空気清浄ダクト型中空構造物
【課題】
汚染物質除去部材の洗浄・交換作業を省力化し、洗浄管が太陽光や紫外線を遮ることに伴う汚染物質除去効率の低下を防止し、ランニングコストを低減することのできる空気清浄ダクト型中空構造物を提供すること。
【解決手段】
ダクト型中空構造物と、底部材、該底部材上面に汚染物質除去部材を固定する固定部及び前記底部材を移動可能に支持する可動支持手段を備え、前記ダクト型中空構造物の内部に配置された汚染物質除去部材固定装置と、前記汚染物質除去部材固定装置の固定部に固定された前記汚染物質除去部材と、から構成された空気清浄ダクト型中空構造物において、前記汚染物質除去部材固定装置は、前記汚染物質除去部材を固定した状態で前記ダクト型中空構造物から出し入れ可能とした。
汚染物質除去部材の洗浄・交換作業を省力化し、洗浄管が太陽光や紫外線を遮ることに伴う汚染物質除去効率の低下を防止し、ランニングコストを低減することのできる空気清浄ダクト型中空構造物を提供すること。
【解決手段】
ダクト型中空構造物と、底部材、該底部材上面に汚染物質除去部材を固定する固定部及び前記底部材を移動可能に支持する可動支持手段を備え、前記ダクト型中空構造物の内部に配置された汚染物質除去部材固定装置と、前記汚染物質除去部材固定装置の固定部に固定された前記汚染物質除去部材と、から構成された空気清浄ダクト型中空構造物において、前記汚染物質除去部材固定装置は、前記汚染物質除去部材を固定した状態で前記ダクト型中空構造物から出し入れ可能とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染された空気から汚染物質を除去して空気を清浄化する空気清浄ダクト型中空構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、健康的で快適な住環境やオフィス環境への関心が高まっている。例えば、建築物においては、活性炭などの吸着材や光触媒、それらの配合材などからなるフィルタにより、建築物内部に取り込む空気や、建築物外部に排出する空気に含まれる汚染物質を除去する技術が提案されている。
【0003】
しかし、汚染物質の除去にフィルタを使用する場合には、圧力損失が大きくなり、専用のファンの設置等が必要となるため、これを回避するための技術として、例えば、特許文献1には、光触媒または光触媒と吸着材の配合材からなる平板を汚染空気の流通方向と平行に配置することによって、圧力損失を低下させるようにした装置(以下「平行板装置」という。)が提案されている。
【0004】
この平行板装置において、吸着材を用いる場合には、吸着が進むにつれて吸着サイトが減少し、やがて破過するため、このような状況になる前に、減圧再生、加熱脱離再生、化学再生、溶媒再生、置換再生、酸化分解再生などの手法により再生するか、新しいものに交換する必要がある。
【0005】
光触媒を用いる場合には、あらゆる有機物を酸化分解することができ、最終的に水と二酸化炭素まで分解することができる。一方、窒素酸化物(NOx)、アンモニア、硫黄酸化物(SOx)などの窒素や硫黄が含まれている物質については、光触媒反応により、揮発しない硝酸イオンや硫酸イオンまで酸化されて空気中から除去されることとなるが、それら生成物が光触媒表面に蓄積されることにより、性能劣化すなわち触媒被毒を引き起こすため、定期的にそれら生成物を除去する必要がある。
【0006】
そこで、本発明者等は、かかる事情に鑑み、壁面に開閉部が設けられた中空構造物本体と、この中空構造物本体の内部に、空気の流通方向と略平行に且つ着脱自在な状態で配置された汚染物質除去部材とを有する空気清浄化装置を提案し、これに関する技術を特許文献2に開示している。この空気清浄化装置によれば、汚染物質除去部材を自在に取り外すことができるため、適切な時期に容易に汚染物質除去部材を交換・洗浄することができる。
【0007】
しかしながら、光触媒によりNOxやSOxを酸化除去する場合には、上記触媒被毒による触媒性能の低下が比較的短期間に起こることが多く、上記汚染物質除去部材を交換・洗浄する頻度も高くなるため、たとえ容易な作業であっても手間と時間は相当のものとなる。
【0008】
そこで、本発明者等は、さらに研究を進め、汚染物質除去部材を設置した状態のまま洗浄できる機能を有しながらも、汚染物質除去部材の数量や配置の変更に容易且つ柔軟に対応することができる洗浄機能を備えた空気清浄化装置を開発し、これに関する技術を特許文献3に記載している。
【0009】
しかしながら、前記空気清浄化装置によれば、前記汚染物質除去部材の上方に洗浄装置を設置するため、紫外線透過性の天板から汚染物質除去部材に照射される太陽光の一部が遮られ、汚染物質除去性能が低下する。
さらに、天井部に紫外線照射手段を配設した場合、紫外線照射手段と汚染物質除去部材の間に洗浄装置が配置される。このため、洗浄管から吐出された洗浄液が紫外線照射手段の方向に飛散するのを極力防止することができるものの、紫外線照射手段から汚染物質除去部材に照射される紫外線の一部が洗浄管により遮られ、これによる汚染物質除去効率の低下が懸念される。
【0010】
かかる空気清浄化装置においては、洗浄液として水道水のみならず、雨水も利用することができるため、経済性に優れ、水道などの水供給設備が整っていない屋外等にも設置することができるという利点を有する。
しかしながら、雨水を洗浄液として利用する場合、長時間の降雨による過剰な洗浄のために、材料の劣化を促進する虞がある。このため、雨水を利用する場合には、雨水の供給量や供給タイミングを調整するシステムの導入が必要となり、結果として装置構成が複雑になる懸念がある。
【0011】
また、上記空気清浄化装置においては、汚染空気の流れの下流側である出口側よりも上流側である入口側の方が、被清浄空気の汚染物質濃度が高くなるため、除去される汚染物質量も、光触媒表面の生成物蓄積量も入口側の方が多くなる。
このため、洗浄処理を入口側に合わせて行うと、蓄積量の少ない出口側では過剰洗浄となり、汚染物質除去部材の寿命が短くなる。また、洗浄のためのランニングコストも必要以上に嵩む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2001−120956号公報
【特許文献2】特開2007−209594号公報
【特許文献3】特願2008−253911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述した種々の課題を解決するために創作されたもので、汚染物質除去部材の洗浄・交換作業を省力化し、洗浄管が太陽光や紫外線を遮ることに伴う汚染物質除去効率の低下を防止し、ランニングコストを低減することのできる空気清浄ダクト型中空構造物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に係る発明は、ダクト型中空構造物と、底部材、該底部材上面に汚染物質除去部材を固定する固定部及び前記底部材を移動可能に支持する可動支持手段を備え、前記ダクト型中空構造物の内部に配置された汚染物質除去部材固定装置と、前記汚染物質除去部材固定装置の固定部に固定された前記汚染物質除去部材と、から構成された空気清浄ダクト型中空構造物において、前記汚染物質除去部材固定装置は、前記汚染物質除去部材を固定した状態で前記ダクト型中空構造物から出し入れ可能とされていることを特徴としている。
【0015】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された空気清浄ダクト型中空構造物の前記可動支持手段が、前記汚染物質除去部材固定装置下面に取付けられたキャスターであることを特徴としている。
【0016】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載された空気清浄ダクト型中空構造物の前記可動支持手段が、前記ダクト型中空構造物の内部下方に設けられたローラコンベアまたはホイールコンベアであることを特徴としている。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された空気清浄ダクト型中空構造物の前記汚染物質除去部材が、その少なくとも一部は光触媒および/または吸着材により構成されていることを特徴としている。
【0018】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された空気清浄ダクト型中空構造物の前記底部材が、光照射手段固定部を備えていることを特徴としている。
【0019】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された空気清浄ダクト型中空構造物の前記汚染物質除去部材固定装置が、隣接する前記汚染物質除去部材固定装置を連結する連結手段を備えていることを特徴としている。
【0020】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載された空気清浄ダクト型中空構造物の前記汚染物質除去部材固定装置が、折りたたみ機構と高さ調整機構を装備した長脚の補助可動支持手段を備えていることを特徴としている。
【0021】
請求項8に係る発明は、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載された空気清浄ダクト型中空構造物の前記ダクト型中空構造物は、その側壁に開閉部を備え、該開閉部から前記汚染物質除去部材を固定した状態で前記汚染物質除去部材固定装置を出し入れ可能とされていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係る発明によれば、ダクト型中空構造物と、底部材、該底部材上面に汚染物質除去部材を固定する固定部及び前記底部材を移動可能に支持する可動支持手段を備え、前記ダクト型中空構造物の内部に配置された汚染物質除去部材固定装置と、前記汚染物質除去部材固定装置の固定部に固定された前記汚染物質除去部材と、から構成された空気清浄ダクト型中空構造物において、前記汚染物質除去部材固定装置は、前記汚染物質除去部材を固定した状態で前記ダクト型中空構造物から出し入れ可能とされているので、汚染物質除去部材の洗浄・交換作業を省力化し、洗浄管が太陽光や紫外線を遮ることに伴う汚染物質除去効率の低下を防止し、ランニングコストを低減することのできる空気清浄ダクト型中空構造物を提供することができる。
