説明

空気調和機の室外機

【課題】筐体への熱交換器の設置時に従来よりもフィンのつぶれを抑制することができる空気調和機の室外機を得る。
【解決手段】室外機100は、筐体1の左側側壁及び後部側壁に吸込口4a,5aが形成されている。熱交換器10a,10bは吸込口4a,5aに対向して設けられており、空気流れ上流側となる熱交換器10aは保護部材20を有している。該保護部材20は、前端部21が熱交換器10bのU字状配管13bにおける折り曲げ部よりも前方に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室外機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和機の室外機としては、例えば特許文献1に記載のような室外機が知られている。このような従来の室外機は、後部側壁及び左側側壁に吸込口が形成され、前部側壁に吹出口が形成された筐体内に熱交換器及び送風機が収容されている。そして、熱交換器は、吸込口と対向するように配置され、上下方向に並設された複数の伝熱管と、伝熱管が挿入され、互いに所定の間隔を介して積層された複数のフィンと、フィンの積層方向の一方の端部において2本の伝熱管の端部を接続する複数のU字状配管と、を備えている。また、従来の室外機は、空気の流れ方向に沿って、複数台の熱交換器が並設される場合もある。また、一般的に、熱交換器のU字状配管が設けられた側と反対側の側部(フィンの積層方向の他方の端部)には、各伝熱管に冷媒を分配して供給し、各伝熱管から流出した冷媒を集約する分配・集約配管が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−138951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の室外機においては、熱交換器がある一定の大きさ以下の場合、手作業において筐体の台板上に熱交換器を設置する場合がある。詳しくは、室外機の正面側に位置する作業者が、熱交換器を持ち上げて保持し、筐体の台板上の後方(吸込口と対向する位置)に熱交換器を設置する。この際、作業者は熱交換器の側部を把持して、熱交換器の持ち上げ、保持及び設置という一連の作業を行うこととなる。ここで、熱交換器のU字状配管が設けられた側と反対側の側部においては、分配・集約配管を把持することにより、フィンに作業者の指が接触することを防止することができる。しかしながら、熱交換器のU字状配管が設けられた側の側部においては、作業者は、分配・集約配管のような把持する部材が無いため、フィンを把持することとなる。通常、フィンは非常に薄い金属で形成されているため、当該把持位置では、フィンに負荷がかかってフィンがつぶれてしまい、隣接するフィン同士が干渉してしまうという問題点があった。このような問題点が発生すると、フィン同士の干渉箇所は空気が通過することができないため、当該箇所で冷媒と空気が熱交換を行うことができず、空気調和機の能力を低下させてしまう。
【0005】
また、従来より、一本の配管を曲げることにより、伝熱管及び当該伝熱管を接続するU字状配管を一体で形成することがある。このような場合、伝熱管は熱交換効率を向上させるために肉厚を薄く形成するので、U字状配管の肉厚も薄くなる。このため、伝熱管とU字状配管とを一体形成した熱交換器を用いた従来の室外機においては、熱交換器を手作業で筐体の台板上に設置する際、U字状配管を把持することによって当該把持箇所のU字状配管が破損してしまうという問題点があった。このような問題点が発生すると、空気調和機を運転した際、U字状配管の破損部分から冷媒が漏れ出してしまう。また、破損したU字状配管は伝熱管と一体形成されているため、破損したU字状配管部分だけを交換することができないので、熱交換器そのものを交換する必要が生じてしまう。このため、U字状配管が破損してしまった際、熱交換器の取り替え作業によって、組立時間のロスや、部品のロスが発生してしまう。
【0006】
本発明は、上述のような課題の少なくとも1つを解決するためになされたものであり、筐体への熱交換器の設置時に従来よりもフィンのつぶれを抑制することができる空気調和機の室外機を得ることを第1の目的とする。
【0007】
また、本発明は、筐体への熱交換器の設置時に従来よりもU字状配管の破損を抑制することができる空気調和機の室外機を得ることを第2の目的とする。
【0008】
また、本発明は、第1の目的及び第2の目的の少なくとも一方を達成しつつ、筐体への熱交換器の設置を容易に行うことができる空気調和機の室外機を得ることを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る空気調和機の室外機は、吹出口、及び側壁の一部に形成された吸込口を備えた筐体と、前記吸込口と対向して前記筐体内に配置され、空気の流れ方向に沿って少なくとも1台設けられた熱交換器と、前記筐体内に設けられ、前記吸込口から空気を吸入し、前記吹出口から当該空気を吹き出す送風機と、を有し、前記熱交換器は、上下方向に並設された複数の伝熱管と、前記伝熱管が挿入され、互いに所定の間隔を介して積層された複数のフィンと、前記フィンの積層方向の一方の端部において2本の伝熱管の端部を接続する複数のU字状配管と、を備えた空気調和機の室外機であって、
