説明

空気調和機の室内機

【課題】ファンスクロール構造体の小型化およびファンモータの適切な支持が可能な空気調和機の室内機を提供する。
【解決手段】空気調和機の室内機では、ファンモータは、送風ファンの側方に配置され、本体から下方に突出する下突出部27と前方に突出する前突出部28と後方に突出する後突出部29とを有する。ファンスクロール構造体78cは、収容部10cと下支持部21cと前支持部25cと後支持部26cとを有する。収容部10cは、送風ファンとファンモータとを収容し、ファンモータの回転中心以下に位置する。下支持部21cは、収容部10cと一体的に設けられ、ファンモータの下突出部27を支持する。前支持部25cおよび後支持部26cは、収容部10cの上部から上方へと突出するように収容部10cと一体的に設けられており、前支持部25cは前突出部28を支持し、後支持部26cは後突出部29を支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、空気調和機の室内機は、クロスフローファンなどの送風ファンとファンモータとを備える。送風ファンは、回転軸が室内機の長手方向に平行になるように配置される。ファンモータは、送風ファンの側方に配置され、送風ファンを回転駆動する。送風ファンとファンモータとは、ファンスクロール構造体に取り付けられ、ファンスクロール構造体に設けられた収容部に収容される。このファンスクロール構造体の収容部は、従来、送風ファンやファンモータの前方、下方および後方を覆い、送風ファンおよびファンモータの後方に位置する部分が、送風ファンやファンモータの上部以上の位置にまで達する形状を有することが多い(特許文献1参照)。
【0003】
また、このような空気調和機の室内機においては、ファンスクロール構造体には、収容部に収容されたファンモータの周囲に、ファンモータを支持する支持構造が設けられる。すなわち、従来の空気調和機の室内機のファンスクロール構造体では、収容部が送風ファンやファンモータの上部以上の位置にまで達する形状を有する。従って、ファンモータに対向する収容部の一部にファンモータを支持する支持部を設けることによって、ファンモータの前部、後部および下部を容易に支持することができる。
【特許文献1】特開2001−153392号公報 第2図
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようなファンスクロール構造体の形状では、ファンスクロール構造体が大型化しており、ファンスクロール構造体にファンモータや送風ファンを載置した状態での搬送効率が低下する。例えば、コスト削減や製造効率向上等のために、ファンスクロール構造体、送風ファン、ファンモータの製造・組立が、空気調和機の室内機の全体の組立とは別の場所で行われる場合には、ファンスクロール構造体にファンモータや送風ファンを載置した状態でファンスクロール構造体を搬送する必要がある。このため、搬送効率向上の観点からは、ファンスクロール構造体は小型化されることが望ましい。
【0005】
一方、ファンスクロール構造体を小型化した場合には、ファンモータを支持する支持部を設けることが困難となる。すなわち、ファンスクロール構造体の小型化のために、ファンスクロール構造体の上部位置を低くした場合には、従来の空気調和機の室内機のファンスクロール構造体のようにファンモータの上部まで達する形状の場合と異なり、特にファンモータの前後を支持する構造を設けることが困難である。
【0006】
本発明の課題は、ファンスクロール構造体の小型化およびファンモータの適切な支持が可能な空気調和機の室内機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の空気調和機の室内機は、送風ファンと、ファンモータと、ファンスクロール構造体とを備える。ファンモータは、送風ファンの側方に配置され、本体から下方に突出する下突出部と前方に突出する前突出部と後方に突出する後突出部とを有し、送風ファンを回転駆動する。ファンスクロール構造体は、収容部と下支持部と前支持部と後支持部とを有する。収容部は、送風ファンとファンモータとを収容し、ファンモータの回転中心以下に位置する。下支持部は、収容部と一体的に設けられ、ファンモータの下突出部を支持する。前支持部は、収容部の上部から上方へと突出するように収容部と一体的に設けられファンモータの前突出部を支持する。後支持部は、収容部の上部から上方へと突出するように収容部と一体的に設けられファンモータの後突出部を支持する。
【0008】
この空気調和機の室内機では、ファンスクロール構造体の収容部がファンモータの回転中心以下に位置する。このため、ファンスクロール構造体が小型化される。また、前支持部および後支持部が収容部の上部から上方へと突出するように設けられるため、収容部全体を大型化させずにファンモータを適切に支持することができる。このように、この空気調和機の室内機は、ファンスクロール構造体の小型化およびファンモータの適切な支持が可能である。
【0009】
さらに、この空気調和機の室内機では、下支持部、前支持部および後支持部は、ファンスクロール構造体の収容部と一体的に形成される。従って、収容部と送風ファンの軸心との配置の精度をより向上させることができる。このため、この空気調和機の室内機では、風性能のバラツキを低減することができる。
【0010】
請求項2に記載の空気調和機の室内機は、請求項1に記載の空気調和機の室内機であって、ファンスクロール構造体は、前支持部および後支持部を除いてファンモータの回転中心以下に位置する。
【0011】
この空気調和機の室内機では、ファンスクロール構造体は、前支持部および後支持部を除いてファンモータの回転中心以下に位置する。このため、ファンスクロール構造体がより小型化される。
【0012】
請求項3に記載の空気調和機の室内機は、請求項1または2に記載の空気調和機の室内機であって、ファンモータは、アウターロータを有するモータであり、アウターロータは送風ファンに直接固定される。
【0013】
この空気調和機の室内機では、ファンモータはアウターロータを有するモータであり、アウターロータが送風ファンに直接固定される。このような構成により、ファンモータおよび送風ファンを小型化することができ、ファンモータおよび送風ファンを収容するファンスクロール構造体を小型化することができる。
【0014】
請求項4に記載の空気調和機の室内機は、請求項1から3のいずれかに記載の空気調和機の室内機であって、ドレンパン構造体をさらに備える。ドレンパン構造体は、収容部の前後および側方に隣接するドレンパンを有し、ファンスクロール構造体とは別体に形成される。そして、ファンスクロール構造体は、内部空間を有する。この内部空間は、ドレンパン構造体がファンスクロール構造体に取り付けられることによって、外部から閉じられて空気断熱層として機能する。
【0015】
この空気調和機の室内機では、ドレンパン構造体とファンスクロール構造体とによって、空気断熱層を簡易に形成することができる。これにより、空気調和機の室内機における内部結露を低減することができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の空気調和機の室内機では、収容部全体を大型化させずにファンモータを適切に支持することができる。従って、この空気調和機の室内機は、ファンスクロール構造体の小型化およびファンモータの適切な支持が可能である。
【0017】
