空気清浄機
【課題】吹き出すイオンによる空気清浄性能を高めることができる空気清浄機を提供する。
【解決手段】第1送風機13により送風して外部から第1通風路3に空気を吸い込み、空気浄化部11により浄化して空気を吹き出す。第2送風機14により送風して外部から第2通風路4に空気を吸い込み、イオン発生器12により発生したイオンとともに空気を吹き出す。制御部は、第1送風機13が送風する送風量に応じて、第2送風機14が送風する送風量を制御するようにしてある。
【解決手段】第1送風機13により送風して外部から第1通風路3に空気を吸い込み、空気浄化部11により浄化して空気を吹き出す。第2送風機14により送風して外部から第2通風路4に空気を吸い込み、イオン発生器12により発生したイオンとともに空気を吹き出す。制御部は、第1送風機13が送風する送風量に応じて、第2送風機14が送風する送風量を制御するようにしてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸い込んだ空気を清浄化して吹き出し、イオンとともに空気を吹き出す空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の空気には、塵埃、花粉、タバコの煙、呼気等のように、人体に不快又は有毒とされる様々な物質が含まれている。特に近年では、住宅が高気密化されていることから、有害物質が室内に溜まり易い。そのため、大気汚染のひどい地域や、花粉症の患者がいる家庭や職場等では部屋の窓を開ける自然換気が行いにくいので、室内の空気を浄化するフィルタにより空気を清浄する機能を有する空気清浄機が広く普及してきている。
【0003】
空気を浄化するとともに、空気をより快適な湿度に調節するために、加湿機能を持たせた空気清浄機も製品化されており、このような空気清浄機では、フィルタ部を通過することによって浄化された空気が、さらに加湿フィルタを通過することによって加湿される。
【0004】
また、プラスイオンであるH+ (H2 O)n (nは自然数)及びマイナスイオンであるO2 - (H2 O)m (mは自然数)を発生するイオン発生器を備え、吸い込んだ空気とともにイオンを吹き出し、空気中を浮遊するカビ及び細菌等を不活性化する空気清浄機も製品化されている。
【0005】
特許文献1には、別々の吸込口から吸い込んだ空気を上方向きの別々の吹出口から吹き出す2つの通風路を備えた空気清浄機が記載されている。この従来の空気清浄機は、1の通風路に加湿フィルタが配されており、空気を加湿して外部へ吹き出し、他の通風路にイオン発生器が配されており、イオンを含んだ空気を外部へ吹き出す。2つの通風路には、夫々送風機が配されてあり、2つの送風機の風量を夫々独立に制御することができるようにしてある。これにより、特許文献1記載の空気清浄機は、空気を加湿する制御と、空気を清浄化する制御とを独立して行うことができるというものである。
【0006】
特許文献2には、1つの送風機が送風することにより1つの吸込口から通風路へ空気を吸い込み、吸い込んだ空気を浄化フィルタに通流させた後、イオン発生器が発生するイオンを含ませて、別々の吹出口から吹き出すようにしてある空気清浄機が記載されている。この空気清浄機が有する通風路の吹出口は、上方向きの天蓋部吹出口と、やや上方に傾いた前方向きへの底部吹出口とからなる。特許文献2記載の空気清浄機は、上方向きと前方向きへイオンを含んだ空気を吹き出すことにより除菌等を効果的に行うことができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−276296号公報
【特許文献2】特開2009−142356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の従来の空気清浄機では、空気を加湿するための吹き出しと、空気を清浄化するための吹き出しが共に上方向であるため、2つの気流が相互に影響してしまう。即ち、2つの吹出口が同じ上向きに並べて配置されていることから、2つの吹出口の境界の一側と他側とで2つの気流が発生し、一側の気流内ではイオンが多く含まれ、他側の気流内ではイオンがあまり含まれないようなことが生じ得る。例えば、空気清浄機を室内に置いて使用する場合に、置き方によって、室内の右半分はイオン濃度が高く、左半分はイオン濃度が低くなり、カビ及び菌を不活性化する空気清浄が不均一となってしまう。
【0009】
また、特許文献2に記載の従来の空気清浄機では、1つの送風機が送風することにより吸い込んだ空気を浄化フィルタに通流させた後、空気にイオンを含ませている。浄化フィルタは送風機の送風にとって大きな負荷となっており、イオン濃度を高めるために空気の流速を上げようとすると、送風機の回転数が高くなり発生する音が大きくなってしまう。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、主として吹き出すイオンによる空気清浄性能を高めることができる空気清浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る空気清浄機は、第1送風機により送風して外部から第1通風路に空気を吸い込み、空気浄化部により浄化して空気を吹き出す一方、第2送風機により送風して外部から第2通風路に空気を吸い込み、イオン発生器により発生したイオンとともに、前記第1通風路から吹き出す方向と異なる方向へ空気を吹き出す空気清浄機において、前記第1送風機及び前記第2送風機の動作を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記第1送風機が送風する送風量に応じて、前記第2送風機が送風する送風量を制御するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、空気浄化部により浄化して第1通風路から空気を吹き出す方向と異なる方向へ、第2通風路からイオンとともに空気を吹き出し、第1送風機が送風する送風量に応じて、第2送風機が送風する送風量を制御するようにしてあるため、第1通風路から吹き出す空気の送風量に応じて、第2通風路からイオンとともに吹き出す空気の送風量が制御され、吹き出すイオンによる空気清浄性能を高めることができる。
【0013】
本発明に係る空気清浄機は、前記制御部が、前記第1送風機が送風する送風量の多/少に応じて、前記第2送風機が送風する送風量を多/少に制御するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、第1送風機が送風する送風量を多くしたときには第2送風機が送風する送風量も多くし、第1送風機が送風する送風量を少なくしたときには第2送風機が送風する送風量も少なくする制御を行うため、第2通風路からイオンとともに吹き出す空気に対して、第1通風路から吹き出す空気が及ぼす影響を低減し、吹き出すイオンによる空気清浄性能を高めることができる。
【0015】
本発明に係る空気清浄機は、前記第1通風路に吸い込む空気の汚れの程度を検出する汚れ検出手段をさらに備え、前記制御部が、前記汚れ検出手段による検出結果に応じて、前記第1送風機及び前記第2送風機の送風量を制御するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、第1通風路に吸い込む空気の汚れの程度を検出し、検出結果に応じて、第1送風機及び第2送風機の送風量を制御するため、汚れの程度が高い場合、送風量を多くして空気の汚れを短時間で除去し、汚れの程度が低い場合、送風量を少なくして静かに運転することができる。
【0017】
本発明に係る空気清浄機は、前記第1通風路に吸い込む空気の湿度を検出する湿度検出手段と、前記第1通風路に吸い込んだ空気を加湿する加湿手段とをさらに備え、前記制御部が、前記湿度検出手段による検出結果に応じて、前記第1送風機及び前記第2送風機の送風量を制御するようにしてあることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、第1通風路に吸い込む空気の湿度を検出し、検出結果に応じて、第1送風機及び第2送風機の送風量を制御するため、湿度が低い場合、送風量を多くして空気をより短時間で加湿し、湿度が高い場合、送風量を少なくして静かに運転することができる。
【0019】
本発明に係る空気清浄機は、前記第1通風路及び前記第2通風路から斜め上方かつ平面視が相反する方向へ夫々空気を吹き出すようにしてあることを特徴とする。
【0020】
本発明にあっては、第1通風路及び第2通風路から斜め上方かつ平面視が相反する方向へ夫々空気を吹き出すようにしてあるため、第2通風路からイオンとともに吹き出す空気に対して、第1通風路から吹き出す空気の影響を低減し、室内の空気中へイオンを吹き出して空気清浄性能を高めることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、空気浄化部により浄化して第1通風路から空気を吹き出す方向と異なる方向へ、第2通風路からイオンとともに空気を吹き出し、第1送風機が送風する送風量に応じて、第2送風機が送風する送風量を制御するようにしてあるので、第1通風路から吹き出す空気の送風量に応じて、第2通風路からイオンとともに吹き出す空気の送風量が制御され、吹き出すイオンによる空気清浄性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る空気清浄機の正面側の斜視図である。
【図2】図1の空気清浄機の背面側の斜視図である。
【図3】図1の空気清浄機の側断面図である。
【図4】図1の空気清浄機の制御系統の概略構成を示すブロック図である。
【図5】空気清浄機が室内に置かれた状態を模式的に示す模式図である。
【図6】第1送風機の送風量を変化させたときの中央点Pのイオン濃度を示す図表である。
【図7】第1送風機及び第2送風機の送風量を変化させたときの中央点Pのイオン濃度を示す図表である。
【図8】第1送風機及び第2送風機の送風量の設定表の一例を示す図表である。
【図9】汚れ検出結果と風量モード「自動」の風量設定との対応関係を示す図表である。
【図10】空気清浄機の運転制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】湿度検出結果と風量モード「自動」の風量設定との対応関係を示す図表である。
【図12】手動モードにおける送風量の設定値の例を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る空気清浄機の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は本発明の実施の形態に係る空気清浄機1の正面側の斜視図、図2は図1の空気清浄機1の背面側の斜視図、図3は図1の空気清浄機の側断面図である。図3において、紙面左側は空気清浄機1の正面側(前側)、紙面右側は空気清浄機1の背面側(後側)であり、紙面垂直方向は空気清浄機1の左右方向である。
【0025】
本実施形態の空気清浄機1は、脱臭及び集塵による空気清浄機能と、正イオン及び負イオン(以下、正負イオンという)による空気清浄機能と、空気加湿機能とを有する。図1〜図3に示すように、空気清浄機1は縦型直方体状の筐体6を備え、図3に示すように、空気清浄機1は壁W及び床Fを有する室内において、筐体6の背面側が壁Wに対面する姿勢で、床Fに載置される。本実施形態の空気清浄機は、筐体6の内部に互いに区画されている第1通風路3、第2通風路4、及び制御室60を備え、筐体6の天面カバー62に操作パネル2を備えている。
