説明

空気調和機の吹出口に備えたルーバー構造

【課題】空気流の吹出方向を変更したときに確実に対象物に向けて送風できる空気調和機のルーバー構造に関する。
【解決手段】枠体1内に配置した空気流路2の端に空気吸込口3と空気吹出口4を設け、空気流路2内に送風ファン5を設ける。空気吹出口4は枠体1内で上方に向かって開口し、空気吹出口4より上方の枠体1の上面と前面上部に開口部1aを設け、開口部1aに上ルーバー6aと下ルーバー6bと風向板6cで構成するルーバー枠体6取り付ける。空気吹出口4から上方に向かう空気流は、上ルーバー6aが開口部1aの上面側を開口するときは、上ルーバー6aと下ルーバー6bとの間隔7に流入し風向板6cで制御された空気流が吹き出し、上ルーバー6aが開口部1aの上面側を塞ぐときは、下ルーバー6bによって間隔7への空気流が阻止され、上ルーバー6aの下面で流れを変え、風向板6cで制御されない空気流が枠体1前方に吹き出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、除湿機などの空気調和機の吹出口に備えた風向を変更するルーバーの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機は枠体に空気吸込口と空気吹出口とを設け、空気吸込口から空気吹出口に至る空気流路には送風ファンを取り付け、送風ファンによって空気吸込口から室内空気を取り入れ、空気流路を流れて空気調和された空気を空気吹出口から室内に吹き出すことによって室内空気の空気調和を行う構造となっている。そして、空気吹出口には風向変更用のルーバーが設けられ、ルーバーによって空気吹出口から吹き出す風を任意の方向に向けることができるようになっている(特許文献1参照)。
【0003】
このような空気調和機には、枠体内に冷凍サイクルを備えた室内空気を除湿する除湿機があり、除湿機は、室内を除湿する目的の他に、室内に干した洗濯物の乾燥や、押し入れや靴箱などの湿気の発生しやすい収納空間を乾燥するときにも利用されるようになっている。このため、それぞれの用途に応じてルーバーの角度を変更して調和空気の吹き出し方向を調節している。
【特許文献1】特開2001−254970号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような除湿機において、洗濯物の乾燥を行うときは、乾燥空気を直接洗濯物にあてる必要があるため、吹出方向を左右に変更するルーバーを備え、洗濯物の量によって左右方向の吹出角度や吹出幅を変更できるようにすることで、洗濯物の乾燥を効率よく行うことができる。
一方、押し入れや靴箱など狭い収納空間の乾燥を行うときは、収納空間の外に空気調和機を設置し、空気吹出口から吹き出す乾燥空気を収納空間へ送るものであるが、吹き出し方向を左右に変更するルーバーを備えていると、左右方向のルーバーのセットを忘れたまま収納空間の乾燥に使用することがあり、乾燥空気が一部だけしか収納空間内に送り込まれなるため、収納空間の乾燥を効率よく行うことができず、電力を無駄に消費してしまうことになる。
【0005】
このため、室内の除湿や洗濯物の乾燥をするときは、ルーバーによって吹き出し角度や吹き出し幅が容易に調節でき、収納空間の乾燥を行うときには、乾燥空気を確実に収納空間へ送ることのできる構造が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記の課題を解決するもので、枠体1内に空気流路2を配置し、該空気流路2の端に空気吸込口3と、空気吹出口4とを設け、空気吸込口3から空気吹出口4に至る空気流路2に空気流を作り出す送風ファン5を設けた空気調和機において、前記空気吹出口4は枠体1内で上方に向かって開口し、空気吹出口4より上方の枠体1前面上部と枠体1上面との連続するコーナー部に開口部1aを形成し、該開口部1aには前記空気吹出口4から上方へ向かう空気流を枠体1上方と枠体1前方との間で可変するルーバー枠体6を回動自在に取り付け、該ルーバー枠体6は、前記開口部1aの枠体1上面側の全体を覆う大きさの上ルーバ6aと、該上ルーバー6aの下面に間隔7をあけて上ルーバー6aと略平行に配置した下ルーバー6bと、上ルーバー6aと下ルーバー6bとの間隔7に配置されて左右に可動自在に設けた複数の風向板6cとで構成し、前記上ルーバー6aが開口部1aの枠体1上面側を開口する回動位置では、前記下ルーバー6bの後縁が前記開口部1aの上方に位置し、空気吹出口4から上方に向かう空気流は上ルーバー6aと下ルーバー6bとの間隔7を通過し、前記風向板6cによって風向きを制御された空気流が開口部1aから吹き出し、前記、上ルーバー6aが開口部1aの枠体1上面側を塞ぐ回動位置では、前記空気吹出口4から上方に向かう空気流は、前記下ルーバー6bによって前記間隔7への流入が阻止され、前記上ルーバー6aの下面で流れを変え、前記風向板6cで制御されない空気流が開口部1aから枠体1前方に吹き出すことを特徴とする。
【0007】
また、前記空気吹出口4は前記開口部1aより前後方向の長さを短くして、枠体1前面側に寄せて配置し、前記下ルーバー6bは前記上ルーバー6aより前後方向の長さを短くして、前記ルーバー枠体6の後部側に寄せて配置すると共に、下ルーバー6bの前縁位置と風向板6cの前縁位置とを一致させ、前記上ルーバー6aが開口部1aの枠体1上面側を塞ぐ回動位置では、下ルーバー6bが前記空気吹出口4より後方の上面板4aと対向する構成としたから、空気吹出口4から上方へ向かう空気流が間隔7へ向かうことがなく、上ルーバー6aによって枠体1前方へ調和空気を吹き出すことができる。
【0008】
また、前記風向板6cの後縁位置は前記下ルーバー6bの後縁位置よりも長くして、前記上ルーバー6aが開口部1aの枠体1上面側を開口する回動位置では、風向板6cの後縁位置が下ルーバー6bの後縁位置よりも空気吹出口4側に位置する構成としたから、空気吹出口4から上方へ向かう空気流が風向板6cに誘導されて間隔7へ向かいやすくなり、風向板6cによって制御された風が吹き出すことができる。
【0009】
また、前記ルーバー枠体6には複数の風向板6cを連結する連結部材8を取付け、複数の風向板6cが連動して同一方向を向く風向板ユニットUを構成し、2つの風向板ユニットUをルーバー枠体6内に左右に並べて配置し、2つの風向板ユニットUの隣接する2枚の風向板6c’に取り付けて、2つの風向板ユニットUを連結するユニット連結部材9を設け、2つの風向板ユニットUはユニット連結部材9によって連動して互いに逆方向を向くことにより、一枚の風向板6cを動かせば、一度に複数枚の風向板6cが動くから調和空気の吹き出し幅の変更を素早く簡単に行うことができるものとなった。
【発明の効果】
【0010】
この発明は、枠体1内で上方に向かって開口する空気吹出口4を設け、空気吹出口4の上方の枠体1上面と前面上部とが連続するコーナー部に開口部1aを設け、開口部1aに上ルーバー6aと下ルーバー6bと風向板6cで構成したルーバー枠体6を取り付けたものである。
室内の除湿や洗濯物の乾燥を行うときは、上ルーバー6aが開口部1aの上面側を開口して、空気吹出口4から吹き出す空気流が枠体1の上方もしくは斜め前方に向かうようにしており、このときに下ルーバー6bの後縁が空気吹出口4の上方に位置するから、空気吹出口4から上方へ向かう空気流が上ルーバー6aと下ルーバー6bとの間隔7に向かい、風向板6cによって流れが制御できるものであり、上調和空気の上下方向と左右方向の吹き出し角度を任意に変更することができる。
【0011】
一方、収納空間の除湿を行うときは、上ルーバー6aが開口部1aの上面側を閉じるようにルーバー枠体6をセットして枠体1の前方に向かうようにしており、空気吹出口4から上方に向かう空気流は下ルーバー6bの下面で遮られて間隔7への流入が阻止され、下ルーバー6bの上方へ向かう空気流は上ルーバー6aの下面にあたって方向を変えて開口部1aから枠体1前方へ吹き出すものである。このように、開口部1aの上面側が閉じられたときは風向板6cの向きに関係なく調和空気を枠体1の前方へ真っ直ぐ吹き出すことができ、収納空間の乾燥を行うときに風向板6cの向きを調整する必要はなくなり、使用者が風向板6cの調整を忘れても、確実に収納空間へ調和空気を送ることができるものとなった。
【0012】
