空気清浄機
【課題】 脱臭機においては、密封容器に保存していたため蓋の開閉時に臭いが室内に拡散されるため不快感が残っていた。
【解決手段】 本発明にかかる空気清浄機は、下部に通気孔を形成し、中央部に空気送風用のファンを設け、ファンの上部にネットを設け、同円筒面から紫外線を照射する複数の紫外線発光ダイオードとを配置し、上部に排気用の通気孔を備えた円筒形の容器と、同容器内に発泡体からなる芯材に可視光光触媒をコートされた複数の可視光光触媒発泡粒を収納するように構成した。
【解決手段】 本発明にかかる空気清浄機は、下部に通気孔を形成し、中央部に空気送風用のファンを設け、ファンの上部にネットを設け、同円筒面から紫外線を照射する複数の紫外線発光ダイオードとを配置し、上部に排気用の通気孔を備えた円筒形の容器と、同容器内に発泡体からなる芯材に可視光光触媒をコートされた複数の可視光光触媒発泡粒を収納するように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機に関する。詳しく述べると本発明は、光触媒発泡粒を使用し、発光ダイオード(以下、「LED」と称す。)により当該光触媒発泡粒に照射して、空気を浄化する空気清浄機に関し、さらに、蛍光発泡粒および蓄光発泡粒を混合して、紫外線、紫LED、青LEDから発する光線を照射することにより光の演出を楽しむことができる空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浮遊移動する光触媒粒状体をフィルターとして空気を浄化する技術が、特許文献1に開示されている。この空気浄化装置は、透明材質からなる内筒及び当該内筒を取囲む外筒の二重の略筒体で形成され、少なくとも内筒と外筒との間の中空部分の両端に当該中空部分を他の部分から仕切る通気性を有する略板状体の仕切板が配設されると共に、当該仕切板を介して前記中空部分一端側に連通する略管状の気流導入部及び前記中空部分他端側に連通する略管状の気流排出部をそれぞれ有する中空容器と、所定波長の光を照射すると光触媒としての作用で周囲の水や酸素から活性酸素を生成し、当該活性酸素により近傍の雑菌や臭気源物質を無害化できる光触媒材料を表面に配設された所定形状の粒状体で形成され、前記中空容器の中空部分に交換可能に収納される多数の反応体と、前記中空容器の内筒内側部分に配設され、前記中空部分側に向けて所定の波長の光を照射する光源と、前記中空容器の気流導入部に連通させて配設され、気流導入部を介して前記中空部分へ向けて空気を送出す送風ファンとを備えることを特徴とする。
【0003】
また、前記中空容器の気流導入部が前記中空部分に対して円筒面の接線方向で且つ円筒横断面との斜め交差方向に連通する一又は複数の略管状体からなり、前記送風ファンからの気流を中空部分に吹出して中空部分に渦流れを形成するものである。
【0004】
この特許文献1に示される技術においては、中空容器の内筒及び外筒を略円筒体とすると共に気流導入部として中空部分に対して所定方向に連通する略管状体を配設し、中空部分で空気の渦流れを発生させ、反応体を渦流れにのせて光源の周りで激しく浮遊移動させることにより、反応体の光源に面する位置を様々に変化させられることとなり、反応体における光の照射される総面積が大幅に増加して反応体全体で光触媒の作用が一層向上し、空気中からの雑菌や臭気源物質の浄化効果を高められる。(特許文献1)
【0005】
また、LEDを使用した空気清浄機として、酸化チタン光触媒を紫外線発光ダイオードで反応させるように構成した空気清浄機が特許文献2に開示されている。これは図16に示すように、光源スイッチ115及びファンスイッチ116をONにすると、紫外線LED光源110の48個の紫外線LED112が発光して紫外線がフィルター枠102内のフィルターに照射されると共に、ファン109が回転してフィルターに向けて空気を送り、室内の空気を循環するように構成されている。(特許文献2)
【特許文献1】日本国特開2000−262603号公報
【特許文献2】日本国特開2002−126055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この特許文献1に示す空気清浄機においては、光触媒材料としての二酸化チタンを粒状体にコーティングしたとの記載はあるが、具体的にどのようにしてコーティングしたかといった開示はなく、この光触媒粒状体表面の光触媒材料が有効に機能し得るものであるかどうか、浮遊流動に耐えうるものであるかどうかなどといった点において、疑問の残るところが多い。さらに、この文献に開示される空気清浄機においては、光源は容器の中心にのみにあるため、風量が少ない場合は光触媒粒によって光が遮られ、外側の円筒面まで光が届いて反射させるには風量をかなり多くして粒子間の間隔を空けなければならない。そうなると、光触媒粒同士の衝突が激しくなり、被覆した光触媒が離脱し円筒内面に光触媒の微粉末が付着し、光を遮り光触媒機能が著しく低下することになる。したがって、粒光を照射しながら中空容器内部に気流を発生させて反応体を浮遊移動させつつ空気と接触させることにより、満遍なく粒状体に光照射される保証はないと思われる。
【0007】
また、特許文献2の空気清浄機は、酸化チタン(TiO2)光触媒を塗布した不織布シートを加工したフィルターと、前記フィルターの後方に配置され、前記フィルターに紫外線を照射する1または2以上の紫外線発光ダイオードとを具備するものである。しかしがら、不織布のフィルターは平面であるため、表面積には限度があり、光触媒の性能向上のためにはさらなる改良が必要と思われる。
【0008】
従って、本発明は、高い空気清浄機能を発揮できる共に、小型で軽量かつ安価な空気清浄機を提供することを課題とするものである。本発明はまた、インテリアにも利用できる空気清浄機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記問題点を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、汚れた空気をファンで吸引し、浮遊する発泡粒間に通過せしめ、この発泡粒として光触媒をコーティグした光触媒発泡粒を用い、当該光触媒発泡粒に、紫外線LEDの光を照射して、空気を浄化する構成の空気清浄機を思到し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明の第1の発明は空気清浄機は、下部領域に吸入口を、上部領域に排気口をそれぞれ備えてなる容器と、同容器内の下部領域側に設けられた空気送風用のファンと、同容器内の同ファンの上部に設けられた容器内部を上下に区画するネットと、同ネット上および前記容器壁面上のうち少なくとも一方に設けられた紫外線を照射する複数のLEDを配したLED電気回路と、同容器内に収容された光触媒をコーティグされた複数の光触媒発泡粒を有することを特徴とする。
一般に平面よりも球の面積の方は数倍表面積が大きく、多数の光触媒発泡粒に光を照射しながら浮遊することにより、従来の平面フィルターに比べ格段の光触媒効果を発揮することができる。
第2の発明は、LED電気回路が少なくとも前記ネット上に設けられた紫外線を照射する複数のLEDを有することを特徴とする。
第3の発明は、LED電気回路が同ネット上面に複数の紫外線発光ダイオードを同心円状に配したことを特徴とする。
第4の発明は、LED電気回路が同ネット上面に複数の発光ダイオードを同心円状に配し、かつ中心部に複数の紫外線LEDを配置した塔を立設したことを特徴とする。
第5の発明は、第2〜第4の発明において、さらに、容器の外周面に多数のLEDを配設し、容器内部の光触媒発泡粒に向けてLEDの光線を照射するように構成したことを特徴とする。
第6の発明は、前記電気回路が同ネット上面に、同心円状にダイオード2〜3個を単位として直列に接続して円形に配列し、同円状に配列した2〜3個のダイオードは底面中心線に対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配したことを特徴とする。
第7の発明は、ネット上に、同心円状にダイオード2〜3個を単位として直列に接続し円形に配列し、中心部に紫外線LEDを配し、その外側に紫色LEDを配し、さらにその外側に青色のLEDを配し、かつ同円状に配列した2〜3個のダイオードは底面中心線に対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配したことを特徴とする。
第8の発明は、同心円状に配列したダイオードは底面中心線に対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配したことを特徴とする。
第9の発明は、前記光触媒発泡粒が、発泡体の表面にバインダーを介して光触媒をコートした光触媒発泡粒であり、発泡体に紫外線を受けて光を放つ青などの蛍光材をコートした蛍光発泡粒と、発泡体に紫外線を蓄えて光を放つ蓄光材をコートされた蓄光発泡粒とに混合して用いられることを特徴する。
第10の発明は、前記空気送風用ファンの下方には、脱臭・防塵用のフィルターが配されていることを特徴とする。
第11の発明は、前記容器の上部領域と下部領域とが分離可能とされ、当該容器の上部領域は、光触媒発泡粒を収納した状態で、容器の下部領域との嵌合開口端をネットによりシールされて、交換可能なカートリッジとされていることを特徴とする。
第12の発明は、光触媒発泡粒を収納した容器内面を紫外線防止コーティング処理したことを特徴とする。
第13の発明は、容器内部の頂部近傍または側面部近傍に光触媒発泡粒飛び出し防止用のフィルター部材を配したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の空気清浄機は、光触媒発泡粒自身の光触媒作用により、空気清浄機能を大幅に高めると共に、インテリアにも利用できる小型で軽量かつ安価な空気清浄機を提供できる。
また本発明にかかる空気清浄機は、前記フィルターに向かって空気を送風するファンによって、フィルターに室内の空気を循環させることができ、フィルターによる空気清浄効果をより強めることができる。
さらに本発明において、光触媒発泡粒を、蛍光剤をコートされた蛍光発泡粒と、浮遊発泡粒に紫外線を蓄えて光を放つ蓄光材をコートされた蓄光発泡粒を混合して構成する態様においては、複数の紫外線発光ダイオードから浮遊発泡粒に紫外線が照射されると、浮遊フィルターの光触媒作用によって空気が清浄化されるとともに、同じく蛍光発泡粒および蓄光発泡粒が紫外線の照射を受けて独自の蛍光色で発光するので、容器内が湧水のような光の演出を楽しむことができ、インテリアにも利用できる小型で軽量かつ安価な空気清浄機とすることができる。
前記紫外線LEDは、その発光波長が360nmから400nmの範囲内とすることができる。したがって、紫外線発光ダイオードの中心発光波長は380nmとなり、紫外線発光ダイオードといってもその発する光は波長の長い近紫外線であり、人体、特に眼や皮膚に対する有害性は殆どない。これによって、長時間紫外線発光ダイオードを点灯させても健康への影響が全くなく安全に空気清浄することが出来る。
以上述べたように、空気清浄機においては、複数の光触媒発泡粒は、光を照射しながら送風すると、光触媒発泡粒自身の光触媒作用により、従来の空気清浄機に比べて、酸化チタン発泡粒の光触媒作用を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる空気清浄機の正面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態にかかる空気清浄機のA−A断面図を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態にかかるデモンストレーション用の空気清浄機の斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるネットの底面に設けられたLED電気回路の一例を示す回路図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるネットの底面に設けられたLED電気回路の別の一例を示す回路図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるネットの底面に立設されたLED塔の構成を示す平面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における容器壁面に設けられたLED電気回路の一例を示す回路図である。