【0023】
請求項2、3に係る発明によれば、可動支持手段が、汚染物質除去部材固定装置下面に取付けられたキャスターであるか、あるいは、ダクト型中空構造物の内部下方に設けられたローラコンベアまたはホイールコンベアであるので、簡単な構成で汚染物質除去部材を固定した状態で汚染物質除去部材固定装置を空気清浄ダクト型中空構造物から出し入れ可能である。
また、力を要することなく汚染物質除去部材固定装置を洗浄場まで運搬することができる。
【0024】
請求項4に係る発明によれば、汚染物質除去部材は少なくとも一部が光触媒および/または吸着材により構成され、汚染物質除去部材固定装置に固定した状態でダクト型中空構造物から出し入れ可能となるようにされているため、触媒被毒などによる性能低下が生じても、光触媒への太陽光や光照射手段からの光照射を遮るように配置される洗浄手段を備えることなく、迅速かつ容易に洗浄することができる。
また、汚染物質除去部材を吸着材にて構成した場合、吸着が進むにつれて吸着サイトが減少しやがて破過することとなるが、同じく汚染物質除去部材固定装置に固定した状態でダクト型中空構造物から出し入れ可能であるから、このような状況になる前に簡単に再生するか新しいものに交換することができる。
【0025】
請求項5に係る発明によれば、底部材が光照射手段固定部を備えていることから、汚染物質除去部材として光触媒を用い、ダクト型中空構造物を上下方向に重ねて使用する場合には、下段のダクト型中空構造物の底部材に備えている光照射手段固定部に光照射手段を固定して、太陽光を受光させなくても光源を紫外線照射手段で賄うことができる。
また、上段のダクト型中空構造物底面の一部または全体を光透過性部材で構成し、下段のダクト型中空構造物上面を光透過性部材で被覆することによって、上段で使用した太陽光または光照射手段からの光照射の一部を下段で利用できるようにすることもできる。なお、下段のダクト型中空構造物には、光照射手段を設けることが好ましい。
【0026】
請求項6に係る発明によれば、汚染物質除去部材固定装置が、隣接する前記汚染物質除去部材固定装置を連結する連結手段を備えているから、先頭の汚染物質除去部材固定装置をダクト型中空構造物の一方の端部から引き出すことにより、後に連結された汚染物質除去部材固定装置をも同時に引き出すことが可能となり、洗浄作業を省力化することができる。
【0027】
請求項7に係る発明によれば、汚染物質除去部材固定装置が、折りたたみ機構と高さ調整機構を装備した長脚の補助可動支持手段を備えているので、ダクト型中空構造物が床面や地面から離れて設置されている場合であっても、汚染物質除去部材固定装置が部分的に引出された段階で、前方の折りたたまれた長脚を伸ばし、高さ調整機構を駆動して高さを調整して走行させ、完全に引出した段階で後方の折りたたまれた長脚を伸ばし、高さ調整機構を駆動して高さを調整して走行させることにより、容易に引出して洗浄することができる。
【0028】
さらに、複数のダクト型中空構造物が上下方向に重ねて設置されている場合にも、汚染物質除去部材固定装置を上記と同様に走行させることにより、汚染物質除去部材固定装置を引き出して洗浄することができる。
【0029】
なお、下段のダクト型中空構造物内の上記支持装置の走行手段は、伸ばすか伸ばさないかいずれの態様でもよいが、伸ばさないときは上下2段に配置された支持装置が重なった状態で洗浄されることとなり、洗浄時に必要とされる面積を節約することも可能である。
【0030】
請求項8に係る発明によれば、ダクト型中空構造物は、その側壁に開閉部を備え、該開閉部から前記汚染物質除去部材を固定した状態で前記汚染物質除去部材固定装置を出し入れ可能とされているので、複数のダクト型中空構造物を直列に連結して使用し、先頭や後尾ではない途中のダクト型中空構造物内に配置された汚染物質除去部材を洗浄する必要が生じ、あるいは連結された複数本の汚染物質除去部材固定装置を連続で引き出すスペースが不足する場合に、側壁に形成された開閉部から汚染物質除去部材固定装置を引き出して洗浄することができる。
【0031】
また、複数のダクト型中空構造物を連結し、方向を変えたり蛇行させたりするような場合には、ダクト型中空構造物同士を曲部を有するダクトで連結するが、この構成においても、側壁に形成した開閉部から上記固定装置を簡単に引き出して洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は本発明に係る空気清浄ダクト型中空構造物の一実施例を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は同実施例の平面図、同図(b)は同断面図、同図(c)は同図(b)のA−A線断面図、同図(d)は同図(b)のB−B線断面図である。
【図3】図3は空気清浄ダクト型中空構造物の他の実施例を示すもので、同図(a)は平面図、同図(b)は断面図、同図(c)は同図(b)のA−A線断面図である。
【図4】図4は空気清浄ダクト型中空構造物のさらに他の実施例を示す斜視図である。
【図5】図5は汚染物質除去部材の設置例を示す平面図である。
【図6】図6は空気清浄ダクト型中空構造物の洗浄状態を示す斜視図である。
【図7】汚染物質除去部材の洗浄時に開口部を塞ぐ構造を示す斜視図である。
【図8】汚染物質除去部材の洗浄時に入口を塞ぐ構造の変形例を示す斜視図である。
【図9】図9は本発明の汚染物質除去部材固定装置の連結例を示す平面図である。
【図10】図10は本発明の汚染物質除去部材の洗浄例を示す斜視図である。
【図11】図11は本発明の汚染物質除去部材の他の洗浄例を示す斜視図である。
【図12】図12は本発明の汚染物質除去部材のさらに他の洗浄例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施の形態について、図1乃至図12を参照して説明する。
図中1は、空気清浄ダクト型中空構造物であり、該構造物は、ダクト型中空構造物2と、このダクト型中空構造物2の内部に配置された底部材3、この底部材3上面に汚染物質除去部材4を着脱自在に固定する固定部5及び上記底部材3を移動可能に支持する可動支持手段6を備えてなる汚染物質除去部材固定装置7と、上記固定部5に配置された少なくとも一つ、好ましくは複数の汚染物質除去部材4とを備え、上記汚染物質除去部材固定装置7が、汚染物質除去部材4を固定した状態で上記ダクト型中空構造物2から出し入れ可能とされている。
【0034】
この空気清浄ダクト型中空構造物1は、外気の建築物内部への給気口、建築物内部から発生した汚染空気の外部への排気口、地上から地下空間への給気口、地下工事現場などの地下空間から地上への排気口、屋外環境中において広い空間から狭い空間に汚染物質が集まる場所または通過する場所、狭い空間から広い空間に汚染物質が拡散する場所または通過する場所、などに据え付けることによって、それら給排気口や空気流路を通る空気中に含まれる様々な汚染物質を除去・低減するものである。
【0035】
ここにおいて汚染物質とは、例えば、建築物の外部の空気については、周囲の工場、自動車、工事現場、地下空間等から排出される一酸化窒素、二酸化窒素、浮遊粒子状物質、二酸化硫黄、一酸化炭素、二酸化炭素、非メタン炭化水素や各種有害大気汚染物質などが挙げられる。
また、建築物内部の空気については、室内濃度の指針値が定められている化学物質や二酸化炭素、トイレから発生するアンモニアなどの悪臭物質、たばこなどに起因する有機化合物の塵埃などが該当し、さらに動物園や水族館である場合には、動物やその飼育過程で発生するトリメチルアミンなどの悪臭物質、工場などである場合には、各種の化学物質が挙げられる。
【0036】
上記した空気清浄ダクト型中空構造物1は、図4に示されるように、その断面形状が多角形1a,1b,1c,円形1d,1e,楕円形またはそれぞれを組み合わせた形状1fのいずれかのダクト型中空構造物2から構成することができ、底面が平面でないときは、ダクト型中空構造物2の底部構造を簡素化するために、内部に平らな底面8を設けてもよい(図41e参照)。これにより、上記底部材3の形状を円形や楕円形よりも簡易な平板構造とすることが可能となる。
また、ダクト型中空構造物2の端部にフランジを設けることにより、複数の空気清浄ダクト型中空構造物1を簡単な構成により容易に連結することができる。
【0037】
前記汚染物質除去部材4として光触媒を用いる場合には、前記ダクト型中空構造物2と、このダクト型中空構造物2の太陽光を取り込める位置に一または複数の開口を設け、この開口を塞ぐ光透過性部材9(9a〜9e)とにより構成することが好適である(図4)。このように構成することで、太陽光を前記空気清浄ダクト型中空構造物1内に取り込むことができる。前記開口の一部または全体を開閉可能とすることにより、内部材料の交換などのメンテナンスが容易となる。例えば、回動式あるいはスライド式の扉部材で開口部を開閉するものや、蓋部材により開口部を開閉するものなど、如何なる態様のものであってもよい。
【0038】
前記汚染物質除去部材4として光触媒を用い、前記ダクト型中空構造物1を上下方向に重ねて使用する場合には、下段のダクト型中空構造物1には開口部を設けず、したがって太陽光を受光しないで、光源を紫外線照射手段で賄う構成とすることもできる。