請求項2に記載の空気調和機の室内機では、ファンスクロール構造体は、前支持部および後支持部を除いてファンモータの回転中心以下に位置する。このため、ファンスクロール構造体がより小型化される。
【0018】
請求項3に記載の空気調和機の室内機では、ファンモータはアウターロータを有するモータであり、アウターロータが送風ファンに直接固定される。このような構成により、ファンモータおよび送風ファンを小型化することができ、ファンモータおよび送風ファンを収容するファンスクロール構造体を小型化することができる。
【0019】
請求項4に記載の空気調和機の室内機では、ドレンパン構造体とファンスクロール構造体とによって、空気断熱層を簡易に形成することができる。これにより、空気調和機の室内機における内部結露を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
《参考例1》
<空気調和機の全体構成>
本発明の一参考例が採用された空気調和機1の外観を図1に示す。
【0021】
この空気調和機1は、室内の壁面などに取り付けられる室内機2と、室外に設置される室外機3とを備えている。
【0022】
室内機2内には室内熱交換器50が収納され、室外機3内には室外熱交換器30が収納されており、各熱交換器30,50が冷媒配管4により接続されることにより冷媒回路を構成している。
【0023】
<空気調和機の冷媒回路の構成概略>
空気調和機1の冷媒回路の構成を図2に示す。この冷媒回路は、主として室内熱交換器50、アキュムレータ31、圧縮機32、四路切換弁33、室外熱交換器30および電動膨張弁34で構成される。
【0024】
室内機2に設けられている室内熱交換器50は、接触する空気との間で熱交換を行う。また、室内機2には、室内空気を吸い込んで室内熱交換器50に通し熱交換が行われた後の空気を室内に排出するためのクロスフローファン71が設けられている。このクロスフローファン71は、長細い円筒形状に構成され、中心軸が正面視において水平方向に平行になるように配置されている(図5参照)。クロスフローファン71は、室内機2内に設けられる室内ファンモータ72によって回転駆動される。室内機2の詳細な構成については後に説明する。
【0025】
室外機3には、圧縮機32と、圧縮機32の吐出側に接続される四路切換弁33と、圧縮機32の吸入側に接続されるアキュムレータ31と、四路切換弁33に接続された室外熱交換器30と、室外熱交換器30に接続された電動膨張弁34とが設けられている。電動膨張弁34は、フィルタ35および液閉鎖弁36を介して配管41に接続されており、この配管41を介して室内熱交換器50の一端と接続される。また、四路切換弁33は、ガス閉鎖弁37を介して配管42に接続されており、この配管42を介して室内熱交換器50の他端と接続されている。この配管41,42は、図1の冷媒配管4に相当する。また、室外機3には、室外熱交換器30での熱交換後の空気を外部に排出するためのプロペラファン38が設けられている。このプロペラファン38は、室外ファンモータ39によって回転駆動される。
【0026】
<室内機の構成>
図3(a)に室内機2の正面図、図3(b)に室内機2の側面図を示す。室内機2は、正面視において左右方向に長い形状を有している。
【0027】
室内機2は、主として、上部ケーシング6、下部ユニット7および室内機2の内部に収容されている室内熱交換器ユニット5(図5参照)によって構成されている。上部ケーシング6は、室内機2の上部を覆っている。下部ユニット7は室内機2の下部を構成している。上部ケーシング6と下部ユニット7とは別体に形成されており、上部ケーシング6と下部ユニット7の一部との境界が室内機2の外観において水平線として現れている。
【0028】
以下、室内機2の各構成について説明する。
【0029】
[上部ケーシング]
上部ケーシング6は、室内機2の上部を構成しており、上前面部60、天面部61および上側面部62,63によって構成されている。
【0030】
上前面部60は、図4に示すように、室内機2の前側上部を覆っており、室内熱交換器50の前方を覆っている。なお、図4は、図3(a)におけるIV−IV断面の模式図である。上前面部60は、概ね平坦に形成されており、その一部に段差が設けられている。この段差の上面には室内機2の長手方向に長いスリット状の開口からなる前面吸込み口601が設けられている。前面吸込み口601は室内機2の上方へ向けて設けられている。
【0031】
天面部61は、室内機2の天面を覆っており、室内熱交換器50の上方を覆っている。天面部61には、複数のスリット状の開口からなる天面吸込み口611が設けられている。この天面吸込み口611は、天面部61の前側から後側にかけて設けられており、前面吸込み口601よりも吸い込み面積が大きくなっている。このため、室内機2の天面後側からも十分に空気が吸い込まれるようになっている。
【0032】
上側面部62,63は、室内機2の側面上部を覆っており、室内熱交換器50の側方を覆っている。上側面部62,63には、右上側面部62と左上側面部63とがあり、右上側面部62は正面視において室内熱交換器50の右側方に配置され、左上側面部63は室内熱交換器50の左側方に配置されている。
【0033】
また、上部ケーシング6の下端は水平に形成されており、上部ケーシング6が下部ユニット7に被せられることによって、上部ケーシング6と下部ユニット7との境界が水平線となって室内機2の正面視および側面視における外観に現れる。
【0034】
[室内熱交換器ユニット]
室内熱交換器ユニット5は、図5に示すように、室内熱交換器50、補助配管51、熱交換器支持部材52等によって構成されている。なお、図5は、上部ケーシング6が取り外された状態の下部ユニット7および室内熱交換器ユニット5の外観斜視図である。室内熱交換器ユニット5の室内熱交換器50は、逆V字型の形状を有しており下方が開口しているため、室内熱交換器ユニット5は、クロスフローファン71や室内ファンモータ72が取り付けられた状態の下部ユニット7に上方から被せられ、熱交換器支持部材52を介して下部ユニット7に支持される。
【0035】
〈室内熱交換器〉
室内熱交換器50は、図4に示すように、クロスフローファン71の前方、上方および後方を取り囲むように取り付けられており、クロスフローファン71が回転することにより吸込み口601,611から吸い込まれた空気をクロスフローファン71側に通過させ、伝熱管の内部を通過する冷媒との間で熱交換を行わせる。室内熱交換器50は、第1室内熱交換器50a、第2室内熱交換器50b、第3室内熱交換器50c、第4室内熱交換器50dの4つの部分に分割されている。室内熱交換器50は、各室内熱交換器50a,50b,50c,50dがそれぞれ接合されることにより、側面視において両端が下方に向けて屈曲する概ね逆V字型の断面形状を有するように形成されている。
【0036】
各室内熱交換器50a,50b,50c,50dは、それぞれ水平方向に長い板状の形状を有している。各室内熱交換器50a,50b,50c,50dは、両側端で複数回折り返されてなる伝熱管と、伝熱管が挿通される短冊状の複数のフィンとから構成されている。伝熱管は、各室内熱交換器50a,50b,50c,50dの両側端においてU字型伝熱管によって折り返されている。
【0037】
第1室内熱交換器50aは、上端が室内機2の前方へ向けて傾斜しており、クロスフローファン71の中央上方から後側上方を覆うように配置されている。
【0038】