【図8A】図3に示す空気清浄機を用いて、臭気成分として酢酸エチルを含む空気を処理した際の臭いの強さの経時的変化を示すグラフである。
【図8B】図3に示す空気清浄機を用い、LEDを消灯後に、臭気成分として酢酸エチルを含む空気を処理した際の臭いの強さの経時的変化を示すグラフである。
【図9】図3に示す空気清浄機を用いて、臭気成分としてアンモニアを含む空気を処理した際の臭いの強さの経時的変化を示すグラフである。
【図10】図3に示す空気清浄機を用いて、臭気成分としてキシレンを含む空気を処理した際の臭いの強さの経時的変化を示すグラフである。
【図11】本発明の第2の実施の形態にかかる空気清浄機の正面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態にかかる空気清浄機のA−A断面図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態にかかる空気清浄機の斜視図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態にかかる空気清浄機のB−B断面図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態にかかる空気清浄機の分解斜視図である。
【図16】従来の実施の形態にかかる空気清浄機の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を具体的な実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明の空気清浄機は、下部領域に吸入口を、上部領域に排気口をそれぞれ備えてなる容器と、同容器内の下部領域側に設けられた空気送風用のファンと、同容器内の同ファンの上部に設けられた容器内部を上下に区画するネットと、同ネット上に設けられた紫外線を照射する複数のLEDを配したLED電気回路および前記容器壁面上に設けられた紫外線を照射する複数のLEDを配したLED電気回路の少なくとも一方と、同容器内に収容された光触媒をコーティグされた複数の光触媒発泡粒を有することを特徴とする。
【0013】
ここで、光触媒発泡粒としては、特に限定されるものではなく、公知の各種のものを用いることができる。
【0014】
また、光触媒発泡粒としては、例えば、二酸化チタン、可視光反応型二酸化チタンといった光触媒をコーティングした光触媒発泡粒のみならず、二酸化チタン、可視光反応型二酸化チタンに蛍光剤、蓄光剤をそれぞれ混合してアパタイト水溶液などでコーティングした蛍光光触媒発泡粒、蓄光発泡光触媒粒などが包含され得る。
【0015】
また光触媒としては、光触媒作用を有するものであればいずれでも良く、上述したような酸化チタン(チタニア)の他に、例えば、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化錫、酸化セリウム、酸化アンチモン、スズをドープした酸化インジウム(ITO)、アンチモンをドープした酸化スズ(ATO)、亜鉛をドープした酸化インジウム(IZO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、及び、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)などを用いることができ、これらの光触媒を単独であるいは複数組み合わせて、基材粒子表面にコーテイングすることで光触媒発泡粒とすることができる。
【0016】
また光触媒発泡粒の製法としても特に限定されるものではなく、公知のいずれの技術を用いてもよく、例えば、WO2004/041431A1に示されるように、球体の表面にシリコーンバインダーを成膜手段により所定の膜厚に成膜し、ついで前記シリコーンバインダーが未硬化のうちに光触媒を塗布手段により付着させ、次いで水中で余分の光触媒を洗浄しながら、紫外線による光触媒の光励起によってバインダーから出る有機物を分解し、さらに水中で前記光触媒表面に親水層を形成して光触媒発泡粒とする技術、日本国特許第2832342号に示されるように、チタニア粒子の表面に水を吸着させ、この水を利用して、光触媒として不活性なセラミックスの原料となる、アルミニウム、珪素、ジルコニウム、マグネシウム、カルシウム、チタニウムなどのアルコキシド金属アルコキシドを該粒子表面において加水分解し、反応生成物である光触媒として不活性なセラミックスを該粒子表面に島状に付着させることによって製造した部分被覆チタニア粒子、あるいは、日本国特開2003−199810号に記載されるように、チタニア粒子の表面を、光に不活性なセラミックス、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタン酸ジルコニウム、マグネシア、カルシア、リン酸カルシウム、リン酸チタン、酸化鉄、フェライト、石膏、及び非晶質のチタニアなどで部分的に被覆してなる被覆チタニア粒子を、多孔質材料に担持する技術等を応用することができる。
【0017】
さらに、チタニア等の光触媒粒子の表面に白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、銀、銅、鉄、及び亜鉛などの金属を担持させることも可能である。
【0018】
光触媒発泡粒の基材としての発泡粒としても、特に限定されるものではなく、例えば、活性アルミナ、ゼオライト、ガラス多孔体、金属多孔体、セラミックス多孔体、粘土成形体、無機層状化合物成形体、活性炭、発泡プラスチックス、ガラス繊維成形体、合成繊維成形体、FRP成形体、プラスチックス−無機複合成形体、繊維成形体等を用いることができる。
【0019】
通常の吸着剤の場合、物質を吸着して飽和してしまうと、それ以上物質を吸着できなくなるが、本発明に係る光触媒発泡粒は、光を照射するだけで、吸着した物質を分解するため、繰り返し使用でき、低コスト・省エネルギー的で、かつメンテナンスフリーで長期間使用できる利点を有する。
【0020】
また上記したように、光触媒発泡体表面に存在する光触媒粒子、例えば、チタニア粒子が、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタン酸ジルコニウム、マグネシア、カルシア、リン酸カルシウム、リン酸チタン、酸化鉄、フェライト、石膏、非晶質(アモルファス)のチタニアなどの光に不活性なセラミックスに被覆されている態様においては、これら不活性なセラミックスの吸着作用によって大気中の汚染物質である有機化合物を効率良く吸着することができる。更に、光触媒粒子、例えば、チタニア粒子の表面に、白金あるいはロジウム、ルテニウム、パラジウム、銀、銅、鉄、亜鉛などの金属を担持したものを用いた場合には、その触媒作用により、有機化合物の分解・除去効果や抗菌・抗かび効果などの環境浄化効果が一層増大する。更に、光触媒発泡粒の基材が有機物の場合でも、該有機物と接触している部分が光に不活性なセラミックスであるため、基材材料の分解が生じにくく、長期間その効果を持続させることができる、という利点が生じる。
【0021】
そして、本発明の空気清浄機においては、容器内に収容されたこれら光触媒発泡粒に、多数のLEDの光を効果的に照射するために、容器内の同ファンの上部に設けられた容器内部を上下に区画するネット上、およびに前記容器壁面上のうち少なくとも一方に設けられた、紫外線を照射する複数のLEDを配したLED電気回路を有する構成とした。
【0022】
なお、紫外線は、一般に、波長10〜400nmの範囲のもので、観賞魚や食品、医薬、電子工業には253.7nmの波長の殺菌灯が多用されている。微生物はこの紫外線を照射されると、核酸(DNA)が破壊され、複製機能を失うほどのものであって、人体に対しても有害であり、本発明ではこれを回避して安全な近紫外線領域360〜400nmの紫外線を発するLEDを使用する。
【0023】
容器内に収容された光触媒発泡粒に対し、紫外線を照射する複数のLEDの配置としては、容器の形状および大きさ、ならびに容器内に配される光触媒発泡粒の量等によっても左右されるが、概して、少なくとも前記ネット上に配されていることが望ましい。
これは、ネット下方に位置するファンによって容器内部へと流入してくる汚染された空気に流れに、最初に接触する光触媒発泡粒群に効率よく紫外線を照射できるためである。
【0024】
さらに、このようなネット上に配された複数のLEDに加えて、ネット中心部に複数の紫外線LEDを配置した塔を立設することで、容器内に収容された光触媒発泡粒全体により効率よく紫外線を照射することが可能となる。
【0025】
また、ネット上に複数のLEDを有する形態、あるいはネット上に複数のLEDを有しかつネット中心部に立設された塔に複数のLEDを有する形態において、さらに、容器の外周面に多数のLEDを配設し、容器内部の光触媒発泡粒に向けてLEDの光線を照射するように構成することで、容器内に収容された光触媒発泡粒全体により効率よく紫外線を照射することが可能となる。しかしながら、容器の外周面に配したLEDにより紫外線の照射効果を高めるためには、ネット上における配置や前記塔上における配置と比較して、非常に多くのLEDを必要とするため、空気清浄機の大きさや性能とコスト面との兼ね合いから、容器外周面上における配置は省略すべきことが好ましい場合もある。
【0026】
また、前記同ネット上面における複数の紫外線発光ダイオードの配置としては、特に限定されるものではないが、複数の紫外線発光ダイオードを同心円状に配することが、容器内における光触媒発泡粒に均一かつ効率良く紫外線を照射する上において好ましい。またネット上に複数のLEDを有しかつネット中心部に立設された塔に複数のLEDを有する形態においては、同様に、LED電気回路は同ネット上面に複数の発光ダイオードを点灯する電気回路を同心円状に配し、中心部に複数の紫外線LEDを配置した塔を立設するものとすることが好ましい。
【0027】
さらに、具体的には、ネット上に、同心円状にダイオード2〜3個を単位として直列に接続し円形に配列し、この2〜3個の同円状に配列したダイオードは底面中心線に対して、アーノドとカソードの向きはミラーイメージに配することが望ましい。
また、LED発光による装飾的効果を高める上で、同心円状にダイオード2〜3個を単位として直列に接続し円形に配列し、中心部に紫外線LEDを配し、その外側に紫色LEDを配し、さらにその外側に青色のLEDを配し、同円状に配列したダイオード3個は底面中心線に対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配するような態様を用いることも可能である。
【0028】
さらに、本発明の空気清浄機の好ましい実施の形態においては、上述した前記光触媒発泡粒が、発泡体の表面にバインダーを介して光触媒をコートした光触媒発泡粒であり、発泡体に紫外線を受けて光を放つ青などの蛍光材をコートした蛍光発泡粒と、発泡体に紫外線を蓄えて光を放つ蓄光材をコートされた蓄光発泡粒とに混合して用いられる。
【0029】
このような実施の形態においては、複数のLEDから容器内に収容された浮遊発泡粒に紫外線が照射されると、浮遊発泡粒のうちの光触媒発泡粒の可視光光触媒作用によって空気が清浄化されると共に、同じく蛍光発泡粒および蓄光発泡粒が紫外線の照射を受けて独自の蛍光色で発光するので、第二の光源としての役割を演出するので可視光光触媒の活性化が増幅する。また、視覚的効果としても、蛍光発泡粒および蓄光発泡粒が紫外線の照射を受けて独自の蛍光色で発光するために、容器内が湧水のような光の演出を奏するという利点が生じる。
