説明

空気調和機内の有害物質清浄化装置

【課題】
空気調和機は仕切られた空間等での設定温度を保つ空調設備機器で、一般にその機内部のフィンチューブ式熱交換器に空気を通過接触させ設定温度まで到達させるが、年々熱交換率の向上とコンパクト化によりフィンピッチは狭くなり、空気中の汚れの累積や細菌が発生し易くなっている、それ故に、清浄化対策として空気清浄機能や掃除機能を装備するなど伴う製品機材が付加され、コスト高となりメンテナンス口数も増えてきている。
【解決手段】
この解決手段として、空気調和機の通風入口に光触媒フィルタと紫外線ランプを配設し、熱交換器、送風ファン、ドレンパン、とこれら機材を囲むケーシング内面部分に光触媒を有する物質からなる薄膜を形成させることにより、空気調和機内のスケールの累積軽減や細菌類の繁殖の抑制に貢献し、更には清浄化の為の機材部品数が簡素化し、メンテナンス費用なども軽減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気調和機内における通過空気と結露水に起因する有害物質の清浄化に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の運転時には当該機内に空気が通過循環し、その空気中の汚れは内部機材や結露水に附着し細菌類などを発生するので、その繁殖を抑制し清浄化を図る。
【0003】
この改善策として、従来の空気調和機内の防塵、防菌目的の清浄化対策としてはフィルタの清掃装置や電圧発生の空気清浄機装置などの製品機材を組込んでの対策がなされておりその例を先行技術文献、特許文献1と特許文献2と特許文献3に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-210227号公報
【特許文献2】特開2007-247960号公報
【特許文献3】特開2007-216142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の空気調和機内部の防塵、防菌の清浄化対策は、空気吸込み入口面のフィルタ清浄装置や電圧発生による空気清浄機能装置の取付け等、その例が特許文献1と特許文献2と特許文献3に提案されている、しかしながら、以上の技術によれば、フィルタの清掃装置に重きをおき、新たな製品機材が内部に追加配設され部品点数が多数増加することになり、追加配設の装置そのものに蓄積する汚れの除去や、空気調和機内部の機材である熱交換器、ファン、ケーシング内側、ドレンパン、の各部位に附着累積する汚れの除去は不充分でありメンテナンス内容も増加し複雑化してくる。そこでこの発明は、空気調和機内の通過空気と結露水に起因し発生する有害物質や細菌の繁殖を抑制する清浄化装置を、機材部品類は最少にした内容によって図る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決する為に、この発明は、空気調和機内の空気通過時に空気と接触する機材である空気吸込みグリル、吹出しグリル、熱交換器に光触媒である二酸化チタン(Tio2)をコーティングし、空気吸込み口には光触媒フィルタを設け、紫外線ランプを熱交換器と光触媒フィルタの双方に照射可能な位置に配設し、光が照射しにくい部位のファン、ケーシング内側面、結露水滴を受けるドレンパン、には銀系酸化チタンのコーティングすることを特徴とする空気調和機。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば空気調和機内において.通過空気と接触する機材構成部品の表面に二酸化チタン(Tio2)又は銀系酸化チタンがコーティングされているので、配設された紫外線ランプの照射による光触媒機能が作用し、上記該機材に通過空気と同時に附着する残留結露水や汚れは優れた親水性にて滴下し、スケールなど附着の含有有機物は分解力により細菌類の繁殖は滅菌抑制され、清浄化された衛生的な空気調和機内となるので熱交換効率の劣化は抑えられ、空気清浄機装置や電圧発生装置などの機材部品は必要とせず、より簡素化したものとなり、メンテナンス回数の減少や追加機材の削減など省コスト効果が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1はこの発明の一実施形態を示すタイプ別形状図
【図2】図2は空気調和機の床置き型の内部構造図
【図3】図3は光触媒フィルタと紫外線ランプの斜形図
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明の一実施形態を図1、図2、図3に示す
空気調和機は図1形状図に示す様に、据付ける場所により幾つかの形状があるが基本的機材構造部は同じで、内部配置とケーシングの形の違いのみであるので、床置き型について図2その構造図に基き示す。
空気調和機の運転時、循環する空気は、送風ファン9にて吸込みグリル5からプレフィルタ6を通り熱交換器3と接触通過し、熱交換した冷又は暖の空気となって吹出しグリル1に送り出される。冷房運転時には熱交換器3の表面は結露水が発生しドレンパン4に滴下しドレン排水管11を経てケーシング2-1外部に排出する、以上の循環を繰り返すので、塵,埃、空気中の細菌類が機内の機材に蓄積する。そこで実施内容は、光触媒である二酸化チタン(Tio2)を、空気調和機内の空気と接触する機材、吹き出しグリル1、吸込みグリル5、熱交換器3に、また銀系酸化チタンを、ドレンパン4、送風ファン9、ドレンパン4、から上部のケーシング内面2-2に薄膜状にコーティングを施す、吸込みグリル5位置より内側に紫外線ランプ8-1を配設した光触媒フィルタ7を設け、熱交換器3に照射可能な位置に紫外線ランプ8-2を配設する。光触媒コーティングが空気や水などの流体物と接触することにより、空気や水の有機酸化物を分解し微生物や細菌の繁殖を抑制するなどの浄化を行うことは実証されている。
【0010】
この実施形態によれば、空気調和機内の機材類に光触媒を薄膜状にコーティングする工程は増えるが、新たに施す機材部品は光触媒フィルタ7と紫外線ランプ8-1、8-2であり、従来設置の空気清浄装置などの機材部品類はごく少なくなり、簡素な構造によって清浄化の目的が果たせることになり、空気調和機の熱交換効率の劣化は抑えられ、アフターメンテナンスの費用も軽減される。
【符号の説明】
【0011】
1吹出しグリル
2-1ケーシング
2-2ケーシング内面
3熱交換器
4ドレンパン
5吸込みグリル
6プレフィルタ
7光触媒フィルタ
8-1 紫外線ランプ
8-2 紫外線ランプ
9送風ファン
10仕切り板
11ドレン排水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒を有する物質からなる薄膜が、空気と水が接触する空気調和機内部の機材並びにケーシング内面とドレンパンの表面に形成され、その薄膜に紫外線ランプを照射するために配設することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
請求項1の適用範囲の中において、紫外線ランプを配設する位置が限定されるので、照射可能な部位には二酸化チタン(Tio2)を、紫外線ランプの照射が当たりにくい部位には銀系酸化チタンを施した空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−153728(P2011−153728A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13852(P2010−13852)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(709006622)
【Fターム(参考)】