説明

空気調和機の配管カバー装置

【課題】空気よりも平均分子量が大きい冷媒ガスを用いた空気調和機において、配管から漏洩した冷媒ガスを外部へと流出させることなく回収可能である空気調和機の配管カバー装置を提供する。
【解決手段】空気調和機の室内機と室外機とを接続し、内部に空気より平均分子量が大きい冷媒ガスが封入された配管を覆うための配管カバー装置において、前記配管を内部に収容した配管カバーと、前記配管カバーの鉛直方向最低部に位置する端部に接続された第1の冷媒回収部と、を備え、前記配管カバーは、前記配管と前記配管カバーとの間の空間に存在する冷媒ガスを、重力の作用により前記第1の冷媒回収部へと導くガス誘導流路を有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気調和機の配管カバー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来においては、可燃性冷媒を用い、室内機と室外機とを有する分離型空気調和機において、熱交換器の溶接部分から漏洩する可燃性冷媒により爆発性雰囲気を生じる可能性を低減することを目的としたものとして、熱交換器の溶接部を隙間無く覆い、室内機内部空間と遮蔽するカバーと、カバーの上部に設けられ、カバーの内部とカバーの外部とを連通する通気孔と、カバーの下部に設けられ、カバーの内部と、室内機の外部とを連通する流路と、カバーの内部にある気体を、流路を通じて室内機や室外機の外部に排出するための送風装置と、流路の内部に設置され可燃性ガスを検知するセンサとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、エアコンの冷媒の高圧及び低圧パイプとドレン水を排水するためのドレンパイプとを一緒に収容する配管カバーにおいて、配管カバーを水平に配置してもドレンパイプ内の水が流れるようにドレンパイプを傾斜させて収納するドレンパイプ収納部を備えたものも、従来において知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−292066号公報
【特許文献2】実開平02−144329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、特許文献1に示された従来における空気調和機は、冷媒ガスの熱交換器の溶接部分からの漏洩に対する対策を講じるものである。しかしながら、冷媒の漏洩は設置工事時のミスや経年劣化により配管で生じる場合があり、この特許文献1に示された空気調和機においては、配管からの冷媒の漏洩については全く考慮されておらず、配管から漏洩した冷媒ガスを回収することができないという課題がある。
【0006】
さらに、漏洩した冷媒ガスを最終的に外部(大気中)に放出することを前提しており、法律上、屋外排気が不可能なフロン等の冷媒を用いた空気調和機には適用することができないという課題や、このまま本用途に応用すると、可燃性冷媒ガスと酸素とがより均一に混合されることを促進してしまうおそれがあるという課題がある。
【0007】
また、特許文献2に示された従来における空気調和機の配管カバーにおいても、配管からの冷媒の漏洩については全く考慮されていないため、配管から漏れた冷媒ガスが配管と配管カバーとの間の空間に滞留してしまい、配管から漏洩した冷媒ガスを回収することができないという課題がある。
【0008】
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、特に空気よりも平均分子量が大きい冷媒ガスを用いた空気調和機において、配管から漏洩した冷媒ガスを外部へと流出させることなく回収可能である空気調和機の配管カバー装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る空気調和機の配管カバー装置においては、空気調和機の室内機と室外機とを接続し、内部に空気より平均分子量が大きい冷媒ガスが封入された配管を覆うための配管カバー装置であって、前記配管を内部に収容した配管カバーと、前記配管カバーの鉛直方向最低部に位置する端部に接続された第1の冷媒回収部と、を備え、前記配管カバーは、前記配管と前記配管カバーとの間の空間に存在する冷媒ガスを、重力の作用により前記第1の冷媒回収部へと導くガス誘導流路を有する構成とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る空気調和機の配管カバー装置においては、空気よりも平均分子量が大きい冷媒ガスを用いた空気調和機において、配管から漏洩した冷媒ガスを外部へと流出させることなく回収可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係る配管カバー装置が備えられた分離型空気調和機の全体構成を模式的に示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る配管カバー装置の冷媒回収容器の構成を模式的に示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る配管カバー装置の冷媒回収容器が備える逆流防止フィンの平面図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る配管カバー装置の冷媒回収容器が備える止め具の平面図及び断面図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る配管カバー装置が備えられた分離型空気調和機の全体構成を模式的に示す図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係る配管カバー装置が備えられた分離型空気調和機の全体構成を模式的に示す図である。
【図7】この発明の実施の形態4に係る配管カバー装置の要部を拡大して模式的に示す図である。
【図8】この発明の実施の形態5に係る配管カバー装置が備えられた分離型空気調和機の全体構成を模式的に示す図である。
【図9】この発明の実施の形態5に係る配管カバー装置の構成の第1の例を模式的に示す分解斜視図である。
【図10】この発明の実施の形態5に係る配管カバー装置の構成の第2の例を模式的に示す分解斜視図である。
【図11】この発明の実施の形態5に係る配管カバー装置の構成の第3の例を模式的に示す斜視図である。
【図12】この発明の実施の形態5に係る配管カバー装置の構成の第4の例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明を添付の図面に従い説明する。各図を通じて同符号は同一部分又は相当部分を示しており、その重複説明は適宜に簡略化又は省略する。
【0013】
実施の形態1.
図1から図4は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1は配管カバー装置が備えられた分離型空気調和機の全体構成を模式的に示す図、図2は配管カバー装置の冷媒回収容器の構成を模式的に示す図、図3は配管カバー装置の冷媒回収容器が備える逆流防止フィンの平面図、図4は配管カバー装置の冷媒回収容器が備える止め具の平面図及び断面図である。
【0014】
図1において、1は、空気調和機の室内機である。この室内機1は、室外機2と配管3で接続されている。配管3は、室内機1と室外機2との間での冷媒ガスの循環経路の一部を構成しており、配管3内には封入された冷媒ガスが流れている。
【0015】
この冷媒ガスは、可燃性(より正確には微燃性)のガスである。また、この冷媒ガスは空気よりも平均分子量が大きく(空気に対する比重が1よりも大きく)、空気中では重力方向の下方へと沈んでいく性質を持っている。この冷媒ガスとして、具体的に例えば、ジフルオロメタン(CH2F2:R32)、テトラフルオロプロパン(CF3CF=CH2:HFO−1234yf)、プロパン(R290)、プロピレン(R1270)、エタン(R170)、ブタン(R600)、イソブタン(R600a)、1.1.1.2−テトラフルオロエタン(C2H2F4:R134a)、ペンタフルオロエタン(C2HF5:R125)、1.3.3.3−テトラフルオロ−1−プロペン(CF3−CH=CHF:HFO−1234ze)等の中から選ばれる1つ以上の冷媒からなる(混合)冷媒を用いることができる。
【0016】
室内機1と室外機2との間の配管3、並びに、配管3の室内機1及び室外機2それぞれとの接続部は、配管カバー4により覆われている。この配管カバー4は、配管3の配置された経路に沿って設けられ、内部に配管3を密閉した状態で収容している。
【0017】
ここで、図1中の矢印Gは、重力の働く方向(重力方向)を示している。この重力方向Gは鉛直方向に等しい。また、水平方向は、鉛直方向に垂直な方向であり、すなわち、重力方向である矢印Gとも直交する。