【0030】
蛍光発泡粒を調製する上で用いられる蛍光剤としては、特に限定されるものではなく、公知のいずれのものを用いることも可能であるが、後述する実施例等においては、蛍光剤として、商品名「ルミノーバR」(根本特殊化学)を使用した。これはアルミン酸塩化合物(Sr4Al14O25:Eu,Dy)を主成分に希土類元素の賦活剤を添加焼成する事により従来品と比べ、初輝度で10倍、残光輝度で10倍の明るさをもつ物質で、光の吸収−発光−吸収−発光を何回でも繰り返すことができ、アルミナを主成分とした酸化物であるため、自然界で安定で耐光性に優れ直射日光下での屋外使用が可能となった。
【0031】
蓄光発泡粒を調製する上で用いられる蓄光体としても、特に限定されるものではなく、公知のいずれのものを用いることが可能であるが、例えば、特開平7−11250号公報、特開平7−324186号公報、特開平8−127772号公報、特開平7−13028号公報に開示されるような蓄光性蛍光体を好ましく例示できる。これは、基本的構造がMAl2O4(Mはカルシウム、ストロンチウム、バリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の金属元素)で表される化合物を母結晶とし、これに賦活剤としてユウロピウムをMで表わす金属元素に対するモル%で、0.002%以上20%以下添加し、更に共賦活剤として、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ランタン、ガドリニウムからなる群の少なくとも1つ以上の元素をMで表す金属元素に対するモル%で0.002%以上20%以下添加したものである。
【0032】
また、本発明の空気清浄機において、容器体の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、円筒状、卵型等の任意の形状とすることができ、また、容器体自体は自立型のものであってもあるいは他の部材へと適当なジョイントないしコネクタ部を介して支持される被支持型のものであってもよい。また、前記容器体の上部領域と下部領域とが分離可能とされ、当該容器の上部領域は、光触媒発泡粒を収納した状態で、容器の下部領域との嵌合開口端をネットによりシールされて、交換可能なカートリッジとされ、光触媒発泡体の交換を容易とする形態を採ることも可能である。
【0033】
さらに、本発明の空気清浄機においては、必要に応じて、容器内面を紫外線防止コーティング処理することが可能である。これによって、LEDより発せられる紫外線が容器外部に漏れることが低減できる。
【0034】
また、本発明の空気清浄機においては、必要に応じて、容器内部の頂部近傍または側面部近傍に光触媒発泡粒飛び出し防止用のフィルター部材を配することが可能である。光触媒発泡体が収容された容器の上部領域には、その表面に排気口が存在するが、このようにフィルター部材を配することで、運転時ないし搬送時等における光触媒発泡粒の容器外部への飛び出しが防止できる。
【実施例】
【0035】
以下、本発明の空気清浄機を、実施例に基づき、より具体的に説明するが、本発明は以下に例示される実施例に何ら限定されるものではない。
【0036】
なお、以下の実施例においては、光触媒は、光触媒コーティング用組成物、100mLあたり、遠赤外線またはマイナスイオンのいずれか又は両方を放射する鉱物粉末が、0.1mg〜5gの割合で含まれているものを用いた。さらに光触媒コーティング用組成物としては、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化錫、酸化セリウム、酸化アンチモン、スズをドープした酸化インジウム(ITO)、アンチモンをドープした酸化スズ(ATO)、亜鉛をドープした酸化インジウム(IZO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、及び、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)よりなる群から選ばれていなるものを含むことを特徴とするものを用いた。また必要に応じて、光触媒の表面が、光触媒として不活性なセラミックスにて部分的に被覆されており、該セラミックスは、アパタイト、シリカ、活性炭素、活性アルミナ又は多孔質ガラスのいずれかであることを特徴とするものとすることができる。
【0037】
より効果を高めるため、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化バナジウム、三酸化ビスマス、三酸化タングステン、酸化第二鉄、チタン酸ストロンチウムおよび硫化カドミウムを含む金属酸化物から選ばれたいずれか1種または二種以上が、0.5mg〜5g、蓄光化合物が、0.1mg〜5gの割合でさらに加えてもよい。これらの成分は、上述したように無機質系バインダーで発泡体にコーティングした。
【0038】
また、蛍光剤は、青色の蛍光ではピーク波長410nmのものを使用した。蓄光剤は青色を白色蛍光灯にて1000ルクス30分照射して照射停止2分後の輝度が、200mCd/m2で、発光ピーク470nmのものを使用した。
【0039】
<実施例1>
図1において、1は透明な円筒形容器であり、円筒形容器1は下部領域に吸入口となる複数の通気孔2を形成し、容器の軸方向における略中央部に空気送風用のファン3を設け、さらにファン3の上部に容器内部を上下に区画する通気性を有するネット4を設け、ネット4よりも容器1の上部の領域には、容器の側面部および上面部に排気用の複数の排気孔6を備えている。そして、円筒形容器1の前記上部領域には浮遊発泡粒7が収納されている。
【0040】
浮遊発泡粒7は発泡体からなる芯材の表面にバインダーを介して可視光光触媒粒子を露出して表面層を形成した可視光光触媒発泡粒、同じく発泡体からなる芯材外周に紫外線を受けて光を放つ蛍光材をコートされた蛍光発泡粒と、同じく発泡体からなる浮遊発泡粒に紫外線を蓄えて光を放つ蓄光材をコートされた蓄光発泡粒を混合してなるものである。
【0041】
そして、ネット4の底面(裏面)には、複数の紫外線発光ダイオード5aが配置されており、またこのネット4の底面側にはその中心部より複数の紫外線発光ダイオード5bを配置した塔9が下方(ファン側)に向けて立設されており、さらに、容器1の円筒壁面1a上にも、前記ファン6の配置位置と、前記ネット4の配置位置との間の部位において、複数の紫外線発光ダイオード5cが配置されている。
なお、図1において、8は、通気孔2に設けられた防塵フィルターを示すものである。
【0042】
図4は、上述したネット4の底面に設けられた複数の紫外線発光ダイオード5aを有するLED電気回路構成を示す回路図である。この例においては、前記電気回路13aは、図示するように、ダイオード5aを3個1単位として直列に接続した半円弧状の回路部分を、底面中心線Cを中心として線対称となるように2つづつ組み合わせて円形に配列し、さらにこの円形に配列されたものが、同円状に2重に配列された形態を有している。従って、各半円弧状の回路部分の3個のダイオードは底面中心線Cに対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配されている。
【0043】
また、上述したネット4の底面に設けられた複数の紫外線発光ダイオード5aを有するLED電気回路構成は、図4に示すものに代えて、図5に示す別の回路とすることも可能である。図5に示す別の例においては、前記電気回路13bは、上記図4に示す例と同様に、ダイオードを3個1単位として直列に接続した半円弧状の回路部分を、底面中心線Cを中心として線対称となるように2つづつ組み合わせて円形に配列し、さらにこの円形に配列されたものが、同円状に複数に配列された形態を有しているが、その最も中心側の回路部分には、紫外線LED5aが、その外側の回路部分には紫色のLED11が、そして最も外側の回路部分には青色のLED12がそれぞれ配置されている。なおこの例においても、各半円弧状の回路部分の3個のダイオードは底面中心線Cに対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配されている。
【0044】
図6は、ネット4の底面に立設されたLED塔9の構成を示す平面図であるが、図示するように、塔9上に設けられた複数の紫外線発光ダイオード5bは、塔9の周方向および高さ方向においてそれぞれがほぼ等間隔において離間されるように、均一に分散配置されている。
【0045】
また、図7は、容器壁面に設けられた複数の紫外線発光ダイオード5cを有するLED電気回路構成を示す回路図である。図示するように、容器壁面に設けられた複数の紫外線発光ダイオード5cも、容器1の周方向および所定範囲の高さ方向においてそれぞれがほぼ等間隔において離間されるように、均一に分散配置されている。
【0046】
このようにして構成される本実施例の空気清浄機においては、浮遊発泡粒7に向かって空気を送風するファン3によって、浮遊発泡粒7に、当該空気清浄機が設置された室内の空気を循環し、浮遊発泡粒7による空気清浄効果をより強めることができる。
【0047】
また、このように構成した空気清浄機において、複数の紫外線LED5a、5b、5cから浮遊発泡粒7に紫外線が照射されると、浮遊発泡粒7の可視光光触媒作用によって空気が清浄化されると共に、同じく蛍光発泡粒および蓄光発泡粒が紫外線の照射を受けて独自の蛍光色で発光するので、第二の光源としての役割を演出するので可視光光触媒の活性化が増幅する。
【0048】
なお、この実施例においては、紫外線LED5a、5b、5cとしては、三菱電線株式会社製、品番MC382WL035、外径5mm、ピーク波長380nm、光出力2mW、電流20mAを使用した。また、紫色LED11としては、SM社製 SM5H15A−VP、外径5mm、青色LED12としては、日亜化学社製NSPB510S、外径5mmをそれぞれ使用した。
【0049】
アナターゼ型、ブカレット型の二酸化チタンは紫外線LEDによって光触媒の反応し、酸化亜鉛は主に380nm、430nm付近、530nm付近のピーク波形が得られ、青色LEDの光の領域まで光触媒の反応するため、効果的に汚染された空気を効率よく浄化することができる。
【0050】
したがって実施例1によれば、光触媒作用によって、浮遊発泡粒7を通過する空気中の悪臭ガス、有毒ガス、微細粒子が、浮遊発泡粒7の芯材であるアパタイト等に吸着し、光触媒により分解除去されて、空気が清浄化される。
【0051】
なお、図5に示す例におけるように、青色、紫色のLEDを組み合わせて使用すると、蛍光発泡粒7aおよび蓄光発泡粒7bが紫外線の照射を受けて独自の蛍光色で発光するので、空気清浄機はインテリア照明を兼ねることができる。
【0052】
本発明の第1の実施の形態にかかるデモンストレーション用の空気清浄機の斜視図を図3に示す。この空気清浄機はラグビーボール形の容器20内に前記空気清浄機1を入れて、アンモンニアなどの臭気を分解する様子を図示省略したパソコンのモニタ画面で観察できるようにしたものである。
【0053】
なお、この容器に本発明に係る空気浄化装置を収納し、臭気計測器を双葉エレクトロニクス社製E−NOSEに接続して、臭気測定を行った。その結果を図8A、図8B、図9、図10に示す。
この際の試験条件としては以下のとおりであった。
(空気清浄機の仕様)
形状:図11、12に示すたまご形容器(高さ150mm、直径80mm)
電源:DC 12V
ファン:DC 12V 0.10A
風量:1.5m/sec
(浮遊発泡粒)
粒径:2±0.3mm
使用量:100cm3
混合割合:光触媒発泡粒:蛍光発泡粒:蓄光発泡粒=8:1:1
光触媒発泡粒に使用した光触媒コーティング液:(株)シーマ電子と(有)シンク エースの共同開発品
(ラグビーボール形の容器)
容積:10L
(試験要領)
