説明

空気調和機の室内機

【課題】電装品箱内における水の発生及び電装品箱内への水の浸入を抑制可能な空気調和機の室内機を提供する。
【解決手段】空気調和機の室内機1は、熱交換器12と、熱交換器12の下方に設けられたドレンパン11cと、電装品を内部に収納して熱交換器12よりも前方に配置された電装品箱41と、ドレンパン11cと別部材であって、電装品箱41に取り付けられ、電装品箱41における熱交換器12と対向する面の少なくとも一部を覆うカバー43、44と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器の下方にドレンパンが設けられ、電装品を収納した電装品箱が熱交換器の前方に配置されている空気調和機の室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱交換器の下方にドレンパンが設けられ、電装品を収納した電装品箱が熱交換器よりも前方に配置されている空気調和機の室内機として、特許文献1に記載のものが知られている。
この室内機は、ファンよりも上流であって熱交換器よりも上流側の空間に電気品収納箱が配置されている。具体的には、電気品収納箱は、熱交換器の前方におけるノーズとグリルとの間に装着されている。この構成によると、電気品収納箱を前方に配置することによる流路損失の増加を抑えることができる。
【0003】
【特許文献1】特開2002−156135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、他の構成部材の配置位置との関係から、電装品収納箱をドレンパンにおける前面側の縁部よりも高い位置に配置することも考えられる。例えば、電装品収納箱が、熱交換器に対向する位置に配置されることもありうる。
この場合、冷房運転時には、熱交換器により電装品収納箱が冷却されやすく、電装品収納箱の内部に結露が生じるおそれがある。また、電装品箱の外表面に付着した結露水が電装品箱内部に浸入するおそれもある。これにより、電装品のショート等の問題が生じるおそれがある。
【0005】
そこで、この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、電装品箱内における水の発生及び電装品箱内への水の浸入を抑制可能な空気調和機の室内機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の空気調和機の室内機は、熱交換器と、前記熱交換器の下方に設けられたドレンパンと、電装品を内部に収納して前記熱交換器よりも前方に配置された電装品箱と、前記電装品箱に取り付けられ、前記電装品箱における前記熱交換器と対向する面の少なくとも一部を覆うカバーと、を備えることを特徴とする。
【0007】
この構成によると、カバーが熱交換器と電装品箱との間に介在しているので、電装品箱の熱が熱交換器に吸熱されにくくなる。したがって、電装品箱の外表面及び電装品箱の内部で結露することが抑制される。これにより、電装品のショート等の問題を防止できる。
【0008】
第2の発明の空気調和機の室内機は、前記カバーは、前記電装品箱の上面の少なくとも一部を覆うことを特徴とする。
【0009】
この構成によると、電装品箱の上面に水が滴下することを防ぐことができる。これにより、電装品箱の内部に水が浸入することを防ぐことができる。
【0010】
第3の発明の空気調和機の室内機は、前記カバーにおける前記熱交換器と対向する面は、少なくとも下端部近傍において、前記熱交換器に近づくように水平又は斜め下方に延びており、前記熱交換器側の端部の下方に前記ドレンパンが位置することを特徴とする。
【0011】
この構成によると、カバーにおける熱交換器と対向する面に沿って流れた水がカバーの端部から落下したときに、当該水を確実にドレンパンに導くことができる。
【0012】
第4の発明の空気調和機の室内機は、前記カバーにおける前記熱交換器と対向する面は、上端部から中間部まで前記電装品箱の外面に沿うように延び、当該中間部から、前記熱交換器に近づくように水平又は斜め下方に延びており、前記熱交換器側の端部の下方に前記ドレンパンが位置することを特徴とする。
【0013】
この構成によると、カバーにおける熱交換器と対向する面に沿って流れた水がカバーの端部から落下したときに、当該水を確実にドレンパンに導くことができる。
