説明

空気清浄装置、製氷装置、内視鏡用洗浄装置、洗髪装置、水耕栽培装置および洗車装置

【課題】弱酸性ないし弱アルカリ性の電解水を効率よく生成することができる電解水の製造装置を提供する。
【解決手段】電解水の製造装置10は、陽極電極22が設けられた陽極室20と、陰極電極32が設けられた陰極室30と、陽極室20と陰極室30との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室40と、陽極室20と中間室40とを隔てる陰イオン交換膜24と、陰極室30と中間室40とを隔てる陽イオン交換膜34とを含む。陽極室20と陰極室30とは隔壁50に設けられた連通孔52により連通している。このような電解水の製造装置10は、洗浄装置等に好ましく適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解水を利用した空気清浄装置、製氷装置、内視鏡用洗浄装置、洗髪装置、水耕栽培装置、洗車装置、浄水装置、トイレシステム、床洗浄機、クーリングタワー、空気清浄システム、排水処理システム、レンズ洗浄装置、シャワー装置、血液透析装置用除菌洗浄システム、医療機器洗浄装置、潅水および散水システム、除菌マスクシステム、食器洗浄装置、食肉等洗浄除菌システム、食品除菌洗浄システム、消臭システムおよび洗濯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電解水の生成装置としては、1槽式と2槽(室)式の生成装置がある。1槽式の生成装置は、例えば、食塩水などの電解質水溶液を槽内に注入して陽極板と陰極板とを配設し、これら陽極板と陰極板とに通電して電解工程を経ると塩化ナトリウムを含むアルカリ電解水が生成される。また、電解工程において、有害なトリハロメタンが発生すると共に、塩化ナトリウムがそのまま残存している。
【0003】
また、2槽(室)式の生成装置としては、例えば、特開2005−329375号公報(文献1)に開示された構成のものが公知になっている。この2室式の生成装置は、1つの槽の中間部をイオン透過性隔膜で仕切って対向する2つの電解室を形成し、各電解室に原水供給手段と電解水取出手段とを設けると共に、一方の電解式に陽極用の電極と塩化物水溶液(食塩水)供給手段を配設し他方の電解室に陰極用の電極を配設したものである。そして、各電極に所要の電圧を印加して電解工程を経ることにより、陽極側の電解式では塩素ガスと塩化ナトリウムを含む酸性電解水が得られ、陰極側の電解室では水素ガスとアルカリ電解水が得られる。
【0004】
塩化ナトリウムを含まない電解水を生産する装置としては、例えば、特開2000−246249号公報(文献2)に開示された3槽式の電解装置が公知になっている。この3槽式の電解装置は、中間室の両側にイオン交換膜と電極板とを介して両側に陽極室と陰極室とを備えた構造を有するものである。中間室には高濃度の電解質水溶液、例えば、10%濃度の塩化カリウムや塩化ナトリウム水溶液を充填される。また、陽極室と陰極室には、例えば水道水を通水し、両電極板に通電して電解工程を経ることで、塩化ナトリウムを含まない電解水、即ち陽極室ではpH2.0〜3.0程度の酸性電解水が生成される。一方、陰極室ではpH10.0〜12.0程度のアルカリ性電解水が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−329375号公報
【特許文献2】特開2000−246249号公報
【0006】
しかしながら、前記文献1に開示されている電解水の生成においては、電解の効率を高めるために一方の電解室(陽極側)に食塩水を供給して電解を行うようにしている。その陽極側の電解室で生成された酸性電解水は、次亜塩素酸のみならず、塩化ナトリウム分を含んでいることによって、平衡移動による塩素ガスの気化等が生じてしまう。したがって、次亜塩素酸などは短時間で気化してしまうため、酸性電解水において必要とする殺菌力を長期間担保することがし難く、その用途が制限されてしまうという問題点を有する。
【0007】
また、前記文献2に開示されている電解水の生成方法は、電解室を3槽式にし、中央部の電解室に食塩水などの電解質水溶液を収納し、両側の陽極と陰極の電解室に水道水または浄水器を介した浄水を収容して電解する。中央部の電解室に電解質水溶液を収納して電解工程を行うことで、電圧・電流・時間が少なくても効率よく塩化ナトリウムを含まない酸性電解水およびアルカリ性電解水を生成できる点で優れている。しかしながら、3槽式の電解室はいずれも回分式であることから、量産性に乏しいばかりでなく、酸性電解水とアルカリ性電解水とを混合または配合して、弱酸性、中性または弱アルカリ性にpH調整した次亜塩素酸を含む電解水を製造するという思想は全くないのである。
【0008】
ところで、前記公知技術に係る二室型または三室型電解槽を使用した電解法で酸性とアルカリ性の電解水を生成することが行われているが、その生成された電解水の有効塩素濃度を所定の範囲に保ちつつ、かつ、pH値を弱酸性ないし弱アルカリ性に調整することは困難である。また、二室型または三室型電解槽を使用した電解法では、実質的に次亜塩素酸ナトリウムの製造は行われていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、弱酸性ないし弱アルカリ性の電解水を効率よく生成させることができる電解水の製造装置に好適な応用発明を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の空気清浄装置、製氷装置、内視鏡用洗浄装置、洗髪装置、水耕栽培装置、洗車装置、浄水装置、トイレシステム、床洗浄機、クーリングタワー、空気清浄システム、排水処理システム、レンズ洗浄装置、シャワー装置、血液透析装置用除菌洗浄システム、医療機器洗浄装置、潅水および散水システム、除菌マスクシステム、食器洗浄装置、食肉等洗浄除菌システム、食品除菌洗浄システム、消臭システムおよび洗濯システムは、次の電解水の製造装置を含むものである。
【0011】
電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含む。
【0012】
電解水の製造装置は、特に次のものが好適である。
【0013】
(電解水の製造装置)
本発明に適用する電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含む。
【0014】
また、本発明において、前記陽極室と前記陰極室とが連通され、前記陽極室と前記陰極室との間で水が双方向に移動可能に構成されていることが特に好適である。
【0015】
本願発明者は、電解水の製造において、陽極室で生成される酸性水が陰極室に混入されることで、陰極室の陰極にスケールが付着しないことを見出した。したがって、本発明によれば、陽極室と陰極室とが連通しているため、陰極室の陰極にスケールが付着せず、スケールを洗浄する工程をなくすか、または回数を減らすことができるため、長い時間の連続運転が可能となる。
【0016】
本発明においては、前記陽極室と前記陰極室とが隔壁により隔てられ、前記隔壁に、前記陽極室と前記陰極室とを連通する連通孔が設けられていることができる。これにより、別途、連通路を形成しなくても済むため、コンパクトな電解水の製造装置を実現することができる。
【0017】
本発明において、前記陽極室に流れる水量と前記陰極室に流れる水量との分配割合を決める分配割合調整バルブが設けることができる。この分配割合調整バルブを有することで、陽極室と陰極室との導入量の割合を調整することができ、pH調整が容易となる。
【0018】
本発明においては、前記陽極室の液を吐出する吐出量を調整する第1の吐出バルブと、前記陰極室の液を吐出する吐出量を調整する第2の吐出バルブとを含むことができる。これにより、第1の吐出バルブと第2の吐出バルブとの開閉量を調整することで、陽極室で生成された酸性水が陰極室に混入される量を調整することができる。
【0019】
本発明においては、前記陽極室に給液するための第1の給液口と、前記陰極室に給液するための第2の給液口と、前記陽極室の液を吐出する第1の吐出口と、前記陰極室の液を吐出する第2の吐出口と、を含み、前記第1の給液口は、前記陽極室の上部に設けられ、前記第2の給液口は、前記陰極室の上部に設けられ、前記第1の吐出口は、前記陽極室の下部に設けられ、前記第2の吐出口は、前記陰極室の下部に設けられていることができる。
【0020】
これによれば、陽極室に導入される液は上から下に向かい、陽極室で発生する気体と導入された液との接触時間が増し、確実に気液反応を起こすことができる。
【0021】
本発明においては、前記陽極室は、前記陽極と直交する方向の前記陽極室の幅よりも、前記陽極室の高さの方が大きいようにすることができる。その陽極室の幅に対する陽極室の高さの比(高さ/幅)は、たとえば、1.5以上、好ましくは1.5〜5.0とすることができる。これによれば、陽極室の高さが大きいほど陽極室で発生した気体は上に向かうため、陽極室に導入された液との気液反応の時間を長くすることができる。
【0022】
本発明においては、前記電解質水溶液は、塩化物イオンを含み、前記電解水の製造装置は、次亜塩素酸を含む電解水を製造するものに特に有用である。
【0023】
本発明において、前記陰イオン交換膜は、前記電解質水溶液を通過させるための微細孔が設けられていることができる。これによれば、陰イオン交換膜の微細孔を通じて、電解質水溶液のプラスイオンも移動してくる。特に、次亜塩素酸と次亜塩素酸ナトリウムとの混合水を生成するのに有用である。
【0024】
本発明において、前記微細孔の径は、30〜80μmとすることができる。
【0025】
前記陰極は、水に対して透過性のあるシート体で覆われていることができる。陰極を水に対して透過性のあるシート体で覆うことで、電解される水を陰極の付近に滞留することとなる。このため、陰極32の付近に滞留する水に対するチャージ量が増すことになる。水に対するチャージ量が増した分だけ、陽イオンに基づくスケールが付着することがさらに減ることになる。
【0026】
本発明において、陽極室と陰極室とを結ぶ連通路が設けられていることができる。連通路によると、陽極室と陰極室との間を行き来する水の量を把握しやすいという利点がある。また、前記連通路には、開閉量調整バルブが設けられていてもよい。この開閉量調整バルブにより、陽極室と陰極室との間を行き来する水の量を調整することができる。なお、開閉量調整バルブは、単なる開閉バルブも含む概念である。
【0027】
本発明において、前記陽極室にて発生したガスを抜くための第1のガス抜き口が設けられていることができる。これにより、陽極室にて発生したガスを排出することができ、ガスによる流量の不安定化を防ぐことができる。
【0028】
本発明において、前記陰極室にて発生したガスを抜くための第1のガス抜き口が設けられていることができる。これにより、陽極室にて発生したガスを排出することができ、ガスによる流量の不安定化を防ぐことができる。
【0029】
本発明において、前記電極は、パンチング孔が設けられ、前記パンチング孔の一辺から伸びる爪電極部が設けられていることができる。これにより、パンチング孔を有する電極であっても、電極面積が減らずに、電解効率を高めることができる。前記爪電極部はパンチングの際にパンチングされる部分を切り抜かずに残すことで形成されていることができる。これにより、パンチング孔と爪電極部を有する電極を容易に形成することができる。
【0030】
本発明において、前記陽極室に対して水を供給するかどうかを決める開閉バルブが設けられていることができる。通常の電解装置では陽極室および陰極室の双方に水を供給しなければ電解ができない。しかし、本発明では陽極室と陰極室とが連通しているため、この開閉バルブを閉じても、陽極室には、陰極室を通じて水が供給されることになり、通常の電解装置ではできない手法での電解が可能となる。たとえば、この開閉バルブを閉じ、陽極室側のみから電解水を吐出した場合には、強い酸性を有する電解水を生成することができる。
【0031】
本発明において、前記陰極室に対して水を供給するかどうかを決める開閉バルブが設けられていることができる。通常の電解装置では陽極室および陰極室の双方に水を供給しなければ電解ができない。しかし、本発明では陽極室と陰極室とが連通しているため、この開閉バルブを閉じても、陰極室には、陽極室を通じて水が供給されることになり、通常の電解装置ではできない手法での電解が可能となる。たとえば、この開閉バルブを閉じ、陰極室側のみから電解水を吐出した場合には、強いアルカリ性を有する電解水を生成することができる。
【0032】
本発明において、
前記陽極室が複数設けられ、
前記陰極室が複数設けられ、
前記各陽極室から吐出された電解水は、共通の排出口から排出され、
前記各陰極室から吐出された電解水は、共通の排出口から排出されることができる。
【0033】
この発明によれば、複数の陽極室がそれぞれ並列に接続され、また、複数の陰極室がそれぞれ並列に接続されているため、水の電解の並列処理が可能となり、電解水の大量生成が行い易くなる。
【0034】
本発明において、原水が供給される側に設けられた第1の連通孔と、電解水が吐出される側に設けられた第2の連通孔とを含み、前記第1の連通孔は、前記第2の連通孔よりも小さいこととすることができる。
【0035】
これによれば、電解に生じた物質(たとえば次亜塩素酸)が陰極に移動しても主に吐出される側の連通孔により移動するため、陰極室で二次電解されてしまうのを抑えることができる。
【0036】
