説明

空気清浄装置

【課題】空気中に含まれる汚染物質や臭気成分などの除去効率が高く、かつ水に溶け込ませた汚染物質や臭気成分などの分解効率が高い空気清浄装置の提供。
【解決手段】空気清浄装置1は、吸入口3と吹出口5とを備えた筐体2と、ロータ7と、回転軸8と、ロータ7を回転させる回転駆動装置9と、清浄ファン10と、加熱装置12と、再生ファン11と、再生用空気中の水分を結露させる熱交換器13と、再生用空気を加熱装置12へ誘導する流路21と、結露水を貯水する貯水用容器14と、貯水用容器14内側の底面から外側へ配置された電解用電極16と、電源17と、電源17と電解用電極16とを繋ぐ接点19と、を有する。貯水用容器14は熱交換器13の下部に配置され、電解用電極16が配置された貯水用容器14内側の底面が最も低くなるよう配置することで、効率良く空気中の親水性物質を分解除去することが可能な空気清浄装置を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中に含まれる汚染源や悪臭源となる親水性物質を処理するための空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気清浄装置としては、空気中に含まれる汚染物質や悪臭物質を水に溶解、濃縮し、水中で分解する空気清浄装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、水を満たした処理槽に空気を小さな気泡として送出し、空気中に含まれる成分を水へ溶け込ませ、その水を電気分解させることによって生成される次亜塩素酸やオゾンなどの活性酸素により、水に溶け込ませた成分を分解処理する空気清浄システムが開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、空気中の水分を補足する水補足手段(除湿ユニット)により補足した水の中に溶存する臭気成分を、水浄化手段(放電または光触媒)により発生させた活性種を、補足した水に吹き込み分解/除去する空気浄化装置が開示されている。また、水浄化手段を水中に設け、水中放電により発生させた活性種により水に溶存する臭気成分を分解/除去する空気清浄装置の可能性を示唆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−322371号公報
【特許文献2】特開2009−142593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来技術であっても、空気中に含まれる汚染物質や臭気成分(本発明の親水性物質に相当する)などの除去効率が悪い、あるいは水に溶け込ませた汚染物質や臭気成分などの分解効率が悪いという課題があり、未だ改善の余地があった。
【0007】
例えば、特許文献1の技術では、水を満たした処理槽に空気を小さな気泡として送出し、空気中に含まれる成分を水へ溶け込ませているが、空気中に含まれる成分は、空気が気泡として水中を通っている間に気泡表面からしか水に溶け込まないため、溶け込む量が少なく、除去効率が悪いという課題があり、未だ改善の余地があった。
【0008】
また、特許文献2の技術では、水捕捉手段(除湿ユニット)により捕捉した水の中に溶存する臭気成分を、水浄化手段(放電または光触媒)により発生させた活性種を、捕捉した水に吹き込み分解/除去するとしているが、発生させた活性種を含む空気が気泡として水中を通っている間に気泡表面でしか水に溶存する臭気成分と反応しないため、分解量が少なく、分解効率が悪いという課題があり、未だ改善の余地があった。
【0009】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、空気中に含まれる汚染物質や臭気成分などの除去効率が高く、かつ水に溶け込ませた汚染物質や臭気成分などの分解効率が高い空気清浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、少なくとも一対の電解用電極が貯水用容器内側の底面から外側へ配置された貯水用容器を、電解用電極が配置された貯水用容器の底面が最も低くなるよう熱交換器の下部に配置することが、上記従来技術の有する課題を解決する上で極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明は、独立した吸入口と吹出口とを備えた筐体と、筐体内に、通気性を有し互いに対向する一対の開口面を有する平板状の基材と、結合剤と、基材表面上に結合剤によって結合される吸着剤と、で構成されるロータと、一対の開口面に対して略垂直に設けられた回転軸を備え、回転軸を中心にロータを回転させる回転駆動装置と、清浄するための清浄用空気をロータへ供給する清浄ファンと、再生用空気およびロータを加熱する加熱装置と、加熱された再生用空気をロータへ供給する再生ファンと、ロータを通過した再生用空気に含まれる親水性物質が溶解した水分を冷却し結露させる熱交換器と、熱交換器を通過した再生用空気を加熱装置へ誘導する流路と、熱交換器で結露した結露水を貯水し筐体から着脱可能な貯水用容器と、貯水用容器内側の底面から貯水用容器外側へ配置された少なくとも一対の電解用電極と、電解用電極へ電圧をかける電源と、電源と電解用電極とを繋ぐ接点と、を有しており、貯水用容器は熱交換器の下部に配置され、電解用電極が配置された貯水用容器内側の底面が最も低くなるよう配置した、空気清浄装置を提供する。
【0012】
本発明の空気清浄装置は、ロータが空気中の親水性物質(汚染物質や臭気成分など)を水とともに吸着し、加熱脱着された親水性物質が、同時に加熱脱着された水蒸気が熱交換器で結露されるときに結露水に溶け込むため、効率良く空気中の親水性物質を除去することができ、また、親水性物質が溶け込んだ結露水を直接電気分解することで発生した活性種が水中を自由に移動できるため、水中の親水性物質を効率良く分解することができる。
