説明

空気清浄機

【課題】簡便な構造であるとともにフィルタの交換を容易に行うことができる空気清浄機を提供する。
【解決手段】空気清浄機1は、有害物質を吸着する3つのフィルタ2と、フィルタ2を通過する空気の流れを形成する送風機3と、3つのフィルタ2が収容されるフィルタケース4と、上記フィルタ2、送風機3およびフィルタケース4を収容する筐体5と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の空気中に存在する人体に有害な物質を吸着して空気を浄化させる空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、室内の空気中に存在する人体に有害な毒性物質や異臭物質等を吸着除去して空気を浄化させる空気清浄機が知られている。
このような空気清浄機は、機器内に送風機およびフィルタが設けられていて、室内の空気を機器内に吸い込み、フィルタを通過させることによって空気中の毒性物質や異臭物質等を物理的に除去し、浄化された空気を外部へ吹き出している(例えば、特許文献1および2参照)。
また、機器内に吸い込まれた空気をプラズマ放電などで酸化分解させて脱臭し、この空気を吹き出す空気清浄機も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−43580号公報
【特許文献2】特開2007−7584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような空気清浄機は、メンテナンスの面から、簡便な構造であることが望まれている。また、フィルタを備える空気清浄機は、フィルタの交換が容易にできることが望まれている。
【0005】
本発明は、上述する事情に鑑みてなされたもので、簡便な構造であるとともにフィルタの交換を容易に行うことができる空気清浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る空気清浄機は、室内の空気中に存在する人体に有害な物質を吸着する吸着剤を備えるフィルタと、該フィルタを通過する空気の流れを形成する送風機と、前記フィルタを出し入れ可能なフィルタケースと、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明では、フィルタを出し入れ可能なフィルタケースを有することにより、フィルタを交換するときには、フィルタケースから使用済みのフィルタを抜き出して新しいフィルタをフィルタケースへ挿入すればよいため、容易にフィルタの交換を行うことができる。
また、フィルタをフィルタケースに挿入することで所定の位置に設置できるため、フィルタの設置構造が簡便となり、空気清浄機を簡便な構造とすることができる。
【0008】
また、本発明に係る空気清浄機では、前記フィルタは、不織布で形成された袋体と、該袋体に収容された多数のペレット状の吸着剤と、を備えることが好ましい。
このように構成されることにより、吸着剤の表面積が広くなるため、室内の空気中に存在する人体に有害な物質を効率よく吸着することができる。
また、吸着剤が袋体に収容されているため、袋体を把持することでフィルタの交換を容易に行うことができる。
さらに、フィルタをフィルタケースの内部形状に追従した形状とすることができるため、フィルタとフィルタケースとの隙間を少なくすることができる。
そして、フィルタは吸着剤をペレット状にしたものを袋体に収容するだけで構成されるため、フィルタの低コスト化を図ることができる。
【0009】
また、本発明に係る空気清浄機では、前記フィルタケースは、前記フィルタを複数収容可能に構成されていることが好ましい。
このように構成されることにより、フィルタケースに挿入された複数のフィルタがそれぞれフィルタケースの内部形状に追従した形状となるため、フィルタとフィルタケースとの隙間を更に少なくすることができる。
【0010】
また、本発明に係る空気清浄機では、前記送風機の駆動量を測定し、該駆動量から前記フィルタの交換時期を知らせるフィルタ交換時期通知機構が設けられていることが好ましい。
このように、構成されることにより、使用者がフィルタの交換時期を容易にかつ確実に知ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フィルタを出し入れ可能なフィルタケースを有することにより、フィルタを交換するときには、フィルタケースから使用済みのフィルタを抜き出して新しいフィルタをフィルタケースへ挿入すればよいため、容易にフィルタの交換を行うことができる。