本発明において、前記中間室は、前記陽極および前記陰極が伸びる方向に、複数の区画に分けられ、前記複数の区画の各々において、電解質または電解質水溶液の供給部が設けられていることができる。これによれば、実施の形態の欄の作用効果の項で後述するように、大容量の電解水を生成することができる。
【0037】
本発明において、前記電解水の製造装置は、前記中間室の複数の区画の各々において、電解質水溶液の排出部が設けられていることができる。これによれば、生成された電解水が吐出口側において、さらに電解されて分解されてしまうのを抑えることができる。
【0038】
本発明において、前記中間室の複数の区画は、それぞれ隣り合う区画と連通していることができる。
【0039】
本発明において、前記中間室の複数の区画は、それぞれ仕切部により区画されていてもよい。仕切部により区画することで電解する水が滞留することとなり、より効果的な電解を図ることができる。
【0040】
本発明において、
前記中間室には、電解質または電解質水溶液の供給部および電解質水溶液の排出部が設けられ、
前記電解質水溶液の供給部と前記電解質水溶液の排出部との間において、少なくとも一つの電解質または電解質水溶液を供給するための副供給部が設けられていることができる。
【0041】
これによれば、実施の形態の欄の作用効果の項で後述するように、大容量の電解水を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1の電解装置を模式的に示す図である。
【図2】連通孔を説明するための図である。
【図3】第1の変形例に係る陰イオン交換膜の模式図を示す。
【図4】第1の変形例に係る原理を示す説明図である。
【図5】第2の変形例に係る電解水の製造装置を模式的に示す図である。
【図6】第2の変形例に係る陰極およびシート体の側面を模式的に示す図である。
【図7】第2の変形例に係る陰極およびシート体の平面を模式的に示す図である。
【図8】第2の変形例に係るシート体の平面を模式的に示すである。
【図9】第2の変形例に係る陰極の平面を模式的に示す図である。
【図10】第2の変形例に電解装置の作用効果を説明するための説明図である。
【図11】第3の変形例に係る電解装置を模式的に示す図である。
【図12】第4の変形例に係る電解装置を模式的に示す図である。
【図13】第5の変形例に係る電極を模式的に示す図である。
【図14】第6の変形例に係る電解装置を模式的に示す図である。
【図15】第7の変形例に係る電解装置を模式的に示す図である。
【図16】第8の変形例に係る電解装置を模式的に示す図である。
【図17】第9の変形例に係る電解装置を模式的に示す図である。
【図18】第9の変形例に係る電解装置を模式的に示す図である。
【図19】第9の変形例に係る電解装置を模式的に示す図である。
【図20】第1の精密部品洗浄装置を模式的に示す図である。
【図21】第2の精密部品洗浄装置を模式的に示す図である。
【図22】空気清浄装置を模式的に示す図である。
【図23】製氷装置を模式的に示す図である。
【図24】内視鏡洗浄装置を模式的に示す図である。
【図25】第1の洗髪装置を模式的に示す図である。
【図26】第2の洗髪装置を模式的に示す図である。
【図27】水耕栽培装置を模式的に示す図である。
【図28】洗車装置を模式的に示す図である。
【図29】浄水装置を模式的に示す図である。
【図30】トイレシステムを模式的に示す図である。
【図31】床洗浄機を模式的に示す図である。
【図32】床洗浄機の寸法例の一例を示す図である。
【図33】クーリングタワーの寸法例の一例を示す図である。
【図34】第1の空気洗浄システムの寸法例の一例を示す図である。
【図35】空気清浄機を模式的に示す図である。
【図36】空気清浄機を模式的に示す図である。
【図37】第2の空気清浄システムを模式的に示す図である。
【図38】排水処理システムを模式的に示す図である。
【図39】洗浄装置を模式的に示す図である。
【図40】第2の空気清浄システムを模式的に示す図である。
【図41】血液透析装置用除菌洗浄システムを模式的に示す図である。
【図42】第1の医療機器洗浄装置を模式的に示す図である。
【図43】第2の医療機器洗浄装置を模式的に示す図である。
【図44】潅水および散水システムを模式的に示す図である。
【図45】除菌マスクシステムを模式的に示す図である。
【図46】食器洗浄装置を模式的に示す図である。
【図47】食肉等洗浄除菌システムを模式的に示す図である。
【図48】第1の食品除菌洗浄システムを模式的に示す図である。
【図49】第1の食肉等洗浄除菌システムを模式的に示す図である。
【図50】食肉等洗浄除菌システムを模式的に示す図である。
【図51】消臭システムを模式的に示す図である。
【図52】洗濯システムを模式的に示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0044】
I 電解水の製造装置
1.電解水の製造装置の構成例
本実施の形態では、本発明に適用する電解水の製造装置を次亜塩素酸水の製造の場合に適用した例を示す。
【0045】
図1は、電解水の製造装置(以下、「電解装置」という)に係る模式図を示す。図2は、陽極室と陰極室との隔壁および電極を示す図である。
【0046】
電解装置10は、陽極室20と陰極室30と中間室40とを含む。中間室40は、陽極室20と陰極室30の間に設けられている。陽極室20と陰極室30とを隔てる隔壁50には、連通孔52が設けられている。連通孔52は、中間室40の周囲に設けられている。この連通孔52により、陽極室20と陰極室30との間で水が双方向に移動可能に構成されている。
【0047】
中間室40には電解質水溶液が充填されている。中間室40に供給された電解室水溶液は、陽イオン(たとえばナトリウムイオン)が陰極室30に供給され、陰イオン(たとえば塩化物イオン)が陽極室20に供給される。中間室40を通過した水溶液を電解質水溶液の供給源80に戻して、電解質水溶液を再利用し循環させてもよいし、または、消費した分だけの電解質を中間室40に追加してもよい。電解質水溶液は、たとえば、塩化物塩水溶液(塩化ナトリウム水溶液や塩化カリウム水溶液)を挙げることができる。電解質水溶液の濃度としては、たとえば、電解質の飽和濃度とすることができる。
【0048】
中間室40と陽極室20とは、陰イオン交換膜からなる第1の隔膜24により隔てられている。第1の隔膜24が陰イオン交換膜からなることで、中間室40の陽イオンが第1の隔膜24を通過せず、陰イオンのみが選択的に第1の隔膜24を通過することとなる。第1の隔膜24に適用される陰イオン交換膜は、公知のものを適用することができる。
【0049】
中間室40と陰極室30とは、陽イオン交換膜からなる第2の隔膜34により隔てられている。第2の隔膜34が陽イオン交換膜からなることで、中間室40の陰イオンが第2の隔膜34を通過せず、陽イオンのみが選択的に第2の隔膜34を通過することとなる。第2の隔膜34に適用される陽イオン交換膜は、公知のものを適用することができる。
【0050】
第1の隔膜24と第2の隔膜34との間に、隔膜固定枠(図示せず)を設けてもよい。
【0051】
陰極32は直流電源70の−側に接続され、陽極22は直流電源70の+側に接続されている。直流電源70は、その電圧や電流を任意に設定できる構成になっている。直流電源70は、たとえば、電圧は5〜20ボルト程度の範囲で任意に選択でき、電流についても3〜26アンペアの範囲で適宜選択して設定することができるものを挙げることができる。陽極22および陰極32は、網目状の電極や、たとえば1.5mm前後でパンチング穴加工した電極などからなることができる。なお、パンチング加工した電極は、パンチングで取り除いた面積と電極として使用される面積とがたとえば50%程度になるようにすることができる。電極の材質は公知のものを適用することができる。
【0052】
陽極22と陰極32との大きさを非対称、すなわち、電極面積の大きさを異ならせてもよい。これにより、陽極22の電解量と陰極32の電解量とを変えることができる。また、陽極電極の電極面積と陰極電極の電極面積とを異ならせることで、混合された電解水の酸性度を適宜調整することができる。つまり、陽極22の電極面積は、陰極32の電極面積より大きいことで、酸性電解水の発生量がアルカリ性電解水の発生量よりも多くなるため、酸性度を高めることができる。一方で、陰極32の電極面積を陽極22の電極面積より大きくすることで、アルカリ性電解水の発生量が酸性電解水の発生量よりも多くなるため、アルカリ性の度合いを高めることができる。
【0053】
電解装置10は、陽極室20に水を給水するための第1の給水口26と、陰極室30に水を供給するための第2の給水口36とが設けられている。第1の給水口26および第2の給水口36に繋がる流路は、一つの流路が分岐されて構成されている。その流路の分岐したところには、陽極室20および陰極室30へ分配する水量を調整するための分配割合調整バルブ60が設けられている。分配割合調整バルブ60は、電解装置10に水を供給する量を調整する供給量調整機能ももたせてもよい。
【0054】
また、電解装置10は、陽極室20の液を吐出する第1の吐出口28aと、陰極室30の液を吐出する第2の吐出口38aとが設けられている。さらに、電解装置10は、第1の吐出口28aから吐出される液の量を調整する第1の吐出バルブ28bと、第2の吐出口28aから吐出される液の量を調整する第2の吐出バルブ28bとを有する。
【0055】
第1の吐出口28aは、陽極室20の下部に設け、第1の給水口26は、陽極室20の上部に設けるとよい。これにより、第1の給水口26から給水された水は、上から下に向かって流れようとする。したがって、陽極22にて発生する気体(電解質水溶液が塩化ナトリウムや塩化カリウムの場合は塩素)からなる気泡が水に押されて上に上がり難くなり、その分だけ、その気体(塩素)が水と気液接触する時間が長くなり、次亜塩素酸への反応をより確実に行うことができる。
【0056】
陽極室20は、縦長であるとよい。具体的には、陽極22と直交する方向の陽極室20の幅よりも陽極室20の高さの方が大きいとよい。その陽極室の幅に対する陽極室の高さの比(高さ/幅)は、たとえば、1.5以上、好ましくは1.5〜5.0とすることができる。このような縦長であることにより、陽極室20で発生した気体(塩素)が水と接触する時間を長くすることができ、塩素と水との反応を確実に行うことができる。また、陰極30も同様とするとよい。
【0057】
2.動作
次に、電解装置10の動作を説明する。
【0058】
まず、分配割合調整バルブ60を調整すると共に、水を陽極室20および陰極室30に供給する。水の水量は、たとえば0.5〜1.5l/分とする。
【0059】
この水の供給と併せて、陽極22と陰極32の間に電位を印加し、電気分解を行う。たとえば、電気分解時の電圧は、5〜10Vとし、電流を3〜10アンペアとする。特に、陰極室30に供給される水溶液1リットル当たり1500クーロン、好ましくは2000クーロンとなるようにすると、スケールが付き難くなる。陽極22と陰極32との間に電位を印加すると、中間室40の陽イオン(たとえば電解質が塩化ナトリウムの場合にはナトリウムイオン)が第2の隔膜34を通過し陰極室30に移動する一方で、中間室40の陰イオン(たとえば電解質が塩化ナトリウムの場合には塩化物イオン)が第1の隔膜24を通過し陽極室20に移動する。
【0060】
陽極室20では、陽極22にて塩化物イオンが次式の反応を起こし、塩素が発生する。
2Cl→Cl+2e
この塩素は、さらに、水と反応して次亜塩素酸が生成される。
Cl+HO→HClO+HCl
一方で、陰極室30では、陰極にて次式の反応が起こる。
H2O+2e→1/2H+OH
この電気分解時において、陽極室20と陰極室30とを隔てる隔壁50に設けられた連通孔52から陽極室20で生成された酸性の電解水が陰極室30に移動すると共に陰極室30で生成されたアルカリ性の電解水は陽極室20に移動する。これにより、陽極室20で生成された酸性水と陰極室30で生成されたアルカリ電解水が混合する。また、陽極室20で生成された酸性水が陰極室30に移動することで、陰極32で発生するスケールが付着するのを防ぐことができる。
【0061】
また、この電気分解時に、第1の吐出バルブ28bと第2の吐出バルブ38bとを調整し、陽極室20および陰極室30から吐出される電解水の量を制御する。
【0062】
第1の吐出口28aから吐出された電解水と、第2の吐出口38aから吐出された電解水とを混合することで、本実施の形態に係る弱アルカリ性、中性または弱酸性の次亜塩素酸を含む電解水が生成される。
【0063】
なお、第1の吐出バルブ28bまたは第2の吐出バルブ38bの一方を完全に閉め、第1の吐出口28aまたは第2の吐出口28bのいずれかのみから吐出してもよい。この場合には、陽極室20または陰極室30の内部で混合水が生成されることになる。
【0064】
3.作用効果
この実施の形態によれば、次の作用効果を奏することができる。
【0065】
(1)陰極室20には、一般的に、中間室40から供給された陽イオンが陰極32に付着し、スケールがつく。しかし、本願発明者は、本実施の形態に係る電解装置10によると、陽極室20で生成された酸性水を陰極室30に誘導混合させることで、陰極32にスケールが付着しないことを見出した。このように陰極32にスケールがつかないことで、陰極32に付着したスケールを取り去る工程(逆洗浄)が不要または減らすことができるため、連続運転が可能となる。
【0066】