第2室内熱交換器50bは、上端が室内機2の後方へ向けて傾斜しており、第1室内熱交換器50aの前方に配置されている。第2室内熱交換器50bの上端は、第1室内熱交換器50aの上端と接合されており、第1室内熱交換器50aと第2室内熱交換器50bとは、側面視において逆V字型になるように組み合わされている。第2室内熱交換器50bは、クロスフローファン71の中央上方から前側上方を覆うように配置されている。
【0039】
第3室内熱交換器50cは、第2室内熱交換器50bの下方にクロスフローファン71の前方を覆うように配置されている。第3室内熱交換器50cの上端は第2室内熱交換器50bの下端に角度を付けて接合されており、第3室内熱交換器50cと第2室内熱交換器50bとによって鈍角が形成されている。第3室内熱交換器50cは、高さ方向、すなわち鉛直方向に平行になっており、室内熱交換器50の下方の水平面を覆う下部ユニット7に対して垂直になっている。また、第3室内熱交換器50cの下端は室内熱交換器50の下端となっており、第3室内熱交換器50cの下端、すなわち室内熱交換器50の前側の下端は、クロスフローファン71の中心軸と略同じ高さに位置している。
【0040】
第4室内熱交換器50dは、第1室内熱交換器50aの下方にクロスフローファン71の後方を覆うように配置されている。第4室内熱交換器50dの上端は、第1室内熱交換器50aの下端に角度を付けて接合されており、第4室内熱交換器50dと第1室内熱交換器50aとによって鈍角が形成されている。第4室内熱交換器50dは、高さ方向に平行になっており、室内熱交換器50の下方の水平面を覆う下部ユニット7に対して垂直になっている。また、第4室内熱交換器50dの下端は、室内熱交換器50の後側の下端となっており、第4室内熱交換器50dの下端、すなわち室内熱交換器50の後側の下端は、クロスフローファン71の中心軸と略同じ高さに位置している。
【0041】
第3室内熱交換器50cと第4室内熱交換器50dとは高さ方向に同じ長さを有しており、第3室内熱交換器50cと第4室内熱交換器50dとの上端および下端は同じ高さに位置している。従って、室内熱交換器50の前側の下端と後側の下端とは同じ高さになっており、クロスフローファン71の中心軸と略同じ高さに位置している。また、室内熱交換器50の前側下端と後側下端とは、逆V字型の部分の前後の下端から鉛直方向下向きにクロスフローファン71の中心軸と略同じ高さまで伸びている。
【0042】
第1室内熱交換器50a、第2室内熱交換器50b、第3室内熱交換器50cおよび第4室内熱交換器50dは、それぞれ両側端(正面視における左右方向の端)に設けられた固定板によって相互に固定されることにより、一体に接合されて室内熱交換器50を形成している。室内熱交換器50は、第1室内熱交換器50aと第2室内熱交換器50bとによって形成される逆V字型の部分と、第1室内熱交換器50aと第2室内熱交換器50bとのそれぞれの下端から鉛直方向下向きに延びる直線部分とが組合された断面形状を有している。室内熱交換器50は、逆V字型の頂点を通る鉛直方向に平行な直線について前後に線対称な断面形状を有しており、第1室内熱交換器50aと第2室内熱交換器50bとが、また、第3室内熱交換器50cと第4室内熱交換器50dとが、それぞれ前後に対称になっている。なお、室内熱交換器50は、側面視においては上記のように前後対称な逆V字型を含む断面形状に形成されているが、正面視においては横方向に長い形状を有している。
【0043】
〈補助配管〉
補助配管51は、室内熱交換器50と、室内機2の外部にある冷媒配管4を繋いでおり、室内熱交換器50と室外熱交換器30との間を行き来する冷媒が流れる。補助配管51は、図5に示すように、室内熱交換器50の側面から突出する伝熱管に接続されている。補助配管51は、室内熱交換器50の右側面から突出しており、室内熱交換器50の右側の空間で取り回されている。補助配管51は、室内熱交換器50の右側面から突出した後に室内機2の背面側へ向けて屈曲されている。そして、補助配管51は、室内熱交換器50の右側の空間を室内機2の背面側に沿って下方へと伸び、室内機2の後側下部の空間で室内機2の左側面に向けてさらに屈曲され、室内機2の後側下部左側で冷媒配管4(図1参照)に接続される。なお、補助配管51は、室内機2の後側下部右側で冷媒配管4に接続されることも可能であり、この場合は、補助配管51は、室内熱交換器50の右側の空間で取り回されたのち、室内機2の後側下部右側で冷媒配管4に接続される。
【0044】
なお、ここでいう「右」や「左」は、室内機2の正面視における右や左を意味しており、以下同様である。
【0045】
〈熱交換器支持部材〉
熱交換器支持部材52は、室内熱交換器50の側面付近に設けられており、室内熱交換器50を内側から支持すると共に、室内ファンモータ72を覆う。また熱交換器支持部材52は、右側方で取り回されている補助配管51の一部を固定する。熱交換器支持部材52は、室内熱交換器50の右側面付近に設けられており、側板54とモータカバー55と配管固定部材56とを有している。
【0046】
側板54は、室内熱交換器50の逆V字型に沿った形状を有する板状の部分であり、室内熱交換器50を外側から支持している。
【0047】
モータカバー55は、室内ファンモータ72の上半分を覆う。モータカバー55は、円弧状に湾曲する曲面形状を一部に有しており、側板54から室内熱交換器50の側方へと突出している。モータカバー55は、室内ファンモータ72の円周面の上半分と対向し、室内ファンモータ72の上方を覆う。
【0048】
なお、室内熱交換器50の右側面からは補助配管51が外側へと延びており、モータカバー55は補助配管51の下方に位置する。モータカバー55は、補助配管51から滴下したドレン水がドレンパン構造体80a(図5参照)へと流れるように形成されており、ドレン水から室内ファンモータ72を保護している。
【0049】
配管固定部材56は、補助配管51の変形を抑えるために補助配管51を固定する。配管固定部材56は、室内熱交換器50の側方で取り回されている補助配管51の一部においてその全周を覆うことによって補助配管51を固定する。配管固定部材56は、第1配管固定部材57と第2配管固定部材58とを有している。第1配管固定部材57は、側板54に一体化されており、補助配管51の側方を覆うことによって補助配管51の側方への移動を規制する。第2配管固定部材58は、補助配管51を挟んで第1配管固定部材57の反対側から補助配管51を固定する。第2配管固定部材58は、第1配管固定部材57とは別体に形成されており、第1配管固定部材57に取り付けられる。
【0050】
[下部ユニット]
下部ユニット7は、室内機2の下部を構成しており、底ケーシング70、ファンスクロール構造体78a、ドレンパン構造体80a、クロスフローファン71、室内ファンモータ72、電装品箱73(図10参照)等がモジュール化されて構成されている。
【0051】
〈底ケーシング〉
底ケーシング70は、下部ユニット7の最も下方に設けられており、その上にファンスクロール構造体78aが取り付けられる。底ケーシング70は、図6に示すように、下前面部74、底面部75、下側面部76,77を有している。
【0052】
〔下前面部〕
下前面部74は、室内機2の前面下部に配置されており、大きな切り欠きが設けられている。後述するファンスクロール構造体78aが底ケーシング70に取り付けられた状態において、ファンスクロール構造体78aの吹出し口11は、下前面部74の切り欠かれた部分を通して室内へと面する。
【0053】
