空気調和機
【課題】本発明は、エネルギー消費に関する項目の積算値が、ユーザが決定した目標値を大幅に上回ってしまうことを抑制可能な空気調和機を提供することを目的とする。
【解決手段】所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値を記憶する記憶手段32と、前記所定期間の開始時から実際に要した前記項目についての積算値を算出する算出手段33と、前記積算値の前記目標値に対する割合に基づいて運転状態を変更する制御手段34とを備える。制御手段34は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルを示すPMV値の変動が所定の範囲内となるように運転状態を変更する。
【解決手段】所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値を記憶する記憶手段32と、前記所定期間の開始時から実際に要した前記項目についての積算値を算出する算出手段33と、前記積算値の前記目標値に対する割合に基づいて運転状態を変更する制御手段34とを備える。制御手段34は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルを示すPMV値の変動が所定の範囲内となるように運転状態を変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー消費に関する項目の積算値を算出可能な空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
室内機と室外機とを備えた空気調和機には、運転時の消費電力に基づいて消費した電気料金を算出し、その電気料金をユーザに知らせる機能を備えたものがある。このような空気調和機では、例えば運転停止後から所定時間が経過するまでにリモコンの「お知らせスイッチ」が押された場合に、空気調和機で消費した電気料金が室内機の表示部に表示される(例えば、特許文献1参照)。従って、ユーザは、リモコンの「お知らせスイッチ」を押すことで、空気調和機で消費した電気料金を確認することができる。
【特許文献1】特開2001−74299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の空気調和機では、例えば、ユーザが所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目としての電気料金の目標値を決めておいた場合でも、ユーザが気付かないうちに、空気調和機で消費した電気料金が目標値を大幅に上回ることがある。
【0004】
そこで、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、エネルギー消費に関する項目の積算値が、ユーザが決定した目標値を大幅に上回ってしまうことを抑制可能な空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明に係る空気調和機は、所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値を記憶する記憶手段と、前記所定期間の開始時から実際に要した前記項目についての積算値を算出する算出手段と、前記積算値の前記目標値に対する割合に基づいて運転状態を変更する制御手段とを備え、前記制御手段は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が所定の範囲内となるように運転状態を変更する。
【0006】
この空気調和機では、所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値を設定しておくと、その所定期間の開始時から実際に要した前記項目についての積算値の目標値に対する割合に基づいて、空気調和機の運転状態が自動的に変更される。従って、前記項目についての積算値の目標値を設定しておくだけで、ユーザが気付かないうちに、実際に要した前記項目についての積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
更に、運転状態の変更は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が所定の範囲内となるように行われるので、運転状態が自動的に変更されたときに、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制できる。これにより、ユーザに大きな不快感を与えることを防ぎつつ、目標値を考慮した運転を行うことが可能になる。
【0007】
第2の発明に係る空気調和機は、所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値を記憶する記憶手段と、前記所定期間の開始時から実際に要した前記項目についての積算値を算出する算出手段と、単位時間あたりの前記項目の増加量に前記所定期間の終了時までの残り時間を乗算して得られる値と、前記積算値と、の和である推定値の、前記目標値に対する割合に基づいて運転状態を変更する制御手段とを備え、前記制御手段は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が所定の範囲内となるように運転状態を変更する。
【0008】
この空気調和機では、所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値を設定しておくと、単位時間あたりのエネルギー消費に関する項目についての積算値の増加量に前記所定期間の終了時までの残り時間を乗算して得られる値と、前記所定期間の開始時から実際に要した前記項目についての積算値と、の和である推定値の、目標値に対する割合に基づいて、空気調和機の運転状態が自動的に変更される。即ち、所定期間内に消費されると推定されるエネルギー消費に関する項目についての積算値の、目標値に対する割合に基づいて、空気調和機の運転状態が変更される。従って、エネルギー消費に関する項目の積算値の目標値を設定しておくだけで、ユーザが気付かないうちに、実際に要した前記項目についての積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
更に、運転状態の変更は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が所定の範囲内となるように行われるので、運転状態が自動的に変更されたときに、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制できる。これにより、ユーザに大きな不快感を与えることを防ぎつつ、目標値を考慮した運転を行うことが可能になる。
【0009】
第3の発明に係る空気調和機は、第2の発明に係る空気調和機であって、前記制御手段は、前記推定値が、前記目標値よりも大きい場合は、消費電力を減少させるように運転状態を変更する。
【0010】
この空気調和機では、推定値が目標値よりも大きい場合は、消費電力を減少させるように運転状態が変更される。これにより、簡易な構成で、実際に要したエネルギー消費に関する項目についての積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【0011】
第4の発明に係る空気調和機は、第2の発明又は第3の発明に係る空気調和機であって、前記制御手段は、前記推定値が、前記目標値よりも小さい場合は、消費電力を増加させるように運転状態を変更する。
【0012】
この空気調和機では、推定値が目標値よりも小さい場合は、消費電力を増加させるように運転状態が変更される。これにより、簡易な構成で、実際に要したエネルギー消費に関する項目についての積算値が目標値を大幅に下回るのを防止することができる。
この場合、推定値が目標値よりも小さい場合は、消費電力を増加させて、ユーザの快適性が向上するように運転状態を変更することができる。
【0013】
第5の発明に係る空気調和機は、第1〜4の発明のいずれかの発明に係る空気調和機であって、前記制御手段は、室内温度の設定温度を上昇または低下させるとともに、吹出し口から室内に送風される風量及び風向きの少なくともいずれかを調整することにより運転状態を変更可能である。
【0014】
この空気調和機では、室内温度の設定温度の変更に伴って、風量及び風向きの少なくともいずれかを変更することで、室内温度の設定温度のみを変更させる場合に比べて、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動を小さくすることが可能になる。これにより、運転状態の変更時にユーザが感じる不快感をより小さくすることができる。
【0015】
第6の発明に係る空気調和機は、第5の発明に係る空気調和機であって、前記制御手段は、室内温度の設定温度を上昇させるとともに吹出し口から室内に送風される風量を上昇させ、または、室内温度の設定温度を低下させるとともに前記風量を低下させることにより運転状態を変更可能である。
【0016】
この空気調和機では、冷房運転時においては、室内温度の設定温度を上昇させることで、消費電力を低下させることができるとともに、吹出し口から室内に送風される風量を上昇させることにより、設定温度の上昇によりユーザに与える不快感を減少させることができる。また、暖房運転時においては、室内温度の設定温度を低下させることで、消費電力を低下させることができるとともに、吹出し口から室内に送風される風量を低下させることにより、設定温度の低下によりユーザに与える不快感を減少させることができる。これにより、簡易な制御で、運転状態の変更時にユーザが感じる不快感をより小さくすることができる。
【0017】
第7の発明に係る空気調和機は、第1〜6の発明のいずれかの発明に係る空気調和機であって、設定湿度に基づいて室内の湿度を調整する湿度調整手段を備え、前記制御手段は、室内温度の設定温度を上昇させるとともに設定湿度を低下させ、または、室内温度の設定温度を低下させるとともに設定湿度を上昇させることにより運転状態を変更可能である。
【0018】
この空気調和機では、湿度調整手段により、設定湿度に基づいて室内の湿度を調整することが可能である。そして、冷房運転時においては、室内温度の設定温度を上昇させることで、消費電力を低下させることができるとともに、設定湿度を低下させることにより、設定温度の上昇によりユーザに与える不快感を減少させることができる。また、暖房運転時においては、室内温度の設定温度を低下させることで、消費電力を低下させることができるとともに、設定湿度を上昇させることにより、設定温度の低下によりユーザに与える不快感を減少させることができる。これにより、湿度調整手段を用いた簡易な制御で、運転状態の変更時にユーザが感じる不快感をより小さくすることができる。
【0019】
第8の発明に係る空気調和機は、第1〜7の発明のいずれかの発明に係る空気調和機であって、前記制御手段は、室内温度の設定温度のみを上昇または低下させることにより運転状態を変更可能である。
【0020】
この空気調和機では、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制しつつ、簡易な制御で、実際に要したエネルギー消費に関する項目の積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【0021】
第9の発明に係る空気調和機は、第1〜8の発明のいずれかの発明に係る空気調和機であって、設定湿度に基づいて室内の湿度を調整する湿度調整手段を備え、前記制御手段は、設定湿度のみを上昇または低下させることにより運転状態を変更可能である。
【0022】
この空気調和機では、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制しつつ、簡易な制御で、実際に要したエネルギー消費に関する項目の積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【0023】
第10の発明に係る空気調和機は、第1〜9の発明のいずれかの発明に係る空気調和機であって、前記制御手段は、吹出し口から室内に送風される風量のみを調整することにより運転状態を変更可能である。
【0024】
この空気調和機では、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制しつつ、簡易な制御で、実際に要したエネルギー消費に関する項目の積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【0025】
第11の発明に係る空気調和機は、第1〜10の発明のいずれかの発明に係る空気調和機であって、前記制御手段は、吹出し口から室内に送風される風向きのみを調整することにより運転状態を変更可能である。
【0026】
この空気調和機では、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制しつつ、簡易な制御で、実際に要したエネルギー消費に関する項目の積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【0027】
第12の発明に係る空気調和機は、第1〜11の発明のいずれかの発明に係る空気調和機であって、前記制御手段は、前記積算値の前記目標値に対する割合が所定割合に達した場合に、消費電力を減少させるように運転状態を変更する。
【0028】
この空気調和機では、実際に要したエネルギー消費に関する項目の積算値が目標値を大幅に上回るのを、簡易な制御で、確実に防止することができる。
【0029】
第13の発明に係る空気調和機は、第1〜12の発明のいずれかの発明に係る空気調和機であって、前記制御手段は、前記積算値の前記目標値に対する割合が所定値だけ変化する度に、消費電力を減少させるように運転状態を変更する。
【0030】
この空気調和機では、実際に要したエネルギー消費に関する項目の積算値が目標値を大幅に上回るのを、簡易な制御で、確実に防止することができる。
【0031】
第14の発明に係る空気調和機は、第1〜13の発明のいずれかの発明に係る空気調和機であって、複数のモードのうちのいずれかのモードを設定可能であって、前記制御手段は、モード毎に互いに異なるように運転状態を変更する。
【0032】
この空気調和機では、複数のモードのそれぞれにおいて互いに異なるように運転状態が変更されるので、ユーザは、節約の度合に応じて複数のモードのいずれかを選択することができる。
【0033】
第15の発明に係る空気調和機は、第1〜14の発明のいずれかの発明に係る空気調和機であって、前記エネルギー消費に関する項目は、消費電力量、電気料金、CO2排出量、及び、低効率運転が行われる運転時間のいずれか一つである。
【0034】
この空気調和機では、所定期間内における、消費電力量、電気料金、CO2排出量、及び、低効率運転が行われる運転時間、のいずれかの項目についての積算値等に基づいて、運転状態が変更される。これにより、これらの積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【0035】
尚、上記発明に係る空気調和機において、エネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値に対する割合に関する情報を報知する報知手段とを備える構成としてもよい。この空気調和機では、所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値を設定しておくと、その所定期間内において実際に要したエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値に対する割合(消費割合)に関する情報が自動的に報知される。そのため、ユーザは、リモコンのスイッチを押す等の操作を行うことなく、前記消費割合を知ることができる。従って、ユーザは、前記消費割合の変化を把握することで、エネルギー消費に関する項目についての積算値が目標値を上回るのを抑制するために、空気調和機の使用を調整することが可能になる。また、前記消費割合に関する情報が自動的に報知されることにより省エネの意識が啓発されると共に、ユーザは、エネルギー消費に関する項目についての積算値を目標値以内におさめることで節約の達成感及び満足感を得ることができる。
【0036】
また、前記報知手段は、前記積算値の前記目標値に対する割合が所定割合に達した場合に、前記情報を報知するように構成してもよい。この空気調和機では、ユーザは、前記消費割合に関する情報が報知されるタイミングを適宜変更することができる。
【0037】
また、前記報知手段は、前記積算値の前記目標値に対する割合が所定値だけ変化する度に、前記情報を報知するように構成してもよい。この空気調和機では、ユーザは、前記消費割合の変化を確実に把握することができる。
【0038】
また、室内機と、前記室内機との間で信号の送受信可能なリモコンとを備える空気調和機において、前記報知手段は、前記室内機及び前記リモコンの少なくとも一方に設けられた表示部への表示により前記情報を報知するように構成してもよい。この空気調和機では、前記消費割合に関する情報が表示部への表示により報知されるので、ユーザは前記消費割合を容易に確認することができる。
【0039】
また、室内機と、前記室内機との間で信号の送受信可能なリモコンとを備える空気調和機において、前記報知手段は、前記室内機及び前記リモコンの少なくとも一方に設けられたスピーカからの音声により前記情報を報知するように構成してもよい。この空気調和機では、前記消費割合に関する情報がスピーカからの音声により報知されるので、ユーザは前記消費割合を確実に確認することができる。
【0040】
また、所定期間内において実際に要したエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値に対する割合(消費割合)に関する情報を、例えばリモコンから要求したときだけ、本体、あるいは、リモコンの表示部に表示する、または、本体、あるいは、リモコンに設けられたスピーカからの音声により報知するように構成してもよい。この空気調和機では、自動での報知をしないことにより就寝中の睡眠を妨げるなど、報知が使用上の弊害となる場合を回避することができ、必要時にはリモコンによる操作で情報を入手することが可能となる。
【発明の効果】
【0041】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0042】
第1〜2の発明では、所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値を設定しておくだけで、ユーザが気付かないうちに、実際に要した前記項目についての積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
更に、運転状態の変更は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が所定の範囲内となるように行われるので、運転状態が自動的に変更されたときに、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制できる。これにより、ユーザに大きな不快感を与えることを防ぎつつ、目標値を考慮した運転を行うことが可能になる。
【0043】
第3の発明では、簡易な構成で、実際に要したエネルギー消費に関する項目についての積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【0044】
第4の発明では、簡易な構成で、実際に要したエネルギー消費に関する項目についての積算値が目標値を大幅に下回るのを防止することができる。
【0045】
第5〜7の発明では、室内温度の設定温度のみを変更させる場合に比べて、運転状態の変更時にユーザが感じる不快感をより小さくすることができる。
【0046】
第8〜11の発明では、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制しつつ、簡易な制御で、実際に要したエネルギー消費に関する項目の積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【0047】
第12、13の発明では、実際に要したエネルギー消費に関する項目の積算値が目標値を大幅に上回るのを、簡易な制御で、確実に防止することができる。
【0048】
第14の発明では、ユーザは、節約の度合に応じて複数のモードのいずれかを選択することができる。
【0049】
第15の発明では、所定期間内における、消費電力量、電気料金、CO2排出量、及び、低効率運転が行われる運転時間、のいずれかの項目についての積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る空気調和機の第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る空気調和機の斜視図である。図2は、図1の室内機の部分拡大図である。図3は、図1のリモコンを示す図である。
【0051】
図1の空気調和機1は、室内の壁などに取り付けられる室内機2と、室外に設置される室外機(図示しない)と、ユーザが種々の操作を行うために室内機2との間で信号の送受信可能なリモコン10とを備えている。そして、室内機2の前面には、実際に消費した電気料金(エネルギー消費に関する項目)の積算値の目標値に対する割合(以下、電気料金の消費割合と記載する)をユーザに知らせるための表示部3及びスピーカ4が設けられている。
【0052】
表示部3は、図2に示すように、文字が表示される文字表示部3aと、複数のランプが配置されたランプ部3bとを有している。文字表示部3aは、電気料金の消費割合を文字でユーザに知らせるためのものである。また、ランプ部3bは、電気料金の消費割合が50%、60%、70%、80%、90%に到達した場合に点灯する複数のランプを有している。図2では、電気料金の消費割合が80%に到達した場合が図示されている。
【0053】
スピーカ4は、電気料金の消費割合を音声でユーザに知らせるためのものである。従って、例えば電気料金の消費割合が80%に到達した場合には、目標値の80%の電気料金を消費した旨がスピーカ4から報知される。ここで、スピーカ4からのお知らせは、電気料金の消費割合が大きくなるにつれて次第に強い表現になるようにしてもよいし、音量を大きくしてもよい。
【0054】
リモコン10は、図3に示すように、表示部11と、操作部12とを有している。表示部11には、ユーザが設定した設定温度を表示する設定温度表示部11aと、電気料金の消費割合を表示する電気料金表示部11bとが含まれる。電気料金表示部11bは、節約お知らせモード(節約モード)の設定内容と、電気料金の消費割合とを表示可能である。
【0055】
また、操作部12には、節約お知らせボタン13と、節約設定ボタン14とが含まれる。節約お知らせボタン13は、現在までの電気料金の消費割合を確認する場合に用いられる。つまり、ユーザが、節約お知らせボタン13を押すと、現在までの電気料金の消費割合がリモコン10の電気料金表示部11bに表示される。
【0056】
