説明

空気清浄装置

【課題】送風路内でのイオンの消滅を防止しながら、イオン生成器が発生する放電音の外部への漏れ出しを有効に低減し、高い清浄化機能と静粛な運転とを両立することが可能な空気清浄装置を提供する。
【解決手段】吸気口12及び送気口17と、これらを連絡する送風路とが設けられた外筐1の内部に送風機2及びイオン生成器3を備え、イオン生成器3が生成するイオンを、送風機2の動作により吸気口12から送気口17に向けて流れる気流によって搬送し、送気口17を経て外部に放出して、設置空間内の空気を清浄化する空気清浄装置において、送風機2を、気流の流れ方向に沿う軸回りに回転する羽根車22を有する軸流送風機とし、イオン生成器3を、送風機2よりも気流の流れ方向上流側に配した構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正イオン及び負イオンを放出し、放出空間内の空気を清浄化する空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向の高まりに応じて、居住空間内の空気を清浄化することを目的とする空気清浄装置が広く使用されている。空気清浄装置は、種々の構成にて実用化されており、そのうちの1つとして、正イオン及び負イオンを居住空間に放出し、該居住空間内に浮遊する細菌、ウイルスを不活性化し、また臭い成分を分解除去せしめて、居住空間の空気を清浄化するように構成された空気清浄装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この空気清浄装置は、外筐の内部に設けた送風路内に送風機及びイオン生成器を備えている。送風路は、外筐に開設された吸気口と送気口とを連絡するように設けてある。送風機は、モータ駆動により回転する羽根車を備えており、該羽根車の回転により、前記送風路の内部に気流を発生させる。イオン生成器は、対向電極間に高圧交流の駆動電圧を印加してプラズマ放電を生ぜしめ、空気中の水分子を帯電させて、H+ (H2 O)m (正イオン)と、O2 - (H2 O)n (負イオン)を生成する。
【0004】
空気清浄装置は、設置された室内の空気を、送風機の動作により吸気口から送風路内に吸い込み、該送風路内を流れて送気口を経て室内に送り出す。イオン生成器により生成される正イオン及び負イオン(以下、単にイオンという)は、送風路内の気流によって搬送され、送気口を経て室内に放出され、該室内の全体に行き渡り、細菌、ウイルス、各種の臭い成分等に付着してOHラジカルに変化し、付着物から水素を抜き取り、該付着物を分解又は不活性化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−55960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように構成された空気清浄装置は、居住空間内に放出されたイオンが、細菌、ウイルス、臭い成分等に作用して、これらを分解又は不活性化させることで空気を清浄化することから、清浄化効果を高めるためには、イオンの放出量を可及的に多くする必要がある。一方、イオン生成器が生成するイオンは、気流中に混在して送風路内を流れる際に、該送風路の各部と接触して消滅し易いという問題がある。
【0007】
従来の空気清浄装置においては、気流中に混在するイオンは、送風機の羽根車と衝突し易いことに着目し、更に、送風路の内壁に対するイオンの衝突も有効に回避することを目的として、送風機の下流側で、送風路の末端に開口する送気口の近くにイオン生成器を配置し、該イオン生成器が生成するイオンを無駄なく放出できるようにしている。
【0008】
しかしながら、イオン生成器は、対向電極間でのプラズマ放電によりイオンを生成するように構成されており、イオン生成動作に伴って放電音を発生することが避けられず、前述したように、送気口の近くにイオン生成器を配置した場合、該イオン生成器が発生する放電音の多くが送気口を経て室内に漏れ出すこととなる。
【0009】