また、上段のダクト型中空構造物底面の一部または全体を光透過性部材9で構成し、下段のダクト型中空構造物には光透過性部材9で塞ぐ開口部を設け、上段で使用した太陽光または光照射手段からの光照射の一部を下段で再利用できるようにしてもよい。この際、下段のダクト型中空構造物2には、光照射手段を設けることが好ましい。
【0039】
ダクト型中空構造物2内に収容する汚染物質除去部材4は、その一部または全体に光触媒、触媒機能を有する材料、吸着材の少なくとも一つが、含有された形態あるいは表面に塗布または焼付けにより固着した形態のいずれであってもよい。
また、光触媒、触媒機能を有する材料、吸着材の少なくとも一つを含有し、あるいは表面に塗布または焼付けにより固着して作製したパネル状またはボード状の空気清浄化部材を基材に着脱自在に装着したものであってもよい。
【0040】
前記光触媒としては、例えば、酸化チタン、金属酸化物半導体(酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化カドミウム、酸化インジウム、酸化銀、酸化マンガン、酸化銅、酸化鉄、酸化スズ、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化ジルコニウムなど)、金属硫化物半導体(硫化カドミウム、硫化亜鉛、硫化インジウム、硫化鉛、硫化銅、硫化モリブデン、硫化タングステン、硫化アンチモン、硫化ビスマスなど)、チタン酸ストロンチウム、セレン化カドミウム、タンタル酸カリウム、およびこれらの混合物などが適用可能である。可視光応答型光触媒を用いることもできる。
【0041】
また、光触媒とセメント、モルタル、珪藻土、などとの混合材や光触媒にハイドロキシアパタイトやフッ化アパタイトを結合させた触媒なども適用可能である。さらに、上記光触媒を、高温焼付け型、低温乾燥型、塗料化して塗布する方法などにより、タイルや陶磁器、セメント、ガラス、珪藻土、ケイ酸カルシウム板などのセラミックスからなる基板に担持させた材料なども含まれる。
【0042】
前記吸着材としては、少なくとも吸着機能を有するものであれば如何なる材料であってもよく、例えば、酸化還元などの触媒機能などを併せ持つものであってもよい。
このような吸着機能を有する材料としては、例えば、ゼオライト、シリカゲル、ジルコニア、イオン交換材、アルミナ系吸着材、金属錯体系吸着材、セラミックスなどの無機系吸着材や、活性炭、イオン交換材、キレート樹脂などの有機系吸着材が適用可能である。
なお、前記吸着材には、特定のガスを除去するためのガス反応成分(例えば、二酸化炭素を除去するための水酸化カリウム溶液など)を塗布または含浸したものも含まれる。
【0043】
この汚染物質除去部材4の構成は、図5に示されるように、上記ダクト型中空構造物2内に設置可能であれば適宜の構造とすることができるが、垂直方向に起立する複数の起立板部を備えている構造が好ましい。
そしてこの起立板部は、単純な平板構造(4a)に限らず、プリーツ構造、コルゲート構造、山谷構造、凹凸構造(4c)とすることも可能である。
また上記した汚染物質除去部材固定部5の溝の形状・数量や底部材3に対する取付け角度を図5の5a,5bに示されるように適宜変更することにより、平板状の汚染物質除去部材4の下部を固定部5の溝に挿入して、空気の流通方向に対する角度を調整して設置することができる。
さらに、プリーツ状やコルゲート状のセラミックス材に光触媒を焼付けたり塗布して汚染物質除去部材4を作製し、上記固定部5に設置することができる(図5参照)。
なお、レイアウトとしては、空気の流通方向と略平行に配置することが好ましく、これにより、圧力損失を抑えることができるものである。
【0044】
上記した汚染物質除去部材4の固定部5は、その汚染物質除去部材4の取付位置に係止溝や係止片等を形成して装着する構造や、専用のクリップにより装着する構造としてもよい。
【0045】
光照射手段11の下に汚染物質除去部材底板17が配置されると、立設した汚染物質除去部材4に加えて汚染物質除去部材底板17上面へも光照射されて、結果的に汚染物質除去部材底板17上面分の接触面積が増加されることとなり、光触媒機能が向上する。
一方、光照射手段11の上に汚染物質除去部材底板17が配置されると、底板17下面分の接触面積が増加される。ただし、太陽光が照射されない場合には汚染物質除去部材4(立設部)への紫外線照射がなされないことからすれば、光照射手段11の下に汚染物質除去部材底板17が配置される方が好ましい(図1参照)。
【0046】
上記した底部材3は、上面に一または複数の汚染物質除去部材4と汚染物質除去部材を固定する固定部5とを設置できる強度があればよく、雨水などの洗浄液がかかっても影響のない材料であればよい。また、骨格だけの構造にすることが望ましく、そうすることで、軽量化を図ることができる(図1)。
さらに、空気清浄ダクト型中空構造物1を上下に重ねて配置し、前記汚染物質除去部材固定装置7を上下に並んだ状態で洗浄する際に、直下への水の供給に優位である。
【0047】
さらにまた、汚染物質除去部材4が光触媒からなるときは、前記底部材3に設ける光照射手段11から照射される光を遮らないようにすることが重要である。同様の効果は、骨格と板状の光透過性部材を組み合わせる構成でも得られる。
また、前記底部材3には、固定した汚染物質除去部材4のズレが生じるのを防ぐために、滑り防止壁10を設けるのが望ましい(図示省略)。
前記光透過性部材としては、石英、硼珪酸ガラス、紫外線透過樹脂などが挙げられるが、可視光応答型光触媒を使用する場合には、各種ガラスや光透過性樹脂を用いることができる。
【0048】
前記汚染物質除去部材の底板17を固定する固定部15は、前記固定装置7の底部材3の一部に係合部を設けるかまたは支持部を突設して、前記汚染物質除去部材底板17を係合または支持する。係合部または支持部の端部には、固定した汚染物質除去部材底板17の落下またはズレを生じさせないための滑り防止壁(図示省略)を設けることが好ましい。
【0049】
前記底板17が複数の部材からなり、これを支持する底面が必要な場合には、固定部15は、全面を覆う形状の底面ではなく、渡し部材などを設置するのがよい。これにより、前記底板17下面と固定部15の底面との接触部分を低減でき、汚染空気と汚染物質除去部材底板17との接触面積を広く確保することができる。
【0050】
光照射手段11は、光触媒からなる汚染物質除去部材4に照射可能かつ汚染物質除去部材固定装置7の移動に影響しない位置に設置することが望ましい。
光照射手段としては、紫外線照射のブラックライト、紫外線LED、紫外線ランプまたはその組み合わせが挙げられる。また、光触媒が可視光応答型光触媒である場合には、紫外線照射手段の代わりに蛍光灯やLEDなどの光源を設置することも可能である。蛍光灯タイプのブラックライトは、複数本をソケット部で一体化して(図1参照)、前記ダクト型中空構造物2の長手方向または短手方向に合わせて光照射手段固定部16に固定するものである。
【0051】
光照射手段11をダクト型中空構造物2内に設置するに際しては、太陽光照射を妨げる割合を減らすように配置することが望ましい。例えば、前記汚染物質除去部材4の直上に同部材と同方向に配置する。また、前記中空構造物2内に汚染物質除去部材4を長手方向に間隔を置いて配置する場合には、その間隔部分に長手方向または短手方向に配置する。
LEDを採用すればその占有場所を低減でき、太陽光を遮る割合が低くなるため、前記汚染物質除去部材への光照射に優位な場所に任意に配置することができる。
【0052】
前記光照射手段固定部16は、光照射手段11を容易に取り外すことができ、光照射手段11へ洗浄の影響を排除することができるように、汚染物質除去部材固定装置7の底部材3の一部に係合部または支持部を形成して、光照射手段11を係合または支持する構成とした。前記係合部または支持部の端部には、前記固定した光照射手段11の落下またはズレを生じさせないための滑り防止壁を設けることが好ましい(図示省略)。
【0053】
前記光照射手段11は、天板9からの太陽光の照射をできるだけ遮らないように、例えば間隔を置いて配置するとともに前記固定部16には底面を設けないようにする。
また、前記光照射手段の配線は一つにまとめて、前記ダクト型中空構造物2内部壁面に沿わして固定し、ダクト型中空構造物2の途中、または出入口から出して配電部分に接続する。前記ダクト型中空構造物2の途中から出す場合には、ダクト型中空構造物内への浸水を防ぐためパッキンを設ける。
【0054】
汚染物質除去部材4が光触媒ではない場合には、光照射手段11を設置することが不要なため、光照射手段固定部16に光照射手段11に代えて汚染物質除去部材底板17を設置することも可能である。このようにすることによって、汚染物質除去部材立設部に加えて、2枚の汚染物質除去部材底板を配置でき、清浄化機能を増強できる。
なお、汚染物質除去部材底板固定部15および光照射手段固定部16は、構造が類似しており、汚染物質除去部材底板固定部15に前記光照射手段11を、光照射手段固定部16に汚染物質除去部材底板17を設置することも可能である。
【0055】
図2を参照して汚染物質除去部材固定装置7の他の構成要素についてみると、前記底部材3を支持する可動支持手段6として、キャスター6aやローラコンベヤ6b、ホイールコンベヤを前記底部材3に取り付けることが可能である。また、前記中空構造物2内面にガイドレールやスライドレールを設けて、前記キャスター6aの直線走行を補助してもよい。このキャスター6aにはストッパー機能12がついていることが好ましい。
【0056】
上記構成の他に、前記底部材3にリニアレール用ブロックを取り付け、前記中空構造物2内にリニアレールを設けることによって走行させてもよい。前記中空構造物2内部に、図示を省略する滑り防止壁を設けることも可能である。
そして前記空気清浄ダクト型中空構造物1を直列に接続して用いる場合には、滑り防止壁は先頭と最後尾のみに設ければよいため、前記滑り防止壁は着脱可能とするのが好ましい。
【0057】