節約設定ボタン14は、節約お知らせモードを設定する場合に用いられる。本実施の形態では、節約お知らせモードの設定には、「本気節約モード」と、「らくらく節約モード」との2つのモードがあり、節約設定ボタン14を押すたびに、「本気節約モード」及び「らくらく節約モード」のいずれかに切り換わる。また、節約設定ボタン14を長押しすることで、節約お知らせモードの設定を解除可能である。
【0057】
次に、本実施の形態の空気調和機1の制御ユニットの構成について、図4を参照して説明する。図4は、図1の空気調和機の制御ユニットの構成を示すブロック図である。制御ユニット30は、節約モード記憶部31と、目標値記憶部32と、電気料金算出部33と、制御部34とを有している。また、制御ユニット30には、室内機2の表示部3及びスピーカ4と、リモコン10の表示部11及び操作部12とがそれぞれ接続されている。
【0058】
節約モード記憶部31は、空気調和機1における節約モードに関する種々の設定を記憶するものである。節約モード記憶部31に記憶される設定には、ユーザが設定可能な複数の節約モードにおける詳細な設定が含まれる。本実施の形態では、上述したように、節約モードの設定には、「本気節約モード」と、「らくらく節約モード」との2つのモードがあるので、それらのモードにおける詳細な設定が記憶される。
【0059】
各節約モードにおける詳細な設定には、電気料金の目標値の期間の設定と、電気料金の消費割合のユーザへのお知らせが開始される割合(例えば50%)の設定と、ユーザへのお知らせが開始された後において上記割合がどれくらい増加する度にお知らせを行うかを示す増加幅(例えば10%)の設定と、上記割合に応じて空気調和機1の運転状態を変更する場合の設定温度の温度幅の設定とが含まれる。
【0060】
本実施の形態では、電気料金の目標値の期間の設定としては、1年間、1ヶ月間、1週間、1日などの設定が可能であって、ユーザによって選択された期間が記憶される。従って、空気調和機1では、節約モード記憶部31に記憶された所定期間において実際に消費した電気料金の積算値が算出され、その積算値の上記の所定期間の目標値に対する消費割合がユーザに知らされる。
【0061】
また、設定温度の温度幅の設定としては、「本気節約モード」においては第1温度幅(例えば1℃)が設定され、「らくらく節約モード」においては第2温度幅(例えば0.5℃)が設定されている。このように、設定温度の温度幅はモード毎にそれぞれ設定される。
【0062】
目標値記憶部32は、ユーザによって設定された各期間ごとの電気料金の目標値を記憶する。第1実施形態では、ユーザは、空気調和機1の取扱説明書に記載された例えば地域別の目安表等を参考にし、1年間のトータル電気料金の目標値を設定すると、月、週、日ごとの目標値が自動的に計算されるようになっている。そのため、目標値記憶部32は、1年間、1ヶ月間、1週間、1日ごとの目標値を記憶している。
【0063】
電気料金算出部33は、空気調和機1での消費電力に基づいて電気料金の積算値を算出する。そして、ユーザに知らせる電気料金の消費割合は、電気料金算出部33で算出された電気料金の積算値と、目標値記憶部32に記憶された各期間の目標値とに基づくものである。
【0064】
制御部34は、空気調和機1の各部の動作などを制御するものである。従って、制御部34は、室内機2の表示部3に表示される内容、スピーカ4から報知される内容、及び、リモコン10の表示部11に表示される内容等を制御可能である。
【0065】
次に、第1実施形態の空気調和機1の動作手順について、図5を参照して説明する。図5は、第1実施形態の空気調和機の動作手順を示すフローチャートを示す図である。
【0066】
まず、ユーザによって電気料金の目標値が設定される(ステップS1)。ここでは、1年間のトータル電気料金の目標値が設定されることで、月、週、日ごとの目標値が自動的に算出され、目標値記憶部32に記憶される。
【0067】
月、週、日ごとの目標値の算出方法としては、例えば、以下に示す(1)単純分割方法、または、(2)トレンド推測方法等を用いることができる。
【0068】
(1)単純分割方法
1年間の電気料金の目標値をMyとすると、日の目標値Mdは、Md=My/365として算出される。また、週の目標値Mwは、Mw=Pd×7として算出される。また、月の目標値Mmは、Mm=My/12として算出される。
【0069】
(2)トレンド推測方法
今後1年間の電気料金の目標値をMy、過去1年間に消費した電気料金をMa、過去1年間における各月に消費した電気料金をM(x)、今後各月の目標値Mm(x)とする。
即ち、過去1年における1月の電気料金をM(1)、2月の電気料金をM(2)、・・・、12月の電気料金をM(12)とし、今後1年間における1月の目標値をMm(1)、2月の目標値をMm(2)、・・・、12月の目標値をMm(12)とする。
このとき各月の目標値Mm(x)は、
Mm(x)=My×{M(x)/Ma}
として算出される。
この場合、例えば、過去1年間において、2月及び8月の電気料金(M(2)及びM(8))が、他の月の電気料金よりも高い場合は、目標値の設定において、2月の電気料金の目標値Mm(2)、及び、8月の電気料金の目標値Mm(8)は、他の月の電気料金の目標値よりも高く設定されることになる。
【0070】
各月における、日の目標値Md(x)は、月の目標値Mm(x)に基づいて、
Md(x)=Mm(x)/{その月の日数}
として、単純分割して算出することができる。
また、週の目標値Mw(x)は、
Mw(x)=Md(x)×7
として算出することができる。
【0071】
尚、各月における、週の目標値Mw(x)についても、各月の目標値Mm(x)の算出方法と同様にして、過去の電気料金のデータを参考に、1ヶ月における各週の電気料金のトレンドに合わせて、目標値を各週によって異なるように算出することもできる。
【0072】
また、日の目標値Md(x)についても、同様にして、過去の電気料金のデータを参考に、1週間における曜日毎の電気料金のトレンドに合わせて、目標値を曜日毎に異なるように算出することもできる。例えば、過去の電気料金のデータにおいて、土曜日、日曜日の電気料金が、平日の電気料金よりも高い場合は、目標値の設定において、土曜日、日曜日の電気料金の目標値を、平日の電気料金の目標値よりも高く設定してもよい。
【0073】
上述のように、月、週、日ごとの目標値が算出された後、ユーザによって現在までの電気料金の消費割合を確認するか否か(節約お知らせボタン13が押されたか否か)を判断する(ステップS2)。ここで、ユーザが現在までの電気料金の消費割合を確認する場合(S2:YES)には、現在までの電気料金の消費割合がユーザに知らされる(ステップS3)。このとき、節約お知らせボタン13が押される度に、今日、今日までの1週間、今日までの1ヶ月間、今日までの1年間の目標値に対する電気料金の消費割合がユーザに知らされる。また、本実施の形態において電気料金の消費割合がユーザに知らされる場合には、室内機2の表示部3での表示、スピーカ4からの報知及びリモコン10の表示部11への表示の全てが行われ、以下の説明においても同様である。
【0074】
次に、ユーザによって節約モードの設定が行われる(ステップS4)。つまり、ユーザは、「本気節約モード」及び「らくらく節約モード」のいずれかを選択すると共に、電気料金の目標値の期間を1年間、1ヶ月間、1週間、1日のいずれかを選択する。従って、ユーザに知らせる電気料金の消費割合は、ユーザによって選択された電気料金の目標値の期間に基づくものである。
【0075】
そして、「本気節約モード」が設定されたか否かが判断される(ステップS5)。ここで、「本気節約モード」が設定された場合(S5:YES)には、電気料金の消費割合が目標値の50%に到達したか否かが繰り返し判断される(ステップS6)。そして、電気料金の消費割合が目標値の50%に到達した場合(S6:YES)には、電気料金の消費割合がユーザに知らされる(ステップS7)。
【0076】
その後、定数Nが0に設定され(ステップS8)、電気料金の消費割合が目標値の60+N%に到達したか否かが繰り返し判断される(ステップS9)。ここでは、定数Nは0に設定されているので、電気料金の消費割合が目標値の60%に到達したか否かが繰り返し判断される。そして、電気料金の消費割合が目標値の60%に到達した場合(S9:YES)には、電気料金の消費割合がユーザに知らされる(ステップS10)。
【0077】
このとき、空気調和機1における室内温度の設定温度が第1温度幅(1℃)だけ変更されるとともに吹出し風量が変更される(ステップS11)。吹出し風量は、図6及び図7に示す室温と風量とPMV値との関係表に基づいて変更される。尚、当該関係表は、節約モード記憶部31に予め記憶されている。
【0078】
(PMVについて)
本実施形態においては、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの指標としてPMVを用いている。以下、PMVについて簡単に説明する。
人間の快適性を考えて、適正な室内温熱環境を確保するにあたっては、暑さ、寒さに対する人間の温熱感覚を考慮することが重要である。これに影響を与える変数として、(1)空気温度、(2)相対湿度、(3)平均輻射温度、(4)気流速度、(5)活動量(人体の内部発熱量)、(6)着衣量などがある。
人の発熱量は対流による放射量、輻射による放熱量、人からの蒸発熱量、呼吸による放熱量および蓄熱量の合計で、これらの熱平衡式が成立している場合は、人体が熱的に中立であり、暑くも寒くもない快適状態である。逆に熱平衡式がくずれた場合に人体は暑さ寒さを感じる。デンマーク工科大学のFanger教授は1967年に快適方程式の導出を発表し、これを出発点として人体の熱負荷と人間の温冷感を、欧米人の多数の被験者のアンケートから統計分析して結び付け、PMV( Predicted Mean Vote:予測平均回答)を提案した。温冷感の指標となるPMVは、上記(1)〜(6)の変数に基づいて算出される数値であり、次の7段階評価尺度による数値である。
+3:暑い
+2:暖かい
+1:やや暖かい
0:どちらでもない、快適
−1:やや涼しい
−2:涼しい
−3:寒い
(空気調和・衛生工学会(編):空気調和・衛生工学便覧 I巻 第1編・第3章”参照)
【0079】
図6は、夏場を想定した室温と風量とPMV値との関係表を示す図である。また、図7は、冬場を想定した室温と風量とPMV値との関係表を示す図である。尚、輻射温度、相対湿度、活動量については、図6、図7ともに、輻射温度は室温とし、相対湿度50%、活動量1.1metとして、PMV値を算出している。着衣量については、夏場を想定した図6の関係表においては、0.4cloとして、冬場を想定した図7の関係表においては、1.0cloとしてPMV値を算出している。また、図6、図7における、表右上の網掛け部分は風量5m/s以上の領域を示し、表左下の網掛け部分は、風量0m/sの領域を示す。
【0080】
ステップS11において、空気調和機1が冷房運転中である場合においては、図6に示す関係表が参照される。そして、例えば、設定温度27℃、風量0.25m/sで運転されている場合は、設定温度が、第1温度幅(1℃)だけ上昇されて、28℃に変更されるとともに、風量が0.65m/sに変更される(図6において、C1で示す運転状態からC2で示す運転状態に変更される)。即ち、設定温度が第1温度幅だけ上昇しても、PMV値が変動しないように風量が変更される。
【0081】
また、例えば、設定温度28℃、風量1.6m/sで運転されている場合(図6においてC3で示す運転状態の場合)は、設定温度が29℃に上昇する。このとき、PMV値が変動しないようにするためには、風量は5.6m/sに上昇させる必要がある。ここで、例えば、空気調和機1において最大風速が5.0m/sまでに制限されているような場合は、PMV値の変動が所定の範囲内となるような空気調和機1にて許容される風量に変更される。例えば、PMV値の変動が、0.25以内となるような風量に変更される。この場合、風量は、3.6m/sに変更される(図6において、C3で示す運転状態からC4で示す運転状態に変更される)。
【0082】
一方、ステップS11において、空気調和機1が暖房運転中である場合においては、図7に示す関係表が参照される。そして、例えば、設定温度25℃、風量1.7m/sで運転されている場合は、設定温度が、第1温度幅(1℃)だけ低下されて、24℃に変更されるとともに、風量が0.49m/sに変更される(図7において、H1で示す運転状態からH2で示す運転状態に変更される)。即ち、設定温度が第1温度幅だけ低下しても、PMV値が変動しないように風量が変更される。
【0083】
また、例えば、設定温度23℃、風量0.18m/sで運転されている場合は、設定温度が22℃に低下する。このとき、図7に示すように、少なくとも0m/sよりも大きい風量を保ちつつ、PMV値が変動しないようにすることはできない。このような場合は、PMV値の変動が、所定の範囲内となるような風量に変更される。例えば、PMV値の変動が、0.25以内となるような風量に変更される。この場合、風量は、0.17m/sに変更される(図7において、H3で示す運転状態からH4で示す運転状態に変更される)。
【0084】
尚、本実施形態においては、風量の変動による消費電力の変動は、設定温度の変動による消費電力の変動に比べて小さく、上述のように風量を増加させる場合においても、冷房運転時においては、設定温度を0.5℃上昇させることで、空気調和機1の消費電力を低下させることができる。また、暖房運転時においては、設定温度を0.5℃低下させることで、空気調和機1の消費電力を低下させることができる。
【0085】
上述のように、運転状態が変更された後、電気料金の消費割合が目標値の100%に到達したか否かが判断される(ステップS12)。ここで、電気料金の消費割合が目標値の100%に到達した場合(S12:YES)には、電気料金の消費割合がユーザに知らされる(ステップS14)。その後、「本気節約モード」においては、空気調和機1の運転が停止される(ステップS15)。
【0086】
一方、目標値の100%に到達していない場合(S12:NO)には、定数NがN+10に変更され(ステップS13)、ステップS9に戻って同様の処理が繰り返される。つまり、定数Nは10ごとに変更されるので、次は、電気料金の消費割合が目標値の70%に到達したか否かが繰り返し判断され、その後、目標値の80%、90%に到達したか否かが順に判断されることになる。
【0087】
ところで、「らくらく節約モード」が設定された場合つまり「本気節約モード」が設定されなかった場合(S5:NO)にも同様に、電気料金の消費割合が目標値の50%に到達したか否かが繰り返し判断される(ステップS16)。そして、電気料金の消費割合が目標値の50%に到達した場合(S16:YES)には、その旨がユーザに知らされる(ステップS17)。
【0088】
その後、定数Nが0に設定され(ステップS18)、電気料金の消費割合が目標値の60+N%に到達したか否かが繰り返し判断される(ステップS19)。ここでは、定数Nは0に設定されているので、電気料金の消費割合が目標値の60%に到達したか否かが繰り返し判断される。そして、電気料金の消費割合が目標値の60%に到達した場合(S19:YES)には、その旨がユーザに知らされる(ステップS20)。
【0089】
また、このとき、空気調和機1における室内温度の設定温度が第2温度幅(0.5℃)だけ変更されるとともに吹出し風量が変更される(ステップS21)。
ここで、空気調和機1が冷房運転中である場合においては、設定温度は、第2温度幅だけ上昇される。そして、風量は、「本気節約モード」で説明したのと同様に、図6に示す関係表が参照され、設定温度の上昇とともにPMV値が変動しないように、または、PMV値の変動が0.25以内となるように変更される。
【0090】
一方、空気調和機1が暖房運転中である場合においては、設定温度は、第2温度幅だけ低下される。そして、風量は、「本気節約モード」で説明したのと同様に、図7に示す関係表が参照され、設定温度の低下とともにPMV値が変動しないように、または、PMV値の変動が0.25以内となるように変更される。
【0091】
その後、電気料金の消費割合が目標値の100%に到達したか否かが判断される(ステップS22)。
【0092】
ここで、電気料金の消費割合が目標値の100%に到達した場合(S22:YES)には、電気料金の消費割合がユーザに知らされる(ステップS24)。また、このとき、空気調和機1における室内温度の設定温度が第2温度幅だけ変更される(ステップS25)。その後、電気料金の消費割合のお知らせと設定温度の変更とが交互に繰り返される。
【0093】
一方、目標値の100%に到達していない場合(S22:NO)には、定数NがN+10に変更され(ステップS23)、ステップS19に戻って同様の処理が繰り返される。つまり、定数Nは10ごとに変更されるので、次は、目標値の70%に到達したか否かが繰り返し判断され、その後、目標値の80%、90%に到達したか否かが順に判断されることになる。
【0094】
本実施の形態では、例えば1日の目標値に対する電気料金の消費割合がユーザに知らされる場合において、ある1日における電気料金の積算値が1日の目標値よりも小さいときには、そのときの電気料金の積算値と目標値との差が次の日に繰り越されてもよい。つまり、この場合には、前日の電気料金の積算値と目標値との差が次の日の目標値に加算されるので、次の日においては、前日の電気料金の積算値と目標値との差が加算された目標値に対する消費割合がユーザに知らされることになる。
【0095】
以上説明したように、第1実施形態に係る空気調和機1は、所定期間内における電気料金の目標値を記憶する目標値記憶部32と、前記所定期間の開始時から実際に要した電気料金の積算値を算出する電気料金算出部33と、前記積算値の前記目標値に対する割合に基づいて運転状態を変更する制御部34とを備えている。そして、制御部34は、PMV値の変動が0.25以内となるように運転状態を変更する。
【0096】
この空気調和機1では、所定期間内における電気料金の目標値を設定しておくと、その所定期間の開始時から実際に要した電気料金の積算値の目標値に対する割合に基づいて、空気調和機1の運転状態が自動的に変更される。従って、電気料金の目標値を設定しておくだけで、ユーザが気付かないうちに、実際に要した電気料金の積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【0097】
更に、運転状態の変更は、PMV値の変動が0.25以内となるように行われるので、運転状態が自動的に変更されたときに、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制できる。これにより、ユーザに大きな不快感を与えることを防ぎつつ、目標値を考慮した運転を行うことが可能になる。尚、PMV値の変動が0.25以内となるように運転状態の変更が行われる場合に限らず、適宜、許容されるPMV値の変動量を変更して実施することができる。
【0098】
また、空気調和機1は、冷房運転時において、室内温度の設定温度を上昇させるとともに、吹出し口から室内に送風される風量を調整可能である。また、暖房運転時において、室内温度の設定温度を低下させるとともに、吹出し口から室内に送風される風量を調整可能である。
【0099】
この空気調和機では、室内温度の設定温度の変更に伴って、風量を変更することで、室内温度の設定温度のみを変更させる場合に比べて、PMV値の変動を小さくすることが可能になる。これにより、運転状態の変更時にユーザが感じる不快感をより小さくすることができる。
【0100】
また、空気調和機1は、冷房運転時において、室内温度の設定温度を上昇させるとともに吹出し口から室内に送風される風量を上昇させることにより運転状態を変更可能である。また、暖房運転時において、室内温度の設定温度を低下させるとともに前記風量を低下させることにより運転状態を変更可能である。
【0101】
この空気調和機1では、冷房運転時においては、室内温度の設定温度を上昇させることで、消費電力を低下させることができるとともに、吹出し口から室内に送風される風量を上昇させることにより、設定温度の上昇によりユーザに与える不快感を減少させることができる。また、暖房運転時においては、室内温度の設定温度を低下させることで、消費電力を低下させることができるとともに、吹出し口から室内に送風される風量を低下させることにより、設定温度の低下によりユーザに与える不快感を減少させることができる。これにより、簡易な制御で、運転状態の変更時にユーザが感じる不快感をより小さくすることができる。特に、設定温度とともに風量を変更することにより、設定温度を変更しても、PMV値を全く変動させないように制御することもできるため有効である。
【0102】
また、空気調和機1は、電気料金の積算値の目標値に対する割合が60%に達した場合に、運転状態を変更する。これにより、実際に要した電気料金が目標値を大幅に上回るのを、簡易な制御で、確実に防止することができる。また、ユーザは、電気料金の積算値の目標値に対する割合が60%に達するまでは、空気調和機の運転状態が自動的に変更されないようにすることができる。また、ユーザは、設定を変更することで、空気調和機の運転状態が変更されるタイミングを適宜変更することができる。
【0103】
また、空気調和機1は、電気料金の積算値の目標値に対する割合が60%に達してから、10%増加する度に、運転状態を変更する。これにより、実際に要した電気料金の積算値が目標値を大幅に上回るのを確実に防止することができる。また、ユーザは、設定を変更することで、空気調和機の運転状態が変更されるタイミングを適宜変更することができる。
【0104】
また、空気調和機1は、「本気節約モード」と「らくらく節約モード」とのいずれかのモードを設定可能であって、制御部34は、モード毎に互いに異なる温度ずつ室内温度の設定温度を上昇または低下させる。これにより、「本気節約モード」と「らくらく節約モード」とのそれぞれにおいて互いに異なる温度ずつ設定温度を変更されるので、ユーザは、節約の度合に応じて「本気節約モード」と「らくらく節約モード」とのいずれかを選択することができる。
【0105】
また、空気調和機1では、所定期間内における電気料金の目標値を設定しておくと、その所定期間内における電気料金の消費割合に関する情報が自動的に報知される。そのため、ユーザは、リモコンのスイッチを押す等の操作を行うことなく、電気料金の消費割合を知ることができる。従って、ユーザは、現在までに消費した電気料金の変化を把握することで、電気料金が目標値を上回るのを抑制するために、空気調和機1の使用を調整することが可能になる。また、電気料金の消費割合に関する情報が自動的に報知されることにより省エネの意識が啓発されると共に、ユーザは電気料金を目標値以内におさめることで節約の達成感及び満足感を得ることができる。
【0106】
尚、上述の実施の形態では、電気料金の消費割合がユーザに知らされる場合には、室内機2の表示部3での表示、スピーカ4からの報知及びリモコン10の表示部11への表示の全てが行われるが、それらのいずれかだけが行われてもよい。
【0107】
また、上述の実施の形態では、電気料金の積算値が算出され、その積算値の電気料金の目標値に対する消費割合がユーザに知らされるが、消費電力量の積算値が算出され、その積算値の目標値に対する消費割合がユーザに知らされてもよい。