また、フィルタをフィルタケースに挿入することで所定の位置に設置できるため、フィルタの設置構造が簡便となり、空気清浄機を簡便な構造とすることができる。これにより、空気清浄機のメンテナンスが容易になるとともに、空気清浄機を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態による空気清浄機の一例を斜視図である。
【図2】図1に示す空気清浄機の分解斜視図である。
【図3】フィルタの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態による空気清浄機について、図1乃至図3に基づいて説明する。
図1および図2に示す本実施形態による空気清浄機1は、主に病院や病理施設、臨床施設などの室内に、空気中に含まれるガス化したホルマリンやアンモニアなどの有害物質を除去するために設置されている。
本実施形態による空気清浄機1は、有害物質を吸着する3つのフィルタ2(図2参照)と、フィルタ2を通過する空気の流れを形成する送風機3(図2参照)と、3つのフィルタ2が収容されるフィルタケース4と、上記フィルタ2、送風機3およびフィルタケース4を収容する筐体5と、を備えている。
【0014】
ここで、送風機3が形成する空気の流れの方向を図中の矢印Aの方向とし、この空気の流れの上流側を上流A1側、空気の流れの下流側を下流A2側として以下説明する。
そして、筐体5は、上流A1側から下流A2側へ空気が通過可能な略直方体状に形成され、上流A1側の面には、複数のスリット(不図示)が形成され着脱可能なフロントパネル51が設けられていて、下流A2側の面には開口部52が形成されている。
また、筐体5は、内部に送風機3およびフィルタケース4が設置され、送風機3がフィルタケース4の上流A1側となるように配されている。
【0015】
図3に示すように、フィルタ2は、不織布で形成された袋体21と、袋体21に収容された有害物質を吸着可能な吸着剤22と、を備えている。
吸着剤22は、多数のペレット状に形成され、表面を空気が通過することで、空気中の有害物質を吸着して、空気を浄化できるものが採用される。吸着剤22の成分は、吸着対象の有害物質にあわせて適宜選択される。
なお、吸着剤22の成分は1種類で構成してもよく、数種類のものを混合して構成してもよい。また、フィルタケース4(図2参照)に収容される3つのフィルタ2には、それぞれ同じ成分の吸着剤22が収容されていてもよいし、異なる成分の吸着剤22が収容されていてもよい。
【0016】
袋体21は、略長方形の不織布を半分に折りたたみ、内部に吸着剤22を収容した後に向かい合う端部どうしを熱圧着などで接着することで形成されている。本実施形態では、接着された縁部どうしがヒダ21aを形成している。なお、袋体21は、上記以外の形状としてもよく、ヒダ21aが形成されていなくてもよい。
また、袋体21は、収容された吸着剤22が内部で移動可能となる大きさに形成されている。これにより、フィルタ2は、外力を加えるられることで、その形状が変形可能に構成されている。
【0017】
図2に戻り、フィルタ2は、フィルタケース4内に高さ方向に3つ重ねて収容されるように構成されている。このため、フィルタ2は、その幅寸法d1が、フィルタケース4の内部の幅寸法d2と略同じとなるように形成されている。
なお、本実施形態では、フィルタ2は、袋体21の幅方向の両端部にヒダ21aが位置するように形成され、フィルタケース4に収容されると、このヒダ21aがフィルタケース4の内面に当接し、フィルタケース4との間に隙間ができることを防いでいる。
また、フィルタ2を3つ重ねた高さ寸法h1は、フィルタケース4の高さ寸法h2と同じ寸法かやや低い寸法となるように構成されている。
【0018】
送風機3は、ファン31とファン31を回転させるモータ32とを備え、筐体5に固定された第1枠体33に支持されている。この第1枠体33は、空気の流れを妨げないように構成されている。
モータ32は、外部から電源が供給されていて、筐体5にモータ32のスイッチ34が取り付けられている。
なお、筐体5内に設置された送風機3のメンテナンスを行うことができるように、筐体5は分解可能に構成されている。
【0019】
図1および図2に示すように、フィルタケース4は、上部4aが開放した略直方体の箱状に形成されている。フィルタケース4は、上流A1側の面4bおよび下流A2側の面4cに、複数の通気孔41が形成されている。
本実施形態では、通気孔41は、長孔状に形成され、高さ方向および幅方向に互いに間隔をあけて配列されている。
なお、フィルタケース4の上流A1側の面4bおよび下流A2側の面4cは、通気可能に構成されていればよく、通気孔41の形状は、上記以外の形状としてもよいし、通気孔41に代わって、例えば、通気可能なメッシュなどを取り付けてもよい。