また、第2の吐出バルブ38bのみを開き、陰極室30の第2の吐出口38aのみから電解水を吐出すると、陽極室20で生成された酸性水は、陰極室30側に流れ高濃度の次亜塩素酸を含有したアルカリ性の電解水を生成することが可能となると共に、一層陰極32にはスケールの付着は起こらなくなる。
【0067】
(2)従来は、陽極室20で生成された電解水と陰極室30で生成された電解水とを混合するという発想はなかった。しかし、陽極室20で生成された電解水と陰極室30で生成された電解水とを混合することで、その混合水が弱アルカリ性、中性または弱酸性を示すことを本願発明者は見出した。また、それらの電解水を混合することで、従来は一方の電解水のみを使用し、他方の電解水は廃棄していたが、双方の電解水を使用することができるため、水資源を有効に使用することができる。
【0068】
(3)分配割合調整バルブ60を調整することで、陰極32に流れる単位水量当たりの水へ流れる電流量を調整することができる。つまり、同じ電流量であれば、水が少なければ単位水量当たりの水へ流れる電流量を大きくすることができる。陰極32に流れる単位水量当たりの電流量が大きければ大きいほど陰極32にスケールが付着し難いという性質がある。したがって、陰極室30への水の供給量を少なくすることで、陰極32にスケールがつくのをより確実に少なくすることができる。
【0069】
(3)第1および第2の給水口26,36を陽極室20および陰極室30の上部に設け、第1および第2の吐出口28a,28bを陽極室20および陰極室30の下部に設け、水を上から下に流すことで、陽極22で発生した塩素が上に上がり難くなり、塩素が水と接触する時間を長くすることができる。したがって、より確実に次亜塩素酸への反応を実現することができる。
【0070】
(4)通常であれば、陽極室20側への分配量が低いと、陽極室20で生成した電解水と陰極室30で生成した電解水とを混合した場合には、次亜塩素酸の濃度が大きく低下すると思われる。しかし、本発明者は、本実施の形態により得られた電解水は、次亜塩素酸の濃度(有効塩素濃度)が大きく低下しないことを見出した。したがって、本実施の形態によれば、得られる電解水が高濃度の次亜塩素酸を含有するため、殺菌力が低下しない。
【0071】
なお、次亜塩素酸は陽極側で生成された酸性電解水中に含まれるものであることが一般的に知られているが、pH値が微酸性、中性もしくは微アルカリ性に調整された次亜塩素酸水を製造しようとする場合は、工業的に製造された次亜塩素酸ナトリウム(ソーダ)に塩酸を加えてpH値を調整するか、または前記文献1により生成された塩化ナトリウムを含む酸性電解水とアルカリ性電解水とを適当量混合して製造することが考えられるが、いずれの場合も有効塩素濃度をあまり変化させずにpH値を単独に調整することは行われていない。
【0072】
(5)本実施の形態では、陽極室20に供給される水の量と陰極室30に供給される水の量との大小関係、および、第1の吐き出しバルブ28bと第2の吐き出しバルブ38bとの開閉量(絞り量)の大小関係を組み合わせることで、表1に示すように弱酸性から弱アルカリ性の範囲で様々なpH調整が可能となる。
【表1】

【0073】
なお、第1の吐出バルブ28bと第2の吐出バルブ38bとを同じ程度開放することで、陽極室20で生成された電解水と陰極室30で生成された電解水との混合比率は下がることになるため、混合比率は特に第1および第2の吐き出しバルブ28b,38bで調整することができる。
【0074】
(6)従来は、どちらか一方を使用している時は一方を廃棄していたが、この製法により大切な水資源を無駄に捨てないで済むようになった。
【0075】
(7)従来、三室型電解装置では、次亜塩素酸ナトリウムを生成することはできなかった。つまり、ナトリウムイオンが陽極室に移動することがないこと、および、次亜塩素酸が陰極室に移動することがないことにより、ナトリウムイオンと次亜塩素酸とが反応することがないため、次亜塩素酸ナトリウムが生成されることはなかった。しかし、本実施の形態によれば、連通孔42があるため、次亜塩素酸とナトリウムイオンとが反応することになるため、次亜塩素酸ナトリウムも生成することになり、次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸との混合水を生成することができる。これにより、洗浄作用と殺菌作用とを有する混合電解水を実現できる。なお、次亜塩素酸ナトリウムは、本出願時点において厚生労働省指定の食品添加物に指定されている。
【0076】
比較例として、二室型電解装置で次亜塩素酸ナトリウムを生成することも考えられる。この二室型電解装置とは、陽極室と陰極室とが隔膜で隔てられ、水に塩化ナトリウムなどの電解質を溶解させて電気分解を行う装置である。二室型電解装置により次亜塩素酸ナトリウムを生成する場合には、水に塩化ナトリウムが溶解されているため、塩化ナトリウムの濃度が高くなってしまうという制約がある。
【0077】
また、電気分解により、アルカリ環境下で塩化物イオンを反応させて次亜塩素酸ナトリウムを生成する方法が考えられるが、この場合には、トリハロメタンが生成してしまうという問題がある。しかし、本実施の形態によれば、酸性下の陽極室で次亜塩素酸を生成させ、その次亜塩素酸とナトリウムイオンとを反応させて次亜塩素酸を生成しているため、トリハロメタンの発生が生じない。
【0078】
(8)中性付近電解水の生成により排水基準などの適合も未処理で実現するため、環境汚染など環境に負荷を与えないという利点がある。
【0079】
(9)電解次亜塩素酸は有機物と接触する事で簡単に中和する特長も持ち合わせている。
【0080】
(10)陽極室と陰極室とが連通していない状態で電解を行った場合に、陰極室から吐出される電解水は、沈殿物(炭酸カルシウム)を含んでしまう。しかし、本発明者は、陽極室20と陰極室30とが連通した状態で電解を行うことで、陰極室30から吐出された電解水は陽極室20から陰極室30に流入した電解水も含むため、その沈殿物が生じないことを見出した。これにより、たとえば次の効果が奏される。
【0081】
陰極室から吐出された電解水をタンクに貯めて、必要に応じて使用する場合が考えられる。この場合に、電解水に沈殿物が含まれていると、タンクの内壁に沈殿物が付着し、頻繁に洗浄をする必要がある。また、取水口に沈殿物が貯まり通水ができなくなり、故障の要因となる場合がある。しかし、沈殿物が含まない電解水であると、タンクの内壁に沈殿物が付着せず洗浄回数を減らすことができ、取水口に沈殿物が貯まらないため通水を確実に確保することができる。
【0082】
4.変形例
(1)第1の変形例
陰イオン交換膜からなる第1の隔膜24は、微細孔が設けられることができる。その微細孔の径としては、たとえば、30〜80μmとすることができる。この場合に、第1の隔膜24は不織布で構成してもよい。
【0083】
これによれば、電解質水溶液のナトリウムイオンなどが陽極室20に移動しやすくなり、次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸との混合水がより生成されやすくなる。
【0084】
(2)第2の変形例
図5〜図9に示すように、陰極32は、水に対して透過性のあるシート体90で覆われていることができる。シート体90としては、たとえば不織布、多層の網状シートを挙げることができる。このように陰極32をシート体で覆うと次の効果が奏される。
【0085】
陰極32をシート体90で覆うことで、電解される水を陰極32の付近に滞留することとなる。このため、陰極32の付近に滞留する水に対するチャージ量が増すことになる。水に対するチャージ量が増した分だけ、陽イオンに基づくスケールが付着することがさらに減ることになる。その結果、連続運転をよりし易くなると共に、陰極32を逆洗浄が不要になるか又は頻度を減らすことができるため、産業的な用途においてより有利な電解装置を実現することができる。併せて、陰極32にスケールが成長してイオン交換膜54を破損するのを防ぐことができるため、イオン交換膜を保護する役割も果たすことができる。なお、陽極22も陰極32と同様にシート体で覆ってもよい。
【0086】
図10を用いてより具体的に作用効果を説明する。電解槽に供給された原水は電極板表面を高速で流れて行く。この時、特に陰極側では電極表面にスケール付着するが電極板表面に網状シートを被う事で原水は高速流帯と低速流帯の二流帯になる。伝電極表面の網状覆いをした低速流体には十二分な電流を与える事が出来る。この多くの電流を与える事は簡単な網状シートで被う事により、簡便な方法で陰極側電極板表面に付着するスケールの付着が防止できる。
【0087】
(3)第3の変形例
上記の実施の形態において、陽極室20と陰極室30とは、隔壁50の連通孔52により連通させているが、図11に示すように、別途設けた連通路54により連通させてもよい。連通路54によると、陽極室20と陰極室30との間を行き来する水の量を把握しやすいという利点がある。その連通路54に開閉量調整バルブ56を設けることができる。この開閉量調整バルブ56により、陽極室20と陰極室30との間を行き来する水の量を容易に調整することができる。
【0088】
(4)第4の変形例
図12に示すように、陽極室20にて発生したガスを抜くための第1のガス抜き口28cを設けてもよい。これにより、陽極室20にて発生したガスを排出することができ、ガスによる流量の不安定化を防ぐことができる。また、陰極室30にて発生したガスを抜くための第2のガス抜き口38cを設けてもよい。これにより、陰極室30にて発生したガスを排出することができ、ガスによる流量の不安定化を防ぐことができる。第1および第2のガス抜き口28c,38cは、必要に応じて栓をしておくことができる。
【0089】
(5)第5の変形例
陽極22は、図13に示すように、爪電極部22aを有する電極とすることができる。また、陰極32も同様に爪電極部32aを設けてもよい。爪電極部22a,32aは、パンチングにより形成された孔22b,32bの一辺から伸びるように形成されている。電極22,32をパンチングにより穴を開ける際に、切り抜かずに残すようにパンチングを行うことで、この爪電極部22a,32aを形成することができる。従来、パンチング電極では、パンチングにより開口した部分は廃棄され、その残った電極の面積部分を使うが、この方法では電解に使う面積はパンチングにより開口する前の約50%位となり、電極面に接触する水の量が半減するため、電解効率が落ちてしまう。しかし、このようにパンチング部分の電極を切り抜かずに残すことで、パンチング前の電極をすべて残すことができ(面積をすべて維持することができ)、電解効率が落ちない。また、パンチングで残した羽根部分があることで、電極表裏の水の移動がスムーズとなり、この点からも電解効率の向上につながる。さらに、羽根部分の付け根の切片角では、電極の平面部分よりも気泡が多く発生し、盛んな電解反応が生じていることが確認された。これは、ハーフパンチングにより電極22,32の表裏の水の移動が乱流を起し、電解効率の向上につながったと思われる。つまり、中間室40から各電極22,32側に移動してきたイオン水は、パンチングされた通過口22b,32bから電極22,32の外側の電解槽に移動するが、その時、電極22,32の外側を通過する原水は、電極22,32の爪電極部22a,32aに当たりながら乱流を起し、中間室40から移動してくるイオン水と混合され更には乱流として電極板表面に接触し、電解効率の向上が図られる。
【0090】
なお、パンチングの方法は、公知の方法を適用することができる。パンチングの穴の形状は、円形であっても角形であってもよい。
【0091】
(6)第6の変形例
図14に示すように、陽極室に対して水を供給するかどうかを決める第1の開閉バルブ58aが設けられていることができる。通常の電解装置では陽極室および陰極室の双方に水を供給しなければ電解ができない。しかし、この実施の形態によれば、陽極室20と陰極室30とが連通しているため、この開閉バルブ58aを閉じても、陽極室20には、陰極室30を通じて水が供給されることになり、通常の電解装置ではできない手法での電解が可能となる。たとえば、この第1の開閉バルブ58aと閉じ、陽極室20側のみから電解水を吐出した場合には、強い酸性を有する電解水を生成することができる。
【0092】
また、同様に、陰極室30に対して水を供給するかどうかを決める第2の開閉バルブ58bが設けられていることができる。第2の開閉バルブ58bを閉じても、第1の開閉バルブ58aが開いていれば、陰極室30には、陽極室20を通じて水が供給されることになり、通常の電解装置ではできない手法での電解が可能となる。たとえば、第2の開閉バルブ58bを閉じ、陰極室側のみから電解水を吐出した場合には、強いアルカリ性を有する電解水を生成することができる。
【0093】
(7)第7の変形例
図15に示すように、複数の電解装置10を並列に接続してもよい。つまり、複数の陽極室20と複数の陰極室30とを用意し、各陽極室20から吐出された電解水は、共通の排出口から排出され、各陰極室30から吐出された電解水は、共通の排出口から排出されるようにしてもよい。この変形例によれば、複数の陽極室がそれぞれ並列に接続され、また、複数の陰極室がそれぞれ並列に接続されているため、水の電解の並列処理が可能となり、電解水の大量生成が行い易くなる。
【0094】
(8)第8の変形例
図16に示すように、供給口側に設けられた第1の連通孔52aと、吐出口側に設けられた第2の連通孔52bとを含み、第1の連通孔52aを第2の連通孔52bよりも小さくすることができる。第1の連通孔52aと第2の連通孔52bとの開口比は、たとえば、0.5:9.5〜1.5:8.5とすることができる。