更に、カバーにおける熱交換器と対向する面は、上端部から中間部まで電装品箱の外面に沿うように延びるため、当該カバーと電装品箱とで占めるスペースが過度に大きくなることを抑制できる。
【0014】
第5の発明の空気調和機の室内機は、前記熱交換器側から前方に見たときに、前記カバーにより前記ドレンパンの上縁部の少なくとも一部が覆われていることを特徴とする。
【0015】
この構成によると、熱交換器と電装品箱との間にカバーとドレンパンとが重なる部分が配置されるので、熱交換器による電装品箱の冷却がより抑制されるとともに、カバーにおける熱交換器と対向する面に沿って流れた水を確実にドレンパンに導くことができる。
【発明の効果】
【0016】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0017】
第1の発明では、カバーが熱交換器と電装品箱との間に介在しているので、電装品箱の熱が熱交換器に吸熱されにくくなる。したがって、電装品箱の外表面及び電装品箱の内部で結露することが抑制される。これにより、電装品のショート等の問題を防止できる。
【0018】
第2の発明では、電装品箱の上面に水が滴下することを防ぐことができる。これにより、電装品箱の内部に水が浸入することを防ぐことができる。
【0019】
第3の発明では、カバーにおける熱交換器と対向する面に沿って流れた水がカバーの端部から落下したときに、当該水を確実にドレンパンに導くことができる。
【0020】
第4の発明では、カバーにおける熱交換器と対向する面に沿って流れた水がカバーの端部から落下したときに、当該水を確実にドレンパンに導くことができる。
更に、カバーにおける熱交換器と対向する面は、上端部から中間部まで電装品箱の外面に沿うように延びるため、当該カバーと電装品箱とで占めるスペースが過度に大きくなることを抑制できる。
【0021】
第5の発明では、熱交換器と電装品箱との間にカバーとドレンパンとが重なる部分が配置されるので、熱交換器による電装品箱の冷却がより抑制されるとともに、カバーにおける熱交換器と対向する面に沿って流れた水を確実にドレンパンに導くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態にかかる空気調和機の室内機について説明する。尚、この室内機は壁掛け型のものであり、室外に設置される室外機に接続されて空気調和機を構成する。
【0023】
〔基本構成〕
図1は、本発明の実施形態に係る室内機1を前方斜め上から見た模式的斜視図である。
図2は、図1に示す室内機1を前方から見た模式図である。
図3は、図2に示す室内機1のA−A断面模式図である。
図4は、図2に示す室内機1の前面パネル20を取り外した模式図である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態の室内機1は、全体として一方向に細長い形状を有しており、その長手方向が水平となるように室内の壁面に取り付けられるものである。尚、以下の説明において、室内機1の長手方向を単に「長手方向」と称する。また、室内機1が取り付けられる壁から突出する方向を「前方」と称し、その反対の方向を「後方」と称する。
【0025】
この室内機1は、本体ユニット10(本体)と、本体ユニット10の前面に取り付けられる前面パネル20と、を有して構成される。
【0026】
〔本体ユニット〕
図3に示すように、本体ユニット10は、本体ケーシング11と、室内熱交換器12と、クロスフローファン13と、電装品ユニット14と、フィルタユニット15と、清掃ユニット16と、前面グリル17とを有して構成される。
【0027】
室内熱交換器12、クロスフローファン13、電装品ユニット14、及びフィルタユニット15は、本体ケーシング11に取り付けられている。
【0028】
前面グリル17は、室内熱交換器12、クロスフローファン13、電装品ユニット14、及びフィルタユニット15等の構成部材を覆うように本体ケーシング11の前面に取り付けられている。
【0029】
室内熱交換器12は、本体ケーシング11に対して、前側熱交換器12aと後側熱交換器12bとを逆V字状に配置して構成されたプレートフィン形の熱交換器である。尚、本実施形態の室内機1においては、前側熱交換器12aの前面に補助熱交換器12cが取り付けられている。また、後側熱交換器12bの後面に補助熱交換器12dが取り付けられている。補助熱交換器12c及び補助熱交換器12dは、冷媒と空気との熱交換を助長するためのものである。