【0013】
また、本発明の空気清浄装置においては、特に、貯水用容器に加熱手段を設けることが好ましい。さらに、本発明の空気清浄装置においては、特に、貯水用容器に加湿手段を設けることが好ましい。また、本発明の空気清浄装置においては、特に、貯水用容器に電気伝導率計を設けることが好ましい。
【0014】
また、本発明の空気清浄装置においては、さらに、集塵フィルタを設けることが好ましい。さらに、本発明の空気清浄装置においては、さらに、脱臭フィルタを設けることが好ましい。
【0015】
また、本発明の空気清浄装置においては、特に、吸着剤はシリカ/アルミナ比が2.0〜5.0のゼオライトであることが好ましい。さらに、本発明の空気清浄装置においては、特に、結合剤は無機系結合剤であることが好ましい。また、本発明の空気清浄装置においては、特に、基材は無機繊維からなるハニカム構造体であることが好ましい。
【0016】
また、本発明の空気清浄装置においては、さらに抗菌剤が基材表面もしくは吸着剤表面に結合剤により結合されていることが好ましい。さらに、本発明の空気清浄装置においては、特に、抗菌剤は無機系抗菌剤であることが好ましい。
【0017】
また、本発明の空気清浄装置においては、さらに有機物分解触媒が基材表面もしくは吸着剤表面に結合剤により結合されていることが好ましい。さらに、本発明の空気清浄装置においては、特に、有機物分解触媒は白金系触媒を含む有機物分解触媒が好ましい。また、本発明の空気清浄装置においては、特に、有機物分解触媒は遷移金属酸化物を含む有機物分解触媒が好ましい。
【0018】
また、本発明の空気清浄装置においては、特に、貯水用容器に水中の塩化物イオン濃度センサを設けることが好ましい。さらに、本発明の空気清浄装置においては、さらに報知手段を設け、塩化物イオン濃度センサが水中の塩化物イオン濃度5mg/L未満を検知すると、報知手段により報知されることが好ましい。
【0019】
また、本発明の空気清浄装置においては、特に、報知手段は可聴音を出力する可聴音発生装置であることが好ましい。さらに、本発明の空気清浄装置においては、特に、報知手段は可視光を発光する発光ダイオードであることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明の空気清浄装置によれば、効率良く空気中の親水性物質を除去することができ、また、結露水中の親水性物質を効率良く分解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の空気清浄装置の第1実施形態の基本構成を示す模式図
【図2】図1のRの部分の拡大図
【図3】図2のR1の部分の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の空気清浄装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0023】
(第1実施形態)
以下、図1を用いて本発明の空気清浄装置の第1実施形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明の空気清浄装置の第1実施形態の基本構成を示す模式図である。また、図2は、図1のRの部分の拡大図である。さらには、図3は、図2のR1の部分の拡大図である。
【0025】
図1に示すように、第1実施形態の空気清浄装置1は、主として、吸入口3と吹出口5とを有する筐体2と、ロータ7と、ロータ7の開口面に対して略垂直に設けられる回転軸8と、回転軸8を中心にロータ7を回転させる回転駆動装置9と、ロータ7へ向けて清浄用空気を供給するための清浄ファン10と、再生用空気およびロータ7を加熱する加熱装置12と、ロータ7を通過した再生空気を結露させる熱交換器13と、熱交換器13を通過した再生用空気を再び加熱装置12へ導く流路21と、再生用空気を加熱装置12、熱交換器13、流路21と循環させるため流路21内に設置された再生ファン11と、熱交換器13で結露した水を貯水する少なくとも一対の電解用電極16が内側の底面から外側へ配置され筐体2から着脱可能な貯水用容器14と、電解用電極16へ電圧をかけることができる電源17と、電源17と貯水用容器14外側の電解用電極16とを繋ぐ取り外し可能な接点19とから構成されている。
【0026】
また、本発明の効果をより確実に得るという観点から、吸入口3の風下側に、吸入した空気中に含まれる粉塵を化学的または物理的に除去できる集塵フィルタ18を配置することが好ましい。さらには、本発明の効果をより確実に得るという観点から、吸入口3の風下側に、吸入した空気中の臭気成分を化学吸着、物理吸着、分解などで除去できる脱臭フィルタ(図示せず)を配置することが好ましい。
【0027】
なお、必要に応じて、熱交換器13と貯水用容器14との繋ぎ目を塞ぐ密閉手段15や、回転駆動装置9、清浄ファン10、再生ファン11、加熱装置12、電源17を制御する制御部(図示せず)を設けることが好ましい。
【0028】
まず、ロータ7について説明する。ロータ7は、清浄用空気に含まれる親水性物質および水分を除去して浄化された乾燥空気を作り出す部材であり、互いに対向する一対の開口面20aと開口面20bとを有する平板状で、開口面20aと開口面20bは連通しているため、開口面に対して略垂直に通気性を有する構造である。清浄用空気は、ロータ7の開口面の180〜330°程度を流れ、再生用空気は残りの30〜180°程度を流れる。
【0029】
なお、本発明における親水性物質とは、水に可溶である揮発性有機化合物(以下、VOCと記す)や悪臭物質を示し、VOCとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどで、悪臭物質としては、例えば、アンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化ジメチル、二硫化ジメチル、酢酸エチル、プロピオン酸、アミン類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、酪酸類、吉草酸類等が挙げられる。