【0018】
前述したように、配管カバー4は、室内機1と室外機2とを接続する配管3の配置された経路に沿って設けられており、従って、配管カバー4には室内機1側と室外機2側の2つの端部が存在する。そして、これら端部のうちの一端(ここでは、室外機2側の端部)は、配管カバー4の配置位置における鉛直方向(矢印G)最低部に位置するようになっている。
【0019】
この配管カバー4における鉛直方向最低部に位置する当該一端には、主回収部5aが接続されている。この主回収部5aの構成を図2に示す。主回収部5aには、配管3や、配管3と室内機1(や室外機2)との接続部分等から漏出した冷媒ガスを外部へと逃がさないよう回収する冷媒回収容器6が備えられている。なお、ここでは、主回収部5aは配管カバー4の室外機2側の端部に設けられているため、この室外機2の筐体内に主回収部5aを収容してしまっている。
【0020】
この冷媒回収容器6は、配管カバー4の前記一端に、逆流防止装置7、センサ9及び回収容器接続バルブ10を、この順で介挿した上で接続されている。逆流防止装置7は、冷媒回収容器6の冷媒ガスが配管カバー4側へと逆流することを防止するためのもので、この逆流防止装置7内には、複数の逆流防止フィン8が設けられている。
【0021】
これらの逆流防止フィン8は、逆流防止装置7の内壁から逆流防止装置7内空間の中心へと向けて突設された板状部材からなる。逆流防止フィン8は、逆流防止装置7の内壁から中心へといくにつれて、冷媒回収容器6側から配管カバー4側へと近づくように傾斜して取り付けられている。
【0022】
逆流防止フィン8の構造を図3に示す。このように、個々の逆流防止フィン8におけるフィン先端部8aの反対側(すなわち、逆流防止装置7内壁側)には、フィン貫通孔8bが穿設されている。フィン先端部8aは鉛直上方へと傾けられているため、配管カバー4側から冷媒回収容器6へと流れる冷媒ガスが、逆流防止フィン8と冷媒回収容器6内壁との間に滞留する可能性がある。そこで、逆流防止フィン8の冷媒回収容器6内壁寄りの位置に、フィン貫通孔8bを設けることにより、逆流防止フィン8と冷媒回収容器6内壁との間の冷媒ガスをこのフィン貫通孔8bから冷媒回収容器6側へと逃がし、逆流防止フィン8と冷媒回収容器6内壁との間に冷媒ガスが滞留することを防止する。
【0023】
センサ9は、冷媒ガスを感知・検出するためのものである。このセンサ9としては、冷媒ガスの濃度変化を(気体の電気伝導度の変化等により)検出するガスセンサを用いてもよいし、センサ9に気体中の酸素濃度変化を検出する酸素センサを用いて、酸素濃度低下を検出したときに冷媒ガスの存在を間接的に検出するようにしてもよい。なお、ガスセンサと酸素センサとを比較した場合、より経時劣化しにくい酸素センサの方が好ましい。
【0024】
配管カバー4と逆流防止装置7との接続部には、図4に示すような止め具11が用いられている。この止め具11はリング状を呈し、その中心には、配管カバー4の外形と同一形状の配管カバー挿通孔11aが穿設されている。そして、この配管カバー挿通孔11aに通された配管カバー4と止め具11との間には、冷媒ガスの漏洩を防止するための図示しないOリング等が介挿されている。止め具11は、ネジ孔11bを通されたネジにより逆流防止装置7に装着される。
【0025】
配管カバー4は、冷媒ガスに働く重力の作用により、配管3と配管カバー4との間の空間に存在する冷媒ガスを主回収部5aへと導く形状のガス誘導流路4aを備えている。具体的には、このガス誘導流路4aには、配管3の略水平部分の鉛直下方側において、重力の作用により冷媒ガスがガス誘導流路4aを主回収部5a側へと流れる方向へと傾斜した傾斜部4bが存在する。なお、ここでは(図1に示す構成では)、配管カバー4そのものがガス誘導流路4aを形成している。
【0026】
このように構成された空気調和機の配管カバー装置においては、冷媒ガスが配管3や配管3の接続部等から万一漏洩した場合、この漏洩した冷媒ガスは、直ちには外部に流出せずに、配管カバー4内(配管3と配管カバー4との間の空間内)に留まる。漏洩した冷媒ガスは、周囲の空気よりも比重が大きいため、配管カバー4内において重力によって鉛直方向下側へと空気と分離して濃化する。
【0027】