〔底面部〕
底面部75は、室内機2の底面を覆っており、平坦に形成されている。底面部75は、水平に配置されており、その上にファンスクロール構造体78aが配置される。底面部75は、図7に示すように、ファンスクロール構造体78aとの間に第1密閉空間S1を形成する。なお、図7は下部ユニット7の側面断面図である。第1密閉空間S1は、空気が密閉されることにより断熱層として機能する。また、底面部75の上面すなわち第1密閉空間S1に面する内面には、第1密閉空間S1を複数の空間に仕切る複数の第1リブ91および複数の第2リブ92からなる底面リブ90が設けられている。
【0054】
第1リブ91は、底面部75の内面から上方へ向けて延びており、第1密閉空間S1の底面部75の内面近傍を前後方向に複数の空間に仕切る。第1リブ91は、室内機2の左右方向に平行に底面部75に対して垂直に設けられている。また、複数の第1リブ91が、室内機2の吹出し方向(図7の矢印A1参照)に沿ってすなわち前後方向に並んで配置されている。このため、複数の第1リブ91は、底面部75に沿って前後方向に流れる空気の流れを遮るように配置されている。第1リブ91は、それぞれ約7.5mmの高さを有しており、複数の第1リブ91の前後方向の間隔は約15mmである。
【0055】
第2リブ92は、底面部75の内面から上方へ向けて延びており、第1密閉空間S1の底面部75の内面近傍を左右方向に複数の空間に仕切る。第2リブ92は、室内機2の前後方向に平行に底面部75に対して垂直に配置されており、第1リブ91に交差している。また、複数の第2リブ92が、室内機2の吹出し方向に垂直な方向に沿ってすなわち左右方向に並んで配置されている。このため、複数の第2リブ92は、底面部75に沿って左右方向に流れる空気の流れを遮るように配置されている。第2リブ92は、それぞれ約7.5mmの高さを有しており、複数の第2リブ92の左右方向の間隔は約124mmである。
【0056】
なお、図6においては、理解の容易のため、第1リブ91と第2リブ92との一部にのみ符号を付しており他は省略している。
【0057】
〔下側面部〕
下側面部76,77は、側面視において室内機2の側面下部として視野に現れる部分であり、室内機2の側面下部を覆っている。下側面部76,77には、右下側面部76と左下側面部77とがあり、右下側面部76は正面視において室内機2の右側に配置され、左下側面部77は室内熱交換器50の左側に配置されている。また、下側面部76,77の上端は、下前面部74と同様に概ね水平に形成されている。上部ケーシング6が下部ユニット7に被せられた状態では、上部ケーシング6の下端と、下部ユニット7の下前面部74および下側面部76,77の上端が合致して、水平な境界線が構成される。
【0058】
〈ファンスクロール構造体〉
ファンスクロール構造体78aは、図5に示すように、底ケーシング70に底ケーシング70の上方から取り付けられる。ファンスクロール構造体78aには、上方からクロスフローファン71、室内ファンモータ72、電装品箱73(図10参照)、ドレンパン構造体80a、室内熱交換器ユニット5等が取り付けられ、ファンスクロール構造体78aは、クロスフローファン71、室内ファンモータ72、電装品箱73、ドレンパン構造体80a、室内熱交換器ユニット5等を下方から支持する。なお、ファンスクロール構造体78aの上面は、クロスフローファン71および室内ファンモータ72の回転中心と略同じ高さとなっている。ファンスクロール構造体78aは、図7に示すように、ファン収容部10a、吹出し口11、スクロール12、ドレンパン固定部13(図9参照)、支持フレーム14などを有している。
【0059】
〔ファン収容部〕
ファン収容部10aは、クロスフローファン71と室内ファンモータ72とが収容される部分であり、ファンスクロール構造体78aの上面の中央付近にファンスクロール構造体78aの左側端近傍から右側端設近傍に亘って設けられている。ファン収容部10aは、ファンスクロール構造体78aの上面から下方に半円筒形状に窪んだ部材により形成されている。ファン収容部10aは、クロスフローファン71および室内ファンモータ72の回転中心以下に位置しており、クロスフローファン71と室内ファンモータ72との下半分を収容する。また、クロスフローファン71が収容される空間は、ファンスクロール構造体78aの内部において、吹出し口11に繋がる空気経路R1に連通している。
【0060】
図8にクロスフローファン71および室内ファンモータ72が取り付けられていない状態のファンスクロール構造体78aの一部を示す。なお、図8は、ファンスクロール構造体78aにドレンパン構造体80aが取り付けられた状態を示している。正面視においてファン収容部10aの左側部分が、クロスフローファン71が収容される部分となっており、ファン収容部10aの右側端近傍は、室内ファンモータ72が収容されるモータ収容部20aとなっている。室内ファンモータ72は、後述するように、クロスフローファン71の右側に近接して配置される。モータ収容部20aは、下方に半円筒形状に窪んだ部材により形成されており、その底部には下支持部21aがモータ収容部20aと一体的に設けられている。この下支持部21aは、下方へ向けて窪んだ凹状の形状を有しており、後述する室内ファンモータ72の下突出部27を支持する。この下支持部21aに室内ファンモータ72の下突出部27が嵌合することにより、室内ファンモータ72が下支持部21aに支持される。
【0061】
〔吹出し口〕
吹出し口11は、図7に示すように、ファンスクロール構造体78aの前面下部に設けられており、クロスフローファン71によって生成され空気経路R1を通って室内へと吹出される空気が通る。吹出し口11は、室内機2の長手方向に沿う開口からなり、クロスフローファン71が収納されているファンスクロール構造体78aの内部の空間に連通している。また、吹出し口11には、室内へと吹出す空気が案内される水平フラップ742が設けられている(図4参照)。この水平フラップ742は、室内機2の長手方向に平行な軸を中心に回動自在に設けられており、フラップモータ(図示せず)によって回転駆動されることにより、吹出し口11の開閉を行うことができる。
【0062】
〔スクロール〕
スクロール12は、ファン収容部10aと吹出し口11とを繋いでおり、空気経路R1を形成する。スクロール12は、ファンスクロール構造体78aの内部において、クロスフローファン71の回転軸に平行な軸を中心に湾曲している。そして、スクロール12は一方の面において空気経路R1に面しており、その反対側の面において第1密閉空間S1に面している。すなわち、スクロール12は、空気経路R1と第1密閉空間S1との間を仕切っている。スクロール12の第1密閉空間S1に面する内面には、複数の第3リブ93と複数の第4リブ94とからなるスクロールリブ95が設けられている。
【0063】
複数の第3リブ93は、図9に示すように、スクロール12の内面に配置されている。なお、図9は、ファンスクロール構造体78aおよびドレンパン構造体80aの外観斜視図である。第3リブ93は、スクロール12の内面から鉛直方向下向きへ向けて延びており、第1密閉空間S1のスクロール12の内面近傍をスクロール12に沿って前後方向に複数の空間に仕切る。第3リブ93は、室内機2の左右方向に平行にスクロール12の内面に設けられている。また、複数の第3リブ93が、室内機2の吹出し方向に沿ってすなわち前後方向に並んで配置されている。このため、複数の第3リブ93は、スクロール12に沿って前後方向或いは上下方向に流れる空気の流れを遮るように配置されている。第3リブ93は、それぞれ約5mmの高さを有しており、複数の第3リブ93の前後方向の間隔は約15mmである。