【0026】
まず、第1通風路3について説明する。第1通風路3には、空気浄化部11、加湿フィルタユニット5、第1送風機13、汚れ検出部15、及び温湿度センサ16等が配されている。第1通風路3は、隔壁31により後側(背面側)のフィルタ収容部3aと前側(正面側)の吹出風路3bとに分割されている。吸込口33は、筐体6の後カバー63に開口しており、フィルタ収容部3aは、吸込口33を介して外部に連通している。また、吹出風路3bは、筐体6の天面カバー62に開設された吹出口34を介して外部に連通しており、更にフィルタ収容部3aと吹出風路3bは、隔壁31の下部に設けた開口31aを経て相互に連通している。後パネル32は、フィルタ収容部3aに含まれる後側の矩形形状の空気浄化室35に着脱可能に取り付けられ、複数個の通気孔300,300,…が形成されている。従って、詳細には吸込口33を介して通流する空気とは、通気孔300,300,…を介して通流する空気のことである。空気浄化室35には、空気浄化部11が収容されている。
【0027】
空気浄化部11は、ともに矩形形状の脱臭フィルタ111及び集塵フィルタ112を備える。脱臭フィルタ111は、例えば、不織布に活性炭を分散保持させた構成であり、通気中の臭い成分を吸着、除去する作用をなす。集塵フィルタ112は、例えば、公知のHEPA(High Efficiency Particulate Air )フィルタであり、通気中に含まれる微細な塵埃を捕集、除去する作用をなす。従って、空気浄化部11を通過した空気は、臭い成分が吸着、除去され、塵埃が捕集、除去されることによって浄化される。空気浄化部11によって浄化された空気は、加湿フィルタユニット5により加湿される。
【0028】
加湿フィルタユニット5は、加湿フィルタ50、水受け皿51、駆動ギア52及び電動モータ53を備え、空気浄化部11の下流側であって、開口31aの上流側に配してある。加湿フィルタ50は、不織布等、高い含水性を有すると共に通気が可能な材料製のシートであり、通気する空気との接触面積を増すべく蛇腹状に折り重ね、中空の円盤形をなす保持枠54に収納されている。水受け皿51は、公知の定水位弁などを用いてほぼ一定水位の水を貯留し、内部に設けた2つのローラ部材(図示略)により加湿フィルタ50及び保持枠54を支持する。
【0029】
保持枠54の外周に沿って従動ギア55が取り付けてあり、従動ギア55と、加湿フィルタ50上部に配置した駆動ギア52とが噛合している。加湿フィルタ50上部に配置した電動モータ53により駆動ギア52を回転させると、駆動力が従動ギア55に伝達され、加湿フィルタ50及び保持枠54が回転する。加湿フィルタ50は、回転することによって水受け皿51に浸漬した部分が順次周方向に移動して水を吸い上げ、加湿フィルタ50の全体が水分を含んだ状態になる。その結果、加湿フィルタ50を通過した空気は加湿される。一方、加湿フィルタ50が回転していないときには、加湿フィルタ50を通過した空気はほとんど吸湿しない。
【0030】
第1送風機13は、ファンモータ131、ファン132を備え、ファンモータ131はファン132を回転駆動する。ファン132は、外縁に対し回転中心側が回転方向へ変位する複数の羽根を有する多翼羽根車、換言すると円筒形状をなすシロッコファンである。ファンモータ131は、吹出風路3bの壁の外部に固定されている。ファン132は、ファンモータ131の出力軸に固定され、隔壁31下部の開口31aに対向配置してある。ファン132が回転した場合、図3中に白抜の矢印にて示すように、吸込口33を経てフィルタ収容部3aの内部に外気が導入され、フィルタ収容部3aの内部を前方向に流れて隔壁31下部の開口31aを経てファン132に吸い込まれる。ファン132に吸い込まれた空気は上向きに方向を変えて吹出風路3bの内部に導出され、吹出風路3bの末端の吹出口34を経て外部に送り出される。
【0031】
また、吹出風路3bにおいて、ファン132からの空気を吹出口34へ導く通風路壁面36a,36bは、前下側から後上方へ傾斜するように配してあり、吹出口34に設けた風向規制板37,37,…も前下側から後上方へ傾斜するように配してある。これにより、第1通風路3は、後方斜め上方向に向かって吹出口34から空気を吹き出す。なお、後方斜め上方向に向かって吹き出された空気は、壁Wに沿って上昇し、天井に沿って壁Wから離れる方向へ流れ、部屋の逆側の壁付近で下降し、床Fに沿って壁W方向に流れることにより、部屋の中を循環する。
【0032】
汚れ検出部15は、臭気センサ15a及び埃センサ15bを備える。図2に示すように、臭気センサ15a及び埃センサ15bは、空気浄化室35の側壁上部の筐体6内(空気浄化室35の外側)に配してある。臭気センサ15a及び埃センサ15bが取り付けられる空気浄化室35の側壁上部はフィルタ収容部3aに連通している。また、空気浄化室35の側壁上部における後パネル32の取付位置付近に、貫通孔35aが設けられている。吸込口33から吸い込まれる空気の一部は、空気浄化部11を経ずに貫通孔35aから吸い込まれ、汚れ検出部15を通過し、フィルタ収容部3aへ通流する。
【0033】
臭気センサ15aは、公知のガスセンサなどであり、臭気の要因となるガスの濃度を検知することによって、貫通孔35aから吸い込まれる外部空気中の臭気のレベルを検出する。ガスセンサは、例えば数百度に加熱された感ガス体の抵抗値が周囲のガスの濃度によって変化することを利用してガスの濃度を検知する。検知したガスの濃度が小さい場合、臭気のレベルは低く、検知したガスの濃度が大きい場合、臭気のレベルは高い。
【0034】
埃センサ15bは、例えば、光学式粒子センサなどである。光学式粒子センサは、センサに設けたスルーホール内に発光ダイオードから赤外線を放射し、スルーホール中に浮遊する粒子による反射光をフォトトランジスタで検知することにより埃の量を検出するものであり、煙草の煙のような微細な粒子も検知できる。光学式粒子センサでは、フォトトランジスタが出力する電圧の大小によって、埃の量の多寡が検出される。
【0035】
温湿度センサ16は、汚れ検出部15と同様に、空気浄化室35の側壁上部の筐体6内に配してあり、貫通孔35aから吸い込まれる外部空気の温度及び湿度を検出し、相対湿度を計測する。
【0036】
つぎに、第2通風路4について説明する。第2通風路4には、エアフィルタ40、第2送風機14、イオン発生器12、及びイオンセンサ17等が配されている。第2通風路4は、第2送風機14により下側の吸込室4aと上側の吹出室4bとに分割されている。筐体6の前面部61は、前パネル611、前カバー612を有し、吸込口41は前カバー612に設けられている。前パネル611は、吸込口41の上方及び左右両側方を前側から被覆している。吸込室4aは、吸込口41を介して外部に連通している。吹出口42は、筐体6の前パネル611と天面カバー62との境界部分に開口しており、吹出室4bは、吹出口42を介して外部に連通しており、吸込室4aと吹出室4bは、第2送風機14を経て相互に連通している。
【0037】
エアフィルタ40は、例えば荒い格子状のネットであり、吸込口41に着脱可能に配されている。エアフィルタ40は、吸込室4aへ流入する空気に含まれている粗い塵埃を捕集し除去する。
【0038】
第2送風機14は、ファンモータ141(図4参照)とファン142とを備え、ファンモータ141はファン142を左右方向の軸まわりに回転駆動する。ファン142は、回転中心に対し外縁側が回転方向へ変位する複数の羽根を有する円筒形状をなす多翼羽根車を有するクロスフローファンである。ファン142は、回転中心の方向が空気清浄機1の左右方向となるように配してある。ファンモータ141は、図示しない支持部によって筐体6の内部に固定されている。ファン142は、ファンモータ141の出力軸に固定され、ファンモータ141の駆動によって回転する。ファン142が回転することによって、図3中の実線の矢印にて示すように、室内の空気(詳細には、筐体6の前下方の空気)は、吸込口41を介して第2通風路4へ吸い込まれ、吸い込まれた空気は、吸込室4aから吹出室4bへ通流し、吹出口42を介して室内へ吹き出す。吹出室4bの壁面には、上流側にイオン発生器12、下流側にイオンセンサ17が夫々配されている。
【0039】
イオン発生器12は、吹出室4bの壁に固定され、針状の放電電極及び該放電電極に対向配置された誘導電極を有し、高電圧を印加された放電電極がコロナ放電を起こして正負イオンを発生させる。イオン発生器12の放電電極は、吹出室4bに露出しており、発生した正負イオンは、吹出室4bを通流する空気中に浮遊し、吹出口42から空気とともに外部に送り出される。吹出口42を介して吹き出した空気とともに室内へ放出された正負イオンは、菌類、ウィルス、及びアレルゲン等を死滅又は不活性化させ、悪臭の原因となる物質(例えばアセトアルデヒドのような有機化合物)を分解する。
【0040】
イオンセンサ17は、吹出室4bを通流する正負イオンを検出し、検出結果を適宜の時間間隔で制御部10(図4参照)へ繰り返し出力する。この検出結果は、吹出室4bを通流する正負イオンの多寡、延いてはイオン発生器12で発生した正負イオンの多寡を示すものである。イオン発生器12で発生した正負イオンの量が所定量を下回る場合、イオン発生器12に汚損又は劣化等が生じていることがわかる。
【0041】
吸込室4aにおいては、前下側から後上側へ傾斜して空気が通流し、吹出室4bにおいては、前上側へ傾斜して空気が通流する。また、風向規制板43は、空気が流れる向きを規制するために吹出口42に配してあり、第2通風路4は、吹き出した空気が室内の中央部分に到達し易いように、前方の斜め上方へ空気が吹き出す。
【0042】
第2通風路4から吹き出す空気の方向は、第1通風路3から吹き出す空気の方向と異なっている。即ち、第1通風路3からは、後方斜め上方向に向かって空気を吹き出し、第2通風路4からは、前方の斜め上方へ空気を吹き出しており、第1通風路3及び第2通風路4から斜め上方、かつ平面視が相反する方向へ夫々空気を吹き出すものである。
【0043】
図4は空気清浄機1の制御系統の概略構成を示すブロック図である。空気清浄機1の制御系統は、ユーザが操作する操作パネル2、操作パネル2からの操作信号を受け付け、第1送風機13及び第2送風機14等の動作を制御する制御部10、制御部10へ各種物理量を入力する上述の汚れ検出部15等のセンサなどにより構成されている。
【0044】
制御部10は、プログラム等の情報を記憶するROM、ROMに予め格納されている制御プログラムに従って入出力制御及び演算を実行するCPU、一時的に発生した情報を記憶するRAM、不揮発性の書き込み/読み出し可能な記憶部10a並びに外部回路との入出力を行う入出力インタフェースを有している。入出力インタフェースを介して、汚れ検出部15、温湿度センサ16、及びイオンセンサ17が接続され、制御部10は、これらのセンサの検出値を取り込む。
【0045】
また、制御部10には、筐体6の天面カバー62に配されている操作パネル2の停止ボタン21、空気清浄入ボタン22、加湿空気清浄入ボタン23、風量切換ボタン24が接続されている。操作パネル2に対する操作は、制御部10によって受け付けられる。具体的には、停止ボタン21の操作により、空気清浄機1の運転停止が制御部10によって受け付けられる。また、空気清浄入ボタン22の操作により、加湿せずに空気清浄する空気清浄運転モードの選択が、加湿空気清浄入ボタン23の操作により、加湿しながら空気清浄する加湿空気清浄運転モードの選択が、夫々制御部10によって受け付けられる。
【0046】
