説明

空気清浄マイナスイオン香り発生器

【課題】
マイナスイオンの放出と、複数の香源から任意の香りを選択発香でき、小室内から広室内まで広範囲に適正な発香量を提供できるとともに香りを楽しんだ後に残香を消臭し室内空気を浄化する。
【解決手段】、
イオン拡散口31と香り拡散口32を持ち外周面に可視光応答型光触媒をコーティングした本体カバー30を本体ベース10上面に装着し、本体ベース10内に吸気送風手段と制御手段28を設け、本体ベース10から上方に送風筒15を立ち上げその上端部にイオン発生ユニット24と、香料ユニット40を設置したアクチュエータユニット60を複数装着し、形状記憶合金ワイヤに通電制御してマイナスイオンの放出と複数の香りから、好みの香りの放出・停止・香りの発生量のコントロールを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイナスイオンを発生し浮遊粉塵を沈降させ、複数の香源から任意の香りを選択して発香できるとともに、香りの効果を十分に活用した後、発香拡散した残香を可視光対応型光触媒で室内空気とともに清浄化・消臭することのできる空気清浄マイナスイオン香り発生器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、香り発生器においては低価格で複数の香源を備え任意の香種を選択することのできる機種が少なく、そのため前回発生した残香を消臭し、新鮮な香りを新たに発するとの考え方の機種が無かった。
【0003】
従来から香料液を室内に拡散させる方法として、形状記憶合金に通電制御して自己発熱に
よる作動力と発熱の両作用を利用して、香料容器から香料を発香室に移送吐出して加温し
蒸発拡散を行う簡便な機構が開発されている。その方法、装置として下記のものが知られ
ている。
【0004】
液体香料を収容した香料容器の上部にディスペンサポンプを取付けて、蓋の付いた発香室を隣接して設け、発香室の下部に内蔵するように形状記憶合金製ワイヤを複数列掛け渡して、通電制御して自己抵抗による発熱を利用して上部に接する発香室を加温し、変態温度を超える温度で形状記憶変形して縮小する力を作動力として、リンクを介して垂直方向の作動力に変換し、ディスペンサポンプを押し込み香料を隣接する発香室内にパイプ移送し吐出し、同時にリンクを介した垂直方向の作動力で発香室蓋を開き、香料を蒸発拡散させて香料の発香装置としたもので、本願発明に関連する公知技術として、出願人本人による先行出願の特許文献1を上げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−237935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術は、形状記憶合金製ワイヤへの通電制御で、形状変態温度以上で作動力と蓋の開き作用を得て発香し、形状変態温度以下になるとワイヤ戻しバネ力やディスペンサポンプの反力で初期状態に復帰するため、香りの拡散の維持は、形状変態温度以上の温度範囲で行っており、発香量の制御において大発香量の制御に適しており、微少の発香量制御に課題があった。
【0007】
また、各部の機構が相互に連携構成され一体化されており、メンテナンス性に課題があった。
【0008】
近年、香りが生体に及ぼす影響や効果について広く知られるようになってきたことから、状況に応じた香りを必要と感じたとき直ちに得たいとの要望が多くなってきている。
例えば、心の落ち着く鎮静効果のある香りとか、集中力の得やすい香りとか、高揚感が増し幸せに感じられる香りなどを簡便に切り替えて使える機器や装置を望む声が高くなってきている。
【0009】
人は、同じ匂いを嗅ぎ続けると、嗅覚の順応がおこり感覚低下を来すので、香り発生装置などでは香りのゆらぎ制御などを行い香量を変化させ知覚能力の維持を図っている。
しかしながら、古い香りがいつまでも室内に滞留しているのは好まない傾向があり、香りを楽しんだ後、室内空気の浄化消臭がなされ、次回、また新鮮な香りを楽しみたい、また、
小室内から広室内まで対応でき、あまり設置場所をとらず、低価格で快適な室内環境を得たいという要望を満たす装置が無かったことから本発明はなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