【0020】
フィルタケース4は、筐体5に着脱可能に構成され、筐体5内部の下流A2側には、フィルタケース4が設置されるフィルタケース設置部53が形成されている。このフィルタケース設置部53は、上部53aが開口されて、上方からフィルタケース4を着脱可能に構成されている。
また、フィルタケース設置部53の上流A1側には、筐体5に固定され、設置されたフィルタケース4が上流A1側に移動したり、転倒したりすることを防止する第2枠体54(図2参照)が設けられていて、フィルタケース設置部53の下流A2側には、上述した筐体5の開口部52が位置している。この第2枠体54は、空気の流れを妨げないように例えばメッシュ状に構成されている。
そして、フィルタケース4は、フィルタケース設置部53に設置されると、下流A2側の面4cが、筐体5の開口部52を介して筐体5の外部に露出するように構成される(図1参照)。
【0021】
また、フィルタケース設置部53の上部には、フィルタケース設置部53の上部53aの開口を閉塞可能で、筐体5に着脱可能な蓋部55が設けられている。蓋部55は、化粧ネジなどの固定具56によって筐体5に固定されている。なお、固定具56は、使用者が筐体5の外部から着脱できるものとし、固定具56を外すことで蓋部55が筐体5から外れるように構成されている。
【0022】
ここで、本実施形態では、固定具56は、蓋部55を筐体5に固定するとともに、フィルタケース4を筐体5に固定している。詳しく説明すると、筐体5、蓋部55およびフィルタケース4には、互いに重なるネジ孔5d,55d,4d(図2参照)がそれぞれ形成されていて、これらのネジ孔5d,55d,4dにネジ状の固定具56が螺合されることで、筐体5、蓋部55およびフィルタケース4が固定されている。
また、蓋部55は、筐体5に取り付けられると、フィルタケース4の上部4aの開口を閉塞するように構成されている。
【0023】
また、図2に示すように、本実施形態の空気清浄機1には、フィルタ2の交換時期を通知するフィルタ交換時期通知機構6が設けられている。
フィルタ交換時期通知機構6は、送風機3の駆動時間を測定する測定部61と、測定部61で測定された駆動時間を表示する表示部62と、を備えている。表示部62は、筐体5の側面などの使用者が目視できる位置に設けられている。
そして、フィルタ交換時期通知機構6は、表示部62に表示された駆動時間が、所定の時間に近づいた、または超えたことを使用者が確認することで、使用者がフィルタ2の交換時期であることを判断するように構成されている。
このため、フィルタ2の交換時期の目安となる駆動時間を、予め使用者へ知らせておく。
なお、表示部62に、駆動時間が所定の時間を超えたときに点滅するランプなどを設けてもよい、
【0024】
また、本実施形態の空気清浄機1には、筐体5の下部にキャスタ57が設けられていて、設置される床面を移動可能に構成されている。
また、本実施形態の空気清浄機1は、上下方向へ重ねられるように構成されている。
このため、筐体5の上部に、上側に重ねられた空気清浄機1のキャスタ57が嵌合可能な凹部(不図示)が形成されている。
なお、筐体5には、キャスタ57が取り付けられていなくてもよく、キャスタ57が嵌合可能な凹部が形成されていなくてもよい。
【0025】
次に、上述した空気清浄機1の使用方法について説明する。
まず、モータ32のスイッチ34をオンとし、ファン31を回転させて、空気を上流A1側から下流A2側へ流す。
これにより、ファン31の下流A2側にあるフィルタ2を空気が通過し、空気内の有害物質がフィルタ2の吸着剤22に吸着され、空気が浄化される。
所定時間連続運転し空気が浄化されたら、スイッチ34をオフとし、ファン31の回転を停止させて空気の流れを停止させる。
【0026】
このとき、フィルタ交換時期通知機構6の測定部61によって送風機3の駆動時間が測定され、この駆動時間が表示部62に表示される。この表示部62に表示された駆動時間を基に、使用者がフィルタ2の交換時期を知ることができる。
【0027】
次に、フィルタ2の交換方法について説明する。
まず、固定具56を外して、筐体5から蓋部55を外し、フィルタケース4を引き上げて、フィルタケース設置部53からフィルタケース4を取り出す。
続いて、フィルタケース4内の使用済みのフィルタ2を取り出し、新しいフィルタ2をフィルタケース4に挿入する。
このとき、フィルタケース4の内部とフィルタ2との間に隙間が生じないように、フィルタ2の形状および位置を調整する。
続いて、フィルタケース4をフィルタケース設置部53に挿入し、固定具で、筐体5に蓋部55を固定する。