【0030】
図1に示すように、前面グリル17には、天井部分に天面吸込口17aが形成されている。当該天面吸込口17aは前面グリル17の天井部分を格子状にして形成されている。
また、図4に示すように、前面グリル17の前側上部には、前側開口17b、17cが形成されている。前側開口17b、17cは、それぞれ一の開口として形成されている。
また、前面グリル17には、これらの前側開口17b、17cの下方に室内機1の長手方向と平行に延びる開口部17dが形成されている。この開口部17dには、清掃ユニット16が嵌め込まれている。
また、前面グリル17には、長手方向中央部において、開口部17dの下方に、発光表示部42を前方に露出させるための開口部17eが形成されている。当該開口部17eは、発光表示部42の前面形状と略対応する形状で形成され、当該発光表示部42が、前面グリル17の内側から外側に向かって挿入されている。
【0031】
図1に示すように、前面パネル20を閉じた状態で、前面グリル17の天面吸込口17a、及び、前面パネル20の上部に位置する前側吸込口20aから、外部の空気が当該前面グリル17の内部へ吸い込まれる。
【0032】
図3に示すように、室内熱交換器12の逆V字状の内側には、クロスフローファン13が設けられている。このクロスフローファン13は軸流ファンと呼ばれているもので、その軸方向が室内機1の長手方向に沿うように配置されている。本体ケーシング11には、クロスフローファン13の背後において、湾曲した壁面を有して構成されるスクロール部11aが形成されている。当該スクロール部11aにより、クロスフローファン13から前面グリル17の前面側下部に開口する吹出口17fへ空気を滑らかに導くことができる。
【0033】
本体ケーシング11は、吹出口17fの上側に位置するように上側壁面11bを有する。当該上側壁面11bは、前側熱交換器12aの下方に位置するドレンパン11cと一体に成形されている。尚、本実施形態においては、前側熱交換器12aの下端がドレンパン11c内に位置するようにドレンパン11cが配置されている。
【0034】
ドレンパン11cと前面パネル20との間の位置には、電装品ユニット14が配置されている。また、後側熱交換器12bの下方には、後側ドレンパン11dが配置されている。
【0035】
本体ケーシング11、前面グリル17、及び前面パネル20は、横長のものである。また、吹出口17fは、前面グリル17の長手方向に沿って延びるように形成されている。
【0036】
室内機1においては、上面の天面吸込口17a及び前側吸込口20aからクロスフローファン13によって吸い込まれた室内空気を室内熱交換器12に通過させ冷媒との間で熱交換させることにより、当該空気の冷却又は加熱が行われる。熱交換後の当該空気は、下面の吹出口17fから室内へと吹出される。
【0037】
フィルタユニット15は長手方向に並んで設けられた一対のエアフィルタ51(図3において2点鎖線で、図4において網掛けのハッチングで模式的に示す。図1においては省略する。)と、当該エアフィルタ51を移動させるためのピニオン52と、を備えている。当該一対のエアフィルタ51は、天面吸込口17a及び前側開口17b、17cに対向する位置に配置されており、天面吸込口17a又は前側開口17b、17cを通過する空気に混在する埃等を取り除くことができる。
【0038】
清掃ユニット16は、室内機1の長手方向に延びるとともに、当該長手方向に延びる軸周りに回転するブラシ61と、ブラシ61についた埃を掻き出すための櫛62と、当該櫛62の前方に近接して設けられ室内機1の長手方向に延びて回転する圧縮ローラ63と、圧縮ローラ63と櫛62との間で圧縮された埃が収納されるダストボックス64と、を備えている。
尚、当該清掃ユニット16は、ブラシ61がフィルタユニット15のエアフィルタ51に当接した状態で保持されるように、前面グリル17の外側から、当該前面グリル17の前面に嵌め込まれている。
【0039】