空気清浄装置は、一般的に、夜間、就寝中等、静寂な環境下においても使用される機器であり、室内に漏れ出す放電音が多い場合、この漏れ出し音が耳障な騒音として使用者に聴取され、使用感の悪化を招来するという問題がある。
【0010】
なおイオン生成器の発生音は、送風機の発生音(駆動用のモータの動作音、羽根車の風切り音等)に比較して小さいが、送風機の発生音は、回転速度を低くする等、運転条件の変更により低減し得るのに対し、イオン生成器の発生音は、イオン生成に不可欠な放電に起因する音であることから、運転状態の変更により低減することはできず、使用感の悪化を招来するという問題があった。
【0011】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、送風路内でのイオンの消滅を防止しながら、イオン生成器が発生する放電音の外部への漏れ出しを有効に低減し、高い清浄化機能と静粛な運転とを両立することが可能な空気清浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る空気清浄装置は、吸気口及び送気口とこれらを連絡する送風路とが設けられた外筐の内部に送風機及びイオン生成器を備え、該イオン生成器が前記送風路内に生成するイオンを、前記送風機の動作により前記吸気口から前記送気口に向けて流れる気流によって搬送し、前記送気口を経て前記外筐の設置空間に放出して、該設置空間内の空気を清浄化する空気清浄装置において、前記送風機は、前記気流の流れ方向に沿う軸回りに回転する羽根車を有する軸流送風機であり、前記イオン生成器は、前記送風機よりも前記気流の流れ方向上流側に配してあることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、送風路内でのイオン生成器の配設位置を、送風機よりも気流の流れ方向上流側、即ち、送気口から離れた位置に設定し、イオン生成器が発生する放電音が送気口を経て外部に漏れ出すことを防止し、静粛な運転を実現する。イオン生成器が生成するイオンは、気流と共に送風路内を流れる間に、イオン生成器よりも下流側に配した送風機の羽根車及び送風路の内壁と接触するが、送風機は、流れ方向に沿う軸回りに回転する羽根車を有する軸流送風機であり、羽根間の流路面積が大きく、直線状の送風路内での配置が可能であるから羽根車及び送風路の内壁との接触によるイオンの消滅を軽微に抑え、イオンの放出量を十分に確保して所望の清浄化効果を実現することができる。
【0014】
また本発明に係る空気清浄装置は、前記送風路の内部の前記イオン生成器よりも前記気流の流れ方向下流側に吸音手段を備えることを特徴とする。
【0015】
この発明においては、イオン生成器が発生する放電音を下流側に設けた吸音手段により吸収し、外部への漏れ出し音を抑制して、一層静粛な運転を可能とする。
【0016】
また本発明に係る空気清浄装置は、前記吸音手段が、前記羽根車の前記気流の流れ方向上流側への対向面の少なくとも一部に吸音材を被着して構成してあることを特徴とする。
【0017】
この発明においては、軸流送風機の羽根車の気流の流れ方向上流側への対向面、具体的には、羽根車及びハブ部の前面の一部又は全部に吸音材を被着し、効果的な吸音が可能な吸音手段を簡素な構成にて実現する。
【0018】
また本発明に係る空気清浄装置は、前記外筐が、前記吸気口を備える吸気筐と、前記送気口と前記送風機及びイオン生成器の取付け部とを備える送気筐とを着脱可能に連結して構成してあることを特徴とする。
【0019】
この発明においては、吸気筐と送気筐とを分離し、送気筐の各別の取付け部に取付けたイオン生成器に対する接触を可能とし、点検、保守のための作業を容易にする。
【0020】
また本発明に係る空気清浄装置は、前記送風機の取付け部が、前記吸気筐との連結部に面して設けてあり、前記イオン生成器の取付け部が、前記送風機の取付け部から前記吸気筐内に向けて突設してあることを特徴とする。
【0021】
