説明

空気調和機

【課題】油分の除去を確実に行い、当初の空調性能を長期に渡って維持することが出来る空気調和機を提供する。
【解決手段】吸込み口2と排気口4を有する本体1に、吸込み口2と排気口4を連通する通過風路5を形成し、通過風路5内に配された、多数の細孔を有するフィルター6aと該フィルター6aの外周囲を保持する枠体6bより成る塵埃捕集用のフィルター体6と、室内の浮遊塵埃を含む外気を吸込み口2から吸引し排気口4から排出する送風機8より構成される空気調和機において、フィルター体6の上流側表面に摺接し油分を捕集する清掃片11bを設け、清掃片11bは布帛より成るもので、布帛は、極微細な気泡を多数有しているので、この清掃片11bで、フィルター6aに付着した油分を確実に吸着でき、後のフィルター体6からの塵埃除去作業が容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関するもので、特に、フィルターの自動清掃機能を有する空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の空気調和機として、フィルターの上流側の表面に沿って移動する除塵体と、ダストボックスを設け、前記除塵体が回転しながら移動し、フィルターの表面に付着した塵埃を掻き出し、ダストボックスに回収するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−232243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
台所や厨房など油煙が多く発生する場所に設置された空気調和機、特に、厨房に設置された業務用の天吊り型の空気調和機などでは、フィルターに油分が多く付着する。油分は粘性が有るため塵埃と共に、フィルターにこびりつく傾向があるが、特許文献1に開示されたような従来の空気調和機に使用される除塵体は、一般の乾湿塵埃を対象としているため、油分を含んだ塵埃の除去が十分出来ず、空気調和機の空調性能が次第に悪くなるという課題があった。
【0004】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、油分の除去を確実に行い、当初の空調性能を長期に渡って維持することが出来る空気調和機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の空気調和機は、吸込み口と排気口を有する本体に、前記吸込み口と前記排気口を連通する通過風路を形成し、前記通過風路内に配された、多数の細孔を有するフィルターと該フィルターの外周囲を保持する枠体より成る塵埃捕集用のフィルター体と、室内の浮遊塵埃を含む外気を前記吸込み口から吸引し前記排気口から排出する送風機より構成される空気調和機において、前記フィルター体の上流側表面に摺接し油分を捕集する清掃片を設け、前記清掃片は布帛より成るもので、布帛は、それを形成する複数本の繊維間に多数の空隙部を有しているので、この布帛からなる清掃片をフィルター体の上流側表面に摺接させることにより、フィルターに付着した油分を確実に吸着することが出来、後のフィルター体からの塵埃除去作業が非常に容易になる。また、通常の塵埃除去用の除塵体を別途設けた場合、その除塵体による塵埃除去が確実に行われるようになり、油分の多い厨房等の過酷な環境下においても、フィルターの清掃効率を損なうことなく、長期に渡って使用できる空気調和機を提供することができる。
【0006】
また、本発明の空気調和機は、吸込み口と排気口を有する本体に、前記吸込み口と前記排気口を連通する通過風路を形成し、前記通過風路内に配された、多数の細孔を有するフィルターと該フィルターの外周囲を保持する枠体より成る塵埃捕集用のフィルター体と、室内の浮遊塵埃を含む外気を前記吸込み口から吸引し前記排気口から排出する送風機より構成される空気調和機において、前記フィルター体の上流側表面に摺接し油分を捕集する回転清掃体を設け、前記回転清掃体を、軸体と、それぞれ円盤状に形成されると共に布帛から成り前記軸体の外周に積層された清掃片で構成したもので、布帛は、それを形成する複数本の繊維間に多数の空隙部を有しているので、この布帛からなる清掃片を有する回転清掃体をフィルター体の上流側表面に摺接させることにより、フィルターに付着した油分を、確実に吸着することが出来、後のフィルター体からの塵埃除去作業が非常に容易になる。特に、清掃片が積層されているので、油分の吸着量が多くなって、その分長く使用することが出来る。更に、円盤状の清掃片の外周縁部がフィルター体に摺接するので、油分の吸着力を向上させることができる。また、通常の塵埃除去用の回転ブラシを別途設けた場合、その除塵体による塵埃除去が確実に行われるようになり、油分の多い厨房等の過酷な環境下においても、フィルター体の清掃効率を損なうことなく、長期に渡って使用できる空気調和機を提供することが出来る。