他方、前記中空構造物2内部壁面に備えた前記固定装置7bの可動支持手段6として、ローラコンベヤ6bあるいはホイールコンベヤ(ソロバンホイールコンベヤ、アコーディオンコンベヤ、シングル千鳥ホイールコンベヤ、シングル単列ホイールコンベヤなど)を前記ダクト型中空構造物2に取付けて、前記底部材3を滑らせる構造とすることができる。前記中空構造物2内部には、滑り防止壁を設けることが好ましい。
【0058】
さらに、汚染物質除去部材固定装置7の可動支持手段6がローラコンベヤやホイールコンベヤのようにダクト型中空構造物2に取付けられる実施例では、汚染物質除去部材の底板17もローラコンベヤやホイールコンベヤに接触する可能性がある。これを回避するため、前記底板固定部15および光照射手段固定部16の下に板部材20を配置するのが望ましい。これにより、底板17を傷付けることなく可動支持手段6の作動をより容易にすることができる(図3)。ただし、前記板部材20には洗浄時の水はけをよくするために、空隙を設けることが望ましい。
以上の構成により、汚染物質除去部材4を光触媒としたとき、前記光照射手段11を太陽光が照射される条件下で併用して、紫外線の受光量がより低い底面付近において紫外線を補強することができ、また紫外線が弱い季節の紫外線を補強することもできる。夜間など太陽光が照射されない条件下では、紫外線照射が有効に機能する。
【0059】
折りたたみ機構によって折りたたみ可能な補助可動支持手段24は、前記固定装置7の底板固定部15及び光照射手段固定部16の下に折りたたまれてダクト型中空構造物2内に格納されるか、あるいは、前記固定装置7に連接されて固定され、ダクト型中空構造物2底面外側に折りたたまれて格納されており、前記固定装置7をダクト型中空構造物2から引き出した後、該固定装置7をダクト型中空構造物2外で支持可能となっている。
【0060】
この補助可動支持手段24は、固定装置7の両端近傍に設置するのが好ましい。そのようにすることにより、固定装置7を、ダクト型中空構造物2から一部引き出して洗浄することができ、また全体を引き出して洗浄することもできる。
【0061】
補助可動支持手段24はまた、一般の高さ調整機構25を備えることができ、先端にストッパー機能付きのキャスター26を備えることができる(図2,3参照)。
この構成により、前記空気清浄ダクト型中空構造物1が地面から離れて設置されている場合にも、前記固定装置7をダクト型中空構造物2端部より引き出し、容易に洗浄することができる。
また、複数のダクト型中空構造物1が上下方向に重なって設置されている場合に、それぞれの固定装置7を同様に引き出し、前記高さ調整機構25で支持高さを調整して洗浄することができる(図10参照)。
複数の空気清浄ダクト型中空構造物1を直列に連結して使用する場合には、補助可動支持手段24は、空気清浄ダクト型中空構造物1内部へ折りたたんで格納できる支持手段を用いるものである(図2参照)。
【0062】
前記中空構造物本体2の開閉部27は、前記汚染物質除去部材4および/または前記汚染物質除去部材固定装置7を出し入れ可能であればいずれの箇所に設けてもよく、例えば、回動式あるいはスライド式の扉部材で開口部を開閉するものや、蓋部材により開口部を開閉するものなど、如何なる態様のものであってもよい。
【0063】
扉部材や蓋部材の密閉性を高めるため、開口部にパッキンを装着することが好ましい。例えば、中空構造物本体2の側面に開閉部上部を枢着して下方から回動式で開けられるように設けると、複数の空気清浄ダクト型中空構造物1を直列に連結して使用し、先頭・後尾ではない空気清浄ダクト型中空構造物1内に配置された汚染物質除去部材4を洗浄する必要が生じたり、複数本を連続で引き出すスペースが少ない場合に、前記開閉部27から前記固定装置7を側方に引き出して洗浄することができる(図11)。
また、空気清浄ダクト型中空構造物1同士を曲部を有するダクトで連結する場合(複数のダクト型中空構造物1を連結し、方向を変えたり、蛇行させたりするような場合)には、前記開閉部27から引き出して洗浄することができる。
【0064】
一方、複数の空気清浄ダクト型中空構造物1を直列に連結し、上下方向にも重ねて設置する場合に、先頭・後尾でなく二段目以上に配置したダクト型中空構造物内に配置された汚染物質除去部材4を洗浄する必要が生じたときには、ダクト型中空構造物の側面に開閉部下部を枢着して上方から回動式で開けられるように設けると、開閉部27が引き出す前記汚染物質除去部材固定装置7の下支え床面となり、台などをその下に設置すれば、洗浄することが可能となる(図12)。このように、前記空気清浄ダクト型中空構造物1の側面の開閉部27から前記固定装置7を引き出す場合には、前記キャスター付の汚染物質除去部材固定装置7aを用いることにより、キャスター6aの可動方向を変えて引き出すことができる。
【0065】
汚染物質除去部材固定装置7同士を連結する手段は、複数の空気清浄ダクト型中空構造物1を直列に連結して使用する場合に、前後に隣接する固定装置7同士を連結できれば如何なる手段でもよい。
具体例について図9を参照して説明する。
1例として、隣接する固定装置7の底部材3両端部に1または複数の穴21aを穿設し、穿設された隣接する穴21aと両端2箇所に穴を設けた専用板材22aの穴を重ねあわせ、ストッパー23を差し込んで固定する。
他の例としては、前記隣接する固定装置7の穴21bに2箇所に突出部を設けた専用板材22bを挿入して固定することもできる。
さらに、隣接する固定装置7同士を専用クリップで留めてもよい。
いずれの形態を採るとしても、連結の形成および解除が容易にできることが望ましい。このような構成を採用することによって、先頭の固定装置7を引き出すことにより、後に連結された固定装置7をも引き出すことが可能となり、洗浄を容易にすることができる。
【0066】
前記汚染物質除去部材4が汚染物質の吸着などにより性能が低下した場合には、前記汚染物質除去部材固定装置7を前記空気清浄ダクト型中空構造物1から引き出して、降雨またはホースなどによる散水を行うことにより、目詰まり防止のためのメンテナンスやフィルタなどの目詰まり防止部材の交換が必要な洗浄装置を備えることなく、簡易的に洗浄することが可能となる(図6.10〜12)。ホースによる洗浄では、蛇口に接続して水道水を用いてもよいし、貯蔵タンクに貯蔵した雨水、水道水、イオン交換水、蒸留水などを電動ポンプで給水してもよい。その後、天日により乾燥したり、洗浄後中空構造物内にもどして、自然乾燥させることができる。
【0067】
前記汚染物質除去部材固定装置7を前記ダクト型中空構造物から完全にあるいは一部引き出した後、前記中空構造物1内への水の浸入を防ぐために、出入口部をスライド式に塞ぐ部材13を簡易的に取付けられるようにすることが望ましい(図7)。また給排気口に、取付け方を変更することにより、空気清浄時には降雨による雨水の浸入を防ぐためのフード部材となり、汚染物質除去部材洗浄時には前記中空構造物1内への散水の浸入を防ぐ蓋部材となる開閉手段14を設けることもできる(図8)。
前記空気清浄効果を有するダクト型中空構造物を傾斜させて設置する場合には、前記滑り防止壁および前記固定部の高さを高くしてズレを防止することができる。
以上詳述したとおり、本発明の汚染物質除去部材固定装置は、汚染物質除去部材を固定した状態でダクト型中空構造物から出し入れ可能とされているので、汚染物質除去部材の洗浄・交換作業を省力化し、洗浄管が太陽光や紫外線を遮ることに伴う汚染物質除去効率の低下を防止し、ランニングコストを低減することのできる空気清浄ダクト型中空構造物を提供することができるものである。
【符号の説明】
【0068】
1 空気清浄ダクト型中空構造物
2 ダクト型中空構造物
3 底部材
4 汚染物質除去部材
5 固定部
6 可動支持手段
7 汚染物質除去部材固定装置
8 底面
9 光透過性部材
10 滑り防止壁
11 光照射手段
12 ストッパー機能
15 汚染物質除去部材底板固定部
16 光照射手段固定部
17 汚染物質除去部材底板
24 補助可動支持手段
25 高さ調整機構
27 開閉部
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染された空気から汚染物質を除去して空気を清浄化する空気清浄ダクト型中空構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、健康的で快適な住環境やオフィス環境への関心が高まっている。例えば、建築物においては、活性炭などの吸着材や光触媒、それらの配合材などからなるフィルタにより、建築物内部に取り込む空気や、建築物外部に排出する空気に含まれる汚染物質を除去する技術が提案されている。
【0003】
しかし、汚染物質の除去にフィルタを使用する場合には、圧力損失が大きくなり、専用のファンの設置等が必要となるため、これを回避するための技術として、例えば、特許文献1には、光触媒または光触媒と吸着材の配合材からなる平板を汚染空気の流通方向と平行に配置することによって、圧力損失を低下させるようにした装置(以下「平行板装置」という。)が提案されている。
【0004】
この平行板装置において、吸着材を用いる場合には、吸着が進むにつれて吸着サイトが減少し、やがて破過するため、このような状況になる前に、減圧再生、加熱脱離再生、化学再生、溶媒再生、置換再生、酸化分解再生などの手法により再生するか、新しいものに交換する必要がある。
【0005】
光触媒を用いる場合には、あらゆる有機物を酸化分解することができ、最終的に水と二酸化炭素まで分解することができる。一方、窒素酸化物(NOx)、アンモニア、硫黄酸化物(SOx)などの窒素や硫黄が含まれている物質については、光触媒反応により、揮発しない硝酸イオンや硫酸イオンまで酸化されて空気中から除去されることとなるが、それら生成物が光触媒表面に蓄積されることにより、性能劣化すなわち触媒被毒を引き起こすため、定期的にそれら生成物を除去する必要がある。