【0108】
また、上述の実施形態では、室内温度の設定温度を上昇または低下させるとともに、室内機2の吹出し口から室内に送風される風量を調整しているが、この場合に限定されない。例えば、風量の調整を行わずに、室内機2の吹出し口から送風される風向きを調整することにより運転状態を変更可能してもよい。具体的には、冷房運転時において、設定温度を上昇させたときに、吹出し口から送風される風が、室内のユーザに直接あたり易いように、より下方に送風されるように風向きを変更する構成であってもよい。また、暖房運転時において、設定温度を低下させたときに、吹出し口から送風される風が、室内のユーザに直接あたりにくいように、より上方に送風されるように風向きを変更する構成であってもよい。
また、風量調整と、風向きの調整とが同時に行われる構成であってもよい。
【0109】
また、空気調和機に、設定湿度に基づいて室内の湿度を調整する湿度調整手段を設け、室内温度の設定温度を上昇させるとともに設定湿度を低下させ、または、室内温度の設定温度を低下させるとともに設定湿度を上昇させることにより運転状態を変更するように構成してもよい。具体的には、室内の空気を吸込んで除湿可能な除湿ユニット、及び/又は、室内に加湿空気を送風可能な加湿ユニットを空気調和機に設けて湿度調整手段を構成することができる。
【0110】
この空気調和機では、冷房運転時においては、室内温度の設定温度を上昇させるとともに設定湿度を低下させた場合、室内温度の設定温度を上昇させることによる消費電力の低下量に比べ、設定湿度を低下させることによる消費電力の増加量が小さければ、全体として消費電力を低下できる。この場合、設定湿度を低下させているので、単に設定温度のみを上昇させた場合に比べて、快適性レベルが低下することを抑制できる。
【0111】
また、暖房運転時においては、室内温度の設定温度を低下させるとともに設定湿度を上昇させた場合、室内温度の設定温度を低下させることによる消費電力の低下量に比べ、設定湿度を上昇させることによる消費電力の増加量が小さければ、全体として消費電力を低下できる。この場合、設定湿度を上昇させているので、設定温度のみを低下させた場合に比べて、快適性レベルが低下することを抑制できる。
【0112】
また、上述の設定温度の変更に伴う湿度調整、風量調整、風向き調整を適宜組み合わせた構成としてもよい。
【0113】
また、PMV値の変動が所定の範囲内になるように、設定温度のみの調整、設定湿度のみの調整、風量のみの調整、風向きのみの調整により、運転状態を変更してもよい。
【0114】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図8は、本発明の第2実施形態の空気調和機の制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【0115】
本実施の形態の空気調和機が第1実施形態の空気調和機1と主に異なる点は、第1実施形態では、電気料金の積算値が算出され、その積算値の電気料金の目標値に対する消費割合に基づいて運転状態が変更されるが、第2実施形態では、エネルギー消費量に基づいてCO2排出量の積算値が導出され、そのCO2排出量の積算値の目標値に対する消費割合に基づいて運転状態が変更される点である。本実施の形態の空気調和機の構成において、第1実施形態の空気調和機1と同様の構成については、同一の符号を付けて詳細な説明は省略する。
【0116】
制御ユニット130は、節約モード記憶部131と、目標値記憶部132と、CO2排出量算出部133と、制御部34とを有している。また、制御ユニット130には、室内機2の表示部3及びスピーカ4と、リモコン10の表示部11及び操作部12とがそれぞれ接続されている。尚、第1実施形態における電気料金表示部11bの代わりにCO2排出量の積算値を表示するCO2排出量表示部111bを有する。
【0117】
節約モード記憶部131は、空気調和機における節約モードに関する種々の設定を記憶するものである。節約モード記憶部131に記憶される設定には、「本気節約モード」と、「らくらく節約モード」との2つのモードがあり、各節約モードにおける詳細な設定には、CO2排出量の目標値の期間の設定と、CO2排出量の消費割合のユーザへのお知らせが開始される割合(例えば50%)の設定と、ユーザへのお知らせが開始された後において上記割合がどれくらい増加する度にお知らせを行うかを示す増加幅(例えば10%)の設定と、上記割合に応じて空気調和機の運転状態を変更する場合の設定温度の温度幅の設定とが含まれる。
【0118】
目標値記憶部132は、ユーザによって設定された各期間ごとのCO2排出量の目標値を記憶する。本実施の形態では、ユーザは、目標値記憶部132に対し、1年間、1ヶ月間、1週間、1日ごとの目標値を設定することができる。
【0119】
CO2排出量算出部133は、空気調和機での消費電力に基づいてCO2排出量の積算値を算出する。ここで、CO2排出量算出部133では、次式に基づいて、CO2排出量の積算値が算出される。
CO2排出量=消費電力量×CO2原単位
(但し、CO2原単位は、0.533 kg・CO2/kWh)
【0120】
本実施の形態では、ユーザに知らせるCO2排出量の消費割合は、CO2排出量算出部133で算出されたCO2排出量の積算値と、目標値記憶部132に記憶された各期間の目標値とに基づくものである。
【0121】
次に、本実施の形態の空気調和機の動作手順は、電気料金の目標値の代わりにCO2排出量の目標値が設定されることと、電気料金の消費割合の代わりにCO2排出量の消費割合が知らされること以外は、第1実施形態の空気調和機1の動作手順と同様である。
【0122】
以上説明したように、本実施の形態の空気調和機では、所定期間内におけるCO2排出量の目標値を設定しておくと、その所定期間内におけるCO2排出量の消費割合に基づいて運転状態が自動的に変更される。そのため、所定期間内におけるCO2排出量の目標値を設定しておくだけで、ユーザが気付かないうちに、実際に要したCO2排出量の積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
更に、運転状態の変更は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が所定の範囲内となるように行われるので、運転状態が自動的に変更されたときに、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制できる。これにより、ユーザに大きな不快感を与えることを防ぎつつ、目標値を考慮した運転を行うことが可能になる。
【0123】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図9は、本発明の第3実施形態の空気調和機の制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【0124】
本実施の形態の空気調和機が第1実施形態の空気調和機1と主に異なる点は、第1実施形態では、電気料金の積算値が算出され、その積算値の電気料金の目標値に対する消費割合に基づいて運転状態が変更されるが、本実施の形態では、空気調和機において低効率運転が行われる運転時間が計測され、その低効率運転時間の積算値の目標値に対する消費割合に基づいて運転状態が変更される点である。本実施の形態の空気調和機の構成において、第1実施形態の空気調和機1と同様の構成については、同一の符号を付けて詳細な説明は省略する。
【0125】
制御ユニット230は、節約モード記憶部231と、目標値記憶部232と、低効率運転時間算出部233と、制御部34とを有している。また、制御ユニット230には、室内機2の表示部3及びスピーカ4と、リモコン10の表示部11及び操作部12とがそれぞれ接続されている。尚、第1実施形態における電気料金表示部11bの代わりに低効率運転時間の積算値を表示する低効率運転時間表示部211bを有する。
【0126】
節約モード記憶部231は、空気調和機における節約モードに関する種々の設定を記憶するものである。節約モード記憶部231に記憶される設定には、「本気節約モード」と、「らくらく節約モード」との2つのモードがあり、各節約モードにおける詳細な設定には、低効率運転時間の目標値の期間の設定と、低効率運転時間の消費割合のユーザへのお知らせが開始される割合(例えば50%)の設定と、ユーザへのお知らせが開始された後において上記割合がどれくらい増加する度にお知らせを行うかを示す増加幅(例えば10%)の設定と、上記割合に応じて空気調和機の運転状態を変更する場合の設定温度の温度幅の設定とが含まれる。
【0127】
目標値記憶部232は、ユーザによって設定された各期間ごとの低効率運転時間の目標値を記憶する。本実施の形態では、ユーザは、目標値記憶部232に対し、1年間、1ヶ月間、1週間、1日ごとの目標値を設定することができる。
【0128】
低効率運転時間算出部233は、空気調和機において低効率運転が行われる時間を計測(算出)する。そして、ユーザに知らせる低効率運転時間の消費割合は、低効率運転時間算出部233で算出された低効率運転時間の積算値と、目標値記憶部232に記憶された各期間の目標値とに基づくものである。ここで、低効率運転とは、外気温度などに応じた最も効率のよい運転(省エネ運転)より効率が低い状態での運転であって、例えば運転周波数が高い、風量設定が低い状態等での運転などが設定される。
【0129】
ここで、本実施の形態において、低効率運転時間算出部233において計測が行われる手順について、図10を参照して説明する。図10は、低効率運転時間算出部において計測が行われる手順を示すフローチャートを示す図である。
【0130】
まず、空気調和機の圧縮機の運転周波数が所定の運転周波数以上(例えば60Hz以上)か否かが判断される(ステップS31)。ここで、圧縮機の運転周波数が所定の運転周波数以上である場合(S31:YES)には、冷房運転が行われているか否かが判断される(ステップS32)。ここで、冷房運転が行われている場合(S32:YES)には、外気温度が第1の所定温度以上(例えば35℃以上)であり且つ室内温度が第2の所定温度以下(例えば27℃以下)であるか否かが判断される(ステップS33)。ここで、外気温度が第1の所定温度以上であり且つ室内温度が第2の所定温度以下である場合(S33:YES)には、室内機の風量が所定量以下(例えばLタップ以下)か否かが判断される(ステップS34)。ここで、室内機の風量が所定量以下である場合(S34:YES)には、空気調和機の運転状態が低効率運転であると判断され、低効率運転時間の計測が行われる(ステップS35)。
【0131】
また、ステップS34において、冷房運転時の室内機の風量が所定量以下でない場合(S34:NO)には、室内機のフラップのスイング動作が行われていないか否かが判断される(ステップS37)。ここで、室内機のフラップのスイング動作が行われていない場合(S37:YES)には、空気調和機の運転状態が低効率運転であると判断され、低効率運転時間の計測が行われる(ステップS35)。
【0132】
一方、ステップS32において、冷房運転が行われていない場合つまり暖房運転が行われている場合(S32:NO)には、外気温度が第3の所定温度以下(例えば7℃以下)であり且つ室内温度が第4の所定温度以上(例えば25℃以上)であるか否かが判断される(ステップS36)。ここで、外気温度が第3の所定温度以下であり且つ室内温度が第4の所定温度以上である場合(S36:YES)には、室内機の風量が所定量以下(例えばLタップ以下)か否かが判断される(ステップS34)。ここで、室内機の風量が所定量以下である場合(S34:YES)には、空気調和機の運転状態が低効率運転であると判断され、低効率運転時間の計測が行われる(ステップS35)。
【0133】
また、ステップS34において、暖房運転時の室内機の風量が所定量以下でない場合(S34:NO)には、室内機のフラップのスイング動作が行われていないか否かが判断される(ステップS37)。ここで、室内機のフラップのスイング動作が行われていない場合(S37:YES)には、空気調和機の運転状態が低効率運転であると判断され、低効率運転時間の計測が行われる(ステップS35)。
【0134】
ところで、ステップS33において、外気温度が第1の所定温度以上であり且つ室内温度が第2の所定温度以下でない場合(S33:NO)や、ステップS36において、外気温度が第3の所定温度以下であり且つ室内温度が第4の所定温度以上でない場合(S36:NO)や、ステップS37において、室内機のフラップのスイング動作が行われている場合(S37:NO)には、空気調和機の運転状態が低効率運転でないと判断され、低効率運転時間の計測が終了する(ステップS38)。
【0135】
上記のステップS35及びステップS38の後は、ステップS31に戻って、上記と同様の手順が繰り返される。
【0136】
次に、本実施の形態の空気調和機の動作手順は、電気料金の目標値の代わりに低効率運転時間の目標値が設定されることと、電気料金の消費割合の代わりに低効率運転時間の消費割合に基づいて運転状態が変更されること以外は、第1の実施の形態の空気調和機1の動作手順と同様である。
【0137】
以上説明したように、本実施の形態の空気調和機では、所定期間内における低効率運転時間の目標値を設定しておくと、その所定期間内における低効率運転時間の消費割合に基づいて運転状態が自動的に変更される。そのため、所定期間内における低効率運転時間の目標値を設定しておくだけで、ユーザが気付かないうちに、実際に要した低効率運転時間の積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
更に、運転状態の変更は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が所定の範囲内となるように行われるので、運転状態が自動的に変更されたときに、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制できる。これにより、ユーザに大きな不快感を与えることを防ぎつつ、目標値を考慮した運転を行うことが可能になる変更される。
【0138】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図11は、本発明の第4実施形態の空気調和機の制御ユニットの構成を示すブロック図である。図12は、第4実施形態の空気調和機の動作手順を示すフローチャートを示す図である。
【0139】
第4実施形態においては、第1実施形態における電気料金算出部33の代わりに、所定期間の開始時から実際に要した消費電力量の積算値(消費電力量W)を算出する算出手段として消費電力量算出部333を備え、電気料金表示部11bの代わりに消費電力量の積算値を表示する消費電力量表示部311bを備えている。その他、動作手順以外の構成は、第1実施形態と同様であるため、同一部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0140】
制御ユニット330は、節約モード記憶部331と、目標値記憶部332と、消費電力量算出部333と、制御部34とを有している。また、制御ユニット330には、室内機2の表示部3及びスピーカ4と、リモコン10の表示部11及び操作部12とがそれぞれ接続されている。
【0141】
節約モード記憶部331は、空気調和機における節約モードに関する種々の設定を記憶するものである。節約モード記憶部331に記憶される設定には、「本気節約モード」と、「らくらく節約モード」との2つのモードがあり、各節約モードにおける詳細な設定には、消費電力量の目標値の期間の設定と、消費電力量の消費割合に応じて空気調和機の運転状態を変更する場合の設定温度の温度幅の設定とが含まれる。
【0142】
目標値記憶部332は、ユーザによって設定された各期間ごとの消費電力量の目標値を記憶する。本実施の形態では、ユーザは、目標値記憶部332に対し、1年間、1ヶ月間、1週間、1日ごとの目標値を設定することができる。
【0143】
消費電力量算出部333は、空気調和機の消費電力及び運転時間に基づいて消費電力量の積算値を算出する。
【0144】
第4実施形態においては、ユーザが1日の消費電力量の目標値Wdを設定して空気調和機を運転する場合について説明する。また、ユーザにより「本気節約モード」が選択されている場合について説明する。
【0145】
まず、ユーザによって消費電力量の目標値Wdが設定される(ステップS101)。ユーザが設定した1日の目標値Wdは、目標値記憶部332に記憶される。
【0146】
そして、定数Nが1に設定されるとともに、経過時間tの計測、及び、消費電力量Wの積算が開始される(ステップS102)。即ち、当該ステップS102においてtが0に設定されるとともに、当該ステップS102以降、tの値は当該ステップS102から時間が経過するにつれて増加していく。尚、本実施形態では、tの値の単位は「時間(hour)」である。また、当該ステップS102において消費電力量Wが0に設定されるとともに、当該ステップS102以降、空気調和機が運転されることにより、当該空気調和機の消費電力及び運転時間に基づいて、消費電力量Wの値が増加していく。
【0147】
次に、ステップS102にて経過時間の測定を開始した時刻(以下、測定開始時刻と称する)から、2×N時間経過したかが判断される(S103)。即ち、N=1であるので、測定開始時刻から、2時間経過したかが判断される。
【0148】
測定開始時刻から2×N時間が経過していない場合(S103:NO)は、2×N時間が経過するまで次のステップには進まない。
測定開始時刻から2×N時間が経過した場合(S103:YES)は、測定開始時刻から現在までに消費した電力量(消費電力量W)が、1日の目標値Wdと測定開始時刻から経過した時間tとに基づいて算出される変動目標値Wdtよりも大きいか否かを判断される(S104)。変動目標値Wdtは、1日の目標値をWd、測定開始時刻から経過した時間をt時間として、以下の式で表される。
Wdt=(Wd/24)×t
【0149】
そして、消費電力量Wが変動目標値Wdtよりも大きい場合(S104:YES)には、空気調和機における室内温度の設定温度が第1温度幅(1℃)だけ変更されるとともに吹出し風量が変更される(ステップS106)。尚、ステップS106における運転状態の変更方法は、第1実施形態におけるステップS11と同様であるため説明は省略する。
【0150】
一方、消費電力量Wが、変動目標値Wdt以下である場合(S104:NO)は、定数NがN+1に変更される(ステップS105)。そして、ステップS103に戻って同様の処理が繰り返される。
【0151】
ステップ106にて、運転状態が変更された場合は、その後、消費電力量Wが1日の目標値Wdに到達したか否かが判断される(ステップS107)。
消費電力量Wが1日の目標値Wdに到達した場合(S107:YES)には、空気調和機1の運転が停止される(ステップS108)。
一方、消費電力量Wが1日の目標値Wdに到達していない場合(S107:NO)には、測定開始時刻から24時間(1日)が経過したか否かが判断される(S109)。
【0152】
測定開始時刻から24時間が経過している場合(S109:YES)は、図12のフローチャートに基づく動作は終了する。
一方、測定開始時刻から24時間が経過していない場合(S109:NO)は、定数NがN+1に変更される(ステップS105)。そして、ステップS103に戻って同様の処理が繰り返される。
【0153】
以上説明したように、第4実施形態に係る空気調和機は、所定期間(1日)の消費電力量の目標値Wd及び変動目標値Wdtを記憶する目標値記憶部332と、前記所定期間の開始時(本実施形態においては、ステップS102におけるW=0の設定時)から実際に要した消費電力量の積算値である消費電力量W(エネルギー消費に関する項目についての積算値)を算出する消費電力量算出部333と、消費電力量Wの変動目標値Wdtに対する割合に基づいて運転状態を変更する制御部34とを備えている。そして、制御部34は、PMV値の変動が0.25以内となるように運転状態を変更する。
【0154】
この空気調和機では、1日の消費電力量の目標値Wdを設定しておくと、自動的に、経過時間により変動する目標値である変動目標値Wdtが算出される。そして、消費電力量Wの変動目標値Wdtに対する割合に基づいて、空気調和機の運転状態が自動的に変更される。従って、1日の消費電力量の目標値Wdを設定しておくだけで、ユーザが気付かないうちに、実際に要した消費電力量Wが目標値Wdを大幅に上回るのを防止することができる。
【0155】
尚、第4実施形態においては、変動目標値Wdtは、1日の目標値をWd、測定開始時刻から経過した時間をt時間として、以下の式で表されるがこの場合に限らない。
Wdt=(Wd/24)×t
【0156】
例えば、変動目標値Wdtを、時間の増加に対して対数関数的に増加するように、以下の式により算出される値とすることもできる。
Wdt=Wd×Log25(t+1)
この場合、1日における早い時間帯にユーザの設定した運転状態が変更されることを少なくすることができる。
【0157】
また、変動目標値Wdtを、時間の増加に対して指数関数的に増加するように、以下の式により算出される値とすることもできる。尚、以下の式における定数W0は、測定開始時刻において少なくとも許容される消費電力量に相当する定数であり、W0<Wdとなる定数である。
Wdt=W0+(Wd−W0)(t+1)/25
この場合、1日における遅い時間帯にユーザの設定した運転状態が変更されることを少なくすることができる。
【0158】
また、第4実施形態においては、2時間毎に、消費電力量Wが変動目標値Wdtよりも大きいか否かが判断されるが、この場合に限らず、1時間毎、3時間毎、4時間毎等、適宜変更して実施することができる。尚、このように、所定の時間毎に、運転状態を変更するか否かを判断する構成とすることで、運転状態が変更される時間間隔が過度に短くなることを抑制することができる。これにより、ユーザが感じる不快感をより抑制することができる。
【0159】
また、第4実施形態は、1日の目標値Wdをユーザが設定して、2時間毎に、消費電力量Wが変動目標値Wdtよりも大きいか否かが判断される構成であるが、この場合に限らない。
例えば、1週間の目標値Wwをユーザが設定して、当該設定された目標値Wwに基づいて、1日の目標値Wdを自動的に算出し、1日毎に、消費電力量Wが目標値Wdよりも大きいか否かを判断する構成であってもよい。そして、1日が終了した時に、その日の目標値Wdと実際に要したその日の消費電力量Wとの差に基づいて、その後の日々の目標値を算出しなおすことができる。尚、この場合においても、2時間毎に、消費電力量Wが、1日の目標値Wdに基づいて算出される所定の変動目標値Wdtよりも大きいか否かが判断され、運転状態が適宜変更される。
【0160】
また、例えば、1ヶ月の目標値Wmをユーザが設定して、当該設定された目標値Wmに基づいて、1週間毎の目標値Ww、及び、1日の目標値Wdを自動的に算出する構成であってもよい。そして、1週間が終了した時に、その週の目標値Wwと実際に要したその週の消費電力量との差に基づいて、その後の各週の目標値及び日々の目標値を算出しなおすことができる。
【0161】