前記熱交換器は、前記U字状配管が配置された側の端部に保護部材を有し、該保護部材は、上下方向に沿って前記熱交換器の前記U字状配管と対向する第1の面部を備え、前記空気の流れ方向の最上流部に配置された前記熱交換器における最も前記U字状配管に近い前記フィンから当該熱交換器の前記U字状配管の折り曲げ部に向かう方向を反フィン側とした場合、前記第1の面部における反フィン側端部は、前記空気の流れ方向の最上流部に配置された前記熱交換器の前記U字状配管における折り曲げ部よりも反フィン側に配置されているものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、前記熱交換器のU字状配管が配置された側の端部に、保護部材を設けている。そして、保護部材は、上下方向に沿って熱交換器のU字状配管と対向する第1の面部を備え、第1の面部における反フィン側端部は、空気の流れ方向の最上流部に配置された熱交換器のU字状配管における折り曲げ部よりも反フィン側に配置されている。ここで、空気の流れ方向の最上流部に配置された熱交換器は、台板上に熱交換器を設置する際に最も作業者の指が接触しやすい熱交換器である。このため、本発明のように構成された保護部材を用いることにより、作業者が熱交換器のU字状配管が設けられた側の側部を把持する際、保護部材を把持することによって指がフィンに接触しづらくなり、筐体への熱交換器の設置時に従来よりもフィンのつぶれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室外機における天板を外した状態の平面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室外機における熱交換器を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室外機における熱交換器の保護部材を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る空気調和機の室外機における熱交換器を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る空気調和機の室外機における熱交換器の保護部材を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る空気調和機の室外機における熱交換器を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係る空気調和機の室外機における熱交換器の保護部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和機の室外機における天板を外した状態の平面図である。図2は、この室外機の熱交換器を示す斜視図である。また、図3は、この熱交換器の保護部材を示す斜視図である。
以下、これら図1〜図3を用いて、本実施の形態1に係る空気調和機の室外機100について説明する。
【0013】
室外機100は筐体1を備え、この筐体1の内部には熱交換器10a,10b及び送風機50等が収容されている。
【0014】
筐体1は略直方体形状をしており、台板2、フロントパネル3、サイドパネル4、リアパネル5及び天板等によって構成されている。台板2は、筐体1の底面部を構成するものである。フロントパネル3は、筐体1の前部側壁及び左右側側壁の一部を構成するものであり、前面部には吹出口3aが形成されている。また、吹出口3aには、ベルマウス3bが設けられている。サイドパネル4は、筐体1の左側側壁の一部及び後部側壁の一部を構成するものであり、左側側壁には吸込口4aが形成されている。リアパネル5は、筐体1の後部側壁の一部及び右側側壁の一部を構成するものである。そして、リアパネル5の左側端部とサイドパネル4の右側端部との間の空間が、吸込口5aとなっている。また、フロントパネル3、サイドパネル4及びリアパネル5の上端部によって囲まれた筐体1の上部開口は、天板(図示せず)によって閉塞される。また、筐体1内は仕切板6によって左右の空間に区画されている。仕切板6によって区画された筐体1内の左側の空間には、熱交換器10a,10b及び送風機50が収容されている。仕切板6によって区画された筐体1内の右側の空間には、圧縮機や当該圧縮機及び送風機50の回転数等を制御する制御基板等(共に図示せず)が収容される。なお、筐体1を構成する各パネルはあくまでも一例であり、室外機100の組立工程等において好適なように、筐体1を適宜複数のパネルに分割すればよい。