また、下ルーバー6bは上ルーバー6aよりも前後方向の長さを短くして、ルーバー枠体6の後部側に寄せて配置すると共に、風向板6cの前縁位置と下ルーバー6bの前縁位置を一致させており、空気吹出口4は開口部1aより前後方向を短くして枠体1の前面側に寄せて配置しており、上ルーバー6aが開口部1aの上面側を閉じるようにセットしたときに、下ルーバー6bが空気吹出口4より後方の上面板4aと対向する位置に収納され、風向板6cと下ルーバー6bが空気吹出口4の上方に突出しない構造としている。このため、空気吹出口4から上方へ向かう空気流は下ルーバー6bや風向板6cにあたることなく上ルーバー6aの下面に届くので、間隔7への流入を確実に阻止して風向板6cに制御されない空気流が形成でき、枠体1の前方へ真っ直ぐ吹き出すことができるものとなった。
【0013】
また、風向板6cの後縁位置を下ルーバー6bの後縁位置より長くして、上ルーバー6aが開口部1aの上面側が開口するようにセットしたときに風向板6cの後縁が下ルーバー6bの後縁より空気吹出口4の近くに位置するようにしたから、空気吹出口4から上方へ向かう空気流は下ルーバー6bより先に風向板6に誘導されて間隔7へ向かうので、開口部1aから吹き出す風を確実に風向板6cで制御できるものとなった。
【0014】
また、複数の風向板6cを連結部材8によって連結した風向板ユニットUを構成し、ルーバー枠体6内には2つの風向板ユニットU1・U2を左右に並べて配置し、風向板ユニットU1・U2の隣接する側の2枚の風向板6c’をユニット連結部材9で連結しており、2つの風向板ユニットU1・U2はユニット連結部材9によって連動して互いに逆方向を向くように構成している。このため、一方の風向板ユニットUの風向板6cを外側へ向けると他方の風向板ユニットUの風向板6cも外側へ向き、逆に一方の風向板ユニットUの風向板6cを内側へ向けると、他方の風向板ユニットUの風向板6cも内側へ向くから、1枚の風向板6cの向きを変更するだけで調和空気の吹き出し幅を広げたり、狭めたりすることができ、操作性を向上することができた。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施例を示す除湿機の縦断面図である。
【図2】この発明の実施例を示すルーバー枠体が閉じた状態を示す断面図である。
【図3】この発明の実施例を示すルーバー枠体が開いた状態を示す断面図である。
【図4】この発明の実施例を示すルーバー枠体が開いた状態を示す上面図である。
【図5】この発明の実施例を示す風向板を外側に向けた状態を示す正面図である。
【図6】この発明の実施例を示す風向板を内側に向けた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図に示す実施例によってこの発明を説明すると、1は空気調和機の枠体、10は枠体1内に配置した冷媒圧縮用の圧縮機、11は圧縮機10で圧縮された高温高圧のガス状冷媒が送られるコンデンサ、12は図示しない減圧器で減圧された冷媒が送られるエバポレータであり、冷媒はエバポレータ12に送られて気化し、冷媒の気化熱によって周囲を冷却する。エバポレータ12で気化した冷媒ガスは圧縮機10に戻され、圧縮機10で再び加圧されてコンデンサ11に送られて循環している。
【0017】
図に示す実施例は除湿機とよばれる一体型の空気調和機であり、3は枠体1の背面に設けた空気吸込口、4は枠体1内で上方に向かって開口ように設けた空気吹出口、2は空気吸込口3と空気吹出口4とを連通する枠体1内に設けた空気流路であり、空気流路2内にコンデンサ11とエバポレータ12が配置されている。5は空気流路2内に配置したコンデンサ11とエバポレータ12に送風する送風ファンであり、送風ファン5によって送風される風の上流側にエバポレータ12が配置され、下流側にコンデンサ11が配置されている。
【0018】
送風ファン5を運転すると、空気吸込口3から空気流路2内に送られる空気がエバポレータ12を通過するときに冷媒の気化熱によって冷却され、空気中に含まれる水分がエバポレータ12の表面に結露して除湿される。そして、エバポレータ12で除湿されて水分が除去された空気はコンデンサ11に送られ、圧縮機10から送られる高温のガス状冷媒を冷却して液化させ、コンデンサ11を通過した調和空気が空気吹出口4から室内に吹き出す。
【0019】
13は枠体1内のエバポレータ12の下方に配置したドレン受け、14は枠体1内の下部に配置したドレンタンクであり、エバポレータ12の表面に結露したドレン水はドレン受け13に落下し、ドレン受け13に落下したドレン水はドレンタンク14に溜まり、ドレンタンク14が満量となったときは、ドレンタンク14を枠体1内から取り出して捨て水する。
