説明

空気調和機

【課題】断面が略ノコギリ刃状に形成したプレフィルター体に堆積した塵埃の除去が極めて容易な空気調和機を提供する。
【解決手段】吸込み口(図示せず)と排気口(図示せず)を有する本体(図示せず)に、室内の浮遊塵埃を含む外気を前記吸込み口から前記排気口に導く通過風路(図示せず)を形成し、該通過風路内に、上流側から、塵埃捕集用のプレフィルター体6と、送風機(図示せず)を順に配し、前記プレフィルター体6を、シート状の部材からなり断面形状が山部20aと谷部20bより成る略ノコギリ刃状に形成したフィルター20と、前記フィルター20の外周を保持する枠体21で構成すると共に、前記フィルター20の上流側の谷部20bにフラット面20cを形成したもので、フィルター20の谷部20bからの塵埃の除去が極めて容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関するもので、特に、プレフィルター体の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の空気調和機は、室内熱交換器と、室内熱交換器の上流側に配され、多数の細孔を有するプレフィルター体と、前記プレフィルター体を通して室内の空気を吸引すると共に、前記熱交換器で熱交換された空気を室内に戻すための送風機を備え、前記プレフィルター体の断面形状が、山部と谷部より成る略ノコギリ刃状に形成されている。これにより、所定空間内でのプレフィルター体の濾過面積を増やすことが出来るので、送風機への外気の流れがスムーズになり、圧力損失が減少されるので、送風機は低出力化となり、小型化及び長寿命が可能となる。
【0003】
また、プレフィルター体の濾過面積が増えることにより、塵埃捕集量の増加も可能になるので、プレフィルター体の塵埃処理を煩雑に行う必要が無く、かつ、プレフィルター体の強度も、屈曲部が多くなることにより向上するので、捕集塵埃によるフィルターの目詰まり状態でも、送風機の吸引力に打ち勝ち、その変形を防止できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−193904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたような従来の空気調和機のプレフィルター体の断面における谷部は、略三角形状のために、塵埃を含んだ外気は、山部と谷部を繋ぐ傾斜面に沿って、谷部の頂点に向かってガイドされるため、塵埃は上流側の谷部の頂点から順に堆積し、かつ圧縮される。この為、プレフィルター体に堆積した塵埃の除去が非常に困難になるといった課題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、断面形状が山部と谷部より成る略ノコギリ刃状に形成したプレフィルター体に堆積した塵埃の除去が極めて容易な空気調和機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の空気調和機は、吸込み口と排気口を有する本体に、室内の浮遊塵埃を含む外気を前記吸込み口から前記排気口に導く通過風路を形成し、該通過風路内に、上流側から、塵埃捕集用のプレフィルター体と、送風機を順に配し、前記プレフィルター体を、シート状の部材からなり断面形状が山部と谷部より成る略ノコギリ刃状に形成したフィルターと、前記フィルターの外周を保持する枠体で構成すると共に、前記フィルターの上流側の谷部にフラット面を形成したもので、フィルターの谷部からの塵埃の除去が極めて容易になる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の空気調和機は、断面形状が山部と谷部より成る略ノコギリ刃状に形成したプレフィルター体の谷部に堆積した塵埃の除去が極めて容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、吸込み口と排気口を有する本体に、室内の浮遊塵埃を含む外気を前記吸込み口から前記排気口に導く通過風路を形成し、該通過風路内に、上流側から、塵埃捕集用のプレフィルター体と、送風機を順に配し、前記プレフィルター体を、シート状の部材からなり断面形状が山部と谷部より成る略ノコギリ刃状に形成したフィルターと、前記フィルターの外周を保持する枠体で構成すると共に、前記フィルターの上流側の谷部にフラット面を形成したもので、フィルターの谷部からの塵埃の除去が極めて容易になる。
【0009】
第2の発明は、特に、第1の発明のフィルターの谷部に設けたフラット面を、枠体の上流側の面と略同一または、それより上流側に位置させたもので、フィルターの上流側の谷部に堆積した塵埃をブラシなどで除去する際、塵埃がフィルターの端部で枠体に引っかかることがなく、塵埃処理がスムーズに出来る。