また、例えば、冷房シーズン(例えば、5〜10月の6ヶ月など)、又は、暖房シーズン(例えば、11月〜4月の6ヶ月など)の目標値をユーザが設定して、当該設定された目標値に基づいて、1ヶ月毎の目標値Wm、1週間毎の目標値Ww、及び、1日の目標値Wdを自動的に算出する構成であってもよい。そして、1ヶ月が終了した時に、その月の目標値Wmと、実際に要したその月の消費電力量との差に基づいて、その後の各月、各週、日々の目標値を算出しなおすことができる。
【0162】
また、例えば、一年の目標値をユーザが設定して、当該設定された目標値に基づいて、1ヶ月毎の目標値Wm、1週間毎の目標値Ww、及び、1日の目標値Wdを自動的に算出する構成であってもよい。この場合、過去の年間運転実績や、気象データ等を考慮して、各シーズン(例えば、5〜10月の冷房シーズン、11月〜4月の暖房シーズン)の目標値を算出し、当該各シーズンの目標値に基づいて、1ヶ月毎の目標値Wm、1週間毎の目標値Ww、及び、1日の目標値Wdを自動的に算出する構成であってもよい。
【0163】
尚、上記第4実施形態は節約モードおける一のモード(「本気節約モード」)のみを説明したが、第1実施形態と同じように、ユーザが他のモード(「らくらく節約モード」)を選択した場合には、運転状態を変更するときの温度幅が小さくなるように制御される。
【0164】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係る空気調和機の動作手順について、図13を参照して説明する。図13は、第5実施形態の空気調和機の動作手順を示すフローチャートを示す図である。尚、動作手順以外の構成は、第4実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0165】
第5実施形態においては、第4実施形態と同様に、ユーザが1日の消費電力量の目標値Wdを設定して空気調和機を運転する場合について説明する。尚、第5実施形態は、ステップS204において、第4実施形態と異なっている。その他のステップS201〜S203、S205〜S209については、第4実施形態のステップS101〜S103、S105〜S109とそれぞれ同様であるため適宜説明を省略する。
【0166】
まず、第4実施形態と同様に、ユーザによる消費電力量の目標値Wdの設定(S201)、定数Nの設定、経過時間t及び消費電力量Wの計測が開始され(S202)、その後、経過時間tの判断(S203)が行われ、測定開始時刻から2×N時間が経過した場合(S203:YES)は、ステップS204に進む。
【0167】
ステップS204においては、測定開始時刻から現在までに消費した電力量(消費電力量W)と、現時点の空気調和機の運転状態における消費電力Pと、測定開始時刻から24時間経過するまでの時間(残り時間Tr)と、に基づいて算出される推定値Erと、前記目標値Wdとを比較して運転状態を変更するか否かが判断される。具体的には、以下の式により、測定開始時刻から24時間経過した時点で消費すると推定される推定値Erを算出し、当該推定値Erの、1日の目標値Wdに対する割合に基づいて運転状態を変更する。
【0168】
Er=(P×Tr)+W
Tr=24−t
【0169】
更に具体的には、算出された推定値Erが、目標値Wdよりも大きいか否かが判断される(S204)。
そして、推定値Erが目標値Wdよりも大きい場合(S204:YES)には、空気調和機における室内温度の設定温度が第1温度幅(1℃)だけ変更されるとともに吹出し風量が変更される(ステップS206)。尚、ステップS206における運転状態の変更方法は、第1実施形態におけるステップS11と同様であるため説明は省略する。
【0170】
一方、推定値Erが目標値Wd以下である場合(S204:NO)は、定数NがN+1に変更される(ステップS205)。そして、ステップS203に戻って同様の処理が繰り返される。
【0171】
ステップ206にて運転状態が変更された後、消費電力量Wが1日の目標値Wdに到達していれば(S207:YES)、空気調和機1の運転が停止される(ステップS208)。一方、消費電力量Wが1日の目標値Wdに到達していなければ(S207:NO)、測定開始時刻から24時間(1日)が経過したか否かが判断され(S209)、測定開始時刻から24時間が経過していれば(S209:YES)、図13のフローチャートに基づく動作は終了する。一方、測定開始時刻から24時間が経過していなければ(S209:NO)、定数NがN+1に変更され(S205)、ステップS203に戻って同様の処理が繰り返される。
【0172】
以上説明したように、第5実施形態に係る空気調和機は、所定期間(1日)の消費電力量の目標値Wdを記憶する目標値記憶部332と、前記所定期間の開始時(本実施形態においては、ステップS202におけるW=0の設定時)から実際に要した消費電力量の積算値である消費電力量Wを算出する消費電力量算出部333と、消費電力Pに前記所定期間の終了時までの残り時間Trを乗算して得られる値と、消費電力量Wと、の和である推定値Erの、目標値Wdに対する割合に基づいて運転状態を変更する制御部34とを備える。そして、制御部34は、PMV値の変動が0.25以内となるように運転状態を変更する。
【0173】
この空気調和機では、1日の消費電力量の目標値Wdを設定しておくと、推定値Erの目標値Wdに対する割合に基づいて、空気調和機の運転状態が自動的に変更される。即ち、1日に消費されると推定される消費電力量の目標値Wdに対する割合に基づいて、空気調和機の運転状態が変更される。従って、1日の消費電力量の目標値Wdを設定しておくだけで、ユーザが気付かないうちに、実際に要した消費電力量Wが目標値Wdを大幅に上回るのを防止することができる。
更に、運転状態の変更は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が0.25以内となるように行われるので、運転状態が自動的に変更されたときに、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制できる。これにより、ユーザに大きな不快感を与えることを防ぎつつ、目標値を考慮した運転を行うことが可能になる。
【0174】
尚、第5実施形態においては、消費電力量に基づいて運転状態を変更しているが、この場合に限らない。例えば、第1〜3実施形態と同様に、所定期間内における電気料金、CO2排出量、低効率運転が行われる運転時間等の目標値を記憶する記憶手段と、前記所定期間の開始時から実際に要した電気料金等の積算値を算出する算出手段と、単位時間あたりの電気料金等の増加量に前記所定期間の終了時までの残り時間を乗算して得られる値と、前記積算値と、の和である推定値の、前記目標値に対する割合に基づいて運転状態を変更するように構成してもよい。
【0175】
また、第5実施形態に係る空気調和機は、推定値Erが、目標値Wdよりも大きい場合は、消費電力を減少させるように運転状態を変更する。これにより、簡易な構成で、実際に要した消費電力量Wが目標値Wdを大幅に上回るのを防止することができる。
【0176】
尚、一旦消費電力を減少させるように運転状態を変更させた後、推定値Erが、目標値Wdよりも小さくなった場合は、消費電力を増加させて、ユーザの快適性が向上するように運転状態を変更させることもできる。この場合、実際に要した消費電力量Wが目標値Wdを大幅に下回るように空気調和機が制御されてユーザの要求する快適性が損なわれることを簡易な構成で防止することができる。
【0177】
[第6実施形態]
次に、第6実施形態に係る空気調和機の動作手順について、図14を参照して説明する。図14は、第6実施形態の空気調和機の動作手順を示すフローチャートを示す図である。尚、動作手順以外の構成は、第5実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0178】
第6実施形態においては、ユーザが1年の消費電力量の目標値Wyを設定して空気調和機を運転する場合について説明する。尚、第6実施形態は、ステップS301、S308〜S313において、第5実施形態と異なっている。その他のステップS302〜S307については、第5実施形態のステップS202〜S207とそれぞれ同様であるため適宜説明を省略する。
【0179】
まず、ユーザによる一年間の消費電力量の目標値Wyの設定が行われる(S301)。このとき、制御部34により、自動的に、1日の目標値Wd、1週間の目標値Ww、1ヶ月の目標値Wmがそれぞれ算出される。尚、当該目標値の算出方法は、第1実施形態で説明した単純分割方法又はトレンド推測方法等が用いられる。
また、当該ステップS301にて目標値が設定された時刻(目標設定時刻)が制御ユニット30の記憶部に記憶される。例えば、空気調和機が、リモコン等の表示部に現在の時刻表示を行うために備えるタイマー機能を用いて、目標値が設定されたときの時刻を判断することができる。また、空気調和機に電波時計の機能が設けられている場合は、当該電波時計の機能を用いて目標値が設定されたときの時刻を判断することができる。
【0180】
その後、第5実施形態におけるステップS202〜S207とそれぞれ同様に、ステップS302〜S307が行われる。
【0181】
ステップS307において、消費電力量Wが1日の目標値Wdを超えていれば(S307:YES)、空気調和機1の運転が停止され(ステップS308)、その後、ステップS309に進む。一方、消費電力量Wが1日の目標値Wdを超えていなければ(S307:NO)、運転を停止することなく、ステップS309に進む。
【0182】
ステップS309においては、測定開始時刻から24時間(1日)が経過したか否かが判断され、測定開始時刻から24時間が経過していれば(S309:YES)、ステップS310に進む。一方、測定開始時刻から24時間が経過していなければ(S309:NO)、定数NがN+1に変更され(S305)、ステップS303に戻って同様の処理が繰り返される。
【0183】
ステップ310においては、目標設定時刻から1週間経過したか否かが判断される。即ち、ステップS301で記憶された目標設定時刻のデータ、及び、空気調和機が備えるタイマー機能等から判断される現時点の時刻に基づいて、目標設定時刻から1週間経過したか否かが判断される。
【0184】
目標設定時刻から1週間経過していない場合は(S310:NO)、1日の目標値Wdが、新たな目標値に再設定される(S311)。
【0185】
再設定される新たな1日の目標値Wdは、ステップS301で予め算出されて、記憶部に記憶されているものを用いることができる。また、例えば過去1日の消費電力量がその日の目標値よりも小さいときには、当該消費電力量と当該目標値との差を次の日の目標値に繰り越すことができる。つまり、この場合には、当該差をステップS301で算出された目標値に加算した値が、再設定される新たな目標値となる。
【0186】
また、制御ユニット30の記憶部には、初期値0として総消費電力量W’が予め記憶されており、現時点までに積算された消費電力量Wが、当該総消費電力量W’に加算されて記憶される(S311)。
【0187】
その後、ステップS302に戻って同様の処理が繰り返される。
尚、ステップS302にて、定数Nが1に設定されるとともに、経過時間tが0に戻され、その後、時間の経過に伴って、tが0から増加していくことになる。また、積算された消費電力量Wは0に戻され、再度0から積算される。
【0188】
目標設定時刻から1週間経過している場合は(S310:YES)、目標設定時刻から1ヶ月経過したか否かが判断される(S312)。即ち、ステップS301で記憶した目標設定時刻のデータ、及び、空気調和機が備えるタイマー機能等から判断される現時点の時刻に基づいて、目標設定時刻から1ヶ月経過したか否かが判断される。
【0189】
目標設定時刻から1ヶ月経過していない場合は(S312:NO)、今後1週間の目標値Ww、及び、1日の目標値Wdが、新たな目標値に再設定され(S311)、その後、ステップS302に戻って同様の処理が繰り返される。
再設定される新たな1週間の目標値Wwは、ステップS301で予め算出されて、記憶部に記憶されているものを用いることができる。また、例えば過去1週間の消費電力量がその週の目標値よりも小さいときには、当該消費電力量と当該目標値との差を次の週の目標値に繰り越すことができる。つまり、この場合には、当該差をステップS301で算出された目標値に加算した値が、再設定される新たな目標値となる。
また、各日の目標値Wdについては、ステップ311にて、上述の再設定された1週間の目標値Wwに基づいて、算出することができる。また、直前1週間の消費電力量データに基づいて、今後1週間における各日の目標値Wdを決定してもよい。
【0190】
目標設定時刻から1ヶ月経過している場合は(S312:YES)、目標設定時刻から1年経過したか否かが判断される(S313)。即ち、ステップS301で記憶した目標設定時刻のデータ、及び、空気調和機が備えるタイマー機能等から判断される現時点の時刻に基づいて、目標設定時刻から1年経過したか否かが判断される。
【0191】
目標設定時刻から1年経過していない場合は(S313:NO)、1ヶ月の目標値Wm、1週間の目標値Ww、及び、1日の目標値Wdが、新たな目標値に再設定され(S311)、その後、ステップS302に戻って同様の処理が繰り返される。
再設定される新たな1ヶ月の目標値Wmは、ステップS301で予め算出されて、記憶部に記憶されているものを用いることができる。また、例えば過去1ヶ月の消費電力量がその月の目標値よりも小さいときには、当該消費電力量と当該目標値との差を次の月の目標値に繰り越すことができる。つまり、この場合には、当該差をステップS301で算出された目標値に加算した値が、再設定される新たな目標値となる。
また、今後の各週の目標値Wwについては、ステップ311にて、上述の再設定された1ヶ月の目標値Wmに基づいて、算出することができる。
また、今後の各日の目標値Wdについては、ステップ311にて、上述の再設定された1週間の目標値Wwに基づいて、算出することができる。
また、これらの目標値Ww及び目標値Wdは、直前1ヶ月或いは1週間の消費電力量データに基づいて決定してもよい。
【0192】
目標設定時刻から1年経過している場合は(S313:YES)、図14のフローチャートに基づく動作は終了する。
【0193】
以上説明したように、第6実施形態に係る空気調和機は、所定期間(1年、1ヶ月、1週間、1日)の消費電力量の目標値(目標値Wy、目標値Wm、目標値Ww、目標値Wd)を記憶する目標値記憶部332と、前記所定期間の開始時(本実施形態においては、ステップS302におけるW=0の設定時)から実際に要した消費電力量の積算値である消費電力量Wを算出する消費電力量算出部333と、消費電力Pに前記所定期間の終了時までの残り時間Trを乗算して得られる値と、消費電力量Wと、の和である推定値Erの、目標値Wdに対する割合に基づいて運転状態を変更する制御部34とを備える。そして、制御部34は、PMV値の変動が0.25以内となるように運転状態を変更する。
【0194】
この空気調和機では、1年の消費電力量の目標値Wyを設定すると、自動的に1日の消費電力量の目標値Wdが算出されて設定される。そして、推定値Erの目標値Wdに対する割合に基づいて、空気調和機の運転状態が自動的に変更される。即ち、1日に消費されると推定される消費電力量の目標値Wdに対する割合に基づいて、空気調和機の運転状態が変更される。従って、ユーザが気付かないうちに、実際に要した1日の消費電力量が1日の目標値Wdを大幅に上回るのを防止することができる。結果として、実際に要した1年の消費電力量W’が1年の目標値Wyを大幅に上回るのを防止することができる。
更に、運転状態の変更は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が0.25以内となるように行われるので、運転状態が自動的に変更されたときに、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制できる。これにより、ユーザに大きな不快感を与えることを防ぎつつ、目標値を考慮した運転を行うことが可能になる。
【0195】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0196】
上記実施形態においては、 人間の温熱感覚に基づく快適性レベルとしてPMV値を用いているがこの場合に限らない。PMV値以外の人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの指標を用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0197】
本発明を利用すれば、所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値を設定しておくだけで、ユーザが気付かないうちに、実際に要した前記項目についての積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0198】
【図1】本発明の第1実施形態に係る空気調和機の斜視図である。
【図2】図1の室内機の部分拡大図である。
【図3】図1のリモコンを示す図である。
【図4】図1の空気調和機の制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図5】図1の空気調和機における動作手順を示すフローチャートを示す図である。
【図6】夏場における室温と風量とPMV値との関係表を示す図である。
【図7】冬場における室温と風量とPMV値との関係表を示す図である。
【図8】第2実施形態の空気調和機の制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図9】第3実施形態の空気調和機の制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図10】図9の空気調和機の低効率運転時間算出部において計測が行われる手順を示すフローチャートである。
【図11】第4実施形態の空気調和機の制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図12】図11の空気調和機の動作手順を示すフローチャートを示す図である。
【図13】第5実施形態の空気調和機の動作手順を示すフローチャートを示す図である。
【図14】第6実施形態の空気調和機の動作手順を示すフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0199】
1 空気調和機
2 室内機
3 表示部
4 スピーカ
10 リモコン
30 制御ユニット
31 節約モード記憶部
32 目標値記憶部(記憶手段)
33 電気料金算出部(算出手段)
34 制御部(制御手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー消費に関する項目の積算値を算出可能な空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
室内機と室外機とを備えた空気調和機には、運転時の消費電力に基づいて消費した電気料金を算出し、その電気料金をユーザに知らせる機能を備えたものがある。このような空気調和機では、例えば運転停止後から所定時間が経過するまでにリモコンの「お知らせスイッチ」が押された場合に、空気調和機で消費した電気料金が室内機の表示部に表示される(例えば、特許文献1参照)。従って、ユーザは、リモコンの「お知らせスイッチ」を押すことで、空気調和機で消費した電気料金を確認することができる。
【特許文献1】特開2001−74299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の空気調和機では、例えば、ユーザが所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目としての電気料金の目標値を決めておいた場合でも、ユーザが気付かないうちに、空気調和機で消費した電気料金が目標値を大幅に上回ることがある。
【0004】
そこで、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、エネルギー消費に関する項目の積算値が、ユーザが決定した目標値を大幅に上回ってしまうことを抑制可能な空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明に係る空気調和機は、所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値を記憶する記憶手段と、前記所定期間の開始時から実際に要した前記項目についての積算値を算出する算出手段と、前記積算値の前記目標値に対する割合に基づいて運転状態を変更する制御手段とを備え、前記制御手段は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が所定の範囲内となるように運転状態を変更する。
【0006】
この空気調和機では、所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値を設定しておくと、その所定期間の開始時から実際に要した前記項目についての積算値の目標値に対する割合に基づいて、空気調和機の運転状態が自動的に変更される。従って、前記項目についての積算値の目標値を設定しておくだけで、ユーザが気付かないうちに、実際に要した前記項目についての積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
更に、運転状態の変更は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が所定の範囲内となるように行われるので、運転状態が自動的に変更されたときに、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制できる。これにより、ユーザに大きな不快感を与えることを防ぎつつ、目標値を考慮した運転を行うことが可能になる。
【0007】
第2の発明に係る空気調和機は、所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値を記憶する記憶手段と、前記所定期間の開始時から実際に要した前記項目についての積算値を算出する算出手段と、単位時間あたりの前記項目の増加量に前記所定期間の終了時までの残り時間を乗算して得られる値と、前記積算値と、の和である推定値の、前記目標値に対する割合に基づいて運転状態を変更する制御手段とを備え、前記制御手段は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が所定の範囲内となるように運転状態を変更する。
【0008】