配管カバー4は、ガス誘導流路4aを有しているため、このガス誘導流路4a及び冷媒ガスに働く重力の作用により、濃化した冷媒ガスは配管カバー4内を、配管カバー4の鉛直方向最低部に配設された主回収部5aの方へと移動していく。そして、漏洩した冷媒ガスは主回収部5aへと集まり冷媒回収容器6内へと回収される。
【0028】
この際に、センサ9により冷媒ガスを検出することで、冷媒ガスの漏洩を知ることができる。また、漏洩した冷媒ガスは配管カバー4のガス誘導流路4aの作用により主回収部5aへと集められるため、漏洩量がわずかであってもセンサ9により検知することが可能であり、より迅速にガス漏洩の発生を知ることができる。
【0029】
なお、主回収部5aにおいては、主回収部5aを構成する冷媒回収容器6、逆流防止装置7、センサ9及び回収容器接続バルブ10等を、さらに例えばステンレス製の防爆容器内に格納することで、万一回収された可燃性冷媒ガスが空気と混合して爆発性雰囲気を生じた場合等に備えてさらに安全性を向上することができる。
【0030】
また、以上で説明した空気調和機の配管カバー装置は、これから新しく設置する空気調和機に適用できるのはもとより、配管カバー4及び主回収部5aを追加して設置することにより既設の空気調和機においても適用することが可能である。
【0031】
以上のように構成された空気調和機の配管カバー装置は、空気調和機の室内機と室外機とを接続し、空気より平均分子量が大きい冷媒ガスが封入された配管を内部に収容した配管カバーと、配管カバーの鉛直方向最低部に位置する端部に接続された第1の冷媒回収部である主回収部と、を備え、配管カバーは、配管と配管カバーとの間の空間に存在する冷媒ガスを、重力の作用により第1の冷媒回収部へと導くガス誘導流路を有するものである。そして、このため、配管から漏洩した冷媒ガスを外部へと流出させることなく回収可能である。
【0032】
実施の形態2.
図5は、この発明の実施の形態2に係る配管カバー装置が備えられた分離型空気調和機の全体構成を模式的に示す図である。
ここで説明する実施の形態2は、前述した実施の形態1の構成において、配管カバーをガス誘導流路を有する内カバー部と外カバー部とから構成したものである。
【0033】
すなわち、図5において、配管3を内部に収容する配管カバー4のガス誘導流路4a(内カバー部)の外側は、さらに外カバー部4cにより覆われている。実施の形態1でも前述したように、ガス誘導流路4aは傾斜部4bを有している。これに対し、外カバー部4cの形状は、配管3の外面と略平行となるように形成されている。すなわち、配管3の経路が略水平に配置されている部分においては外カバー部4cの形状も略水平であり、ガス誘導流路4aの傾斜部4bのような傾斜は設けられていない。
なお、他の構成については実施の形態1と同様であって、その詳細説明は省略する。
【0034】
以上のように構成された空気調和機の配管カバー装置においては、外観に一見不自然にも思えるような傾斜がなく、意匠性や汎用性を向上することができる。また、配管3を覆う配管カバー4が、ガス誘導流路4aと外カバー部4cとにより二重化されるため、配管3等から漏洩した冷媒ガスの配管カバー4外部への漏出防護性をさらに向上することが可能である。
【0035】
実施の形態3.
図6は、この発明の実施の形態3に係る配管カバー装置が備えられた分離型空気調和機の全体構成を模式的に示す図である。
ここで説明する実施の形態3は、前述した実施の形態1や実施の形態2の構成において、ガス誘導流路の傾斜部の一部を略水平にしたものである。
【0036】
すなわち、図6に示すように、配管カバー4のガス誘導流路4aの傾斜部4bの一部(ここでは傾斜部4bの中間部)に、略水平な略水平部4dが形成されている。この略水平部4dは、図6に示したもののように傾斜部4bの中間部に、すなわち、略水平部4dの前後に傾斜部4bが接続されるように設けられることが好ましいが、前後の少なくとも一方に傾斜部4bが接続されていればよい。
【0037】
このように構成された配管カバー4のガス誘導流路4aにおいては、隣接する傾斜部4bの作用により略水平部4dにおいても冷媒ガスが滞留することなく配管カバー4の鉛直方向最低部に配設された主回収部5aの方へと移動していく。従って、実施の形態1や実施の形態2と同様の作用効果を得ることが可能である。
なお、他の構成については実施の形態1や実施の形態2と同様であって、その詳細説明は省略する。
【0038】
実施の形態4.