【0030】
次に、清浄ファン10および再生ファン11について説明する。清浄ファン10は、ロータ7に清浄用空気を流すための気流を作り出す役割をし、図1に示すようにロータ7の風下側に設置される場合、引っ張りファンが用いられる。なお、ロータ7の風上側に設置(図示せず)し、押し込みファンを用いても同様の効果が得られる。また、ロータ7の風上側および風下側に二つの清浄ファンを設置してもよい。
【0031】
さらに、清浄ファン10は、熱交換器13に熱交換用空気を流すための気流を作り出す役割も兼ねる。図1では、熱交換器13とロータ7とを直列に配置することで、集塵フィルタ18を通過した清浄用空気は、熱交換器13を通過後、ロータ7の開口面20aに流れ込む様子を示しているが、熱交換器13とロータ7とを並列に配置する、すなわち熱交換器13を流れる風路とロータ7を流れる風路とに分離して熱交換器13とロータ7へ流し込み、それぞれ熱交換器13とロータ7を通過した空気を合わせて吹出口5から排気しても良い。
【0032】
再生ファン11は、親水性物質および水分を含んだロータ7を再生させるため、加熱装置12により100℃〜600℃程度に加熱した再生用空気をロータ7に流し、熱交換器13、流路21を通り、再度、加熱装置12へ戻る循環気流を作り出す役割をする。再生ファン11は、再生用空気が流れるロータ7の風下側、ロータ7の風上かつ加熱装置12の風下側、ロータ7および加熱装置12の風上側のいずれかの場所に設置されるが、本発明の効果をより確実に得るという観点から、図1に示すようにロータ7および加熱装置12の風上側の流路21内に設置されることが好ましい。このようにすることで、再生ファン11が高温に晒されることが無いため、熱劣化を防ぐことができる。
【0033】
なお、清浄ファン10、再生ファン11ともに公知のファンを用いることができる。このようなファンは、シロッコファン、ターボファン、プロペラファン、クロスフローファン、貫流ファン等が挙げられ、特に限定されるものではない。なお、清浄ファン10および再生ファン11は、制御部(図示せず)により、空気の流量を制御することが可能である。
【0034】
また、図1中では、清浄用空気と再生用空気とが対向して流れる場合を示しているが、清浄用空気と再生用空気が並行して流れる場合でも同様の効果が得られる。
【0035】
次に、回転駆動装置9について説明する。回転駆動装置9は、回転軸8を中心としてロータ7を回転させる部材である。図1では、ロータ7の側面に配置しており、また形状も円柱で示しているが、場所、形状ともに特に限定されるものではなく、公知の方法でロータ7を回転させることが可能である。また、回転駆動装置9もモータなどの公知の回転駆動装置を用いることができ、特に限定されるものではない。なお、本発明の効果をより確実に得るという観点から、回転駆動装置9は制御部(図示せず)により、ロータ7の回転数が制御可能であることが好ましい。これにより、ロータ7を略一定回転数で回転させることができるため、安定した空気清浄能力を有する空気清浄装置1を実現できる。
【0036】
次に、加熱装置12について説明する。加熱装置12は、ロータ7の風上側に配置され、再生用空気を所定の温度まで高める部材である。熱ロスを防ぐという観点から、加熱装置12は、ロータ7に接触しない範囲で出来るだけ近づけて配置することが好ましい。また、加熱装置12は、ヒータなどの公知の加熱装置を用いることができ、特に限定されるものではない。また、制御部(図示せず)により、加熱装置12への入力電力を制御することが可能であり、清浄用空気の流量や再生用空気の流量、ロータ7の回転数に応じて最適な入力電力を設定することができる。
【0037】
なお、加熱装置12にPTCヒータを用いると、再生温度を略一定に保持することができるため、より安全な空気清浄装置を実現することができる。また、再生ファン11を調整し、再生用空気を所定の流量に設定することで、入力電力を略一定に自己制御することができる。これにより、親水性物質および水分の除去率を制御することができる。したがって、清浄用空気に含まれる親水性物質の量に応じて、入力電力を制御することができるため、省エネ性の高い空気清浄装置を実現することができる。
【0038】
次に、熱交換器13について説明する。熱交換器13は、親水性物質および水分を含んだロータ7を再生させるため、加熱装置12により所定温度まで加熱した再生用空気をロータ7に流し、ロータ7から放出された水蒸気と、吸入口3から吸い込んだ空気と熱交換し、水蒸気を結露させる部材である。また、このときロータ7から放出される親水性物質が結露水に溶け込む。なお、熱交換器13は公知の熱交換器を用いることができ、特に限定されるものではない。
【0039】
次に、貯水用容器14について説明する。貯水用容器14は、熱交換器13の下部に配置され、熱交換器13で生成した親水性物質が溶け込み、重力に従い落下してきた結露水を貯水し、その貯水した水の電気分解を行うことで活性種を発生させ、それにより水に溶け込んだ親水性物質の分解を行う容器の役割をする部材である。なお、活性種とは、次亜塩素酸、オゾン、過酸化水素、スーパーオキシドラジカル、ヒドロキシラジカルなどを示す。
【0040】
貯水用容器14内側の底面の一部には少なくとも一対の電解用電極16が配置されており、電解用電極16は貯水用容器14外側へ繋がっている。貯水用容器14の底面は筐体2の底面に対して斜めに配置され、熱交換器13から流入する結露水が電解用電極16の設置されている底面へ優先的に結露水が貯まるように構成されている。なお、貯水用容器14の大きさ、形状などは特に限定されず、公知のものを用いることができる。
【0041】