この発明においては、送気筐内での送風機の取付け部が、吸気筐との連結部に面して設けてあり、使用者は、吸気筐と送気筐とを分離することで、送風機の状態確認、及び送風機への接触が可能であり、点検、保守作業を容易に実施することができる。イオン生成器は、送風機の取付け部から吸気筐内に向けて突設された取付け部に取付けてあり、吸気筐の内部で送風機の上流側に配置される。吸気筐と送気筐とを分離した場合、イオン生成器は、送気筐と共に吸気筐から離れ、使用者は、イオン生成器の状態確認、及びイオン生成器への接触が可能であり、点検、保守作業を容易に実施することができる。
【0022】
また本発明に係る空気清浄装置は、前記イオン生成器が、着脱可能に取付けてあることを特徴とする。
【0023】
この発明においては、イオン生成器を取付け部から取外し、例えば、対向電極の清掃等の繊細な作業を安定した状態で実施することができる。
【0024】
また本発明に係る空気清浄装置は、前記吸気筐の内部に着脱可能に取付けてあり、前記吸気口を覆う集塵フィルタを備えることを特徴とする。
【0025】
この発明においては、吸気口を覆う集塵フィルタを吸気筐の内部に取付け、吸気筐と共に分離可能とする。集塵フィルタは、吸気口を経て送風路内に進入しようとする塵埃を捕捉する。塵埃の捕捉により目詰まりした集塵フィルタは、吸気筐と共に持ち運び、分離した状態で着脱することで、簡易に、しかも周囲を汚さずに交換することができる。
【0026】
また本発明に係る空気清浄装置は、前記集塵フィルタが、前記イオン生成器よりも前記気流の流れ方向上流側に配してあることを特徴とする。
【0027】
この発明においては、吸気口から集塵フィルタを経て送風路内に吸い込まれ、該送風路内を流れる気流の略全量がイオン生成器の配設位置を通るから、イオン生成器が生成するイオンの略全量を送気口を経て設置空間に放出することができ、イオンの作用による清浄化効果を良好に実現することができる。
【0028】
また本発明に係る空気清浄装置は、前記吸気筐と前記送気筐との連結を検出する検出手段と、該検出手段が非検出状態にあるとき、前記イオン生成器及び送風機の動作を禁じる手段とを備えることを特徴とする。
【0029】
この発明においては、吸気筐と送気筐とが分離されている場合、検出手段の非検出に応じてイオン生成器及び送風機の動作が禁止される。従って、分離した状態で実施される点検、保守作業中に、不用意な操作によりイオン生成器及び送風機が動作する虞れがなく、安全な作業を行わせることができる。
【0030】
更に、本発明に係る空気清浄装置は、前記検出手段が、前記吸気筐及び送気筐の一方に取付けてあり、他方との接触によりオンする接触スイッチであることを特徴とする。
【0031】
この発明においては、吸気筐及び送気筐の一方に取付けた接触スイッチが他方と接触してオンするから、両筐の連結を簡素な構成で検出し、非連結時にイオン生成器及び送風機の動作を禁じる安全対策を確実に実施することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る空気清浄装置においては、送風路内に気流を発生する送風機の上流側にイオン生成器を配したから、イオン生成器が発生する放電音が送風路の下流端に開口する送気口を経て外部に漏れ出すことを有効に防止することができる上、前記送風機を軸流送風機としたから、羽根間の流路面積を十分に確保し、また送風路を直線状として、イオン生成器が生成するイオンの接触による消滅を軽微に抑え、送気口からのイオンの放出量を十分に確保することができ、静粛な運転と良好な空気清浄効果とを両立することが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施の形態に係る空気清浄装置の外観を略示する斜視図である。
【図2】実施の形態に係る空気清浄装置の内部構成を略示する正面断面図である。
【図3】実施の形態に係る空気清浄装置の内部構成を略示する側断面図である。
【図4】吸気筐を分離した状態を示す断面図である。
【図5】送気筐を分離した状態を示す断面図である。