実験は、外部光の入らない暗室にて、空気清浄機を運転して行い、ラグビーボール形の容器内の空気中にそれぞれ添加された各臭気成分(酢酸エチル、アンモニア、キシレン)による臭いの強さの経時的変化を観測した。図8Aは酢酸エチル、図9はアンモニア、図図10はキシレンに関するグラフである。なお、これらのグラフ中、「臭いの強さ」は臭気計測器メーカーの定めた指数であり、一般的な臭いの単位とは異なる。ちなみに、実施例において、脱臭前の空気の臭いの初期は、アンモニアが「臭いの強さ」2000で、45ppm、酢酸エチルが「臭いの強さ」10200で、80ppm、またキシレンが「臭いの強さ」700で、2.5ppmであった。
また、酢酸エチルに関しては、別途、空気清浄機を通常条件、すなわち、LEDを点灯させた状態で一定時間(約1時間)運転した後、ラグビーボール形の容器内に入れ、LEDを消した状態(ファンは稼動)で同様に試験し、蛍光発泡粒や蓄光発泡粒の残光効果等による清浄効果の有無を調べた。得られた結果を図8Bに示す。
【0054】
<実施例2>
図11は、本発明に係る空気清浄機の別の例である、卓上型の空気清浄機の正面図で、図12は同空気清浄機ののA−A断面図である。
【0055】
両図において、21はたまご形容器で、たまご形容器21は下部領域に複数の吸気口22を形成し、中央部に空気送風用のファン23を設け、ファン23の上部に、容器内部を上下に区画する通気性を有するネット24を設け、このネット24上に、青または紫の可視光線を照射する複数の発光ダイオード25を配置し、容器の上部領域に排気用の複数の排気孔26を備えている。そして、たまご形形容器21の前記上部領域には浮遊発泡粒27が収納されている。
【0056】
浮遊発泡粒27は、発泡体からなる芯材の表面にバインダーを介して可視光光触媒粒子を露出して表面層を形成した可視光光触媒発泡粒、同じく発泡体からなる芯材外周に紫LEDの光を受けて光を放つ蛍光材と二酸化チタンがコートされた蛍光発泡粒と、同じく発泡体からなる浮遊発泡粒に紫LEDの光を受けて光を放つ蓄光材と二酸化チタンがコートされたをコートされた蓄光発泡粒を混合してなるものである。
【0057】
発光ダイオード25は、前記図4に示したものと同様に、ダイオードを3個1単位として直列に接続した半円弧状の回路部分を、底面中心線Cを中心として線対称となるように2つづつ組み合わせて円形に配列し、さらにこの円形に配列されたものが、同円状に2重に配列された形態を有している。従って、各半円弧状の回路部分の3個のダイオードは底面中心線Cに対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配されている。なお、配線は基盤を用いることなくネット24上に樹脂を介して固定されている。これにより、ファンからの空気の抵抗を最小限に抑えることができる。
【0058】
そしてこのようにして構成される本実施例の空気清浄機においては、浮遊発泡粒27に向かって空気を送風するファン23によって、浮遊発泡粒27に、当該空気清浄機が設置された室内の空気を循環し、室内の空気を循環し、浮遊発泡粒7による空気清浄効果をより強めることができる。
【0059】
また、このように構成した空気清浄機において、複数の発光ダイオード25から浮遊発泡粒7に紫、青の光線が照射されると、浮遊発泡粒7の可視光光触媒作用によって空気が清浄化されると共に、同じく蛍光発泡粒および蓄光発泡粒が紫外線の照射を受けて独自の蛍光色で発光するので、空気清浄機はインテリア照明を兼ねることができる。
【0060】
<実施例3>
以下、本発明の実施例3について説明する。
図13は、本発明に係る空気清浄機の別の例である、自動車用の空気清浄機の斜視図で、図14は同空気清浄機のB−B断面図である。
【0061】
実施例3の空気清浄機は、実施例2と構造は基本的に同一構造で、自動車のダッシュボードに設けた排気口のフィンを利用してクリップで固定するようになっている。
両図において、31はたまご形容器で、ファン33の上部に、容器内部を上下に区画する通気性を有するネット34を設け、このネット34上に、青または紫の可視光線を照射する複数の発光ダイオード35を配置し、容器の上部領域に排気用の複数の排気孔36を備えている。そして、たまご形形容器31の前記上部領域には浮遊発泡粒37が収納されている。なお、図中、38は、容器31よりその側面側に延長して設けられた固定用クリップ部を示すものである。
【0062】
浮遊発泡粒37は、発泡体からなる芯材の表面にバインダーを介して可視光光触媒粒子を露出して表面層を形成した可視光光触媒発泡粒、同じく発泡体からなる芯材外周に紫LEDの光を受けて光を放つ蛍光材と二酸化チタンがコートされた蛍光発泡粒と、同じく発泡体からなる浮遊発泡粒に紫LEDの光を受けて光を放つ蓄光材と二酸化チタンがコートされたをコートされた蓄光発泡粒を混合してなるものである。
【0063】
発光ダイオード35は、前記図4に示したものと同様に、ダイオードを3個1単位として直列に接続した半円弧状の回路部分を、底面中心線Cを中心として線対称となるように2つづつ組み合わせて円形に配列し、さらにこの円形に配列されたものが、同円状に2重に配列された形態を有している。従って、各半円弧状の回路部分の3個のダイオードは底面中心線Cに対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配されている。なお、配線は基盤を用いることなくネット34上に樹脂を介して固定されている。これにより、ファンからの空気の抵抗を最小限に抑えることができる。
【0064】
そして、浮遊発泡粒37に向かって空気を送風するファン33によって、浮遊発泡粒37に室内の空気を循環し、浮遊発泡粒37による空気清浄効果をより強めることができる。
このように構成した空気清浄機において、複数の発光ダイオード35から浮遊発泡粒37に紫、青の光線が照射されると、浮遊発泡粒37の可視光光触媒作用によって空気が清浄化されると共に、同じく蛍光発泡粒および蓄光発泡粒が紫外線の照射を受けて独自の蛍光色で発光するので、空気清浄機はインテリア照明を兼ねることができる。
【0065】
<実施例4>
以下、本発明の実施例4について説明する。
図15は、本発明に係る空気清浄機の別の例である、卓上型の空気清浄機の分解斜視図である。
【0066】
実施例4の空気清浄機は、実施例2と構造は基本的に同様の構造を有するが、たまご形容器が、上下2つに分割可能で、その上部側が、交換可能なカートリッジとされている以外は、実施例2と構造は基本的に同様の構造を有する。
【0067】
図において、41はたまご形容器で、ファン43の上部に、容器内部を上下に区画する通気性を有するネット44を設けてなり、このネット44の近傍で、容器41は、上部部材41aと下部部材41bとに分割されている。なお、上部部材41aと下部部材41bとの嵌合部には、例えば、クランク溝と嵌合ピン、スクリュー溝、Oリング等の適当な接合手段が形成されており、容易に分離結合ができる構成となされている。
【0068】
また、このネット44上には、青または紫の可視光線を照射する複数の発光ダイオード45を配置し、容器の上部領域に排気用の複数の排気孔46を備えている。
しかして、前記容器の上部部材41aは、浮遊発泡粒(図示せず)を収納した状態で、容器の下部領域との嵌合開口端をネット48によりシールされて、交換可能なカートリッジとされている。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の空気清浄機によれば、容器内に配置された光触媒発泡粒に対して、LEDからの励起光を効率よく照射することができるため、室内、トイレ、厨房、実験室、自動車室内などの悪臭の分解が敏速に行われ、快適な生活環境を提供できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機に関する。詳しく述べると本発明は、光触媒発泡粒を使用し、発光ダイオード(以下、「LED」と称す。)により当該光触媒発泡粒に照射して、空気を浄化する空気清浄機に関し、さらに、蛍光発泡粒および蓄光発泡粒を混合して、紫外線、紫LED、青LEDから発する光線を照射することにより光の演出を楽しむことができる空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浮遊移動する光触媒粒状体をフィルターとして空気を浄化する技術が、特許文献1に開示されている。この空気浄化装置は、透明材質からなる内筒及び当該内筒を取囲む外筒の二重の略筒体で形成され、少なくとも内筒と外筒との間の中空部分の両端に当該中空部分を他の部分から仕切る通気性を有する略板状体の仕切板が配設されると共に、当該仕切板を介して前記中空部分一端側に連通する略管状の気流導入部及び前記中空部分他端側に連通する略管状の気流排出部をそれぞれ有する中空容器と、所定波長の光を照射すると光触媒としての作用で周囲の水や酸素から活性酸素を生成し、当該活性酸素により近傍の雑菌や臭気源物質を無害化できる光触媒材料を表面に配設された所定形状の粒状体で形成され、前記中空容器の中空部分に交換可能に収納される多数の反応体と、前記中空容器の内筒内側部分に配設され、前記中空部分側に向けて所定の波長の光を照射する光源と、前記中空容器の気流導入部に連通させて配設され、気流導入部を介して前記中空部分へ向けて空気を送出す送風ファンとを備えることを特徴とする。
【0003】
また、前記中空容器の気流導入部が前記中空部分に対して円筒面の接線方向で且つ円筒横断面との斜め交差方向に連通する一又は複数の略管状体からなり、前記送風ファンからの気流を中空部分に吹出して中空部分に渦流れを形成するものである。
【0004】
この特許文献1に示される技術においては、中空容器の内筒及び外筒を略円筒体とすると共に気流導入部として中空部分に対して所定方向に連通する略管状体を配設し、中空部分で空気の渦流れを発生させ、反応体を渦流れにのせて光源の周りで激しく浮遊移動させることにより、反応体の光源に面する位置を様々に変化させられることとなり、反応体における光の照射される総面積が大幅に増加して反応体全体で光触媒の作用が一層向上し、空気中からの雑菌や臭気源物質の浄化効果を高められる。(特許文献1)
【0005】
また、LEDを使用した空気清浄機として、酸化チタン光触媒を紫外線発光ダイオードで反応させるように構成した空気清浄機が特許文献2に開示されている。これは図16に示すように、光源スイッチ115及びファンスイッチ116をONにすると、紫外線LED光源110の48個の紫外線LED112が発光して紫外線がフィルター枠102内のフィルターに照射されると共に、ファン109が回転してフィルターに向けて空気を送り、室内の空気を循環するように構成されている。(特許文献2)
【特許文献1】日本国特開2000−262603号公報
【特許文献2】日本国特開2002−126055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この特許文献1に示す空気清浄機においては、光触媒材料としての二酸化チタンを粒状体にコーティングしたとの記載はあるが、具体的にどのようにしてコーティングしたかといった開示はなく、この光触媒粒状体表面の光触媒材料が有効に機能し得るものであるかどうか、浮遊流動に耐えうるものであるかどうかなどといった点において、疑問の残るところが多い。さらに、この文献に開示される空気清浄機においては、光源は容器の中心にのみにあるため、風量が少ない場合は光触媒粒によって光が遮られ、外側の円筒面まで光が届いて反射させるには風量をかなり多くして粒子間の間隔を空けなければならない。そうなると、光触媒粒同士の衝突が激しくなり、被覆した光触媒が離脱し円筒内面に光触媒の微粉末が付着し、光を遮り光触媒機能が著しく低下することになる。したがって、粒光を照射しながら中空容器内部に気流を発生させて反応体を浮遊移動させつつ空気と接触させることにより、満遍なく粒状体に光照射される保証はないと思われる。
【0007】