【0007】
また、本発明の空気調和機は、吸込み口と排気口を有する本体に、前記吸込み口と前記排気口を連通する通過風路を形成し、前記通過風路内に配された、多数の細孔を有するフィルターと該フィルターの外周囲を保持する枠体より成る塵埃捕集用のフィルター体と、室内の浮遊塵埃を含む外気を前記吸込み口から吸引し前記排気口から排出する送風機より構成される空気調和機において、前記フィルター体の上流側表面に摺接し油分を捕集する回転清掃体を設け、前記回転清掃体を、短冊状で且つ布帛から成る清掃片を複数の軸体で挟みつけて捩じって構成したもので、布帛は、それを形成する複数本の繊維間に多数の空隙部を有しているので、この布帛からなる清掃片を有する回転清掃体をフィルター体の上流側表面に摺接させることにより、フィルターに付着した油分を、確実に吸着することが出来、後のフィルター体からの塵埃除去作業が非常に容易になり、油分の多い厨房等の過酷な環境下においても、フィルター体の清掃効率を損なうことなく、長期に渡って使用できる空気調和機を提供することが出来る。また、回転清掃体を、短冊状の清掃片を複数の軸体で挟みつけて捩じって構成することで、回転清掃体の製造、組み立てが容易になると共に、回転清掃体の長さも自由に変えられるようになり、商品展開も容易になる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の空気調和機は、フィルターから油分を確実に除去し、後のフィルターの清掃を容易し、当初の空調性能を長期に渡って維持することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、吸込み口と排気口を有する本体に、前記吸込み口と前記排気口を連通する通過風路を形成し、前記通過風路内に配された、多数の細孔を有するフィルターと該フィルターの外周囲を保持する枠体より成る塵埃捕集用のフィルター体と、室内の浮遊塵埃を含む外気を前記吸込み口から吸引し前記排気口から排出する送風機より構成される空気調和機において、前記フィルター体の上流側表面に摺接し油分を捕集する清掃片を設け、前記清掃片は布帛より成るもので、布帛は、それを形成する複数本の繊維間に多数の空隙部を有しているので、この布帛からなる清掃片をフィルター体の上流側表面に摺接させることにより、フィルターに付着した油分を確実に吸着することが出来、後のフィルター体からの塵埃除去作業が非常に容易になる。また、通常の塵埃除去用の除塵体を別途設けた場合、その除塵体による塵埃除去が確実に行われるようになり、油分の多い厨房等の過酷な環境下においても、フィルターの清掃効率を損なうことなく、長期に渡って使用できる空気調和機を提供することができる。
【0010】
第2の発明は、吸込み口と排気口を有する本体に、前記吸込み口と前記排気口を連通する通過風路を形成し、前記通過風路内に配された、多数の細孔を有するフィルターと該フィルターの外周囲を保持する枠体より成る塵埃捕集用のフィルター体と、室内の浮遊塵埃を含む外気を前記吸込み口から吸引し前記排気口から排出する送風機より構成される空気調和機において、前記フィルター体の上流側表面に摺接し油分を捕集する回転清掃体を設け、前記回転清掃体を、軸体と、それぞれ円盤状に形成されると共に布帛から成り前記軸体の外周に積層された清掃片で構成したもので、布帛は、それを形成する複数本の繊維間に多数の空隙部を有しているので、この布帛からなる清掃片を有する回転清掃体をフィルター体の上流側表面に摺接させることにより、フィルターに付着した油分を、確実に吸着することが出来、後のフィルター体からの塵埃除去作業が非常に容易になる。特に、清掃片が積層されているので、油分の吸着量が多くなって、その分長く使用することが出来る。更に、円盤状の清掃片の外周縁部がフィルター体に摺接するので、油分の吸着力を向上させることができる。また、通常の塵埃除去用の回転ブラシを別途設けた場合、その除塵体による塵埃除去が確実に行われるようになり、油分の多い厨房等の過酷な環境下においても、フィルター体の清掃効率を損なうことなく、長期に渡って使用できる空気調和機を提供することが出来る。
【0011】
第3の発明は、特に、第2の発明の隣り合う清掃片間に所定の間隔を設けると共に、前記清掃片を、軸体の長軸方向に対し傾斜させたもので、清掃片を間隔をおいて、傾斜させて積層することにより、回転清掃体とフィルターとの摺接抵抗が少なくなるので、回転清掃体を駆動する駆動体を小型化することができる。
【0012】