エアフィルタ51には、ピニオン52外周と噛み合う柔軟性のあるラック(図示せず)が設けられている。当該ピニオン52の回転により、エアフィルタ51は、ブラシ61に表面を当接させながら裏面側に巻き込まれるように移動される。このときエアフィルタ51に付着した埃等は、ブラシ61により取り除かれるとともに、当該埃等は圧縮ローラ63により圧縮されてダストボックス64に収納される。
【0040】
〔電装品ユニット〕
次に、電装品ユニット14について具体的に説明する。
図5は、室内機1から、前面パネル20、清掃ユニット16、及び前面グリル17を取り外した状態を説明するための斜視模式図である。
図6は、図5に示す電装品ユニットを示す斜視模式図であり、(a)は、前方斜め上から見た斜視模式図であり、(b)は、後方斜め上からみた斜視模式図である。
図7は、図5に示す第1カバー部材43及び第2カバー部材44を示す斜視模式図である。
図8は、第1カバー部材43及び第2カバー部材44を電装品箱に取り付けた状態を示す斜視模式図であり、(a)は、前方斜め上から見た斜視模式図であり、(b)は、後方斜め上からみた斜視模式図である。
図9は、図3に示す電装品ユニット14近傍部を拡大して模式的に示す図である。
【0041】
図5に示すように、電装品ユニット14は、本体ユニット10における前面グリル17の内側の前面下部に位置するように配置されている。当該電装品ユニット14は、商用電源(交流100V又は交流200V)に接続される電源入力部としての端子盤、交流回路部、直流高圧回路部、直流低圧回路部、CPU制御部等の電装品と、当該電装品を内部に収容する電装品箱41と、当該電装品箱41の前面に取り付けられた発光表示部42と、を有して構成される。
【0042】
図6に示すように、電装品箱41は、細長く延びる略直方体状の外形を有しており、背面側を覆う背面ケース41aと、背面ケース41a内部に収容された電装品を前方から覆う蓋状ケース41bと、を有して構成される。図9に示すように、当該電装品箱41は、ドレンパン11cの前方の位置において、ドレンパン11cの長手方向と略平行に並んだ状態で、発光表示部42(図4参照)を前方に向けて配置されている。このように、電装品を電装品箱41に収納することで、単一の電装品ユニットとして取り扱うことができ、取り扱いが容易になる。
【0043】
尚、電装品箱41は、当該電装品箱41の最も下方に位置する部分が、ドレンパン11cの底部よりも低い位置となり、電装品箱41の最も上方に位置する部分が、ドレンパン11cの前側の上縁部よりも高い位置になるように配置されている。
【0044】
発光表示部42は、複数並べて設置されたLEDを有し、これらのLEDが発光して所定の文字等を表示することが可能な表示部である。当該発光表示部42の前方は前面パネル20により覆われることになるが、LEDから当該前面パネル20を透過する光を発することで、外部から発光表示部42の表示を視認することが可能である。
【0045】
この発光表示部42は、電装品箱41の前面よりも前方に突出するように設けられている。即ち、発光表示部42の表示面が電装品箱41の前面よりも前方に配置される。これにより、前面パネル20の裏面を当該発光表示部42の表示面に確実に密着させることができる。結果として、発光表示部42の表示を外部から容易に視認することができる。
【0046】
また、発光表示部42は、電装品箱41に直接取り付けられているので、発光表示部42と電装品箱41内の電装品とを電気的に接続するためのリード線等の配線長を短くすることができる。
【0047】
図5及び図8に示すように、電装品箱41は、本体ケーシング11に設置された状態において、第1カバー部材43と第2カバー部材44とで上方から覆われている。
第1カバー部材43は、電装品箱41の長手方向における発光表示部42の側から見て右側を覆うように配置され、第2カバー部材44は、左側を覆うように配置される。
【0048】
図8に示すように、第1カバー部材43は、電装品箱41の発光表示部42が設けられている面(以下、電装品箱41の前面と記載する)とは逆側の面(以下、電装品箱41の背面と記載する)を覆うように配置される背面カバー部43aと、当該背面カバー部43aに連続して電装品箱41の上面を覆うように配置される上面カバー部43bと、当該上面カバー部43bに連続して電装品箱41の前面に沿って下方に延設される前面カバー部43cと、を有する。これら背面カバー部43a、上面カバー部43b、及び前面カバー部43cは、一体的に設けられている。