また、特許文献2の空気清浄機は、酸化チタン(TiO2)光触媒を塗布した不織布シートを加工したフィルターと、前記フィルターの後方に配置され、前記フィルターに紫外線を照射する1または2以上の紫外線発光ダイオードとを具備するものである。しかしがら、不織布のフィルターは平面であるため、表面積には限度があり、光触媒の性能向上のためにはさらなる改良が必要と思われる。
【0008】
従って、本発明は、高い空気清浄機能を発揮できる共に、小型で軽量かつ安価な空気清浄機を提供することを課題とするものである。本発明はまた、インテリアにも利用できる空気清浄機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記問題点を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、汚れた空気をファンで吸引し、浮遊する発泡粒間に通過せしめ、この発泡粒として光触媒をコーティグした光触媒発泡粒を用い、当該光触媒発泡粒に、紫外線LEDの光を照射して、空気を浄化する構成の空気清浄機を思到し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明の第1の発明は空気清浄機は、下部領域に吸入口を、上部領域に排気口をそれぞれ備えてなる容器と、同容器内の下部領域側に設けられた空気送風用のファンと、同容器内の同ファンの上部に設けられた容器内部を上下に区画するネットと、同ネット上および前記容器壁面上のうち少なくとも一方に設けられた紫外線を照射する複数のLEDを配したLED電気回路と、同容器内に収容された光触媒をコーティグされた複数の光触媒発泡粒を有することを特徴とする。
一般に平面よりも球の面積の方は数倍表面積が大きく、多数の光触媒発泡粒に光を照射しながら浮遊することにより、従来の平面フィルターに比べ格段の光触媒効果を発揮することができる。
第2の発明は、LED電気回路が少なくとも前記ネット上に設けられた紫外線を照射する複数のLEDを有することを特徴とする。
第3の発明は、LED電気回路が同ネット上面に複数の紫外線発光ダイオードを同心円状に配したことを特徴とする。
第4の発明は、LED電気回路が同ネット上面に複数の発光ダイオードを同心円状に配し、かつ中心部に複数の紫外線LEDを配置した塔を立設したことを特徴とする。
第5の発明は、第2〜第4の発明において、さらに、容器の外周面に多数のLEDを配設し、容器内部の光触媒発泡粒に向けてLEDの光線を照射するように構成したことを特徴とする。
第6の発明は、前記電気回路が同ネット上面に、同心円状にダイオード2〜3個を単位として直列に接続して円形に配列し、同円状に配列した2〜3個のダイオードは底面中心線に対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配したことを特徴とする。
第7の発明は、ネット上に、同心円状にダイオード2〜3個を単位として直列に接続し円形に配列し、中心部に紫外線LEDを配し、その外側に紫色LEDを配し、さらにその外側に青色のLEDを配し、かつ同円状に配列した2〜3個のダイオードは底面中心線に対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配したことを特徴とする。
第8の発明は、同心円状に配列したダイオードは底面中心線に対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配したことを特徴とする。
第9の発明は、前記光触媒発泡粒が、発泡体の表面にバインダーを介して光触媒をコートした光触媒発泡粒であり、発泡体に紫外線を受けて光を放つ青などの蛍光材をコートした蛍光発泡粒と、発泡体に紫外線を蓄えて光を放つ蓄光材をコートされた蓄光発泡粒とに混合して用いられることを特徴する。
第10の発明は、前記空気送風用ファンの下方には、脱臭・防塵用のフィルターが配されていることを特徴とする。
第11の発明は、前記容器の上部領域と下部領域とが分離可能とされ、当該容器の上部領域は、光触媒発泡粒を収納した状態で、容器の下部領域との嵌合開口端をネットによりシールされて、交換可能なカートリッジとされていることを特徴とする。
第12の発明は、光触媒発泡粒を収納した容器内面を紫外線防止コーティング処理したことを特徴とする。
第13の発明は、容器内部の頂部近傍または側面部近傍に光触媒発泡粒飛び出し防止用のフィルター部材を配したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の空気清浄機は、光触媒発泡粒自身の光触媒作用により、空気清浄機能を大幅に高めると共に、インテリアにも利用できる小型で軽量かつ安価な空気清浄機を提供できる。
また本発明にかかる空気清浄機は、前記フィルターに向かって空気を送風するファンによって、フィルターに室内の空気を循環させることができ、フィルターによる空気清浄効果をより強めることができる。
さらに本発明において、光触媒発泡粒を、蛍光剤をコートされた蛍光発泡粒と、浮遊発泡粒に紫外線を蓄えて光を放つ蓄光材をコートされた蓄光発泡粒を混合して構成する態様においては、複数の紫外線発光ダイオードから浮遊発泡粒に紫外線が照射されると、浮遊フィルターの光触媒作用によって空気が清浄化されるとともに、同じく蛍光発泡粒および蓄光発泡粒が紫外線の照射を受けて独自の蛍光色で発光するので、容器内が湧水のような光の演出を楽しむことができ、インテリアにも利用できる小型で軽量かつ安価な空気清浄機とすることができる。
前記紫外線LEDは、その発光波長が360nmから400nmの範囲内とすることができる。したがって、紫外線発光ダイオードの中心発光波長は380nmとなり、紫外線発光ダイオードといってもその発する光は波長の長い近紫外線であり、人体、特に眼や皮膚に対する有害性は殆どない。これによって、長時間紫外線発光ダイオードを点灯させても健康への影響が全くなく安全に空気清浄することが出来る。
以上述べたように、空気清浄機においては、複数の光触媒発泡粒は、光を照射しながら送風すると、光触媒発泡粒自身の光触媒作用により、従来の空気清浄機に比べて、酸化チタン発泡粒の光触媒作用を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる空気清浄機の正面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態にかかる空気清浄機のA−A断面図を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態にかかるデモンストレーション用の空気清浄機の斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるネットの底面に設けられたLED電気回路の一例を示す回路図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるネットの底面に設けられたLED電気回路の別の一例を示す回路図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるネットの底面に立設されたLED塔の構成を示す平面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における容器壁面に設けられたLED電気回路の一例を示す回路図である。
【図8A】図3に示す空気清浄機を用いて、臭気成分として酢酸エチルを含む空気を処理した際の臭いの強さの経時的変化を示すグラフである。
【図8B】図3に示す空気清浄機を用い、LEDを消灯後に、臭気成分として酢酸エチルを含む空気を処理した際の臭いの強さの経時的変化を示すグラフである。
【図9】図3に示す空気清浄機を用いて、臭気成分としてアンモニアを含む空気を処理した際の臭いの強さの経時的変化を示すグラフである。
【図10】図3に示す空気清浄機を用いて、臭気成分としてキシレンを含む空気を処理した際の臭いの強さの経時的変化を示すグラフである。
【図11】本発明の第2の実施の形態にかかる空気清浄機の正面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態にかかる空気清浄機のA−A断面図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態にかかる空気清浄機の斜視図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態にかかる空気清浄機のB−B断面図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態にかかる空気清浄機の分解斜視図である。
【図16】従来の実施の形態にかかる空気清浄機の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を具体的な実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明の空気清浄機は、下部領域に吸入口を、上部領域に排気口をそれぞれ備えてなる容器と、同容器内の下部領域側に設けられた空気送風用のファンと、同容器内の同ファンの上部に設けられた容器内部を上下に区画するネットと、同ネット上に設けられた紫外線を照射する複数のLEDを配したLED電気回路および前記容器壁面上に設けられた紫外線を照射する複数のLEDを配したLED電気回路の少なくとも一方と、同容器内に収容された光触媒をコーティグされた複数の光触媒発泡粒を有することを特徴とする。
【0013】
ここで、光触媒発泡粒としては、特に限定されるものではなく、公知の各種のものを用いることができる。
【0014】
また、光触媒発泡粒としては、例えば、二酸化チタン、可視光反応型二酸化チタンといった光触媒をコーティングした光触媒発泡粒のみならず、二酸化チタン、可視光反応型二酸化チタンに蛍光剤、蓄光剤をそれぞれ混合してアパタイト水溶液などでコーティングした蛍光光触媒発泡粒、蓄光発泡光触媒粒などが包含され得る。
【0015】
また光触媒としては、光触媒作用を有するものであればいずれでも良く、上述したような酸化チタン(チタニア)の他に、例えば、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化錫、酸化セリウム、酸化アンチモン、スズをドープした酸化インジウム(ITO)、アンチモンをドープした酸化スズ(ATO)、亜鉛をドープした酸化インジウム(IZO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、及び、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)などを用いることができ、これらの光触媒を単独であるいは複数組み合わせて、基材粒子表面にコーテイングすることで光触媒発泡粒とすることができる。
【0016】
また光触媒発泡粒の製法としても特に限定されるものではなく、公知のいずれの技術を用いてもよく、例えば、WO2004/041431A1に示されるように、球体の表面にシリコーンバインダーを成膜手段により所定の膜厚に成膜し、ついで前記シリコーンバインダーが未硬化のうちに光触媒を塗布手段により付着させ、次いで水中で余分の光触媒を洗浄しながら、紫外線による光触媒の光励起によってバインダーから出る有機物を分解し、さらに水中で前記光触媒表面に親水層を形成して光触媒発泡粒とする技術、日本国特許第2832342号に示されるように、チタニア粒子の表面に水を吸着させ、この水を利用して、光触媒として不活性なセラミックスの原料となる、アルミニウム、珪素、ジルコニウム、マグネシウム、カルシウム、チタニウムなどのアルコキシド金属アルコキシドを該粒子表面において加水分解し、反応生成物である光触媒として不活性なセラミックスを該粒子表面に島状に付着させることによって製造した部分被覆チタニア粒子、あるいは、日本国特開2003−199810号に記載されるように、チタニア粒子の表面を、光に不活性なセラミックス、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタン酸ジルコニウム、マグネシア、カルシア、リン酸カルシウム、リン酸チタン、酸化鉄、フェライト、石膏、及び非晶質のチタニアなどで部分的に被覆してなる被覆チタニア粒子を、多孔質材料に担持する技術等を応用することができる。