【0006】
そこで、本発明者等は、かかる事情に鑑み、壁面に開閉部が設けられた中空構造物本体と、この中空構造物本体の内部に、空気の流通方向と略平行に且つ着脱自在な状態で配置された汚染物質除去部材とを有する空気清浄化装置を提案し、これに関する技術を特許文献2に開示している。この空気清浄化装置によれば、汚染物質除去部材を自在に取り外すことができるため、適切な時期に容易に汚染物質除去部材を交換・洗浄することができる。
【0007】
しかしながら、光触媒によりNOxやSOxを酸化除去する場合には、上記触媒被毒による触媒性能の低下が比較的短期間に起こることが多く、上記汚染物質除去部材を交換・洗浄する頻度も高くなるため、たとえ容易な作業であっても手間と時間は相当のものとなる。
【0008】
そこで、本発明者等は、さらに研究を進め、汚染物質除去部材を設置した状態のまま洗浄できる機能を有しながらも、汚染物質除去部材の数量や配置の変更に容易且つ柔軟に対応することができる洗浄機能を備えた空気清浄化装置を開発し、これに関する技術を特許文献3に記載している。
【0009】
しかしながら、前記空気清浄化装置によれば、前記汚染物質除去部材の上方に洗浄装置を設置するため、紫外線透過性の天板から汚染物質除去部材に照射される太陽光の一部が遮られ、汚染物質除去性能が低下する。
さらに、天井部に紫外線照射手段を配設した場合、紫外線照射手段と汚染物質除去部材の間に洗浄装置が配置される。このため、洗浄管から吐出された洗浄液が紫外線照射手段の方向に飛散するのを極力防止することができるものの、紫外線照射手段から汚染物質除去部材に照射される紫外線の一部が洗浄管により遮られ、これによる汚染物質除去効率の低下が懸念される。
【0010】
かかる空気清浄化装置においては、洗浄液として水道水のみならず、雨水も利用することができるため、経済性に優れ、水道などの水供給設備が整っていない屋外等にも設置することができるという利点を有する。
しかしながら、雨水を洗浄液として利用する場合、長時間の降雨による過剰な洗浄のために、材料の劣化を促進する虞がある。このため、雨水を利用する場合には、雨水の供給量や供給タイミングを調整するシステムの導入が必要となり、結果として装置構成が複雑になる懸念がある。
【0011】
また、上記空気清浄化装置においては、汚染空気の流れの下流側である出口側よりも上流側である入口側の方が、被清浄空気の汚染物質濃度が高くなるため、除去される汚染物質量も、光触媒表面の生成物蓄積量も入口側の方が多くなる。
このため、洗浄処理を入口側に合わせて行うと、蓄積量の少ない出口側では過剰洗浄となり、汚染物質除去部材の寿命が短くなる。また、洗浄のためのランニングコストも必要以上に嵩む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2001−120956号公報
【特許文献2】特開2007−209594号公報
【特許文献3】特願2008−253911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述した種々の課題を解決するために創作されたもので、汚染物質除去部材の洗浄・交換作業を省力化し、洗浄管が太陽光や紫外線を遮ることに伴う汚染物質除去効率の低下を防止し、ランニングコストを低減することのできる空気清浄ダクト型中空構造物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に係る発明は、ダクト型中空構造物と、底部材、該底部材上面に汚染物質除去部材を固定する固定部及び前記底部材を移動可能に支持する可動支持手段を備え、前記ダクト型中空構造物の内部に配置された汚染物質除去部材固定装置と、前記汚染物質除去部材固定装置の固定部に固定された前記汚染物質除去部材と、から構成された空気清浄ダクト型中空構造物において、前記汚染物質除去部材固定装置は、前記汚染物質除去部材を固定した状態で前記ダクト型中空構造物から出し入れ可能とされていることを特徴としている。
【0015】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された空気清浄ダクト型中空構造物の前記可動支持手段が、前記汚染物質除去部材固定装置下面に取付けられたキャスターであることを特徴としている。
【0016】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載された空気清浄ダクト型中空構造物の前記可動支持手段が、前記ダクト型中空構造物の内部下方に設けられたローラコンベアまたはホイールコンベアであることを特徴としている。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された空気清浄ダクト型中空構造物の前記汚染物質除去部材が、その少なくとも一部は光触媒および/または吸着材により構成されていることを特徴としている。
【0018】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された空気清浄ダクト型中空構造物の前記底部材が、光照射手段固定部を備えていることを特徴としている。
【0019】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された空気清浄ダクト型中空構造物の前記汚染物質除去部材固定装置が、隣接する前記汚染物質除去部材固定装置を連結する連結手段を備えていることを特徴としている。
【0020】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載された空気清浄ダクト型中空構造物の前記汚染物質除去部材固定装置が、折りたたみ機構と高さ調整機構を装備した長脚の補助可動支持手段を備えていることを特徴としている。
【0021】
請求項8に係る発明は、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載された空気清浄ダクト型中空構造物の前記ダクト型中空構造物は、その側壁に開閉部を備え、該開閉部から前記汚染物質除去部材を固定した状態で前記汚染物質除去部材固定装置を出し入れ可能とされていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係る発明によれば、ダクト型中空構造物と、底部材、該底部材上面に汚染物質除去部材を固定する固定部及び前記底部材を移動可能に支持する可動支持手段を備え、前記ダクト型中空構造物の内部に配置された汚染物質除去部材固定装置と、前記汚染物質除去部材固定装置の固定部に固定された前記汚染物質除去部材と、から構成された空気清浄ダクト型中空構造物において、前記汚染物質除去部材固定装置は、前記汚染物質除去部材を固定した状態で前記ダクト型中空構造物から出し入れ可能とされているので、汚染物質除去部材の洗浄・交換作業を省力化し、洗浄管が太陽光や紫外線を遮ることに伴う汚染物質除去効率の低下を防止し、ランニングコストを低減することのできる空気清浄ダクト型中空構造物を提供することができる。
【0023】
請求項2、3に係る発明によれば、可動支持手段が、汚染物質除去部材固定装置下面に取付けられたキャスターであるか、あるいは、ダクト型中空構造物の内部下方に設けられたローラコンベアまたはホイールコンベアであるので、簡単な構成で汚染物質除去部材を固定した状態で汚染物質除去部材固定装置を空気清浄ダクト型中空構造物から出し入れ可能である。
また、力を要することなく汚染物質除去部材固定装置を洗浄場まで運搬することができる。
【0024】
請求項4に係る発明によれば、汚染物質除去部材は少なくとも一部が光触媒および/または吸着材により構成され、汚染物質除去部材固定装置に固定した状態でダクト型中空構造物から出し入れ可能となるようにされているため、触媒被毒などによる性能低下が生じても、光触媒への太陽光や光照射手段からの光照射を遮るように配置される洗浄手段を備えることなく、迅速かつ容易に洗浄することができる。
また、汚染物質除去部材を吸着材にて構成した場合、吸着が進むにつれて吸着サイトが減少しやがて破過することとなるが、同じく汚染物質除去部材固定装置に固定した状態でダクト型中空構造物から出し入れ可能であるから、このような状況になる前に簡単に再生するか新しいものに交換することができる。
【0025】
請求項5に係る発明によれば、底部材が光照射手段固定部を備えていることから、汚染物質除去部材として光触媒を用い、ダクト型中空構造物を上下方向に重ねて使用する場合には、下段のダクト型中空構造物の底部材に備えている光照射手段固定部に光照射手段を固定して、太陽光を受光させなくても光源を紫外線照射手段で賄うことができる。
また、上段のダクト型中空構造物底面の一部または全体を光透過性部材で構成し、下段のダクト型中空構造物上面を光透過性部材で被覆することによって、上段で使用した太陽光または光照射手段からの光照射の一部を下段で利用できるようにすることもできる。なお、下段のダクト型中空構造物には、光照射手段を設けることが好ましい。
【0026】
請求項6に係る発明によれば、汚染物質除去部材固定装置が、隣接する前記汚染物質除去部材固定装置を連結する連結手段を備えているから、先頭の汚染物質除去部材固定装置をダクト型中空構造物の一方の端部から引き出すことにより、後に連結された汚染物質除去部材固定装置をも同時に引き出すことが可能となり、洗浄作業を省力化することができる。
【0027】
請求項7に係る発明によれば、汚染物質除去部材固定装置が、折りたたみ機構と高さ調整機構を装備した長脚の補助可動支持手段を備えているので、ダクト型中空構造物が床面や地面から離れて設置されている場合であっても、汚染物質除去部材固定装置が部分的に引出された段階で、前方の折りたたまれた長脚を伸ばし、高さ調整機構を駆動して高さを調整して走行させ、完全に引出した段階で後方の折りたたまれた長脚を伸ばし、高さ調整機構を駆動して高さを調整して走行させることにより、容易に引出して洗浄することができる。