さらに、風量切換ボタン24が操作される度に、風量を手動で設定する風量モードである「静音」、「中」、「強」、及び風量を自動で設定する風量モードである「自動」の4つの風量モードの切り替えが、例えばこの順に制御部10によって受け付けられる。操作パネル2は、表示ランプ20,20,…を備えており、空気清浄入ボタン22、加湿空気清浄入ボタン23及び風量切換ボタン24の各操作に従って、夫々空気清浄運転モードを表示するランプ、加湿空気清浄運転モードを表示するランプ、風量モード「静音」、「中」、「強」、「自動」を表示するランプを備える。
【0047】
また、制御部10には、第1モータ駆動回路103、第2モータ駆動回路104、モータ駆動回路105、及び高電圧回路106を介して、夫々第1送風機13のファンモータ131、第2送風機14のファンモータ141、加湿フィルタ50の電動モータ53、及びイオン発生器12が接続されている。制御部10は、操作パネル2から受け付けた操作信号及び上述の各センサの検出値に基づいて、上記各駆動回路及び高電圧回路に指令信号を出力し、第1送風機13のファンモータ131、第2送風機14のファンモータ141、加湿フィルタ50の電動モータ53、及びイオン発生器12を制御する。
【0048】
つぎに、制御部10が制御する第1通風路3及び第2通風路4から吹き出す空気の送風量について説明する。図5は空気清浄機1が室内に置かれた状態を模式的に示す模式図である。例として、室内は、約21畳の広さであり、縦6.92m、横4.72m、高さ2.4mの空間であるとする。室内の縦、横、高さ方向をそれぞれ4等分し、部屋の中央点Pを縦方向B位置、横方向b位置、高さ方向1.2mの位置とする。空気清浄機1は、床F上で、壁W近くの横方向b位置に載置する。上述のとおり、第1通風路3から空気を吹き出す向きD1は、後方(壁W方向)斜め上方向であり、第2通風路4から空気を吹き出す向きD2は、前方の斜め上方である。
【0049】
第1通風路3及び第2通風路4から吹き出す空気の送風量により、中央点Pにおけるイオン濃度が変化する。図6は第1送風機13の送風量を変化させたときの中央点Pのイオン濃度を示す図表である。図6において、第2通風路4側は、イオン発生器12によりイオンを発生させた状態で送風量を1.6m3 /minに固定し、第2通風路4から吹き出す空気の吹出角度を水平から上方へ14deg傾いた方向とする。第1通風路3の送風量を1.5m3 /minとすると、中央点Pにおけるイオン濃度は高い状態となるが、第1通風路3の送風量を3.5m3 /min又は7.0m3 /minと多くすると、中央点Pにおけるイオン濃度は低くなってしまう。このように中央点Pにおけるイオン濃度が低くなってしまうのは、第1通風路3の送風量を多くすると、第1通風路3から吹き出す空気により壁面、天井、床面の近くに形成する循環風が強くなり、この循環風に第2通風路4から吹き出す空気が引き寄せられ、中央点Pに到達するイオンが減少してしまうことによるものと考えられる。
【0050】
図7は、第1送風機13及び第2送風機14の送風量を変化させたときの中央点Pのイオン濃度を示す図表である。図7において、第2通風路4側は、イオン発生器12によりイオンを発生させた状態で、第2通風路4から吹き出す空気の吹出角度を水平から上方へ14deg傾いた方向とする。第1通風路3の送風量を1.5m3 /min、第2通風路4の送風量を1.6m3 /minとすると、中央点Pにおけるイオン濃度は高い状態となる。第1通風路3の送風量を2.4m3 /min、3.5m3 /minと多くしたときに、第2通風路4の送風量を夫々1.7m3 /min、1.8m3 /minと多くすると、中央点Pにおけるイオン濃度は高い状態を維持する。このように、第1通風路3の送風量の多/少に応じて、第2通風路4の送風量を多/少に設定することによって、第1通風路3から吹き出す空気により形成される循環風の影響を受けずに、第2通風路4から吹き出す空気が中央点Pへ向かい、中央点Pのイオン濃度を高い状態に維持することができる。ここで、多/少と表記しているのは、第1通風路3の送風量が多い場合には、第2通風路4の送風量を多く設定し、第1通風路3の送風量が少ない場合には、第2通風路4の送風量を少なく設定することを意味する。
【0051】
図8は、第1送風機13及び第2送風機14の送風量の設定表の一例を示す図表である。具体的には、風量を手動で設定する風量モード「静音」では第1通風路3の送風量を1.5m3 /min、第2通風路4の送風量を1.6m3 /minとし、風量モード「中」では第1通風路3の送風量を2.4m3 /min、第2通風路4の送風量を1.7m3 /minとし、風量モード「強」では第1通風路3の送風量を3.5m3 /min、第2通風路4の送風量を1.8m3 /minとする。制御部10は、風量モード「静音」、「中」、「強」に対応する指令信号を第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104へ出力する。第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104は、指令信号に応じて、各風量モードでの送風量が得られる回転数でファンモータ131、ファンモータ141を駆動する。
【0052】
また、風量モード「自動」では、風量設定1、風量設定2、風量設定3を夫々風量モード「静音」、「中」、「強」での送風量としており、汚れ検出部15による検出結果に応じて風量設定1から風量設定3のいずれかが設定される。この場合、制御部10は、風量設定1から風量設定3に対応する指令信号を汚れ検出部15による検出結果に応じて第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104へ出力する。第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104は、指令信号に応じて、各風量設定での送風量が得られる回転数でファンモータ131、ファンモータ141を駆動する。図8に示す設定表のように、制御部10は、第1通風路3の送風量の多/少に応じて、第2通風路4の送風量を多/少に制御する。
【0053】
図9は汚れ検出結果と風量モード「自動」の風量設定との対応関係を示す図表である。図9では、臭気センサ15aにより検知したガスの濃度を3段階の臭気レベルで検出し、同様に埃センサ15bにより埃の多寡を3段階の埃レベルで検出する例を示す。臭気レベル及び埃レベルは、数値が大きいほど空気中に臭気及び埃が多く含まれている状態を示している。また、図9に示す例では、臭気及び埃による空気の汚れの程度を臭気レベル及び埃レベルの数値の加算値として定め、汚れの程度に応じて風量モード「自動」の風量設定を選択する。例えば、臭気レベルが1、埃レベルが3である場合、汚れの程度は4となり、風量モード「自動」の風量設定2を選択する。なお、風量設定2は、図8に示すように風量モード「中」での送風量に対応しており、具体的には第1通風路3の送風量を2.4m3 /min、第2通風路4の送風量を1.7m3 /minに設定することに対応する。
【0054】
図10は、空気清浄機1の運転制御の処理手順を示すフローチャートである。以下の処理は、制御部10のマイクロコンピュータの内蔵ROMに予め格納されている制御プログラムに従って、マイクロコンピュータのCPUにより実行される。以下では、例として、制御部10が、図8に示す送風量の設定表及び記憶部10aに記憶した図9に示す対応関係に基づいて空気清浄機1を運転制御する場合について説明する。また、記憶部10aには前回運転時の風量モードの識別番号(製造時風量モード初期値:例えば「中」)を記憶している。
【0055】
さらに、空気清浄入ボタン22及び加湿空気清浄入ボタン23がユーザによって操作された場合には、操作されたボタンの識別番号が操作ボタン情報としてRAMに更新保存される。従って、制御部10は、直近において操作された空気清浄入ボタン22又は加湿空気清浄入ボタン23の識別番号をRAMから取得できるものとする。ただし、後述のように、ステップS20において、RAMに書き込まれた操作ボタン情報は、空気清浄入ボタン22及び加湿空気清浄入ボタン23のいずれもが操作されていない状態を表す値にリセットされる。
【0056】
まず、空気清浄機1の電源ラインを例えば家庭用AC100V商用電源に接続することにより、運転制御処理がスタートする。
【0057】
制御部10は、空気清浄機1が空気清浄モード又は加湿空気清浄モードにより運転中であるか否かを判定する(ステップS10)。運転中でないと判定した場合(ステップS10:NO)、RAMに保存された操作ボタン情報を読み出し、空気清浄入ボタン22が操作された状態であるか否かを判定する(ステップS11)。空気清浄入ボタン22が操作された状態ではないと判定した場合(ステップS11:NO)、RAMに保存された操作ボタン情報を再び読み出し、加湿空気清浄入ボタン23が操作された状態か否かを判定する(ステップS12)。加湿空気清浄入ボタン23が操作された状態ではないと判定した場合(ステップS12:NO)、ステップS10に戻る。
【0058】
空気清浄モードによって空気清浄機1を運転するために、ユーザが空気清浄入ボタン22を操作するとRAMに操作ボタン情報が保存される。制御部10は、RAMから操作ボタン情報を取得し、空気清浄入ボタン22が操作された状態であると判定し(ステップS11:YES)、記憶部10aが記憶している前回運転時における風量モードの識別番号を読み出す(ステップS13)。
【0059】
ステップS13の後、制御部10は空気清浄運転モードにより空気清浄機1を運転する制御を行う(ステップS14)。ステップS14における制御処理では、制御部10は、読み出した風量モードの識別番号が、風量モード「静音」、「中」、「強」の識別番号のいずれかである場合、各モードの識別番号に対応する指令信号を第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104へ出力する。第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104は、指令信号に応じて各モードでの送風量が得られる回転数でファンモータ131及びファンモータ141を駆動する。また、制御部10は、イオン発生器12がイオンを発生するように高電圧回路106に指令し、電動モータ53を停止するようにモータ駆動回路105に指令する。
【0060】
また、読み出した風量モードの識別番号が風量モード「自動」の識別番号である場合は、制御部10は、汚れ検出部15による検出結果を取得し、臭気レベル及び埃レベルから汚れの程度を算出し、図9に示す対応関係に基づいて、風量設定1から風量設定3のいずれかを選択する。制御部10は、選択した風量設定に応じた指令信号を第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104へ出力する。第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104は、指令信号に応じて各モードでの送風量が得られる回転数でファンモータ131及びファンモータ141を駆動する。また、制御部10は、イオン発生器12がイオンを発生するように高電圧回路106に指令し、電動モータ53を停止するようにモータ駆動回路105に指令する。
【0061】