この空気調和機では、所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値を設定しておくと、単位時間あたりのエネルギー消費に関する項目についての積算値の増加量に前記所定期間の終了時までの残り時間を乗算して得られる値と、前記所定期間の開始時から実際に要した前記項目についての積算値と、の和である推定値の、目標値に対する割合に基づいて、空気調和機の運転状態が自動的に変更される。即ち、所定期間内に消費されると推定されるエネルギー消費に関する項目についての積算値の、目標値に対する割合に基づいて、空気調和機の運転状態が変更される。従って、エネルギー消費に関する項目の積算値の目標値を設定しておくだけで、ユーザが気付かないうちに、実際に要した前記項目についての積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
更に、運転状態の変更は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が所定の範囲内となるように行われるので、運転状態が自動的に変更されたときに、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制できる。これにより、ユーザに大きな不快感を与えることを防ぎつつ、目標値を考慮した運転を行うことが可能になる。
【0009】
第3の発明に係る空気調和機は、第2の発明に係る空気調和機であって、前記制御手段は、前記推定値が、前記目標値よりも大きい場合は、消費電力を減少させるように運転状態を変更する。
【0010】
この空気調和機では、推定値が目標値よりも大きい場合は、消費電力を減少させるように運転状態が変更される。これにより、簡易な構成で、実際に要したエネルギー消費に関する項目についての積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【0011】
第4の発明に係る空気調和機は、第2の発明又は第3の発明に係る空気調和機であって、前記制御手段は、前記推定値が、前記目標値よりも小さい場合は、消費電力を増加させるように運転状態を変更する。
【0012】
この空気調和機では、推定値が目標値よりも小さい場合は、消費電力を増加させるように運転状態が変更される。これにより、簡易な構成で、実際に要したエネルギー消費に関する項目についての積算値が目標値を大幅に下回るのを防止することができる。
この場合、推定値が目標値よりも小さい場合は、消費電力を増加させて、ユーザの快適性が向上するように運転状態を変更することができる。
【0013】
第5の発明に係る空気調和機は、第1〜4の発明のいずれかの発明に係る空気調和機であって、前記制御手段は、室内温度の設定温度を上昇または低下させるとともに、吹出し口から室内に送風される風量及び風向きの少なくともいずれかを調整することにより運転状態を変更可能である。
【0014】
この空気調和機では、室内温度の設定温度の変更に伴って、風量及び風向きの少なくともいずれかを変更することで、室内温度の設定温度のみを変更させる場合に比べて、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動を小さくすることが可能になる。これにより、運転状態の変更時にユーザが感じる不快感をより小さくすることができる。
【0015】
第6の発明に係る空気調和機は、第5の発明に係る空気調和機であって、前記制御手段は、室内温度の設定温度を上昇させるとともに吹出し口から室内に送風される風量を上昇させ、または、室内温度の設定温度を低下させるとともに前記風量を低下させることにより運転状態を変更可能である。
【0016】
この空気調和機では、冷房運転時においては、室内温度の設定温度を上昇させることで、消費電力を低下させることができるとともに、吹出し口から室内に送風される風量を上昇させることにより、設定温度の上昇によりユーザに与える不快感を減少させることができる。また、暖房運転時においては、室内温度の設定温度を低下させることで、消費電力を低下させることができるとともに、吹出し口から室内に送風される風量を低下させることにより、設定温度の低下によりユーザに与える不快感を減少させることができる。これにより、簡易な制御で、運転状態の変更時にユーザが感じる不快感をより小さくすることができる。
【0017】
第7の発明に係る空気調和機は、第1〜6の発明のいずれかの発明に係る空気調和機であって、設定湿度に基づいて室内の湿度を調整する湿度調整手段を備え、前記制御手段は、室内温度の設定温度を上昇させるとともに設定湿度を低下させ、または、室内温度の設定温度を低下させるとともに設定湿度を上昇させることにより運転状態を変更可能である。
【0018】
この空気調和機では、湿度調整手段により、設定湿度に基づいて室内の湿度を調整することが可能である。そして、冷房運転時においては、室内温度の設定温度を上昇させることで、消費電力を低下させることができるとともに、設定湿度を低下させることにより、設定温度の上昇によりユーザに与える不快感を減少させることができる。また、暖房運転時においては、室内温度の設定温度を低下させることで、消費電力を低下させることができるとともに、設定湿度を上昇させることにより、設定温度の低下によりユーザに与える不快感を減少させることができる。これにより、湿度調整手段を用いた簡易な制御で、運転状態の変更時にユーザが感じる不快感をより小さくすることができる。
【0019】
第8の発明に係る空気調和機は、第1〜7の発明のいずれかの発明に係る空気調和機であって、前記制御手段は、室内温度の設定温度のみを上昇または低下させることにより運転状態を変更可能である。
【0020】
この空気調和機では、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制しつつ、簡易な制御で、実際に要したエネルギー消費に関する項目の積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【0021】
第9の発明に係る空気調和機は、第1〜8の発明のいずれかの発明に係る空気調和機であって、設定湿度に基づいて室内の湿度を調整する湿度調整手段を備え、前記制御手段は、設定湿度のみを上昇または低下させることにより運転状態を変更可能である。
【0022】
この空気調和機では、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制しつつ、簡易な制御で、実際に要したエネルギー消費に関する項目の積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【0023】
第10の発明に係る空気調和機は、第1〜9の発明のいずれかの発明に係る空気調和機であって、前記制御手段は、吹出し口から室内に送風される風量のみを調整することにより運転状態を変更可能である。
【0024】
この空気調和機では、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制しつつ、簡易な制御で、実際に要したエネルギー消費に関する項目の積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【0025】
第11の発明に係る空気調和機は、第1〜10の発明のいずれかの発明に係る空気調和機であって、前記制御手段は、吹出し口から室内に送風される風向きのみを調整することにより運転状態を変更可能である。
【0026】
この空気調和機では、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制しつつ、簡易な制御で、実際に要したエネルギー消費に関する項目の積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【0027】
第12の発明に係る空気調和機は、第1〜11の発明のいずれかの発明に係る空気調和機であって、前記制御手段は、前記積算値の前記目標値に対する割合が所定割合に達した場合に、消費電力を減少させるように運転状態を変更する。
【0028】
この空気調和機では、実際に要したエネルギー消費に関する項目の積算値が目標値を大幅に上回るのを、簡易な制御で、確実に防止することができる。
【0029】
第13の発明に係る空気調和機は、第1〜12の発明のいずれかの発明に係る空気調和機であって、前記制御手段は、前記積算値の前記目標値に対する割合が所定値だけ変化する度に、消費電力を減少させるように運転状態を変更する。
【0030】
この空気調和機では、実際に要したエネルギー消費に関する項目の積算値が目標値を大幅に上回るのを、簡易な制御で、確実に防止することができる。
【0031】
第14の発明に係る空気調和機は、第1〜13の発明のいずれかの発明に係る空気調和機であって、複数のモードのうちのいずれかのモードを設定可能であって、前記制御手段は、モード毎に互いに異なるように運転状態を変更する。
【0032】
この空気調和機では、複数のモードのそれぞれにおいて互いに異なるように運転状態が変更されるので、ユーザは、節約の度合に応じて複数のモードのいずれかを選択することができる。
【0033】
第15の発明に係る空気調和機は、第1〜14の発明のいずれかの発明に係る空気調和機であって、前記エネルギー消費に関する項目は、消費電力量、電気料金、CO2排出量、及び、低効率運転が行われる運転時間のいずれか一つである。
【0034】
この空気調和機では、所定期間内における、消費電力量、電気料金、CO2排出量、及び、低効率運転が行われる運転時間、のいずれかの項目についての積算値等に基づいて、運転状態が変更される。これにより、これらの積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【0035】
尚、上記発明に係る空気調和機において、エネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値に対する割合に関する情報を報知する報知手段とを備える構成としてもよい。この空気調和機では、所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値を設定しておくと、その所定期間内において実際に要したエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値に対する割合(消費割合)に関する情報が自動的に報知される。そのため、ユーザは、リモコンのスイッチを押す等の操作を行うことなく、前記消費割合を知ることができる。従って、ユーザは、前記消費割合の変化を把握することで、エネルギー消費に関する項目についての積算値が目標値を上回るのを抑制するために、空気調和機の使用を調整することが可能になる。また、前記消費割合に関する情報が自動的に報知されることにより省エネの意識が啓発されると共に、ユーザは、エネルギー消費に関する項目についての積算値を目標値以内におさめることで節約の達成感及び満足感を得ることができる。
【0036】
また、前記報知手段は、前記積算値の前記目標値に対する割合が所定割合に達した場合に、前記情報を報知するように構成してもよい。この空気調和機では、ユーザは、前記消費割合に関する情報が報知されるタイミングを適宜変更することができる。
【0037】
また、前記報知手段は、前記積算値の前記目標値に対する割合が所定値だけ変化する度に、前記情報を報知するように構成してもよい。この空気調和機では、ユーザは、前記消費割合の変化を確実に把握することができる。
【0038】
また、室内機と、前記室内機との間で信号の送受信可能なリモコンとを備える空気調和機において、前記報知手段は、前記室内機及び前記リモコンの少なくとも一方に設けられた表示部への表示により前記情報を報知するように構成してもよい。この空気調和機では、前記消費割合に関する情報が表示部への表示により報知されるので、ユーザは前記消費割合を容易に確認することができる。
【0039】
また、室内機と、前記室内機との間で信号の送受信可能なリモコンとを備える空気調和機において、前記報知手段は、前記室内機及び前記リモコンの少なくとも一方に設けられたスピーカからの音声により前記情報を報知するように構成してもよい。この空気調和機では、前記消費割合に関する情報がスピーカからの音声により報知されるので、ユーザは前記消費割合を確実に確認することができる。
【0040】
また、所定期間内において実際に要したエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値に対する割合(消費割合)に関する情報を、例えばリモコンから要求したときだけ、本体、あるいは、リモコンの表示部に表示する、または、本体、あるいは、リモコンに設けられたスピーカからの音声により報知するように構成してもよい。この空気調和機では、自動での報知をしないことにより就寝中の睡眠を妨げるなど、報知が使用上の弊害となる場合を回避することができ、必要時にはリモコンによる操作で情報を入手することが可能となる。
【発明の効果】
【0041】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0042】
第1〜2の発明では、所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値を設定しておくだけで、ユーザが気付かないうちに、実際に要した前記項目についての積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
更に、運転状態の変更は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が所定の範囲内となるように行われるので、運転状態が自動的に変更されたときに、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制できる。これにより、ユーザに大きな不快感を与えることを防ぎつつ、目標値を考慮した運転を行うことが可能になる。
【0043】
第3の発明では、簡易な構成で、実際に要したエネルギー消費に関する項目についての積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【0044】
第4の発明では、簡易な構成で、実際に要したエネルギー消費に関する項目についての積算値が目標値を大幅に下回るのを防止することができる。
【0045】
第5〜7の発明では、室内温度の設定温度のみを変更させる場合に比べて、運転状態の変更時にユーザが感じる不快感をより小さくすることができる。
【0046】
第8〜11の発明では、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制しつつ、簡易な制御で、実際に要したエネルギー消費に関する項目の積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【0047】
第12、13の発明では、実際に要したエネルギー消費に関する項目の積算値が目標値を大幅に上回るのを、簡易な制御で、確実に防止することができる。
【0048】
第14の発明では、ユーザは、節約の度合に応じて複数のモードのいずれかを選択することができる。
【0049】
第15の発明では、所定期間内における、消費電力量、電気料金、CO2排出量、及び、低効率運転が行われる運転時間、のいずれかの項目についての積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る空気調和機の第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る空気調和機の斜視図である。図2は、図1の室内機の部分拡大図である。図3は、図1のリモコンを示す図である。
【0051】
図1の空気調和機1は、室内の壁などに取り付けられる室内機2と、室外に設置される室外機(図示しない)と、ユーザが種々の操作を行うために室内機2との間で信号の送受信可能なリモコン10とを備えている。そして、室内機2の前面には、実際に消費した電気料金(エネルギー消費に関する項目)の積算値の目標値に対する割合(以下、電気料金の消費割合と記載する)をユーザに知らせるための表示部3及びスピーカ4が設けられている。
【0052】
表示部3は、図2に示すように、文字が表示される文字表示部3aと、複数のランプが配置されたランプ部3bとを有している。文字表示部3aは、電気料金の消費割合を文字でユーザに知らせるためのものである。また、ランプ部3bは、電気料金の消費割合が50%、60%、70%、80%、90%に到達した場合に点灯する複数のランプを有している。図2では、電気料金の消費割合が80%に到達した場合が図示されている。
【0053】
スピーカ4は、電気料金の消費割合を音声でユーザに知らせるためのものである。従って、例えば電気料金の消費割合が80%に到達した場合には、目標値の80%の電気料金を消費した旨がスピーカ4から報知される。ここで、スピーカ4からのお知らせは、電気料金の消費割合が大きくなるにつれて次第に強い表現になるようにしてもよいし、音量を大きくしてもよい。
【0054】
リモコン10は、図3に示すように、表示部11と、操作部12とを有している。表示部11には、ユーザが設定した設定温度を表示する設定温度表示部11aと、電気料金の消費割合を表示する電気料金表示部11bとが含まれる。電気料金表示部11bは、節約お知らせモード(節約モード)の設定内容と、電気料金の消費割合とを表示可能である。
【0055】
また、操作部12には、節約お知らせボタン13と、節約設定ボタン14とが含まれる。節約お知らせボタン13は、現在までの電気料金の消費割合を確認する場合に用いられる。つまり、ユーザが、節約お知らせボタン13を押すと、現在までの電気料金の消費割合がリモコン10の電気料金表示部11bに表示される。
【0056】
節約設定ボタン14は、節約お知らせモードを設定する場合に用いられる。本実施の形態では、節約お知らせモードの設定には、「本気節約モード」と、「らくらく節約モード」との2つのモードがあり、節約設定ボタン14を押すたびに、「本気節約モード」及び「らくらく節約モード」のいずれかに切り換わる。また、節約設定ボタン14を長押しすることで、節約お知らせモードの設定を解除可能である。
【0057】
次に、本実施の形態の空気調和機1の制御ユニットの構成について、図4を参照して説明する。図4は、図1の空気調和機の制御ユニットの構成を示すブロック図である。制御ユニット30は、節約モード記憶部31と、目標値記憶部32と、電気料金算出部33と、制御部34とを有している。また、制御ユニット30には、室内機2の表示部3及びスピーカ4と、リモコン10の表示部11及び操作部12とがそれぞれ接続されている。
【0058】
節約モード記憶部31は、空気調和機1における節約モードに関する種々の設定を記憶するものである。節約モード記憶部31に記憶される設定には、ユーザが設定可能な複数の節約モードにおける詳細な設定が含まれる。本実施の形態では、上述したように、節約モードの設定には、「本気節約モード」と、「らくらく節約モード」との2つのモードがあるので、それらのモードにおける詳細な設定が記憶される。
【0059】
各節約モードにおける詳細な設定には、電気料金の目標値の期間の設定と、電気料金の消費割合のユーザへのお知らせが開始される割合(例えば50%)の設定と、ユーザへのお知らせが開始された後において上記割合がどれくらい増加する度にお知らせを行うかを示す増加幅(例えば10%)の設定と、上記割合に応じて空気調和機1の運転状態を変更する場合の設定温度の温度幅の設定とが含まれる。
【0060】
本実施の形態では、電気料金の目標値の期間の設定としては、1年間、1ヶ月間、1週間、1日などの設定が可能であって、ユーザによって選択された期間が記憶される。従って、空気調和機1では、節約モード記憶部31に記憶された所定期間において実際に消費した電気料金の積算値が算出され、その積算値の上記の所定期間の目標値に対する消費割合がユーザに知らされる。
【0061】
また、設定温度の温度幅の設定としては、「本気節約モード」においては第1温度幅(例えば1℃)が設定され、「らくらく節約モード」においては第2温度幅(例えば0.5℃)が設定されている。このように、設定温度の温度幅はモード毎にそれぞれ設定される。
【0062】
目標値記憶部32は、ユーザによって設定された各期間ごとの電気料金の目標値を記憶する。第1実施形態では、ユーザは、空気調和機1の取扱説明書に記載された例えば地域別の目安表等を参考にし、1年間のトータル電気料金の目標値を設定すると、月、週、日ごとの目標値が自動的に計算されるようになっている。そのため、目標値記憶部32は、1年間、1ヶ月間、1週間、1日ごとの目標値を記憶している。
【0063】
電気料金算出部33は、空気調和機1での消費電力に基づいて電気料金の積算値を算出する。そして、ユーザに知らせる電気料金の消費割合は、電気料金算出部33で算出された電気料金の積算値と、目標値記憶部32に記憶された各期間の目標値とに基づくものである。
【0064】
制御部34は、空気調和機1の各部の動作などを制御するものである。従って、制御部34は、室内機2の表示部3に表示される内容、スピーカ4から報知される内容、及び、リモコン10の表示部11に表示される内容等を制御可能である。
【0065】
次に、第1実施形態の空気調和機1の動作手順について、図5を参照して説明する。図5は、第1実施形態の空気調和機の動作手順を示すフローチャートを示す図である。
【0066】
まず、ユーザによって電気料金の目標値が設定される(ステップS1)。ここでは、1年間のトータル電気料金の目標値が設定されることで、月、週、日ごとの目標値が自動的に算出され、目標値記憶部32に記憶される。
【0067】
月、週、日ごとの目標値の算出方法としては、例えば、以下に示す(1)単純分割方法、または、(2)トレンド推測方法等を用いることができる。
【0068】
(1)単純分割方法
1年間の電気料金の目標値をMyとすると、日の目標値Mdは、Md=My/365として算出される。また、週の目標値Mwは、Mw=Pd×7として算出される。また、月の目標値Mmは、Mm=My/12として算出される。
【0069】
(2)トレンド推測方法
今後1年間の電気料金の目標値をMy、過去1年間に消費した電気料金をMa、過去1年間における各月に消費した電気料金をM(x)、今後各月の目標値Mm(x)とする。
即ち、過去1年における1月の電気料金をM(1)、2月の電気料金をM(2)、・・・、12月の電気料金をM(12)とし、今後1年間における1月の目標値をMm(1)、2月の目標値をMm(2)、・・・、12月の目標値をMm(12)とする。
このとき各月の目標値Mm(x)は、
Mm(x)=My×{M(x)/Ma}
として算出される。
この場合、例えば、過去1年間において、2月及び8月の電気料金(M(2)及びM(8))が、他の月の電気料金よりも高い場合は、目標値の設定において、2月の電気料金の目標値Mm(2)、及び、8月の電気料金の目標値Mm(8)は、他の月の電気料金の目標値よりも高く設定されることになる。
【0070】
各月における、日の目標値Md(x)は、月の目標値Mm(x)に基づいて、
Md(x)=Mm(x)/{その月の日数}
として、単純分割して算出することができる。
また、週の目標値Mw(x)は、
Mw(x)=Md(x)×7
として算出することができる。
【0071】
尚、各月における、週の目標値Mw(x)についても、各月の目標値Mm(x)の算出方法と同様にして、過去の電気料金のデータを参考に、1ヶ月における各週の電気料金のトレンドに合わせて、目標値を各週によって異なるように算出することもできる。
【0072】