【0010】
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の空気調和機において、ブラシ等から成ると共にプレフィルター体の上流側表面に接触して塵埃を除去する除塵体と、前記除塵体又は前記プレフィルター体を通過風路内で所定の距離往復移動させる駆動体を備え、前記除塵体のフィルターと接触する部分の断面形状を、それぞれ山部と谷部を有するノコギリ刃状に形成し、前記除塵体の前記フィルターの上流側の谷部と接触する山部にフラット面を形成したもので、フィルターに捕集された塵埃を自動的に処理する際、フィルターもそれに当接する除塵体のいずれも断面が山部と谷部より成る略ノコギリ刃状に形成されているので、除塵体が左右に変形しようとしても、それぞれの山部、谷部さらには傾斜部により、変形が減少され、確実に除塵を行うことができる。さらに、前記除塵体又はプレフィルター体のいずれかを駆動体により駆動する場合も、それぞれの山部、谷部および傾斜部がガイドレールの役目を果し、除塵体が左右にぶれることなく、確実にプレフィルター体の上流側表面をストレートに移動し除塵作業を、塵埃の取り残しなく、効率よく実施することが出来る。この時、除塵体の山部とフィルターの谷部のそれぞれのフラット面同士が当接するため、断面が略三角状の山部と谷部が当接するのに比べて、除塵力が左右に分散されるのが少なくなり、確実に除塵できる。
【0011】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明のフィルターの上流側の山部にフラット面を形成したもので、フィルターの上流側の山部にもフラット面を形成することで、フィルターの強度がさらに向上し、塵埃による目詰まり状態の時でも、送風機の吸引力に対し、変形が防止できる。また、フィルターの山部にもフラット面が形成されているので、同山部の塵埃も確実に除去できる。
【0012】
第5の発明は、特に、第4の発明の除塵体の谷部にフラット面を形成したもので、フィルターの山部及び除塵体の谷部の両方にフラット面を形成することで、プレフィルター体の強度が向上すると共に、除塵体とフィルターとの接触面がフラット面同士となり、垂直に当接することで、除塵力も均一に成り、その除塵効果も向上する。
【0013】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか一つの発明のフィルターの谷部を、枠体の対向する二つの桟間を結合するブリッジ体として形成したもので、フィルターの谷部で、ほぼ矩形で、中央部に空間を形成した枠体の対向する二つの桟間を結合してブリッジ体とすることで、枠体の強度が向上し、フィルターが目詰まりの状態でも、送風機の吸引力に打ち勝ち変形を防止することが出来る。又、フィルターの上流側の谷部に枠体の樹脂を流してブリッジ体を形成すると、その箇所でフィルターの細径が塞がられるので、塵埃がその谷部に堆積しにくく、除塵作業が容易である。
【0014】
第7の発明は、特に、第1〜6のいずれか一つの発明の本体の一部又はプレフィルター体の一端部に、フィルターから除去された塵埃を収納する塵埃収納体を設けたもので、プレフィルター体から除去された塵埃の廃棄または、処理が容易になる。
【0015】
第8の発明は、特に、第7の発明の塵埃収納体を、本体の一部又はプレフィルター体に着脱自在に設けたもので、塵埃を捨てる際、塵埃収納体を取り外して、容易に持ち運べるので、塵埃の処理が容易である。
【0016】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
(実施例1)
【0018】
図1は、本発明の第1の実施例における空気調和機の断面図、図2は、同空気調和機のプレフィルター体の斜視図及び分解斜視図、図3は、同プレフィルター体の裏面部分斜視図、図4は、図2のA−A断面図、図5は、図2のB−B断面図、図6は、図2のC−C断面図、図7は、同空気調和機の除塵体の部分斜視図、図8は、同プレフィルター体と除塵体の断面図、図9は、同プレフィルター体と除塵体の断面図である。
【0019】
図1〜9において、本実施例における空気調和機の本体1の前部には、複数の吸込み口2を有すると共に上端が本体1に回動自在に取着された前面パネル3が取り付けられ、本体1の下部には、排気口4が設けられ、吸込み口2と排気口4とを連通して、浮遊塵埃を含む室内の空気を吸込み口2から排気口4に導く通過風路5内には、前面パネル3側から順に、吸込み口2から流入する室内の空気に含まれる塵埃を捕捉するプレフィルター体6と、室内熱交換器7と、吸込み口2から室内の空気を吸引し、前記室内熱交換器7で熱交換された空気を排気口4から吹き出すための送風機8が配置されている。