【0095】
陽極室で生成された酸性水が連通孔を通じて陰極室に入った場合に、第1の連通孔52aが小さいため、陰極室にて酸性水に含まれる次亜塩素酸などが二次電解されるのを抑えることができる。つまり、酸性水の二次電解を極力防ぎつつ、その酸性水をアルカリ性水と混合させ、吐出することができる。第1の連通孔52aは、スケールが陰極に防ぐことができる程度の酸性水の量が流れるように設定するとよい。陰極にpH3.0前後の酸性水を陰極室に供給される原水に対して10%以上混合させるとアルカリ水には炭酸カルシウムが生成されないことが実験で確認されている。
【0096】
また、炭酸カルシウムはアルカリ性水を洗浄等や植物の活性に使用する時に配管の内部に付着したり、送水ポンプの軸に付着してポンプの軸が回転しない等の故障を引き起こしてきた。しかし、この変形例によれば、そのような炭酸カルシウムからなる澱が発生しないという効果がある。
【0097】
さらに、第2の連通孔52bがあるために、陰極側に所定量の次亜塩素酸を移動させることができる。
【0098】
(9)第9の変形例
図16〜図17に示すように、中間室40は、陽極22および陰極32が伸びる方向に、複数の区画に分けることができる。中間室の複数の区画は、仕切部42により仕切ることができる。仕切部42により区画を仕切ることで、電解質水溶液の滞留を図ることができ、電解質イオンの移動をより確実に行うことができ、効率的な電解を図ることができる。中間室40の複数の区画は、それぞれ隣り合う区画と連通させることができる。この場合に、供給部44は、複数の区画の各々に設けることができる。また、中間室40の複数の区画の各々において、電解質水溶液の排出部46を設けることができる。供給部44および排出部46は、たとえばパイプを中間室40の側部に連結することで実現することができる。
【0099】
(a)供給部44は、電解質水溶液を供給するのではなく、電解質を供給するための供給部としてもよい。
【0100】
(b)中間室40の各区画を仕切部42により完全に仕切ってもよい。この場合には、各区画に電解質水溶液を供給する供給部44と、電解質水溶液を排出する排出部46が必要となる。
【0101】
(c)中間室40は次の変形が可能である。すなわち、中間室40の一端(陽極22および陰極32が伸びる方向の一方の側)に電解質水溶液の主供給部を設け、中間室40の他端(陽極22および陰極32が伸びる方向の他方の側)に電解質水溶液の主排出部が設けることができる。電解質水溶液の主供給部と電解質水溶液の主排出部との間において、少なくとも一つの電解質水溶液を供給するための副供給部を設けてもよい。
【0102】
この場合において、陽極室20は、中間室40の区画に対応するように、複数の区画を設けてもよい。この区画は、仕切部20aにより仕切ってもよい。また、陽極室20の各区画は、隣り合う区画と連通していてもよいし、連通していなくてもよい。また、陽極室20の各区画に原水の供給部20bと排出部20cを設けてもよい。なお、陽極室20の各区画が隣り合う区画と連通していない場合には、各区画に原水の供給部20bと排出部20cを設けるとよい。仕切部20aにより区画を仕切ることで、電解質水溶液の滞留を図ることができ、電解質イオンの移動をより確実に行うことができ、効率的な電解を図ることができる。
【0103】
陽極室20の排出部を最後の区画のみに設けると、高濃度の電解水となり隔膜の損傷がし易くなることから、各区画に排出部20cを設けるとよい。
【0104】
また、陰極室30は、中間室40の区画に対応するように、複数の区画を設けてもよい。この区画は、仕切部30aにより仕切ってもよい。また、陰極室30の各区画は、隣り合う区画と連通していてもよいし、連通していなくてもよい。また、陰極室30の各区画に原水の供給部30bと排出部30cを設けてもよい。なお、陰極室30の各区画が隣り合う区画と連通していない場合には、各区画に原水の供給部30bと排出部30cを設けるとよい。仕切部30aにより区画を仕切ることで、電解質水溶液の滞留を図ることができ、電解質イオンの移動をより確実に行うことができ、効率的な電解を図ることができる。
【0105】
陰極室30の排出部を最後の区画のみに設けると、高濃度の電解水となり隔膜の損傷がし易くなることから、各区画に排出部30cを設けるとよい。
【0106】
この変形例によれば、次の作用効果を奏することができる。
【0107】
従来、三室型電解装置では、電解水の大量生成を一つの電解槽で行うことは一般的に行われていない。本願発明者は、一つの電解槽で電解水の大量生成ができない課題の原因を次のように見出した。中間室を挟んだ陽極と陰極との間の距離は、電気伝導の関係で極めて重要である。陽極と陰極との間の距離が短ければ短い程、伝導率は向上するが、両電極間には中間室が有るためにどうしても一定の間隔が必要である。そのため、中間室に流れる電解質の流量の限界が有る一方で、電解によるイオンが中間室から陽極室及び陰極室に移動するため、中間室の途中において電解質を消耗し、電解に必要なNa+やCl−などが不足する。つまり、陽極と陰極との間の中間室の隙間は一般的に3〜6mm程度の狭い空間を電解質水溶液が流れる。電解質水溶液は飽和食塩水が最も効率よく電気を流すが、幅の狭い中間室を流れる電解質液のNa+及びCl−はイオン交換膜を通過して両極に移動し、その中間室のイオン濃度は、電解槽を通過するに従って、イオンが消耗されていくことに基づき低下していく。これにより一枚の大きな電解槽では電解質液の入り口付近と出口付近のイオンの濃度差が大きくなってしまう。
【0108】
中間室の電解イオン濃度が消耗により一定以下の濃度になると強い電圧を必要とする。しかし、消費電力及び電極または隔膜の損傷を防止するには一定の低電圧で電気分解が必要となる。そこで最適効率の電圧を維持するには構造上、その電解面積には自ずと適正値が有る。その結果、本願発明者は、電解水の大量生成に伴う問題の克服ができないのではないかという課題の原因を認識した。
【0109】
この変形例は、この課題の原因に着目し、なされたものである。つまり、中間室40の途中に電解質または電解質水溶液を供給する供給部44を設けることで、消費された電解質の補充を行うことができる。したがって、中間室40の各区域においての電解質濃度の平準化を図ることができる。このため、各電解部分においての電解効率のむらを抑えることができ、効率的かつ効果的な電解を図ることができる。また、電解質濃度の平準化を図ることができるため、低電圧の駆動ができ、電極やイオン交換膜の損傷を抑えることができる。
【0110】
5.実験例
以下、実験例について説明する。
【0111】
(1)各態様における実験結果を示す。
【0112】
表2に、陽極室と陰極室とが連通している電解装置の各態様における実験結果を示す。電解装置の供給口、連通孔および吐出口の条件の違いによって、電解水の性質がどう変わるかについて実験した。次亜塩素酸の濃度の測定に当たっては、クロール試験紙(10〜50ppm)(商品名:ADVANTEC、(株)東洋製作所製)を用いた。
【表2】



【0113】
(2)pH調整
表2から、陽極室と陰極室とが連通している電解装置によれば、pH3〜11までの電解水を生成できることを確認した。具体的な陽極室と陰極室との連通態様、供給口および吐出口の態様を表1に示す。表1に示すように、陽極室と陰極室との連通態様、供給口および吐出口の態様を調整することで、自由なpH調整が可能である。
【0114】
陽極室から吐出された電解水は、少なくとも、pHは3.2〜9.6、ORPは1,120mV〜20mV、次亜塩素酸の濃度は40ppm〜35ppmの範囲内で調整可能であることを確認した。
【0115】
陰極室から吐出された電解水は、少なくとも、pHは7.6〜11.2、ORPは800mV〜−780mV、次亜塩素酸の濃度は0ppm〜38ppmの範囲内で調整可能であることを確認した。
【0116】
(3)陰極へのスケールの付着の有無について
陰極に本来スケールが付着する。しかし、電解装置を50時間使用しても、陰極にスケールの付着を目視できなかった。
【0117】
(4)浮遊物(おり)について
陽極室と陰極室を連通させた状態で水を電解し、陰極室から電解水を吐出させた。その電解水には、浮遊物(酸化カルシウムなど)が生じないことを確認した。
【0118】
II 電解装置の応用例
以下、上記の電解装置の応用例を説明する。
【0119】
1.精密部品洗浄装置
図20は、精密部品洗浄装置を模式的に示す図である。この例では、上記の電解装置を精密部品洗浄装置に適用した例である。精密部品洗浄装置に適用する電解装置は、上記の二隔膜三室型のものが好適である。したがって、電解装置として二隔膜三室型のものを適用したものを以下で説明していく。
【0120】
第1の精密部品洗浄装置100Aは、純水供給パイプ10Aと、電解水生成装置12Aと、アルカリ水供給管14Aと、酸性水供給管16Aと、純水供給パイプ18Aと、部品洗浄装置20Aと、洗浄部品22Aを搬送する搬送装置(ベルトコンベアーなど)24Aと、乾燥装置26Aと、排水パイプ28Aとを含む。部品洗浄装置20Aは、アルカリ水洗浄槽50Aと、酸性水洗浄槽52Aと、純水すすぎ槽54Aとを含む。
【0121】
純水供給パイプ10Aから供給された純水は電解水生成装置12Aによりアルカリ性水と酸性水に分離生成される。その分離生成された各電解水は、アルカリ水供給管14Aおよび酸性水供給官16Aを通じて、部品洗浄装置20Aのアルカリ水洗浄槽50Aおよび酸性水洗浄槽52Aに給液され、アルカリ性水は高性能な洗浄を行ない、酸性水は錆びの除去を行う。その後は純水により各電解成分の除去を行ない洗浄部品は乾燥室で乾燥されたのち必要な工程に供される。洗浄及び錆び落しが済んだ電解水は混合される事で中性になり、排水基準を満たしている為に従来のような二次処理の薬品や工程が省略される事となる。
【0122】
従来基板洗浄等精密部品洗浄において、苛性ソーダ又は希塩酸等を超純水で希釈して使用していた。しかし、環境に対する安全要求が高まる中、薬剤処理に多くの処理システムとコストをかけないと環境改善の要求に対処できなくなった。薬剤処理の問題点として、たとえば次のものがあった。
(i)銅板の錆びの除去が100%レベルに達せず歩留まりが悩みとなっている。
(ii)錆び落しや洗浄には苛性ソーダや硫酸や塩酸などの薬剤を使用しているために、安全な使用又は保管や管理システム等のリスク管理が欠かせない。
(iii)薬剤による錆び落しなどの洗浄後は下水基準に達するような二次処理施設とコストが大きな負担となっている。
【0123】
上記の二隔膜三室型の電解装置を適用した場合には次の利点がある。
【0124】
(i)純水を連通口付き三室型電解装置で電気分解する時、pH値は各電解槽に通じる連 通口で水量を調整し、酸性水が混合した混合アルカリ水又はアルカリ水が混合した混合酸性水や未混合の酸性水を自在に生成し、精密部品毎に必要に応じて混合比率を変え、pH値や水酸化ナトリウム若しくは水酸化物イオン又はナトリウムイオン若しくは塩化物イオン若しくはオゾン等の濃度を調整することができる。
【0125】
(ii)これらの電解水による問題解決方法では、次のメリットがある。
(a)薬剤を使用しない洗浄方法のため、二次汚染と二次処理が無い。
(b)従来の薬品処理が削減された為、下水に排水するコストは飛躍的に低下する。
(c)硫酸・塩酸・苛性ソーダの使用ゼロを達成が可能である。
(d)危険な硫酸や塩酸又は苛性ソーダなどの薬品を使用しない精密部品洗浄では等様々な画期的な環境対策が実現できる。
【0126】
(iii)不純物の少ない超純水を電解した場合には、不純物によって電解阻害を受けないので、電解により生じる水酸化物イオンや次亜塩素酸などの濃度が上昇しその洗浄力は飛躍的に向上する。また、超純粋の酸性電解水では基板に着いている銅板の錆びが高精度の確率で除去できる。
【0127】
図21は、第2の精密部品洗浄装置を模式的に示す図である。第2の精密部品洗浄装置100A2は、アルカリ水洗浄槽50A2、さび除去用酸性水槽52A2および電解水除去洗浄槽54A2が含まれる。原水管10A2から軟水化装置14A2を経由した水は、電解装置12A2に供給され電解水が生成する。この電解装置12A2の陰極室にて生成した電解水はアルカリ水洗浄槽50A2に供給される。電解装置12A2の陽極室にて生成した電解水はさび除去用酸性水槽52A2に供給される。軟水化装置14A2で軟水化された水は、電解水除去洗浄槽54A2に供給される。
【0128】
洗浄部品(精密部品)24A2は、搬送装置(ベルトコンベア)22A2にて搬送され、アルカリ水洗浄槽50A2により洗浄された後に、さび除去用酸性水槽52A2にてさびが除去される。この後、電解水洗浄槽54A2にて電解水が除去されて、乾燥部26A2に供給されて乾燥されることとなる。処理後の電解水等は、排水パイプ28A2を通じて排水される。
【0129】
2.空気清浄装置
図22は、空気清浄装置を模式的に示す図である。
【0130】
空気清浄装置100Bは、吸気口10Bと、吸気ブロア12Bと、ミスト発生器14Bと、サイクロン式のスパイラル状のミスト通過管16Bと、ミスト発生器14を駆動するモーター18Bと、電解水タンク20Bと、電解水生成装置22Bと、排出口24Bとを含む。この空気清浄装置は、ミストが汚染物質や臭気成分を取り込み、空気を清浄する。ミスト発生器14Bを有するため、加湿機能も有する。
【0131】
電解水生成装置22Bは、適宜の範囲に電解により生じる成分を維持することができるように、電解水生成タイマーを設けることができる。
【0132】