このようにして、フィルタ2の交換が完了する。
【0028】
次に、上述した空気清浄機1の効果について図面を用いて説明する。
本実施形態による空気清浄機1によれば、フィルタ2を出し入れ可能なフィルタケース4を有することにより、フィルタ2を交換するときには、フィルタケース4から使用済みのフィルタ2を抜き出して新しいフィルタ2をフィルタケース4へ挿入すればよいため、容易にフィルタ2の交換を行うことができる。
また、フィルタ2をフィルタケース4に挿入して、フィルタケース4をフィルタケース設置部53に設置することで、フィルタ2を所定の位置に設置できるため、フィルタ2の設置構造が簡便となり、空気清浄機1を簡便な構造とすることができる。これにより、空気清浄機1のメンテナンスが容易になるとともに、空気清浄機1を容易に製造することができる。また、空気清浄機1を小型化することも可能となる。
【0029】
また、吸着剤22は、多数のペレット状に形成されていることにより、吸着剤22の表面積が広くなるため、有害物質を効率よく吸着することができる。
また、吸着剤22は、袋体21に収容されているため、袋体21を把持することでフィルタ2の交換を容易に行うことができる。
さらに、フィルタ2は、多数のペレット状の吸着剤22が袋体21に収容された形態であることにより、フィルタケース4の内部形状に追従した形状とすることができるため、フィルタ2とフィルタケース4との隙間を少なくすることができる。
また、空気清浄機1にフィルタ交換時期通知機構6が設けられていることにより、前使用者がフィルタ2の交換時期を容易にかつ確実に知ることができる。
【0030】
以上、本発明による空気清浄機1の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、フィルタ2は、袋体21に多数のペレット状の吸着剤22が収容された形態であるが、多数のペレット状の吸着剤22に代わって、多数のリング状や筒状の吸着剤22としてもよい。
また、フィルタ2は、袋体21を備えずに吸着剤22が露出した形態としてもよい。この場合、フィルタ2を、例えば、ハニカム構造の板状に形成された吸着剤22などとしてもよい。
【0031】
また、上述した実施形態では、フィルタケース4に3つのフィルタ2を設置しているが、1つのフィルタ2や、2つ、4つ以上のフィルタ2をフィルタケース4に設置してもよい。
また、上述した実施形態では、フィルタケース4が、筐体5のフィルタケース設置部53に着脱可能であるが、フィルタケース設置部53に固定されていてもよい。
また、上述した実施形態では、フィルタ交換時期通知機構6は、駆動時間を基にフィルタ2の交換時期を知らせているが、ファン31の回転数および回転時間から、吸着剤22が吸着した有害物質の数量を算出し、この有害物質の数量をもとにフィルタ2の交換時期を知らせる構成としてもよい。
また、本実施形態によれば、フィルタ2の交換時期を通知するフィルタ交換時期通知機構6が設けられているが、フィルタ交換時期通知機構6は設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 空気清浄機
2 フィルタ
3 送風機
4 フィルタケース
5 筐体
6 フィルタ交換時期通知機構
21 袋体
22 吸着剤





【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の空気中に存在する人体に有害な物質を吸着する吸着剤を備えるフィルタと、
該フィルタを通過する空気の流れを形成する送風機と、
前記フィルタを出し入れ可能なフィルタケースと、を有することを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
前記フィルタは、不織布で形成された袋体と、該袋体に収容された多数のペレット状の吸着剤と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記フィルタケースは、前記フィルタを複数収容可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記送風機の駆動量を測定し、該駆動量から前記フィルタの交換時期を知らせるフィルタ交換時期通知機構が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の空気清浄機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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