【0064】
第4リブ94は、スクロール12の内面から鉛直方向下向きへ向けて延びており、第1密閉空間S1のスクロール12の内面近傍を左右方向に複数の空間に仕切る。第4リブ94は、室内機2の前後方向に平行にスクロール12の内面に配置されており、第3リブ93に交差して設けられている。また、複数の第4リブ94が、室内機2の吹出し方向に垂直な方向に沿ってすなわち左右方向に並んで配置されている。このため、複数の第4リブ94は、スクロール12に沿って左右方向に流れる空気の流れを遮るように配置されている。第4リブ94は、それぞれ約5mmの高さを有しており、複数の第4リブ94の左右方向の間隔は約34mmである。
【0065】
なお、図9においては、理解の容易のため、第3リブ93と第4リブ94との一部にのみ符号を付しており他は省略している。
【0066】
〔ドレンパン固定部〕
ドレンパン固定部13は、図7および図9に示すように、ファンスクロール構造体78aの上面に設けられており、ファン収容部10aの前後および右側に沿って配置されている。ドレンパン固定部13は、ドレンパン構造体80aが固定されてドレンパン構造体80aを支持する部分であり、前固定部15、後固定部16、右固定部17を有している。
【0067】
前固定部15は、図7に示すように、ファン収容部10aの前方にファン収容部10aに沿って設けられており、後述する前ドレンパン81が固定される。前固定部15は、左右方向に延設され上方が開口した溝状の形状を有しており、溝の前側の縁には、前凸部151が設けられている。前凸部151は、上に凸な形状となっており、前固定部15の長手方向の略全体に亘って設けられている。この前凸部151は、前固定部15と前ドレンパン81とを固定するための前シール構造150の一部を構成する。また、前固定部15に前ドレンパン81が固定されることによって、前固定部15の溝が閉じられて外部からの空気の出入りが遮断された第2密閉空間S2が形成される。この第2密閉空間S2には、空気が密閉されており、外部の空気の出入りが遮断される。このため、第2密閉空間S2は、断熱効果を有する空気断熱層となっている。
【0068】
後固定部16は、ファン収容部10aの後方にファン収容部10aに沿って設けられており、後述する後ドレンパン82が固定される。後固定部16は、左右方向に延設され上方が開口した溝状の形状を有しており、後固定部16の後側の溝の縁には、後凸部161が設けられている。後凸部161は、上に凸な形状となっており、後固定部16の長手方向の略全体に亘って設けられている。後凸部161は、後固定部16と後ドレンパン82とを固定するための後シール構造160の一部を構成する。また、後固定部16に後ドレンパン82が固定されることによって、後固定部16の溝が閉じられて外部からの空気の出入りが遮断された第3密閉空間S3が形成される。この第3密閉空間S3は、空気が密閉されており、外部からの空気の出入りが遮断される。このため、第3密閉空間S3は、断熱効果を有する空気断熱層となっている。
【0069】
右固定部17は、図9に示すように、ファン収容部10aの右側方にファン収容部10aに沿って設けられており、後述する連通路83が固定される。右固定部17は、前後方向に延設され上方が開口した溝状の形状を有しており、右固定部17の溝の縁にも右凸部が設けられている(図示せず)。右凸部は、前凸部151や後凸部161と同様に、上に凸な形状となっており、右固定部17の前後方向の略全体に亘って設けられている。
【0070】
前固定部15、後固定部16、右固定部17の各溝は、連続して繋がっており、ドレンパン固定部13には、ファン収容部10aの周囲に沿ってコノ字型に配置され上方が開口した溝が設けられている。また、溝の外側の略全体に亘って上に凸な凸部151,161が設けられており、シール構造150,160の一部を構成している。
【0071】
〔支持フレーム〕
支持フレーム14は、図7および図9に示すように、ファンスクロール構造体78aが底ケーシング70に取り付けられる際に底ケーシング70に当接する部分である。支持フレーム14は、ドレンパン固定部13およびファン収容部10aの下方に設けられ、スクロール12の後方および両側方を覆う。支持フレーム14とスクロール12と底面部75とは、互いに固定されており、第1密閉空間S1を形成している。支持フレーム14は、第1密閉空間S1の後方および両側方を閉じる。スクロール12は、第1密閉空間S1の前方を閉じる。底面部75が第1密閉空間S1の下方を閉じる。
【0072】
〈ドレンパン構造体〉
ドレンパン構造体80aは、熱交換時に室内熱交換器50の表面に発生するドレン水を受ける部分であり、上面が下方に窪んだ部材によって形成されている。ドレンパン構造体80aは、ファンスクロール構造体78aとは別体に形成されており、ファンスクロール構造体78aの上面に取り付けられる。ドレンパン構造体80aは、図9に示すように、前ドレンパン81、後ドレンパン82、連通路83、ファン支持部材88、前後支持部23a(図5参照)および舌部24(図5参照)を有している。ドレンパン構造体80aは一体成型されており、継ぎ目無く一体的に形成されている。
【0073】
前ドレンパン81は、図4に示すように、第3室内熱交換器50cの下方に、すなわち室内熱交換器50の前側下端の下方に配置されている。前ドレンパン81は、左右方向に長い形状を有し、ドレンパン固定部13の前固定部15に固定される。前ドレンパン81の縁は、図7に示すように、外側下方へ向けて折り返されており、前凹部152が設けられている。前凹部152は、下方が開口した凹状の形状を有しており、前ドレンパン81の長手方向の略全体に亘って設けられている。この前凹部152は、ドレンパン固定部13の前固定部15の前凸部151および後述する前シール材155と共に前シール構造150を構成しており、前凸部151に嵌合する。
【0074】
後ドレンパン82は、第4室内熱交換器50d、すなわち室内熱交換器50の後側下端の下方に配置されている。後ドレンパン82は、左右方向に長い形状を有し、ドレンパン固定部13の後固定部16に固定される。後ドレンパン82の縁は、外側下方へ向けて折り返されており、後凹部162が設けられている。後凹部162は、下方が開口した凹状の形状を有しており、後ドレンパン82の長手方向の略全体に亘って設けられている。この後凹部162は、ドレンパン固定部13の後固定部16の後凸部161および後シール材165と共に後シール構造160を構成しており、後凸部161に嵌合する。
【0075】
なお、前ドレンパン81と後ドレンパン82とは、クロスフローファン71を挟んで前後に配置される。前ドレンパン81と後ドレンパン82とは、略同じ高さに位置しており、前ドレンパン81と後ドレンパン82との底面はクロスフローファン71の中心軸の高さよりも低い位置にあり、室内熱交換器50の下端に近接して配置されている。また、前ドレンパン81と後ドレンパン82とは、それぞれドレン水を受ける底面が、右側が左側よりも下方に位置するように長手方向に沿って僅かに傾斜している。
【0076】