無隔膜式型又は一隔膜二室型の電解装置では、電解質水溶液自体を電解するため、未電解の塩が残り、電解水には高濃度の塩化物イオンを含む。
【0133】
本実施の形態に係る電解装置によれば、陽極室と陰極室とが連通されているものの、中間室から移動してくる塩化物イオンの量は、陽極室で電解が可能な量であるため、実質的に塩化物イオンは残存しないか極めて微量となる。このように、中間室を備えた二隔膜三室型電解装置から生成する電解水は、塩化物イオンが実質的に含まないか極めて微量なため、加湿器から発生するミストも塩分が実質的に含まない。したがって、高い除菌性能や消臭性能に加え、室内の金属等に錆びを起こしにくい水道水並みの加湿を可能にした。
【0134】
さらに、ミスト発生器として本願発明者が発明者となっている特開2006−141864号公報に開示された技術や特開2006−320856号公報に開示されたサイクロン式ミスト発生装置の技術を適用することができる。従来の超音波式ミスト発生装置から発生するミストは目に見えるが、これらのサイクロン式発生装置は、全く目視できない超微粒子を湿度99.9%の微少なミストを発生できる。
【0135】
(1)この電解水生成装置は上記の電解装置を使用するため、得られる酸性水およびアルカリ水は、塩分を実質的にほとんど含まない。したがって、錆び等については水道水並みの使用環境を実現できる。
【0136】
(2)超音波式ミスト発生装置から発生する大きなミストは装置から吐出すると、そのミスト粒子の大きさから室内に浮遊するどころか、即座に下部床面に落下する。しかし、上記のサイクロン式ミスト発生装置によれば、次の効果を有する。
(a)上記の微少なミストを発生できるサイクロン式ミスト発生装置を採用することで、長時間にわたって室内の隅々まで浮遊することができるため、消臭・除菌・加湿・浮遊塵芥の回収を長時間にわたり作用することができる。
(b)上記のサイクロン式ミスト発生装置によれば、微少なミストのため、湿度感が少なく一定の温度と湿度では快適性を体験できる。
(c)大きな粒子の超音波式ミストの粒子密度に比べ格段にその粒子密度が高い微少なミストを発止させることができるため、塵芥や臭気物質や浮遊ウイルス等の補足率は格段に高い。
【0137】
(3)除菌・消臭等に作用する酸性水に含まれるHOCl(次亜塩素酸)は動物の生態防御作用である免疫細胞のマクロファージや好中球が生態内に進入してきたウイルスやバクテリアを攻撃破壊する時に産生する物質である。このことから、安全性も高く安心した空気清浄が実現できる。
【0138】
(4)電解により生じた成分であるHOCl(次亜塩素酸)は有機物に接触することで即座に中和する。このため、残留性や二次汚染が無い。
(5)HOCl(次亜塩素酸)は耐性菌が発生せず、除菌性能は高い。
(6)HOCl(次亜塩素酸)は多くの有機系臭気も分解することができる。
(7)HOCl(次亜塩素酸)は肌に優しいアストリンゼン効果もあり、快適な肌の感覚は良い。
【0139】
3.製氷装置
図23(A)は製氷装置の正面を模式的に示す正面図であり、図23(B)は製氷装置の側面を模式的に示す側面図である。
【0140】
製氷装置100Cは、電解水生成装置10Cと、制御装置収納部12Cと、熱交換機14Cと、中性電解水タンク16Cと、製氷部18Cと、氷収納部20Cとを含む。
【0141】
従来、製氷装置は水道水を使用するのが一般的であるが、水道水の氷では冷却とそれによるバクテリアの繁殖を低下させる以外の効能は見出せなかった。また、従来の無隔膜一室型電解水生成装置では主成分が次亜塩素酸ナトリウムで、わずかしか次亜塩素酸ができない。次亜塩素酸ナトリウムは、次亜塩素酸よりも除菌性能が大幅に落ちる。また、生成された電解水には、電解されずに電解装置を通過する塩分が多量に含まれる。さらに、アルカリ環境下で塩化物イオンが含まれてしまうため、トリハロメタンが発生する。さらに加えて、次亜塩素酸ナトリウムでは手荒れが起きるなどの他に、電解されずに電解装置を通過する塩化ナトリウムが次亜塩素酸ナトリウムと反応を起して塩素ガスが発生するなどの問題点がある。
【0142】
一隔膜二室型の電解水生成装置においても、生成される電解水に多量の塩化物イオンが含まれてしまうため、反応により次亜塩素酸(HOCl)が短時間に塩素ガスとして気化してしまう。また、電解されずに通過した塩化ナトリウムなどの塩化物が吐出されてしまうなどの様々な問題点が有る。
【0143】
塩化物が含まれてもわずかな電解水を生成する電解水生成装置を含む製氷装置は、今まで提案されていなかった。
【0144】
本実施の形態に係る電解装置によれば、陽極室と陰極室とが連通されているものの、中間室から移動してくる塩化物イオンの量は、陽極室で電解することができる量であるため、実質的に塩化物イオンは残存しないか極めて微量となる。
【0145】
中間室を備えた二隔膜三室型電解装置から生成する電解水は、塩化物が実質的に含まないか極めて微量なため、無隔膜一室型電解装置や一隔膜二室型電解装置の多くの塩を含むことによる問題点を解決することができる。したがって、本実施の形態によれば、塩化物を実質的に含まず、かつ、次亜塩素酸を高純度に生成する電解装置を含むため、次亜塩素酸を高純度に含む氷の生成を可能とし、かつ、塩化物による問題が生じにくい製氷装置を実現することができる。
【0146】
また、塩化物が実質的に存在しないために、次亜塩素酸と塩化物との平衡反応に基づく塩素ガスの発生がほとんどない。また、pH4〜pH5付近であると、電解水に酸味を感じないことを確認した。この場合には、通常の水道水の味と変らない味で電解水を実現することができる。
【0147】
この製氷装置によれば、次の効果を有する。
(a)塩分を含まないため、氷で浸けた魚肉に塩分の浸透や、浸透圧で魚肉から水分を抜き出す作用も起きない。
(b)塩素ガスの発生が殆ど起きないために、電解装置一体型の製氷装置は室内に設置しても何ら塩素ガスの心配は不要である。
(c)上記の電解装置で生成された弱酸性水では鮮魚の細胞破壊が起き難い為、長期間の保存性に優れる。
(d)鮮魚の運搬用のトロ箱に入れた弱酸性電解水の氷が解けても、雑菌数が大幅に減少している為、鮮度が落ちる時間は大幅に改善される。
(e)解けた弱酸性電解水は、鮮魚の表面に付着している有機物により、徐々に中和して排水基準以内になる。
(f)除菌を行うHOCl(次亜塩素酸)は除菌と同時に魚独特の生臭い臭気も除去できるので匂い環境も改善ができる。
(g)HOCl(次亜塩素酸)は水仕事に従事する人々の手荒れを防ぐ効果も有り電解酸性氷は効果的である。
(h)酸性電解氷は融解すると塩分も無く殆ど中性状態になる。このため、環境汚染や負荷は起さない最適な除菌氷で有る。
【0148】
4.内視鏡洗浄装置
図24は、内視鏡を模式的に示す図面である。
【0149】
内視鏡100Dは、内視鏡洗浄部10Dと、電解水生成装置12Dと、制御装置収納部14Dと、電解原水タンク16Dと、排水タンク18Dとを含む。
【0150】
従来、内視鏡の洗浄に当たっては、過酢酸製剤または一隔膜二室型の電解装置から生成される塩化物(塩化ナトリウムなど)を含む電解水を使用している。過酢酸製剤では強烈な酸の臭いが発生すること、洗浄除菌に時間がかかること、その酸を中和して廃棄しなくてはならないことなどの問題点がある。塩化物を含む電解水では、次亜塩素酸と反応を起こして、塩素ガスが高濃度に充満し、この反応に伴い次亜塩素酸(HOCl)が短時間で気化してしまう問題がある。電解されなかった塩化物が吐出されてしまうなどの問題点が有る。これら強い塩素ガス発生と塩分のために樹脂製の光学レンズ表面が白濁する欠点等が有る。
【0151】
塩化物が含まれてもわずかな電解水であって、中性付近の電解水を生成することができる電解水生成装置を含む内視鏡洗浄装置は、今まで提案されていなかった。
【0152】
本実施の形態に係る電解装置によれば、陽極室と陰極室とが連通されているものの、中間室から移動してくる塩化物イオンの量は、陽極室で電解することができる量であるため、実質的に塩化物イオンは残存しないか極めて微量となる。
【0153】
中間室を備えた二隔膜三室型電解装置から生成する電解水は、塩化物が実質的に含まないか極めて微量なため、無隔膜一室型電解装置や一隔膜二室型電解装置の多くの塩を含むことによる問題点を解決することができる。したがって、本実施の形態によれば、塩化物を実質的に含まず、かつ、次亜塩素酸を高純度に生成する電解装置を含むため、次亜塩素酸を高純度に含む内視鏡洗浄装置用の洗浄水の生成を可能とし、かつ、塩化物による問題が生じにくい内視鏡洗浄装置を実現することができる。
【0154】
この内視鏡洗浄装置によれば、電解水の塩分が極めて低いために、樹脂製の光学レンズの白濁作用も起きない。また、電解水の製造装置において、塩素ガスの発生が殆ど起きないため、病室などでも電解をしながら洗浄・除菌が行えるメリットが有る。さらに、弱酸性の電解水では、樹脂レンズなどの損傷が生じ難く、視鏡の表面に付着している有機物により、徐々に中和して排水基準以内になる。
【0155】
5.洗髪装置
図25は、第1の洗髪装置を模式的に示す図面である。
【0156】
第1の洗髪装置100Eは、原水供給パイプ10Eと、電解水生成装置12Eと、電解水タンク14Eと、出水シャワー16Eとを含む。
【0157】
従来、美容室又は理容室での頭髪シャンプーには、水道水を適宜な温度に温め、石鹸又はシャンプーなどで汚れを洗い落としていた。しかし、三室型電解水生成装置から生成される、温かいアルカリ水に浸漬すると30秒位で肌の汚れが石鹸を使わないで落ち始めるが確認された。簡単に指で髪や肌の表面を揉み洗いすると更に汚れは落ちやすい。アルカリ水で2〜3分位で汚れを落とした後に、酸性水をシャワーとして浴びるだけで一連の洗髪は終了する。最後に酸性水で流したまま乾燥させると、酸性水のアストリンゼン効果で肌や髪は見違えるような快適な洗髪を楽しむことができる。さらに、皮膚荒れの方にも効果的で従来、洗髪によるシャンプーに入っている化学物質が経皮による吸収も防げるとともに、シャンプーの化学物質の下水への排水が防止でき、下水処理施設や汚水処理施設の負担が削減できるなど社会的な貢献が可能である。
【0158】
この洗髪装置によれば、次の効果がある。
(1)電解水での洗浄のため、化学薬品が含まれておらず、肌に化学薬品が吸収することがないため安全な髪や肌の手入れが可能となる。
(2)この電解水によるシャンプーでは頭皮の毛穴に詰まった皮脂などがスムーズに乳化して洗浄が容易となる。
(3)この電解装置で生成されるアルカリ性の電解水では、次亜塩素酸(HOCl)を含んで入るため、アトピー性皮膚炎に繁殖しているブドウ球菌等の除菌も可能となり、それらの症状を軽減できる可能性がある。
(4)陽極室の電解水と陰極室との電解水とを混合して使用することにより、従来ではアルカリ水を使用しているときは酸性水を廃棄しており、酸性水を使用しているときはアルカリ性水を廃棄していたが、このような資源の無駄を防止することができる。
(5)排水を化学薬品等の化学物質の汚染から環境負荷を軽減できる。
(6)化学薬品を使用しないシャンプー方式を実現できるため、アトピー性皮膚炎等への負荷が軽減できる。
(7)シャンプーを使用しても殆ど僅かで済むため、理容師や美容師の職業病と言われた手荒れの防止も可能となる。
(8)皮膚病などの方にはシャンプーなどを使用せず洗髪できるので安心な洗髪を実現できる。
(9)洗剤の削減をできるのでコストの削減を可能にできる。
【0159】
図26は、第2の洗髪装置を模式的に示す図である。洗髪装置100E2は、原水供給管10E2から原水が電解装置12E2に供給される。電解装置12E2にて生成された電解水は、電解水貯留タンク14E2に貯められる。洗髪のためにバルブ18E2を開くと、電解水貯留タンク14E2に貯められた電解水が吐出され、瞬間温水機20E2で温められ、シャーワーヘッド16E2から電解水が出ることとなる。洗面台30E2に流れた電解水は、排水パイプ32E2により排水される。電解装置12E2、電解水貯留タンク14E2や瞬間温水器20E2は、制御部(図示せず)により制御することができる。
【0160】
これらの洗髪装置100E,100E2は、図に示すように、シャワーヘッドへの経路のみならず、浴槽への経路も設けることでバスシステムに適用することができる。
【0161】
6.水耕栽培装置
図27は、水耕栽培装置を模式的に示す図である。
【0162】
水耕栽培装置100Fは、給水パイプ10Fと、電解水生成装置12Fと、アルカリ水タンク14Fと、酸性水タンク16Fと、シーケンサー18Fと、ポンプ20Fと、混合タンク22Fと、給水フロー24Fと、トレー26Fと、過剰の電解水を排出するオーバーフロー28Fと、循環フロー30Fとを含む。
【0163】
従来、水耕栽培に電解水を使う場合が有るが、それらの電解装置には一隔膜二室型が中心で有るが、この装置から生成される電解水には塩化物がアルカリ水に含まれるなどの問題点があった。例えば、吐出される電解水には酸性水およびアルカリ水共に、KCl(塩化カリウム)の塩化物が含まれてしまう。
三室型電解水生成装置ではKClを電解質に使用してもKClは排出されず、目的のKOH(水酸化カリウム)を高純度で生成することが出来る。さらに、連通口採用の三室型電解水生成装置では次亜塩素酸を含むアルカリ性の電解水の生成を可能にする。pHでは弱酸性域から中性及びpH10.0前後までのアルカリ域までの電解水を生成することができるので、KOHを含んだアルカリ性域の電解水を成長促進剤として水耕栽培の使用に最適である。
【0164】
また、連通口付き電解水生成ではアルカリ水にも強い殺菌力の有るHOClを高濃度に生含ませることができるため、アルカリ水による成長促進を可能にしつつ、同時に酸性水に入れ替えなくても水耕栽培の潅水においてアルカリ水のみで除菌も併せて行うことが出来る。