【0020】
本体1の下面には、プレフィルター体6が出没するプレフィルター体通過口9が設けられている。プレフィルター体6の上流側には、プレフィルター体6で捕捉された塵埃を除去する除塵体12と、除塵体12の下方に配され、除塵体12で除去され落下する塵埃を受けると共にそれを収納する塵埃収納体13が設けられている。本体1の側面には、特に図示しないが、塵埃収納体13を出し入れするための開口部が設けられている。
【0021】
14は、プレフィルター体6の清掃時に、本体1に設けたプレフィルター体保持溝15にガイドさせながら斜め上・下方向にプレフィルター体6を移動させる第1の駆動体で、第1の駆動体14を駆動してプレフィルター体6を斜め下方に移動させると、プレフィルター体6が、プレフィルター体通過口9より外方に飛び出し、プレフィルター体6を斜め上方に移動させると、プレフィルター体6が本体1内に収納されるようになっている。16は、送風機8や、第1の駆動体14などの電気部品を制御する制御体である。
【0022】
プレフィルター体6は、シート状の塵埃捕集用の濾材から成り、断面が、図2に示すように、山部20aと、谷部20bよりなる略ノコギリ刃状のフィルター20と、フィルター20の外周囲を保持する枠体21から構成されている。
【0023】
本実施例では、フィルター20の上流側の谷部20bには、フラット面20cが形成されている。
【0024】
枠体21は、中央に開口21aを有し、枠体21の上下方向で対向する一対の桟21bの上流側の面には、フィルター20の山部20aの裏面が気密に固着される複数の突起21cと、フィルター20のフラット面20cの裏面が気密に固着される平端部21dが設けられている。
【0025】
以上のように、フィルター20の山部20a、フラット面20cのそれぞれを、突起21c、平端部21dに気密に固着し、更にフィルター20の左右の端部を枠体21の左右の桟21eに固着することにより、開口21aがフィルター20で完全に覆われる。
【0026】
又、枠体21の右端の裏面には、図3(a)に示すように、ギアA21fが、上下方向に延設されている。
【0027】
第1の駆動体14は、第1のモータ17と、その回転軸17aに固着され、枠体21に設けたギアA21fに噛み合う第1の駆動ギア22から構成されている。
【0028】
除塵体12は、一端が本体1に設けた軸受部1aに回転自在に支持され、他端が第2の駆動体23に連結された軸体12aと、多数の細径の繊維などからなり、軸体12aの外周に取着されると共に、フィルター20の上流側表面に接して、フィルター20に付着した塵埃を除去するブラシ12bから構成されている。ブラシ12bの幅寸法は、フィルター20の全幅に略等しく設定されている。尚、ブラシ12bの軸体12aの外周への取着は、接着、溶着、植毛するなどの方法で固着するか、或いは、着脱自在に装着できるようにしても良い。
【0029】
除塵体12のブラシ12bの断面形状は、図8に示すように、フィルター20の山部20aに接する谷部12cと、フィルター20の谷部20bに接する山部12dを有するノコギリ刃状に形成されている。
【0030】
除塵体12の軸体12aの一端に連結された第2の駆動体23を回転することにより、除塵体12を、図1において、時計方向に回転駆動して、フィルター20の上流側表面に付着した塵埃を効率よく掻き落とすことができる。
【0031】
除塵体12で除去され落下してくる塵埃を受ける塵埃収納体13の左右方向の長さは、フィルター20の全幅にわたる長さとほぼ同一で、また、塵埃収納体13の上面には、除塵体12のブラシ12bが臨む開口部13aが形成され、塵埃収納体13内の一部には、先端がブラシ12bに食い込む櫛歯24が、ブラシ12bと平行に設けられている。
【0032】
以上のように構成された本実施の形態における空気調和機の動作、作用は以下の通りである。
【0033】
なお、本実施例における空気調和機の冷暖房運転時の動作は、従来の空気調和機のそれと同一なので、その説明を省略し、特に、プレフィルター体6の清掃運転時の動作について説明する。
【0034】
本体1又は、本体1を遠隔操作するリモコン(図示せず)に設けたプレフィルター体クリーニングスイッチ(図示せず)を操作すると、まず最初に、第2の駆動体23の運転により除塵体12が時計方向(図1参照)に、すなわち、ブラシ12bで、フィルター20に付着した塵埃を上から下に向けて掻き落とす方向に回転する。そして、第1の駆動体14が駆動して、プレフィルター体6をゆっくりと斜め下方に移動させる。この動作により、フィルター20の下方から順に、フィルター20に付着した塵埃が掻き落とされ、その塵埃は、塵埃収納体13内に落下し、堆積していく。