連通路83は、ファンスクロール構造体78aの右側部分に固定され、前ドレンパン81と後ドレンパン82との各右側端のみにおいて前ドレンパン81と後ドレンパン82とを連通させる。すなわち、前ドレンパン81と後ドレンパン82とは、下方に傾斜している側のみにおいて連通される。また、ファンスクロール構造体78aの左側部分には連通路83が設けられておらず、前ドレンパン81と後ドレンパン82との各左側端では前ドレンパン81と後ドレンパン82とは連通しない。連通路83は、ドレンパン固定部13の右固定部17に固定され、室内ファンモータ72の右側方に配置される。このため、上面視において、クロスフローファン71、室内ファンモータ72、連通路83の順に左右方向(室内機2の長手方向)に並んで配置されている。また、連通路83の縁は、外側下方へと折り返されており、右凹部が設けられている(図示せず)。この右凹部は、前凹部152や後凹部162と同様に、下方が開口した凹状の形状を有しており、連通路83の前後方向の略全体に亘って設けられている。この右凹部は、ドレンパン固定部13の右固定部17の右凸部に嵌合する。また、連通路83には、ドレン水を排出する排出口(図示せず)が設けられている。排出口は、連通路83の底面から下方へと貫通しており、ドレン水をドレンパン構造体80aから外部へと排出するためのドレンホース(図示せず)の内部と連通している。室内熱交換器50から滴下したドレン水は、前ドレンパン81と後ドレンパン82とによって受けられ、連通路83で集められ、排出口からドレンホースを経て機外へと排出される。
【0077】
ファン支持部材88は、クロスフローファン71の左側方に配置されており、クロスフローファン71を回転自在に支持する。ファン支持部材88は、前ドレンパン81と後ドレンパン82との各左側端の間に位置しており、クロスフローファン71の連通路83側とは反対側に位置している。
【0078】
前後支持部23aは、図5に示すように、室内ファンモータ72を支持して、室内ファンモータ72の前後方向および左右方向への移動を規制する。前後支持部23aは、図8に示すように、室内ファンモータ72の前突出部28を支持する前支持部25aと、室内ファンモータ72の前突出部28を支持する後支持部26aとを有する。
【0079】
前支持部25aは、前ドレンパン81の右側端近傍に設けられており、前ドレンパン81と連通路83とが繋がっている角部分の内側に設けられている。前支持部25aは、室内ファンモータ72の前突出部28の前方および左右側方を囲むように設けられた壁状の形状を有している。前支持部25aはその内面が室内ファンモータ72の前突出部28と嵌合することによって、前突出部28を支持する。また、前支持部25aの外面は、前ドレンパン81と連通路83との内側の内壁を構成している。すなわち、前支持部25aは、モータ収容部20aと、前ドレンパン81および連通路83の水経路との間の壁面を構成している。前支持部25aは、前ドレンパン81および連通路83の上端よりも上方へ突出しており、室内ファンモータ72の回転中心よりも上方に位置している。ドレンパン構造体80aがファンスクロール構造体78aに取り付けられた状態では、前支持部25aの下端がモータ収容部20aの前側の上端と合致し、前支持部25aは、モータ収容部20aの上部から上方へ突出した状態となる。
【0080】
後支持部26aは、後ドレンパン82の右側端近傍に設けられており、後ドレンパン82と連通路83とが繋がっている角部分の内側に設けられている。後支持部26aは、室内ファンモータ72の後突出部29の後方および左右側方を囲むように設けられた壁状の形状を有している。後支持部26aはその内面が室内ファンモータ72の後突出部29と嵌合することによって、後突出部29を支持する。また、後支持部26aの外面は、後ドレンパン82と連通路83との内側の内壁を構成している。すなわち、後支持部26aは、モータ収容部20aと、後ドレンパン82および連通路83の水経路との間の壁面を構成している。後支持部26aは、後ドレンパン82および連通路83の上端よりも上方へ突出しており、室内ファンモータ72の回転中心よりも上方に位置している。ドレンパン構造体80aがファンスクロール構造体78aに取り付けられた状態では、後支持部26aの下端がモータ収容部20aの後側の上端と合致し、後支持部26aは、モータ収容部20aの上部から上方へ突出した状態となる。
【0081】
舌部24は、後ドレンパン82の壁面から連続して上方へ延びる部材であり、クロスフローファン71の後方を覆うように左右方向に長い形状を有する。舌部24は、ドレンパン構造体80aがファンスクロール構造体78aに取り付けられた状態で、ファン収容部10aの後端と接続され、後ドレンパン82とクロスフローファン71との間に、ファンスクロール構造体78aの上面から上方へと突出するように設けられる。舌部24は、クロスフローファン71の後方を覆い、舌部24の上端はクロスフローファン71の頂上部分より若干低い高さに位置する。舌部24は、ファンスクロール構造体78aのファン収容部10aの上端と滑らかに接続されることによって、ファン収容部10aと共にクロスフローファン71によって生じる空気流を案内する。なお、舌部24は、クロスフローファン71の回転中心よりも高く位置しているが、舌部24は、薄い壁状の形状であり、ファンスクロール構造体78aと比べると比較的小さい部材である。従って、舌部24は、下部ユニット7全体の搬送製を低下させる恐れは少ない。
【0082】
また、上記のように、前ドレンパン81、後ドレンパン82、連通路83の縁には、下方が開口した凹部152,162が設けられ、ドレンパン固定部13の縁の凸部151,161とドレンパン構造体80aの縁の凹部152,162とが嵌合してシール構造150,160を形成する。ドレンパン固定部13とドレンパン構造体80aとが固定された状態でドレンパン固定部13の凸部151,161の先端と対向するドレンパン構造体80aの凹部152,162の底面には、シール材155,165が設けられる。前固定部15の前凸部151の先端153と対向する前ドレンパン81の前凹部152の底面154には、前シール材155が設けられる。前シール材155は、前凸部151よりも大きな厚さを有し、前凹部152の内部の厚さ方向全体に亘って設けられる。前シール材155は、発泡材などの柔軟な材料によって形成され、前凹部152に前凸部151が挿入されると、前シール材155は、前凸部151の先端153によって圧縮されて前凸部151の先端153を覆うように変形する。従って、ドレンパン固定部13とドレンパン構造体80aとの固定部分の隙間が前シール材155によって埋められるため、ドレンパン固定部13とドレンパン構造体80aとの間隙から空気やドレン水などが出入りすることが防がれる。
【0083】
後ドレンパン82と後固定部16とを固定する後シール構造160も前シール構造150と同様の構造であり、後シール材165によって、後凸部161と後凹部162との間隙が埋められる。
【0084】
〈クロスフローファン〉
クロスフローファン71は、長細い円筒形状に構成され、中心軸が水平方向に平行になるように配置される。クロスフローファン71の周面には羽根が設けられており、クロスフローファン71が中心軸周りに回転することにより、空気流を生成する。この空気流は、図4に示す前面吸込み口601および天面吸込み口611から取り入れられ室内熱交換器50を通り吹出し口11から室内へと吹き出す空気の流れである。クロスフローファン71は、側面視において室内機2の概ね中央に位置しており、上面視において前ドレンパン81と後ドレンパン82との間に配置されている。クロスフローファン71は、ファンスクロール構造体78aによって支持され、支持された状態のクロスフローファン71の上半分はファンスクロール構造体78aの上面から上方へ突出している。