香り拡散口32を頭頂部に持ち、前面側にイオン拡散口31を持つ本体カバー30を設け、外周面に可視光応答型光触媒をコーティングし、内空部には後述する香料ユニット40及びイオン発生ユニット24が収納されるドーム状のカバーとして本体ベース10の上面中央部に設けられたカバー用凸面部11に装着する。
【0011】
本体ベース10は、上面後方に操作面14を持ち左右側面部に吸気口13を設けて本体ベース10の内空部に吸気送風手段としてファン取付台26と送風ファン27を取付け、制御手段28として制御基板などを取付け、本体ベース上面のカバー用凸面部11の上方に送風筒15を立ち上げ、上部をユニット取付部16として、その上端部から下方周囲に開口部を設けて、複数の香りユニット接続口17及びイオンユニット接続口19とする。
それぞれの接続口の内側である送風筒の内側にユニット取付溝18を設ける。
送風筒上端には蓋板20を取り付けられるようにする。
香りユニット接続口17にはアクチュエータユニット60を装着し、イオンユニット接続口19には、イオン風道21にマイナスイオン発生器22を取付てイオン発生ユニット24として装着する。
【0012】
アクチュエータユニット60は、そのアクチュエータフレーム61の前方の左右両外側に蓋開きリブ63を設け、後方両外側に取付リブ62を設け、左右フレームの上部をつなぐフレーム上板64を設け、左右フレーム内に起点ワイヤ掛81とワイヤローラ91と稼動ワイヤ掛86を設けて、更に左右フレームの下面にフレームより前方に張り出してテーブル切込穴75を持つアクチュエータテーブル74を設ける。
起点ワイヤ掛81とワイヤローラ91と稼動ワイヤ掛86間に駆動用形状記憶合金製ワイヤ101を複数列に掛け渡し、必要な駆動出力が得られるようにし、この駆動用形状記憶合金製ワイヤ101に通電制御できるようにして自己抵抗による発熱によって駆動用形状記憶合金製ワイヤ101を長さが縮小する形状記憶変形させて稼動ワイヤ掛86を稼動軸72を支点として揺動駆動してその先端部で作動出力が得られるようにする。
また掛け渡す駆動用形状記憶合金製ワイヤ101の一部がフレーム前方の発香ポット側に位置するようにして、駆動用形状記憶合金製ワイヤ101の発熱を熱出力として得られるようにする。
駆動用形状記憶合金製ワイヤへ101の通電による作動出力によって押し下げられた後述する発香ポット41の上昇戻りを阻止するフック95をアクチュエータフレーム61内に設け、フックバネ94で発香ポット41の後側面下方に設けた掛止突起58へのフックの掛止作用ができるようにする。これにより駆動用形状記憶合金製ワイヤ101への通電を停止又は通電量を制御して変態点温度以下に制御しても後述するポット蓋50の開状態が維持される。
フック95体の一部へフック穴98を設け解除用形状記憶合金製ワイヤ103を取付て他端をアクチュエータフレーム64の一端に固定し通電による自己発熱によって長さが縮小する形状記憶動作をさせフックバネ94に抗してフック95の解除ができるようにする。
【0013】
香料ユニット40は、香料容器59上部にディスペンサポンプ54を取付けて、このディスペンサポンプ54のパイプ状のプランジャ56の先端を発香ポット41の内底部のノズル突起44部の下面外側に接続して発香ポット41を支持し、ディスペンサポンプ54の押し込み作動で香料液がノズル突起44のノズル溝46から発香ポット内室42に吐出されるようにする。
発香ポット41の後側面上部にポットアーム49を延長し、ポット蓋50に設けた蓋アーム51と開閉支点軸52で接続してポット蓋50を開閉できるようにする。またディスペンサポンプ54の中間外周部にポンプ取付フランジ77を固着する。アクチュエータテーブル74のテーブル切込穴75部にポンプ取付フランジ77を乗せ香料ユニット40を設置できるようにする。
このとき、香料ユニット40の上部に位置する発香ポット41の後側面の一部がアクチュエータユニット60の駆動用形状記憶合金製ワイヤ101の一部に接触して駆動用形状記憶合金製ワイヤ101の発熱を伝熱されるよう配設する。
同時に稼動ワイヤ掛86の作動力を発香ポット41の後側面に設けた押下突起48に作用させ発香ポット41を押し下げ、発香ポット41の内底部のノズル突起44部に接続されたディスペンサポンプ54のプランジャ56を押し下げることによってポンプを駆動して香料容器59内の香料液を発香ポット41内に吐出させる。