【0165】
また、これによれば、連通口に因る混合電解水生成の使用では、酸性水の性能とアルカリ性の性能が混合されており、混合電解水を使用することで、使用する水を少なくすることができる。
【0166】
この水耕栽培装置によれば、次の効果を有する。
(1)薬品を使わずに水耕栽培液を除菌することができる。
(2)薬品を使わない栽培なので農業従事者の安全が確保される。
(3)薬品を使わないので、野菜に薬剤成分が吸収されない安全な生産を可能にすることができる。
(4)薬剤を大幅に削減できる効果が有る。
(5)使用後はほぼ中性の為、排水口などに排水しても基準値を超える事は無く、更には他の農地に散布しても植物活性作用が維持可能である。
(6)栽培する種類にもよるが、成長促進や糖度の改善や果実のサイズの改善及び収穫後の保存性の改善などがある。
(7)炭素病やうどん粉病等の他、イモチ病等の対策にも有用である。
【0167】
7.洗車装置
図28は、洗車装置を模式的に示す図である。
【0168】
洗車装置100Gは、原水給水パイプ10Gと、電解水生成装置12Gと、アルカリ水タンク14Gと、酸性水タンク16Gと、水位センサー18Gと、制御部20Gと、給水ポンプ22Gと、洗車部24Gとを含む。
【0169】
従来、自動車や電車・航空機等の洗浄には、大量の洗剤を通常の水道水または井戸水を使用して汚れを除去していたが、これらの化学物質は排水するのに二次処理を必要とする。 また、洗剤を使用した洗浄ではその洗剤濯ぎにも多くの水を使用する。三室型電解水生成装置により生成された電解水は、洗剤を使うことなく、洗浄力があることを確認した。
【0170】
その装置の具体的な動作は次のとおりである。
【0171】
電解水生成装置によりアルカリ性水と酸性水とに分離生成する。その分離生成された
各電解水は精密部品洗浄装置の洗浄槽に給液され、アルカリ性水は高性能な洗浄を行ない、酸性水は錆びの除去を行う。その後、純水により電解水に含まれていた物質の除去を行ない洗浄部品は乾燥室で乾燥されたのち必要な工程に供される。洗浄及び錆び落しが済んだアルカリ性及び酸性電解水は混合されることで中性になり、排水基準を満たして排水される。
【0172】
この洗車装置によれば、次の効果を有する。
【0173】
従来、洗車後の洗剤を含んだ汚水は下水に廃棄する前に排水基準を満たす為の薬品による中和の為の二次処理が行われている。このような洗浄のための各種の薬品や二次処理のための薬品の使用を回避することができるばかりか、工程の省略のメリットもある。また、環境汚染を防ぐばかりではなく、危険な薬品の取り扱いや保管などのリスクを削減できる事は大きな意義がある。
【0174】
8.浄水装置
図29は、浄水装置を模式的に示す図である。浄水装置100Hは、水道水供給部16Hから供給された水道水を中空糸膜濾過部14Hに導入し濾過し、濾過水送水パイ部12Hにより電解装置10Hに供給する。電解装置10Hで電解水が生成し、電解水吐出部18Hにより吐出される。
【0175】
上述の電解装置によれば、塩化ナトリウムが実質的に含まない電解水を生成することができることから浄水装置としては有用である。
【0176】
電解装置10Hの陽極室と陰極室とが連通していることで、次亜塩素酸を含むpH6.0〜8.0の範囲の電解水を生成することができ、電解水の殺菌力を高めることができる。電解水をアルカリ性とすることで、同時に洗浄力も付与することができる。
【0177】
9.トイレシステム
図30は、トイレシステムを模式的に示すである。局部洗浄機能付きトイレシステム100Iは、電解装置10Iをトイレの局部洗浄機能付きトイレシステム20Iに適用した例である。具体的には、水洗便器用水タンク22I内に、電解装置10Iが設置されている。電解装置10Iで生成された電解水は、水洗便器用タンク22Iに貯められる。その電解水は、操作部からの指令により、局部洗浄機能付き便座20Iのポンプ24Iにより、洗浄水吐出部26Iにより吐出される。なお、水洗便器用タンク22Iに水を貯め、使用時に電解装置10Iにて電解水を生成する態様でもよい。
【0178】
電解装置10Iの内蔵の局部洗浄機能付きトイレシステム100Iにより、排便後の臀部を清潔に保つことができ、次亜塩素酸水による除菌効果、次亜塩素酸水による止血効果、排便の臭気分解を実現することができる。
【0179】
10.床洗浄機
図31に示すように、床洗浄機100Jは、上述の電解装置(図示せず)が内臓され、その電解装置により生成された電解水を収容する電解水タンク10Jがある。噴射ポンプ12Jを通じて、噴射ノズル14Jにより床面に電解水がスプレーされる。ロールブラシ16Jがその床面を通過するに当たって、床面を洗浄し、床面に残存した汚水を汚水吸引ノズル18Jにより吸引する。汚水は汚水吸引用ポンプ20Jにより汚水収容タンク22Jに供給される。汚水は、汚水排出部24Jにより排出される。
【0180】
なお、床洗浄機100Jは、車輪32Jが装着しており、床洗浄機100Jを移動させることができる。必要に応じて、床洗浄機100Jを移動させるための取っ手26Jを取り付けてもよい。噴射ポンプ12Jや汚水吸引ノズル18Jを制御部28Jにより制御することができる。バッテリ30Jにより床洗浄機100Jを駆動することができる。
【0181】
従来は洗剤を水で希釈して床又はカーペットを洗浄していたが、中性付近次亜塩素酸入り電解水生成装置内蔵床洗浄装置によれば、除菌性能は低く又、カーペット等に残留した洗剤は乾燥すると人が歩く度にホコリとなって乾燥洗剤が飛散する事になる。HClO(次亜塩素酸)入り中性付近電解水では洗浄力と除菌力のどちらも持ち合わせており、床の洗浄や除菌を同時に行う事が出きる。又、HClO(次亜塩素酸)は動物の免疫系を司る好中球やマクロファージが体内に進入してきたウイルスやバクテリア等を攻撃する時に産生することでも知られており、食品添加物として薬品と違い安全性は極めて高いものである。
【0182】
電解装置において陽極室と陰極室とが連通されているものを使用することで、中性付近で洗浄力のNaOHと殺菌力のHClOを同時に生成するので廃棄処分する水は全く無いのである。したがって、アルカリ水を使用しているときに、酸性水の廃棄量を抑えることができ、また、酸性水を使用しているときはアルカリ水の廃棄量を抑えることができ、水資源を有効活用することができる。
【0183】
また、この電解水を使用する事で洗剤などの化学物質を吸引する事も無く安全に床の洗浄除菌を行う事を可能にした電解水使用の床洗浄機である。なお、床洗浄機は、カーペット洗浄機を含む概念である。
【0184】
図32に、寸法例を記載する。なお、車輪径は、100mmとすることができる。電解水タンク10Jや汚水収容タンク22Jはたとえば22リットル程度のタンクとすることができる。
【0185】
11.クーリングタワー
クーリングタワー100Lは、冷却循環水に電解装置10Iにより生成された電解水を混ぜるものである。クーリングタワー、特に開放型のクーリングタワーは、藻類や原生動物が繁殖してレジオネラの繁殖環境を形成し、熱交換時に発生するエアロゾルがレジオネラ症の感染源となることがある。電解水を含ませることで、これらの感染源の繁殖を防ぐことができる。クーリングタワーは、たとえば、冷却循環水を貯めるタンク12Iと、冷却塔14Iに冷却水を供給する循環ポンプ16Iと、冷却水送水ポンプ18Iと、使用済み冷却水をタンク12Iに供給する供給管20Iとが設けられている。
【0186】
電解装置10Iにて生成されるHOClを含んだ電解水により、上記の感染源を死滅させることができるか、または、抑えることができる。
【0187】
12.空気清浄システム
図34は、第1の空気清浄システムを模式的に示す図である。
【0188】
第1の空気清浄システム100Mは、空気清浄機10M内で、電解装置から生成される電解水をミスト状にすると共に、未処理の汚染空気を混合して、その混合空気を塵埃除去フィルタとしての中性能二重膜12Mに通過させる。この中性能二重膜12Mにより、一次空気清浄処理を行う。中性能二重膜12Mを通過した空気はコンデンサからなる冷却機14Mで湿度調整が行われ、給気ブロア16MによりHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)18Mに給気され、二次空気洗浄処理が行われる。HEPAフィルタ18Mを通過した空気は、クリーンルーム内に給気される。
【0189】
より具体的には、未処理の汚染空気は初めにナノミスト発生式空気清浄装置10Mに吸引される。汚染空気は、内部に発生する各種サイズのHClOミストに接触し、第一空気清浄フィルター(図示せず)に取り込まれ除菌・消臭・塵埃除去される。二重中性能膜(中性能フィルターに)12Mは一次処理ナノミスト空気清浄機10Mから排出されたHClOナノミストが中性能フィルターに付着することで適当な湿度を与える。一次処理ナノミスト空気清浄装置10Mから排出された不完全処理の塵埃又は臭い又はウイルス等の浮遊物を捕らえる働きを行う。また、多くの塵埃除去や消臭や除菌処理された空気は更に高性能なヘパフィルター18Mにより塵埃等を除去する。
【0190】
図35に示すように、本願発明者が発明者となっている特願2005−147525および特願2004−339018に開示されたサイクロン式の空気浄化装置10M1を適用することができる。また、図36に示すように、電解水で湿った布10M2を回転させて、空気がその布を通過することで、その空気がミスト化された電解水を取り込ましてもよい。電解水は、上記の電解装置により生成されたものを適用することができる。
【0191】
従来のクリーンルームを作る空気清浄機には高性能塵埃除去へパフィルター及び中性能塵埃除去フィルターを併用しているクリーンルーム用空気清浄システムが有る。
【0192】
従来の問題点は、各種の高性能フィルターで塵埃を除去するが、超微細なウイルス等はそのフィルターに付着又は通過してしまい除菌は出来なかった。
【0193】
問題点の解決として、生体内免疫細胞(好中球及びマクロファージ)で産生して生体防御している物質である次亜塩素酸(HClO)をナノミスト化するミスト発生式空気清浄機を考案した。
【0194】
効果として、生体内で産生する安全な次亜塩素酸は強い除菌性能及び消臭作用が有り、かつ、この電解水をナノミスト化するナノミスト発生式空気清浄機との高性能へパフィルター併用クリーンルーム空気清浄機を実現することができる。
【0195】
従来との違いとして、次のことが挙げられる。
(i)生体内免疫細胞で体内に浸入してきた異物を除菌の攻撃ために産生しているHClOを使う事で安全な除菌システムが構成できる。
(ii)HClOをナノミスト化するミスト発生空気清浄機を一体型とすることができることである。
(iii)HClOを生成する電解装置は、二隔膜一室型電解水生成装置又は二隔膜三室型電解水生成装置の採用によりHClOを任意の自由な濃度で供給する事を可能にしたことである。
(iv)従来は高性能フィルターで塵埃除去だけしか行っていなかったことである。
(v)この装置によりクリーンルームのとして通常の病室又は診療室又は処置室等の室内は高性能に除菌した環境を保つ事が出来ることである。
(vi)この装置により、室内の空気は循環式空気清浄を可能にしたり、又は室内の除菌された空気に外部から汚染空気が入らないように差圧空気清浄を可能にしたことである。
(vii)HClOナノミスト発生空気清浄機併用により除菌・消臭・塵埃除去・加湿など高性能且つ安全性の高い空気清浄を可能にしたことである。
【0196】
図37は、第2の空気清浄システム100Nを模式的に示す。汚染空気取り入れ口から取り入れられた汚染空気は、上述の電解装置内臓のサイクロン式空気清浄機10Nにまず供給される。次に、冷却装置14Nに熱交換し得るように接続されている冷却熱交換機12Nにより空気清浄機を通過した空気と熱交換する。次に、第1の除菌及び塵埃回収フィルタ16N、第2の除菌及び塵埃回収フィルタ18Nおよび第3の除菌及び塵埃回収フィルタ(HEPAフィルタ)20Nを順次通過し、送風ファン22Nにより排出される。
【0197】
これらのクリーンルーム用の空気清浄機100Nによれば、電解水により洗浄・殺菌を行うため、従来行われていた過酢酸製剤等の薬品を使用せずに洗浄殺菌を行うことができ、高熱の蒸気や温水を使用する必要がない。これにより、手荒れが起き難い。上述の電解装置によれば、塩化ナトリウムが実質的に含まない電解水を生成することができることから医療用器具の洗浄機としては有用である。
【0198】
特に、電解装置の陽極室と陰極室とが連通していることで、次亜塩素酸を含むpH6.0〜8.0の範囲の電解水を生成することができ、電解水の殺菌力を高めることができる。電解水をアルカリ性とすることで、同時に洗浄力も付与することができる。
【0199】
第1および第2の空気清浄システムは、クリーンルームの空気清浄に好適である。
【0200】
13.排水処理システム
図38は、排水処理システムを模式的に示す図である。排水処理システム100Qは、次亜塩素酸及び次亜塩素酸ソーダ含有電解水を排水液溜めグリストラップに供給混合し、排水に含まれる臭気物質の分解を行うシステム装置である。排水処理システム100は、電解水を生成する電解装置10Qを有し、生成された電解水は、電解水貯留タンク16Qに貯留される。洗浄シンク12Qから汚水配水管14Qに流れた汚水と、電解水貯留タンク16Qに貯められた電解水を混合する。この混合に当たっては、排水を感知すると、排水感知装置電解水供給弁18Qを開き、電解水をグリストラップの汚水槽20Qに供給するとよい。汚水槽は20Qは第1処理槽20Q1、第2処理槽20Q2および第3処理槽20Q3を設けることができる。ごみ収集部(濾過ざる)22Qによりごみを回収するとともに油止め板24Qにより混合水の水分と油分とを分離し、排水口26Qにより混合水の水分を排水口により排水する。