【0015】
熱交換器10aは、筐体1の吸込口4a,5aに対向して配置されるものであり、平面視略L字状に形成されている。この熱交換器10aは、複数の伝熱管11a、複数のフィン12a及び複数のU字状配管13a等で構成されている。複数の伝熱管11aは、それぞれ平面視略L字状に形成され、上下方向に沿って並設されている。複数のフィン12aは、例えば略長方形状をした金属製の薄板であり、水平方向に所定の間隔を介して積層されている。これらフィン12aは、その長手方向が上下方向となるように配置されている。また、各フィン12aには、フィン12aの積層方向に沿って伝熱管11aが挿入されている。U字状配管13aは、熱交換器10aの左側の側部(フィン12aの積層方向の一方の端部)において、2つの伝熱管11a(例えば隣接する伝熱管11a)の一方の端部同士を接続するものである。
なお、この熱交換器10aの左側側部(U字状配管13aが設けられた側の側部)近傍の詳細構成は、熱交換器10bの構成を説明した後に説明する。
【0016】
熱交換器10bは、熱交換器10aと基本的に同様の構成となっている。詳しくは、熱交換器10bは、熱交換器10aの内側(後述する空気流れの下流側)において筐体1の吸込口4a,5aに対向して配置されるものであり、平面視略L字状に形成されている。そして、熱交換器10bは、複数の伝熱管11b、複数のフィン12b及び複数のU字状配管13b等で構成されている。複数の伝熱管11bは、それぞれ平面視略L字状に形成され、上下方向に沿って並設されている。複数のフィン12bは、例えば略長方形状をした金属製の薄板であり、水平方向に所定の間隔を介して積層されている。これらフィン12bは、その長手方向が上下方向となるように配置されている。また、各フィン12bには、フィン12bの積層方向に沿って伝熱管11bが挿入されている。U字状配管13bは、熱交換器10bの左側の側部(フィン12bの積層方向の一方の端部)において、2つの伝熱管11b(例えば隣接する伝熱管11b)の一方の端部同士を接続するものである。本実施の形態1においては、熱交換器10bのU字状配管13bの折り曲げ部(U字状の底部)が、熱交換器10aのU字状配管13aの折り曲げ部よりも前方に配置されている。
【0017】
また、熱交換器10a,10bの右側側部(フィン12a,12bの積層方向の他方の端部)には、伝熱管11a,11bに冷媒を分配し、伝熱管11a,11bから流出した冷媒を集約する分配・集約配管16が設けられている。
【0018】
ここで、本実施の形態1に係る室外機100においては、この熱交換器10aの左側側部(U字状配管13aが設けられた側の側部)に、端板15及び保護部材20が設けられている。端板15は、最もU字状配管13aに近いフィン12aとU字状配管13aとの間に設けられた平板部、及び、該平板部の外側端部(サイドパネル4側の端部)から前方に延設された延設部を備えている。つまり、端板15は、平面視略L字状に形成されている。端板15はフィン12aに伝熱管11aを挿入する際に取り付けられるものであり、端板15の平板部にも伝熱管11aが挿入されている。なお、フィン12a及び端板15と伝熱管11aとの固定は、例えば、フィン12a及び端板15に伝熱管11aを挿入した後、伝熱管11aを拡管することにより行われる。
【0019】
保護部材20は、例えば、上下方向に長い略長方形状をした板状部材である。この保護部材20は、上下方向に沿って、U字状配管13aの外側(サイドパネル4側)と対向している。保護部材20は、端板15の延設部に次のように取り付けられている。詳しくは、まず、保護部材20の係止爪22を端板15の延設部に形成された係止穴(図示せず)に係止し、保護部材20を仮固定する。そして、保護部材20の貫通孔23に通したネジ23aを端板15の延設部に形成されたネジ穴に螺合することにより、保護部材20は端板15の延設部に取り付けられる。保護部材20が端板15に取り付けられた状態においては、保護部材20の前端部21は、熱交換器10bのU字状配管13bの折り曲げ部よりも前方に配置されている。
ここで、保護部材20が、本発明の保護部材且つ第1の面部に相当し、前端部21が本発明の反フィン側端部に相当する。
【0020】