また、発香ポット41が押し下げられる時に蓋アーム51がアクチュエータフレーム61前端部に設けた蓋開きリブ63の上面に押し当てられ発香ポット41の下降に従ってポット蓋50が開かれ香りを放出できるようにして、送風手段からの送風を送風筒15を経て左右のアクチュエータフレーム61間を通して発香ポット41開口部に導き香りと共に本体カバーの香り拡散口32から放出するようにする。
また、イオン発生ユニット24から放射されたマイナスイオンを送風筒15からイオン風道21を経た送風によって本体カバー30の外周面に設けたイオン拡散口31から放出するようにする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のように形状記憶合金製ワイヤへの通電制御によって香りを発する機構を用いると無音で作動し香りの発生がなされ、他のメカニカルな香りの発生方式のような機械音を発せず静粛である。
発香ポットへの香料液の吐出と蓋の開き作動源を駆動用形状記憶合金製ワイヤにより行い、蓋の閉止作動源を解除用形状記憶合金製ワイヤによって行うよう開閉分離したことによって、発香ポットを加温する温度制御範囲が室温から形状記憶合金の変態温度を超えて、繰り返し作動可能な耐熱許容温度範囲まで広がり、広範囲の発香量コントロールが可能になった。
複数の香料ユニットを内蔵して、状況に応じて、香りを直ちに簡便に切り替えられる。
マイナスイオン発生によって浮遊粉塵の沈降を促し、同時に可視光応答型光触媒によって室内光で光触媒作用を発揮し、室内空気の清浄化・空気環境の改善作用がなされる。
光触媒による有機物分解作用には多少時間がかかることから、香りを発生しその効果を楽しんだ後、次第に消臭効果が発揮され、古い香りの残留を分解低減でき、次回、新たに新鮮な香りの効果を再び楽しむことができる。
本発明の構成によって、複数の香りの持つ効果とマイナスイオン効果と光触媒による室内空気の清浄作用を、小型な機器で、低価格で提供することができる。
マイスナスイオン発生ユニット、香料ユニット、香料ユニットを機能させるアクチュエータユニットとした各部のユニット化によってメンテナンス性が格段に向上した。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明の実施の一例の正面方向から見た要部断面図である。
【図2】図2は本発明の実施の一例の側面方向から見た要部断面図で、香料ユニット はポット蓋を開き香りを発生している状態を示す。
【図3】図3は本発明の実施の一例の背面方向から見た要部断面図である。
【図4】図4は本発明の実施の一例の斜め前方から見たイオンユニットと本体ベースの斜視図である。
【図5】図5は本発明の実施の一例の本体カバーを要部断面図とした状態の平面図である。
【図6】図6は本発明の実施の一例の香料ユニットの拡大分解図で、発香ポットとポンプと香料容器の要部断面分解図である。
【図7】図7は本発明の実施の一例の香料ユニットの拡大分解図で、発香ポットとポンプと香料容器の背面図を示す。
【図8】本発明の実施の一例のアクチュエータユニットの拡大平面図である。
【図9】図9は本発明の実施の一例のアクチュエータユニットの拡大背面図である。
【図10】図10は本発明の実施の一例のアクチュエータユニット拡大要部断面側面図で、駆動用形状記憶合金製ワイヤのワイヤ掛け状態を示す。
【図11】図11は本発明の実施の一例の アクチュエータユニットの拡大要部断面側面図で解除用形状記憶合金製ワイヤのワイヤ掛け状態を示す。
【図12】図12は本発明の実施の一例のアクチュエータユニットに組込まれる主な部品の拡大分解斜視相関図である。
【図13】図13は本発明の実施の一例のアクチュエータユニットに香料ユニットを装着した状態の拡大要部断面図で、(a)は発香停止状態を示し、(b)は駆動形状記憶合金ワイヤに通電することによって香料ポンプが押し下げられポット蓋がアクチュエータフレームの蓋開きリブに作用して開いた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態の概要は以下の通りである。
【0017】
本体ベース10上に可視光応答型光触媒をコーティングした本体カバー30を装着し、その内部にイオン発生ユニット24と形状記憶合金製ワイヤを駆動源とするアクチュエータユニット60と香料ユニット40からなる複数の香り発生ユニットを装着して、複数の香り発生ユニットから任意の好みの香りを選択発香できるようにして、本体カバー30の前面にイオン拡散口31を設け、頭頂部に香り拡散口32を設け、本体ベース内に設けた吸気送風手段で内部から送風し、マイナスイオンと好みの香りを、好みの香り強度で外部へ放出拡散できるようにする。