【0028】
さらに、複数のダクト型中空構造物が上下方向に重ねて設置されている場合にも、汚染物質除去部材固定装置を上記と同様に走行させることにより、汚染物質除去部材固定装置を引き出して洗浄することができる。
【0029】
なお、下段のダクト型中空構造物内の上記支持装置の走行手段は、伸ばすか伸ばさないかいずれの態様でもよいが、伸ばさないときは上下2段に配置された支持装置が重なった状態で洗浄されることとなり、洗浄時に必要とされる面積を節約することも可能である。
【0030】
請求項8に係る発明によれば、ダクト型中空構造物は、その側壁に開閉部を備え、該開閉部から前記汚染物質除去部材を固定した状態で前記汚染物質除去部材固定装置を出し入れ可能とされているので、複数のダクト型中空構造物を直列に連結して使用し、先頭や後尾ではない途中のダクト型中空構造物内に配置された汚染物質除去部材を洗浄する必要が生じ、あるいは連結された複数本の汚染物質除去部材固定装置を連続で引き出すスペースが不足する場合に、側壁に形成された開閉部から汚染物質除去部材固定装置を引き出して洗浄することができる。
【0031】
また、複数のダクト型中空構造物を連結し、方向を変えたり蛇行させたりするような場合には、ダクト型中空構造物同士を曲部を有するダクトで連結するが、この構成においても、側壁に形成した開閉部から上記固定装置を簡単に引き出して洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は本発明に係る空気清浄ダクト型中空構造物の一実施例を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は同実施例の平面図、同図(b)は同断面図、同図(c)は同図(b)のA−A線断面図、同図(d)は同図(b)のB−B線断面図である。
【図3】図3は空気清浄ダクト型中空構造物の他の実施例を示すもので、同図(a)は平面図、同図(b)は断面図、同図(c)は同図(b)のA−A線断面図である。
【図4】図4は空気清浄ダクト型中空構造物のさらに他の実施例を示す斜視図である。
【図5】図5は汚染物質除去部材の設置例を示す平面図である。
【図6】図6は空気清浄ダクト型中空構造物の洗浄状態を示す斜視図である。
【図7】汚染物質除去部材の洗浄時に開口部を塞ぐ構造を示す斜視図である。
【図8】汚染物質除去部材の洗浄時に入口を塞ぐ構造の変形例を示す斜視図である。
【図9】図9は本発明の汚染物質除去部材固定装置の連結例を示す平面図である。
【図10】図10は本発明の汚染物質除去部材の洗浄例を示す斜視図である。
【図11】図11は本発明の汚染物質除去部材の他の洗浄例を示す斜視図である。
【図12】図12は本発明の汚染物質除去部材のさらに他の洗浄例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施の形態について、図1乃至図12を参照して説明する。
図中1は、空気清浄ダクト型中空構造物であり、該構造物は、ダクト型中空構造物2と、このダクト型中空構造物2の内部に配置された底部材3、この底部材3上面に汚染物質除去部材4を着脱自在に固定する固定部5及び上記底部材3を移動可能に支持する可動支持手段6を備えてなる汚染物質除去部材固定装置7と、上記固定部5に配置された少なくとも一つ、好ましくは複数の汚染物質除去部材4とを備え、上記汚染物質除去部材固定装置7が、汚染物質除去部材4を固定した状態で上記ダクト型中空構造物2から出し入れ可能とされている。
【0034】
この空気清浄ダクト型中空構造物1は、外気の建築物内部への給気口、建築物内部から発生した汚染空気の外部への排気口、地上から地下空間への給気口、地下工事現場などの地下空間から地上への排気口、屋外環境中において広い空間から狭い空間に汚染物質が集まる場所または通過する場所、狭い空間から広い空間に汚染物質が拡散する場所または通過する場所、などに据え付けることによって、それら給排気口や空気流路を通る空気中に含まれる様々な汚染物質を除去・低減するものである。
【0035】
ここにおいて汚染物質とは、例えば、建築物の外部の空気については、周囲の工場、自動車、工事現場、地下空間等から排出される一酸化窒素、二酸化窒素、浮遊粒子状物質、二酸化硫黄、一酸化炭素、二酸化炭素、非メタン炭化水素や各種有害大気汚染物質などが挙げられる。
また、建築物内部の空気については、室内濃度の指針値が定められている化学物質や二酸化炭素、トイレから発生するアンモニアなどの悪臭物質、たばこなどに起因する有機化合物の塵埃などが該当し、さらに動物園や水族館である場合には、動物やその飼育過程で発生するトリメチルアミンなどの悪臭物質、工場などである場合には、各種の化学物質が挙げられる。
【0036】
上記した空気清浄ダクト型中空構造物1は、図4に示されるように、その断面形状が多角形1a,1b,1c,円形1d,1e,楕円形またはそれぞれを組み合わせた形状1fのいずれかのダクト型中空構造物2から構成することができ、底面が平面でないときは、ダクト型中空構造物2の底部構造を簡素化するために、内部に平らな底面8を設けてもよい(図41e参照)。これにより、上記底部材3の形状を円形や楕円形よりも簡易な平板構造とすることが可能となる。
また、ダクト型中空構造物2の端部にフランジを設けることにより、複数の空気清浄ダクト型中空構造物1を簡単な構成により容易に連結することができる。
【0037】
前記汚染物質除去部材4として光触媒を用いる場合には、前記ダクト型中空構造物2と、このダクト型中空構造物2の太陽光を取り込める位置に一または複数の開口を設け、この開口を塞ぐ光透過性部材9(9a〜9e)とにより構成することが好適である(図4)。このように構成することで、太陽光を前記空気清浄ダクト型中空構造物1内に取り込むことができる。前記開口の一部または全体を開閉可能とすることにより、内部材料の交換などのメンテナンスが容易となる。例えば、回動式あるいはスライド式の扉部材で開口部を開閉するものや、蓋部材により開口部を開閉するものなど、如何なる態様のものであってもよい。
【0038】
前記汚染物質除去部材4として光触媒を用い、前記ダクト型中空構造物1を上下方向に重ねて使用する場合には、下段のダクト型中空構造物1には開口部を設けず、したがって太陽光を受光しないで、光源を紫外線照射手段で賄う構成とすることもできる。
また、上段のダクト型中空構造物底面の一部または全体を光透過性部材9で構成し、下段のダクト型中空構造物には光透過性部材9で塞ぐ開口部を設け、上段で使用した太陽光または光照射手段からの光照射の一部を下段で再利用できるようにしてもよい。この際、下段のダクト型中空構造物2には、光照射手段を設けることが好ましい。
【0039】
ダクト型中空構造物2内に収容する汚染物質除去部材4は、その一部または全体に光触媒、触媒機能を有する材料、吸着材の少なくとも一つが、含有された形態あるいは表面に塗布または焼付けにより固着した形態のいずれであってもよい。
また、光触媒、触媒機能を有する材料、吸着材の少なくとも一つを含有し、あるいは表面に塗布または焼付けにより固着して作製したパネル状またはボード状の空気清浄化部材を基材に着脱自在に装着したものであってもよい。
【0040】
前記光触媒としては、例えば、酸化チタン、金属酸化物半導体(酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化カドミウム、酸化インジウム、酸化銀、酸化マンガン、酸化銅、酸化鉄、酸化スズ、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化ジルコニウムなど)、金属硫化物半導体(硫化カドミウム、硫化亜鉛、硫化インジウム、硫化鉛、硫化銅、硫化モリブデン、硫化タングステン、硫化アンチモン、硫化ビスマスなど)、チタン酸ストロンチウム、セレン化カドミウム、タンタル酸カリウム、およびこれらの混合物などが適用可能である。可視光応答型光触媒を用いることもできる。
【0041】
また、光触媒とセメント、モルタル、珪藻土、などとの混合材や光触媒にハイドロキシアパタイトやフッ化アパタイトを結合させた触媒なども適用可能である。さらに、上記光触媒を、高温焼付け型、低温乾燥型、塗料化して塗布する方法などにより、タイルや陶磁器、セメント、ガラス、珪藻土、ケイ酸カルシウム板などのセラミックスからなる基板に担持させた材料なども含まれる。
【0042】
前記吸着材としては、少なくとも吸着機能を有するものであれば如何なる材料であってもよく、例えば、酸化還元などの触媒機能などを併せ持つものであってもよい。
このような吸着機能を有する材料としては、例えば、ゼオライト、シリカゲル、ジルコニア、イオン交換材、アルミナ系吸着材、金属錯体系吸着材、セラミックスなどの無機系吸着材や、活性炭、イオン交換材、キレート樹脂などの有機系吸着材が適用可能である。
なお、前記吸着材には、特定のガスを除去するためのガス反応成分(例えば、二酸化炭素を除去するための水酸化カリウム溶液など)を塗布または含浸したものも含まれる。
【0043】
この汚染物質除去部材4の構成は、図5に示されるように、上記ダクト型中空構造物2内に設置可能であれば適宜の構造とすることができるが、垂直方向に起立する複数の起立板部を備えている構造が好ましい。
そしてこの起立板部は、単純な平板構造(4a)に限らず、プリーツ構造、コルゲート構造、山谷構造、凹凸構造(4c)とすることも可能である。
また上記した汚染物質除去部材固定部5の溝の形状・数量や底部材3に対する取付け角度を図5の5a,5bに示されるように適宜変更することにより、平板状の汚染物質除去部材4の下部を固定部5の溝に挿入して、空気の流通方向に対する角度を調整して設置することができる。
さらに、プリーツ状やコルゲート状のセラミックス材に光触媒を焼付けたり塗布して汚染物質除去部材4を作製し、上記固定部5に設置することができる(図5参照)。