【0017】
さらに、チタニア等の光触媒粒子の表面に白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、銀、銅、鉄、及び亜鉛などの金属を担持させることも可能である。
【0018】
光触媒発泡粒の基材としての発泡粒としても、特に限定されるものではなく、例えば、活性アルミナ、ゼオライト、ガラス多孔体、金属多孔体、セラミックス多孔体、粘土成形体、無機層状化合物成形体、活性炭、発泡プラスチックス、ガラス繊維成形体、合成繊維成形体、FRP成形体、プラスチックス−無機複合成形体、繊維成形体等を用いることができる。
【0019】
通常の吸着剤の場合、物質を吸着して飽和してしまうと、それ以上物質を吸着できなくなるが、本発明に係る光触媒発泡粒は、光を照射するだけで、吸着した物質を分解するため、繰り返し使用でき、低コスト・省エネルギー的で、かつメンテナンスフリーで長期間使用できる利点を有する。
【0020】
また上記したように、光触媒発泡体表面に存在する光触媒粒子、例えば、チタニア粒子が、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタン酸ジルコニウム、マグネシア、カルシア、リン酸カルシウム、リン酸チタン、酸化鉄、フェライト、石膏、非晶質(アモルファス)のチタニアなどの光に不活性なセラミックスに被覆されている態様においては、これら不活性なセラミックスの吸着作用によって大気中の汚染物質である有機化合物を効率良く吸着することができる。更に、光触媒粒子、例えば、チタニア粒子の表面に、白金あるいはロジウム、ルテニウム、パラジウム、銀、銅、鉄、亜鉛などの金属を担持したものを用いた場合には、その触媒作用により、有機化合物の分解・除去効果や抗菌・抗かび効果などの環境浄化効果が一層増大する。更に、光触媒発泡粒の基材が有機物の場合でも、該有機物と接触している部分が光に不活性なセラミックスであるため、基材材料の分解が生じにくく、長期間その効果を持続させることができる、という利点が生じる。
【0021】
そして、本発明の空気清浄機においては、容器内に収容されたこれら光触媒発泡粒に、多数のLEDの光を効果的に照射するために、容器内の同ファンの上部に設けられた容器内部を上下に区画するネット上、およびに前記容器壁面上のうち少なくとも一方に設けられた、紫外線を照射する複数のLEDを配したLED電気回路を有する構成とした。
【0022】
なお、紫外線は、一般に、波長10〜400nmの範囲のもので、観賞魚や食品、医薬、電子工業には253.7nmの波長の殺菌灯が多用されている。微生物はこの紫外線を照射されると、核酸(DNA)が破壊され、複製機能を失うほどのものであって、人体に対しても有害であり、本発明ではこれを回避して安全な近紫外線領域360〜400nmの紫外線を発するLEDを使用する。
【0023】
容器内に収容された光触媒発泡粒に対し、紫外線を照射する複数のLEDの配置としては、容器の形状および大きさ、ならびに容器内に配される光触媒発泡粒の量等によっても左右されるが、概して、少なくとも前記ネット上に配されていることが望ましい。
これは、ネット下方に位置するファンによって容器内部へと流入してくる汚染された空気に流れに、最初に接触する光触媒発泡粒群に効率よく紫外線を照射できるためである。
【0024】
さらに、このようなネット上に配された複数のLEDに加えて、ネット中心部に複数の紫外線LEDを配置した塔を立設することで、容器内に収容された光触媒発泡粒全体により効率よく紫外線を照射することが可能となる。
【0025】
また、ネット上に複数のLEDを有する形態、あるいはネット上に複数のLEDを有しかつネット中心部に立設された塔に複数のLEDを有する形態において、さらに、容器の外周面に多数のLEDを配設し、容器内部の光触媒発泡粒に向けてLEDの光線を照射するように構成することで、容器内に収容された光触媒発泡粒全体により効率よく紫外線を照射することが可能となる。しかしながら、容器の外周面に配したLEDにより紫外線の照射効果を高めるためには、ネット上における配置や前記塔上における配置と比較して、非常に多くのLEDを必要とするため、空気清浄機の大きさや性能とコスト面との兼ね合いから、容器外周面上における配置は省略すべきことが好ましい場合もある。
【0026】
また、前記同ネット上面における複数の紫外線発光ダイオードの配置としては、特に限定されるものではないが、複数の紫外線発光ダイオードを同心円状に配することが、容器内における光触媒発泡粒に均一かつ効率良く紫外線を照射する上において好ましい。またネット上に複数のLEDを有しかつネット中心部に立設された塔に複数のLEDを有する形態においては、同様に、LED電気回路は同ネット上面に複数の発光ダイオードを点灯する電気回路を同心円状に配し、中心部に複数の紫外線LEDを配置した塔を立設するものとすることが好ましい。
【0027】
さらに、具体的には、ネット上に、同心円状にダイオード2〜3個を単位として直列に接続し円形に配列し、この2〜3個の同円状に配列したダイオードは底面中心線に対して、アーノドとカソードの向きはミラーイメージに配することが望ましい。
また、LED発光による装飾的効果を高める上で、同心円状にダイオード2〜3個を単位として直列に接続し円形に配列し、中心部に紫外線LEDを配し、その外側に紫色LEDを配し、さらにその外側に青色のLEDを配し、同円状に配列したダイオード3個は底面中心線に対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配するような態様を用いることも可能である。
【0028】
さらに、本発明の空気清浄機の好ましい実施の形態においては、上述した前記光触媒発泡粒が、発泡体の表面にバインダーを介して光触媒をコートした光触媒発泡粒であり、発泡体に紫外線を受けて光を放つ青などの蛍光材をコートした蛍光発泡粒と、発泡体に紫外線を蓄えて光を放つ蓄光材をコートされた蓄光発泡粒とに混合して用いられる。
【0029】
このような実施の形態においては、複数のLEDから容器内に収容された浮遊発泡粒に紫外線が照射されると、浮遊発泡粒のうちの光触媒発泡粒の可視光光触媒作用によって空気が清浄化されると共に、同じく蛍光発泡粒および蓄光発泡粒が紫外線の照射を受けて独自の蛍光色で発光するので、第二の光源としての役割を演出するので可視光光触媒の活性化が増幅する。また、視覚的効果としても、蛍光発泡粒および蓄光発泡粒が紫外線の照射を受けて独自の蛍光色で発光するために、容器内が湧水のような光の演出を奏するという利点が生じる。
【0030】
蛍光発泡粒を調製する上で用いられる蛍光剤としては、特に限定されるものではなく、公知のいずれのものを用いることも可能であるが、後述する実施例等においては、蛍光剤として、商品名「ルミノーバR」(根本特殊化学)を使用した。これはアルミン酸塩化合物(Sr4Al14O25:Eu,Dy)を主成分に希土類元素の賦活剤を添加焼成する事により従来品と比べ、初輝度で10倍、残光輝度で10倍の明るさをもつ物質で、光の吸収−発光−吸収−発光を何回でも繰り返すことができ、アルミナを主成分とした酸化物であるため、自然界で安定で耐光性に優れ直射日光下での屋外使用が可能となった。
【0031】
蓄光発泡粒を調製する上で用いられる蓄光体としても、特に限定されるものではなく、公知のいずれのものを用いることが可能であるが、例えば、特開平7−11250号公報、特開平7−324186号公報、特開平8−127772号公報、特開平7−13028号公報に開示されるような蓄光性蛍光体を好ましく例示できる。これは、基本的構造がMAl2O4(Mはカルシウム、ストロンチウム、バリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の金属元素)で表される化合物を母結晶とし、これに賦活剤としてユウロピウムをMで表わす金属元素に対するモル%で、0.002%以上20%以下添加し、更に共賦活剤として、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ランタン、ガドリニウムからなる群の少なくとも1つ以上の元素をMで表す金属元素に対するモル%で0.002%以上20%以下添加したものである。
【0032】
また、本発明の空気清浄機において、容器体の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、円筒状、卵型等の任意の形状とすることができ、また、容器体自体は自立型のものであってもあるいは他の部材へと適当なジョイントないしコネクタ部を介して支持される被支持型のものであってもよい。また、前記容器体の上部領域と下部領域とが分離可能とされ、当該容器の上部領域は、光触媒発泡粒を収納した状態で、容器の下部領域との嵌合開口端をネットによりシールされて、交換可能なカートリッジとされ、光触媒発泡体の交換を容易とする形態を採ることも可能である。
【0033】
さらに、本発明の空気清浄機においては、必要に応じて、容器内面を紫外線防止コーティング処理することが可能である。これによって、LEDより発せられる紫外線が容器外部に漏れることが低減できる。
【0034】
また、本発明の空気清浄機においては、必要に応じて、容器内部の頂部近傍または側面部近傍に光触媒発泡粒飛び出し防止用のフィルター部材を配することが可能である。光触媒発泡体が収容された容器の上部領域には、その表面に排気口が存在するが、このようにフィルター部材を配することで、運転時ないし搬送時等における光触媒発泡粒の容器外部への飛び出しが防止できる。
【実施例】
【0035】
以下、本発明の空気清浄機を、実施例に基づき、より具体的に説明するが、本発明は以下に例示される実施例に何ら限定されるものではない。
【0036】
なお、以下の実施例においては、光触媒は、光触媒コーティング用組成物、100mLあたり、遠赤外線またはマイナスイオンのいずれか又は両方を放射する鉱物粉末が、0.1mg〜5gの割合で含まれているものを用いた。さらに光触媒コーティング用組成物としては、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化錫、酸化セリウム、酸化アンチモン、スズをドープした酸化インジウム(ITO)、アンチモンをドープした酸化スズ(ATO)、亜鉛をドープした酸化インジウム(IZO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、及び、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)よりなる群から選ばれていなるものを含むことを特徴とするものを用いた。また必要に応じて、光触媒の表面が、光触媒として不活性なセラミックスにて部分的に被覆されており、該セラミックスは、アパタイト、シリカ、活性炭素、活性アルミナ又は多孔質ガラスのいずれかであることを特徴とするものとすることができる。
【0037】
より効果を高めるため、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化バナジウム、三酸化ビスマス、三酸化タングステン、酸化第二鉄、チタン酸ストロンチウムおよび硫化カドミウムを含む金属酸化物から選ばれたいずれか1種または二種以上が、0.5mg〜5g、蓄光化合物が、0.1mg〜5gの割合でさらに加えてもよい。これらの成分は、上述したように無機質系バインダーで発泡体にコーティングした。
【0038】
また、蛍光剤は、青色の蛍光ではピーク波長410nmのものを使用した。蓄光剤は青色を白色蛍光灯にて1000ルクス30分照射して照射停止2分後の輝度が、200mCd/m2で、発光ピーク470nmのものを使用した。
