説明

空気調和機用回転ロータ及び空気調和機

【課題】製造コストを低く抑えることができると共にエアフィルターに付着した塵埃を効率よく除去することができる空気調和機用回転ロータ及び空気調和機を提供する。
【解決手段】 空気調和機に取着されたエアフィルターに堆積した塵埃を除去する空気調和機用回転ロータ20であって、外周の長手方向に設けられた溝部25を有する回転棒26と、該回転棒26の溝部25に挿脱自在な基部と該基部から前記溝部25よりも突出させてなる複数のブレードとを備えた清掃体27とからなり、前記複数のブレードは、回転棒の中心から半径方向に延びる第1のブレードと、該第1のブレードの中間部から延びる少なくとも1本の第2のブレードとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に取り付けられたエアフィルターの清掃を行う空気調和機用回転ロータと、それを用いた空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和機用回転ロータについて、図7及び図8を用いて説明する。図7は従来の空気調和機用回転ロータを配した空気調和機の縦断面図であり、図8は同空気調和機用回転ロータの斜視図である。
【0003】
図7において、空気調和機本体1内には、熱交換器2と、室内の空気を取り入れる吸込口3と、前記熱交換器2と前記吸込口3の間に設けられたベルト状のエアフィルター4と、このエアフィルター4を張設した駆動軸6及び従動軸7と、前記駆動軸6を回転駆動するサーボモーター5と、前記エアフィルター4で捕集された塵埃を除去する空気調和機用回転ロータ8(以下、「回転ロータ8」という)と、前記回転ロータ8を回転駆動する駆動手段(図示せず)と、前記吸込口3と連通し前記回転ロータ8を内設し排出口9を有する排気管10と、前記排気管10内に設けられた塵埃排出用ファン11と、前記吸込口3から室内の空気を吸引し、熱交換器2を通して吹き出し口12から熱交換された空気を室内に吹き出すファン13とを備えている。
【0004】
回転ロータ8は、図8に示すように、回転自在の回転棒8aと、この回転棒8aの外周の長手方向に直線状に一定間隔にて植設されたブラシ状の清掃体8bとから構成されている。上記構成による回転ロータと空気調和機の動作、作用は以下の通りである。
【0005】
空気調和機本体1を、例えば、冷房運転すると、ファン13により室内の空気が吸引口3から流入し、エアフィルター4を通って熱交換器2に至り、そこで冷却され、冷たい空気が吹き出し口12から室内に吹き出される。吸引される室内の空気に含まれる塵埃は、前記エアフィルター4で捕集され、エアフィルター4の表面に堆積する。エアフィルター4の表面に塵埃が堆積してくると、空気の通気圧損が増加し、熱交換効率が低下してくるので、定期的に或いは、必要に応じて、エアフィルター4上の塵埃の除去運転が必要となる。
【0006】
塵埃の除去運転は、サーボモーター5を運転して駆動軸6を回転させてベルト状のエアフィルター4を連続的に移動させ、その間に回転ロータ8を回転させると共に塵埃排出用ファン11を運転するもので、エアフィルター4上の塵埃が、回転ロータ8の清掃体8bで掻き取られ、掻き取られた塵埃は、塵埃排出用ファン11により吸引され、排出口9より室外に排出されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平6−74521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の技術では清掃体8bが均一に植設された毛材よりなるため、製造コストが高いわりにはエアフィルターの網目に付着した塵埃を除去する効率はあまり良くなかった。即ち、エアフィルターの網目に付着した塵埃を効率よく除去するには、清掃体がエアフィルタの表面に接触するだけではなく、エアフィルターの表面を叩く動作が必要とされる。
【0009】
本発明は上記点に鑑み、製造コストを低く抑えることができると共にエアフィルターに付着した塵埃を効率よく除去することができる空気調和機用回転ロータ及び空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、空気調和機に取着されたエアフィルターに堆積した塵埃を除去する空気調和機用回転ロータであって、外周の長手方向に設けられた溝部を有する回転棒と、該回転棒の溝部に挿脱自在な基部と該基部から前記溝部よりも突出させてなる複数のブレードとを備えた清掃体とからなり、前記複数のブレードは、回転棒の中心から半径方向に延びる第1のブレードと、該第1のブレードの中間部から延びる少なくとも1本の第2のブレードとを有することに特徴を有する。回転ロータを、第1のブレード、第2のブレードの順でエアフィルターに当接するような方向に回転させると、まず、第1のブレードは、エアフィルターに対してほぼ垂直に当接するため、エアフィルターの表面を強い腰で叩いて塵埃を粗取りし、次に、第2のブレードは、その先端が反回転方向側へ傾斜した状態でエアフィルターに当接するため、柔らかな腰でしなやかに撓みながら、第1のブレードで取り残した塵埃を仕上げるように拭き取って除去することができる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、第1のブレードの先端及び、第2のブレードの先端が、回転ロータの回転外径上にあることに特徴を有する。