【0035】
本実施例では、上記清掃運転のときは、ブラシ12bの外周の周速度が、プレフィルター体6の下降速度より大きくなるように設定している。これにより、プレフィルター体6に付着した塵埃を確実に除去すると共に、プレフィルター体6に余分な負荷が、すなわち、第1の駆動体14に無理な負荷が加わるのを防止している。
【0036】
上記の動作の間、ブラシ12bに塵埃が付着したまま残ることがあるが、それらは、先端がブラシ12bに食い込んだ櫛歯24により、順次取り除かれるので、塵埃の除去性能が次第に低下することが無い。
【0037】
第1の駆動体14の運転により、プレフィルター体6が完全に下がりきって、プレフィルター体6の清掃が完了すると、自動的に第1の駆動体14が逆転し、プレフィルター体保持溝15にガイドされながら、プレフィルター体6が上昇し、最初の収納位置に戻る。プレフィルター体6が上昇する間に、除塵体12を清掃時と同様に、第2の駆動体23で回転させれば、プレフィルター体6の清掃をより確実に行うことができる。或いは、プレフィルター体6が上昇する間に、クラッチ機構(図示せず)などを用いて、除塵体12と第2の駆動体23との機械的連結を解除し、除塵体12が自由に回転できるようにすれば、プレフィルター体6に加わる負荷、すなわち、第1の駆動体14に加わる負荷が大幅に減るようになり、第1の駆動体14の小型化を図ることもできる。
【0038】
プレフィルター体6の清掃を、上記のようにして何度か行って、塵埃収納体13内が塵埃で一杯になってきたら、本体1の側面に設けた開口部(図示せず)から、塵埃収納体13を取り出して、中の塵埃を廃棄すれば良い。
【0039】
コスト高にはなるが、塵埃収納体13に吸引装置(図示しない)を連結して、定期的に或いは、光学的手段などを用いて、塵埃収納体13が塵埃で一杯になったことを検知したときに、前記吸引装置を運転して、外部に排出するようにすれば、手間がかからず、メンテナンスが容易な空気調和機を提供できる。
【0040】
また、フィルター20の上流側の谷部20bにフラット面20cを設けているので、フィルター20の谷部20bからの塵埃の除去が極めて容易になる。
【0041】
又、上記実施例では、フィルター20のフラット面20cの裏面を、枠体21の上流側の平端部21dに固着しているので、すなわちフラット面20cが、枠体21の上流側の面より上流側に位置しているので、フィルター20の上流側の谷部20bに堆積した塵埃を除塵体12で除去する際、塵埃が、フィルター20の端部で枠体21に引っかかることがなく、塵埃処理がスムーズに出来るものである。
【0042】
なお、枠体21の平端部21dにフィルター20の厚み程度の段差を設け、フィルター20のフラット面20cと、枠体21の上流側の面と同一面としても同様の効果が得られることは、言うまでもない。
【0043】
又、除塵体12の断面は、フィルター20の山部20aと谷部20bのそれぞれに対応するように、谷部12c、山部12dを有するノコギリ刃状に形成されているので、フィルター20で捕集された塵埃を自動的に処理する際、除塵体12が左右に変形しようとしても、それぞれの山部12d、谷部12cさらには、山部12dと谷部12cとを繋ぐ傾斜部12fにより、変形が減少されるので、確実に除塵を行うことができる。
【0044】
さらに、プレフィルター体6を第1の駆動体14により駆動する場合も、それぞれの山部20a、谷部20bおよび山部20aと谷部20bを繋ぐ傾斜部20dがガイドレールの役目を果し、除塵体12が左右にぶれることなく、確実にプレフィルター体6の上流側表面をストレートに移動し、除塵作業を塵埃の取り残しなく、効率よく実施することが出来る。この時、除塵体12の山部12dとフィルター20の谷部20bのそれぞれのフラット面12eとフラット面20c同士が当接するため、断面が略三角状の山部と谷部が当接するのに比べて、除塵力が左右に分散されるのが少なくなり、確実に除塵できる。
【0045】
尚、上記実施例では、プレフィルター体6の自動清掃を可能にするために、除塵体12を回転駆動する方式を採用したが、本発明は、その採用を条件とするものでは無く、使用者がプレフィルター体6を必要に応じて、空気調和機の本体1から取り外し、一般的なブラシを用いて清掃するようにした空気空気調和機においても、プレフィルター体6の谷部20bにフラット面20cが形成されているので、塵埃の除去が容易になることは言うまでもない。