なお、本実施の形態1においては、保護部材20は、熱交換器10aを筐体1に固定するための固定部材としても用いられている。詳しくは、保護部材20の係止穴24にサイドパネル4の係止爪(図示せず)を係止し、熱交換器10aを仮固定する。そして、サイドパネル4の貫通孔(図示せず)に挿入したネジ(図示せず)を保護部材20のネジ穴25に螺合することにより、熱交換器10aはサイドパネル4に固定される。なお、この取付作業前において、熱交換器10aと熱交換器10bとは、公知の方法(例えば、両者をベルトや連結治具で固定する等)で固定されている。また、本実施の形態1では、保護部材20を端板15に取り付けるためのネジ23aの頭部がサイドパネル4と干渉しないように、また、以下の効果を得るために、保護部材20に段差部26が形成されている。つまり、保護部材20に段差部26を形成することにより、サイドパネル4と熱交換器10aとの間に空間を形成できるため、冬期の運転中に熱交換器10aに結露しても、サイドパネル4と熱交換器10aとの間に氷がブリッジして熱交換器10aを閉塞することを防止でき、熱交換器10aの熱交換効率が低下することを防止できる。
【0021】
送風機50は、筐体1内における熱交換器10a,10bの前方(後述する空気流れ下流側)に設けられている。詳しくは、送風機50は、吹出口3aに対向して配置されており、空気流れ下流側の外周部がベルマウス3bに覆われている。この送風機50は、モーターサポート51に取り付けられている。このモーターサポート51は、送風機取付部51a及び天板支持部51b等で構成されている。送風機取付部51aは、その下端部が台板2に固定されて台板2から立設しているものであり、送風機50のモーターを支持している。天板支持部51bは、天板を下方から支持するものであり、天板と対向するように送風機取付部51aの上端部に設けられている。
【0022】
このように構成された室外機100は、送風機50が駆動されると、図1の白抜き矢印で示すように空気が流れる。つまり、吸込口4a,5aから筐体1内に吸い込まれた筐体1外の空気(室外空気)は、熱交換器10a及び熱交換器10bの順で通過し、熱交換器10aの伝熱管11a及び熱交換器10bの伝熱管11bを流れる冷媒と熱交換する。そして、熱交換後の空気は、吹出口3aから筐体1外へ吹き出される。
【0023】
(熱交換器10a,10bの取り付け工程)
続いて、本実施の形態1に係る室外機100に熱交換器10a,10bを取り付ける工程について説明する。
予め公知の方法で固定された熱交換器10a,10bを手作業によって筐体1の台板2上に設置する場合(上記のように、保護部材20の係止穴24にサイドパネル4の係止爪を係止する場合)、作業者は、熱交換器10a,10bの設置後にモーターサポート51及び送風機50等を設置する必要があるため、室外機100の正面側から熱交換器10a,10bを台板2上に設置することとなる。そして、作業者は、熱交換器10a,10bの両側部を把持して、熱交換器10a,10bを持ち上げて保持し、熱交換器10a,10bを台板2上に設置する。詳しくは、熱交換器10a,10bの分配・集約配管16が設けられた側の側部においては、作業者は、当該分配・集約配管16を把持する。また、熱交換器10a,10bのU字状配管13a,13bが設けられた側の側部においては、保護部材20を把持する。このため、フィンつぶれが発生してしまう熱交換器10a,10bのU字状配管13a,13bが設けられた側の側部において、従来よりも、作業者の指先をフィン12a,12bから離れさせることができる。したがって、熱交換器10a,10bを手作業によって筐体1の台板2上に設置する際、従来よりもフィンつぶれの発生を抑制することができる。
【0024】
以上、本実施の形態1のように構成された空気調和機の室外機100においては、熱交換器10a,10bの左側側部(U字状配管13a,13bが設けられた側の側部)に保護部材20を設置し、保護部材20の前端部21をU字状配管13bの折り曲げ部よりも前方に配置したので、熱交換器10a,10bを手作業によって筐体1の台板2上に設置する際、従来よりもフィンつぶれの発生を抑制することができる。このため、フィン12a同士やフィン12b同士が干渉して当該干渉箇所に空気が通過できなくなることを従来よりも抑制できるので、空気調和機の能力が低下してしまうことを従来よりも抑制できる。
【0025】
なお、本実施の形態1では、保護部材20の前端部21を熱交換器10bのU字状配管13bの折り曲げ部よりも前方に配置したが、保護部材20の前端部21は、最も空気流れの上流側に配置された熱交換器10aのU字状配管13aの折り曲げ部よりも前方に配置されていればよい。熱交換器10a,10bの左側側部を把持する際、人差し指から小指までが外側(サイドパネル4側)となり、親指が内側(送風機50側)となるように熱交換器10a,10bを把持する。このため、人差し指から小指が熱交換器10aのフィン12aの外側端部(サイドパネル4側端部)に接触し、当該箇所のフィン12aをつぶしてしまう可能性が一番高い。したがって、保護部材20の前端部21を、少なくとも最も空気流れの上流側に配置された熱交換器10aのU字状配管13aの折り曲げ部よりも前方に配置することにより、熱交換器10a,10bを手作業によって筐体1の台板2上に設置する際、従来よりも作業者の指先をフィン12aから離れさせることができ、従来よりもフィンつぶれの発生を抑制することができる。