【0018】
形状記憶合金製ワイヤに通電制御して、形状記憶合金の自己抵抗による発熱と、形状記憶変態点以上の温度になると急速に形状記憶動作を起こし、形状記憶合金変態点以下の温度で容易に初期形状に変化させることのできる性質を用いて、発熱量と作動力の2作用を合理的に利用してアクチュエータ作用をせしめるようにして、香料容器内59の香料液をディスペンサポンプ54で発香ポット41内に吐出されるようにし、形状記憶合金製ワイヤの発熱量で加温して、香料を蒸発拡散させることのできるアクチュエータユニット60を構成し、香料ユニット40と連携し、香りの発香及び停止並びに発香量のコントロールができるようにする。
【0019】
可視光応答型光触媒の技術開発が進展し、室内光で空気清浄作用を発揮できる製品が次々と発表されている。例えば、佐賀県有特許によるTPX や、(株)大阪チタニウムテクノロジーズの光触媒
可視光型ゾルや、石原産業のMPT-623
や、東芝マテリアルの非Ti系製品や、産業技術総合研究所特許のWO3系製品など数多くの企業が開発しており、選定しコーティング素材として活用することができる。
本体カバー30の外周に可視光応答型光触媒をコーティングし、本体ベース10内に設けた吸気送風手段で、本発明の装置周辺の空気を移動対流させ、多くの空気を本体カバー30に接触させるようにして、室内光で環境浄化作用を発揮させ、放出した香りの残香を分解消臭させるとともにマイナスイオンを放出して、浮遊粉塵の沈降を促し、室内空気の清浄化を行う。
以下、本発明の実施の一例を図面に基づき詳細に説明する。
【実施例】
【0020】
図1は、略四角箱状の本体ベース10上面中央部に僅かに突起するベースカバー用突起部11を設け、円筒ドーム状の本体カバー30を装着した状態の正面方向から見た要部断面図で、本体カバー30の内空部にマイナスイオン発生ユニット24と香料ユニット40を取り付けた複数のアクチュエータユニット60を収容する。
本体ベース10部の左右側面部に設けた吸気口13と、吸気送風手段としてのファン取付台26と送風ファン27と本体ベース10中央部の送風筒15を示し、送風筒15上部のユニット取付部16に複数のユニット接続部が設けられており、中央正面部にマイナスイオン発生器22を取り付けたイオン風道21を持つイオン発生ユニット24を装着しており、左右のユニット接続部に香料ユニット40を設置したアクチュエータユニット60を示す。
【0021】
図2は本体ベース10に本体カバー30を装着した状態の側面方向から見た要部断面図で、送風筒15上部のユニット取付部16のイオンユニット接続口19の取付溝部にイオン発生ユニット24を装着し、香りユニット接続口17の取付溝部に香料ユニット40を設置したアクチュエータユニット60の装着接続状態を示す。
香料ユニット40は、上部に位置する発香ポット41が押し下げられポット蓋50が開き香りを放出している状態を示す。
本体カバー30は、頭頂部に香り拡散口32を持ち、正面方向にイオン拡散口31を持ち、本体カバー30の外周面には可視光応答型光触媒をコーティングする。
イオン拡散口31は、イオン発生ユニット24からのマイナスイオンの放出拡散に適した位置とする。
本体ベース10の側面部に設けた吸気口13から送風ファン27で吸い込んだ空気を送風筒内15に送風し、一部をイオンユニット接続口19からイオン風道21へ送風し、マイナスイオン発生器22のイオンニードル23から放出されたマイナスイオンをイオン風道21の送風によってイオン拡散口31から室内空間に放出する。
マイナスイオンの発生部及び放出経路には帯電防止処理を施しイオンの発生と放出を効率的に行えるようにする。
また、送風筒15内への送風の一部は、香りユニット接続口からアクチュエータフレーム間を通して、発香ポット41部へ送風する。
ポット蓋50が開いた状態では発香ポット41との間に空間が生じここから発香ポット41開口部に送風が流入し、ポット内室42内から立ち上がる香りと共に本体カバー30の頭頂部の香り拡散口32から室内空間に放出される。
【0022】
図3は、本体ベース10に本体カバー30を装着した状態の背面方向から見た要部断面図で、真後ろと左右に位置する香料ユニット40とアクチュエータユニット60の3ユニットを収容した状態を示す。