【図6】他の実施の形態に係る空気清浄装置の内部構成を略示する側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、実施の形態に係る空気清浄装置の外観を略示する斜視図、図2は、実施の形態に係る空気清浄装置の内部構成を略示する正面断面図、図3は、同じく側断面図である。
【0035】
図2、図3に示すように、空気清浄装置は、外筐1の内部に、送風機2及びイオン生成器3を備えている。外筐1は、矩形断面の中空筒形をなす吸気筐10と送気筐11とを、夫々の一端部を同軸上に整合させ、相互に連結して構成されている。
【0036】
吸気筐10と送気筐11との連結は、例えば、一方の連結側端部の周縁の複数箇所に弾性変形可能な係合爪(図示せず)を突設し、他方の連結側端部の周縁に前記係合爪の夫々と対応する係合凹部(図示せず)を設けて、各係合爪を対応する係合凹部に係合させることにより実現されている。この連結は、適宜の操作により容易に解除することができ、吸気筐10と送気筐11とは、着脱可能である。
【0037】
図2に示すように、吸気筐10の他端部には、略全面に開口する吸気口12が設けてある。また吸気筐10の内部には、集塵フィルタ13が取付けてある。該集塵フィルタ13は、有底筒状をなすフィルタホルダ14に、底面の略全部、及び底面に連続する周面の一部を形成するように、一体又は別体に保持されている。フィルタホルダ14は、他側の外面に周設されたフランジ14aを備えており、図2に示すように集塵フィルタ13は、フィルタホルダ14のフランジ14aを吸気筐10の開口部内面に周設された鍔部10a上に載置することにより、吸気筐10の内部で、前記吸気口12の全面を覆うように取付けられている。
【0038】
吸気口12と同側の吸気筐10の外面には、4隅の夫々に支持脚15が突設されている。空気清浄装置は、図2及び図3に示すように、支持脚15の夫々により、吸気筐10を下とし、送気筐11を上とした起立姿勢で載置面A上に支持した状態で使用される。このとき、吸気筐10に設けた吸気口12は、載置面Aの上方に、支持脚15の高さ分だけ離隔した状態で対向する。載置面Aは、床面、机又は棚の天面、空気清浄装置を設置する室内で適宜に選定される。
【0039】
一方、送気筐11の内部には、円筒形の通気ダクト16が同軸をなすように固定してあり、送気筐11の他端部には、通気ダクト16の一端に整流用のグリッドを備えて構成された送気口17が開設されている。
【0040】
前記送風機2は、単寸の円筒形をなすハウジング20、該ハウジング20の中心部に同軸的に固設されたモータ21、及び該モータ21の出力端に取付けた羽根車22とを備える軸流送風機であり、ハウジング20を通気ダクト16に内嵌固定し、図2、図3に示すように、羽根車22が吸気筐10との連結側に位置するように取付けてある。
【0041】
送風機2の羽根車22は、モータ21の駆動により回転し、ハウジング20の内部に、下方から上方に向けて軸方向に流れる気流を発生する。これにより吸気筐10内には、図2中に矢符により示す如く、下端に開口する吸気口12を経て外気が吸い込まれ、吸い込まれた外気は、吸気口12の内側を覆う集塵フィルタ13を通り、塵埃を捕捉、除去された状態で上方に流れて送風機2に達し、該送風機2により上方に送り出され、通気ダクト16の上端に開口する送気口17を経て外部に送り出される。
【0042】
羽根車22のハブ及び羽根の下面、即ち、気流の流れ方向上流側への対向面には、夫々の略全面に吸音材23が被着してある。吸音材23は、例えば、グラスウール、ロックウールをシート状に成形してなる多孔質材であり、ハブ及び羽根への接着により取付けてある。これらの吸音材23は、気流中に伝播する音波の音エネルギを吸収し、下流側への伝播を抑制する作用をなす。
【0043】
前記イオン生成器3は、一面に間隔を隔てて一対の対向電極30,31を備え、これらの間に高圧交流の駆動電圧を印加してプラズマ放電を生ぜしめ、周辺の空気中の水分子を帯電させて、略同量の正イオンと負イオンとを生成する公知の構成を有しており、送気筐11の連結側端部に突設された支持体32により支持し、対向電極30,31が吸気筐10の内部に位置するように取付けてある。
【0044】