【0049】
図9に示すように、背面カバー部43aは、上面カバー部43bの後方縁部から、当該上面カバー部43bに対して略垂直に延びている。そして、延出方向先端部近傍で前面カバー部43cから離れる方向、即ち、室内熱交換器12に近づく方向に屈曲して斜め下に延びる傾斜部43dを有している。当該傾斜部43dは、第1カバー部材43の長手方向の全域に亘って設けられている。
【0050】
前面カバー部43cは、上面カバー部43bの前方縁部から、当該上面カバー部43bに対して略垂直に延びている。当該前面カバー部43cは延出方向先端の一部が内側に屈曲しており、電装品箱41の前面に形成された段状部分に引っ掛けて固定できるようになっている。
【0051】
また、第2カバー部材44についても、電装品箱41の背面を覆うように配置される背面カバー部44aと、当該背面カバー部44aに連続して電装品箱41の上面を覆うように配置される上面カバー部44bと、当該上面カバー部44bに連続して電装品箱41の前面に沿って下方に延設される前面カバー部44cと、を有する。これら背面カバー部44a、上面カバー部44b、及び前面カバー部44cは、一体的に設けられている。
【0052】
背面カバー部44aは、上面カバー部44bの後方縁部から、当該上面カバー部44bに対して略垂直に延びている。そして、延出方向先端部近傍で前面カバー部44cから離れる方向、即ち、室内熱交換器12に近づく方向に屈曲して斜め下に延びる傾斜部44dを有している。当該傾斜部44dは、第2カバー部材44の長手方向の全域に亘って設けられている。
前面カバー部44cは、上面カバー部44bの前方縁部から、当該上面カバー部44bに対して略垂直に延びている。
【0053】
図7に示すように、第1カバー部材43及び第2カバー部材44は、電装品箱41の上方から、背面カバー43a、44aと前面カバー43c、44cとで電装品箱41を挟み込むように嵌め込まれて当該電装品箱41に固定される。
【0054】
第1カバー部材43は、電装品箱41の発光表示部42側からみて、当該発光表示部42の右側に前面カバー部43cが位置するように設置される。一方、第2カバー部材44は、電装品箱41の発光表示部42側からみて、当該発光表示部42の左側に前面カバー部44cが位置するように設置される。
【0055】
図7及び図8に示すように、第1カバー部材43の上面カバー部43bは、電装品箱41の長手方向における発光表示部42の位置に相当する上面を覆うように、背面カバー部43aよりも当該長手方向に延出している。そして、上面カバー部43bにおける当該延出方向の端部は、第2カバー部材44の上面カバー部44bにほとんど隙間のない状態で接触している
【0056】
また、第2カバー部材44の背面カバー部44aは、上面カバー部44bよりも、電装品箱41の長手方向における第1カバー部材43側に延出している。そして、電装品箱41に取り付けた状態では、背面カバー部44aにおける当該延出方向の先端部は、当該長手方向における発光表示部42の裏側に位置し、第1カバー部材43の背面カバー部43aに覆われている(背面カバー部43aの端部と重なっている)。
【0057】
尚、本実施形態においては、電装品箱41の長手方向の略中央部において、背面カバー部44aの切り欠き形状(図7参照)により、当該背面カバー部44aと背面カバー部43aとの間に開口部44e(図8参照)が形成されている。この開口部44eの位置は、室内機1の長手方向中央部に配置されたフィルタユニット15及び清掃ユニット16の駆動部品(電動機等)の位置に略対応している。即ち、室内機1の長手方向において一対のフィルタが配置される位置(図4においてF1、F2で示す範囲内の位置)とは異なる位置に開口部44eが設けられている。
【0058】
また、第1カバー部材43の上面カバー部43b及び第2カバー部材44の上面カバー部44bにより電装品箱41の上面が覆われる。
【0059】
図9に示すように、電装品箱41及びカバー部材43・44は、電装品箱41の上面がやや前下がりになる姿勢で、ドレンパン11cの前側、かつ、清掃ユニット16の下側に設置される。このように設置された状態においては、電装品箱41の上側はカバー部材43・44で覆われているとともに、カバー部材43・44の上側には、前面グリル17が接触して配置されている。更に、その上には、前面グリル17に接触するように、清掃ユニット16におけるダストボックス64の底面が配置されている。したがって、上面からの水滴が電装品箱41にかかることは防止される。