【0039】
<実施例1>
図1において、1は透明な円筒形容器であり、円筒形容器1は下部領域に吸入口となる複数の通気孔2を形成し、容器の軸方向における略中央部に空気送風用のファン3を設け、さらにファン3の上部に容器内部を上下に区画する通気性を有するネット4を設け、ネット4よりも容器1の上部の領域には、容器の側面部および上面部に排気用の複数の排気孔6を備えている。そして、円筒形容器1の前記上部領域には浮遊発泡粒7が収納されている。
【0040】
浮遊発泡粒7は発泡体からなる芯材の表面にバインダーを介して可視光光触媒粒子を露出して表面層を形成した可視光光触媒発泡粒、同じく発泡体からなる芯材外周に紫外線を受けて光を放つ蛍光材をコートされた蛍光発泡粒と、同じく発泡体からなる浮遊発泡粒に紫外線を蓄えて光を放つ蓄光材をコートされた蓄光発泡粒を混合してなるものである。
【0041】
そして、ネット4の底面(裏面)には、複数の紫外線発光ダイオード5aが配置されており、またこのネット4の底面側にはその中心部より複数の紫外線発光ダイオード5bを配置した塔9が下方(ファン側)に向けて立設されており、さらに、容器1の円筒壁面1a上にも、前記ファン6の配置位置と、前記ネット4の配置位置との間の部位において、複数の紫外線発光ダイオード5cが配置されている。
なお、図1において、8は、通気孔2に設けられた防塵フィルターを示すものである。
【0042】
図4は、上述したネット4の底面に設けられた複数の紫外線発光ダイオード5aを有するLED電気回路構成を示す回路図である。この例においては、前記電気回路13aは、図示するように、ダイオード5aを3個1単位として直列に接続した半円弧状の回路部分を、底面中心線Cを中心として線対称となるように2つづつ組み合わせて円形に配列し、さらにこの円形に配列されたものが、同円状に2重に配列された形態を有している。従って、各半円弧状の回路部分の3個のダイオードは底面中心線Cに対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配されている。
【0043】
また、上述したネット4の底面に設けられた複数の紫外線発光ダイオード5aを有するLED電気回路構成は、図4に示すものに代えて、図5に示す別の回路とすることも可能である。図5に示す別の例においては、前記電気回路13bは、上記図4に示す例と同様に、ダイオードを3個1単位として直列に接続した半円弧状の回路部分を、底面中心線Cを中心として線対称となるように2つづつ組み合わせて円形に配列し、さらにこの円形に配列されたものが、同円状に複数に配列された形態を有しているが、その最も中心側の回路部分には、紫外線LED5aが、その外側の回路部分には紫色のLED11が、そして最も外側の回路部分には青色のLED12がそれぞれ配置されている。なおこの例においても、各半円弧状の回路部分の3個のダイオードは底面中心線Cに対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配されている。
【0044】
図6は、ネット4の底面に立設されたLED塔9の構成を示す平面図であるが、図示するように、塔9上に設けられた複数の紫外線発光ダイオード5bは、塔9の周方向および高さ方向においてそれぞれがほぼ等間隔において離間されるように、均一に分散配置されている。
【0045】
また、図7は、容器壁面に設けられた複数の紫外線発光ダイオード5cを有するLED電気回路構成を示す回路図である。図示するように、容器壁面に設けられた複数の紫外線発光ダイオード5cも、容器1の周方向および所定範囲の高さ方向においてそれぞれがほぼ等間隔において離間されるように、均一に分散配置されている。
【0046】
このようにして構成される本実施例の空気清浄機においては、浮遊発泡粒7に向かって空気を送風するファン3によって、浮遊発泡粒7に、当該空気清浄機が設置された室内の空気を循環し、浮遊発泡粒7による空気清浄効果をより強めることができる。
【0047】
また、このように構成した空気清浄機において、複数の紫外線LED5a、5b、5cから浮遊発泡粒7に紫外線が照射されると、浮遊発泡粒7の可視光光触媒作用によって空気が清浄化されると共に、同じく蛍光発泡粒および蓄光発泡粒が紫外線の照射を受けて独自の蛍光色で発光するので、第二の光源としての役割を演出するので可視光光触媒の活性化が増幅する。
【0048】
なお、この実施例においては、紫外線LED5a、5b、5cとしては、三菱電線株式会社製、品番MC382WL035、外径5mm、ピーク波長380nm、光出力2mW、電流20mAを使用した。また、紫色LED11としては、SM社製 SM5H15A−VP、外径5mm、青色LED12としては、日亜化学社製NSPB510S、外径5mmをそれぞれ使用した。
【0049】
アナターゼ型、ブカレット型の二酸化チタンは紫外線LEDによって光触媒の反応し、酸化亜鉛は主に380nm、430nm付近、530nm付近のピーク波形が得られ、青色LEDの光の領域まで光触媒の反応するため、効果的に汚染された空気を効率よく浄化することができる。
【0050】
したがって実施例1によれば、光触媒作用によって、浮遊発泡粒7を通過する空気中の悪臭ガス、有毒ガス、微細粒子が、浮遊発泡粒7の芯材であるアパタイト等に吸着し、光触媒により分解除去されて、空気が清浄化される。
【0051】
なお、図5に示す例におけるように、青色、紫色のLEDを組み合わせて使用すると、蛍光発泡粒7aおよび蓄光発泡粒7bが紫外線の照射を受けて独自の蛍光色で発光するので、空気清浄機はインテリア照明を兼ねることができる。
【0052】
本発明の第1の実施の形態にかかるデモンストレーション用の空気清浄機の斜視図を図3に示す。この空気清浄機はラグビーボール形の容器20内に前記空気清浄機1を入れて、アンモンニアなどの臭気を分解する様子を図示省略したパソコンのモニタ画面で観察できるようにしたものである。
【0053】
なお、この容器に本発明に係る空気浄化装置を収納し、臭気計測器を双葉エレクトロニクス社製E−NOSEに接続して、臭気測定を行った。その結果を図8A、図8B、図9、図10に示す。
この際の試験条件としては以下のとおりであった。
(空気清浄機の仕様)
形状:図11、12に示すたまご形容器(高さ150mm、直径80mm)
電源:DC 12V
ファン:DC 12V 0.10A
風量:1.5m/sec
(浮遊発泡粒)
粒径:2±0.3mm
使用量:100cm3
混合割合:光触媒発泡粒:蛍光発泡粒:蓄光発泡粒=8:1:1
光触媒発泡粒に使用した光触媒コーティング液:(株)シーマ電子と(有)シンク エースの共同開発品
(ラグビーボール形の容器)
容積:10L
(試験要領)
実験は、外部光の入らない暗室にて、空気清浄機を運転して行い、ラグビーボール形の容器内の空気中にそれぞれ添加された各臭気成分(酢酸エチル、アンモニア、キシレン)による臭いの強さの経時的変化を観測した。図8Aは酢酸エチル、図9はアンモニア、図図10はキシレンに関するグラフである。なお、これらのグラフ中、「臭いの強さ」は臭気計測器メーカーの定めた指数であり、一般的な臭いの単位とは異なる。ちなみに、実施例において、脱臭前の空気の臭いの初期は、アンモニアが「臭いの強さ」2000で、45ppm、酢酸エチルが「臭いの強さ」10200で、80ppm、またキシレンが「臭いの強さ」700で、2.5ppmであった。
また、酢酸エチルに関しては、別途、空気清浄機を通常条件、すなわち、LEDを点灯させた状態で一定時間(約1時間)運転した後、ラグビーボール形の容器内に入れ、LEDを消した状態(ファンは稼動)で同様に試験し、蛍光発泡粒や蓄光発泡粒の残光効果等による清浄効果の有無を調べた。得られた結果を図8Bに示す。
【0054】
<実施例2>
図11は、本発明に係る空気清浄機の別の例である、卓上型の空気清浄機の正面図で、図12は同空気清浄機ののA−A断面図である。
【0055】
両図において、21はたまご形容器で、たまご形容器21は下部領域に複数の吸気口22を形成し、中央部に空気送風用のファン23を設け、ファン23の上部に、容器内部を上下に区画する通気性を有するネット24を設け、このネット24上に、青または紫の可視光線を照射する複数の発光ダイオード25を配置し、容器の上部領域に排気用の複数の排気孔26を備えている。そして、たまご形形容器21の前記上部領域には浮遊発泡粒27が収納されている。
【0056】
浮遊発泡粒27は、発泡体からなる芯材の表面にバインダーを介して可視光光触媒粒子を露出して表面層を形成した可視光光触媒発泡粒、同じく発泡体からなる芯材外周に紫LEDの光を受けて光を放つ蛍光材と二酸化チタンがコートされた蛍光発泡粒と、同じく発泡体からなる浮遊発泡粒に紫LEDの光を受けて光を放つ蓄光材と二酸化チタンがコートされたをコートされた蓄光発泡粒を混合してなるものである。
【0057】
発光ダイオード25は、前記図4に示したものと同様に、ダイオードを3個1単位として直列に接続した半円弧状の回路部分を、底面中心線Cを中心として線対称となるように2つづつ組み合わせて円形に配列し、さらにこの円形に配列されたものが、同円状に2重に配列された形態を有している。従って、各半円弧状の回路部分の3個のダイオードは底面中心線Cに対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配されている。なお、配線は基盤を用いることなくネット24上に樹脂を介して固定されている。これにより、ファンからの空気の抵抗を最小限に抑えることができる。
【0058】
そしてこのようにして構成される本実施例の空気清浄機においては、浮遊発泡粒27に向かって空気を送風するファン23によって、浮遊発泡粒27に、当該空気清浄機が設置された室内の空気を循環し、室内の空気を循環し、浮遊発泡粒7による空気清浄効果をより強めることができる。
【0059】
また、このように構成した空気清浄機において、複数の発光ダイオード25から浮遊発泡粒7に紫、青の光線が照射されると、浮遊発泡粒7の可視光光触媒作用によって空気が清浄化されると共に、同じく蛍光発泡粒および蓄光発泡粒が紫外線の照射を受けて独自の蛍光色で発光するので、空気清浄機はインテリア照明を兼ねることができる。
【0060】
<実施例3>
以下、本発明の実施例3について説明する。
図13は、本発明に係る空気清浄機の別の例である、自動車用の空気清浄機の斜視図で、図14は同空気清浄機のB−B断面図である。
【0061】
実施例3の空気清浄機は、実施例2と構造は基本的に同一構造で、自動車のダッシュボードに設けた排気口のフィンを利用してクリップで固定するようになっている。
両図において、31はたまご形容器で、ファン33の上部に、容器内部を上下に区画する通気性を有するネット34を設け、このネット34上に、青または紫の可視光線を照射する複数の発光ダイオード35を配置し、容器の上部領域に排気用の複数の排気孔36を備えている。そして、たまご形形容器31の前記上部領域には浮遊発泡粒37が収納されている。なお、図中、38は、容器31よりその側面側に延長して設けられた固定用クリップ部を示すものである。
【0062】
浮遊発泡粒37は、発泡体からなる芯材の表面にバインダーを介して可視光光触媒粒子を露出して表面層を形成した可視光光触媒発泡粒、同じく発泡体からなる芯材外周に紫LEDの光を受けて光を放つ蛍光材と二酸化チタンがコートされた蛍光発泡粒と、同じく発泡体からなる浮遊発泡粒に紫LEDの光を受けて光を放つ蓄光材と二酸化チタンがコートされたをコートされた蓄光発泡粒を混合してなるものである。
【0063】
発光ダイオード35は、前記図4に示したものと同様に、ダイオードを3個1単位として直列に接続した半円弧状の回路部分を、底面中心線Cを中心として線対称となるように2つづつ組み合わせて円形に配列し、さらにこの円形に配列されたものが、同円状に2重に配列された形態を有している。従って、各半円弧状の回路部分の3個のダイオードは底面中心線Cに対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配されている。なお、配線は基盤を用いることなくネット34上に樹脂を介して固定されている。これにより、ファンからの空気の抵抗を最小限に抑えることができる。