【0026】
また、本実施の形態1では保護部材20を熱交換器10aの外側(サイドパネル4側)に設けたが、保護部材20の設置位置は当該位置に限定されるものではない。例えば、保護部材20を熱交換器10aと熱交換器10bとの間に設けてもよい。また例えば、保護部材20を熱交換器10bの内側(送風機50側)に設けてもよい。
【0027】
また、本実施の形態1では、熱交換器10a,10bの形状を平面視略L字状に形成したが、熱交換器10a,10bの形状も当該形状に限定されるものではない。例えば、吸込口が後部側壁のみに形成されている場合は、熱交換器10a,10bの形状を平面視略直線状に形成してもよい。また例えば、吸込口が左側側壁部、後部側壁部及び右側側壁部に形成されている場合、熱交換器10a,10bの形状を平面視略コ字状に形成してもよい。保護部材20の前端部21が少なくとも最も空気流れの上流側に配置された熱交換器10aのU字状配管13aの折り曲げ部よりも反フィン側(U字状配管13aに最も近いフィン12aからU字状配管13aの折り曲げ部に向かう方向)に配置されていれば、従来よりもフィンつぶれの発生を抑制することができる。
【0028】
また、本実施の形態1では、2つの熱交換器(熱交換器10a,10b)を空気流れの方向に沿って設けたが、熱交換器の設置台数は任意である。例えば、熱交換器10aのみを設けた室外機100としてもよい。また例えば、空気流れの方向に沿って3台以上の熱交換器を並設して、室外機100を構成してもよい。
【0029】
また、本実施の形態1では、端板15と保護部材20を別体で形成したが、端板15と保護部材20を一体で形成してもよい。端板15と保護部材20を別体で形成することにより、保護部材20の形状を変更することで、異なる大きさの熱交換器を共通の筐体に設置することができ、部品の共通化を図ることができる。端板15と保護部材20を一体で形成することにより、端板15に保護部材20を取り付ける工数を削減でき、室外機100の組立コストを削減することができる。
【0030】
実施の形態2.
従来より、1本の配管を曲げることにより、伝熱管とU字状配管を一体で形成する場合がある。このような場合、伝熱管は熱交換効率を向上させるために肉厚を薄く形成するので、U字状配管の肉厚も薄くなる。このため、熱交換器を筐体に設置する際、U字状配管が破損しやすくなる。したがって、伝熱管とU字状配管を一体形成した熱交換器を室外機100に用いる場合、保護部材20を例えば次のように形成してもよい。なお、本実施の形態2で特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0031】
図4は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機の室外機における熱交換器を示す斜視図である。また、図5は、この熱交換器の保護部材を示す斜視図である。
本実施の形態2に係る保護部材20においては、前端部21が、最も空気流れの上流側に配置された熱交換器10aのU字状配管13aの折り曲げ部よりも前方に配置されている。また、この前端部21には、当該前端部21の中央部近傍からU字状配管13a側に折り曲げられた(延設された)内側折り曲げ部30が形成されている。この内側折り曲げ部30は、U字状配管13aと対向する位置、つまり、平面視においてU字状配管13aを覆う位置まで延設されている。また、前端部21における内側折り曲げ部30よりも上方の位置には、前方へ延設された突設部31が設けられている。
ここで、保護部材20における前端部21よりも後方の部分が、本発明における第1の面部に相当する。また、内側折り曲げ部30が、本発明における第2の面部に相当する。
【0032】
以上、本実施の形態2のように構成された空気調和機の室外機100においては、前端部21を最も空気流れの上流側に配置された熱交換器10aのU字状配管13aの折り曲げ部よりも前方に配置しているので、熱交換器10a,10bを手作業によって筐体1の台板2上に設置する際、実施の形態1と同様にフィンつぶれの発生を抑制することができる。また、保護部材20に内側折り曲げ部30を備えているので、熱交換器10a,10bを手作業によって筐体1の台板2上に設置する際、内側折り曲げ部30と対向している範囲のU字状配管13aの破損を防止することができる。また、保護部材20には、前端部21における内側折り曲げ部30よりも上方の位置に突設部31が設けられているので、熱交換器10a,10bを手作業によって筐体1の台板2上に設置する際、作業者の手の上部に突設部31が係止されることにより、作業者が熱交換器10a,10bへ上方向の力を付与しやすくなる。このため、熱交換器10a,10bの持ち上げや保持が容易となり、熱交換器10a,10bを筐体1の台板2上に設置することが容易となる。
【0033】