ステップS14の処理後は、リターンによってスタートに戻り、ステップS10に戻るが、ここで空気清浄入ボタン22以外のボタンが操作されておらず、空気清浄入ボタン22が操作された状態を維持している場合の処理の流れを説明する。この場合、制御部10は、運転中であると判定し(ステップS10:YES)、風量切換ボタン24は操作されていないと判定し(ステップS17:NO)、停止ボタン21は操作されていないと判定し(ステップS19:NO)、ステップS11に戻ってくる。制御部10は、ステップS11において、空気清浄入ボタン22が操作された状態であると判定し(ステップS11:YES)、ステップS13及びステップS14により、空気清浄運転モードによる運転制御を行う。
【0062】
つぎに、加湿空気清浄モードによって空気清浄機1を運転するために、ユーザが加湿空気清浄入ボタン23を操作すると、RAMに操作ボタン情報が保存される。制御部10は、RAMから操作ボタン情報を取得し、加湿空気清浄入ボタン23が操作された状態であると判定し(ステップS12:YES)、記憶部10aが記憶している風量モードの識別番号を読み出す(ステップS15)。
【0063】
ステップS15の後、制御部10は加湿空気清浄運転モードにより空気清浄機1を運転する制御を行う(ステップS16)。ステップS16における制御処理では、制御部10は、読み出した風量モードの識別番号が、風量モード「静音」、「中」、「強」の識別番号のいずれかである場合、各モードの識別番号に対応する指令信号を第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104へ出力する。第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104は、指令信号に応じて各モードでの送風量が得られる回転数でファンモータ131及びファンモータ141を駆動する。また、制御部10は、イオン発生器12がイオンを発生するように高電圧回路106に指令する。
【0064】
また、読み出した風量モードの識別番号が風量モード「自動」の識別番号である場合は、制御部10は、汚れ検出部15による検出結果を取得し、臭気レベル及び埃レベルから汚れの程度を算出し、図9に示す対応関係に基づいて、風量設定1から風量設定3のいずれかを選択する。制御部10は、選択した風量設定に応じた指令信号を第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104へ出力する。第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104は、指令信号に応じて各モードでの送風量が得られる回転数でファンモータ131及びファンモータ141を駆動する。また、制御部10は、イオン発生器12がイオンを発生するように高電圧回路106に指令する。
【0065】
また、制御部10は、いずれの風量モードである場合も、温湿度センサ16から相対湿度の検出結果を取得し、相対湿度が例えば60%未満である場合には、電動モータ53を駆動するようにモータ駆動回路105に指令し、60%以上である場合には、電動モータ53を停止するようにモータ駆動回路105に指令する。電動モータ53の駆動により、加湿フィルタ50が回転して水分を吸収し、加湿フィルタ50を通過した空気が加湿される。一方、電動モータ53の停止により、加湿フィルタ50の回転が停止し、加湿フィルタ50を通過した空気はほとんど加湿されない。
【0066】
ステップS16の処理後は、リターンによってスタートに戻り、ステップS10に戻るが、ここで加湿空気清浄入ボタン23以外のボタンが操作されておらず、加湿空気清浄入ボタン23が操作された状態を維持している場合の処理の流れを説明する。この場合、制御部10は、運転中であると判定し(ステップS10:YES)、風量切換ボタン24は操作されていないと判定し(ステップS17:NO)、停止ボタン21は操作されていないと判定し(ステップS19:NO)、空気清浄入ボタン22が操作された状態ではないと判定し(ステップS11:NO)、ステップS12に戻ってくる。制御部10は、ステップS12において、加湿空気清浄入ボタン23が操作された状態であると判定し(ステップS12:YES)、ステップS15及びステップS16により、加湿空気清浄運転モードによる運転制御を行う。
【0067】
つぎに、運転中に風量切換ボタン24が操作される場合について説明する。制御部10は、ステップS10において運転中であると判定し(ステップS10:YES)、風量切換ボタン24が操作されたか否かを判定する(ステップS17)。風量切換ボタン24が操作されたと判定した場合(ステップS17:YES)、制御部10は記憶部10aに記憶している風量モードの識別番号を次の風量モードの識別番号に更新し、風量モードを書き換える(ステップS18)。
【0068】
つぎに、空気清浄運転又は加湿空気清浄運転状態から運転停止する場合について説明する。制御部10は、いずれかの運転制御を行った後、リターンによってスタートに戻り、ステップS10において運転中であると判定し(ステップS10:YES)、風量切換ボタン24が操作されたか否かを判定する(ステップS17)。ステップS17の判定がいずれの場合でも、制御部10は、ステップS19により、停止ボタン21が操作されたか否かを判定する。停止ボタン21が操作されたと判定した場合(ステップS19:YES)、制御部10は、RAMに保存された操作ボタン情報を、空気清浄入ボタン22及び加湿空気清浄入ボタン23が操作されていない状態を表す値にリセットする。
【0069】
以上のように、空気浄化部11により空気を浄化して第1通風路3から空気を吹き出す一方、第1通風路3から空気を吹き出す方向と異なる方向へ、第2通風路4からイオンとともに空気を吹き出し、第1送風機13が送風する送風量に応じて、第2送風機14が送風する送風量を制御するようにしてあるので、第1通風路3から吹き出す空気の送風量に応じて、第2通風路4からイオンとともに吹き出す空気の送風量が制御され、吹き出すイオンによる空気清浄性能を高めることができる。
【0070】
また、例えば図8に示すような送風量の設定表に基づき、第1送風機13が送風する送風量の多/少に応じて、第2送風機14が送風する送風量を多/少に制御するようにしてあるため、第2通風路4からイオンとともに吹き出す空気に対して、第1通風路3から吹き出す空気が及ぼす影響を低減し、吹き出すイオンによる空気清浄性能を高めることができる。
【0071】
また、第1通風路3に吸い込む空気の汚れの程度を汚れ検出部15により検出し、検出結果に応じて、例えば図9に示すような対応関係により、第1送風機13及び第2送風機14の送風量を制御するため、汚れの程度が高い場合、送風量を多くして空気の汚れを短時間で除去し、汚れの程度が低い場合、送風量を少なくして静かに運転することができる。
【0072】
第1通風路3及び第2通風路4から斜め上方かつ平面視が相反する方向へ夫々空気を吹き出すようにしてあるため、第2通風路4からイオンとともに吹き出す空気に対して、第1通風路3から吹き出す空気の影響を低減し、室内の空気中へイオンを吹き出して空気清浄性能を高めることができる。
【0073】
(変形例1)
上述の実施形態においては、制御部10は、加湿空気清浄運転時における風量モード「自動」の風量を、空気清浄運転時における風量モード「自動」の風量設定と同様に、汚れ検出部15の検出結果に基づき設定したが、温湿度センサ16の検出結果に基づき算出する相対湿度によって、風量モード「自動」の風量設定を行うようにしてもよい。図11は湿度検出結果と風量モード「自動」の風量設定を示す図表である。このように、第1通風路3に吸い込む空気の湿度を温湿度センサ16により検出し、検出結果に応じて、第1送風機13及び第2送風機14の送風量を制御するため、湿度が低い場合は、送風量を多くして空気をより短時間で加湿し、湿度が高い場合は、送風量を少なくして静かに運転することができる。
【0074】
(変形例2)
図12は手動モードにおける送風量の設定値の例を示す図表である。具体的な設定値は、風量モード「静音」では第1通風路3の送風量を1.5m3 /min、第2通風路4の送風量を0.8m3 /minとし、風量モード「中」では第1通風路3の送風量を3.5m3 /min、第2通風路4の送風量を1.8m3 /minとし、風量モード「強」では第1通風路3の送風量を7.0m3 /min、第2通風路4の送風量を1.8m3 /minとする。この設定においては、風量モード「静音」と風量モード「中」との関係では、第1送風機13の送風量の多/少に応じて、第2送風機14の送風量が多/少に制御されるが、風量モード「中」と風量モード「強」との関係では、第1送風機13の送風量を多くするものの、第2送風機14の送風量は同じ値としている。風量モード「静音」では、より静かな状態を確保するため第2送風機14の送風量を低い値に設定している。また、風量モード「中」では、空気清浄性能を高めるために、第1送風機13の送風量を多く設定し、イオン濃度が十分に中央点Pに到達できるように第2送風機14の送風量も多く設定してある。風量モード「強」では、さらに空気清浄性能を高めるために、第1送風機13の送風量をさらに多く設定する一方、第2送風機14側は、風量モード「中」での送風量のままとする。このように、部分的に第1通風路3の送風量の多/少に応じて、第2通風路4の送風量を多/少に制御するようにしてもよい。
【0075】
なお、本発明は、本実施の形態だけに限ることなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲及びそれと均等な範囲に及ぶものとする。
【符号の説明】
【0076】
3 第1通風路
4 第2通風路
10 制御部
11 空気浄化部
12 イオン発生器
13 第1送風機
14 第2送風機
15 汚れ検出部(汚れ検出手段)
16 温湿度センサ(湿度検出手段)
50 加湿フィルタ(加湿手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸い込んだ空気を清浄化して吹き出し、イオンとともに空気を吹き出す空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の空気には、塵埃、花粉、タバコの煙、呼気等のように、人体に不快又は有毒とされる様々な物質が含まれている。特に近年では、住宅が高気密化されていることから、有害物質が室内に溜まり易い。そのため、大気汚染のひどい地域や、花粉症の患者がいる家庭や職場等では部屋の窓を開ける自然換気が行いにくいので、室内の空気を浄化するフィルタにより空気を清浄する機能を有する空気清浄機が広く普及してきている。
【0003】
空気を浄化するとともに、空気をより快適な湿度に調節するために、加湿機能を持たせた空気清浄機も製品化されており、このような空気清浄機では、フィルタ部を通過することによって浄化された空気が、さらに加湿フィルタを通過することによって加湿される。
【0004】
また、プラスイオンであるH+ (H2 O)n (nは自然数)及びマイナスイオンであるO2 - (H2 O)m (mは自然数)を発生するイオン発生器を備え、吸い込んだ空気とともにイオンを吹き出し、空気中を浮遊するカビ及び細菌等を不活性化する空気清浄機も製品化されている。
【0005】
特許文献1には、別々の吸込口から吸い込んだ空気を上方向きの別々の吹出口から吹き出す2つの通風路を備えた空気清浄機が記載されている。この従来の空気清浄機は、1の通風路に加湿フィルタが配されており、空気を加湿して外部へ吹き出し、他の通風路にイオン発生器が配されており、イオンを含んだ空気を外部へ吹き出す。2つの通風路には、夫々送風機が配されてあり、2つの送風機の風量を夫々独立に制御することができるようにしてある。これにより、特許文献1記載の空気清浄機は、空気を加湿する制御と、空気を清浄化する制御とを独立して行うことができるというものである。