また、日の目標値Md(x)についても、同様にして、過去の電気料金のデータを参考に、1週間における曜日毎の電気料金のトレンドに合わせて、目標値を曜日毎に異なるように算出することもできる。例えば、過去の電気料金のデータにおいて、土曜日、日曜日の電気料金が、平日の電気料金よりも高い場合は、目標値の設定において、土曜日、日曜日の電気料金の目標値を、平日の電気料金の目標値よりも高く設定してもよい。
【0073】
上述のように、月、週、日ごとの目標値が算出された後、ユーザによって現在までの電気料金の消費割合を確認するか否か(節約お知らせボタン13が押されたか否か)を判断する(ステップS2)。ここで、ユーザが現在までの電気料金の消費割合を確認する場合(S2:YES)には、現在までの電気料金の消費割合がユーザに知らされる(ステップS3)。このとき、節約お知らせボタン13が押される度に、今日、今日までの1週間、今日までの1ヶ月間、今日までの1年間の目標値に対する電気料金の消費割合がユーザに知らされる。また、本実施の形態において電気料金の消費割合がユーザに知らされる場合には、室内機2の表示部3での表示、スピーカ4からの報知及びリモコン10の表示部11への表示の全てが行われ、以下の説明においても同様である。
【0074】
次に、ユーザによって節約モードの設定が行われる(ステップS4)。つまり、ユーザは、「本気節約モード」及び「らくらく節約モード」のいずれかを選択すると共に、電気料金の目標値の期間を1年間、1ヶ月間、1週間、1日のいずれかを選択する。従って、ユーザに知らせる電気料金の消費割合は、ユーザによって選択された電気料金の目標値の期間に基づくものである。
【0075】
そして、「本気節約モード」が設定されたか否かが判断される(ステップS5)。ここで、「本気節約モード」が設定された場合(S5:YES)には、電気料金の消費割合が目標値の50%に到達したか否かが繰り返し判断される(ステップS6)。そして、電気料金の消費割合が目標値の50%に到達した場合(S6:YES)には、電気料金の消費割合がユーザに知らされる(ステップS7)。
【0076】
その後、定数Nが0に設定され(ステップS8)、電気料金の消費割合が目標値の60+N%に到達したか否かが繰り返し判断される(ステップS9)。ここでは、定数Nは0に設定されているので、電気料金の消費割合が目標値の60%に到達したか否かが繰り返し判断される。そして、電気料金の消費割合が目標値の60%に到達した場合(S9:YES)には、電気料金の消費割合がユーザに知らされる(ステップS10)。
【0077】
このとき、空気調和機1における室内温度の設定温度が第1温度幅(1℃)だけ変更されるとともに吹出し風量が変更される(ステップS11)。吹出し風量は、図6及び図7に示す室温と風量とPMV値との関係表に基づいて変更される。尚、当該関係表は、節約モード記憶部31に予め記憶されている。
【0078】
(PMVについて)
本実施形態においては、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの指標としてPMVを用いている。以下、PMVについて簡単に説明する。
人間の快適性を考えて、適正な室内温熱環境を確保するにあたっては、暑さ、寒さに対する人間の温熱感覚を考慮することが重要である。これに影響を与える変数として、(1)空気温度、(2)相対湿度、(3)平均輻射温度、(4)気流速度、(5)活動量(人体の内部発熱量)、(6)着衣量などがある。
人の発熱量は対流による放射量、輻射による放熱量、人からの蒸発熱量、呼吸による放熱量および蓄熱量の合計で、これらの熱平衡式が成立している場合は、人体が熱的に中立であり、暑くも寒くもない快適状態である。逆に熱平衡式がくずれた場合に人体は暑さ寒さを感じる。デンマーク工科大学のFanger教授は1967年に快適方程式の導出を発表し、これを出発点として人体の熱負荷と人間の温冷感を、欧米人の多数の被験者のアンケートから統計分析して結び付け、PMV( Predicted Mean Vote:予測平均回答)を提案した。温冷感の指標となるPMVは、上記(1)〜(6)の変数に基づいて算出される数値であり、次の7段階評価尺度による数値である。
+3:暑い
+2:暖かい
+1:やや暖かい
0:どちらでもない、快適
−1:やや涼しい
−2:涼しい
−3:寒い
(空気調和・衛生工学会(編):空気調和・衛生工学便覧 I巻 第1編・第3章”参照)
【0079】
図6は、夏場を想定した室温と風量とPMV値との関係表を示す図である。また、図7は、冬場を想定した室温と風量とPMV値との関係表を示す図である。尚、輻射温度、相対湿度、活動量については、図6、図7ともに、輻射温度は室温とし、相対湿度50%、活動量1.1metとして、PMV値を算出している。着衣量については、夏場を想定した図6の関係表においては、0.4cloとして、冬場を想定した図7の関係表においては、1.0cloとしてPMV値を算出している。また、図6、図7における、表右上の網掛け部分は風量5m/s以上の領域を示し、表左下の網掛け部分は、風量0m/sの領域を示す。
【0080】
ステップS11において、空気調和機1が冷房運転中である場合においては、図6に示す関係表が参照される。そして、例えば、設定温度27℃、風量0.25m/sで運転されている場合は、設定温度が、第1温度幅(1℃)だけ上昇されて、28℃に変更されるとともに、風量が0.65m/sに変更される(図6において、C1で示す運転状態からC2で示す運転状態に変更される)。即ち、設定温度が第1温度幅だけ上昇しても、PMV値が変動しないように風量が変更される。
【0081】
また、例えば、設定温度28℃、風量1.6m/sで運転されている場合(図6においてC3で示す運転状態の場合)は、設定温度が29℃に上昇する。このとき、PMV値が変動しないようにするためには、風量は5.6m/sに上昇させる必要がある。ここで、例えば、空気調和機1において最大風速が5.0m/sまでに制限されているような場合は、PMV値の変動が所定の範囲内となるような空気調和機1にて許容される風量に変更される。例えば、PMV値の変動が、0.25以内となるような風量に変更される。この場合、風量は、3.6m/sに変更される(図6において、C3で示す運転状態からC4で示す運転状態に変更される)。
【0082】
一方、ステップS11において、空気調和機1が暖房運転中である場合においては、図7に示す関係表が参照される。そして、例えば、設定温度25℃、風量1.7m/sで運転されている場合は、設定温度が、第1温度幅(1℃)だけ低下されて、24℃に変更されるとともに、風量が0.49m/sに変更される(図7において、H1で示す運転状態からH2で示す運転状態に変更される)。即ち、設定温度が第1温度幅だけ低下しても、PMV値が変動しないように風量が変更される。
【0083】
また、例えば、設定温度23℃、風量0.18m/sで運転されている場合は、設定温度が22℃に低下する。このとき、図7に示すように、少なくとも0m/sよりも大きい風量を保ちつつ、PMV値が変動しないようにすることはできない。このような場合は、PMV値の変動が、所定の範囲内となるような風量に変更される。例えば、PMV値の変動が、0.25以内となるような風量に変更される。この場合、風量は、0.17m/sに変更される(図7において、H3で示す運転状態からH4で示す運転状態に変更される)。
【0084】
尚、本実施形態においては、風量の変動による消費電力の変動は、設定温度の変動による消費電力の変動に比べて小さく、上述のように風量を増加させる場合においても、冷房運転時においては、設定温度を0.5℃上昇させることで、空気調和機1の消費電力を低下させることができる。また、暖房運転時においては、設定温度を0.5℃低下させることで、空気調和機1の消費電力を低下させることができる。
【0085】
上述のように、運転状態が変更された後、電気料金の消費割合が目標値の100%に到達したか否かが判断される(ステップS12)。ここで、電気料金の消費割合が目標値の100%に到達した場合(S12:YES)には、電気料金の消費割合がユーザに知らされる(ステップS14)。その後、「本気節約モード」においては、空気調和機1の運転が停止される(ステップS15)。
【0086】
一方、目標値の100%に到達していない場合(S12:NO)には、定数NがN+10に変更され(ステップS13)、ステップS9に戻って同様の処理が繰り返される。つまり、定数Nは10ごとに変更されるので、次は、電気料金の消費割合が目標値の70%に到達したか否かが繰り返し判断され、その後、目標値の80%、90%に到達したか否かが順に判断されることになる。
【0087】
ところで、「らくらく節約モード」が設定された場合つまり「本気節約モード」が設定されなかった場合(S5:NO)にも同様に、電気料金の消費割合が目標値の50%に到達したか否かが繰り返し判断される(ステップS16)。そして、電気料金の消費割合が目標値の50%に到達した場合(S16:YES)には、その旨がユーザに知らされる(ステップS17)。
【0088】
その後、定数Nが0に設定され(ステップS18)、電気料金の消費割合が目標値の60+N%に到達したか否かが繰り返し判断される(ステップS19)。ここでは、定数Nは0に設定されているので、電気料金の消費割合が目標値の60%に到達したか否かが繰り返し判断される。そして、電気料金の消費割合が目標値の60%に到達した場合(S19:YES)には、その旨がユーザに知らされる(ステップS20)。
【0089】
また、このとき、空気調和機1における室内温度の設定温度が第2温度幅(0.5℃)だけ変更されるとともに吹出し風量が変更される(ステップS21)。
ここで、空気調和機1が冷房運転中である場合においては、設定温度は、第2温度幅だけ上昇される。そして、風量は、「本気節約モード」で説明したのと同様に、図6に示す関係表が参照され、設定温度の上昇とともにPMV値が変動しないように、または、PMV値の変動が0.25以内となるように変更される。
【0090】
一方、空気調和機1が暖房運転中である場合においては、設定温度は、第2温度幅だけ低下される。そして、風量は、「本気節約モード」で説明したのと同様に、図7に示す関係表が参照され、設定温度の低下とともにPMV値が変動しないように、または、PMV値の変動が0.25以内となるように変更される。
【0091】
その後、電気料金の消費割合が目標値の100%に到達したか否かが判断される(ステップS22)。
【0092】
ここで、電気料金の消費割合が目標値の100%に到達した場合(S22:YES)には、電気料金の消費割合がユーザに知らされる(ステップS24)。また、このとき、空気調和機1における室内温度の設定温度が第2温度幅だけ変更される(ステップS25)。その後、電気料金の消費割合のお知らせと設定温度の変更とが交互に繰り返される。
【0093】
一方、目標値の100%に到達していない場合(S22:NO)には、定数NがN+10に変更され(ステップS23)、ステップS19に戻って同様の処理が繰り返される。つまり、定数Nは10ごとに変更されるので、次は、目標値の70%に到達したか否かが繰り返し判断され、その後、目標値の80%、90%に到達したか否かが順に判断されることになる。
【0094】
本実施の形態では、例えば1日の目標値に対する電気料金の消費割合がユーザに知らされる場合において、ある1日における電気料金の積算値が1日の目標値よりも小さいときには、そのときの電気料金の積算値と目標値との差が次の日に繰り越されてもよい。つまり、この場合には、前日の電気料金の積算値と目標値との差が次の日の目標値に加算されるので、次の日においては、前日の電気料金の積算値と目標値との差が加算された目標値に対する消費割合がユーザに知らされることになる。
【0095】
以上説明したように、第1実施形態に係る空気調和機1は、所定期間内における電気料金の目標値を記憶する目標値記憶部32と、前記所定期間の開始時から実際に要した電気料金の積算値を算出する電気料金算出部33と、前記積算値の前記目標値に対する割合に基づいて運転状態を変更する制御部34とを備えている。そして、制御部34は、PMV値の変動が0.25以内となるように運転状態を変更する。
【0096】
この空気調和機1では、所定期間内における電気料金の目標値を設定しておくと、その所定期間の開始時から実際に要した電気料金の積算値の目標値に対する割合に基づいて、空気調和機1の運転状態が自動的に変更される。従って、電気料金の目標値を設定しておくだけで、ユーザが気付かないうちに、実際に要した電気料金の積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【0097】
更に、運転状態の変更は、PMV値の変動が0.25以内となるように行われるので、運転状態が自動的に変更されたときに、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制できる。これにより、ユーザに大きな不快感を与えることを防ぎつつ、目標値を考慮した運転を行うことが可能になる。尚、PMV値の変動が0.25以内となるように運転状態の変更が行われる場合に限らず、適宜、許容されるPMV値の変動量を変更して実施することができる。
【0098】
また、空気調和機1は、冷房運転時において、室内温度の設定温度を上昇させるとともに、吹出し口から室内に送風される風量を調整可能である。また、暖房運転時において、室内温度の設定温度を低下させるとともに、吹出し口から室内に送風される風量を調整可能である。
【0099】
この空気調和機では、室内温度の設定温度の変更に伴って、風量を変更することで、室内温度の設定温度のみを変更させる場合に比べて、PMV値の変動を小さくすることが可能になる。これにより、運転状態の変更時にユーザが感じる不快感をより小さくすることができる。
【0100】
また、空気調和機1は、冷房運転時において、室内温度の設定温度を上昇させるとともに吹出し口から室内に送風される風量を上昇させることにより運転状態を変更可能である。また、暖房運転時において、室内温度の設定温度を低下させるとともに前記風量を低下させることにより運転状態を変更可能である。
【0101】
この空気調和機1では、冷房運転時においては、室内温度の設定温度を上昇させることで、消費電力を低下させることができるとともに、吹出し口から室内に送風される風量を上昇させることにより、設定温度の上昇によりユーザに与える不快感を減少させることができる。また、暖房運転時においては、室内温度の設定温度を低下させることで、消費電力を低下させることができるとともに、吹出し口から室内に送風される風量を低下させることにより、設定温度の低下によりユーザに与える不快感を減少させることができる。これにより、簡易な制御で、運転状態の変更時にユーザが感じる不快感をより小さくすることができる。特に、設定温度とともに風量を変更することにより、設定温度を変更しても、PMV値を全く変動させないように制御することもできるため有効である。
【0102】
また、空気調和機1は、電気料金の積算値の目標値に対する割合が60%に達した場合に、運転状態を変更する。これにより、実際に要した電気料金が目標値を大幅に上回るのを、簡易な制御で、確実に防止することができる。また、ユーザは、電気料金の積算値の目標値に対する割合が60%に達するまでは、空気調和機の運転状態が自動的に変更されないようにすることができる。また、ユーザは、設定を変更することで、空気調和機の運転状態が変更されるタイミングを適宜変更することができる。
【0103】
また、空気調和機1は、電気料金の積算値の目標値に対する割合が60%に達してから、10%増加する度に、運転状態を変更する。これにより、実際に要した電気料金の積算値が目標値を大幅に上回るのを確実に防止することができる。また、ユーザは、設定を変更することで、空気調和機の運転状態が変更されるタイミングを適宜変更することができる。
【0104】
また、空気調和機1は、「本気節約モード」と「らくらく節約モード」とのいずれかのモードを設定可能であって、制御部34は、モード毎に互いに異なる温度ずつ室内温度の設定温度を上昇または低下させる。これにより、「本気節約モード」と「らくらく節約モード」とのそれぞれにおいて互いに異なる温度ずつ設定温度を変更されるので、ユーザは、節約の度合に応じて「本気節約モード」と「らくらく節約モード」とのいずれかを選択することができる。
【0105】
また、空気調和機1では、所定期間内における電気料金の目標値を設定しておくと、その所定期間内における電気料金の消費割合に関する情報が自動的に報知される。そのため、ユーザは、リモコンのスイッチを押す等の操作を行うことなく、電気料金の消費割合を知ることができる。従って、ユーザは、現在までに消費した電気料金の変化を把握することで、電気料金が目標値を上回るのを抑制するために、空気調和機1の使用を調整することが可能になる。また、電気料金の消費割合に関する情報が自動的に報知されることにより省エネの意識が啓発されると共に、ユーザは電気料金を目標値以内におさめることで節約の達成感及び満足感を得ることができる。
【0106】
尚、上述の実施の形態では、電気料金の消費割合がユーザに知らされる場合には、室内機2の表示部3での表示、スピーカ4からの報知及びリモコン10の表示部11への表示の全てが行われるが、それらのいずれかだけが行われてもよい。
【0107】
また、上述の実施の形態では、電気料金の積算値が算出され、その積算値の電気料金の目標値に対する消費割合がユーザに知らされるが、消費電力量の積算値が算出され、その積算値の目標値に対する消費割合がユーザに知らされてもよい。
【0108】
また、上述の実施形態では、室内温度の設定温度を上昇または低下させるとともに、室内機2の吹出し口から室内に送風される風量を調整しているが、この場合に限定されない。例えば、風量の調整を行わずに、室内機2の吹出し口から送風される風向きを調整することにより運転状態を変更可能してもよい。具体的には、冷房運転時において、設定温度を上昇させたときに、吹出し口から送風される風が、室内のユーザに直接あたり易いように、より下方に送風されるように風向きを変更する構成であってもよい。また、暖房運転時において、設定温度を低下させたときに、吹出し口から送風される風が、室内のユーザに直接あたりにくいように、より上方に送風されるように風向きを変更する構成であってもよい。
また、風量調整と、風向きの調整とが同時に行われる構成であってもよい。
【0109】
また、空気調和機に、設定湿度に基づいて室内の湿度を調整する湿度調整手段を設け、室内温度の設定温度を上昇させるとともに設定湿度を低下させ、または、室内温度の設定温度を低下させるとともに設定湿度を上昇させることにより運転状態を変更するように構成してもよい。具体的には、室内の空気を吸込んで除湿可能な除湿ユニット、及び/又は、室内に加湿空気を送風可能な加湿ユニットを空気調和機に設けて湿度調整手段を構成することができる。
【0110】
この空気調和機では、冷房運転時においては、室内温度の設定温度を上昇させるとともに設定湿度を低下させた場合、室内温度の設定温度を上昇させることによる消費電力の低下量に比べ、設定湿度を低下させることによる消費電力の増加量が小さければ、全体として消費電力を低下できる。この場合、設定湿度を低下させているので、単に設定温度のみを上昇させた場合に比べて、快適性レベルが低下することを抑制できる。
【0111】
また、暖房運転時においては、室内温度の設定温度を低下させるとともに設定湿度を上昇させた場合、室内温度の設定温度を低下させることによる消費電力の低下量に比べ、設定湿度を上昇させることによる消費電力の増加量が小さければ、全体として消費電力を低下できる。この場合、設定湿度を上昇させているので、設定温度のみを低下させた場合に比べて、快適性レベルが低下することを抑制できる。
【0112】
また、上述の設定温度の変更に伴う湿度調整、風量調整、風向き調整を適宜組み合わせた構成としてもよい。
【0113】
また、PMV値の変動が所定の範囲内になるように、設定温度のみの調整、設定湿度のみの調整、風量のみの調整、風向きのみの調整により、運転状態を変更してもよい。
【0114】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図8は、本発明の第2実施形態の空気調和機の制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【0115】
本実施の形態の空気調和機が第1実施形態の空気調和機1と主に異なる点は、第1実施形態では、電気料金の積算値が算出され、その積算値の電気料金の目標値に対する消費割合に基づいて運転状態が変更されるが、第2実施形態では、エネルギー消費量に基づいてCO2排出量の積算値が導出され、そのCO2排出量の積算値の目標値に対する消費割合に基づいて運転状態が変更される点である。本実施の形態の空気調和機の構成において、第1実施形態の空気調和機1と同様の構成については、同一の符号を付けて詳細な説明は省略する。
【0116】
制御ユニット130は、節約モード記憶部131と、目標値記憶部132と、CO2排出量算出部133と、制御部34とを有している。また、制御ユニット130には、室内機2の表示部3及びスピーカ4と、リモコン10の表示部11及び操作部12とがそれぞれ接続されている。尚、第1実施形態における電気料金表示部11bの代わりにCO2排出量の積算値を表示するCO2排出量表示部111bを有する。
【0117】
節約モード記憶部131は、空気調和機における節約モードに関する種々の設定を記憶するものである。節約モード記憶部131に記憶される設定には、「本気節約モード」と、「らくらく節約モード」との2つのモードがあり、各節約モードにおける詳細な設定には、CO2排出量の目標値の期間の設定と、CO2排出量の消費割合のユーザへのお知らせが開始される割合(例えば50%)の設定と、ユーザへのお知らせが開始された後において上記割合がどれくらい増加する度にお知らせを行うかを示す増加幅(例えば10%)の設定と、上記割合に応じて空気調和機の運転状態を変更する場合の設定温度の温度幅の設定とが含まれる。
【0118】
目標値記憶部132は、ユーザによって設定された各期間ごとのCO2排出量の目標値を記憶する。本実施の形態では、ユーザは、目標値記憶部132に対し、1年間、1ヶ月間、1週間、1日ごとの目標値を設定することができる。
【0119】
CO2排出量算出部133は、空気調和機での消費電力に基づいてCO2排出量の積算値を算出する。ここで、CO2排出量算出部133では、次式に基づいて、CO2排出量の積算値が算出される。
CO2排出量=消費電力量×CO2原単位
(但し、CO2原単位は、0.533 kg・CO2/kWh)
【0120】
本実施の形態では、ユーザに知らせるCO2排出量の消費割合は、CO2排出量算出部133で算出されたCO2排出量の積算値と、目標値記憶部132に記憶された各期間の目標値とに基づくものである。
【0121】
次に、本実施の形態の空気調和機の動作手順は、電気料金の目標値の代わりにCO2排出量の目標値が設定されることと、電気料金の消費割合の代わりにCO2排出量の消費割合が知らされること以外は、第1実施形態の空気調和機1の動作手順と同様である。
【0122】