なお、本実施の形態2では、保護部材20の前端部21の一部のみから内側折り曲げ部30を延設したが、前端部21の全部から内側折り曲げ部30を延設してもよい。これにより、内側折り曲げ部30に覆われるU字状配管13aの数が増加するため、熱交換器10a,10bを手作業によって筐体1の台板2上に設置する際、破損を防止できるU字状配管13aの数を増加することができる。また、本実施の形態2では、内側折り曲げ部30で熱交換器10aのU字状配管13aのみを覆う構成としたが、内側折り曲げ部30をさらに延設して、熱交換器10bのU字状配管13bも覆う構成としてもよい。これにより、熱交換器10a,10bを手作業によって筐体1の台板2上に設置する際、熱交換器10aのU字状配管13aのみならず、熱交換器10bのU字状配管13bが破損することも防止することができる。
【0034】
また、本実施の形態2では、突設部31を内側折り曲げ部30の上方に配置したが、突設部31の形成位置は当該位置に限定されるものではない。例えば、別体で構成された突設部31を内側折り曲げ部30に取り付けてもよい。つまり、別体の板部材や棒状部材等を内側折り曲げ部30に取り付けてもよい。このとき、突設部31の下方には作業者が把持できる範囲の内側折り曲げ部30があればよいので、突設部31は、少なくとも内側折り曲げ部30の下端部よりも所定の長さだけ上方に設けられていればよい。
【0035】
また、本実施の形態2では、実施の形態1で示した保護部材20に対して内側折り曲げ部30及び突設部31を同時に追加したが、実施の形態1で示した保護部材20に対して内側折り曲げ部30のみを追加してもよいし、実施の形態1で示した保護部材20に対して突設部31のみを追加してもよい。実施の形態1で示した保護部材20に対して内側折り曲げ部30のみを追加することにより、熱交換器10a,10bを手作業によって筐体1の台板2上に設置する際、フィンつぶれを従来よりも抑制できるという実施の形態1と同様の効果に加え、U字状配管13aやU字状配管13bの破損を防止できるという効果を得ることもできる。また、実施の形態1で示した保護部材20に対して突設部31のみを追加することにより、熱交換器10a,10bを手作業によって筐体1の台板2上に設置する際、フィンつぶれを従来よりも抑制できるという実施の形態1と同様の効果に加え、熱交換器10a,10bを筐体1の台板2上に設置することが容易になるという効果を得ることもできる。
【0036】
実施の形態3.
上記の突設部31に次のような係止平面部を設けることにより、熱交換器10a,10bを手作業によって筐体1の台板2上に設置する際、熱交換器10a,10bの設置作業をさらに容易にすることができる。なお、以下の説明では、実施の形態2で説明した保護部材20に係止平面部を設けた空気調和機の室外機100について説明する。また、本実施の形態3で特に記述しない項目については実施の形態1又は実施の形態2と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
【0037】
図6は、本発明の実施の形態3に係る空気調和機の室外機における熱交換器を示す斜視図である。また、図7は、この熱交換器の保護部材を示す斜視図である。
本実施の形態3に係る保護部材20は、突設部31の下端部から内側(U字状配管13a側)に延設され、その平面部が下方向を向いた係止平面部40が設けられている。
【0038】
以上、本実施の形態3のように構成された空気調和機の室外機100においては、熱交換器10a,10bを手作業によって筐体1の台板2上に設置する際、作業者の手の上部に突設部31の係止平面部40が係止される。このため、作業者の手にかかる面圧が小さくなる。このため、本実施の形態3のように構成された空気調和機の室外機100においては、熱交換器10a,10bを手作業によって筐体1の台板2上に設置する際、実施の形態1や実施の形態2で示した効果に加え、作業者は熱交換器10a,10bの持ち上げや保持がより容易となり、熱交換器10a,10bを筐体1の台板2上に設置することがより容易になるという効果を得ることもできる。
【符号の説明】
【0039】
1 筐体、2 台板、3 フロントパネル、3a 吹出口、3b ベルマウス、4 サイドパネル、4a 吸込口、5 リアパネル、5a 吸込口、6 仕切板、10a,10b 熱交換器、11a,11b 伝熱管、12a,12b フィン、13a,13b U字状配管、15 端板、16 分配・集約配管、20 保護部材、21 前端部、22 係止爪、23 貫通孔、23a ネジ、24 係止穴、25 ネジ穴、26 段差部、30 内側折り曲げ部、31 突設部、40 係止平面部、50 送風機、51 モーターサポート、51a 送風機取付部、51b 天板支持部、100 室外機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹出口、及び側壁の一部に形成された吸込口を備えた筐体と、