【0006】
特許文献2には、1つの送風機が送風することにより1つの吸込口から通風路へ空気を吸い込み、吸い込んだ空気を浄化フィルタに通流させた後、イオン発生器が発生するイオンを含ませて、別々の吹出口から吹き出すようにしてある空気清浄機が記載されている。この空気清浄機が有する通風路の吹出口は、上方向きの天蓋部吹出口と、やや上方に傾いた前方向きへの底部吹出口とからなる。特許文献2記載の空気清浄機は、上方向きと前方向きへイオンを含んだ空気を吹き出すことにより除菌等を効果的に行うことができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−276296号公報
【特許文献2】特開2009−142356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の従来の空気清浄機では、空気を加湿するための吹き出しと、空気を清浄化するための吹き出しが共に上方向であるため、2つの気流が相互に影響してしまう。即ち、2つの吹出口が同じ上向きに並べて配置されていることから、2つの吹出口の境界の一側と他側とで2つの気流が発生し、一側の気流内ではイオンが多く含まれ、他側の気流内ではイオンがあまり含まれないようなことが生じ得る。例えば、空気清浄機を室内に置いて使用する場合に、置き方によって、室内の右半分はイオン濃度が高く、左半分はイオン濃度が低くなり、カビ及び菌を不活性化する空気清浄が不均一となってしまう。
【0009】
また、特許文献2に記載の従来の空気清浄機では、1つの送風機が送風することにより吸い込んだ空気を浄化フィルタに通流させた後、空気にイオンを含ませている。浄化フィルタは送風機の送風にとって大きな負荷となっており、イオン濃度を高めるために空気の流速を上げようとすると、送風機の回転数が高くなり発生する音が大きくなってしまう。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、主として吹き出すイオンによる空気清浄性能を高めることができる空気清浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る空気清浄機は、第1送風機により送風して外部から第1通風路に空気を吸い込み、空気浄化部により浄化して空気を吹き出す一方、第2送風機により送風して外部から第2通風路に空気を吸い込み、イオン発生器により発生したイオンとともに、前記第1通風路から吹き出す方向と異なる方向へ空気を吹き出す空気清浄機において、前記第1送風機及び前記第2送風機の動作を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記第1送風機が送風する送風量に応じて、前記第2送風機が送風する送風量を制御するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、空気浄化部により浄化して第1通風路から空気を吹き出す方向と異なる方向へ、第2通風路からイオンとともに空気を吹き出し、第1送風機が送風する送風量に応じて、第2送風機が送風する送風量を制御するようにしてあるため、第1通風路から吹き出す空気の送風量に応じて、第2通風路からイオンとともに吹き出す空気の送風量が制御され、吹き出すイオンによる空気清浄性能を高めることができる。
【0013】
本発明に係る空気清浄機は、前記制御部が、前記第1送風機が送風する送風量の多/少に応じて、前記第2送風機が送風する送風量を多/少に制御するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、第1送風機が送風する送風量を多くしたときには第2送風機が送風する送風量も多くし、第1送風機が送風する送風量を少なくしたときには第2送風機が送風する送風量も少なくする制御を行うため、第2通風路からイオンとともに吹き出す空気に対して、第1通風路から吹き出す空気が及ぼす影響を低減し、吹き出すイオンによる空気清浄性能を高めることができる。
【0015】
本発明に係る空気清浄機は、前記第1通風路に吸い込む空気の汚れの程度を検出する汚れ検出手段をさらに備え、前記制御部が、前記汚れ検出手段による検出結果に応じて、前記第1送風機及び前記第2送風機の送風量を制御するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、第1通風路に吸い込む空気の汚れの程度を検出し、検出結果に応じて、第1送風機及び第2送風機の送風量を制御するため、汚れの程度が高い場合、送風量を多くして空気の汚れを短時間で除去し、汚れの程度が低い場合、送風量を少なくして静かに運転することができる。
【0017】
本発明に係る空気清浄機は、前記第1通風路に吸い込む空気の湿度を検出する湿度検出手段と、前記第1通風路に吸い込んだ空気を加湿する加湿手段とをさらに備え、前記制御部が、前記湿度検出手段による検出結果に応じて、前記第1送風機及び前記第2送風機の送風量を制御するようにしてあることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、第1通風路に吸い込む空気の湿度を検出し、検出結果に応じて、第1送風機及び第2送風機の送風量を制御するため、湿度が低い場合、送風量を多くして空気をより短時間で加湿し、湿度が高い場合、送風量を少なくして静かに運転することができる。
【0019】
本発明に係る空気清浄機は、前記第1通風路及び前記第2通風路から斜め上方かつ平面視が相反する方向へ夫々空気を吹き出すようにしてあることを特徴とする。
【0020】
本発明にあっては、第1通風路及び第2通風路から斜め上方かつ平面視が相反する方向へ夫々空気を吹き出すようにしてあるため、第2通風路からイオンとともに吹き出す空気に対して、第1通風路から吹き出す空気の影響を低減し、室内の空気中へイオンを吹き出して空気清浄性能を高めることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、空気浄化部により浄化して第1通風路から空気を吹き出す方向と異なる方向へ、第2通風路からイオンとともに空気を吹き出し、第1送風機が送風する送風量に応じて、第2送風機が送風する送風量を制御するようにしてあるので、第1通風路から吹き出す空気の送風量に応じて、第2通風路からイオンとともに吹き出す空気の送風量が制御され、吹き出すイオンによる空気清浄性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る空気清浄機の正面側の斜視図である。
【図2】図1の空気清浄機の背面側の斜視図である。
【図3】図1の空気清浄機の側断面図である。
【図4】図1の空気清浄機の制御系統の概略構成を示すブロック図である。
【図5】空気清浄機が室内に置かれた状態を模式的に示す模式図である。
【図6】第1送風機の送風量を変化させたときの中央点Pのイオン濃度を示す図表である。
【図7】第1送風機及び第2送風機の送風量を変化させたときの中央点Pのイオン濃度を示す図表である。
【図8】第1送風機及び第2送風機の送風量の設定表の一例を示す図表である。
【図9】汚れ検出結果と風量モード「自動」の風量設定との対応関係を示す図表である。
【図10】空気清浄機の運転制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】湿度検出結果と風量モード「自動」の風量設定との対応関係を示す図表である。
【図12】手動モードにおける送風量の設定値の例を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る空気清浄機の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は本発明の実施の形態に係る空気清浄機1の正面側の斜視図、図2は図1の空気清浄機1の背面側の斜視図、図3は図1の空気清浄機の側断面図である。図3において、紙面左側は空気清浄機1の正面側(前側)、紙面右側は空気清浄機1の背面側(後側)であり、紙面垂直方向は空気清浄機1の左右方向である。
【0025】
本実施形態の空気清浄機1は、脱臭及び集塵による空気清浄機能と、正イオン及び負イオン(以下、正負イオンという)による空気清浄機能と、空気加湿機能とを有する。図1〜図3に示すように、空気清浄機1は縦型直方体状の筐体6を備え、図3に示すように、空気清浄機1は壁W及び床Fを有する室内において、筐体6の背面側が壁Wに対面する姿勢で、床Fに載置される。本実施形態の空気清浄機は、筐体6の内部に互いに区画されている第1通風路3、第2通風路4、及び制御室60を備え、筐体6の天面カバー62に操作パネル2を備えている。
【0026】
まず、第1通風路3について説明する。第1通風路3には、空気浄化部11、加湿フィルタユニット5、第1送風機13、汚れ検出部15、及び温湿度センサ16等が配されている。第1通風路3は、隔壁31により後側(背面側)のフィルタ収容部3aと前側(正面側)の吹出風路3bとに分割されている。吸込口33は、筐体6の後カバー63に開口しており、フィルタ収容部3aは、吸込口33を介して外部に連通している。また、吹出風路3bは、筐体6の天面カバー62に開設された吹出口34を介して外部に連通しており、更にフィルタ収容部3aと吹出風路3bは、隔壁31の下部に設けた開口31aを経て相互に連通している。後パネル32は、フィルタ収容部3aに含まれる後側の矩形形状の空気浄化室35に着脱可能に取り付けられ、複数個の通気孔300,300,…が形成されている。従って、詳細には吸込口33を介して通流する空気とは、通気孔300,300,…を介して通流する空気のことである。空気浄化室35には、空気浄化部11が収容されている。
【0027】
空気浄化部11は、ともに矩形形状の脱臭フィルタ111及び集塵フィルタ112を備える。脱臭フィルタ111は、例えば、不織布に活性炭を分散保持させた構成であり、通気中の臭い成分を吸着、除去する作用をなす。集塵フィルタ112は、例えば、公知のHEPA(High Efficiency Particulate Air )フィルタであり、通気中に含まれる微細な塵埃を捕集、除去する作用をなす。従って、空気浄化部11を通過した空気は、臭い成分が吸着、除去され、塵埃が捕集、除去されることによって浄化される。空気浄化部11によって浄化された空気は、加湿フィルタユニット5により加湿される。
【0028】
加湿フィルタユニット5は、加湿フィルタ50、水受け皿51、駆動ギア52及び電動モータ53を備え、空気浄化部11の下流側であって、開口31aの上流側に配してある。加湿フィルタ50は、不織布等、高い含水性を有すると共に通気が可能な材料製のシートであり、通気する空気との接触面積を増すべく蛇腹状に折り重ね、中空の円盤形をなす保持枠54に収納されている。水受け皿51は、公知の定水位弁などを用いてほぼ一定水位の水を貯留し、内部に設けた2つのローラ部材(図示略)により加湿フィルタ50及び保持枠54を支持する。
【0029】
保持枠54の外周に沿って従動ギア55が取り付けてあり、従動ギア55と、加湿フィルタ50上部に配置した駆動ギア52とが噛合している。加湿フィルタ50上部に配置した電動モータ53により駆動ギア52を回転させると、駆動力が従動ギア55に伝達され、加湿フィルタ50及び保持枠54が回転する。加湿フィルタ50は、回転することによって水受け皿51に浸漬した部分が順次周方向に移動して水を吸い上げ、加湿フィルタ50の全体が水分を含んだ状態になる。その結果、加湿フィルタ50を通過した空気は加湿される。一方、加湿フィルタ50が回転していないときには、加湿フィルタ50を通過した空気はほとんど吸湿しない。