【0020】
1aは空気吹出口4より上方の枠体1前面上部と上面との連続するコーナー部に形成した開口部、4bは空気吹出口4に設けたガードであり、空気吹出口4から開口部1aに連続する空間が形成されており、送風ファン5の風は空気吹出口4からこの空間内に送られる。6は開口部1aに配置して空気吹出口4から上方へ向かう空気流を制御するルーバー枠体、6aは前記開口部1aの上面側を覆う大きさで形成したルーバー枠体6の上面を構成する上ルーバー、6dは上ルーバー6aの両端に設けた側板、6eは側板6dに設けた回転軸、1bは回転軸6eが嵌合する枠体1の内壁面に設けた軸孔であり、ルーバー枠体6は回転軸6eを中心に上下方向に回動可能に取付けられている。
【0021】
15はルーバー枠体6の回転軸6eと接続してルーバー枠体6を駆動する駆動手段であり、駆動手段15によって上ルーバー6aの先端を上下に往復運動させており、ルーバー枠体6は開口部1aから吹き出す風の方向を枠体1の上方から前方の範囲で任意に可変できるようにしている。
【0022】
6bは前記ルーバー枠体6の側板6dの下端に取り付けられた下ルーバーであり、上ルーバー6aと下ルーバー6bとが間隔7をあけて上下に平行に配置されている。6cは上ルーバー6aと下ルーバー6bとの間隔7に配置された風向板、6fは風向板6cの上下に形成した支軸、6gは上ルーバー6aと下ルーバー6bに設けた支軸6fが嵌合する軸孔であり、風向板6cは支軸6fが軸孔6gに嵌合して上ルーバー6aと下ルーバー6bとの間に挟持され、支軸6fを中心に左右方向に回動自在に取付けられており、ルーバー枠体6は上ルーバー6aと下ルーバー6bと風向板6cとで一体に構成されている。
なお、下ルーバー6bの前後方向の幅は風向板と同じ長さに形成している。
【0023】
上記の構成であれば、ルーバー枠体6を回転軸6eを中心に回動して上ルーバー6aの先端を上方へ向けると開口部1aの枠体1上面側が開口するものであり、このとき、下ルーバー6bの後縁が空気吹出口4の上方に位置するように構成したから、空気吹出口4から上方へ向かう空気流が上ルーバー6aと下ルーバー6bとの間隔7に流入し、間隔7に配置した風向板6cで方向を制御された風を開口部1aから枠体1の上方や斜め上方へ吹き出すことができる。
【0024】
また、ルーバー枠体6を回動して上ルーバー6aの先端を前方に向けると、開口部1aは上ルーバー6aによっての枠体1上面側が閉じられて枠体1前面側が開口し、空気吹出口4と風向板6cの間に下ルーバー6bが位置して風向板6cが下ルーバー6bによって空気吹出口4から隠れた位置となり、空気吹出口4から上方に向かう空気流は、上ルーバー6aの下面にぶつかって流れを変え、開口部1aの枠体1前面側から前方に吹き出すことができる。そして、この構成では、空気吹出口4から上方に向かう空気流が下ルーバー6bの下面で遮られて間隔7への流入が阻止されており、下ルーバー6bと空気吹出口4との隙間が狭くなっているから、下ルーバー6bの下面にぶつかった空気が後部側に向かうことがなく、風向板6cを避けて上方へ向かう空気流となり、上ルーバー6aの下面にあたって前方へ向きを変え、開口部1aから前方に吹き出すものであり、風向板6cで制御されない空気流を作り出すことができる。
【0025】
このため、室内の除湿や室内に干した洗濯物の乾燥を行うときは、上ルーバー6aの先端を上方に向ければ、風向板6cによって左右方向の吹き出し方向の調整が可能となり、調和空気を任意に変更して使用することができる。
そして、洗濯物の乾燥を行うときは、洗濯物の量が多いときは、吹き出し幅を広くして調和空気が洗濯物の全体にあたるようにし、逆に洗濯物の量が少ないときは吹き出し幅を狭くして調和空気が集中してあたるように送風することで効率よく乾燥ができる。
【0026】
一方、押し入れや靴箱など収納空間の乾燥を行うときは、上ルーバー6aの先端を前方に向けることで開口部1aの上面側が閉じられて、開口部1aの枠体1前面側が開口するので、開口部1aから前方に調和空気を吹き出すことができる。
このとき、風向板6cの向きに関係なく開口部1aから枠体1前方の正面に向かって調和空気が吹き出すから、風向板6cの角度調整は不要であり、角度調整を忘れた場合でも開口部1aが収納空間を向くように本体を設置するだけで確実に収納空間へ調和空気を送ることができる。