したがって、第1のブレードと第2のブレードとは共に回転ロータの回転中心からブレード先端までの距離が等しくなる。よって、エアフィルターに均一にブレード先端を当接させることが出来る。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、溝部を、回転棒の外周の長手方向に螺旋状に形成したことに特徴を有する。したがって、溝部に挿入される清掃体も螺旋状になるので、直線状の清掃体よりもエアフィルターに接触する面積が増し清掃効率を高めることができる。また、擦動抵抗が分散されるため、消費電力を軽減できる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明において、回転棒を、金属材で形成したことに特徴を有する。したがって、溝の作成等の加工が容易であり、製造コストを下げることができる。また、径小でも必要強度の確保が容易で、長尺における曲がり精度も良好な回転棒が製造できる。
【0014】
請求項5の発明は、熱交換器と、該熱交換器の上流側に設けられたエアフィルターと、請求項1から4のいずれか1項に記載の空気調和機用回転ロータとを備えた空気調和機に特徴を有するので、空気調和機の製造コストを低減することができると共に、エアフィルターの塵埃を効率よく除去することによって、熱交換効率を上げることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、回転ロータの清掃体のブレードを複数とすることによって製造コストを抑えつつ、エアフィルターの塵埃を効率よく除去することが可能となる。この回転ロータを空気調和機に使用することによって、空気調和機の熱交換率を上げることができることから、電気代の節約にもつながる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1実施形態における空気調和機用回転ロータを搭載した空気調和機の縦断面図である。図1において、空気調和機本体15は、熱交換器16と、室内の空気を取り入れる吸込口17と、前記熱交換器16と前記吸込口17との間に配され、前記吸込口17から流入する空気中に含まれる塵埃を捕集するエアフィルター18と、前記エアフィルター18の上流側に配されると共に、前記エアフィルター18で捕集された塵埃を除去する空気調和機用回転ロータ20(以下、「回転ロータ20」という)と、前記回転ロータ20を回転駆動する回転駆動手段(図示せず)と、前記回転ロータ20を前記エアフィルター18の上流側の表面に沿って上下方向に移動させる上下移動手段(図示せず)と、前記吸込口17から室内の空気を吸引し、エアフィルター18、熱交換器16を通して、吹き出し口21から、熱交換された空気を室内に吹き出すファン22とを備えている。
【0017】
次に、図2、図3及び図4用いて第1実施形態の回転ロータ20の構成について説明する。回転ロータ20はアルミニウムなどの金属材料からなり、外周に、且つ長手方向に螺旋状に形成された溝部25を有する回転棒26と、エアフィルター18に付着した塵埃を掻き取る清掃体27と、清掃体27の抜け止め用のキャップ28から構成されている。
【0018】
ここで、清掃体27は、回転棒26の溝部25に挿脱自在な基部271と、この基部271から前記溝部25よりも上方へ突出させ、回転棒26の中心から半径方向に延びる第1のブレード272と、この第1のブレード272の、基部271と凸部272aの間で形成される中間部から、第1のブレード272の延びる方向に対して約90度の角を有する方向に延びる第2のブレード273とを備えている。
【0019】
そして、第1のブレード272は先端に円形の凸部272aが形成されている。また、第2のブレード273は先端の2箇所に山形の凸部273a、273bが形成されている。
尚、図3の仮想線で示すように、本実施形態の清掃体27の第1のブレード272の先端と、第2のブレード273の先端とは、回転棒26に装着した時に回転棒26の回転の中心からの距離が同じとなるように製作されている。
【0020】
図5は第2実施形態の清掃体29を示す図である。この実施形態では上述した第1実施形態と同様に、回転棒26の溝部25に基部291が挿脱自在になっている。そして、この基部291から前記溝部25よりも上方へ突出させ、回転棒26の中心から半径方向に延びる第1のブレード292と、この第1のブレード292の中間部から、第1のブレード292の延びる方向に対して約90度の角を有する方向に延びる第2のブレード293と、この第2のブレード293と平行で第1のブレード292の中間部から延びる第3のブレード294とを備えている。
【0021】
そして、第1実施形態と同様にして、第1のブレード292は先端に円形の凸部292aが形成されている。また、第2のブレード293は先端の2箇所に山形の凸部293a、293bが形成されている。さらに、第3のブレード294は先端の2箇所に山形の凸部294a、294bが形成されている。