【0046】
なお、上記実施例では、プレフィルター体6のフィルター20の谷部20bにフラット面20cを、それと対向する除塵体12の山部12dにフラット面12eをそれぞれ形成したが、図10に示すように、フィルター20の山部20a及び谷部20bのそれぞれにフラット面20cを、それらと対向する除塵体12側の谷部12c及び山部12dのそれぞれにフラット面12eをそれぞれ形成しても良い。
【0047】
フィルター20を上記のように構成することにより、フィルター20の強度がさらに向上し、塵埃による目詰まり状態の時でも、送風機8の吸引力に対し、変形が防止できる。また、フィルター20の山部20aにもフラット面20cが形成されているので、山部20aの塵埃も確実に除去することができる。
【0048】
また、除塵体12の谷部12c、山部12dの両方にもフラット面12eが形成されているので、フィルター20との接触面がフラット面同士となり、垂直に当接することで、除塵力も均一に成り、その除塵効果を大幅に向上させることが出来る。
【0049】
また、上記実施例では、除塵体12を、軸体12aに多数の細径の繊維などからなるブラシ12bを固着して形成したが、図11に示すように、軸体12aの外周に、それぞれ山部12d、谷部12cを形成した複数のシート状のブラシ12bを固着して構成しても良い。この場合においても、少なくとも山部12dに、フラット面12eを形成しておく、ことはいうまでもない。
【0050】
(実施例2)
【0051】
図12は、本発明の第2の実施例における空気調和機のプレフィルター体の斜視図と断面図である。尚、上記第1の実施例における空気調和機と同一部分については同じ符号を用いて説明を省略する。
【0052】
上記第1の実施例では、プレフィルター体6のフィルター20の谷部20bに平坦部を設けてフラット面20cを形成したが、本実施例は、図12に示すように、枠体21を成型する際に、枠体21を形成する樹脂材料がフィルター20の谷部20bに流れるように、フィルター20と一体的に成型して、谷部20bにフラット面20cを形成するようにしたものである。尚、本実施例では、フラット面20cと、枠体21の上流側の面と同一面にしているが、枠体21の上流側の面より上流側に位置しても良い。
【0053】
上記のように構成されたプレフィルター体6によれば、フィルター20の谷部20bのフラット面20cが形成された部分では、フィルター20の細孔が樹脂で塞がれ、空気が通過しないので、その部分に塵埃が堆積し難くなり、除塵作業が一層容易になるものである。
【0054】
また、フィルター20の谷部20b内でフラット面20cを形成する樹脂は、枠体21の上下の桟21bを連結するブリッジ体の役目を果たすので、枠体21の強度が向上し、フィルター20が目詰まりの状態でも、送風機8の吸引力によって容易に変形することがない。
【0055】
(実施例3)
【0056】
図13は、本発明の第3の実施例における空気調和機の要部断面図、プレフィルター体と除塵体の斜視図である。尚、上記実施例における空気調和機と同一部分については同じ符号を用いて説明を省略する。
【0057】
上記第1の実施例では、除塵体の位置を固定し、プレフィルター体を上下方向に移動させることで、プレフィルター体の全域を清掃するようにしたが、本実施例は、プレフィルター体を固定し、除塵体を上下動させて、プレフィルター体の全域を清掃することが出来るようにするものである。
【0058】
図13において、本実施例における空気調和機のプレフィルター体27は、枠体28とその枠体28に気密に、且つ山部20aが上下方向になるようにして固着されたフィルター20から構成され、その枠体28の下部に、上面が開口しフィルター20から落下する塵埃を受け、収納する塵埃収納体29が着脱自在に取り付けられている。言うまでも無いが、塵埃収納体29を枠体28の所定の部分に取り付けたとき、塵埃収納体29が、フィルター20の真下に位置するようになっている。
【0059】
30は、フィルター20の上流側表面に付着した塵埃を除去する除塵体で、多数の細径の繊維あるいはシート状の部材からなりフィルター20の山部20a、谷部20bのそれぞれに摺接する谷部31a、山部31bを有するブラシ31と、ブラシ31を保持するブラシ保持部材32から構成されている。
【0060】
空気調和機の本体1には、ブラシ保持部材32の両端を上下方向にガイドするガイド溝33が形成されている。本体1には、特に図示しないが、ブラシ保持部材32を、図13に示すように、ブラシ31の谷部31a、山部31bを、フィルター20の山部20a、谷部20bに摺接させた状態で上下に移動させる第3の駆動体が設けられている。