図3に示すように、支持体32は、先端部に係合爪33を備え、該係合爪33と対向するように基部に止め板34を備えており、イオン生成器3は、係合爪33と止め板34との間に挾持した状態で取付けてある。止め板34には、以上のように取付けられたイオン生成器3に接触する給電突起35が設けてあり、イオン生成器3の対向電極30,31間には、給電突起35からの給電により駆動電圧が印加されるようになしてある。
【0045】
イオン生成器3は、駆動電圧の印加により動作し、対向電極30,31が位置する吸気筐10の内部に正イオン及び負イオンを生成する。生成されたイオンは、吸気筐10内を前述の如く流れる通気により搬送され、通気ダクト16及び送気口17を経て外部に送り出される。
【0046】
このように送り出される正イオン及び負イオンは、空気清浄機が設置された室の内部に分散して全体に行き渡り、空気中に含まれる細菌、ウイルス、各種の臭い成分等に付着してOHラジカルに変化し、付着物から水素を抜き取り、該付着物を分解又は不活性化させて、前記室内の空気を清浄化する。
【0047】
イオン生成器3の配設位置には、集塵フィルタ13の通過により塵埃を除去された空気が流れる。イオン生成器3が生成する正イオン及び負イオンは、塵埃を含まない清浄な空気と共に室内に送り出され、該室内の空気は、正イオン及び負イオンの前述した作用と、集塵フィルタ13による塵埃の除去とにより効果的に清浄化される。
【0048】
集塵フィルタ13は、フィルタホルダ14を介して吸気筐10の内部で吸気口12の全面を覆うように取付けてあり、図2に示すように、イオン生成器3よりも気流の流れ方向上流側に位置している。従って、イオン生成器3の配設位置には、吸気口12から集塵フィルタ13を経て吸い込まれる気流の略全量が通ることとなり、イオン生成器3が生成する正イオン及び負イオンは、気流と共に送気口17を経て確実に放出され、正イオン及び負イオンの作用による前述した清浄化効果を良好に実現することができる。
【0049】
イオン生成器3は、イオン生成動作時に、対向電極30,31間のプラズマ放電に伴う放電音を発生する。この放電音は、吸気筐10及び送気筐11内の通気ダクト16を経て送気口17に達し、該送気口17から放出されるが、イオン生成器3は、送風機2よりも気流の流れ方向上流側に配してあり、送気口17から離れて位置するから、該送気口17を経て設置室内に漏れ出す放電音を低減することができる。
【0050】
また送風機2の羽根車22には、前述の如く吸音材23が被着してあり、イオン生成器3が発生する放電音は、下流側に位置する吸音材23により吸収されるから、送気口17から設置室内に漏れ出す放電音を更に低減することが可能となり、静粛な運転が可能となる。吸音材23は、前述の如く、気流の上流側への羽根車22の対向面の略全面に被着してあり、気流が流れる送風路の略全域を占めるから、吸音材23による放電音の吸収は効果的になされ、漏れ出し音の低減効果を高めることができる。なお、吸音材23は、ハブのみ、羽根のみ等、羽根車22の一部にのみ被着してもよい。
【0051】
イオン生成器3が生成するイオンは、前述の如く搬送される過程で、下流側の各部(送風機2の羽根車22、通気ダクト16の内面等)に接触し、この接触により消滅する虞れがあるが、送風機2は、軸流送風機であり、羽根車22の羽根間の流路面積が大きく、また通気ダクト16を含む送風路を、図示の如く直線状とすることができるから、イオン生成器3が生成するイオンの消滅を軽微に抑え、送気口17からのイオンの放出量を十分に確保して、高い清浄化機能を維持することができる。
【0052】
以上の如く構成された空気清浄装置において、吸気筐10内の集塵フィルタ13は、運転中に捕捉した塵埃により目詰まりし、また送風機2及びイオン生成器3には、集塵フィルタ13を通過した細かい塵埃、又は運転休止中に他部から侵入した塵埃が付着することから、これらの点検、保守が必要である。
【0053】
実施の形態の空気清浄装置においては、外筐1を構成する吸気筐10と送気筐11とが着脱自在に連結されており、集塵フィルタ13、送風機2及びイオン生成器3の点検、保守は、吸気筐10と送気筐11とを分離して実施することができる。