【0085】
〈室内ファンモータ〉
室内ファンモータ72は、クロスフローファン71を中心軸周りに回転駆動する。室内ファンモータ72は、図5に示すように、クロスフローファン71と略同じ直径を有する薄い円筒形状を有している。室内ファンモータ72は、クロスフローファン71の右側方にクロスフローファン71と同軸に配置されており、室内ファンモータ72がファンスクロール構造体78aに取り付けられた状態では、室内ファンモータ72とクロスフローファン71との頂上部分との高さは略同じとなっている。室内ファンモータ72は、アウターロータ方式のモータであり、アウターロータ18と固定子19とを有している。アウターロータ18は、クロスフローファン71の右側端に直接に固定される。固定子19の内部にはコイルが設けられており、固定子19はアウターロータ18を回転させる。
【0086】
この空気調和機1の室内機2では、アウターロータ方式の室内ファンモータ72を使用することによって、クロスフローファン71と室内ファンモータ72とを直接固定することができ、ファン収容部10aの左右方向の形状を小型化することができる。従って、室内機2の小型化が可能となっている。
【0087】
また、固定子19は、図8に示すように、その本体の側面から突出する複数の突出部27−29を有する。突出部27−29には、下突出部27、前突出部28および後突出部29とがある。下突出部27は、固定子19の本体の下側の円筒側面から下方へと突出している。前突出部28は、固定子19の本体の前側の円筒側面から前方へと突出している。後突出部29は、固定子19の本体の後側の円筒側面から後方へと突出している。これらの突出部27−29には、それぞれゴム製の止め具が取り付けられ、上述した下支持部21a、前後支持部23aに嵌合する。
【0088】
〈電装品箱〉
図10に電装品箱73が取り付けられた状態の下部ユニット7の側面図を示す。電装品箱73は、室内機2の運転を制御するための制御基板を収容する。電装品箱73は、下部ユニット7の右下側面部76とファンスクロール構造体78aとの間に配置され、室内熱交換器ユニット5の右側方に位置する。電装品箱73は、室内ファンモータ72の右側方においてファンスクロール構造体78aの右側面に取り付けられて支持される。また、電装品箱73の上面は、下部ユニット7に支持された状態では、室内ファンモータ72の頂上部分、すなわちクロスフローファン71の頂上部分と略同じ高さに位置している。
【0089】
下部ユニット7においては、室内ファンモータ72、電装品箱73、ドレンパン構造体80aなどの各部分が、下部ユニット7に支持された状態のクロスフローファン71の頂上部分の高さ以下に位置しており、下部ユニット7は、全体として高さ方向に比較的寸法の小さい形状となっている。
【0090】
<特徴>
(1)
ファンスクロール構造体78aの小型化のために、ファンスクロール構造体78aの上面がクロスフローファン71と室内ファンモータ72との回転中心以下となるような構造とすると、室内ファンモータ72を適切に支持することが困難となる。すなわち、室内ファンモータ72の前後への移動を確実に規制するためには、室内ファンモータ72の前後を覆う支持構造が必要である。しかし、ファンスクロール構造体78aの上面がクロスフローファン71と室内ファンモータ72との回転中心以下である場合には、室内ファンモータ72の前後を覆う部分が少なく、確実な固定は困難である。
【0091】
しかし、この空気調和機1の室内機2では、ドレンパン構造体80aに前後支持部23aが設けられており、前後支持部23aは、ドレンパン構造体80aがファンスクロール構造体78aに取り付けられた状態で、ファンスクロール構造体78aの上面から上方へと突出するように設けられる。従って、ファンスクロール構造体78aを小型化すると共に、室内ファンモータ72の前後を前後支持部23aによってより確実に支持することができる。
【0092】
また、上記のように、ファンスクロール構造体78aは、室内熱交換器ユニット5が上方から取り付けられていない状態であっても、ドレンパン構造体80aの前後支持部23aによって、室内ファンモータ72を確実に支持することができる。従って、室内熱交換器ユニット5が取り付けられていない下部ユニット7のみの状態であっても、室内ファンモータ72が外れる恐れが少なく、下部ユニット7の搬送性が向上している。
【0093】
(2)
この空気調和機1の室内機2では、前後支持部23aの外面が前ドレンパン81、後ドレンパンおよび連通路83の内壁の一部を兼ねるように形成されており、前後支持部23aの外面の外側に別途前ドレンパン81、後ドレンパン82および連通路83の壁面が設けられる場合と比べて、ドレンパン構造体80aが小型化されている。このため、室内機2の小型化が可能となっている。
【0094】
また、前後支持部23aの外面が前ドレンパン81、後ドレンパン82および連通路83の内壁の一部を兼ねるように形成されているが、前後支持部23aと前ドレンパン81、後ドレンパンおよび連通路83とは一体成型されているため、前後支持部23aと前ドレンパン81、後ドレンパンおよび連通路83との間に継ぎ目が無い。このため、継ぎ目によって水漏れが生じることが防止されている。
【0095】
(3)
この空気調和機1の室内機2では、下支持部21aがファン収容部10aに一体的に形成されている。このため、室内ファンモータ72およびクロスフローファン71と、ファンスクロール構造体78aとの軸心の位置決め精度が向上している。これにより、クロスフローファン71とファンスクロール構造体78aとの配置の影響を受ける風性能が向上している。
【0096】
(4)
この空気調和機1の室内機2では、ファンスクロール構造体78aがクロスフローファン71および室内ファンモータ72の回転中心以下に位置しており、ファンスクロール構造体78aの上面が略平坦な形状となっている。このため、ファンスクロール構造体78aは、小型化されると共に比較的シンプルな形状となっている。このため、下部ユニット7の搬送性および組立性が向上する。
【0097】
(5)
この空気調和機1の室内機2では、内部に空気断熱層として機能する第2密封空間S2および第3密閉空間S3が形成されるため、内部結露を抑えることができる。
【0098】
また、第2密封空間S2および第3密閉空間S3は、別体に形成されたファンスクロール構造体78aとドレンパン構造体80aとによって形成されるため、第2密封空間S2および第3密閉空間S3とを容易に形成することができる。
《参考例2》
<構成>
図11に示すように、下支持部21bをドレンパン構造体80bに設けて、前ドレンパン81、後ドレンパン82および連通路83と一体的に形成してもよい。すなわち、ファンスクロール構造体78bのファン収容部10bには、室内ファンモータ72を支持する支持部が設けられず、前支持部25b、後支持部26bおよび下支持部21bの全てがドレンパン構造体80bに設けられる。この場合、モータ収容部20bの右側端近傍の一部が前ドレンパン81、後ドレンパン82および連通路83と一体的に形成される。モータ収容部20bは、ドレンパン構造体80bに設けられる部分と、ファンスクロール構造体78bに設けられる部分とに分かれており、ドレンパン構造体80bがファンスクロール構造体78bに取り付けられることによって、モータ収容部20bの両部分が連続的に接続される。