また、本発明の効果をより確実に得るという観点から、貯水用容器14には加熱手段(図示せず)を設けることが好ましい。これは、電気分解により生成した活性種による親水性物質の一種であるホルムアルデヒドを分解する分解速度は、温度が高い方が速いため、加熱手段により貯水用容器14内の水の温度を上げるためである。なお、加熱手段はヒータなどの公知の加熱手段を用いることができ、特に限定されるものではない。
【0042】
さらには、貯水用容器14には加湿手段(図示せず)を設けてもよい。これにより、空気清浄装置1の連続運転を行っても、使用場所の湿度が低下することがないため好ましい。この場合、貯水用容器14内を、電気分解を行い発生した活性種で親水性物質を分解する水が存在する箇所と、分解を終えた水を貯水する箇所の二箇所に分割し、加湿手段は分解を終えた水を貯水する箇所に設ける必要がある。なお、加湿手段は超音波振動子による超音波加湿や、気化式加湿、ヒータ等を用いた加熱加湿などの公知の加湿手段を用いることができ、特に限定されるものではない。
【0043】
また、貯水用容器14には電気伝導率計(図示せず)を設けてもよい。特に、貯水用容器14内側の底面、電解用電極16近傍に設置することが好ましい。これにより、貯水用容器14内の水の有無を検知できるため、電解用電極16への電圧負荷を自動的に入り切りでき、好ましい。なお、電気伝導率計は公知の電気伝導率計を用いることができ、特に限定されるものではない。
【0044】
さらには、本発明の効果をより確実に得るという観点から、貯水用容器14には塩化物イオン濃度センサ(図示せず)を設けることが好ましく、また、貯水用容器14に設置された塩化物イオン濃度センサ(図示せず)が貯水用容器14内の水中の塩化物イオン濃度5mg/L未満を検知すると、報知を行う報知手段(図示せず)を配置することが好ましい。塩化物イオン濃度を5mg/L以上に維持することで、電気分解により生成する活性種のうち、次亜塩素酸をより効率良く生成させることができるため、親水性物質のうち特にホルムアルデヒドやアンモニアなどの成分を効率良く分解することができる。そこで、貯水用容器14内の水中の塩化物イオン濃度5mg/L未満を検知したことを報知することで、例えば、貯水用容器14に水道水を添加するなどの措置を講じることができるため、好ましい。
【0045】
また、本発明の効果をより確実に得るという観点から、報知手段は可聴音を出力する可聴音発生装置が好ましい。これにより、空気清浄装置1から離れた場所に居る人に対しても、貯水用容器14の水中の塩化物イオン濃度5mg/L未満を検知したことを報知することができる。なお、可聴音を出力する可聴音発生装置は、ブザーなど公知の可聴音発生装置を用いることができる。さらには、本発明の効果をより確実に得るという観点から、報知手段は可視光を発光する発光ダイオードが好ましい。これにより、貯水用容器14の水中の塩化物イオン濃度5mg/L未満を検知したことを視覚的に報知することができる。なお、可視光を発光する発光ダイオードは、公知の発光ダイオードを用いることができる。
【0046】
次に、電解用電極16について説明する。電解用電極16は、正極と負極の2つの電極を一対としており、貯水用容器14内側の底面の一部から貯水用容器14外側へ配置されている。電解用電極16は、貯水用容器14の壁面に穴を開け、その部分を通して外側へ配置してもよいし、貯水用容器14の壁面に沿って這わせ、貯水用容器14上側から外側へ配置させてもよい。また、電解用電極16は、貯水用容器14内側の底面や壁面に接触していることが好ましい。なお、電解用電極16は公知の電極を用いることができ、形状、材質などは特に限定されない。
【0047】
電源17は、20V程度の直流電圧を発生させることが可能な公知の直流電源を用いることができる。電源17と電解用電極16は、貯水用容器14の外側で接点19により繋がれている。接点19は、例えば、磁石で構成されており、比較的軽い力で着脱可能で、貯水用容器14を筐体2から取り出すときに、接点19で取り外しができる。なお、接点19は磁石に拘ることなく、導電性を有し、比較的軽い力で着脱可能な公知のものを用いることができ、磁力ではなく、物理的な繋ぎ方でもよい。
【0048】
さらに、図2と図3を用いて、第1実施形態のロータ7および該ロータ7を構成する基材31と、該基材31を構成するシート41、吸着剤42、結合剤43について、さらに詳しく説明する。ロータ7は、図2と図3に示すように、平型シート32と波型シート33が交互に積層された基材31と、基材31を構成する平型シート32あるいは波型シート33のシート41表面に結合剤43によって結合された吸着剤42とから構成されている。
【0049】
まず、基材31について説明する。図2に示す基材31は、後述する吸着剤42を支持する支持体となる部材であり、平型シート32と波型シート33を交互に積層したハニカム構造体である。シート41は、ポリエステル繊維やパルプ繊維などの有機繊維あるいはガラス繊維やシリカ繊維、ロックウール繊維などの無機繊維から形成される織布または不織布である。本発明の効果をより確実に得るという観点から、再生用空気を100℃以上に加熱して使用する場合、耐熱性の高い無機繊維が好ましい。次にシート41を波型加工することで波型シート33が作製でき、波型加工を施さない平型シート32と波型シート33の凸の部分とで接着した後、長手方向へ巻いていくことで作製することができる。さらに、吸着剤42の基材31への担持は、ハニカム構造体を作製後、吸着剤42と結合剤43とを混合したスラリーを作製し、例えばディップ法やスプレー法などで担持を行っても良いし、同様の方法で事前にシート41に担持を行った後、あるいはシート41作製時に吸着剤42と結合剤43とを混合したシート41を作製後、ハニカム構造体を作製しても良い。
【0050】