【0061】
以上のように構成された本実施例における空気調和機のプレフィルター体27の清掃動作は以下の通りである。
【0062】
通常は、除塵体30は、そのブラシ31が、フィルター20の上端に接する位置(以下「上死点」という)で支持されている。そして、プレフィルター体27の清掃を行うために第3の駆動体を運転すると、除塵体30が下降し、その間に、フィルター20に付着した塵埃が、ブラシ31で除去され、下方に落下して、塵埃収納体29に堆積していく。
【0063】
そして、除塵体30のブラシ31がフィルター20の下端に接する位置(図13(a)で点線で示された位置。以下「下死点」という)に達すると、次の清掃に備えるため、自動的に第3の駆動体が逆駆動し、除塵体30を元の上死点まで移動させる。
【0064】
塵埃収納体29に堆積した塵埃を廃棄するときは、塵埃収納体29に設けた取っ手29aを掴んで、塵埃収納体29を枠体28から取り外して簡単に行うことができる。
【0065】
以上のように、本実施例によれば、プレフィルター体27を固定し、除塵体30を上下動させるようにしているので、プレフィルター体27の清掃時に、プレフィルター体27が、本体1の底部から飛び出すことが無く、安価で、意匠的にも優れた空気調和機を提供することが出来るものである。
【0066】
尚、上記実施例では、塵埃収納体29を枠体28に着脱自在に設けたが、空気調和機の本体1に着脱自在に設けても良い。
【0067】
また、本実施例では、プレフィルター体27の下部に塵埃収納体29を取り付けたが、プレフィルター体27のフィルター20を、横向きに、すなわち山部20a、谷部20bの稜線が水平になるように設け、更に除塵体30を左右方向に移動するように設けた場合は、塵埃収納体29を枠体28の左右のいずれかの端部に設けると良い。
【0068】
(実施例4)
【0069】
図14は、本発明の第4の実施例における空気調和機の要部断面図である。尚、上記実施例における空気調和機と同一部分については同じ符号を用いて説明を省略する。
【0070】
本実施例は、プレフィルター体を本体に固定し、プレフィルター体の清掃時に、除塵体を回転させながら、それをプレフィルター体の上流側の表面に沿って上下動させるようにしたものである。
【0071】
図14において、本実施例における空気調和機は、上記第3の実施例におけるプレフィルター体27を備え、そのプレフィルター体27の上流側には、除塵体ユニット35が配されている。除塵体ユニット35は、本体1に設けたガイドレール36に沿って、図示しない第4の駆動体により、プレフィルター体27に平行に、且つ上下方向に移動可能に設けられている。
【0072】
除塵体ユニット35は、上記第1の実施例で述べた除塵体12と、除塵体12を時計方向に回転駆動する第2の駆動体23と、除塵体12を覆うカバー体38と、除塵体12のブラシ12bによってフィルター20から除去された塵埃を収納すると共に、カバー体38に着脱自在に取着される塵埃収納体37から構成されている。37aは、塵埃収納体37の一部に形成され、ブラシ12bに付着した塵埃を梳く梳き歯である。その他の構成は、上記第3の実施例に記載された空気調和機と同一である。
【0073】
以上のように構成された本実施例における空気調和機のプレフィルター体27の清掃動作は、以下の通りである。
【0074】
通常、除塵体ユニット35は、内設された除塵体12のブラシ12bがフィルター20の上端に接する位置(以下「上死点」という)で保持されている。そして、プレフィルター体27の清掃を行うために、第2の駆動体23及び第4の駆動体(図示せず)を運転すると、除塵体12が時計方向に回転しながら、除塵体ユニット35が徐々に下降していく。その間に、フィルター20に付着した塵埃が、ブラシ12bで掻き取られ、塵埃収納体37の中に落下し、次第に堆積していく。ブラシ12bに付着して自然落下しない塵埃は、梳き歯37aにより梳かれて、塵埃収納体37内に落下する。
【0075】
そして、除塵体ユニット35が、ブラシ12bがフィルター20の下端に接する位置(以下「下死点」という)に達すると、次の清掃に備えるため、自動的に第4の駆動体が逆駆動し、除塵体ユニット35を元の上死点まで移動させた後、自動的に停止する。
【0076】
塵埃収納体35が塵埃で一杯になったら、塵埃収納体35をカバー体38から取り外すことにより、簡単に行うことができる。
【0077】