【0030】
第1送風機13は、ファンモータ131、ファン132を備え、ファンモータ131はファン132を回転駆動する。ファン132は、外縁に対し回転中心側が回転方向へ変位する複数の羽根を有する多翼羽根車、換言すると円筒形状をなすシロッコファンである。ファンモータ131は、吹出風路3bの壁の外部に固定されている。ファン132は、ファンモータ131の出力軸に固定され、隔壁31下部の開口31aに対向配置してある。ファン132が回転した場合、図3中に白抜の矢印にて示すように、吸込口33を経てフィルタ収容部3aの内部に外気が導入され、フィルタ収容部3aの内部を前方向に流れて隔壁31下部の開口31aを経てファン132に吸い込まれる。ファン132に吸い込まれた空気は上向きに方向を変えて吹出風路3bの内部に導出され、吹出風路3bの末端の吹出口34を経て外部に送り出される。
【0031】
また、吹出風路3bにおいて、ファン132からの空気を吹出口34へ導く通風路壁面36a,36bは、前下側から後上方へ傾斜するように配してあり、吹出口34に設けた風向規制板37,37,…も前下側から後上方へ傾斜するように配してある。これにより、第1通風路3は、後方斜め上方向に向かって吹出口34から空気を吹き出す。なお、後方斜め上方向に向かって吹き出された空気は、壁Wに沿って上昇し、天井に沿って壁Wから離れる方向へ流れ、部屋の逆側の壁付近で下降し、床Fに沿って壁W方向に流れることにより、部屋の中を循環する。
【0032】
汚れ検出部15は、臭気センサ15a及び埃センサ15bを備える。図2に示すように、臭気センサ15a及び埃センサ15bは、空気浄化室35の側壁上部の筐体6内(空気浄化室35の外側)に配してある。臭気センサ15a及び埃センサ15bが取り付けられる空気浄化室35の側壁上部はフィルタ収容部3aに連通している。また、空気浄化室35の側壁上部における後パネル32の取付位置付近に、貫通孔35aが設けられている。吸込口33から吸い込まれる空気の一部は、空気浄化部11を経ずに貫通孔35aから吸い込まれ、汚れ検出部15を通過し、フィルタ収容部3aへ通流する。
【0033】
臭気センサ15aは、公知のガスセンサなどであり、臭気の要因となるガスの濃度を検知することによって、貫通孔35aから吸い込まれる外部空気中の臭気のレベルを検出する。ガスセンサは、例えば数百度に加熱された感ガス体の抵抗値が周囲のガスの濃度によって変化することを利用してガスの濃度を検知する。検知したガスの濃度が小さい場合、臭気のレベルは低く、検知したガスの濃度が大きい場合、臭気のレベルは高い。
【0034】
埃センサ15bは、例えば、光学式粒子センサなどである。光学式粒子センサは、センサに設けたスルーホール内に発光ダイオードから赤外線を放射し、スルーホール中に浮遊する粒子による反射光をフォトトランジスタで検知することにより埃の量を検出するものであり、煙草の煙のような微細な粒子も検知できる。光学式粒子センサでは、フォトトランジスタが出力する電圧の大小によって、埃の量の多寡が検出される。
【0035】
温湿度センサ16は、汚れ検出部15と同様に、空気浄化室35の側壁上部の筐体6内に配してあり、貫通孔35aから吸い込まれる外部空気の温度及び湿度を検出し、相対湿度を計測する。
【0036】
つぎに、第2通風路4について説明する。第2通風路4には、エアフィルタ40、第2送風機14、イオン発生器12、及びイオンセンサ17等が配されている。第2通風路4は、第2送風機14により下側の吸込室4aと上側の吹出室4bとに分割されている。筐体6の前面部61は、前パネル611、前カバー612を有し、吸込口41は前カバー612に設けられている。前パネル611は、吸込口41の上方及び左右両側方を前側から被覆している。吸込室4aは、吸込口41を介して外部に連通している。吹出口42は、筐体6の前パネル611と天面カバー62との境界部分に開口しており、吹出室4bは、吹出口42を介して外部に連通しており、吸込室4aと吹出室4bは、第2送風機14を経て相互に連通している。
【0037】
エアフィルタ40は、例えば荒い格子状のネットであり、吸込口41に着脱可能に配されている。エアフィルタ40は、吸込室4aへ流入する空気に含まれている粗い塵埃を捕集し除去する。
【0038】
第2送風機14は、ファンモータ141(図4参照)とファン142とを備え、ファンモータ141はファン142を左右方向の軸まわりに回転駆動する。ファン142は、回転中心に対し外縁側が回転方向へ変位する複数の羽根を有する円筒形状をなす多翼羽根車を有するクロスフローファンである。ファン142は、回転中心の方向が空気清浄機1の左右方向となるように配してある。ファンモータ141は、図示しない支持部によって筐体6の内部に固定されている。ファン142は、ファンモータ141の出力軸に固定され、ファンモータ141の駆動によって回転する。ファン142が回転することによって、図3中の実線の矢印にて示すように、室内の空気(詳細には、筐体6の前下方の空気)は、吸込口41を介して第2通風路4へ吸い込まれ、吸い込まれた空気は、吸込室4aから吹出室4bへ通流し、吹出口42を介して室内へ吹き出す。吹出室4bの壁面には、上流側にイオン発生器12、下流側にイオンセンサ17が夫々配されている。
【0039】
イオン発生器12は、吹出室4bの壁に固定され、針状の放電電極及び該放電電極に対向配置された誘導電極を有し、高電圧を印加された放電電極がコロナ放電を起こして正負イオンを発生させる。イオン発生器12の放電電極は、吹出室4bに露出しており、発生した正負イオンは、吹出室4bを通流する空気中に浮遊し、吹出口42から空気とともに外部に送り出される。吹出口42を介して吹き出した空気とともに室内へ放出された正負イオンは、菌類、ウィルス、及びアレルゲン等を死滅又は不活性化させ、悪臭の原因となる物質(例えばアセトアルデヒドのような有機化合物)を分解する。
【0040】
イオンセンサ17は、吹出室4bを通流する正負イオンを検出し、検出結果を適宜の時間間隔で制御部10(図4参照)へ繰り返し出力する。この検出結果は、吹出室4bを通流する正負イオンの多寡、延いてはイオン発生器12で発生した正負イオンの多寡を示すものである。イオン発生器12で発生した正負イオンの量が所定量を下回る場合、イオン発生器12に汚損又は劣化等が生じていることがわかる。
【0041】
吸込室4aにおいては、前下側から後上側へ傾斜して空気が通流し、吹出室4bにおいては、前上側へ傾斜して空気が通流する。また、風向規制板43は、空気が流れる向きを規制するために吹出口42に配してあり、第2通風路4は、吹き出した空気が室内の中央部分に到達し易いように、前方の斜め上方へ空気が吹き出す。
【0042】
第2通風路4から吹き出す空気の方向は、第1通風路3から吹き出す空気の方向と異なっている。即ち、第1通風路3からは、後方斜め上方向に向かって空気を吹き出し、第2通風路4からは、前方の斜め上方へ空気を吹き出しており、第1通風路3及び第2通風路4から斜め上方、かつ平面視が相反する方向へ夫々空気を吹き出すものである。
【0043】
図4は空気清浄機1の制御系統の概略構成を示すブロック図である。空気清浄機1の制御系統は、ユーザが操作する操作パネル2、操作パネル2からの操作信号を受け付け、第1送風機13及び第2送風機14等の動作を制御する制御部10、制御部10へ各種物理量を入力する上述の汚れ検出部15等のセンサなどにより構成されている。
【0044】
制御部10は、プログラム等の情報を記憶するROM、ROMに予め格納されている制御プログラムに従って入出力制御及び演算を実行するCPU、一時的に発生した情報を記憶するRAM、不揮発性の書き込み/読み出し可能な記憶部10a並びに外部回路との入出力を行う入出力インタフェースを有している。入出力インタフェースを介して、汚れ検出部15、温湿度センサ16、及びイオンセンサ17が接続され、制御部10は、これらのセンサの検出値を取り込む。
【0045】
また、制御部10には、筐体6の天面カバー62に配されている操作パネル2の停止ボタン21、空気清浄入ボタン22、加湿空気清浄入ボタン23、風量切換ボタン24が接続されている。操作パネル2に対する操作は、制御部10によって受け付けられる。具体的には、停止ボタン21の操作により、空気清浄機1の運転停止が制御部10によって受け付けられる。また、空気清浄入ボタン22の操作により、加湿せずに空気清浄する空気清浄運転モードの選択が、加湿空気清浄入ボタン23の操作により、加湿しながら空気清浄する加湿空気清浄運転モードの選択が、夫々制御部10によって受け付けられる。
【0046】
さらに、風量切換ボタン24が操作される度に、風量を手動で設定する風量モードである「静音」、「中」、「強」、及び風量を自動で設定する風量モードである「自動」の4つの風量モードの切り替えが、例えばこの順に制御部10によって受け付けられる。操作パネル2は、表示ランプ20,20,…を備えており、空気清浄入ボタン22、加湿空気清浄入ボタン23及び風量切換ボタン24の各操作に従って、夫々空気清浄運転モードを表示するランプ、加湿空気清浄運転モードを表示するランプ、風量モード「静音」、「中」、「強」、「自動」を表示するランプを備える。
【0047】
また、制御部10には、第1モータ駆動回路103、第2モータ駆動回路104、モータ駆動回路105、及び高電圧回路106を介して、夫々第1送風機13のファンモータ131、第2送風機14のファンモータ141、加湿フィルタ50の電動モータ53、及びイオン発生器12が接続されている。制御部10は、操作パネル2から受け付けた操作信号及び上述の各センサの検出値に基づいて、上記各駆動回路及び高電圧回路に指令信号を出力し、第1送風機13のファンモータ131、第2送風機14のファンモータ141、加湿フィルタ50の電動モータ53、及びイオン発生器12を制御する。
【0048】
つぎに、制御部10が制御する第1通風路3及び第2通風路4から吹き出す空気の送風量について説明する。図5は空気清浄機1が室内に置かれた状態を模式的に示す模式図である。例として、室内は、約21畳の広さであり、縦6.92m、横4.72m、高さ2.4mの空間であるとする。室内の縦、横、高さ方向をそれぞれ4等分し、部屋の中央点Pを縦方向B位置、横方向b位置、高さ方向1.2mの位置とする。空気清浄機1は、床F上で、壁W近くの横方向b位置に載置する。上述のとおり、第1通風路3から空気を吹き出す向きD1は、後方(壁W方向)斜め上方向であり、第2通風路4から空気を吹き出す向きD2は、前方の斜め上方である。
【0049】
第1通風路3及び第2通風路4から吹き出す空気の送風量により、中央点Pにおけるイオン濃度が変化する。図6は第1送風機13の送風量を変化させたときの中央点Pのイオン濃度を示す図表である。図6において、第2通風路4側は、イオン発生器12によりイオンを発生させた状態で送風量を1.6m3 /minに固定し、第2通風路4から吹き出す空気の吹出角度を水平から上方へ14deg傾いた方向とする。第1通風路3の送風量を1.5m3 /minとすると、中央点Pにおけるイオン濃度は高い状態となるが、第1通風路3の送風量を3.5m3 /min又は7.0m3 /minと多くすると、中央点Pにおけるイオン濃度は低くなってしまう。このように中央点Pにおけるイオン濃度が低くなってしまうのは、第1通風路3の送風量を多くすると、第1通風路3から吹き出す空気により壁面、天井、床面の近くに形成する循環風が強くなり、この循環風に第2通風路4から吹き出す空気が引き寄せられ、中央点Pに到達するイオンが減少してしまうことによるものと考えられる。