【0023】
図4は、斜め前方から見たイオン発生ユニット24と本体ベース10の斜視図である。
送風筒15のユニット取付部16の正面方向にイオンユニット接続口19を設け開口部の両内側にユニット取付溝18を設ける。
ユニット取付部16の後面方向と左右面方向の3面に香りユニット接続口を設け、開口部の両内側にユニット取付溝18を設ける。
イオン風道21の後方端を取付リブとしてイオンユニット接続口19のユニット取付溝18に差し込み組み取り付けて、マイナスイオン発生器22のイオンニードル23をイオン風道21の通風路側に向けて取り付け、イオン発生ユニット24とする。
【0024】
図5は、本体ベース10に本体カバー30を装着した状態の平面図で、本体カバーをイオン拡散口の高さ位置で切断面としている。
ユニット取付部16への各ユニットの接続取付状態を示し、イオン発生ユニットと香料ユニット40は3ユニット取付けており、本例においては3種類の香りを発生することができる。
香料ユニット40を設置したアクチュエータユニット60を多数取り付けて、もっと多くの香種を発生できるようにしても良い。
【0025】
図6は、香料ユニット40の拡大図で、発香ポット41とディスペンサポンプ54と香料容器59の拡大分解要部断面図を示す。
発香ポット41は、カップ形状で内部をポット内室42として、内底部に底面より突起した小径のノズル突起44を持ち、ノズル突起中心部に下方に貫通する香料の吐出穴を持ち、その下部にプランジャ接続穴45を持たせる。ノズル突起上面部から中央を左右に横切るノズル溝46を設けその上部にノズルキャップ47を取り付ける。
発香ポット41の内底部のノズル突起44を除いた部分に極薄の不織布又はパルプ材などで造られた拡散シート53を敷いて吐出された香料を速やかに内底部に拡散させる。
発香ポットの外側下面にガイド43を設けて発香ポットの姿勢の安定に寄与させる。
香料を香料容器59内から吸い込み発香ポット41内に吐出するディスペンサポンプ54を用い、段付のポンプハウジングの中央部にポンプシリンダ55を内蔵し、ポンプ作動用プランジャ56をポンプシリンダ55から上部に突出している。
ディスペンサポンプ54は、香粧品ポンプとして一般に普及しているものを使用することができ、プッシュボタン部を発香ポット41に置き換えた構造とすることができる。
ポンプハウジングの外周段付部にポンプ取付フランジ77を固着する。
発香ポット41の後面側上部にポットアーム49を設けてアーム端部に支点軸52を設けてポット蓋50の後面側に設けた蓋アーム51と支点接続して発香ポット41とポット蓋50を開閉できるようにする。
【0026】
図7は、図6に示す香料ユニットを背面方向から見たもので発香ポットとポンプと香料容器の拡大分解背面図を示す。
発香ポット41の後面側下方の、形状記憶合金製ワイヤの掛け渡し位置と干渉しない位置に押下突起48と掛止突起58を設ける。
【0027】
図8は、アクチュエータユニット60の拡大平面図で、香料ユニット40を差し込み設
置するためのテーブル切込穴75を中央に持つアクチュエータテーブル74の後方側上面に左右のアクチュエータフレーム61を立ち上げて設け、アクチュエータフレーム61上面に左右をつなぐフレーム上板64を設ける。
フレーム上板64の中央に後述する起点ワイヤ掛81の調整用ネジ取付穴を設け、フレーム上板64の後方左右端部付近に解除用ワイヤ掛穴70を設ける。
左右のアクチュエータフレーム61の前方外側に蓋開きリブ63を設け、後方外側に取付リブ62を設ける。
左右のアクチュエータフレーム61間に取り付けられる機構部品については、後述する。
アクチュエータテーブル74の上面のテーブル切込穴75の左右に設置ガイド76を設ける。
【0028】
図9、図10、図11、図12に沿って、アクチュエータユニット60を説明する。
左右のアクチュエータフレームの61上部に軸案内溝65を設け、上方付近に起点軸穴66を設け、その下方に稼動支点軸穴67を設け、さらに下方にローラ軸穴68を設ける。
起点ワイヤ掛81の前方にワイヤ掛け溝83を設け後方に調整ネジ穴84を設け中央に軸穴82を設け起点軸71を通してアクチュエータフレーム61の起点軸穴66で支持し、調整用ネジ69を接続する。
稼動ワイヤ掛86の前方端下面を作動爪として前方端から中央部に至る稼動ワイヤ掛溝88を設け後方端に軸穴を設け稼動軸72を通してアクチュエータフレーム61稼動軸穴67で支持する。