【0060】
また、電装品箱41の背面には、背面カバー部43a及び背面カバー部44aが設けられ、当該背面カバー部43aの下端は、ドレンパン11cの内側に入っている。したがって、電装品箱41の背面側に水滴が滴下された場合には、背面カバー部43a(又は背面カバー部44a)に沿ってドレンパン11cに流れるため、電装品箱41内に当該水が進入することはない。
【0061】
〔配管固定部〕
図10は、図1に示す室内機1の本体ケーシング11を背面側から見た斜視図であり、(a)は、背面に向かってやや左側から見た図であり、(b)は、背面に向かってやや右側から見た図である。尚、図10においては、配管設置溝80に配置される配管(図示せず)及び配管カバー70を取り外した状態を示している。
図11は、図10に示す室内機1の配管カバー70を取り付けた状態を示す図である。
【0062】
図10に示すように、本体ケーシング11の背面には、長手方向の端部に、上下方向に延びる配管設置溝80が形成されている。この配管設置溝80に冷媒配管等が配置され、配管カバー70を取り付けることで、冷媒配管が配管設置溝80内に固定される。
【0063】
配管カバー70は、配管設置溝80を覆う位置に配置され中央部に開口部71aが形成されたカバー面71と、当該カバー面71の両端の縁部から屈曲して当該カバー面71と略垂直面を形成する一対の側面板72と、を有している。カバー面71の上端からは更に上方に向かって延びる延設板部が設けられている。また、一対の側面板72の上部には、カバー面71の上端よりも更に斜め上方に延びる上係合部72aが形成されている。また、側面板72の下部には、カバー面71から離れる方向に延出する下係合部72bが形成されている。当該下係合部72bは先端において内側(他方の下係合部に向かう方向)に突出する爪部を有する。また、下係合部72bとカバー面71との角部には開口が形成されている。
【0064】
配管設置溝80は、本体ケーシング11の長手方向端部に位置する第1壁面部81と、当該第1壁面部81と略平行に所定の間隔を空けて配置される第2壁面部82と、の間の空間として形成される。
【0065】
第1壁面部81は、配管設置溝80の外側を向く面には、当該面から突出するとともに当該面上を屈曲して延びるガイドリブ81aが形成されている。ガイドリブ81aは、第1壁面部81の上端部近傍において、側面視において、上係合部72aの上部輪郭形状に対応した形状を縁取った形状となるように第1壁面部81の面上を延びている。
【0066】
第2壁面部82は、その上部及び下部において、配管設置溝80の外側を向いて露出する上部露出面82a及び下部露出面82bを有している(図10(b)参照)。これらの上部露出面82a及び下部露出面82bは、第1壁面部81の外側を向く面と平行な面である。
【0067】
上部露出面82aの上側は、室内機1の長手方向に延びる上側部材83により上方から覆われている。当該上側部材83には、当該上部露出面82aに沿わせて上方に移動させた配管カバー70の上係合部72aの先端を嵌め込むことができる溝83aが長手方向に延びるように形成されている。上部露出面82aの下側には、本体ケーシング11の背面を構成する斜面84が連続している。当該斜面84は、後方に向かって斜め下に傾斜する面である。
【0068】
第2壁面部82の下部にて露出する下部露出面82bには、配管カバー70の一方の下係合部72bの爪部を引っ掛けるための開口部82cが設けられている。尚、第1壁面部81における第2壁面部82の開口部82cと対応する位置にも、同形状の開口部81bが設けられている。
【0069】