【0201】
レストラン及び食堂等に義務付けられている油脂分回収装置(グルストラップ)では、通常多くの食品残渣が回収槽の中に沈殿しているが、これら沈殿有機物は毎日取り出して廃棄される事は無く数日間または数週間または数ヶ月取り出して廃棄される事は無く、時には沈殿された食品残渣が腐敗して悪臭を漂わす事も日常的である。沈殿した腐敗有機物は様々な臭気物質を作り出すが、これらの臭気物質の大分部分は悪臭物質に指定されている。この悪臭物質の多くは電解される次亜塩素酸及び次亜塩素酸ソーダまたは水酸化ナトリウムで別表のように分解消臭される。
【0202】
また、次亜塩素酸は強い殺菌能力を有しており、食品や食器など洗浄後にグリストラップに沈殿する有機物に発生する腐敗菌の除菌を行う事で、各種の悪臭発生を抑える事を可能にした装置で、通常の使用においては各種の洗浄後に次亜塩素酸の電解酸性水を流し、また、一日の厨房作業の終了後に10又は20リットルの次亜塩素酸水をグリストラップに流し込む事で槽内の各種腐敗菌の除菌を可能にする装置である。又、次亜塩素酸(HOCl)は有機物に混合される事で中和状態となるため、下水への排水基準も問題無くクリアできる消臭装置である。
【0203】
14.洗浄装置
図39は、洗浄装置としてコンタクトレンズ洗浄装置に適用した例を示す。コンタクトレンズ洗浄装置100Rは、電解装置10Rにより生成された電解水をコンタクトレンズの洗浄槽12Rに供給し、電源スイッチをONすると、電源確認灯が点灯し、超音波振動部18Rが振動し、コンタクトレンズ20Rを洗浄するものである。
【0204】
15.シャワー装置
図40は、シャワー装置を模式的に示すである。シャワー装置100Sは、電解装置10Sが適用されている。具体的には、電解装置10Sで生成された電解水を温度調節器付き温水タンク12Sで温度調整する。吐出ポンプ14Sによりシャワーノズル16Sを通じて、電解水が放水される。
【0205】
体を洗うシャワーでは石鹸等を使用して肌の汚れを洗い落としていたが、中性付近の混合電解水シャワーは、次の構成をとることができる。
(i)各種電解水生成装置から生成される電解水は、アルカリ水又は中性付近の混合電解水とすることができる。
(ii)上記電解水生成装置と温水タンクと吐出ポンプとシャワーノズルのついたホースとが一体となったシステムとすることができる。
(iii)電解し生成装置は温水タンクの水位センサーにより自動的に電解水をタンクに供給することができる。
(iv)タンク内の温度は常に50度に保温するとよい。
【0206】
効果としては、たとえば、次のものを挙げることができる。
(i)混合電解水のシャワーにより石鹸不要のシャワーシステムが可能となった。
(ii)シャワーの電解水には水素イオンに因る洗浄力と酸性水に因るアストリンゼン効果で肌を整えることができる。
(iii)石鹸を使用しないシャワー及び入浴が可能になり、その排水が従来の洗剤を含んだ水と違い環境に負荷の少ない優しい廃棄水が可能となる。
(iv)石鹸を使用しない入浴システムにより、例えば入浴介護等の時、従来介護人が被介護人を介護する時体に付けた石鹸が被介護人を支える時に滑り易く危険と共に両者では大変緊張した入浴となっていのを解決できる。
(v)従来、体に創傷など有る場合の入浴では、洗剤を使用した入浴では創傷部から洗剤が染み込み大変痛みが発生する苦痛の入浴を解消できる。
(vi)従来、シャンプー等の合成洗剤を全身に付けて体を洗うが、その時多くの化学物質も体表面から体内に吸収されるが、これらの吸収も回避可能となる。
(vii)電解水による体の洗浄では殆ど石鹸を必要としない入浴方法であり、シャワー数十秒で汚れが浮き出す洗浄力の為、一度で入浴に使用する水は風呂を使用する入浴方法に比べて少ない水の使用で済む。また、フート式シャワー吐出装置の利用により更に簡単に吐出または中断の切り替えで極少量の水の使用が可能となる。
【0207】
16.血液透析装置用除菌洗浄システム
血液透析装置用除菌洗浄システム100Tは、原水管40Tから原水が軟水化装置42Tに供給される。軟水化された水は、電解装置10Tに供給され、電解水生貯留タンク12Tに貯められる。一方で、血液透析装置20Tは、血液回路22T、血液循環ポンプ24T、老廃物除去部26Tおよび透析液供給部28Tが設けられている。血液回路22Tは、両端に血液循環シャント部22T1,22T2が設けられている。いずれか一方の血液循環シャント部22T1に電解水の供給管が接続されている。血液回路22Tの洗浄時には、電解水の供給管の供給バルブ16Tを開き、ポンプ14Tを通じて電解水を血液回路22Tに供給し、洗浄を行う。この際に、電解水と軟水化装置42Tで処理された水とを混合して供給してもよい。
【0208】
電解水により洗浄・殺菌を行うため、従来行われていた過酢酸製剤等の薬品を使用せずに洗浄殺菌を行うことができ、高熱の蒸気や温水を使用する必要がない。これにより、手荒れが起き難い。上述の電解装置によれば、塩化ナトリウムが実質的に含まない電解水を生成することができることから医療用器具の洗浄機としては有用である。
【0209】
特に、電解装置10Tの陽極室と陰極室とが連通していることで、次亜塩素酸を含むpH6.0〜8.0の範囲の電解水を生成することができ、電解水の殺菌力を高めることができる。電解水をアルカリ性とすることで、同時に洗浄力も付与することができる。
【0210】
17.医療機器洗浄装置
図41は、第1の医療機器洗浄装置を模式的に示す図である。原水管40Uから供給された水道水は、まず軟水器70Uにより軟水化する。軟水を電解装置10Uに供給し、電解水を生成し、タンク20Uに貯める。送水ポンプ30Uを駆動させ、医療機器洗浄装置50Uに供給する。医療機器洗浄装置50U内に納められた医療機器は電解水で浸される。洗浄に当たって、ジェット噴霧部56U,60Uを用いて、医療機器を洗浄するとよい。医療機器は、棚54Uの上に置かれた収納ザル58Uに治めることができる。処理済みの液は、排出口62Uにて排出される。
【0211】
図42は、第2の医療機器洗浄装置を模式的に示す図である。第2の医療機器洗浄機100U2は、電解水の供給の仕方において第1の医療機器洗浄機100Uと異なる。原水管40U2から供給された原水は、軟水化装置50U2で軟水化処理がなされ、電解装置10U2および洗浄装置50U2内に供給される。電解装置10U2の陰極室内で生成されたアルカリ電解水は、洗浄用アルカリ水槽22U2に供給される。電解装置10U2の陽極室内で生成された酸性電解水は、除菌用酸性水槽24U2に供給される。
【0212】
アルカリ電解水、酸性電解水および軟水化された水を適宜、洗浄槽50U2に供給する。洗浄槽50U2の中の棚板60U2の上に、機材収納ザル58U2を設けている。この機材収納ザル58U2内に、水面52U2より下に浸されるように医療用機器70U2を設け、洗浄用超音波発信機により医療用機器70U2を洗浄する。処理後の水は、排出バルブ62U2により排出される。
制御部80V2を通じて、軟水化された水、アルカリ電解水および酸性電解水の供給バルブ82V2,84V2,86V2を調整する。
【0213】
第1および第2の医療機器洗浄装置100U,100U2によれば、電解水により洗浄・殺菌を行うため、薬品を使用せずに洗浄殺菌を行うことができ、高熱の蒸気や温水を使用する必要がない。これにより、手荒れが起き難い。上述の電解装置によれば、塩化ナトリウムが実質的に含まない電解水を生成することができることから医療用器具の洗浄機としては有用である。
【0214】
特に、電解装置210Cの陽極室と陰極室とが連通していることで、次亜塩素酸を含むpH6.0〜8.0の範囲の電解水を生成することができ、電解水の殺菌力を高めることができる。電解水をアルカリ性とすることで、同時に洗浄力も付与することができる。
【0215】
18.潅水及び散水システム
図44は、農業向け潅水及び散水システムを模式的に示す図である。農業向け潅水及び散水システム100Vは、電解装置10Vを含む。水道水を電解装置10Vに供給し、中性付近の電解水を生成する。この電解水は、電解質を塩化カリウムで行うとよい。電解装置の陽極室にて生成された電解水と陰極室にて生成された電解水とを混合し混合水タンク12Vに貯める。この電解水を希釈タンク14Vに供給し、希釈する。その希釈された電解水をビニールハウス20V内に噴霧ノズル16Vにより噴霧する。噴霧ノズル16Vは、農作物22Vの一つ当たりたとえば2個とすることができる。また、ホース24Vにより電解水を供給してもよい。このホース24Vには、農作物の根本に穴(たとえば農作物一つ当たり数個)を設け、根本に電解水を供給してもよい。この制御は、自動潅水制御板18Vで行うことができる。次亜塩素酸入り中性付近電解水での農業向け潅水及び散水システムでは、例えば電解次亜塩素酸散布によるうどん粉病の除菌などは公知の事実であるが、現在、三室型電解装置により生成された次亜塩素酸混合中性付近電解水による方法は全く存在しないのである。
【0216】
19.除菌マスクシステム
図45は、除菌マスクシステムを模式的に示す図である。除菌マスクシステム100Wの原理は次のとおりである。空気清浄機10Wにおける電解装置(図示せず)で生成された電解水がタンク12Wに貯められている。吸気ポンプ20Wから空気がタンク12Wに送られ、気泡発生装置22Wにより気泡が発生し、その気泡は電解水を通過することとなる。この際に、電解水の蒸気が気泡に取り込まれ、電解水を抜けた空気が気液接触用の多孔質体14Wを通過し、ホース16Wを通じてマスク部18W内へと吹き出し口24Wから排出される。多孔質体14Wには、電解水の蒸気を含んだ気泡が通過するため、湿潤していき、多孔質体14Wにて空気と電解水の気液接触をさらに図ることができる。多孔質体14Wは、たとえば5μm〜20μmの孔からなるものとすることができ、多孔質体14Wは、スポンジであってもよいし、不織布(フェルト)とすることができる。多孔質体14Wであると、空気が通過の際に乱流となり、液との接触を長くすることができる。
【0217】
具体的には、超機密性マスクの素材形態は空気濾過部分の素材はヘパフィルター等の空気を通す微細な通過口を持った素材である。且つマスク周辺部には頬と密着しやすいシリコンゴム等で機密性を保たれた構造に生体内でマクロファージ等が殺菌力として産生しているHClO(次亜塩素酸)を布に塗付又はHClO(次亜塩素酸)小型生成装置と同じく小型HClOミスト発生装置からチューブでマスク内に送り込む。
【0218】
設計条件としては、たとえば、電解面積を20mm×10mmとし、生成タンクの容量を50ccとし、吸気ポンプにエアポンプ(移動水槽用)を採用することができる。
【0219】
電解次亜塩素酸(HClO)は公知の様に免疫系の白血球やマクロファージが生体内に進入してきたバクテリアやウイルス等を攻撃する時に過酸化水素等をミエロペルオキシターゼが次亜塩素酸(HClO)に合成して免疫を司る事は公知の事であるが、このHClOが風邪などのインフルエンザウイルス等の除菌に有効である事は容易に理解できるが、この除菌力の有るHClOを微細ミストにしそれをパイプなどによりマスク内に噴霧して皮膚や呼吸その他に害がない。
【0220】
20.食器洗浄装置
図46は、食器洗浄装置を模式的に示す図である。食器洗浄装置100Xは、電解装置10Xを含む。電解装置10Xの陽極室にて生成された電解水(酸性水)と陰極室にて生成された電解水(アルカリ水)とが、それぞれ供給管12X,14Xを通じて排出され、混合された後に電解水貯留槽16Xに供給される。電解水供給ポンプ18Xを通じて電解水貯留槽16Xにある電解水を電解水噴射ノズル20Xに供給し、電解水を噴射して、食器30Xを洗浄する。洗浄汚水は、電解水回収部(汚水誘導板)22Xを通じて、排水ノズル24Xを通じて排水される。
【0221】
電解水により洗浄・殺菌を行うため、薬品を使用せずに洗浄殺菌を行うことができ、高熱の蒸気や温水を使用する必要がない。これにより、手荒れが起き難い。
【0222】
特に、電解装置10Xの陽極室と陰極室とが連通していることで、次亜塩素酸を含むpH6.0〜8.0の範囲の電解水を生成することができ、電解水の殺菌力を高めることができる。電解水をアルカリ性とすることで、同時に洗浄力も付与することができる。
【0223】
21.食肉等洗浄除菌システム
図47は、食肉等洗浄除菌システムを模式的に示す図である。食肉等洗浄除菌システム100Yの原理は次のとおりである。食鳥肉等運搬ガイド14Yで運搬される食鳥肉等20Yに電解装置10Yにより生成された電解水をミスト発生空気洗浄器12Yにより噴霧する。このミスト発生空気洗浄器12Yは、上記のミスト発生装置の技術を適用することができる。また、食鳥肉等20Yを食肉等洗浄除菌用電解水水槽16Yに浸してもよい。洗浄された食鳥肉等は、加工台18Yで加工される。
【0224】
従来、魚干物や食肉等の洗浄除菌では次亜塩素酸ソーダ(NaClO)を使用して洗浄除菌しているが、次亜塩素酸ソーダでは除菌性能が次亜塩素酸ほど強くないので200ppmから1,000ppmと、かなり高濃度にして使うことが多い。しかし、これでは食肉に次亜塩素酸ソーダ(NaClO)が高濃度に残留し、食べる時には強い薬品臭がする事がある。
【0225】