次に、吸着剤42について説明する。吸着剤42は、基材31を構成するシート41表面に後述する結合剤43によって結合され、配置されており、空気中に含む親水性物質や水分を吸着することで空気中から親水性物質や水分を除去して、浄化された乾燥空気を作り出す役割をする部材である。また、吸着剤42は、ある温度および親水性物質の分圧あるいは水の分圧で吸着可能な容量が決まっており、親水性物質および水分子を吸着し続けていくと飽和に達し、吸着できなくなる。しかしながら、吸着剤42の温度を上げたり、親水性物質の分圧あるいは水の分圧を低くしたりすることで、吸着した親水性物質および水分を脱着させ、再び親水性物質および水分を吸着することが可能となる状態に再生しうるものである。
【0051】
吸着剤42としては、シリカゲル、ゼオライト、セピオライト、イモゴライト、メソポーラスシリカ、活性炭、吸湿性高分子などが挙げられる。親水性物質および水分を同時に吸脱着可能で、かつ吸脱着容量が大きく、吸脱着速度が速く、また100℃以上の温度差で吸脱着を繰り返しても比較的構造が壊れにくいゼオライトが最適である。本発明の効果をより確実に得るという観点から、ゼオライトはシリカ/アルミナ比が2.0〜5.0のゼオライトを用いることが好ましい。シリカ/アルミナ比が5.0を超えると、一般的には疎水性ゼオライトと称され、水分を吸着しにくくなるため、親水性物質を水に溶け込ませて除去することが難しくなる。なお、理論上、シリカ/アルミナ比が2.0未満のゼオライトは製造できない。
【0052】
また、吸着剤42は、代表径が0.5μm〜50μm程度の粉末固体を使用することが好ましい。また、空隙率は30〜90%程度が好ましい。なお、図3では吸着剤42の形状を球状で記述しているが、球状に限定されるものではない。また、それぞれの吸着剤42粒子が、同じ大きさである必要も無い。
【0053】
吸着剤42のロータ7への担持量は、ロータ7の単位体積(1L)あたり、20〜200g程度が好ましい。吸着剤42の担持量が、20g/L以上であると、十分に空気清浄性能を発揮することができ、200g/L以下であれば、吸着剤42がロータ7から剥離することを抑えることができるという点で好ましい。
【0054】
次に、結合剤43について説明する。結合剤43は、図3に示すように、吸着剤42とシート41とを結合する、あるいは吸着剤42同士を結合する(図示せず)役割をする部材で、これらは物理的な結合あるいは化学的な結合あるいはアンカー効果による結合により結合されている。結合剤43は、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾルおよび水ガラス、ケイ酸リチウム、ケイ酸カルシウム等のケイ酸塩やリン酸アルミニウムなどのリン酸塩などの無機系結合剤やポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂などの有機系結合剤が挙げられる。
【0055】
結合剤43は、本発明の効果をより確実に得るという観点から、無機系結合剤が好ましく挙げられる。特に、上述した中でも、入手の容易性、取り扱いの簡便性などからコロイダルシリカが好ましい。また、コロイダルシリカの中でも、環境面への配慮から、水系溶媒に分散されたコロイダルシリカが、特に好ましい。
【0056】
また、図中では結合剤43はシート41全表面を覆うように示しているが、すべて覆う必要はなく、吸着剤42がシート41表面に固定されるために必要な量で結合されていれば良い。
【0057】
結合剤43の添加量は、吸着剤42と結合剤43との合計質量に対して、1〜30質量%とすることが好ましい。特に、結合剤43を水系溶媒に分散されたコロイダルシリカを使用する場合、吸着剤42と結合剤43の合計質量に対する結合剤43の添加量を5〜15質量%とすることが好ましい。吸着剤42と結合剤43の合計質量に対する結合剤43の添加量が5質量%以上であると密着性をより確実に得ることができるため、好ましい。吸着剤42と結合剤43の合計質量に対する結合剤43の添加量が15質量%以下であると、吸着剤42の水分子の吸脱着を妨げにくいという点で好ましい。
【0058】
さらには、ロータ7には抗菌剤(図示せず)を添加してもよい。これにより、ロータ7に除菌、防カビの効果が付与できるため、相対湿度の高い場所での使用でもロータ7が菌に汚染されたり、カビが生えたりすることが無く、空気清浄装置1から菌やカビを吹き出すことを防止できる。
【0059】
この抗菌剤としては、吸着剤42の表面やシート41の表面上、あるいは結合剤43の表面上に分散でき、抗菌効果を得ることができるものであれば特に限定されず、公知の抗菌剤を添加してよい。このような抗菌剤としては、例えば、ワサビなどの有機系の抗菌剤と、銀・亜鉛・銅などの無機系の抗菌剤とがある。耐熱性や耐酸化性などの耐久性という観点から、無機系の抗菌剤を使用することが好ましい。無機系の抗菌剤としては、東亞合成社製の銀系無機抗菌剤「商品名:ノバロン」やシナネンゼオミック社製の無機抗菌剤「商品名:ゼオミック」などが好ましく挙げられる。これらの抗菌剤には防カビ効果も期待できるので好ましい。
【0060】
ここで、吸着剤42と抗菌剤の合計質量に対する抗菌剤の添加量は0.1〜5質量%とすることが好ましい。吸着剤42と抗菌剤の合計質量に対する抗菌剤の添加量が0.1質量%以上であると抗菌性をより確実に得ることができるため、好ましい。吸着剤42と抗菌剤の合計質量に対する抗菌剤の添加量が5質量%以下であると、吸着剤42の水分の吸脱着を妨げにくいという点で好ましい。
【0061】