前記吸込口と対向して前記筐体内に配置され、空気の流れ方向に沿って少なくとも1台設けられた熱交換器と、
前記筐体内に設けられ、前記吸込口から空気を吸入し、前記吹出口から当該空気を吹き出す送風機と、
を有し、
前記熱交換器は、
上下方向に並設された複数の伝熱管と、
前記伝熱管が挿入され、互いに所定の間隔を介して積層された複数のフィンと、
前記フィンの積層方向の一方の端部において2本の伝熱管の端部を接続する複数のU字状配管と、
を備えた空気調和機の室外機であって、
前記熱交換器は、前記U字状配管が配置された側の端部に保護部材を有し、
該保護部材は、
上下方向に沿って前記熱交換器の前記U字状配管と対向する第1の面部を備え、
前記空気の流れ方向の最上流部に配置された前記熱交換器における最も前記U字状配管に近い前記フィンから当該熱交換器の前記U字状配管の折り曲げ部に向かう方向を反フィン側とした場合、
前記第1の面部における反フィン側端部は、前記空気の流れ方向の最上流部に配置された前記熱交換器の前記U字状配管における折り曲げ部よりも反フィン側に配置されていることを特徴とする空気調和機の室外機。
【請求項2】
前記熱交換器は、前記伝熱管と前記U字状配管とを一体形成したものであり、
前記保護部材は、
前記第1の面部の反フィン側端部の少なくとも一部に、前記空気の流れ方向の最上流部に配置された前記熱交換器の前記U字状配管に向かって延設され、平面視において当該U字状配管を覆う第2の面部を有することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室外機。
【請求項3】
前記保護部材は、
前記第2の面部よりも反フィン側に突設され、前記第2の面部の下端部よりも所定の長さ上方に配置された突設部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の空気調和機の室外機。
【請求項4】
前記熱交換器は、前記空気の流れ方向に沿って複数台設けられており、
前記第1の面部は、その反フィン側端部が全ての前記熱交換器の前記U字状配管よりも反フィン側に配置されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の空気調和機の室外機。
【請求項5】
前記第2の面部は、平面視において全ての前記熱交換器の前記U字状配管を覆うことを特徴とする請求項4に記載の空気調和機の室外機。
【請求項6】
前記熱交換器は、前記空気の流れ方向に沿って複数台設けられており、
前記第1の面部は、その反フィン側端部が全ての前記熱交換器の前記U字状配管よりも反フィン側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室外機。
【請求項7】
前記保護部材は、
前記第1の面部の反フィン側端部よりも反フィン側に突設され、前記第1の面部の下端部よりも所定の長さ上方に配置された突設部を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項6に記載の空気調和機の室外機。
【請求項8】
前記突設部は、平面部が下方向を向いた係止平面部を備えていることを特徴とする請求項3又は請求項7に記載の空気調和機の室外機。
【請求項9】
前記空気の流れ方向の最上流部に配置された前記熱交換器は、
最も前記U字状配管に近い前記フィンと当該熱交換器の前記U字状配管との間に、前記伝熱管が貫通する端板を備え、
前記保護部材は、前記端板と一体で形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の空気調和機の室外機。
【請求項10】
前記空気の流れ方向の最上流部に配置された前記熱交換器は、
最も前記U字状配管に近い前記フィンと当該熱交換器の前記U字状配管との間に、前記伝熱管が貫通する端板を備え、
前記保護部材は、前記端板に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の空気調和機の室外機。
【請求項11】
前記空気の流れ方向の最上流部に配置された前記熱交換器は、
前記保護部材と前記筐体の側壁とが固定されることにより、前記筐体に固定されていることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の空気調和機の室外機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−113468(P2013−113468A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258587(P2011−258587)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】