配管カバー70を本体ケーシング11に取り付ける際は、まず、一対の上係合部72aで第1壁面部81及び第2壁面部82の上部を挟み込む。そして、そのまま壁面に沿って前方斜め上方に移動させ、ガイドリブ81aの上部における第1壁面部81の上端から背面側の縁まで斜めに延びる部分に対し、一方の上係合部72aの上端において斜めに延びる縁部を当接させるとともに、溝83aに対し、他方の上係合部72aの先端を嵌め込む。その後、一対の下係合部72bで第1壁面部81及び下部露出面82bとを挟み込むように配管カバー70を移動させ、本体ケーシング11側に向かって配管カバー70の下部を押し込むことで一対の下係合部72bの爪部が、開口部82c及び開口部81bの縁にそれぞれ係合し、配管カバー70の下部が本体ケーシング11から離れることが防止される。これにより、図11に示すように、配管カバー70が室内機1の背面における配管設置溝80を覆った状態で固定される。
【0070】
以上、説明したように、本実施形態に係る室内機1は、室内熱交換器12と、室内熱交換器12の下方に設けられたドレンパン11cと、電装品を内部に収納して室内熱交換器12よりも前方に配置された電装品箱41と、ドレンパン11cと別部材であって、電装品箱41に取り付けられ、電装品箱41における室内熱交換器12と対向する面の少なくとも一部を覆う第1カバー部材43及び第2カバー部材44と、を備えることを特徴とする。
【0071】
この構成によると、第1カバー部材43及び第2カバー部材44が室内熱交換器12と電装品箱41との間に介在しているので、電装品箱41の熱が室内熱交換器12に吸熱されにくくなる。したがって、電装品箱41の外表面及び電装品箱41の内部で結露することが抑制される。これにより、電装品のショート等の問題を防止できる。
更に、第1カバー部材43及び第2カバー部材44は、ドレンパン11cとは別部材である。したがって、室内熱交換器12に対向するいずれの位置に電装品箱41を配置する場合であっても、当該第1カバー部材43及び第2カバー部材44により確実に室内熱交換器12と対向する面を覆うことができる。即ち、ドレンパン11cの位置や形状などに過度に拘束されることなく、電装品箱41の配置位置を決定することができる。
【0072】
尚、本実施形態においては、電装品箱41の長手方向の略中央部において、背面カバー部に開口部44eが形成されているが、この開口部44eの位置は、室内機1の長手方向において、略中央部に配置されたフィルタユニット15及び清掃ユニット16の駆動部品の位置に略対応している。即ち、当該開口部44eは、室内機1の長手方向において一対のエアフィルタ51が配置される位置(図4においてF1、F2で示す範囲内の位置)とは異なる位置に設けられたものである。そのため、当該開口部44eの位置は、駆動部品等からの発熱により比較的温度が高く、また、エアフィルタ51の配置位置から離れているため風の流れも少ない。したがって、当該開口部44eを介して過度に電装品箱41が冷却されて結露してしまうことはない。
【0073】
また、本実施形態に係る室内機1において第1カバー部材43及び第2カバー部材44は、電装品箱41の上面の少なくとも一部を覆っているので、電装品箱41の上面に水が滴下することを防ぐことができる。これにより、電装品箱41の内部に水が浸入することを防ぐことができる。
【0074】
また、本実施形態に係る室内機1は、第1カバー部材43及び第2カバー部材44の背面カバー部43a、44aは、少なくとも下端部近傍において、室内熱交換器12に近づくように斜め下方に延びており、室内熱交換器12側の端部の下方にドレンパン11cが位置する。
【0075】
この構成によると、背面カバー部43a、44aに沿って流れた水が端部から落下したときに、当該水を確実にドレンパン11cに導くことができる。
尚、本実施形態のように、背面カバー部43a、44aの下端部近傍が斜め下方に延びる構成に限らず、水平に延びる構成であってもよい。
【0076】
また、本実施形態に係る室内機1は、背面カバー部43a、44aは、上端部から中間部まで電装品箱41の外面に沿うように延び、当該中間部から、室内熱交換器12に近づくように斜め下方に延びており、室内熱交換器12側の端部の下方にドレンパン11cが位置する。
【0077】
この構成によると、背面カバー部43a、44aは、上端部から中間部まで電装品箱41の外面に沿うように延びるため、当該背面カバー部43a、44aと電装品箱41とで占めるスペースが過度に大きくなることを抑制できる。
【0078】
また、本実施形態に係る室内機1は、室内熱交換器12側から前方に見たときに、第1カバー部材43及び第2カバー部材44によりドレンパン11cの上縁部の少なくとも一部が覆われている。
【0079】