図7は、この発明の実施の形態4に係る配管カバー装置の要部を拡大して模式的に示す図である。
ここで説明する実施の形態4は、前述した実施の形態1〜3の構成において、配管カバーのガス誘導流路における所定の位置に、主回収部とは別に補助回収部をさらに設けるようにしたものである。
【0039】
すなわち、図7に示すように、配管カバー4のガス誘導流路4aの中途における、配管3の鉛直下方の所定の位置には、補助冷媒回収孔12が穿設されている。そして、この補助冷媒回収孔12には補助冷媒回収配管13の一端が接続されるとともに、補助冷媒回収配管13の他端は補助回収部5bに接続されている。この補助回収部5bの構成は、前述した主回収部5aの構成と基本的には同じである。すなわち、補助回収部5bは、図2に示すような冷媒回収容器6、逆流防止装置7、センサ9及び回収容器接続バルブ10等を備えている。
【0040】
ガス誘導流路4aの作用により補助冷媒回収孔12まで移動してきた漏洩冷媒ガスは、この補助冷媒回収孔12から補助冷媒回収配管13を通じて補助回収部5bの冷媒回収容器6内に回収される。この際、補助回収部5bのセンサ9により漏洩した冷媒ガスの検出も行われる。
他の構成については実施の形態1から実施の形態3と同様であって、その詳細説明は省略する。
【0041】
以上のように構成された配管カバー装置においては、配管3等からの冷媒ガスの漏洩後、より迅速にこの漏洩した冷媒ガスの検出・回収を行うことができる。このように、冷媒ガスが漏洩してからこの漏洩した冷媒ガスが検出されるまでの時間を短くすることで、冷媒ガスの漏洩量を少なく抑えることが可能である。また、補助回収部5bを複数設ける等すれば、どの補助回収部5bで冷媒ガスが検出・回収されたのかということから、冷媒ガスの漏洩箇所の特定も容易となる。
【0042】
なお、補助冷媒回収孔12の近傍を、補助冷媒回収孔12に向けて傾斜させるようにしてもよい。このようにすることで、冷媒ガスの漏洩発生箇所によっては、主回収部5a(又は補助回収部5b)により検出・回収されるまでにかかる時間が長くなってしまっていたのを、漏洩発生箇所からの距離がより短い補助回収部5bで検出・回収することができるようになり、漏洩発生から検出されるまでの時間をさらに短縮することが可能である。
【0043】
実施の形態5.