以上説明したように、本実施の形態の空気調和機では、所定期間内におけるCO2排出量の目標値を設定しておくと、その所定期間内におけるCO2排出量の消費割合に基づいて運転状態が自動的に変更される。そのため、所定期間内におけるCO2排出量の目標値を設定しておくだけで、ユーザが気付かないうちに、実際に要したCO2排出量の積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
更に、運転状態の変更は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が所定の範囲内となるように行われるので、運転状態が自動的に変更されたときに、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制できる。これにより、ユーザに大きな不快感を与えることを防ぎつつ、目標値を考慮した運転を行うことが可能になる。
【0123】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図9は、本発明の第3実施形態の空気調和機の制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【0124】
本実施の形態の空気調和機が第1実施形態の空気調和機1と主に異なる点は、第1実施形態では、電気料金の積算値が算出され、その積算値の電気料金の目標値に対する消費割合に基づいて運転状態が変更されるが、本実施の形態では、空気調和機において低効率運転が行われる運転時間が計測され、その低効率運転時間の積算値の目標値に対する消費割合に基づいて運転状態が変更される点である。本実施の形態の空気調和機の構成において、第1実施形態の空気調和機1と同様の構成については、同一の符号を付けて詳細な説明は省略する。
【0125】
制御ユニット230は、節約モード記憶部231と、目標値記憶部232と、低効率運転時間算出部233と、制御部34とを有している。また、制御ユニット230には、室内機2の表示部3及びスピーカ4と、リモコン10の表示部11及び操作部12とがそれぞれ接続されている。尚、第1実施形態における電気料金表示部11bの代わりに低効率運転時間の積算値を表示する低効率運転時間表示部211bを有する。
【0126】
節約モード記憶部231は、空気調和機における節約モードに関する種々の設定を記憶するものである。節約モード記憶部231に記憶される設定には、「本気節約モード」と、「らくらく節約モード」との2つのモードがあり、各節約モードにおける詳細な設定には、低効率運転時間の目標値の期間の設定と、低効率運転時間の消費割合のユーザへのお知らせが開始される割合(例えば50%)の設定と、ユーザへのお知らせが開始された後において上記割合がどれくらい増加する度にお知らせを行うかを示す増加幅(例えば10%)の設定と、上記割合に応じて空気調和機の運転状態を変更する場合の設定温度の温度幅の設定とが含まれる。
【0127】
目標値記憶部232は、ユーザによって設定された各期間ごとの低効率運転時間の目標値を記憶する。本実施の形態では、ユーザは、目標値記憶部232に対し、1年間、1ヶ月間、1週間、1日ごとの目標値を設定することができる。
【0128】
低効率運転時間算出部233は、空気調和機において低効率運転が行われる時間を計測(算出)する。そして、ユーザに知らせる低効率運転時間の消費割合は、低効率運転時間算出部233で算出された低効率運転時間の積算値と、目標値記憶部232に記憶された各期間の目標値とに基づくものである。ここで、低効率運転とは、外気温度などに応じた最も効率のよい運転(省エネ運転)より効率が低い状態での運転であって、例えば運転周波数が高い、風量設定が低い状態等での運転などが設定される。
【0129】
ここで、本実施の形態において、低効率運転時間算出部233において計測が行われる手順について、図10を参照して説明する。図10は、低効率運転時間算出部において計測が行われる手順を示すフローチャートを示す図である。
【0130】
まず、空気調和機の圧縮機の運転周波数が所定の運転周波数以上(例えば60Hz以上)か否かが判断される(ステップS31)。ここで、圧縮機の運転周波数が所定の運転周波数以上である場合(S31:YES)には、冷房運転が行われているか否かが判断される(ステップS32)。ここで、冷房運転が行われている場合(S32:YES)には、外気温度が第1の所定温度以上(例えば35℃以上)であり且つ室内温度が第2の所定温度以下(例えば27℃以下)であるか否かが判断される(ステップS33)。ここで、外気温度が第1の所定温度以上であり且つ室内温度が第2の所定温度以下である場合(S33:YES)には、室内機の風量が所定量以下(例えばLタップ以下)か否かが判断される(ステップS34)。ここで、室内機の風量が所定量以下である場合(S34:YES)には、空気調和機の運転状態が低効率運転であると判断され、低効率運転時間の計測が行われる(ステップS35)。
【0131】
また、ステップS34において、冷房運転時の室内機の風量が所定量以下でない場合(S34:NO)には、室内機のフラップのスイング動作が行われていないか否かが判断される(ステップS37)。ここで、室内機のフラップのスイング動作が行われていない場合(S37:YES)には、空気調和機の運転状態が低効率運転であると判断され、低効率運転時間の計測が行われる(ステップS35)。
【0132】
一方、ステップS32において、冷房運転が行われていない場合つまり暖房運転が行われている場合(S32:NO)には、外気温度が第3の所定温度以下(例えば7℃以下)であり且つ室内温度が第4の所定温度以上(例えば25℃以上)であるか否かが判断される(ステップS36)。ここで、外気温度が第3の所定温度以下であり且つ室内温度が第4の所定温度以上である場合(S36:YES)には、室内機の風量が所定量以下(例えばLタップ以下)か否かが判断される(ステップS34)。ここで、室内機の風量が所定量以下である場合(S34:YES)には、空気調和機の運転状態が低効率運転であると判断され、低効率運転時間の計測が行われる(ステップS35)。
【0133】
また、ステップS34において、暖房運転時の室内機の風量が所定量以下でない場合(S34:NO)には、室内機のフラップのスイング動作が行われていないか否かが判断される(ステップS37)。ここで、室内機のフラップのスイング動作が行われていない場合(S37:YES)には、空気調和機の運転状態が低効率運転であると判断され、低効率運転時間の計測が行われる(ステップS35)。
【0134】
ところで、ステップS33において、外気温度が第1の所定温度以上であり且つ室内温度が第2の所定温度以下でない場合(S33:NO)や、ステップS36において、外気温度が第3の所定温度以下であり且つ室内温度が第4の所定温度以上でない場合(S36:NO)や、ステップS37において、室内機のフラップのスイング動作が行われている場合(S37:NO)には、空気調和機の運転状態が低効率運転でないと判断され、低効率運転時間の計測が終了する(ステップS38)。
【0135】
上記のステップS35及びステップS38の後は、ステップS31に戻って、上記と同様の手順が繰り返される。
【0136】
次に、本実施の形態の空気調和機の動作手順は、電気料金の目標値の代わりに低効率運転時間の目標値が設定されることと、電気料金の消費割合の代わりに低効率運転時間の消費割合に基づいて運転状態が変更されること以外は、第1の実施の形態の空気調和機1の動作手順と同様である。
【0137】
以上説明したように、本実施の形態の空気調和機では、所定期間内における低効率運転時間の目標値を設定しておくと、その所定期間内における低効率運転時間の消費割合に基づいて運転状態が自動的に変更される。そのため、所定期間内における低効率運転時間の目標値を設定しておくだけで、ユーザが気付かないうちに、実際に要した低効率運転時間の積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
更に、運転状態の変更は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が所定の範囲内となるように行われるので、運転状態が自動的に変更されたときに、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制できる。これにより、ユーザに大きな不快感を与えることを防ぎつつ、目標値を考慮した運転を行うことが可能になる変更される。
【0138】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図11は、本発明の第4実施形態の空気調和機の制御ユニットの構成を示すブロック図である。図12は、第4実施形態の空気調和機の動作手順を示すフローチャートを示す図である。
【0139】
第4実施形態においては、第1実施形態における電気料金算出部33の代わりに、所定期間の開始時から実際に要した消費電力量の積算値(消費電力量W)を算出する算出手段として消費電力量算出部333を備え、電気料金表示部11bの代わりに消費電力量の積算値を表示する消費電力量表示部311bを備えている。その他、動作手順以外の構成は、第1実施形態と同様であるため、同一部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0140】
制御ユニット330は、節約モード記憶部331と、目標値記憶部332と、消費電力量算出部333と、制御部34とを有している。また、制御ユニット330には、室内機2の表示部3及びスピーカ4と、リモコン10の表示部11及び操作部12とがそれぞれ接続されている。
【0141】
節約モード記憶部331は、空気調和機における節約モードに関する種々の設定を記憶するものである。節約モード記憶部331に記憶される設定には、「本気節約モード」と、「らくらく節約モード」との2つのモードがあり、各節約モードにおける詳細な設定には、消費電力量の目標値の期間の設定と、消費電力量の消費割合に応じて空気調和機の運転状態を変更する場合の設定温度の温度幅の設定とが含まれる。
【0142】
目標値記憶部332は、ユーザによって設定された各期間ごとの消費電力量の目標値を記憶する。本実施の形態では、ユーザは、目標値記憶部332に対し、1年間、1ヶ月間、1週間、1日ごとの目標値を設定することができる。
【0143】
消費電力量算出部333は、空気調和機の消費電力及び運転時間に基づいて消費電力量の積算値を算出する。
【0144】
第4実施形態においては、ユーザが1日の消費電力量の目標値Wdを設定して空気調和機を運転する場合について説明する。また、ユーザにより「本気節約モード」が選択されている場合について説明する。
【0145】
まず、ユーザによって消費電力量の目標値Wdが設定される(ステップS101)。ユーザが設定した1日の目標値Wdは、目標値記憶部332に記憶される。
【0146】
そして、定数Nが1に設定されるとともに、経過時間tの計測、及び、消費電力量Wの積算が開始される(ステップS102)。即ち、当該ステップS102においてtが0に設定されるとともに、当該ステップS102以降、tの値は当該ステップS102から時間が経過するにつれて増加していく。尚、本実施形態では、tの値の単位は「時間(hour)」である。また、当該ステップS102において消費電力量Wが0に設定されるとともに、当該ステップS102以降、空気調和機が運転されることにより、当該空気調和機の消費電力及び運転時間に基づいて、消費電力量Wの値が増加していく。
【0147】
次に、ステップS102にて経過時間の測定を開始した時刻(以下、測定開始時刻と称する)から、2×N時間経過したかが判断される(S103)。即ち、N=1であるので、測定開始時刻から、2時間経過したかが判断される。
【0148】
測定開始時刻から2×N時間が経過していない場合(S103:NO)は、2×N時間が経過するまで次のステップには進まない。
測定開始時刻から2×N時間が経過した場合(S103:YES)は、測定開始時刻から現在までに消費した電力量(消費電力量W)が、1日の目標値Wdと測定開始時刻から経過した時間tとに基づいて算出される変動目標値Wdtよりも大きいか否かを判断される(S104)。変動目標値Wdtは、1日の目標値をWd、測定開始時刻から経過した時間をt時間として、以下の式で表される。
Wdt=(Wd/24)×t
【0149】
そして、消費電力量Wが変動目標値Wdtよりも大きい場合(S104:YES)には、空気調和機における室内温度の設定温度が第1温度幅(1℃)だけ変更されるとともに吹出し風量が変更される(ステップS106)。尚、ステップS106における運転状態の変更方法は、第1実施形態におけるステップS11と同様であるため説明は省略する。
【0150】
一方、消費電力量Wが、変動目標値Wdt以下である場合(S104:NO)は、定数NがN+1に変更される(ステップS105)。そして、ステップS103に戻って同様の処理が繰り返される。
【0151】
ステップ106にて、運転状態が変更された場合は、その後、消費電力量Wが1日の目標値Wdに到達したか否かが判断される(ステップS107)。
消費電力量Wが1日の目標値Wdに到達した場合(S107:YES)には、空気調和機1の運転が停止される(ステップS108)。
一方、消費電力量Wが1日の目標値Wdに到達していない場合(S107:NO)には、測定開始時刻から24時間(1日)が経過したか否かが判断される(S109)。
【0152】
測定開始時刻から24時間が経過している場合(S109:YES)は、図12のフローチャートに基づく動作は終了する。
一方、測定開始時刻から24時間が経過していない場合(S109:NO)は、定数NがN+1に変更される(ステップS105)。そして、ステップS103に戻って同様の処理が繰り返される。
【0153】
以上説明したように、第4実施形態に係る空気調和機は、所定期間(1日)の消費電力量の目標値Wd及び変動目標値Wdtを記憶する目標値記憶部332と、前記所定期間の開始時(本実施形態においては、ステップS102におけるW=0の設定時)から実際に要した消費電力量の積算値である消費電力量W(エネルギー消費に関する項目についての積算値)を算出する消費電力量算出部333と、消費電力量Wの変動目標値Wdtに対する割合に基づいて運転状態を変更する制御部34とを備えている。そして、制御部34は、PMV値の変動が0.25以内となるように運転状態を変更する。
【0154】
この空気調和機では、1日の消費電力量の目標値Wdを設定しておくと、自動的に、経過時間により変動する目標値である変動目標値Wdtが算出される。そして、消費電力量Wの変動目標値Wdtに対する割合に基づいて、空気調和機の運転状態が自動的に変更される。従って、1日の消費電力量の目標値Wdを設定しておくだけで、ユーザが気付かないうちに、実際に要した消費電力量Wが目標値Wdを大幅に上回るのを防止することができる。
【0155】
尚、第4実施形態においては、変動目標値Wdtは、1日の目標値をWd、測定開始時刻から経過した時間をt時間として、以下の式で表されるがこの場合に限らない。
Wdt=(Wd/24)×t
【0156】
例えば、変動目標値Wdtを、時間の増加に対して対数関数的に増加するように、以下の式により算出される値とすることもできる。
Wdt=Wd×Log25(t+1)
この場合、1日における早い時間帯にユーザの設定した運転状態が変更されることを少なくすることができる。
【0157】
また、変動目標値Wdtを、時間の増加に対して指数関数的に増加するように、以下の式により算出される値とすることもできる。尚、以下の式における定数W0は、測定開始時刻において少なくとも許容される消費電力量に相当する定数であり、W0<Wdとなる定数である。
Wdt=W0+(Wd−W0)(t+1)/25
この場合、1日における遅い時間帯にユーザの設定した運転状態が変更されることを少なくすることができる。
【0158】
また、第4実施形態においては、2時間毎に、消費電力量Wが変動目標値Wdtよりも大きいか否かが判断されるが、この場合に限らず、1時間毎、3時間毎、4時間毎等、適宜変更して実施することができる。尚、このように、所定の時間毎に、運転状態を変更するか否かを判断する構成とすることで、運転状態が変更される時間間隔が過度に短くなることを抑制することができる。これにより、ユーザが感じる不快感をより抑制することができる。
【0159】
また、第4実施形態は、1日の目標値Wdをユーザが設定して、2時間毎に、消費電力量Wが変動目標値Wdtよりも大きいか否かが判断される構成であるが、この場合に限らない。
例えば、1週間の目標値Wwをユーザが設定して、当該設定された目標値Wwに基づいて、1日の目標値Wdを自動的に算出し、1日毎に、消費電力量Wが目標値Wdよりも大きいか否かを判断する構成であってもよい。そして、1日が終了した時に、その日の目標値Wdと実際に要したその日の消費電力量Wとの差に基づいて、その後の日々の目標値を算出しなおすことができる。尚、この場合においても、2時間毎に、消費電力量Wが、1日の目標値Wdに基づいて算出される所定の変動目標値Wdtよりも大きいか否かが判断され、運転状態が適宜変更される。
【0160】
また、例えば、1ヶ月の目標値Wmをユーザが設定して、当該設定された目標値Wmに基づいて、1週間毎の目標値Ww、及び、1日の目標値Wdを自動的に算出する構成であってもよい。そして、1週間が終了した時に、その週の目標値Wwと実際に要したその週の消費電力量との差に基づいて、その後の各週の目標値及び日々の目標値を算出しなおすことができる。
【0161】
また、例えば、冷房シーズン(例えば、5〜10月の6ヶ月など)、又は、暖房シーズン(例えば、11月〜4月の6ヶ月など)の目標値をユーザが設定して、当該設定された目標値に基づいて、1ヶ月毎の目標値Wm、1週間毎の目標値Ww、及び、1日の目標値Wdを自動的に算出する構成であってもよい。そして、1ヶ月が終了した時に、その月の目標値Wmと、実際に要したその月の消費電力量との差に基づいて、その後の各月、各週、日々の目標値を算出しなおすことができる。
【0162】
また、例えば、一年の目標値をユーザが設定して、当該設定された目標値に基づいて、1ヶ月毎の目標値Wm、1週間毎の目標値Ww、及び、1日の目標値Wdを自動的に算出する構成であってもよい。この場合、過去の年間運転実績や、気象データ等を考慮して、各シーズン(例えば、5〜10月の冷房シーズン、11月〜4月の暖房シーズン)の目標値を算出し、当該各シーズンの目標値に基づいて、1ヶ月毎の目標値Wm、1週間毎の目標値Ww、及び、1日の目標値Wdを自動的に算出する構成であってもよい。
【0163】
尚、上記第4実施形態は節約モードおける一のモード(「本気節約モード」)のみを説明したが、第1実施形態と同じように、ユーザが他のモード(「らくらく節約モード」)を選択した場合には、運転状態を変更するときの温度幅が小さくなるように制御される。
【0164】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係る空気調和機の動作手順について、図13を参照して説明する。図13は、第5実施形態の空気調和機の動作手順を示すフローチャートを示す図である。尚、動作手順以外の構成は、第4実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0165】
第5実施形態においては、第4実施形態と同様に、ユーザが1日の消費電力量の目標値Wdを設定して空気調和機を運転する場合について説明する。尚、第5実施形態は、ステップS204において、第4実施形態と異なっている。その他のステップS201〜S203、S205〜S209については、第4実施形態のステップS101〜S103、S105〜S109とそれぞれ同様であるため適宜説明を省略する。
【0166】
まず、第4実施形態と同様に、ユーザによる消費電力量の目標値Wdの設定(S201)、定数Nの設定、経過時間t及び消費電力量Wの計測が開始され(S202)、その後、経過時間tの判断(S203)が行われ、測定開始時刻から2×N時間が経過した場合(S203:YES)は、ステップS204に進む。
【0167】
ステップS204においては、測定開始時刻から現在までに消費した電力量(消費電力量W)と、現時点の空気調和機の運転状態における消費電力Pと、測定開始時刻から24時間経過するまでの時間(残り時間Tr)と、に基づいて算出される推定値Erと、前記目標値Wdとを比較して運転状態を変更するか否かが判断される。具体的には、以下の式により、測定開始時刻から24時間経過した時点で消費すると推定される推定値Erを算出し、当該推定値Erの、1日の目標値Wdに対する割合に基づいて運転状態を変更する。
【0168】
Er=(P×Tr)+W
Tr=24−t
【0169】
更に具体的には、算出された推定値Erが、目標値Wdよりも大きいか否かが判断される(S204)。
そして、推定値Erが目標値Wdよりも大きい場合(S204:YES)には、空気調和機における室内温度の設定温度が第1温度幅(1℃)だけ変更されるとともに吹出し風量が変更される(ステップS206)。尚、ステップS206における運転状態の変更方法は、第1実施形態におけるステップS11と同様であるため説明は省略する。
【0170】
一方、推定値Erが目標値Wd以下である場合(S204:NO)は、定数NがN+1に変更される(ステップS205)。そして、ステップS203に戻って同様の処理が繰り返される。
【0171】
ステップ206にて運転状態が変更された後、消費電力量Wが1日の目標値Wdに到達していれば(S207:YES)、空気調和機1の運転が停止される(ステップS208)。一方、消費電力量Wが1日の目標値Wdに到達していなければ(S207:NO)、測定開始時刻から24時間(1日)が経過したか否かが判断され(S209)、測定開始時刻から24時間が経過していれば(S209:YES)、図13のフローチャートに基づく動作は終了する。一方、測定開始時刻から24時間が経過していなければ(S209:NO)、定数NがN+1に変更され(S205)、ステップS203に戻って同様の処理が繰り返される。
【0172】
以上説明したように、第5実施形態に係る空気調和機は、所定期間(1日)の消費電力量の目標値Wdを記憶する目標値記憶部332と、前記所定期間の開始時(本実施形態においては、ステップS202におけるW=0の設定時)から実際に要した消費電力量の積算値である消費電力量Wを算出する消費電力量算出部333と、消費電力Pに前記所定期間の終了時までの残り時間Trを乗算して得られる値と、消費電力量Wと、の和である推定値Erの、目標値Wdに対する割合に基づいて運転状態を変更する制御部34とを備える。そして、制御部34は、PMV値の変動が0.25以内となるように運転状態を変更する。
【0173】
この空気調和機では、1日の消費電力量の目標値Wdを設定しておくと、推定値Erの目標値Wdに対する割合に基づいて、空気調和機の運転状態が自動的に変更される。即ち、1日に消費されると推定される消費電力量の目標値Wdに対する割合に基づいて、空気調和機の運転状態が変更される。従って、1日の消費電力量の目標値Wdを設定しておくだけで、ユーザが気付かないうちに、実際に要した消費電力量Wが目標値Wdを大幅に上回るのを防止することができる。