また、ロータ7には有機物分解触媒(図示せず)を添加してもよい。これにより、ロータ7に有機物分解効果を付与できるため、疎水性のため結露水に溶け込ませて除去できないVOCや悪臭物質を分解することできる。このようなVOCとしては、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレンなどが挙げられる。また、ロータ7から脱着できずロータ7に残留した親水性物質を分解することもできる。有機物分解触媒としては、吸着剤42の表面やシート41の表面上、あるいは結合剤43の表面上に分散でき、有機物分解効果を得ることができるものであれば特に限定されず、公知の有機物分解触媒を添加してよい。このような有機物分解触媒としては、例えば、白金属に属し触媒作用を有する元素でルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの白金系触媒や、マンガン、コバルト、ニッケル、銅などの周期表の3族〜12族へ属する遷移元素の金属酸化物あるいは複合金属酸化物が挙げられる。
【0062】
特に、白金系触媒の場合、扱いやすさや入手のしやすさ、触媒活性の高さなどの観点から、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムを用いることが好ましい。また、遷移金属酸化物の場合、扱いやすさや入手のしやすさ、触媒活性の高さなどの観点から、マンガンを主体として、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛からなる群より選択される少なくとも一種の遷移金属元素を構成成分として含む複合酸化物が好ましい。
【0063】
ここで、吸着剤42と有機物分解触媒との合計質量に対する有機物分解触媒の添加量は、白金系触媒の場合、0.1〜5質量%とすることが好ましい。吸着剤42と白金系触媒との合計質量に対する白金系触媒の添加量が0.1質量%未満であると、触媒量が少ないため有機物分解効果が発揮されにくく、白金系触媒の添加量が5質量%を超えると、吸着剤42の水分子の吸脱着を妨げてしまい、親水性物質が溶け込むための結露水が少なくなり、親水性物質を除去しにくくなるからである。
【0064】
また、遷移金属酸化物の場合、吸着剤42と有機物分解触媒との合計質量に対する有機物分解触媒の添加量は、5〜30質量%とすることが好ましい。吸着剤42と遷移金属酸化物との合計質量に対する遷移金属酸化物の添加量が5質量%未満であると、触媒量が少ないため有機物分解効果が発揮されにくく、遷移金属酸化物の添加量が30質量%を超えると、吸着剤42の水分子の吸脱着を妨げてしまい、親水性物質が溶け込むための結露水が少なくなり、親水性物質を除去しにくくなるからである。
【0065】
本実施形態の空気清浄装置1は、以上説明したように、少なくとも一対の電解用電極16が貯水用容器14内側の底面から外側へ配置された貯水用容器14を、電解用電極16が配置された貯水用容器の底面が最も低くなるよう熱交換器の下部に配置することで、効率良く空気中の親水性物質を除去することができ、また、結露水中の親水性物質を効率良く分解することができる。
【0066】
次に、本実施形態のロータ7の製造方法の一例について説明する。
【0067】
まず、所定量の吸着剤42を容器中で水に分散させた後、予め水に分散された結合剤43を吸着剤42の水分散体が入った容器へ所定量添加し、攪拌を継続する(分散工程)。この分散方法は特に限定されず公知の粉末の水への分散方法を用いて行うことができる。例えば、ビーカーに吸着剤42を所定量投入し、次に所定量の水を投入した後、スターラなどの攪拌装置を用いて撹拌を行うことで、吸着剤42を水に分散させる。さらに、その攪拌中のビーカーに予め水に分散された結合剤43を所定量添加し、撹拌を続けることで、吸着剤42と結合剤43とを水に分散させる。
【0068】
ここで、結合剤43は、予め水に1〜20質量%程度で分散されたコロイダルシリカを用いることが好ましく、吸着剤42と結合剤43との合計質量に対する結合剤43の添加量は、5〜15質量%とすることが好ましい。
【0069】
なお、投入する水の量は吸着剤42および結合剤43が十分に分散できるだけの量を投入する。さらには、攪拌は、吸着剤42および結合剤43が水に十分に分散するまで継続し、吸着剤42を200g程度、結合剤43を10g程度分散させた水溶液を1.5L程度用いる場合、1〜3時間程度が好ましい。
【0070】
さらには、抗菌剤を添加する場合、分散工程で添加することが好ましい。分散工程における抗菌剤の投入は、いずれのタイミングで行ってもよい。また、吸着剤42と抗菌剤の合計質量に対する抗菌剤の割合が、0.1〜5質量%となるように抗菌剤の投入量を調整することが好ましい。本操作により、最終得られるロータ7に含まれる吸着剤42と抗菌剤の合計質量に対して抗菌剤の添加量を0.1〜5質量%とすることができる。
【0071】
また、有機物分解触媒を添加する場合、分散工程で添加することが好ましい。分散工程における有機物分解触媒の投入は、いずれのタイミングで行ってもよい。また、吸着剤42と有機物分解触媒の合計質量に対する有機物分解触媒の割合が、白金系触媒の場合、0.1〜5質量%とすることが好ましい。本操作により、最終得られるロータ7に含まれる吸着剤42と有機物分解触媒の合計質量に対して有機物分解触媒の添加量を0.1〜5質量%とすることができる。また、遷移金属酸化物の場合、吸着剤42と有機物分解触媒との合計質量に対する有機物分解触媒の添加量は、5〜30質量%とすることが好ましい。本操作により、最終得られるロータ7に含まれる吸着剤42と有機物分解触媒の合計質量に対して有機物分解触媒の添加量を5〜30質量%とすることができる。
【0072】
次に、分散工程で得られた分散溶液に、図2に示す基材31を浸漬し、基材31に吸着剤42と結合剤43とを含む分散溶液を担持させ、余剰の分散溶液を除去する(担持工程)。この担持方法は特に限定されず、公知の分散溶液の基材への担持方法を用いて行うことができる。また、基材31も公知の基材を用いることができる。公知の基材としては、例えばニチアス社製の吸着剤担持基材「商品名:ハニクル」が利用可能である。
【0073】