【0064】
そして、浮遊発泡粒37に向かって空気を送風するファン33によって、浮遊発泡粒37に室内の空気を循環し、浮遊発泡粒37による空気清浄効果をより強めることができる。
このように構成した空気清浄機において、複数の発光ダイオード35から浮遊発泡粒37に紫、青の光線が照射されると、浮遊発泡粒37の可視光光触媒作用によって空気が清浄化されると共に、同じく蛍光発泡粒および蓄光発泡粒が紫外線の照射を受けて独自の蛍光色で発光するので、空気清浄機はインテリア照明を兼ねることができる。
【0065】
<実施例4>
以下、本発明の実施例4について説明する。
図15は、本発明に係る空気清浄機の別の例である、卓上型の空気清浄機の分解斜視図である。
【0066】
実施例4の空気清浄機は、実施例2と構造は基本的に同様の構造を有するが、たまご形容器が、上下2つに分割可能で、その上部側が、交換可能なカートリッジとされている以外は、実施例2と構造は基本的に同様の構造を有する。
【0067】
図において、41はたまご形容器で、ファン43の上部に、容器内部を上下に区画する通気性を有するネット44を設けてなり、このネット44の近傍で、容器41は、上部部材41aと下部部材41bとに分割されている。なお、上部部材41aと下部部材41bとの嵌合部には、例えば、クランク溝と嵌合ピン、スクリュー溝、Oリング等の適当な接合手段が形成されており、容易に分離結合ができる構成となされている。
【0068】
また、このネット44上には、青または紫の可視光線を照射する複数の発光ダイオード45を配置し、容器の上部領域に排気用の複数の排気孔46を備えている。
しかして、前記容器の上部部材41aは、浮遊発泡粒(図示せず)を収納した状態で、容器の下部領域との嵌合開口端をネット48によりシールされて、交換可能なカートリッジとされている。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の空気清浄機によれば、容器内に配置された光触媒発泡粒に対して、LEDからの励起光を効率よく照射することができるため、室内、トイレ、厨房、実験室、自動車室内などの悪臭の分解が敏速に行われ、快適な生活環境を提供できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部領域に吸入口を、上部領域に排気口をそれぞれ備えてなる容器と、同容器内の下部領域側に設けられた空気送風用のファンと、同容器内の同ファンの上部に設けられた容器内部を上下に区画するネットと、同ネット上および前記容器壁面上のうち少なくとも一方に設けられた紫外線を照射する複数のLEDを配したLED電気回路と、同容器内に収容された光触媒をコーティグされた複数の光触媒発泡粒を有することを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
LED電気回路が少なくとも前記ネット上に設けられた紫外線を照射する複数のLEDを有することを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
LED電気回路が同ネット上面に複数の紫外線発光ダイオードを同心円状に配したことを特徴とする請求項1または2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
LED電気回路が同ネット上面に複数の発光ダイオードを同心円状に配し、かつ中心部に複数の紫外線LEDを配置した塔を立設したことを特徴とする請求項1または2に記載の空気清浄機。
【請求項5】
LED電気回路は、さらに容器の外周面に多数のLEDを配設し、容器内部の光触媒発泡粒に向けてLEDの光線を照射するように構成したことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の空気清浄機。
【請求項6】
ネット上に、同前記電気回路が同ネット上面に、同心円状にダイオード2〜3個を単位として直列に接続して円形に配列し、同円状に配列した2〜3個のダイオードは底面中心線に対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配したことを特徴とする請求項1項の空気清浄機。
【請求項7】
ネット上に、ネット上に、同心円状にダイオード2〜3個を単位として直列に接続し円形に配列し、中心部に紫外線LEDを配し、その外側に紫色LEDを配し、さらにその外側に青色のLEDを配し、かつ同円状に配列した2〜3個のダイオードは底面中心線に対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配したことを特徴とする請求項1項の空気清浄機。
【請求項8】
同心円状に配列したダイオードは底面中心線に対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配したことを特徴とする請求項1項の空気清浄機。
【請求項9】
前記光触媒発泡粒が、発泡体の表面にバインダーを介して光触媒をコートした光触媒発泡粒であり、発泡体に紫外線を受けて光を放つ青などの蛍光材をコートした蛍光発泡粒と、発泡体に紫外線を蓄えて光を放つ蓄光材をコートされた蓄光発泡粒とに混合して用いられることを特徴する請求項1〜8のいずれか1つに記載の空気清浄機。
【請求項10】
前記空気送風用ファンの下方には、脱臭・防塵用のフィルターが配されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の空気清浄機。
【請求項11】
前記容器の上部領域と下部領域とが分離可能とされ、当該容器の上部領域は、光触媒発泡粒を収納した状態で、容器の下部領域との嵌合開口端をネットによりシールされて、交換可能なカートリッジとされていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の空気清浄機。
【請求項12】
光触媒発泡粒を収納した容器内面を紫外線防止コーティング処理したことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の空気清浄機。
【請求項13】
容器内部の頂部近傍または側面部近傍に光触媒発泡粒飛び出し防止用のフィルター部材を配したことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の空気清浄機。
【請求項1】
下部領域に吸入口を、上部領域に排気口をそれぞれ備えてなる容器と、同容器内の下部領域側に設けられた空気送風用のファンと、同容器内の同ファンの上部に設けられた容器内部を上下に区画するネットと、同ネット上および前記容器壁面上のうち少なくとも一方に設けられた紫外線を照射する複数のLEDを配したLED電気回路と、同容器内に収容された光触媒をコーティグされた複数の光触媒発泡粒を有することを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
LED電気回路が少なくとも前記ネット上に設けられた紫外線を照射する複数のLEDを有することを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
LED電気回路が同ネット上面に複数の紫外線発光ダイオードを同心円状に配したことを特徴とする請求項1または2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
LED電気回路が同ネット上面に複数の発光ダイオードを同心円状に配し、かつ中心部に複数の紫外線LEDを配置した塔を立設したことを特徴とする請求項1または2に記載の空気清浄機。
【請求項5】
LED電気回路は、さらに容器の外周面に多数のLEDを配設し、容器内部の光触媒発泡粒に向けてLEDの光線を照射するように構成したことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の空気清浄機。
【請求項6】
ネット上に、同前記電気回路が同ネット上面に、同心円状にダイオード2〜3個を単位として直列に接続して円形に配列し、同円状に配列した2〜3個のダイオードは底面中心線に対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配したことを特徴とする請求項1項の空気清浄機。
【請求項7】
ネット上に、ネット上に、同心円状にダイオード2〜3個を単位として直列に接続し円形に配列し、中心部に紫外線LEDを配し、その外側に紫色LEDを配し、さらにその外側に青色のLEDを配し、かつ同円状に配列した2〜3個のダイオードは底面中心線に対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配したことを特徴とする請求項1項の空気清浄機。
【請求項8】
同心円状に配列したダイオードは底面中心線に対してアーノドとカソードの向きはミラーイメージに配したことを特徴とする請求項1項の空気清浄機。
【請求項9】
前記光触媒発泡粒が、発泡体の表面にバインダーを介して光触媒をコートした光触媒発泡粒であり、発泡体に紫外線を受けて光を放つ青などの蛍光材をコートした蛍光発泡粒と、発泡体に紫外線を蓄えて光を放つ蓄光材をコートされた蓄光発泡粒とに混合して用いられることを特徴する請求項1〜8のいずれか1つに記載の空気清浄機。
【請求項10】
前記空気送風用ファンの下方には、脱臭・防塵用のフィルターが配されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の空気清浄機。
【請求項11】
前記容器の上部領域と下部領域とが分離可能とされ、当該容器の上部領域は、光触媒発泡粒を収納した状態で、容器の下部領域との嵌合開口端をネットによりシールされて、交換可能なカートリッジとされていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の空気清浄機。
【請求項12】
光触媒発泡粒を収納した容器内面を紫外線防止コーティング処理したことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の空気清浄機。
【請求項13】
容器内部の頂部近傍または側面部近傍に光触媒発泡粒飛び出し防止用のフィルター部材を配したことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の空気清浄機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【国際公開番号】WO2005/067985
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【発行日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517088(P2005−517088)
【国際出願番号】PCT/JP2005/000417
【国際出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(592055370)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【発行日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2005/000417
【国際出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(592055370)
【Fターム(参考)】
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