと、
前記ヘッドプーリを回った直後のベルトの下面に空気を噴出し、これにより、前記ベルトに残留している積載物を前記シュートへ落下させるノズル装置と、を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の空気浮上式ベルトコンベア。
【請求項1】
積載物を載せる無端状のベルトを空気圧で浮上走行させる空気浮上式ベルトコンベアであって、
前記ベルトの下方に配置され前記ベルトの長手方向に延び、空圧で前記ベルトを支持するベルト支持体を備え、
前記ベルト支持体には、前記ベルトを浮上させるために前記ベルトの下面へ空気を噴出する噴出孔が設けられ、
前記ベルト支持体は、前記ベルトの長手方向に連続して配列された複数の平板からなる、ことを特徴とする空気浮上式ベルトコンベア。
【請求項2】
キャリア側の前記ベルト支持体において、3枚の前記平板が前記ベルトの幅方向に連続して配列され、
前記3枚の平板のうち、中央の平板は、水平に配置されるか、または前記長手方向において高低差が生じるように水平面から傾いて配置され、両側の平板は、上面が前記中央の側を向くように水平面から傾けて配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の空気浮上式ベルトコンベア。
【請求項3】
リターン側の前記ベルト支持体は、3枚の前記平板が前記ベルトの幅方向に連続して配列され、
該3枚の平板の全体の形状が平板状となる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の空気浮上式ベルトコンベア。
【請求項4】
前記3枚の平板の各々には、前記噴出孔が貫通する、ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の空気浮上式ベルトコンベア。
【請求項5】
前記各平板は、同じ構成を有する、ことを特徴とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気浮上式ベルトコンベア。
【請求項6】
前記ベルト支持体は、同じ構成を有する複数の単位構造体からなり、
各単位構造体は、1枚の前記平板と、前記噴出孔へ導入する空気が流れるダクトと、を有する、ことを特徴とすることを特徴とする請求項5に記載の空気浮上式ベルトコンベア。
【請求項7】
リターン側の前記ベルト支持体を構成する複数の前記平板が形成する全体の形状は、平板状である、ことを特徴とする請求項1に記載の空気浮上式ベルトコンベア。
【請求項8】
前記ベルトがヘッドプーリを回って上下面が逆になることで、該ベルトから落下する積載物を受けるシュートと、
前記ヘッドプーリを回った直後のベルトの下面に空気を噴出し、これにより、前記ベルトに残留している積載物を前記シュートへ落下させるノズル装置と、を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の空気浮上式ベルトコンベア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−1145(P2011−1145A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143885(P2009−143885)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)
【Fターム(参考)】
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