尚、第1実施形態と同様に、本実施形態の清掃体29の第1のブレード292の先端と、第2のブレード293の先端と、第3のブレード294の先端とは、回転棒26に装着した時に回転棒26の回転の中心からの距離が同じとなるように製作されている。
【0022】
次に、本発明の回転ロータ及びこれを搭載した空気調和機の動作について図1に基づいて説明する。空気調和機の本体15を、例えば、冷房運転すると、ファン22により室内の空気が吸込口17から流入し、エアフィルター18を通って熱交換器16に至り、そこで冷却され、冷たい空気が吹き出し口21から室内に吹き出される。吸込口17から吸引される室内の空気に含まれる塵埃は、エアフィルター18で捕集され、エアフィルター18の表面に次第に堆積していく。エアフィルター18の表面に塵埃が堆積してくると、空気の通気圧損が増加し、熱交換器16での熱交換効率が低下してくるので、定期的に或いは、必要に応じて、エアフィルター18に堆積した塵埃の除去運転が必要となる。
【0023】
塵埃の除去運転の開始に当たり、回転ロータ20は、図6に示すように、エアフィルター18の下端に位置している。塵埃の除去運転を開始すると、回転駆動手段(図示せず)により回転ロータ20が矢印方向に回転すると共に、その回転する回転ロータ20が上下移動手段(図示せず)で、エアフィルター18の表面に沿って上方に移動する。この間に、清掃体27の第1のブレード272及び第2のブレード273の先端で、エアフィルター18に付着堆積した塵埃が掻き落とされる。掻き落とされた塵埃は、図示しない塵埃吸引手段で吸引されると共に、屋外へ排出されるようになっている。
尚、上下移動手段により、回転ロータ20がエアフィルター18の上端まで達すると、自動的に下降し、次回の塵埃の除去運転用に、エアフィルター18の下端で停止するようになっている。
【0024】
尚、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の実施形態をとることができることは言うまでもない。例えば、図2において、回転棒26の2条の溝部25に清掃体27を装着しているが、溝部を4条にして、この溝部の全てに清掃体27を装着してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の空気調和機用回転ロータ及び空気調和機は主に室内の冷房、暖房、除湿等を行う空気調和機として、又は、この空気調和機のエアフィルターの清掃のために利用される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態における空気調和機用回転ロータを搭載した空気調和機の縦断面図である。
【図2】同空気調和機用回転ロータの斜視図である。
【図3】第1実施形態における空気調和機用回転ロータの断面図である。
【図4】第1実施形態における清掃体の断面図である。
【図5】第2実施形態における清掃体の断面図である。
【図6】本発明における空気調和機の内部構成の概略を示す斜視図である。
【図7】従来の空気調和機用回転ロータを配した空気調和機の縦断面図である。
【図8】同空気調和機用回転ロータの斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
15 空気調和機本体
18 エアフィルター
20 回転ロータ
25 溝部
26 回転棒
27,29 清掃体
271 基部
272,292 第1のブレード
273,293 第2のブレード
294 第3のブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機に取着されたエアフィルターに堆積した塵埃を除去する空気調和機用回転ロータであって、外周の長手方向に設けられた溝部を有する回転棒と、該回転棒の溝部に挿脱自在な基部と該基部から前記溝部よりも突出させてなる複数のブレードとを備えた清掃体とからなり、前記複数のブレードは、回転棒の中心から半径方向に延びる第1のブレードと、該第1のブレードの中間部から延びる少なくとも1本の第2のブレードとを有することを特徴とする空気調和機用回転ロータ。
【請求項2】
第1のブレードの先端及び、第2のブレードの先端が、回転ロータの回転外径上にあることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機用回転ロータ。
【請求項3】
溝部を、回転棒の外周の長手方向に螺旋状に形成した請求項1又は2に記載の空気調和機用回転ロータ。
【請求項4】
回転棒を、金属材で形成した請求項1から3のいずれか1項に記載の空気調和機用回転ロータ。
【請求項5】
熱交換器と、該熱交換器の上流側に設けられたエアフィルターと、請求項1から4のいずれか1項に記載の空気調和機用回転ロータとを備えた空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−20101(P2008−20101A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−190912(P2006−190912)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】