この構成によると、室内熱交換器12と電装品箱41との間に第1カバー部材43及び第2カバー部材44とドレンパン11cとが重なる部分が配置されるので、室内熱交換器12による電装品箱41の冷却がより抑制されるとともに、第1カバー部材43及び第2カバー部材44における室内熱交換器12と対向する面に沿って流れた水を確実にドレンパン11cに導くことができる。
【0080】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0081】
(1)本実施形態のように背面カバー部43a、44aに開口部44e等の開口部や切り欠き部を形成せず構成してもよい。例えば、室内機1の長手方向においてエアフィルタ51が配置される範囲内(図4においてF1、F2で示す範囲内)に位置する電装品箱41の背面における、室内熱交換器12から前方にみてドレンパン11cの上縁部から背面上端までの範囲を全て、背面カバー部43a、44aにより覆う構成としてもよい。この場合、電装品箱41の冷却をより確実に防ぐことができる。
【0082】
(2)本実施形態においては、第1カバー部材43の上面カバー部43b及び第2カバー部材44の上面カバー部44bには、適宜、配線等を通すための貫通穴が形成されているが、防水性を高めるため当該貫通穴を形成しない構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明を利用すれば、空気調和機の室内機において、電装品箱内における水の発生及び電装品箱内への水の浸入を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施形態に係る室内機を示す模式的斜視図。
【図2】図1に示す室内機の正面図。
【図3】図2に示す室内機のA−A断面図。
【図4】図2に示す室内機の前面パネルを取り外した図。
【図5】室内機を分解した斜視模式図。
【図6】電装品ユニットを示す斜視模式図。
【図7】カバー部材を示す斜視模式図。
【図8】カバー部材を電装品箱に取り付けた状態を示す斜視模式図。
【図9】図3に示す電装品ユニット近傍部を拡大して模式的に示す図。
【図10】図1に示す室内機の本体ケーシングを背面側から見た斜視模式図。
【図11】図10に示す本体ケーシングに配管カバーを取付けた状態を示す斜視模式図。
【符号の説明】
【0085】
1 室内機
11c ドレンパン
12 室内熱交換器
41 電装品箱
43 第1カバー部材(カバー)
44 第2カバー部材(カバー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器(12)と、
前記熱交換器の下方に設けられたドレンパン(11c)と、
電装品を内部に収納して前記熱交換器よりも前方に配置された電装品箱(41)と、
前記電装品箱に取り付けられ、前記電装品箱における前記熱交換器と対向する面の少なくとも一部を覆うカバー(43、44)と、
を備える空気調和機の室内機(1)。
【請求項2】
前記カバーは、前記電装品箱の上面の少なくとも一部を覆う
請求項1に記載の空気調和機の室内機。
【請求項3】
前記カバーにおける前記熱交換器と対向する面は、少なくとも下端部近傍において、前記熱交換器に近づくように水平又は斜め下方に延びており、前記熱交換器側の端部の下方に前記ドレンパンが位置する
請求項1又は請求項2に記載の空気調和機の室内機。
【請求項4】
前記カバーにおける前記熱交換器と対向する面は、上端部から中間部まで前記電装品箱の外面に沿うように延び、当該中間部から、前記熱交換器に近づくように水平又は斜め下方に延びており、前記熱交換器側の端部の下方に前記ドレンパンが位置する
請求項3に記載の空気調和機の室内機。
【請求項5】
前記熱交換器側から前方に見たときに、前記カバーにより前記ドレンパンの上縁部の少なくとも一部が覆われている
請求項1〜4のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−65905(P2010−65905A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231515(P2008−231515)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】