【0050】
図7は、第1送風機13及び第2送風機14の送風量を変化させたときの中央点Pのイオン濃度を示す図表である。図7において、第2通風路4側は、イオン発生器12によりイオンを発生させた状態で、第2通風路4から吹き出す空気の吹出角度を水平から上方へ14deg傾いた方向とする。第1通風路3の送風量を1.5m3 /min、第2通風路4の送風量を1.6m3 /minとすると、中央点Pにおけるイオン濃度は高い状態となる。第1通風路3の送風量を2.4m3 /min、3.5m3 /minと多くしたときに、第2通風路4の送風量を夫々1.7m3 /min、1.8m3 /minと多くすると、中央点Pにおけるイオン濃度は高い状態を維持する。このように、第1通風路3の送風量の多/少に応じて、第2通風路4の送風量を多/少に設定することによって、第1通風路3から吹き出す空気により形成される循環風の影響を受けずに、第2通風路4から吹き出す空気が中央点Pへ向かい、中央点Pのイオン濃度を高い状態に維持することができる。ここで、多/少と表記しているのは、第1通風路3の送風量が多い場合には、第2通風路4の送風量を多く設定し、第1通風路3の送風量が少ない場合には、第2通風路4の送風量を少なく設定することを意味する。
【0051】
図8は、第1送風機13及び第2送風機14の送風量の設定表の一例を示す図表である。具体的には、風量を手動で設定する風量モード「静音」では第1通風路3の送風量を1.5m3 /min、第2通風路4の送風量を1.6m3 /minとし、風量モード「中」では第1通風路3の送風量を2.4m3 /min、第2通風路4の送風量を1.7m3 /minとし、風量モード「強」では第1通風路3の送風量を3.5m3 /min、第2通風路4の送風量を1.8m3 /minとする。制御部10は、風量モード「静音」、「中」、「強」に対応する指令信号を第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104へ出力する。第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104は、指令信号に応じて、各風量モードでの送風量が得られる回転数でファンモータ131、ファンモータ141を駆動する。
【0052】
また、風量モード「自動」では、風量設定1、風量設定2、風量設定3を夫々風量モード「静音」、「中」、「強」での送風量としており、汚れ検出部15による検出結果に応じて風量設定1から風量設定3のいずれかが設定される。この場合、制御部10は、風量設定1から風量設定3に対応する指令信号を汚れ検出部15による検出結果に応じて第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104へ出力する。第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104は、指令信号に応じて、各風量設定での送風量が得られる回転数でファンモータ131、ファンモータ141を駆動する。図8に示す設定表のように、制御部10は、第1通風路3の送風量の多/少に応じて、第2通風路4の送風量を多/少に制御する。
【0053】
図9は汚れ検出結果と風量モード「自動」の風量設定との対応関係を示す図表である。図9では、臭気センサ15aにより検知したガスの濃度を3段階の臭気レベルで検出し、同様に埃センサ15bにより埃の多寡を3段階の埃レベルで検出する例を示す。臭気レベル及び埃レベルは、数値が大きいほど空気中に臭気及び埃が多く含まれている状態を示している。また、図9に示す例では、臭気及び埃による空気の汚れの程度を臭気レベル及び埃レベルの数値の加算値として定め、汚れの程度に応じて風量モード「自動」の風量設定を選択する。例えば、臭気レベルが1、埃レベルが3である場合、汚れの程度は4となり、風量モード「自動」の風量設定2を選択する。なお、風量設定2は、図8に示すように風量モード「中」での送風量に対応しており、具体的には第1通風路3の送風量を2.4m3 /min、第2通風路4の送風量を1.7m3 /minに設定することに対応する。
【0054】
図10は、空気清浄機1の運転制御の処理手順を示すフローチャートである。以下の処理は、制御部10のマイクロコンピュータの内蔵ROMに予め格納されている制御プログラムに従って、マイクロコンピュータのCPUにより実行される。以下では、例として、制御部10が、図8に示す送風量の設定表及び記憶部10aに記憶した図9に示す対応関係に基づいて空気清浄機1を運転制御する場合について説明する。また、記憶部10aには前回運転時の風量モードの識別番号(製造時風量モード初期値:例えば「中」)を記憶している。
【0055】
さらに、空気清浄入ボタン22及び加湿空気清浄入ボタン23がユーザによって操作された場合には、操作されたボタンの識別番号が操作ボタン情報としてRAMに更新保存される。従って、制御部10は、直近において操作された空気清浄入ボタン22又は加湿空気清浄入ボタン23の識別番号をRAMから取得できるものとする。ただし、後述のように、ステップS20において、RAMに書き込まれた操作ボタン情報は、空気清浄入ボタン22及び加湿空気清浄入ボタン23のいずれもが操作されていない状態を表す値にリセットされる。
【0056】
まず、空気清浄機1の電源ラインを例えば家庭用AC100V商用電源に接続することにより、運転制御処理がスタートする。
【0057】
制御部10は、空気清浄機1が空気清浄モード又は加湿空気清浄モードにより運転中であるか否かを判定する(ステップS10)。運転中でないと判定した場合(ステップS10:NO)、RAMに保存された操作ボタン情報を読み出し、空気清浄入ボタン22が操作された状態であるか否かを判定する(ステップS11)。空気清浄入ボタン22が操作された状態ではないと判定した場合(ステップS11:NO)、RAMに保存された操作ボタン情報を再び読み出し、加湿空気清浄入ボタン23が操作された状態か否かを判定する(ステップS12)。加湿空気清浄入ボタン23が操作された状態ではないと判定した場合(ステップS12:NO)、ステップS10に戻る。
【0058】
空気清浄モードによって空気清浄機1を運転するために、ユーザが空気清浄入ボタン22を操作するとRAMに操作ボタン情報が保存される。制御部10は、RAMから操作ボタン情報を取得し、空気清浄入ボタン22が操作された状態であると判定し(ステップS11:YES)、記憶部10aが記憶している前回運転時における風量モードの識別番号を読み出す(ステップS13)。
【0059】
ステップS13の後、制御部10は空気清浄運転モードにより空気清浄機1を運転する制御を行う(ステップS14)。ステップS14における制御処理では、制御部10は、読み出した風量モードの識別番号が、風量モード「静音」、「中」、「強」の識別番号のいずれかである場合、各モードの識別番号に対応する指令信号を第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104へ出力する。第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104は、指令信号に応じて各モードでの送風量が得られる回転数でファンモータ131及びファンモータ141を駆動する。また、制御部10は、イオン発生器12がイオンを発生するように高電圧回路106に指令し、電動モータ53を停止するようにモータ駆動回路105に指令する。
【0060】
また、読み出した風量モードの識別番号が風量モード「自動」の識別番号である場合は、制御部10は、汚れ検出部15による検出結果を取得し、臭気レベル及び埃レベルから汚れの程度を算出し、図9に示す対応関係に基づいて、風量設定1から風量設定3のいずれかを選択する。制御部10は、選択した風量設定に応じた指令信号を第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104へ出力する。第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104は、指令信号に応じて各モードでの送風量が得られる回転数でファンモータ131及びファンモータ141を駆動する。また、制御部10は、イオン発生器12がイオンを発生するように高電圧回路106に指令し、電動モータ53を停止するようにモータ駆動回路105に指令する。
【0061】
ステップS14の処理後は、リターンによってスタートに戻り、ステップS10に戻るが、ここで空気清浄入ボタン22以外のボタンが操作されておらず、空気清浄入ボタン22が操作された状態を維持している場合の処理の流れを説明する。この場合、制御部10は、運転中であると判定し(ステップS10:YES)、風量切換ボタン24は操作されていないと判定し(ステップS17:NO)、停止ボタン21は操作されていないと判定し(ステップS19:NO)、ステップS11に戻ってくる。制御部10は、ステップS11において、空気清浄入ボタン22が操作された状態であると判定し(ステップS11:YES)、ステップS13及びステップS14により、空気清浄運転モードによる運転制御を行う。
【0062】
つぎに、加湿空気清浄モードによって空気清浄機1を運転するために、ユーザが加湿空気清浄入ボタン23を操作すると、RAMに操作ボタン情報が保存される。制御部10は、RAMから操作ボタン情報を取得し、加湿空気清浄入ボタン23が操作された状態であると判定し(ステップS12:YES)、記憶部10aが記憶している風量モードの識別番号を読み出す(ステップS15)。
【0063】
ステップS15の後、制御部10は加湿空気清浄運転モードにより空気清浄機1を運転する制御を行う(ステップS16)。ステップS16における制御処理では、制御部10は、読み出した風量モードの識別番号が、風量モード「静音」、「中」、「強」の識別番号のいずれかである場合、各モードの識別番号に対応する指令信号を第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104へ出力する。第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104は、指令信号に応じて各モードでの送風量が得られる回転数でファンモータ131及びファンモータ141を駆動する。また、制御部10は、イオン発生器12がイオンを発生するように高電圧回路106に指令する。
【0064】
また、読み出した風量モードの識別番号が風量モード「自動」の識別番号である場合は、制御部10は、汚れ検出部15による検出結果を取得し、臭気レベル及び埃レベルから汚れの程度を算出し、図9に示す対応関係に基づいて、風量設定1から風量設定3のいずれかを選択する。制御部10は、選択した風量設定に応じた指令信号を第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104へ出力する。第1モータ駆動回路103及び第2モータ駆動回路104は、指令信号に応じて各モードでの送風量が得られる回転数でファンモータ131及びファンモータ141を駆動する。また、制御部10は、イオン発生器12がイオンを発生するように高電圧回路106に指令する。
【0065】