更に、運転状態の変更は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が0.25以内となるように行われるので、運転状態が自動的に変更されたときに、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制できる。これにより、ユーザに大きな不快感を与えることを防ぎつつ、目標値を考慮した運転を行うことが可能になる。
【0174】
尚、第5実施形態においては、消費電力量に基づいて運転状態を変更しているが、この場合に限らない。例えば、第1〜3実施形態と同様に、所定期間内における電気料金、CO2排出量、低効率運転が行われる運転時間等の目標値を記憶する記憶手段と、前記所定期間の開始時から実際に要した電気料金等の積算値を算出する算出手段と、単位時間あたりの電気料金等の増加量に前記所定期間の終了時までの残り時間を乗算して得られる値と、前記積算値と、の和である推定値の、前記目標値に対する割合に基づいて運転状態を変更するように構成してもよい。
【0175】
また、第5実施形態に係る空気調和機は、推定値Erが、目標値Wdよりも大きい場合は、消費電力を減少させるように運転状態を変更する。これにより、簡易な構成で、実際に要した消費電力量Wが目標値Wdを大幅に上回るのを防止することができる。
【0176】
尚、一旦消費電力を減少させるように運転状態を変更させた後、推定値Erが、目標値Wdよりも小さくなった場合は、消費電力を増加させて、ユーザの快適性が向上するように運転状態を変更させることもできる。この場合、実際に要した消費電力量Wが目標値Wdを大幅に下回るように空気調和機が制御されてユーザの要求する快適性が損なわれることを簡易な構成で防止することができる。
【0177】
[第6実施形態]
次に、第6実施形態に係る空気調和機の動作手順について、図14を参照して説明する。図14は、第6実施形態の空気調和機の動作手順を示すフローチャートを示す図である。尚、動作手順以外の構成は、第5実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0178】
第6実施形態においては、ユーザが1年の消費電力量の目標値Wyを設定して空気調和機を運転する場合について説明する。尚、第6実施形態は、ステップS301、S308〜S313において、第5実施形態と異なっている。その他のステップS302〜S307については、第5実施形態のステップS202〜S207とそれぞれ同様であるため適宜説明を省略する。
【0179】
まず、ユーザによる一年間の消費電力量の目標値Wyの設定が行われる(S301)。このとき、制御部34により、自動的に、1日の目標値Wd、1週間の目標値Ww、1ヶ月の目標値Wmがそれぞれ算出される。尚、当該目標値の算出方法は、第1実施形態で説明した単純分割方法又はトレンド推測方法等が用いられる。
また、当該ステップS301にて目標値が設定された時刻(目標設定時刻)が制御ユニット30の記憶部に記憶される。例えば、空気調和機が、リモコン等の表示部に現在の時刻表示を行うために備えるタイマー機能を用いて、目標値が設定されたときの時刻を判断することができる。また、空気調和機に電波時計の機能が設けられている場合は、当該電波時計の機能を用いて目標値が設定されたときの時刻を判断することができる。
【0180】
その後、第5実施形態におけるステップS202〜S207とそれぞれ同様に、ステップS302〜S307が行われる。
【0181】
ステップS307において、消費電力量Wが1日の目標値Wdを超えていれば(S307:YES)、空気調和機1の運転が停止され(ステップS308)、その後、ステップS309に進む。一方、消費電力量Wが1日の目標値Wdを超えていなければ(S307:NO)、運転を停止することなく、ステップS309に進む。
【0182】
ステップS309においては、測定開始時刻から24時間(1日)が経過したか否かが判断され、測定開始時刻から24時間が経過していれば(S309:YES)、ステップS310に進む。一方、測定開始時刻から24時間が経過していなければ(S309:NO)、定数NがN+1に変更され(S305)、ステップS303に戻って同様の処理が繰り返される。
【0183】
ステップ310においては、目標設定時刻から1週間経過したか否かが判断される。即ち、ステップS301で記憶された目標設定時刻のデータ、及び、空気調和機が備えるタイマー機能等から判断される現時点の時刻に基づいて、目標設定時刻から1週間経過したか否かが判断される。
【0184】
目標設定時刻から1週間経過していない場合は(S310:NO)、1日の目標値Wdが、新たな目標値に再設定される(S311)。
【0185】
再設定される新たな1日の目標値Wdは、ステップS301で予め算出されて、記憶部に記憶されているものを用いることができる。また、例えば過去1日の消費電力量がその日の目標値よりも小さいときには、当該消費電力量と当該目標値との差を次の日の目標値に繰り越すことができる。つまり、この場合には、当該差をステップS301で算出された目標値に加算した値が、再設定される新たな目標値となる。
【0186】
また、制御ユニット30の記憶部には、初期値0として総消費電力量W’が予め記憶されており、現時点までに積算された消費電力量Wが、当該総消費電力量W’に加算されて記憶される(S311)。
【0187】
その後、ステップS302に戻って同様の処理が繰り返される。
尚、ステップS302にて、定数Nが1に設定されるとともに、経過時間tが0に戻され、その後、時間の経過に伴って、tが0から増加していくことになる。また、積算された消費電力量Wは0に戻され、再度0から積算される。
【0188】
目標設定時刻から1週間経過している場合は(S310:YES)、目標設定時刻から1ヶ月経過したか否かが判断される(S312)。即ち、ステップS301で記憶した目標設定時刻のデータ、及び、空気調和機が備えるタイマー機能等から判断される現時点の時刻に基づいて、目標設定時刻から1ヶ月経過したか否かが判断される。
【0189】
目標設定時刻から1ヶ月経過していない場合は(S312:NO)、今後1週間の目標値Ww、及び、1日の目標値Wdが、新たな目標値に再設定され(S311)、その後、ステップS302に戻って同様の処理が繰り返される。
再設定される新たな1週間の目標値Wwは、ステップS301で予め算出されて、記憶部に記憶されているものを用いることができる。また、例えば過去1週間の消費電力量がその週の目標値よりも小さいときには、当該消費電力量と当該目標値との差を次の週の目標値に繰り越すことができる。つまり、この場合には、当該差をステップS301で算出された目標値に加算した値が、再設定される新たな目標値となる。
また、各日の目標値Wdについては、ステップ311にて、上述の再設定された1週間の目標値Wwに基づいて、算出することができる。また、直前1週間の消費電力量データに基づいて、今後1週間における各日の目標値Wdを決定してもよい。
【0190】
目標設定時刻から1ヶ月経過している場合は(S312:YES)、目標設定時刻から1年経過したか否かが判断される(S313)。即ち、ステップS301で記憶した目標設定時刻のデータ、及び、空気調和機が備えるタイマー機能等から判断される現時点の時刻に基づいて、目標設定時刻から1年経過したか否かが判断される。
【0191】
目標設定時刻から1年経過していない場合は(S313:NO)、1ヶ月の目標値Wm、1週間の目標値Ww、及び、1日の目標値Wdが、新たな目標値に再設定され(S311)、その後、ステップS302に戻って同様の処理が繰り返される。
再設定される新たな1ヶ月の目標値Wmは、ステップS301で予め算出されて、記憶部に記憶されているものを用いることができる。また、例えば過去1ヶ月の消費電力量がその月の目標値よりも小さいときには、当該消費電力量と当該目標値との差を次の月の目標値に繰り越すことができる。つまり、この場合には、当該差をステップS301で算出された目標値に加算した値が、再設定される新たな目標値となる。
また、今後の各週の目標値Wwについては、ステップ311にて、上述の再設定された1ヶ月の目標値Wmに基づいて、算出することができる。
また、今後の各日の目標値Wdについては、ステップ311にて、上述の再設定された1週間の目標値Wwに基づいて、算出することができる。
また、これらの目標値Ww及び目標値Wdは、直前1ヶ月或いは1週間の消費電力量データに基づいて決定してもよい。
【0192】
目標設定時刻から1年経過している場合は(S313:YES)、図14のフローチャートに基づく動作は終了する。
【0193】
以上説明したように、第6実施形態に係る空気調和機は、所定期間(1年、1ヶ月、1週間、1日)の消費電力量の目標値(目標値Wy、目標値Wm、目標値Ww、目標値Wd)を記憶する目標値記憶部332と、前記所定期間の開始時(本実施形態においては、ステップS302におけるW=0の設定時)から実際に要した消費電力量の積算値である消費電力量Wを算出する消費電力量算出部333と、消費電力Pに前記所定期間の終了時までの残り時間Trを乗算して得られる値と、消費電力量Wと、の和である推定値Erの、目標値Wdに対する割合に基づいて運転状態を変更する制御部34とを備える。そして、制御部34は、PMV値の変動が0.25以内となるように運転状態を変更する。
【0194】
この空気調和機では、1年の消費電力量の目標値Wyを設定すると、自動的に1日の消費電力量の目標値Wdが算出されて設定される。そして、推定値Erの目標値Wdに対する割合に基づいて、空気調和機の運転状態が自動的に変更される。即ち、1日に消費されると推定される消費電力量の目標値Wdに対する割合に基づいて、空気調和機の運転状態が変更される。従って、ユーザが気付かないうちに、実際に要した1日の消費電力量が1日の目標値Wdを大幅に上回るのを防止することができる。結果として、実際に要した1年の消費電力量W’が1年の目標値Wyを大幅に上回るのを防止することができる。
更に、運転状態の変更は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が0.25以内となるように行われるので、運転状態が自動的に変更されたときに、ユーザの快適性が大幅に変動することを抑制できる。これにより、ユーザに大きな不快感を与えることを防ぎつつ、目標値を考慮した運転を行うことが可能になる。
【0195】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0196】
上記実施形態においては、 人間の温熱感覚に基づく快適性レベルとしてPMV値を用いているがこの場合に限らない。PMV値以外の人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの指標を用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0197】
本発明を利用すれば、所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値を設定しておくだけで、ユーザが気付かないうちに、実際に要した前記項目についての積算値が目標値を大幅に上回るのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0198】
【図1】本発明の第1実施形態に係る空気調和機の斜視図である。
【図2】図1の室内機の部分拡大図である。
【図3】図1のリモコンを示す図である。
【図4】図1の空気調和機の制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図5】図1の空気調和機における動作手順を示すフローチャートを示す図である。
【図6】夏場における室温と風量とPMV値との関係表を示す図である。
【図7】冬場における室温と風量とPMV値との関係表を示す図である。
【図8】第2実施形態の空気調和機の制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図9】第3実施形態の空気調和機の制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図10】図9の空気調和機の低効率運転時間算出部において計測が行われる手順を示すフローチャートである。
【図11】第4実施形態の空気調和機の制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図12】図11の空気調和機の動作手順を示すフローチャートを示す図である。
【図13】第5実施形態の空気調和機の動作手順を示すフローチャートを示す図である。
【図14】第6実施形態の空気調和機の動作手順を示すフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0199】
1 空気調和機
2 室内機
3 表示部
4 スピーカ
10 リモコン
30 制御ユニット
31 節約モード記憶部
32 目標値記憶部(記憶手段)
33 電気料金算出部(算出手段)
34 制御部(制御手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値を記憶する記憶手段(32、132、232)と、
前記所定期間の開始時から実際に要した前記項目についての積算値を算出する算出手段(33、133、233)と、
前記積算値の前記目標値に対する割合に基づいて運転状態を変更する制御手段(34)とを備え、
前記制御手段は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が所定の範囲内となるように運転状態を変更することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値を記憶する記憶手段(332)と、
前記所定期間の開始時から実際に要した前記項目についての積算値を算出する算出手段(333)と、
前記積算値と、当該積算値の単位時間あたりの増加量に前記所定期間の終了時までの残り時間を乗算して得られる値と、の和である推定値の、前記目標値に対する割合に基づいて運転状態を変更する制御手段(34)とを備え、
前記制御手段は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が所定の範囲内となるように運転状態を変更することを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記推定値が、前記目標値よりも大きい場合は、消費電力を減少させるように運転状態を変更することを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記制御手段は、前記推定値が、前記目標値よりも小さい場合は、消費電力を増加させるように運転状態を変更することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記制御手段は、室内温度の設定温度を上昇または低下させるとともに、吹出し口から室内に送風される風量及び風向きの少なくともいずれかを調整することにより運転状態を変更可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記制御手段は、室内温度の設定温度を上昇させるとともに吹出し口から室内に送風される風量を上昇させ、または、室内温度の設定温度を低下させるとともに前記風量を低下させることにより運転状態を変更可能であることを特徴とする請求項5に記載の空気調和機。
【請求項7】
設定湿度に基づいて室内の湿度を調整する湿度調整手段を備え、
前記制御手段は、室内温度の設定温度を上昇させるとともに設定湿度を低下させ、または、室内温度の設定温度を低下させるとともに設定湿度を上昇させることにより運転状態を変更可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記制御手段は、室内温度の設定温度のみを上昇または低下させることにより運転状態を変更可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項9】
設定湿度に基づいて室内の湿度を調整する湿度調整手段を備え、
前記制御手段は、設定湿度のみを上昇または低下させることにより運転状態を変更可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項10】
前記制御手段は、吹出し口から室内に送風される風量のみを調整することにより運転状態を変更可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項11】
前記制御手段は、吹出し口から室内に送風される風向きのみを調整することにより運転状態を変更可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項12】
前記制御手段は、前記積算値の前記目標値に対する割合が所定割合に達した場合に、消費電力を減少させるように運転状態を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項13】
前記制御手段は、前記積算値の前記目標値に対する割合が所定値だけ変化する度に、消費電力を減少させるように運転状態を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項14】
複数のモードのうちのいずれかのモードを設定可能であって、
前記制御手段は、モード毎に互いに異なるように運転状態を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項15】
前記エネルギー消費に関する項目は、消費電力量、電気料金、CO2排出量、及び、低効率運転が行われる運転時間のいずれか一つであることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項1】
所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値を記憶する記憶手段(32、132、232)と、
前記所定期間の開始時から実際に要した前記項目についての積算値を算出する算出手段(33、133、233)と、
前記積算値の前記目標値に対する割合に基づいて運転状態を変更する制御手段(34)とを備え、
前記制御手段は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が所定の範囲内となるように運転状態を変更することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
所定期間内におけるエネルギー消費に関する項目についての積算値の目標値を記憶する記憶手段(332)と、
前記所定期間の開始時から実際に要した前記項目についての積算値を算出する算出手段(333)と、
前記積算値と、当該積算値の単位時間あたりの増加量に前記所定期間の終了時までの残り時間を乗算して得られる値と、の和である推定値の、前記目標値に対する割合に基づいて運転状態を変更する制御手段(34)とを備え、
前記制御手段は、人間の温熱感覚に基づく快適性レベルの変動が所定の範囲内となるように運転状態を変更することを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記推定値が、前記目標値よりも大きい場合は、消費電力を減少させるように運転状態を変更することを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記制御手段は、前記推定値が、前記目標値よりも小さい場合は、消費電力を増加させるように運転状態を変更することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記制御手段は、室内温度の設定温度を上昇または低下させるとともに、吹出し口から室内に送風される風量及び風向きの少なくともいずれかを調整することにより運転状態を変更可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記制御手段は、室内温度の設定温度を上昇させるとともに吹出し口から室内に送風される風量を上昇させ、または、室内温度の設定温度を低下させるとともに前記風量を低下させることにより運転状態を変更可能であることを特徴とする請求項5に記載の空気調和機。
【請求項7】
設定湿度に基づいて室内の湿度を調整する湿度調整手段を備え、
前記制御手段は、室内温度の設定温度を上昇させるとともに設定湿度を低下させ、または、室内温度の設定温度を低下させるとともに設定湿度を上昇させることにより運転状態を変更可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記制御手段は、室内温度の設定温度のみを上昇または低下させることにより運転状態を変更可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項9】
設定湿度に基づいて室内の湿度を調整する湿度調整手段を備え、
前記制御手段は、設定湿度のみを上昇または低下させることにより運転状態を変更可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項10】
前記制御手段は、吹出し口から室内に送風される風量のみを調整することにより運転状態を変更可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項11】
前記制御手段は、吹出し口から室内に送風される風向きのみを調整することにより運転状態を変更可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項12】
前記制御手段は、前記積算値の前記目標値に対する割合が所定割合に達した場合に、消費電力を減少させるように運転状態を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項13】
前記制御手段は、前記積算値の前記目標値に対する割合が所定値だけ変化する度に、消費電力を減少させるように運転状態を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項14】
複数のモードのうちのいずれかのモードを設定可能であって、
前記制御手段は、モード毎に互いに異なるように運転状態を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項15】
前記エネルギー消費に関する項目は、消費電力量、電気料金、CO2排出量、及び、低効率運転が行われる運転時間のいずれか一つであることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載の空気調和機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−270764(P2009−270764A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121812(P2008−121812)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
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