例えば、バットに入れた分散溶液に基材31を浸漬させた後、エアーブロー等で余剰の分散溶液を吹き飛ばすことで、吸着剤42と結合剤43とを含む適切な量の分散溶液を基材31表面へ付ける。このとき、直径が200mmで厚さが15mmの円柱状の基材31を用いた場合、エアーブロー後に基材31の自重の1〜2倍程度の分散溶液を含ませることが好ましい。
【0074】
次に、担持工程で得られた分散溶液を含ませた基材31の水分を蒸発させるため、高温で乾燥させる(高温乾燥工程)。この高温乾燥方法は特に限定されず公知の高温乾燥方法を用いて行うことができる。温度は150〜200℃程度が好ましい。
【0075】
例えば、180℃に保持した恒温槽へ入れることで乾燥することができる。このとき、基材31に高温空気を通気させながら乾燥させると、乾燥時間を短縮することができる。なお、高温乾燥時間は、直径が200mmで厚さが15mmの円柱状の基材31を用いて、基材31に通気をさせない場合、2〜5時間程度が好ましい。
【0076】
また、必要に応じて、高温乾燥工程で得られた基材31の焼成を行う(焼成工程)。この焼成方法は特に限定されず公知の焼成方法を用いて行うことができる。例えば、直径が200mmで厚さが15mmの円柱状の基材31を用いる場合、基材31を焼成炉に入れ、100℃/hの昇温速度で昇温を行い、500℃程度で5〜10時間保持する。
【0077】
このようにして、ロータ7を得ることができる。なお、本発明のロータ7は、本実施形態での製造方法で製造されたロータ7に限定されるものではない。また、本実施形態では吸着剤42と結合剤43との分散溶媒に水を用いたが、吸着剤42と結合剤43とを分散させることが可能な有機溶剤を用いても同等の効果を有するロータ7が得られる。
【0078】
次に、本実施形態の空気清浄装置1の動作方法の一例について説明する。
【0079】
清浄ファン10を作動させることで、筐体2の吸入口3から空気清浄装置1周囲の親水性物質および水分を含む清浄用空気が筐体2内へ流れ込み、集塵フィルタ18をとおり、0.1μm程度以上のホコリや花粉、ダニアレルゲンなどの多くが除去される。なお、集塵フィルタと並列あるいは直列で脱臭フィルタ(図示せず)を配置すると、脱臭フィルタにより親水性や疎水性の臭気成分の多くが除去される。
【0080】
集塵フィルタ18を通過した清浄用空気は、熱交換器13を通り、そこで再生用空気と熱交換を行い、ロータ7の開口面20aからロータ7に流れ込み、ロータ7で親水性物質および水分が除去され、ロータ7の開口面20bから浄化された乾燥空気として排気され、吹出口5を通り、筐体2外部へ排気される。なお、図1では集塵フィルタ18を通過した清浄用空気は、熱交換器13を通過後、ロータ7の開口面20aに流れ込む様子を示しているが、熱交換器13を流れる風路とロータ7を流れる風路とに分離して熱交換器13とロータ7へ流し込み、それぞれ熱交換器13とロータ7を通過した空気を合わせて吹出口5から排気しても良い。
【0081】
一方、ロータ7の親水性物質および水分を吸収した箇所は、回転駆動装置9によって、回転軸8を中心に回転し、加熱装置12の風下側へ移動する。ここで、再生ファン11を作動させることで、再生用空気が循環し始め、流路21内の空気が加熱装置12で所定温度まで加熱され、ロータ7の開口面20bへ流れ込み、ロータ7に担持され、親水性物質および水分を吸着した吸着剤42が加熱され、親水性物質および水分を脱着し、親水性物質および水分を含んだ再生用空気がロータ7の開口面20aから流れ出し、熱交換器13へ流れていく。これにより、ロータ7は再生され、再び親水性物質および水分を吸着可能な状態となる。
【0082】
また、親水性物質と水分とを含んだ空気は、熱交換器13で清浄用空気と熱交換され、熱交換器13内部表面上で水分が結露し、その過程で親水性物質の一部が結露水に溶け込み、貯水用容器14に貯まる。親水性物質と水分とが除去された空気は、流路21を通り、再び加熱装置12へ入り再生用空気として利用されるという循環を行う。
【0083】
したがって、これら一連の動作を連続的に繰り返すことで、連続的に清浄空気を得ることができる。
【0084】
次に、貯水用容器14に溜まった結露水に含まれる親水性物質の分解について説明する。
【0085】
熱交換器13で結露した水は重量により貯水用容器14に落下する。貯水用容器14を筐体2の底面に対して斜めに配置するなどの措置が講じられているため、貯水用容器14内側の電解用電極16が設置されている箇所から優先的に結露水が貯まり、貯水用容器14内に少しでも水があれば電気分解が可能となる。
【0086】
このとき、貯水用容器14内側の底面に電気伝導率計(図示せず)が設置されていれば、貯水用容器14内に水が無い場合は電源17が切れており、水を検知したときに自動的に電源17が入る。
【0087】
電源17により水の電気分解に必要な電圧を電解用電極16に負荷することで、貯水用容器14に貯まった親水性物質が溶け込んだ結露水の電気分解が行われる。なお、貯水用容器14内の水の塩化物イオン濃度が5mg/L以上になるよう、貯水用容器14に水道水などを予め入れておくことが好ましい。これにより、次亜塩素酸をより多く生成することができるため、特にホルムアルデヒドなどのアルデヒド類を効率良く分解することができる。なお、塩化物イオン濃度が5mg/L未満でも、オゾンやヒドロキシラジカルなどの活性種が生成されるため、親水性物質を分解することができる。
【0088】
また、結露水が貯まっていくと濃度が薄められるため、塩化物イオン濃度が低下する。また、時間の経過とともに水中から気中へ、例えば塩素として出ていく塩化物イオンがあるため、塩化物イオン濃度は低下する。このとき、塩化物イオン濃度センサと報知手段が設置されていれば、貯水用容器14の水中の塩化物イオン濃度が5mg/L未満となった場合、報知手段により報知され、水道水を添加する、食塩を添加するなどして、水中の塩化物イオン濃度を向上させる手段を講じることができる。
【0089】