【0054】
図4は、吸気筐10を分離した状態を示す断面図である。図示のように集塵フィルタ13及びフィルタホルダ14は、吸気筐10と共に取外し、図中に矢符により示すように、送気筐11との連結側開口から容易に着脱することができる。この着脱は、目詰まりした集塵フィルタ13を交換するために実施される。集塵フィルタ13の交換は、吸気筐10と共に適宜の場所に持ち運んで実施することができ、交換に際して集塵フィルタ13に捕捉された塵埃が脱落し、周辺を汚す虞れを回避することができる。
【0055】
図5は、送気筐11を分離した状態を示す断面図である。前述したように、イオン生成器3の支持体32は、送気筐11の連結側端部に突設されていることから、イオン生成器3は、送気筐11と共に取り外すことができ、使用者は、送気筐11の外側でイオン生成器3を把持し、支持体32に対して容易に着脱することができ、例えば。対向電極30,31に付着した塵埃を除去する等の繊細な保守作業を、支持部32からイオン生成器3を取外した状態で容易に実施することができる。支持体32は、図5中に2点鎖線により示すように、撓み変形が可能な弾性体としてあり、イオン生成器3の着脱は、支持体32を撓ませて係合爪33の係合を解除することで容易に実施することができる。
【0056】
また送風機2は、送気筐11の連結部近傍に、該連結部に面して取付けてある。従って使用者は、図5に示す分離状態において、送風機2の各部、特に、羽根車22に対し、送気筐11の連結側の開口から容易に接近することができ、羽根車22の点検作業、羽根表面に付着した塵埃の除去等の保守作業を容易に実施することができる。
【0057】
図3、図5に示すように、送気筐11の連結側端部には、通気ダクト16の外側に接触スイッチ4が取付けてある。該接触スイッチ4は、吸気筐10の連結側に向けて突出するスイッチ片40を有している。このスイッチ片40は、図3に示すように、送気筐11が吸気筐10と連結された状態においては、吸気筐10の一部、より詳しくは、吸気筐10内に取付けたフィルタホルダ14のフランジ14aに接触する。接触スイッチ4は、この状態でオンし、吸気筐10と送気筐11とが連結状態にあることを検出する検出手段として機能する。
【0058】
接触スイッチ4のスイッチ片40は、送気筐11が分離された場合には、吸気筐10との接触解除により、図5に示す如く突出する。接触スイッチ40は、この状態でオフし、非検出状態となる。空気清浄装置は、このような非検出状態にあるとき、運転、より詳しくは、送風機2及びイオン生成器3の動作を禁止する。従って、前述した点検、保守作業中に送風機2及びイオン生成器3が動作する虞れがなく、安全に作業を実施することができる。
【0059】
送風機2及びイオン生成器3の動作禁止は、接触スイッチ40のオン、オフ信号が与えられる運転制御部の動作により実現してもよく、また接触スイッチ40を、送風機2及びイオン生成器3の給電回路中に介装し、接触スイッチ40のオフにより電力供給が遮断される構成により実現してもよい。更に、吸気筐10と送気筐11とが連結状態にあることを検出する検出手段は、接触スイッチ40以外の適宜のセンサにより構成してもよい。
【0060】
図6は、他の実施の形態に係る空気清浄装置の内部構成を略示する側断面図である。本図に示す空気清浄装置は、送風機2の羽根車22だけでなく、吸気筐10内のフィルタホルダ14の外面、及び送気筐11内の通気ダクト16の外面にも吸音材23が被着してある。フィルタホルダ14には、イオン生成機3よりも気流の流れ方向下流側の周壁に多数の貫通穴18が形成してあり、吸音材23は、貫通穴18の形成領域の外面全周に被着してある。また通気ダクト16には、送風機2の嵌着部よりも気流の流れ方向下流側の周壁に多数の貫通穴19が形成してあり、吸音材23は、貫通穴19の形成領域の外面全周に被着してある。
【0061】