図8から図12は、この発明の実施の形態5に係るもので、図8は配管カバー装置が備えられた分離型空気調和機の全体構成を模式的に示す図、図9は配管カバー装置の構成の第1の例を模式的に示す分解斜視図、図10は配管カバー装置の構成の第2の例を模式的に示す分解斜視図、図11は配管カバー装置の構成の第3の例を模式的に示す斜視図、図12は配管カバー装置の構成の第4の例を模式的に示す斜視図である。
【0044】
以上において説明してきた実施の形態1〜実施の形態4では、配管カバーは配管が配置された経路に沿って設けられていた。これに対し、ここで説明する実施の形態5は、配管カバーにより配管が配置された経路を覆う点は実施の形態1〜実施の形態4と変わりはないが、配管カバーを配管の経路に沿った形状とするのではなく、略直方体等の単純な形状としたものである。
【0045】
すなわち、図8において、配管3は、室内機1と室外機2との間で略S字状や略M字状等に蛇行した経路で配置されているが、この配管3の蛇行部分は、略直方体状の配管カバー本体14により覆われている。この配管カバー本体14の第1の構成例を図9に示す。この配管カバー本体14は、内側に配管3を収容するための配管収容空間15が形成されているとともに、この配管収容空間15の鉛直方向下側の縁部を構成する下内壁面16はガス誘導流路4aを形成するようになっている。
【0046】
配管カバー本体14の、鉛直方向最上部には第1の配管カバー接続孔14cが、鉛直方向最低部には第2の配管カバー接続孔14dがそれぞれ設けられており、室内機1側の配管カバー4が第1の配管カバー接続バルブ17aを介して第1の配管カバー接続孔14cに接続され、室外機2側の配管カバー4が第2の配管カバー接続バルブ17bを介して第2の配管カバー接続孔14dに接続される。主回収部5aが接続されるのは、第2の配管カバー接続孔14d側である。
【0047】
そして、ガス誘導流路4aを構成する配管カバー本体14の下内壁面16には、重力の作用により冷媒ガスが、主回収部5aが接続された第2の配管カバー接続孔14dの方向へと流れる方向に傾斜された傾斜部4bが設けられている。ここで、配管3を水平面に投影して見た場合に、配管3同士が重なり合う重合部分については、傾斜部4bを有するガス誘導流路4aを、当該重合部分の最下方のみに設ければ沈下してきた漏洩冷媒ガスを主回収部5aの方向へと誘導することができる。
【0048】
このように構成された配管カバー本体14は、実施の形態1〜4における配管カバー4のガス誘導流路4a(傾斜部4bや略水平部4dを含む)及び外カバー部4cに相当している。そして、以上のように構成された配管カバー装置においては、配管3の配置経路に沿って配管カバー4を設ける必要がなく、配管3の異なる配置経路に対する汎用性を向上することができる。
【0049】
図10は、配管カバー本体14の構成の第2の例を示すものである。前述した第1の例(図9)においては、配管カバー本体14を構成する第1の配管カバー本体部材14a及び第2の配管カバー本体部材14bの双方に、配管収容空間15を形成する凹部及びガス誘導流路4aを形成する下内壁面16を設けていた。
【0050】
これに対し、この図10に示す第2の例においては、第1の配管カバー本体部材14a及び第2の配管カバー本体部材14bの一方のみ(ここでは第1の配管カバー本体部材14a)に配管収容空間15を形成する凹部及びガス誘導流路4aを形成する下内壁面16並びに第1の配管カバー接続孔14c及び第2の配管カバー接続孔14dを設けるようにし、他方(第2の配管カバー本体部材14b)は平板状の部材で構成するようにしたものである。このようにすることで、さらに、部品の汎用性や意匠性、工事容易性・確実性を向上することができる。
【0051】
また、図11は、配管カバー本体14の第3の構成例を示すもので、平板状の第2の配管カバー本体部材14bの形状を、第1の配管カバー本体部材14aの配管収容空間15の開口形状に合わせたものである。平板状の第2の配管カバー本体部材14bを、第1の配管カバー本体部材14aの配管収容空間15の開口に嵌合することにより、配管カバー本体14を組み立てる。このようにすることで、第2の配管カバー本体部材14bに必要な材料量を減少させることができ、性能を維持したまま低コスト化が可能となる。
【0052】
そして、図12は、配管カバー本体14の第4の構成例を示すもので、第2の配管カバー本体部材14bに補助流路18を設けたものである。前述したように、ガス誘導流路4aを、配管カバー本体14の配管収容空間15における鉛直方向最低部にされ設ければ、冷媒ガスを主回収部5aにまで誘導することは可能であるが、このような補助流路18を設けることで、配管収容空間15内における冷媒ガスの流れを整えて、より効率よく冷媒ガスを主回収部5a方向へと誘導することができる。
【0053】