なお、レイアウトとしては、空気の流通方向と略平行に配置することが好ましく、これにより、圧力損失を抑えることができるものである。
【0044】
上記した汚染物質除去部材4の固定部5は、その汚染物質除去部材4の取付位置に係止溝や係止片等を形成して装着する構造や、専用のクリップにより装着する構造としてもよい。
【0045】
光照射手段11の下に汚染物質除去部材底板17が配置されると、立設した汚染物質除去部材4に加えて汚染物質除去部材底板17上面へも光照射されて、結果的に汚染物質除去部材底板17上面分の接触面積が増加されることとなり、光触媒機能が向上する。
一方、光照射手段11の上に汚染物質除去部材底板17が配置されると、底板17下面分の接触面積が増加される。ただし、太陽光が照射されない場合には汚染物質除去部材4(立設部)への紫外線照射がなされないことからすれば、光照射手段11の下に汚染物質除去部材底板17が配置される方が好ましい(図1参照)。
【0046】
上記した底部材3は、上面に一または複数の汚染物質除去部材4と汚染物質除去部材を固定する固定部5とを設置できる強度があればよく、雨水などの洗浄液がかかっても影響のない材料であればよい。また、骨格だけの構造にすることが望ましく、そうすることで、軽量化を図ることができる(図1)。
さらに、空気清浄ダクト型中空構造物1を上下に重ねて配置し、前記汚染物質除去部材固定装置7を上下に並んだ状態で洗浄する際に、直下への水の供給に優位である。
【0047】
さらにまた、汚染物質除去部材4が光触媒からなるときは、前記底部材3に設ける光照射手段11から照射される光を遮らないようにすることが重要である。同様の効果は、骨格と板状の光透過性部材を組み合わせる構成でも得られる。
また、前記底部材3には、固定した汚染物質除去部材4のズレが生じるのを防ぐために、滑り防止壁10を設けるのが望ましい(図示省略)。
前記光透過性部材としては、石英、硼珪酸ガラス、紫外線透過樹脂などが挙げられるが、可視光応答型光触媒を使用する場合には、各種ガラスや光透過性樹脂を用いることができる。
【0048】
前記汚染物質除去部材の底板17を固定する固定部15は、前記固定装置7の底部材3の一部に係合部を設けるかまたは支持部を突設して、前記汚染物質除去部材底板17を係合または支持する。係合部または支持部の端部には、固定した汚染物質除去部材底板17の落下またはズレを生じさせないための滑り防止壁(図示省略)を設けることが好ましい。
【0049】
前記底板17が複数の部材からなり、これを支持する底面が必要な場合には、固定部15は、全面を覆う形状の底面ではなく、渡し部材などを設置するのがよい。これにより、前記底板17下面と固定部15の底面との接触部分を低減でき、汚染空気と汚染物質除去部材底板17との接触面積を広く確保することができる。
【0050】
光照射手段11は、光触媒からなる汚染物質除去部材4に照射可能かつ汚染物質除去部材固定装置7の移動に影響しない位置に設置することが望ましい。
光照射手段としては、紫外線照射のブラックライト、紫外線LED、紫外線ランプまたはその組み合わせが挙げられる。また、光触媒が可視光応答型光触媒である場合には、紫外線照射手段の代わりに蛍光灯やLEDなどの光源を設置することも可能である。蛍光灯タイプのブラックライトは、複数本をソケット部で一体化して(図1参照)、前記ダクト型中空構造物2の長手方向または短手方向に合わせて光照射手段固定部16に固定するものである。
【0051】
光照射手段11をダクト型中空構造物2内に設置するに際しては、太陽光照射を妨げる割合を減らすように配置することが望ましい。例えば、前記汚染物質除去部材4の直上に同部材と同方向に配置する。また、前記中空構造物2内に汚染物質除去部材4を長手方向に間隔を置いて配置する場合には、その間隔部分に長手方向または短手方向に配置する。
LEDを採用すればその占有場所を低減でき、太陽光を遮る割合が低くなるため、前記汚染物質除去部材への光照射に優位な場所に任意に配置することができる。
【0052】
前記光照射手段固定部16は、光照射手段11を容易に取り外すことができ、光照射手段11へ洗浄の影響を排除することができるように、汚染物質除去部材固定装置7の底部材3の一部に係合部または支持部を形成して、光照射手段11を係合または支持する構成とした。前記係合部または支持部の端部には、前記固定した光照射手段11の落下またはズレを生じさせないための滑り防止壁を設けることが好ましい(図示省略)。
【0053】
前記光照射手段11は、天板9からの太陽光の照射をできるだけ遮らないように、例えば間隔を置いて配置するとともに前記固定部16には底面を設けないようにする。
また、前記光照射手段の配線は一つにまとめて、前記ダクト型中空構造物2内部壁面に沿わして固定し、ダクト型中空構造物2の途中、または出入口から出して配電部分に接続する。前記ダクト型中空構造物2の途中から出す場合には、ダクト型中空構造物内への浸水を防ぐためパッキンを設ける。
【0054】
汚染物質除去部材4が光触媒ではない場合には、光照射手段11を設置することが不要なため、光照射手段固定部16に光照射手段11に代えて汚染物質除去部材底板17を設置することも可能である。このようにすることによって、汚染物質除去部材立設部に加えて、2枚の汚染物質除去部材底板を配置でき、清浄化機能を増強できる。
なお、汚染物質除去部材底板固定部15および光照射手段固定部16は、構造が類似しており、汚染物質除去部材底板固定部15に前記光照射手段11を、光照射手段固定部16に汚染物質除去部材底板17を設置することも可能である。
【0055】
図2を参照して汚染物質除去部材固定装置7の他の構成要素についてみると、前記底部材3を支持する可動支持手段6として、キャスター6aやローラコンベヤ6b、ホイールコンベヤを前記底部材3に取り付けることが可能である。また、前記中空構造物2内面にガイドレールやスライドレールを設けて、前記キャスター6aの直線走行を補助してもよい。このキャスター6aにはストッパー機能12がついていることが好ましい。
【0056】
上記構成の他に、前記底部材3にリニアレール用ブロックを取り付け、前記中空構造物2内にリニアレールを設けることによって走行させてもよい。前記中空構造物2内部に、図示を省略する滑り防止壁を設けることも可能である。
そして前記空気清浄ダクト型中空構造物1を直列に接続して用いる場合には、滑り防止壁は先頭と最後尾のみに設ければよいため、前記滑り防止壁は着脱可能とするのが好ましい。
【0057】
他方、前記中空構造物2内部壁面に備えた前記固定装置7bの可動支持手段6として、ローラコンベヤ6bあるいはホイールコンベヤ(ソロバンホイールコンベヤ、アコーディオンコンベヤ、シングル千鳥ホイールコンベヤ、シングル単列ホイールコンベヤなど)を前記ダクト型中空構造物2に取付けて、前記底部材3を滑らせる構造とすることができる。前記中空構造物2内部には、滑り防止壁を設けることが好ましい。
【0058】
さらに、汚染物質除去部材固定装置7の可動支持手段6がローラコンベヤやホイールコンベヤのようにダクト型中空構造物2に取付けられる実施例では、汚染物質除去部材の底板17もローラコンベヤやホイールコンベヤに接触する可能性がある。これを回避するため、前記底板固定部15および光照射手段固定部16の下に板部材20を配置するのが望ましい。これにより、底板17を傷付けることなく可動支持手段6の作動をより容易にすることができる(図3)。ただし、前記板部材20には洗浄時の水はけをよくするために、空隙を設けることが望ましい。
以上の構成により、汚染物質除去部材4を光触媒としたとき、前記光照射手段11を太陽光が照射される条件下で併用して、紫外線の受光量がより低い底面付近において紫外線を補強することができ、また紫外線が弱い季節の紫外線を補強することもできる。夜間など太陽光が照射されない条件下では、紫外線照射が有効に機能する。
【0059】
折りたたみ機構によって折りたたみ可能な補助可動支持手段24は、前記固定装置7の底板固定部15及び光照射手段固定部16の下に折りたたまれてダクト型中空構造物2内に格納されるか、あるいは、前記固定装置7に連接されて固定され、ダクト型中空構造物2底面外側に折りたたまれて格納されており、前記固定装置7をダクト型中空構造物2から引き出した後、該固定装置7をダクト型中空構造物2外で支持可能となっている。
【0060】
この補助可動支持手段24は、固定装置7の両端近傍に設置するのが好ましい。そのようにすることにより、固定装置7を、ダクト型中空構造物2から一部引き出して洗浄することができ、また全体を引き出して洗浄することもできる。
【0061】
補助可動支持手段24はまた、一般の高さ調整機構25を備えることができ、先端にストッパー機能付きのキャスター26を備えることができる(図2,3参照)。
この構成により、前記空気清浄ダクト型中空構造物1が地面から離れて設置されている場合にも、前記固定装置7をダクト型中空構造物2端部より引き出し、容易に洗浄することができる。
また、複数のダクト型中空構造物1が上下方向に重なって設置されている場合に、それぞれの固定装置7を同様に引き出し、前記高さ調整機構25で支持高さを調整して洗浄することができる(図10参照)。
複数の空気清浄ダクト型中空構造物1を直列に連結して使用する場合には、補助可動支持手段24は、空気清浄ダクト型中空構造物1内部へ折りたたんで格納できる支持手段を用いるものである(図2参照)。
【0062】
前記中空構造物本体2の開閉部27は、前記汚染物質除去部材4および/または前記汚染物質除去部材固定装置7を出し入れ可能であればいずれの箇所に設けてもよく、例えば、回動式あるいはスライド式の扉部材で開口部を開閉するものや、蓋部材により開口部を開閉するものなど、如何なる態様のものであってもよい。
【0063】