以上のように、本実施例によれば、プレフィルター体27を固定し、除塵体ユニット35を上下動させるようにしているので、プレフィルター体27の清掃時に、プレフィルター体27が、本体1の底部から飛び出すことが無く、意匠的に優れた空気調和機を提供することが出来るものである。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上のように、本発明にかかる空気調和機は、断面形状が山部と谷部より成る略ノコギリ刃状に形成したプレフィルター体に堆積した塵埃の除去が極めて容易なもので、空気調和機に限らず、断面略ノコギリ刃状に形成されたフィルターを有する各種機器に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1の実施例における空気調和機の断面図
【図2】(a)同空気調和機のプレフィルター体の斜視図、(b)同プレフィルター体の分解斜視図
【図3】同プレフィルター体の裏面部分斜視図
【図4】図2のA−A断面図
【図5】図2のB−B断面図
【図6】図2のC−C断面図
【図7】同空気調和機の除塵体の部分斜視図
【図8】同プレフィルター体と除塵体の断面図
【図9】同プレフィルター体と除塵体の断面図
【図10】他の例を示すプレフィルター体と除塵体の断面図
【図11】他の例を示す除塵体の部分斜視図
【図12】(a)本発明の第2の実施例における空気調和機のプレフィルター体の斜視図、(b)図12(a)のD−D断面図
【図13】(a)本発明の第3の実施例における空気調和機の要部断面図、(b)同空気調和機のプレフィルター体の斜視図、(c)同空気調和機の除塵体の斜視図
【図14】本発明の第4の実施例における空気調和機の要部断面図
【符号の説明】
【0080】
1 本体
2 吸込み口
4 排気口
5 通過回路
6、27 プレフィルター体
7 室内熱交換器
8 送風機
12、30 除塵体
13、29、37 除塵収納体
14 第1の駆動体(駆動体)
20 フィルター
20a 山部
20b 谷部
20c フラット面
21、28 枠体
23 第2の駆動体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込み口と排気口を有する本体に、室内の浮遊塵埃を含む外気を前記吸込み口から前記排気口に導く通過風路を形成し、該通過風路内に、上流側から、塵埃捕集用のプレフィルター体と、送風機を順に配し、前記プレフィルター体を、シート状の部材からなり断面形状が山部と谷部より成る略ノコギリ刃状に形成したフィルターと、前記フィルターの外周を保持する枠体で構成すると共に、前記フィルターの上流側の谷部にフラット面を形成したことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
フィルターの谷部に設けたフラット面を、枠体の上流側の面と略同一または、それより上流側に位置させたことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
ブラシ等から成ると共にプレフィルター体の上流側表面に接触して塵埃を除去する除塵体と、前記除塵体又は前記プレフィルター体を通過風路内で所定の距離往復移動させる駆動体を備え、前記除塵体のフィルターと接触する部分の断面形状を、それぞれ山部と谷部を有するノコギリ刃状に形成し、前記除塵体の前記フィルターの上流側の谷部と接触する山部にフラット面を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気調和機。
【請求項4】
フィルターの上流側の山部にフラット面を形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項5】
除塵体の谷部にフラット面を形成したことを特徴とする請求項4に記載の空気調和機。
【請求項6】
フィルターの谷部を、枠体の対向する二つの桟間を結合するブリッジ体として形成したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項7】
本体の一部又はプレフィルター体の一端部に、フィルターから除去された塵埃を収納する塵埃収納体を設けたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項8】
塵埃収納体を、本体の一部又はプレフィルター体に着脱自在に設けたことを特徴とする請求項7に記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−264618(P2009−264618A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112153(P2008−112153)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】