なお、他の構成については実施の形態1〜実施の形態4と同様であるため、その詳細説明は省略する。
【0054】
以上のように構成された空気調和機の配管カバー装置においては、配管カバーは、蛇行して配置された前記配管を収容する配管収容空間が内部に設けられた配管カバー本体を有し、この配管カバー本体の配管収容空間の鉛直方向下側の縁部を構成する下内壁面が、冷媒ガスを重力の作用により主回収部へと導くガス誘導流路を形成したものである。
【0055】
このため、実施の形態1〜実施の形態4と同様の効果を奏することができるのに加えて、さらに、例えば配管カバー本体の形状を略直方体状等の単純な形状とすることで、配管カバーの汎用性向上や製作コスト低減等を図ることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 室内機
2 室外機
3 配管
4 配管カバー
4a ガス誘導流路
4b 傾斜部
4c 外カバー部
4d 略水平部
5a 主回収部
5b 補助回収部
6 冷媒回収容器
7 逆流防止装置
8 逆流防止フィン
8a フィン先端部
8b フィン貫通孔
9 センサ
10 回収容器接続バルブ
11 止め具
11a 配管カバー挿通孔
11b ネジ孔
12 補助冷媒回収孔
13 補助冷媒回収配管
14 配管カバー本体
14a 第1の配管カバー本体部材
14b 第2の配管カバー本体部材
14c 第1の配管カバー接続孔
14d 第2の配管カバー接続孔
15 配管収容空間
16 下内壁面
17a 第1の配管カバー接続バルブ
17b 第2の配管カバー接続バルブ
18 補助流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機の室内機と室外機とを接続し、内部に空気より平均分子量が大きい冷媒ガスが封入された配管を覆うための配管カバー装置であって、
前記配管を内部に収容した配管カバーと、
前記配管カバーの鉛直方向最低部に位置する端部に接続された第1の冷媒回収部と、を備え、
前記配管カバーは、前記配管と前記配管カバーとの間の空間に存在する冷媒ガスを、重力の作用により前記第1の冷媒回収部へと導くガス誘導流路を有することを特徴とする空気調和機の配管カバー装置。
【請求項2】
前記ガス誘導流路は、重力の作用により冷媒ガスが前記ガス誘導流路を前記第1の冷媒回収部側へと流れる方向に傾斜した傾斜部を有することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の配管カバー装置。
【請求項3】
前記ガス誘導流路の前記傾斜部の一部を略水平部としたことを特徴とする請求項2に記載の空気調和機の配管カバー装置。
【請求項4】
前記配管カバーは、前記配管が配置された経路に沿って設けられ、
前記傾斜部は、前記配管の略水平部分の鉛直下方側に設けられたことを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の空気調和機の配管カバー装置。
【請求項5】
前記配管カバーは、前記ガス誘導流路が形成された内カバー部と、前記配管及び前記内カバー部を内部に収容する外カバー部と、を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の空気調和機の配管カバー装置。
【請求項6】
前記外カバー部の形状は、前記配管の外面と略平行となるように形成されたことを特徴とする請求項5に記載の空気調和機の配管カバー装置。
【請求項7】
前記配管カバーの前記ガス誘導流路の所定の位置に設けられた冷媒回収孔と、
前記冷媒回収孔に接続された第2の冷媒回収部と、を備えたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の空気調和機の配管カバー装置。
【請求項8】
前記配管カバーは、蛇行して配置された前記配管を収容する配管収容空間が内部に設けられた配管カバー本体を有し、
前記配管カバー本体の前記配管収容空間の鉛直方向下側の縁部を構成する下内壁面が、前記ガス誘導流路を形成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の空気調和機の配管カバー装置。
【請求項9】
前記第1の冷媒回収部及び/又は前記第2の冷媒回収部は、冷媒ガスを検出するセンサを備えたことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の空気調和機の配管カバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−108641(P2013−108641A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251809(P2011−251809)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】