扉部材や蓋部材の密閉性を高めるため、開口部にパッキンを装着することが好ましい。例えば、中空構造物本体2の側面に開閉部上部を枢着して下方から回動式で開けられるように設けると、複数の空気清浄ダクト型中空構造物1を直列に連結して使用し、先頭・後尾ではない空気清浄ダクト型中空構造物1内に配置された汚染物質除去部材4を洗浄する必要が生じたり、複数本を連続で引き出すスペースが少ない場合に、前記開閉部27から前記固定装置7を側方に引き出して洗浄することができる(図11)。
また、空気清浄ダクト型中空構造物1同士を曲部を有するダクトで連結する場合(複数のダクト型中空構造物1を連結し、方向を変えたり、蛇行させたりするような場合)には、前記開閉部27から引き出して洗浄することができる。
【0064】
一方、複数の空気清浄ダクト型中空構造物1を直列に連結し、上下方向にも重ねて設置する場合に、先頭・後尾でなく二段目以上に配置したダクト型中空構造物内に配置された汚染物質除去部材4を洗浄する必要が生じたときには、ダクト型中空構造物の側面に開閉部下部を枢着して上方から回動式で開けられるように設けると、開閉部27が引き出す前記汚染物質除去部材固定装置7の下支え床面となり、台などをその下に設置すれば、洗浄することが可能となる(図12)。このように、前記空気清浄ダクト型中空構造物1の側面の開閉部27から前記固定装置7を引き出す場合には、前記キャスター付の汚染物質除去部材固定装置7aを用いることにより、キャスター6aの可動方向を変えて引き出すことができる。
【0065】
汚染物質除去部材固定装置7同士を連結する手段は、複数の空気清浄ダクト型中空構造物1を直列に連結して使用する場合に、前後に隣接する固定装置7同士を連結できれば如何なる手段でもよい。
具体例について図9を参照して説明する。
1例として、隣接する固定装置7の底部材3両端部に1または複数の穴21aを穿設し、穿設された隣接する穴21aと両端2箇所に穴を設けた専用板材22aの穴を重ねあわせ、ストッパー23を差し込んで固定する。
他の例としては、前記隣接する固定装置7の穴21bに2箇所に突出部を設けた専用板材22bを挿入して固定することもできる。
さらに、隣接する固定装置7同士を専用クリップで留めてもよい。
いずれの形態を採るとしても、連結の形成および解除が容易にできることが望ましい。このような構成を採用することによって、先頭の固定装置7を引き出すことにより、後に連結された固定装置7をも引き出すことが可能となり、洗浄を容易にすることができる。
【0066】
前記汚染物質除去部材4が汚染物質の吸着などにより性能が低下した場合には、前記汚染物質除去部材固定装置7を前記空気清浄ダクト型中空構造物1から引き出して、降雨またはホースなどによる散水を行うことにより、目詰まり防止のためのメンテナンスやフィルタなどの目詰まり防止部材の交換が必要な洗浄装置を備えることなく、簡易的に洗浄することが可能となる(図6.10〜12)。ホースによる洗浄では、蛇口に接続して水道水を用いてもよいし、貯蔵タンクに貯蔵した雨水、水道水、イオン交換水、蒸留水などを電動ポンプで給水してもよい。その後、天日により乾燥したり、洗浄後中空構造物内にもどして、自然乾燥させることができる。
【0067】
前記汚染物質除去部材固定装置7を前記ダクト型中空構造物から完全にあるいは一部引き出した後、前記中空構造物1内への水の浸入を防ぐために、出入口部をスライド式に塞ぐ部材13を簡易的に取付けられるようにすることが望ましい(図7)。また給排気口に、取付け方を変更することにより、空気清浄時には降雨による雨水の浸入を防ぐためのフード部材となり、汚染物質除去部材洗浄時には前記中空構造物1内への散水の浸入を防ぐ蓋部材となる開閉手段14を設けることもできる(図8)。
前記空気清浄効果を有するダクト型中空構造物を傾斜させて設置する場合には、前記滑り防止壁および前記固定部の高さを高くしてズレを防止することができる。
以上詳述したとおり、本発明の汚染物質除去部材固定装置は、汚染物質除去部材を固定した状態でダクト型中空構造物から出し入れ可能とされているので、汚染物質除去部材の洗浄・交換作業を省力化し、洗浄管が太陽光や紫外線を遮ることに伴う汚染物質除去効率の低下を防止し、ランニングコストを低減することのできる空気清浄ダクト型中空構造物を提供することができるものである。
【符号の説明】
【0068】
1 空気清浄ダクト型中空構造物
2 ダクト型中空構造物
3 底部材
4 汚染物質除去部材
5 固定部
6 可動支持手段
7 汚染物質除去部材固定装置
8 底面
9 光透過性部材
10 滑り防止壁
11 光照射手段
12 ストッパー機能
15 汚染物質除去部材底板固定部
16 光照射手段固定部
17 汚染物質除去部材底板
24 補助可動支持手段
25 高さ調整機構
27 開閉部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダクト型中空構造物と、
底部材、該底部材上面に汚染物質除去部材を固定する固定部及び前記底部材を移動可能に支持する可動支持手段を備え、前記ダクト型中空構造物の内部に配置された汚染物質除去部材固定装置と、
前記汚染物質除去部材固定装置の固定部に固定された前記汚染物質除去部材と、
から構成された空気清浄ダクト型中空構造物において、
前記汚染物質除去部材固定装置は、前記汚染物質除去部材を固定した状態で前記ダクト型中空構造物から出し入れ可能とされていることを特徴とする空気清浄ダクト型中空構造物。
【請求項2】
前記可動支持手段は、前記汚染物質除去部材固定装置下面に取付けられたキャスターであることを特徴とする請求項1に記載された空気清浄ダクト型中空構造物。
【請求項3】
前記可動支持手段は、前記ダクト型中空構造物の内部下方に設けられたローラコンベアまたはホイールコンベアであることを特徴とする請求項1に記載された空気清浄ダクト型中空構造物。
【請求項4】
前記汚染物質除去部材は、少なくとも一部が光触媒および/または吸着材により構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された空気清浄ダクト型中空構造物。
【請求項5】
前記底部材は、光照射手段固定部を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された空気清浄ダクト型中空構造物。
【請求項6】
前記汚染物質除去部材固定装置は、隣接する前記汚染物質除去部材固定装置を連結する連結手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された空気清浄ダクト型中空構造物。
【請求項7】
前記汚染物質除去部材固定装置は、折りたたみ機構と高さ調整機構を装備した長脚の補助可動支持手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載された空気清浄ダクト型中空構造物。
【請求項8】
前記ダクト型中空構造物は、側壁に開閉部を備え、該開閉部から前記汚染物質除去部材を固定した状態で前記汚染物質除去部材固定装置を出し入れ可能とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載された空気清浄ダクト型中空構造物。
【請求項1】
ダクト型中空構造物と、
底部材、該底部材上面に汚染物質除去部材を固定する固定部及び前記底部材を移動可能に支持する可動支持手段を備え、前記ダクト型中空構造物の内部に配置された汚染物質除去部材固定装置と、
前記汚染物質除去部材固定装置の固定部に固定された前記汚染物質除去部材と、
から構成された空気清浄ダクト型中空構造物において、
前記汚染物質除去部材固定装置は、前記汚染物質除去部材を固定した状態で前記ダクト型中空構造物から出し入れ可能とされていることを特徴とする空気清浄ダクト型中空構造物。
【請求項2】
前記可動支持手段は、前記汚染物質除去部材固定装置下面に取付けられたキャスターであることを特徴とする請求項1に記載された空気清浄ダクト型中空構造物。
【請求項3】
前記可動支持手段は、前記ダクト型中空構造物の内部下方に設けられたローラコンベアまたはホイールコンベアであることを特徴とする請求項1に記載された空気清浄ダクト型中空構造物。
【請求項4】
前記汚染物質除去部材は、少なくとも一部が光触媒および/または吸着材により構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された空気清浄ダクト型中空構造物。
【請求項5】
前記底部材は、光照射手段固定部を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された空気清浄ダクト型中空構造物。
【請求項6】
前記汚染物質除去部材固定装置は、隣接する前記汚染物質除去部材固定装置を連結する連結手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された空気清浄ダクト型中空構造物。
【請求項7】
前記汚染物質除去部材固定装置は、折りたたみ機構と高さ調整機構を装備した長脚の補助可動支持手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載された空気清浄ダクト型中空構造物。
【請求項8】
前記ダクト型中空構造物は、側壁に開閉部を備え、該開閉部から前記汚染物質除去部材を固定した状態で前記汚染物質除去部材固定装置を出し入れ可能とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載された空気清浄ダクト型中空構造物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−77997(P2012−77997A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223054(P2010−223054)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]