複数のワイヤ掛け溝を持つワイヤローラ91を設け中心にローラ中心穴93を設けローラ軸73を通してアクチュエータフレームのローラ軸穴68で支持する。
ワイヤローラ91より上方で稼動ワイヤ掛86より下方位置にセンサ台99をアクチュエータフレーム61の後方側に取り付ける。
稼動ワイヤ掛86の作動後の復帰用にワイヤ掛バネ89を稼動ワイヤ掛86と稼動軸72とセンサ台99間に取り付ける。
ワイヤローラ91端面とアクチュエータフレーム61間のローラ軸73部にフックバネ94とローラ軸73を支点として揺動可能としたフック95を取り付ける。
駆動用形状記憶合金製ワイヤ101を稼動ワイヤ掛86の稼動ワイヤ溝88からワイヤローラ91のワイヤ溝92をまわして起点ワイヤ掛81のワイヤ掛溝83に引き掛けて戻し再びワイヤローラ91のワイヤ溝92をまわして稼動ワイヤ掛86の稼動ワイヤ掛溝88へ戻すように掛け渡す。これを必要とする作動力が得られるよう複数回掛け渡してよく本例においては2回掛け渡して4列としている。
この駆動用形状記憶合金製ワイヤ101の両端に駆動端子102を設け通電できるようにする。
駆動用形状記憶合金製ワイヤ101の温度を検出して通電制御するためセンサ台99に温度センサ105を取り付けて駆動用形状記憶合金製ワイヤ101に接するよう配置する。
フック95の一端にワイヤ穴98を設け、解除用形状記憶合金製ワイヤ103の一端を固定しもう一端をセンサ台99の端部を切り込みワイヤ案内部100として設けてここを通過させてフレーム上板64に設けた解除用ワイヤ掛穴70に通し解除端子104で止める。両端を解除端子104で止めて通電できるようにする。
この解除用形状記憶合金製ワイヤ103に通電制御してフックバネ94に抗してフック95を揺動解除する。
【0029】
図13は、アクチュエータユニット60に香料ユニット40を装着した状態の拡大要部断面で、(a)は初期状態でポット蓋を閉じた発香停止状態を示している。
ディスペンサポンプ54のプランジャ56が内部スプリングで押し上げられディスペンサポンプ54の初期状態であり、プランジャ56の上部に発香ポット41が接続支持されている。
発香ポット41は上限位置でポット蓋50により閉止されており、稼動ワイヤ掛86が初期状態でその先端の作動爪部が発香ポット41後側面の押下突起48より僅かに上位置にある。
フック95は解除状態にありその先端が掛止突起48の後下方にある。
起点ワイヤ掛81とワイヤローラ91間に位置する駆動用形状記憶合金製ワイヤ101の一部がポット後側面の一部に接しており、駆動用形状記憶合金製ワイヤ101の熱が発香ポット41に伝熱されるよう計画されている。
(b)は駆動用形状記憶合金製ワイヤ101に通電、ホット蓋50が開き香りの発散状態を示している。
初期状態から駆動用形状記憶合金製ワイヤ101に通電すると、自己抵抗で次第に発熱していき、発香ポット41に伝熱していく。
駆動用形状記憶合金製ワイヤ101の温度が形状変化する変態温度に達すると急速に長さ方向に縮小を始める。基点ワイヤ掛81は調整ネジ69で揺動を規制されているので駆動用形状記憶合金製ワイヤ101が縮小するとワイヤローラ91を介して稼動ワイヤ掛86が引き寄せられ稼動軸72を中心に揺動することになる。稼動ワイヤ掛86の支点穴87位置から稼動ワイヤ掛溝88迄と先端の作動爪迄の長さが異なることから先端の作動爪部は駆動用形状記憶合金製ワイヤ101の縮小寸法より比例拡大され動作し、押下突起48を下方に押し下げていくとき発香ポット41とポット蓋50をつなぐ開閉支点軸52がアクチュエータフレーム61上部に設けた軸案内溝65に入り込みつつ下降し発香ポット41の姿勢安定を保つ。このとき蓋アーム51がアクチュエータフレーム61の蓋開きリブ63に押し当てられ下降に従ってポット蓋50が開いていく。 プランジャ56の下降によってディスペンサポンプ54の作用でプランジャ56先端から香料液が吐出され
発香ポット41内のノズル突起部44の吐出溝46から発香ポット41内底部に吐出される。
発香ポット41内底部には拡散シート53が敷かれており、吐出された香料液が素早く広がる。
発香ポット41とその後側面の掛止突起48が下限まで下がるとフック95がフックバネ94の作用で揺動され掛止突起58を掛止し、発香ポット41が下限位置で保持され、ポット蓋50が開いた状態で保持される。