【0099】
なお、本参考例では、下支持部21bが前ドレンパン81、後ドレンパン82および連通路83と一体的に形成されるが、ドレンパン構造体80bがファンスクロール構造体78bに取り付けられた状態における下支持部21bと室内ファンモータ72等との位置関係は参考例1と同様である。また、他の構成についても参考例1と同様である。
【0100】
<特徴>
このような支持構造によっても、上記の参考例1と同様に、ファンスクロール構造体78bを小型化しながらも、室内ファンモータ72の前後を前後支持部23bによってより確実に支持することができる。
【0101】
また、参考例1と同様に、前後支持部23bの外面が前ドレンパン81、後ドレンパン82および連通路83の内側の内壁を兼ねるため、前後支持部23bの外面の外側に別途前ドレンパン81、後ドレンパン82および連通路83の壁面が設けられる場合と比べて、ドレンパン構造体80bが小型化される。さらに、前後支持部23bと、前ドレンパン81、後ドレンパン82および連通路83との間に継ぎ目が無いため、継ぎ目による水漏れの発生が防止されている。
《実施例》
<構成>
図12に示すように、前後支持部23cをファンスクロール構造体78cのファン収容部10cと一体的に形成してもよい。すなわち、前後支持部23cがドレンパン構造体80cの前ドレンパン81、後ドレンパン82および連通路83と一体的に設けられるのではなく、前支持部25c、後支持部26cおよび下支持部21cの全てがファン収容部10cのモータ収容部20cと一体的にファンスクロール構造体78cに設けられる。この場合、前後支持部23cの前後および側方に前後支持部23cとは別体の前ドレンパン81、後ドレンパン82および連通路83が取り付けられる。
【0102】
なお、本実施例では、前後支持部23cがファン収容部10cと一体的に形成されるが、ドレンパン構造体80cがファンスクロール構造体78cに取り付けられた状態における前後支持部23cと室内ファンモータ72等との位置関係は参考例1と同様である。また、他の構成についても参考例1と同様である。
【0103】
<特徴>
このような支持構造によっても、上記の参考例1と同様に、ファンスクロール構造体78cを小型化しながらも、室内ファンモータ72の前後を前後支持部23cによってより確実に支持することができる。
【0104】
また、前後支持部23cおよび下支持部21cがファン収容部10cと一体的にファンスクロール構造体78cに設けられるため、室内ファンモータ72およびクロスフローファン71と、ファンスクロール構造体78cとの軸心の位置決め精度が向上する。これにより、クロスフローファン71とファンスクロール構造体78cとの配置の影響を受ける風性能が向上する。
【0105】
さらに、ドレンパン構造体80cが若干大きくなるが、前後支持部23cの外面とは別に、前ドレンパン81、後ドレンパン82および連通路83の内面を構成する壁面をドレンパン構造体80cに設けることによって、継ぎ目による水漏れの発生を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明によれば、ファンスクロール構造体の小型化およびファンモータの適切な支持が可能であり、空気調和機の室内機として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】空気調和機の外観図。
【図2】冷媒回路の模式図。
【図3】(a)室内機の正面図(b)室内機の側面図
【図4】室内機の側面断面図。
【図5】下部ユニットおよび室内熱交換器ユニットの外観斜視図。
【図6】底ケーシングの外観斜視図。
【図7】下部ユニットの側面断面図。
【図8】ファンスクロール構造体およびドレンパン構造体の一部を示す外観斜視図。
【図9】ファンスクロール構造体およびドレンパン構造体の外観斜視図。
【図10】下部ユニットの側面図。
【図11】ファンスクロール構造体およびドレンパン構造体の一部を示す外観斜視図。
【図12】ファンスクロール構造体およびドレンパン構造体の一部を示す外観斜視図。
【符号の説明】
【0108】
1 空気調和機
2 室内機
10c ファン収容部(収容部)
18 アウターロータ
21c 下支持部
23c 前後支持部
27 下突出部
28 前突出部
29 後突出部
71 クロスフローファン(送風ファン)
72 室内ファンモータ(ファンモータ)
78c ファンスクロール構造体
80c ドレンパン構造体
81 前ドレンパン(ドレンパン)
82 後ドレンパン(ドレンパン)
83 連通路(ドレンパン)
S2 第2密封空間(内部空間)
S3 第3密封空間(内部空間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風ファン(71)と、
前記送風ファン(71)の側方に配置され、本体から下方に突出する下突出部(27)と前方に突出する前突出部(28)と後方に突出する後突出部(29)とを有し、前記送風ファン(71)を回転駆動するファンモータ(72)と、
前記送風ファン(71)と前記ファンモータ(72)とを収容し前記ファンモータ(72)の回転中心以下に位置する収容部(10c)と、前記収容部(10c)と一体的に設けられ前記ファンモータ(72)の下突出部(27)を支持する下支持部(21c)と、前記収容部(10c)の上部から上方へと突出するように前記収容部(10c)と一体的に設けられ前記ファンモータ(72)の前突出部28(28)を支持する前支持部(25c)と、前記収容部(10c)の上部から上方へと突出するように前記収容部(10c)と一体的に設けられ前記ファンモータ(72)の後突出部(29)を支持する後支持部(26c)とを有するファンスクロール構造体(78c)と、
を備える空気調和機(1)の室内機(2)。
【請求項2】
前記ファンスクロール構造体(78c)は、前記前支持部(25c)および前記後支持部(26c)を除いて前記ファンモータ(72)の回転中心以下に位置する、
請求項1に記載の空気調和機(1)の室内機(2)。
【請求項3】
前記ファンモータ(72)は、アウターロータ(18)を有するモータであり、前記アウターロータ(18)は前記送風ファン(71)に直接固定される、
請求項1または2に記載の空気調和機(1)の室内機(2)。
【請求項4】
前記収容部(10c)の前後および側方に隣接するドレンパン(81−83)を有し、前記ファンスクロール構造体(78c)とは別体に形成されるドレンパン構造体(80c)をさらに備え、
前記ファンスクロール構造体(78c)は、前記ドレンパン構造体(80c)が前記ファンスクロール構造体(78c)に取り付けられることによって外部から閉じられて空気断熱層として機能する内部空間(S2,S3)を有する、
請求項1から3いずれかに記載の空気調和機(1)の室内機(2)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−40701(P2007−40701A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−313592(P2006−313592)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【分割の表示】特願2003−300109(P2003−300109)の分割
【原出願日】平成15年8月25日(2003.8.25)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】