しかし、中性付近の次亜塩素酸(HClO)では約30ppm前後の濃度では、通常の大腸菌やブドウ球菌はもとより芽胞菌に至るまで除菌を可能にする。中性付近の30ppm前後の濃度の次亜塩素酸入り電解水では、たとえば次の効果がある。
(i)強い除菌性能を示す。
(ii)皮膚や粘膜等に負荷を与えない。
(iii)排水基準に抵触しないので二次処理無しで排水が可能である。
(iv)塩酸等の薬品を使わないので安全である。
(v)安価な除菌を可能にする。
(vi)中性付近なので錆びなどが起き難い。
(vii)中性付近なので生肉等から水分を抜きとらない。
(viii)中性付近なので肉に味が着かない。
【0226】
22.食品除菌洗浄システム
図48および図49は、第1の食品除菌洗浄システムを示す。第1の食品除菌洗浄システム200Bの原理は次のとおりである。水道水パイプ212Bから分岐された水道水はそのまま洗浄食品すすぎ部220Bに供給される流れと、分岐されて電解する電解装置210Bに供給され、電解生成された厚生労働省より食品添加物である次亜塩素酸及び次亜塩素酸ナトリウム入り中性付近の電解水は洗浄装置1・2・3等の洗浄槽214B,216B,218Bに供給され、槽214B,216B,218B内でバブリングを行ない野菜や魚や肉片等220Bの洗浄除菌を一連の流れで行える。洗浄槽214B,216B,218Bは、装置据え付け台222Bに据え付けられる。最後にすすぎ部220Bにて、すすぎが行われる。槽212B,214B,216B,218B内の処理後の水は、排水口240B,242B,244B,246Bにより排水される。
【0227】
電解装置210Bの陰極室から供給されたアルカリ電解水は、アルカリ水タンク250Bに貯留し、陽極室から供給された酸性電解水は、酸性水タンク252Bに貯留して、自動供給装置254Bにより種々の槽214B,216B,218Bに供給してもよい。自動供給装置254Bは、制御部256Bにより制御することができる。
【0228】
また、同時に果実や野菜等の農産物の収穫時に中性次亜塩素酸電解水を短時間浸漬することで洗浄・除菌を行え、その効果としては倉庫に長期間保管する場合などでは、元々付着している腐敗菌が取り除かれるので長期保管での腐敗が防止可能となる。これら腐敗は従来防ぐ方法が無く、電解次亜塩素酸の殺菌力と安全性で長期保存に画期的な方法である。既に沖縄でのマンゴーの収穫時に未処理保管物と電解処理保管物では別紙資料のように大きな差別化が実証されている。
また、次亜塩素酸ナトリウム電解水はpH6.0よりも酸性側に調整可能と出来る上記の電解装置により、弱酸性電解水では野菜や生肉などの細胞にダメージを与えにくく洗浄除菌には最適である。
【0229】
従来、野菜洗浄には次亜塩素酸ナトリウムを使って洗浄しているが次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)では200ppmや500ppm等相当の濃度の高い洗浄液でないと除菌は難しいが、微酸性電解水では中性付近でしかも次亜塩素酸(HClO)濃度30ppm前後の濃度でも十二分の除菌性能がある。しかも、微酸性電解水での洗浄除菌では、次亜塩素酸をすすぐにしても極少量の水道水で洗い流す事が出来るので、地下水を汲み上げる水量の削減に伴いランニングコストの削減や特に渇水時期には大きな効果として期待が持てる。
【0230】
また、従来魚介類の洗浄は水道水又は塩水を使用していたが、中性付近の微酸性電解水では野菜や生肉へのダメージが起き難いので肉細胞が酸化され難く野菜や肉の細胞が傷まないまま除菌洗浄が可能となる画期的な除菌方法である。中性付近の次亜塩素酸を含む電解水は生肉細胞へのダメージが起き難いというメリットもある。
【0231】
中性付近の次亜塩素酸(HClO)では約30ppm前後の濃度では、次の効果がある。
(i)通常の大腸菌やブドウ球菌はもとより芽胞菌に至るまで除菌を可能にする。
(ii)強い除菌性能を示す。
(iii)皮膚や粘膜等に負荷を与えない。
(iv)排水基準に抵触しないので二次処理無しで排水可能である。
(v)塩酸等の薬品を使わないので安全である。
(vi)安価な除菌を可能にする。
(vii)中性付近なので錆びなどが起き難い。
(viii)中性付近なので生肉等から水分を抜きとらない。
(ix)中性付近なので肉に味が着かない
【0232】
図50は、第2の食品除菌洗浄システムを模式的に示す図である。原水は、原水供給管240Cを通じて、電解装置210Cに導入されるものと、すすぎ槽226Cに導入されるものとの二つに分かれる。電解装置210Cに導入されたものは、陰極室にて生成された電解水(アルカリ性の電解水)がアルカリ洗浄槽222Cに供給され、陽極室にて生成された電解水(酸性の電解水)が酸性除菌槽224Cに供給される。野菜などの食品230Cは、食品容器220Cからアルカリ洗浄槽222C、酸性除菌槽224Cそしてすすぎ槽226Cに順次移動し、洗浄がなされる。
【0233】
電解水により洗浄・殺菌を行うため、薬品を使用せずに洗浄殺菌を行うことができ、高熱の蒸気や温水を使用する必要がない。これにより、手荒れが起き難い。
【0234】
特に、電解装置210Cの陽極室と陰極室とが連通していることで、次亜塩素酸を含むpH6.0〜8.0の範囲の電解水を生成することができ、電解水の殺菌力を高めることができる。電解水をアルカリ性とすることで、同時に洗浄力も付与することができる。
【0235】
23.消臭システム
図51は、消臭システムを模式的に示す図である。消臭システム200Eについて説明する。消臭システム200Eは、排便吸引部228Eにより排便を吸引し、排便貯留槽230Eに排便が貯められる。排便232Eが貯留されている排便貯留槽230Eの気体を吸引バキューム234Eで吸引し、その気体をサイクロン式空気清浄機220Eに供給する。サイクロン式空気清浄機220Eには、電解装置(図示せず)により生成された電解水(酸性電解水)が貯められており、ポンプ222Eを通じて、上部から噴射される。サイクロン式空気清浄機220Eは、たとえば、本願発明者が発明者となっている特開2006−141864号公報に開示された技術や特開2006−320856号公報に開示された技術のものを適用することができる。空気清浄機220Eにて消臭された空気は、消臭処理空気筒224Eから排出される。
【0236】
電解水により消臭を行うため、薬品を使用せずに消臭を行うことができる。特に、電解装置210Cの陽極室と陰極室とが連通していることで、次亜塩素酸を含むpH6.0〜8.0の範囲の電解水を生成することができ、電解水の殺菌力を高めることができる。電解水をアルカリ性とすることで、同時に洗浄力も付与することができる。
【0237】
24.洗濯システム
図52は、洗濯システムを模式的に示す図である。洗濯システム200Fにおいて、原水管240Fから供給された原水は、電解装置210Fを通じて洗濯機230Fに供給されるものと、直接に洗濯機230Fに供給されるものとがある。原水が電解装置210Fに供給されることで電解水が生成され、電解水貯留タンク220Fに供給される。電解水貯留タンク220Fの電解水は、ポンプ242Fを通じて洗濯機に供給される。この電解水は、原水を混合することもできる。原水の供給料は、バルブ246Fにより調整することができる。洗濯機230Fに供給される原水や電解水はバルブ244Fにより供給量を調整することができる。ポンプ242Fやバルブ244F,246Fは、制御部(図示せず)により制御することができる。
【0238】
上述電解装置により生成された電解水により洗浄・殺菌を行うため、薬品を使用せずに洗浄殺菌を行うことができ、高熱の蒸気や温水を使用する必要がない。また、洗剤の使用量を大幅に削減(たとえば50〜90%の削減)をすることができ、手荒れが起き難い。
【0239】
特に、電解装置210Cの陽極室と陰極室とが連通していることで、次亜塩素酸を含むpH6.0〜8.0の範囲の電解水を生成することができ、電解水の殺菌力を高めることができる。電解水をアルカリ性とすることで、同時に洗浄力も付与することができる。
【0240】
上記の実施の形態は、本発明の範囲内において、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0241】
10 電解装置
20 陽極室
22 陽極
22a 爪電極部
22b パンチング孔
24 第1の隔膜
26 第1の給水口
28a 第1の吐出口
28b 第1の吐出バルブ
28c 第1のガス抜き口
30 陰極室
32 陰極
32a 爪電極部
32b パンチング孔
34 第2の隔膜
36 第2の給水口
38a 第2の吐出口
38b 第2の吐出バルブ
38c 第2のガス抜き口
40 中間室
50 隔壁
52 連通孔
54 連通路
56 開閉量調整バルブ
60 分配割合調整バルブ
70 直流電源
80 電解質水溶液の供給源
90 シート体
100A 精密部品洗浄装置
100B 空気清浄装置
100C 製氷装置
100D 内視鏡洗浄装置
100E 洗髪装置
100F 水耕栽培装置
100G 洗車装置








【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含む空気清浄装置。
【請求項2】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含む製氷装置。
【請求項3】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含む内視鏡用洗浄装置。
【請求項4】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含む洗髪装置。
【請求項5】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含む水耕栽培装置。
【請求項6】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含む洗車装置。
【請求項7】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含む浄水装置。
【請求項8】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含むトイレシステム。
【請求項9】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含む床洗浄機。
【請求項10】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含むクーリングタワー。
【請求項11】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含む空気清浄システム。
【請求項12】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含む排水処理システム。
【請求項13】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含むレンズ洗浄装置。
【請求項14】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含むシャワー装置。
【請求項15】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含む血液透析装置用除菌洗浄システム。
【請求項16】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含む医療機器洗浄装置。
【請求項17】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含む潅水および散水システム。
【請求項18】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含む除菌マスクシステム。
【請求項19】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含む食器洗浄装置。
【請求項20】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含む食肉等洗浄除菌システム。
【請求項21】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含む食品除菌洗浄システム。
【請求項22】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含む消臭システム。
【請求項23】
電解水の製造装置を含み、
前記電解水の製造装置は、
陽極電極が設けられた陽極室と、
陰極電極が設けられた陰極室と、
前記陽極室と前記陰極室との間に設けられ、電解質水溶液を収容する中間室と、
前記陽極室と前記中間室とを隔てる陰イオン交換膜からなる第1の隔膜と、
前記陰極室と前記中間室とを隔てる陽イオン交換膜からなる第2の隔膜と、を含む洗濯システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【公開番号】特開2011−147789(P2011−147789A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19095(P2011−19095)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【分割の表示】特願2008−264706(P2008−264706)の分割
【原出願日】平成20年10月13日(2008.10.13)
【出願人】(500111806)
【Fターム(参考)】