駆動用形状記憶合金製ワイヤ101への通電量を制限して、その温度が形状記憶変態温度以下になっても発香ポット41は下限でフック95により保持されており、香りの拡散が継続されることから、駆動用形状記憶合金製ワイヤ101への通電量を制御して、室温の低温度から形状記憶合金素材の繰り返し許容加熱限度温度まで大幅な制御温度範囲を活用できることになり、香種に応じた適温の選択範囲が広がり、発香ポット41に伝熱して香料に加温し、発香量をコントロールすることができる。
フック95の一端とフレーム上板64に掛け渡した解除用形状記憶合金製ワイヤ103に通電し、自己発熱による温度上昇で形状記憶変態温度以上になると解除用形状記憶合金製ワイヤ103が長さ方向に縮小し、フックバネ94に抗してフック95が掛止突起58から揺動解除される。
駆動用形状記憶合金製ワイヤ101への通電を停止し、送風ファン27の送風で変態点温度以下に下がり、フックが解除されると、ディスペンサポンプ54のプランジャ56が内部スプリングによって押し上げられ、発香ポット41に上昇力が加わり押下突起48が上昇するとき、稼動ワイヤ掛86先端の作動爪部を押し上げる、このときワイヤ掛バネ89も稼動ワイヤ掛86を初期状態に戻すよう作用し、駆動用形状記憶合金製ワイヤ101を引き延ばし初期位置に復帰していく。
発香ポット41の上昇に伴ってポット蓋50は次第に閉じていき初期位置に復帰したときには完全にポット蓋50を閉じ香りの拡散を停止する。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、複数の香源から任意の香りを選択し発香でき、小室内から広室内まで広範囲に適正な発香量を設定でき、使用後の残香を室内光で分解消臭し、併せてマイナスイオンを拡散放出して室内空気の清浄化ができ、快適性とやすらぎを提供する室内空間の改善を図る環境機器として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0031】
10 本体ベース
13 吸気口
15 送風筒
16 ユニット取付部
17 香りユニット接続口
18 ユニット取付溝
19 イオンユニット接続口
21 イオン風道
22 マイナスイオン発生器
24 イオン発生ユニット
27 送風ファン
30 本体カバー
31 イオン拡散口
32 香り拡散口
40 香料ユニット
41 発香ポット
48 押下突起
49 ポットアーム
50 ポット蓋
51 蓋アーム
53 拡散シート
54 ディスペンサポンプ
56 プランジャ
59 香料容器
60 アクチュエータユニット
61 アクチュエータフレーム
63 蓋開きリブ
74 アクチュエータテーブル
81 起点ワイヤ掛
83 ワイヤ掛溝
86 稼動ワイヤ掛
88 稼動ワイヤ掛溝
91 ワイヤローラ
95 フック
101 駆動形状記憶合金ワイヤ
103 解除形状記憶合金ワイヤ
105 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
香り拡散口32とイオン拡散口31を持ち外周面に可視光応答型光触媒をコーティングした本体カバー30を本体ベース10の上面中央に装着し、本体ベース10上面後方に操作設定部14を設け、本体ベース10内に吸気送風手段と制御手段を設け、本体ベース10上面中央から上方に終端に蓋板20を設けた送風筒15を立ち上げその上端部付近周囲に複数の開口部を設けて香りユニット接続口17及びイオンユニット接続口16としてそれぞれのユニットを装着できるようにして、香りユニット接続口17には香りアクチュエータユニット60を装着し、その左右フレーム61内に起点ワイヤ掛81とワイヤローラ91と稼動ワイヤ掛86を設けて、更に左右フレームの下面より前方に張り出してアクチュエータテーブル74を設けて香料ユニット40を設置できるようにし、起点ワイヤ掛81とワイヤローラ91と稼動ワイヤ掛86に駆動用形状記憶合金製ワイヤ101を掛け渡し、必要な駆動出力が得られるまで多列に掛け渡してよく、この駆動用形状記憶合金製ワイヤ101に通電制御できるようにして自己抵抗による発熱によって駆動用形状記憶合金製ワイヤ101を形状記憶変形させて稼動ワイヤ掛け86を駆動して作動力が得られるようにして、また掛け渡す駆動用形状記憶合金製ワイヤ101の一部がフレーム前方に位置するようにして、アクチュエータテーブル74部に設置された香料ユニット40の上部に位置する発香ポット41に接触するように配設