貯水用容器14に貯まった水を捨てる、あるいは貯水用容器14に水道水などを補給する場合は、例えば貯水用容器14を横方向に引き出すことで、接点19で電解用電極16が外れ、取り出すことができる。また、貯水用容器14を筐体2内へ戻す場合は、取り出す場合と逆の動作を行うことで、電解用電極16が接点19で繋がり、また貯水用容器14と熱交換器13がゴムパッキンなどの密閉手段15で密閉され、筐体2内に収納される。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上のように、本発明の空気清浄装置は、ロータにより空気中の水分を吸着し、熱交換器により結露水として取り出すことができるので、連続的に除湿ができる除湿装置として利用することができる。
【0091】
また、本発明の空気清浄装置は、加湿手段を設けることにより、加湿装置あるいは調湿装置として利用することができる。
【0092】
さらには、本発明の空気清浄装置は、VOC分解装置あるいは脱臭装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 空気清浄装置
2 筐体
3 吸入口
5 吹出口
7 ロータ
8 回転軸
9 回転駆動装置
10 清浄ファン
11 再生ファン
12 加熱装置
13 熱交換器
14 貯水用容器
15 密閉手段
16 電解用電極
17 電源
18 集塵フィルタ
19 接点
20a 開口面
20b 開口面
21 流路
31 基材
32 平型シート
33 波型シート
41 シート
42 吸着剤
43 結合剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
独立した吸入口と吹出口とを備えた筐体と、
前記筐体内に、通気性を有し互いに対向する一対の開口面を有する平板状の基材と、結合剤と、前記基材表面上に前記結合剤によって結合される吸着剤と、で構成されるロータと、
前記一対の開口面に対して略垂直に設けられた回転軸を備え、
前記回転軸を中心に前記ロータを回転させる回転駆動装置と、
清浄するための清浄用空気を前記ロータへ供給する清浄ファンと、
再生用空気および前記ロータを加熱する加熱装置と、
加熱された再生用空気を前記ロータへ供給する再生ファンと、
前記ロータを通過した再生用空気に含まれる親水性物質が溶解した水分を冷却し結露させる熱交換器と、
前記熱交換器を通過した再生用空気を前記加熱装置へ誘導する流路と、
前記熱交換器で結露した結露水を貯水し前記筐体から着脱可能な貯水用容器と、
前記貯水用容器内側の底面から前記貯水用容器外側へ配置された少なくとも一対の電解用電極と、
前記電解用電極へ電圧をかける電源と、
前記電源と前記電解用電極とを繋ぐ接点と、
を有しており、
前記貯水用容器は前記熱交換器の下部に配置され、前記電解用電極が配置された前記貯水用容器内側の底面が最も低くなるよう配置した空気清浄装置。
【請求項2】
前記貯水用容器に加熱手段を備えた請求項1に記載の空気清浄装置。
【請求項3】
前記貯水用容器に加湿手段を備えた請求項1または2に記載の空気清浄装置。
【請求項4】
前記貯水用容器に電気伝導率計を備えた請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気清浄装置。
【請求項5】
集塵フィルタを備えた請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気清浄装置。
【請求項6】
脱臭フィルタを備えた請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気清浄装置。
【請求項7】
前記吸着剤はシリカ/アルミナ比が2.0〜5.0のゼオライトである請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気清浄装置。
【請求項8】
前記結合剤は無機系結合剤である請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気清浄装置。
【請求項9】
前記基材が無機繊維からなるハニカム構造体である請求項1〜8のいずれか1項に記載の空気清浄装置。
【請求項10】
抗菌剤が前記基材表面もしくは前記吸着剤表面に前記結合剤により結合されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の空気清浄装置。
【請求項11】
前記抗菌剤は無機系抗菌剤である請求項10に記載の空気清浄装置。
【請求項12】
有機物分解触媒が前記基材表面もしくは前記吸着剤表面に前記結合剤により結合されている請求項1〜11のいずれか1項に記載の空気清浄装置。
【請求項13】
前記有機物分解触媒は白金系触媒を含む請求項12に記載の空気清浄装置。
【請求項14】
前記有機物分解触媒は遷移金属酸化物を含む請求項13に記載の空気清浄装置。
【請求項15】
前記貯水用容器に水中の塩化物イオン濃度センサを備えた請求項1〜14のいずれか1項に記載の空気清浄装置。
【請求項16】
報知手段を備え、前記塩化物イオン濃度センサが水中の塩化物イオン濃度5mg/L未満を検知すると、前記報知手段により報知される請求項1〜15のいずれか1項に記載の空気清浄装置。
【請求項17】
報知手段が可聴音を出力する可聴音発生装置である請求項16に記載の空気清浄装置。
【請求項18】
報知手段が可視光を発光する発光ダイオードである請求項16に記載の空気清浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−55501(P2012−55501A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201659(P2010−201659)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】