また、従来は空気調和機が収納空間を向いていれば、調和空気が送り込まれていると思い込んで、実際には収納空間から外れていても気がつかないまま使用してしまうことがあったか、この構成では空気調和機の開口部1aの向きと必ず同じ方向に調和空気が吹き出されるから送風方向を間違えることはなく、確実に収納空間の乾燥ができるものとなった。
【0027】
また、この発明では空気吹出口4を開口部1aの前後方向の長さより短くして、枠体1の前面側に寄せて配置しており、4aは空気吹出口4の後方の空気吹出口4のない上面板を形成している。また、ルーバー枠体6を構成している下ルーバー6bの前後方向の長さを上ルーバー6aの前後方向の長さより短く設定し、ルーバー枠体6の後部側に寄せて配置し、風向板6cの前縁位置を下ルーバー6bの前縁位置に一致させている。
この構成によって、上ルーバー6aの先端を前方に向けて開口部1aの枠体1上面側を閉じたときに下ルーバー6bが空気吹出口4より後方の上面板4aの上方に位置し、下ルーバー6bが空気吹出口4とは対向しない位置に配置される。このため、空気吹出口4から上方へ向かう空気流は下ルーバー6bや風向板6cにはあたらなくなり、上ルーバー6aの下面に届いて上ルーバー6aの下面で流れを変えるので、風向板6cに制御されない空気流を作り出すことができ、確実に開口部1aから枠体1の正面前方に向かう空気流が形成できるものとなり、下ルーバー6bが空気流の妨げになることはなく、開口部1aの前方に向かう空気流が遠くまで届きやすくなる。
【0028】
また、この発明では風向板6cの後縁位置を下ルーバー6bの後縁位置よりも長く設定しており、上ルーバー6aの先端を上方に向けて開口部1aの上面側を開口したときに、風向板6cの後縁位置が下ルーバー6bの後縁位置よりも低くなり、空気吹出口4に近づけることができる。このため、空気吹出口4から上方に向かう空気流が下ルーバー6bの後縁よりも先に風向板6cに制御されて間隔7に誘導されるので、間隔7に向かう空気流が多く、下ルーバー6bの下面側に沿って流れる空気流を少なくでき、風向板6cによって吹き出し幅を制御しやすくなった。
【0029】
また、図6において、6hは風向板6cの支軸6fとは異なる位置に設けた連結部、8は複数の風向板6cの連結部6hに取り付けて複数の風向板6cを連結するための連結部材であり、実施例では、3枚の風向板6cが連結されている。Uは連結された複数の風向板6cで構成する風向板ユニットであり、風向板ユニットUのうち1枚の風向板6cの向きを変えると他の風向板6cも連動して同一方向を向くものである。この発明では、2つの風向板ユニットU1・U2をルーバー枠体6内に左右に並べて配置している。
【0030】
9は風向板ユニットU1・U2を連結するユニット連結部材であり、ユニット連結部材9は2つの風向板ユニットU1・U2のルーバー枠体6中央で隣り合う2枚の風向板6c’に接続されており、ユニット連結部材9は一方の風向板ユニットU1の風向板6c’の支軸6fより前縁側と、他方の風向板ユニットU2の風向板6c’の支軸6fより後縁側とに接続している。
この構成であれば、一方の風向板ユニットU1の1枚の風向板6cの向きを外側に向けると、他方の風向板ユニットU2の風向板6cが連動して外側に向き、また、これとは反対に、一方の風向板ユニットU1の1枚の風向板6cの向きを内側に向けると、他方の風向板ユニットU2の風向板6cも連動して内側に向くものであり、1枚の風向板6cを操作するだけで吹き出し幅を素早く変更することができ、使い勝手が向上できるものである。
【0031】
また、前記ユニット連結部材9は着脱可能にして、連結する位置を変更できるようにしてもよく、ユニット連結部材9を2枚の風向板6c’の前縁側もしくは後縁側同士に接続すれば風向板ユニットU1・U2の風向板6cが全て同じ方向に回動するようになる。また、ユニット連結部材9を取り外せば、2つの風向板ユニットU1・U2の風向板6cの角度を別々に設定することも可能となるものである。
【符号の説明】
【0032】
1 枠体
1a 開口部
2 空気流路
3 空気吸込口
4 空気吹出口
4a 上面板
5 送風ファン
6 ルーバー枠体
6a 上ルーバー