第4の発明は、吸込み口と排気口を有する本体に、前記吸込み口と前記排気口を連通する通過風路を形成し、前記通過風路内に配された、多数の細孔を有するフィルターと該フィルターの外周囲を保持する枠体より成る塵埃捕集用のフィルター体と、室内の浮遊塵埃を含む外気を前記吸込み口から吸引し前記排気口から排出する送風機より構成される空気調和機において、前記フィルター体の上流側表面に摺接し油分を捕集する回転清掃体を設け、前記回転清掃体を、短冊状で且つ布帛から成る清掃片を複数の軸体で挟みつけて捩じって構成したもので、布帛は、それを形成する複数本の繊維間に多数の空隙部を有しているので、この布帛からなる清掃片を有する回転清掃体をフィルター体の上流側表面に摺接させることにより、フィルターに付着した油分を、確実に吸着することが出来、後のフィルター体からの塵埃除去作業が非常に容易になり、油分の多い厨房等の過酷な環境下においても、フィルター体の清掃効率を損なうことなく、長期に渡って使用できる空気調和機を提供することが出来る。また、回転清掃体を、短冊状の清掃片を複数の軸体で挟みつけて捩じって構成することで、回転清掃体の製造、組み立てが容易になると共に、回転清掃体の長さも自由に変えられるようになり、商品展開も容易になる。
【0013】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか一つの発明の清掃片の外周面にスリットないし凹凸を形成したもので、清掃片の外周にスリットないし凹凸を形成することにより、表面積が増加するので、油分の吸着量が増加し、清掃片をより長く使用することが出来る。
【0014】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか一つの発明の清掃片を形成する布帛を、不織布及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンの二重構造体で形成したもので、不織布と極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンの間に、空隙部が形成されるので、清掃片を、フィルターに柔軟に接触させることができ、高い清掃力を得ることができる。また、清掃片の多孔質化されたポリウレタン側をフィルターに摺接させるようにすれば、フィルターへの傷付きが少なくなり、フィルターの寿命を長くすることが出来る。
【0015】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施例によって本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
【0016】
図1は、本発明の第1の実施例における空気調和機の断面図、図2は、同空気調和機のフィルター体の斜視図及び部分断面図、図3は、同空気調和機の油分吸着体の斜視図、図4は、同空気調和機のフィルター体と除塵体の断面図、図5は、同空気調和機のフィルター体の清掃時の動作を示す部分断面図である。
【0017】
図1〜5において、本実施例における空気調和機の本体1の前部には、複数の吸込み口2を有すると共に上端が本体1に回動自在に取着された前面パネル3が取り付けられ、本体1の下部には、排気口4が設けられ、吸込み口2と排気口4とを連通して、浮遊塵埃を含む室内の空気を吸込み口2から排気口4に導く通過風路5内には、前面パネル3側から順に、吸込み口2から流入する室内の空気に含まれる塵埃を捕捉するフィルター体6と、流入する室内の空気を熱交換する室内熱交換器7と、吸込み口2から室内の空気を吸引し、前記室内熱交換器7で熱交換された空気を排気口4から吹き出すための送風機8が配置されている。
【0018】
本体1の下面には、フィルター体6が出没するフィルター体通過口9が設けられている。フィルター体6の上流側には、フィルター体6に付着した油分を吸着する油分吸着体11と、油分吸着体11の真下に位置すると共にフィルター体6で捕捉された塵埃を除去する除塵体12と、除塵体12の下方に配され、除塵体12で除去され落下してくる塵埃を収納する塵埃収納体13が設けられている。本体1の側面には、特に図示しないが、塵埃収納体13を出し入れするための開口部が設けられている。
【0019】
14は、フィルター体6の清掃時に、本体1に設けたフィルター体保持溝15にガイドさせながら、斜め上・下方向にフィルター体6を移動させる第1の駆動体で、第1の駆動体14を駆動してフィルター体6を斜め下方に移動させると、フィルター体6が、フィルター体通過口9より外方に飛び出し、反対に、フィルター体6を斜め上方に移動させると、フィルター体6が本体1内に収納されるようになっている。16は、送風機8や、第1の駆動体14などの電気部品を制御する制御体である。
【0020】
フィルター体6は、シート状の塵埃捕集用の濾材から成るフィルター6aと、フィルター6aの外周囲を保持する枠体6bから構成され、枠体6bの裏面の一側部には、ラックギヤ6cが、上下方向に、且つ一体に延設されている。
【0021】
第1の駆動体14は、第1のモータ17と、その回転軸17aに固着され、枠体6bに設けたラックギア6cに噛み合う第1の駆動ギア18から構成されている。