して駆動用形状記憶合金製ワイヤ101の発熱を伝熱する、同時に稼動ワイヤ掛86の作動力を発香ポットの側面下方に設けた押下突起48に作用させ発香ポット41を押し下げ、発香ポットの内底部のノズル突起44部に接続されたディスペンサポンプ54のプランジャ56を押し下げディスペンサポンプ54を駆動して香料容器59内の香料液を発香ポット41内に吐出させるようにし、発香ポット後側面上部にポットアーム49を設けポット蓋50の蓋アーム51と支点接続してポット蓋50を開閉できるようにして、発香ポット41が押し下げられる時に蓋アーム51がアクチュエータフレーム61前端部に設けた蓋開きリブ63の上面に押し当てられ発香ポット41の下降に従ってポット蓋50が開かれ香りを放出できるようにして、送風手段からの送風を送風筒15を経て左右のアクチュエータフレーム61間を通して発香ポット開口部に導き香りと共に本体カバー30の香り拡散口32から放出するようにする、発香ポット41の後側面下方には掛止突起58を設け、アクチュエータフレーム61内に設けたフック95で発香ポット41の上昇戻りを掛止めし、このフック95の解除は解除用形状記憶合金製ワイヤ103をフック95とアクチュエータフレーム間に設けて通電制御できる用にして通電による自己発熱で形状記憶変位をさせフックバネ94に抗してフック95の解除を行うことができるようにし、またイオンユニット接続口16には風道21を組み付けてマイナスイオン発生器22を取り付けて放射されたマイナスイオンを送風筒15から風道21を経た送風によって本体カバー30の外周面に設けたイオン拡散口31から放出するようにしたことを特徴とする空気清浄マイナスイオン香り発生器。
【請求項2】
香料ユニット40を設置できるようにしたアクチュエータテーブル74を下面に持つアクチュエータフレーム61の左右フレーム内に起点ワイヤ掛81とワイヤローラ91と稼動ワイヤ掛86とワイヤ戻しバネ89と駆動用形状記憶合金製ワイヤ101とフック95とフックバネ94と解除用形状記憶合金製ワイヤ103を設けて、起点ワイヤ掛81とワイヤローラ91と稼動ワイヤ掛86との間に駆動用形状記憶合金製ワイヤ101を単列または複数列掛け渡し、掛け渡す駆動用形状記憶合金製ワイヤの101一部がアクチュエータフレーム61前方に位置するようにして、アクチュエータテーブル74部に設置された香料ユニット40の上部に位置する発香ポット41の後側面に接触するようにして、この駆動用形状記憶合金製ワイヤ101に通電制御できるようにして通電時の自己抵抗による発熱を発香ポットに伝熱できるようにして、また同時に通電時の自己抵抗による発熱で形状記憶変形させて稼動ワイヤ掛86を駆動して作動力が得られるようにして、作動限でフック95を掛止めし保持できるようにして、フック95とアクチュエータフレーム61の一端に掛け渡した解除用形状記憶合金製ワイヤ103に通電して自己抵抗による発熱で形状記憶変形させてフックバネ94に抗して掛止めしたフック95の解除ができるようにして香りアクチュエータユニット60を構成し、香りアクチュエータユニット60への通電制御で、香料ユニット40からの香りの発生と停止並びに発熱量により香りの蒸発拡散量を変化させることを特徴とする請求項1記載の空気清浄マイナスイオン香り発生器。
【請求項3】
前記本体ベース10内の吸気送風手段によって本体ベース10側面に設けた吸気口13から吸気して送風筒15を介して、香りユニット接続口17からアクチュエータフレーム61部を通して本体カバー30内へ送風し香り拡散口32から外部に放出させ、またイオンユニット接続口16から風道21を通ってイオン拡散口31から外部へ放出することによって本発明に接する周辺空気の移動及び対流を起こし、本体カバー外周にコーティングした可視光応答型光触媒の環境浄化作用を室内光で発揮させ、放出した香りの残香を分解消臭することを特徴とする請求項1記載の空気清浄マイナスイオン香り発生器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−167168(P2010−167168A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13801(P2009−13801)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(394003106)
【Fターム(参考)】