6b 下ルーバー
6c 風向板
6c’隣接する2枚の風向板
7 間隔
8 連結部材
9 ユニット連結部材
U 風向板ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体(1)内に空気流路(2)を配置し、該空気流路(2)の端に空気吸込口(3)と、空気吹出口(4)とを設け、空気吸込口(3)から空気吹出口(4)に至る空気流路(2)に空気流を作り出す送風ファン(5)を設けた空気調和機において、
前記空気吹出口(4)は枠体(1)内で上方に向かって開口し、空気吹出口(4)より上方の枠体(1)前面上部と枠体(1)上面との連続するコーナー部に開口部(1a)を形成し、該開口部(1a)には前記空気吹出口(4)から上方へ向かう空気流を枠体(1)上方と枠体(1)前方との間で可変するルーバー枠体(6)を回動自在に取り付け、
該ルーバー枠体(6)は、前記開口部(1a)の枠体(1)上面側の全体を覆う大きさの上ルーバー(6a)と、該上ルーバー(6a)の下面に間隔(7)をあけて上ルーバー(6a)と略平行に配置した下ルーバー(6b)と、上ルーバー(6a)と下ルーバー(6b)との間隔(7)に配置されて左右に可動自在に設けた複数の風向板(6c)とで構成し、
前記上ルーバー(6a)が開口部(1a)の枠体(1)上面側を開口する回動位置では、前記下ルーバー(6b)の後縁が前記開口部(1a)の上方に位置し、空気吹出口(4)から上方に向かう空気流は上ルーバー(6a)と下ルーバー(6b)との間隔(7)を通過し、前記風向板(6c)によって風向きを制御された空気流が開口部(1a)から吹き出し、
前記、上ルーバー(6a)が開口部(1a)の枠体(1)上面側を塞ぐ回動位置では、前記空気吹出口(4)から上方に向かう空気流は、前記下ルーバー(6b)によって前記間隔(7)への流入が阻止され、前記上ルーバー(6a)の下面で流れを変え、前記風向板(6c)で制御されない空気流が開口部(1a)から枠体(1)前方に吹き出すことを特徴とする空気調和機の吹出口に備えたルーバー構造。
【請求項2】
前記空気吹出口(4)は前記開口部(1a)より前後方向の長さを短くして、枠体(1)前面側に寄せて配置し、
前記下ルーバー(6b)は前記上ルーバー(6a)より前後方向の長さを短くして、前記ルーバー枠体(6)の後部側に寄せて配置すると共に、下ルーバー(6b)の前縁位置と風向板(6c)の前縁位置とを一致させ、
前記上ルーバー(6a)が開口部(1a)の枠体(1)上面側を塞ぐ回動位置では、下ルーバー(6b)が前記空気吹出口(4)より後方の上面板(4a)と対向することを特徴とする請求項1に記載した空気調和機の吹出口に備えたルーバー構造。
【請求項3】
前記風向板(6c)の後縁位置は前記下ルーバー(6b)の後縁位置よりも長くして、前記上ルーバー(6a)が開口部(1a)の枠体(1)上面側を開口する回動位置では、
風向板(6c)の後縁位置が下ルーバー(6b)の後縁位置よりも空気吹出口(4)側に位置することを特徴とする請求項1または2に記載した空気調和機の吹出口に備えたルーバー構造。
【請求項4】
前記ルーバー枠体(6)には複数の風向板(6c)を連結する連結部材(8)を取付け、複数の風向板(6c)が連動して同一方向を向く風向板ユニット(U)を構成し、
2つの風向板ユニット(U)をルーバー枠体(6)内に左右に並べて配置し、2つの風向板ユニット(U)の隣接する2枚の風向板(6c’)に取り付けて、2つの風向板ユニット(U)を連結するユニット連結部材(9)を設け、2つの風向板ユニット(U)はユニット連結部材(9)によって連動して互いに逆方向を向くことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載した空気調和機の吹出口に備えたルーバー構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−159234(P2012−159234A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18890(P2011−18890)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000003229)株式会社トヨトミ (124)
【Fターム(参考)】