このように設けられた吸音材23は、イオン生成器3が発生する放電音を、貫通穴18又は19を経て吸収するから。羽根車22に設けられた吸音材23との相乗作用により、送気口17を経て外部に漏れ出す音を効果的に低減し、静粛な運転を実現することができる。吸音材23は、以上の形態に限らず、イオン生成器3よりも下流側の送風路内に適宜に設けることができる。また放電音を吸収する吸音手段は、吸音が可能な適宜の構成により実現することができるが、実施の形態に示すように設けられる吸音材23は、設置が容易であり、また気流の流れを乱さない点で好ましい。
【符号の説明】
【0062】
1 外筐
2 送風機
3 イオン生成器
4 接触スイッチ
10 吸気筐
11 送気筐
12 吸気口
13 集塵フィルタ
17 送気口
22 羽根車
23 吸音材(吸音手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口及び送気口とこれらを連絡する送風路とが設けられた外筐の内部に送風機及びイオン生成器を備え、該イオン生成器が前記送風路内に生成するイオンを、前記送風機の動作により前記吸気口から前記送気口に向けて流れる気流によって搬送し、前記送気口を経て前記外筐の設置空間に放出して、該設置空間内の空気を清浄化する空気清浄装置において、
前記送風機は、前記気流の流れ方向に沿う軸回りに回転する羽根車を有する軸流送風機であり、前記イオン生成器は、前記送風機よりも前記気流の流れ方向上流側に配してあることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項2】
前記送風路の内部の前記イオン生成器よりも前記気流の流れ方向下流側に吸音手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄装置。
【請求項3】
前記吸音手段は、前記羽根車の前記気流の流れ方向上流側への対向面の少なくとも一部に吸音材を被着して構成してあることを特徴とする請求項2に記載の空気清浄装置。
【請求項4】
前記外筐は、前記吸気口を備える吸気筐と、前記送気口と前記送風機及びイオン生成器の取付け部とを備える送気筐とを着脱可能に連結して構成してあることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の空気清浄装置。
【請求項5】
前記送風機の取付け部は、前記吸気筐との連結部に面して設けてあり、前記イオン生成器の取付け部は、前記送風機の取付け部から前記吸気筐内に向けて突設してあることを特徴とする請求項4に記載の空気清浄装置。
【請求項6】
前記イオン生成器は、着脱可能に取付けてあることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の空気清浄装置。
【請求項7】
前記吸気筐の内部に着脱可能に取付けてあり、前記吸気口を覆う集塵フィルタを備えることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1つに記載の空気清浄装置。
【請求項8】
前記集塵フィルタは、前記イオン生成器よりも前記気流の流れ方向上流側に配してあることを特徴とする請求項7に記載の空気清浄装置。
【請求項9】
前記吸気筐と前記送気筐との連結を検出する検出手段と、該検出手段が非検出状態にあるとき、前記イオン生成器及び送風機の動作を禁じる手段とを備えることを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか1つに記載の空気清浄装置。
【請求項10】
前記検出手段は、前記吸気筐及び送気筐の一方に取付けてあり、他方との接触によりオンする接触スイッチであることを特徴とする請求項8に記載の空気清浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−237458(P2012−237458A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104668(P2011−104668)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)