また、制御部10は、いずれの風量モードである場合も、温湿度センサ16から相対湿度の検出結果を取得し、相対湿度が例えば60%未満である場合には、電動モータ53を駆動するようにモータ駆動回路105に指令し、60%以上である場合には、電動モータ53を停止するようにモータ駆動回路105に指令する。電動モータ53の駆動により、加湿フィルタ50が回転して水分を吸収し、加湿フィルタ50を通過した空気が加湿される。一方、電動モータ53の停止により、加湿フィルタ50の回転が停止し、加湿フィルタ50を通過した空気はほとんど加湿されない。
【0066】
ステップS16の処理後は、リターンによってスタートに戻り、ステップS10に戻るが、ここで加湿空気清浄入ボタン23以外のボタンが操作されておらず、加湿空気清浄入ボタン23が操作された状態を維持している場合の処理の流れを説明する。この場合、制御部10は、運転中であると判定し(ステップS10:YES)、風量切換ボタン24は操作されていないと判定し(ステップS17:NO)、停止ボタン21は操作されていないと判定し(ステップS19:NO)、空気清浄入ボタン22が操作された状態ではないと判定し(ステップS11:NO)、ステップS12に戻ってくる。制御部10は、ステップS12において、加湿空気清浄入ボタン23が操作された状態であると判定し(ステップS12:YES)、ステップS15及びステップS16により、加湿空気清浄運転モードによる運転制御を行う。
【0067】
つぎに、運転中に風量切換ボタン24が操作される場合について説明する。制御部10は、ステップS10において運転中であると判定し(ステップS10:YES)、風量切換ボタン24が操作されたか否かを判定する(ステップS17)。風量切換ボタン24が操作されたと判定した場合(ステップS17:YES)、制御部10は記憶部10aに記憶している風量モードの識別番号を次の風量モードの識別番号に更新し、風量モードを書き換える(ステップS18)。
【0068】
つぎに、空気清浄運転又は加湿空気清浄運転状態から運転停止する場合について説明する。制御部10は、いずれかの運転制御を行った後、リターンによってスタートに戻り、ステップS10において運転中であると判定し(ステップS10:YES)、風量切換ボタン24が操作されたか否かを判定する(ステップS17)。ステップS17の判定がいずれの場合でも、制御部10は、ステップS19により、停止ボタン21が操作されたか否かを判定する。停止ボタン21が操作されたと判定した場合(ステップS19:YES)、制御部10は、RAMに保存された操作ボタン情報を、空気清浄入ボタン22及び加湿空気清浄入ボタン23が操作されていない状態を表す値にリセットする。
【0069】
以上のように、空気浄化部11により空気を浄化して第1通風路3から空気を吹き出す一方、第1通風路3から空気を吹き出す方向と異なる方向へ、第2通風路4からイオンとともに空気を吹き出し、第1送風機13が送風する送風量に応じて、第2送風機14が送風する送風量を制御するようにしてあるので、第1通風路3から吹き出す空気の送風量に応じて、第2通風路4からイオンとともに吹き出す空気の送風量が制御され、吹き出すイオンによる空気清浄性能を高めることができる。
【0070】
また、例えば図8に示すような送風量の設定表に基づき、第1送風機13が送風する送風量の多/少に応じて、第2送風機14が送風する送風量を多/少に制御するようにしてあるため、第2通風路4からイオンとともに吹き出す空気に対して、第1通風路3から吹き出す空気が及ぼす影響を低減し、吹き出すイオンによる空気清浄性能を高めることができる。
【0071】
また、第1通風路3に吸い込む空気の汚れの程度を汚れ検出部15により検出し、検出結果に応じて、例えば図9に示すような対応関係により、第1送風機13及び第2送風機14の送風量を制御するため、汚れの程度が高い場合、送風量を多くして空気の汚れを短時間で除去し、汚れの程度が低い場合、送風量を少なくして静かに運転することができる。
【0072】
第1通風路3及び第2通風路4から斜め上方かつ平面視が相反する方向へ夫々空気を吹き出すようにしてあるため、第2通風路4からイオンとともに吹き出す空気に対して、第1通風路3から吹き出す空気の影響を低減し、室内の空気中へイオンを吹き出して空気清浄性能を高めることができる。
【0073】
(変形例1)
上述の実施形態においては、制御部10は、加湿空気清浄運転時における風量モード「自動」の風量を、空気清浄運転時における風量モード「自動」の風量設定と同様に、汚れ検出部15の検出結果に基づき設定したが、温湿度センサ16の検出結果に基づき算出する相対湿度によって、風量モード「自動」の風量設定を行うようにしてもよい。図11は湿度検出結果と風量モード「自動」の風量設定を示す図表である。このように、第1通風路3に吸い込む空気の湿度を温湿度センサ16により検出し、検出結果に応じて、第1送風機13及び第2送風機14の送風量を制御するため、湿度が低い場合は、送風量を多くして空気をより短時間で加湿し、湿度が高い場合は、送風量を少なくして静かに運転することができる。
【0074】
(変形例2)
図12は手動モードにおける送風量の設定値の例を示す図表である。具体的な設定値は、風量モード「静音」では第1通風路3の送風量を1.5m3 /min、第2通風路4の送風量を0.8m3 /minとし、風量モード「中」では第1通風路3の送風量を3.5m3 /min、第2通風路4の送風量を1.8m3 /minとし、風量モード「強」では第1通風路3の送風量を7.0m3 /min、第2通風路4の送風量を1.8m3 /minとする。この設定においては、風量モード「静音」と風量モード「中」との関係では、第1送風機13の送風量の多/少に応じて、第2送風機14の送風量が多/少に制御されるが、風量モード「中」と風量モード「強」との関係では、第1送風機13の送風量を多くするものの、第2送風機14の送風量は同じ値としている。風量モード「静音」では、より静かな状態を確保するため第2送風機14の送風量を低い値に設定している。また、風量モード「中」では、空気清浄性能を高めるために、第1送風機13の送風量を多く設定し、イオン濃度が十分に中央点Pに到達できるように第2送風機14の送風量も多く設定してある。風量モード「強」では、さらに空気清浄性能を高めるために、第1送風機13の送風量をさらに多く設定する一方、第2送風機14側は、風量モード「中」での送風量のままとする。このように、部分的に第1通風路3の送風量の多/少に応じて、第2通風路4の送風量を多/少に制御するようにしてもよい。
【0075】
なお、本発明は、本実施の形態だけに限ることなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲及びそれと均等な範囲に及ぶものとする。
【符号の説明】
【0076】
3 第1通風路
4 第2通風路
10 制御部
11 空気浄化部
12 イオン発生器
13 第1送風機
14 第2送風機
15 汚れ検出部(汚れ検出手段)
16 温湿度センサ(湿度検出手段)
50 加湿フィルタ(加湿手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1送風機により送風して外部から第1通風路に空気を吸い込み、空気浄化部により浄化して空気を吹き出す一方、第2送風機により送風して外部から第2通風路に空気を吸い込み、イオン発生器により発生したイオンとともに、前記第1通風路から吹き出す方向と異なる方向へ空気を吹き出す空気清浄機において、
前記第1送風機及び前記第2送風機の動作を制御する制御部
を備え、
前記制御部は、前記第1送風機が送風する送風量に応じて、前記第2送風機が送風する送風量を制御するようにしてあることを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1送風機が送風する送風量の多/少に応じて、前記第2送風機が送風する送風量を多/少に制御するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記第1通風路に吸い込む空気の汚れの程度を検出する汚れ検出手段をさらに備え、
前記制御部は、前記汚れ検出手段による検出結果に応じて、前記第1送風機及び前記第2送風機の送風量を制御するようにしてあること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記第1通風路に吸い込む空気の湿度を検出する湿度検出手段と、
前記第1通風路に吸い込んだ空気を加湿する加湿手段と
をさらに備え、
前記制御部は、前記湿度検出手段による検出結果に応じて、前記第1送風機及び前記第2送風機の送風量を制御するようにしてあること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項5】
前記第1通風路及び前記第2通風路から斜め上方かつ平面視が相反する方向へ夫々空気を吹き出すようにしてあること
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の空気清浄機。
【請求項1】
第1送風機により送風して外部から第1通風路に空気を吸い込み、空気浄化部により浄化して空気を吹き出す一方、第2送風機により送風して外部から第2通風路に空気を吸い込み、イオン発生器により発生したイオンとともに、前記第1通風路から吹き出す方向と異なる方向へ空気を吹き出す空気清浄機において、
前記第1送風機及び前記第2送風機の動作を制御する制御部
を備え、
前記制御部は、前記第1送風機が送風する送風量に応じて、前記第2送風機が送風する送風量を制御するようにしてあることを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1送風機が送風する送風量の多/少に応じて、前記第2送風機が送風する送風量を多/少に制御するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記第1通風路に吸い込む空気の汚れの程度を検出する汚れ検出手段をさらに備え、
前記制御部は、前記汚れ検出手段による検出結果に応じて、前記第1送風機及び前記第2送風機の送風量を制御するようにしてあること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記第1通風路に吸い込む空気の湿度を検出する湿度検出手段と、
前記第1通風路に吸い込んだ空気を加湿する加湿手段と
をさらに備え、
前記制御部は、前記湿度検出手段による検出結果に応じて、前記第1送風機及び前記第2送風機の送風量を制御するようにしてあること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気清浄機。
【請求項5】
前記第1通風路及び前記第2通風路から斜め上方かつ平面視が相反する方向へ夫々空気を吹き出すようにしてあること
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の空気清浄機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−72584(P2013−72584A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211293(P2011−211293)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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