【0022】
図3において、油分吸着体11は、両端が本体1内に着脱自在に支持される基部11aと、略ブレード状で、一側が基部11aで挟持されると共に複数本の繊維からなる不織布などの布帛で形成された清掃片11bからなり、油分吸着体11は、図1に示すように、清掃片11bがフィルター体6の上流側の表面に斜めに押さえつけられるように配置されている。
【0023】
除塵体12は、一端が本体1に設けた軸受部1aに回転自在に支持され、他端がギヤードモータなどからなる第2の駆動体20に連結された軸体12aと、多数の細径の繊維などからなり、軸体12aの外周に放射状に取着されると共に、フィルター体6の上流側表面に接して、フィルター6aに付着した塵埃を除去するブラシ12bから構成されている。ブラシ12bの幅寸法は、フィルター体6のフィルター6aの全幅に略等しく設定されている。尚、ブラシ12bの軸体12aの外周への取着は、接着、溶着、植毛するなどの方法で固着するか、或いは、着脱自在に装着できるようにしても良い。
【0024】
上記構成により、除塵体12の軸体12aの一端に連結された第2の駆動体20を駆動して、除塵体12を、図1に示すように時計方向に回転させることにより、フィルター体6の上流側表面に付着した塵埃を効率よく掻き落とすことができる。
【0025】
除塵体12で除去され落下してくる塵埃を受ける塵埃収納体13の左右方向の長さは、フィルター体6の全幅にわたる長さとほぼ同一で、また、塵埃収納体13の上面には、除塵体12のブラシ12bが臨む開口部13aが形成され、塵埃収納体13内の一部には、先端がブラシ12bに食い込む櫛歯21が、ブラシ12bと平行に設けられている。
【0026】
以上のように構成された本実施例における空気調和機の動作、作用は以下の通りである。
【0027】
なお、本実施例における空気調和機の冷・暖房運転時の動作は、従来の空気調和機のそれと同一なので、その説明を省略し、特に、フィルター体6の清掃運転時の動作について説明する。
【0028】
清掃運転開始に当たり、油分吸着体11の清掃片11bの先端は、フィルター体6のフィルター6aの下端に位置している。次に、本体1又は、本体1を遠隔操作するリモコン(図示せず)に設けたフィルタークリーニングスイッチ(図示せず)を操作すると、第2の駆動体20及び、第1の駆動体14の運転が開始する。そして、第1の駆動体14の運転により、フィルター体6がゆっくりと斜め下方に移動開始する。この間に、まず、油分吸着体11の清掃片11bにより、フィルター6aに付着していた油分が吸着され、フィルター6aの上流側表面に残った塵埃は、第2の駆動体20で回転駆動される除塵体12のブラシ12bによって、掻き落とされ、その塵埃は、塵埃収納体13内に落下し、堆積していく。
【0029】
以上のように、本実施例では、フィルター体6の下端から上端にかけて、フィルター6aに付着した油分が、油分吸着体11でまず吸着され、次に、除塵体12で残った塵埃が除去されるようになっている。
【0030】
本実施例では、フィルター体6の清掃運転のときは、ブラシ12bの外周の周速度が、フィルター体6の下降速度より大きくなるように設定している。これにより、フィルター体6に付着した塵埃を確実に除去すると共に、フィルター体6に余分な負荷が、すなわち、第1の駆動体14に無理な負荷が加わるのを防止している。
【0031】
上記の動作の間、ブラシ12bに塵埃が付着したまま残ることがあるが、それらは、先端がブラシ12bに食い込んだ櫛歯21により、順次取り除かれるので、塵埃の除去性能が次第に低下することが無い。
【0032】
第1の駆動体14の運転により、フィルター体6が完全に下がりきって、フィルター体6の清掃が完了すると、自動的に第1の駆動体14が逆転し、フィルター体6が、フィルター体保持溝15にガイドされながら上昇し、最初の収納位置に戻る。
【0033】
フィルター体6が上昇する間に、除塵体12を清掃時と同様に、第2の駆動体20で回転させれば、フィルター体6の清掃をより確実に行うことができる。或いは、フィルター体6が上昇する間に、クラッチ機構(図示せず)などを用いて、除塵体12と第2の駆動体20との機械的連結を解除し、除塵体12が自由に回転できるようにすれば、フィルター体6に加わる負荷、すなわち、第1の駆動体14に加わる負荷が大幅に減るようになり、第1の駆動体14の小型化を図ることもできる。
【0034】
フィルター体6の清掃を、上記のようにして何度か行って、塵埃収納体13内が塵埃で一杯になってきたら、本体1の側面に設けた開口部(図示せず)から、塵埃収納体13を取り出して、中の塵埃を廃棄すれば良い。
【0035】
コスト高にはなるが、塵埃収納体13に吸引装置(図示しない)を連結して、定期的に或いは、光学的手段などを用いて、塵埃収納体13が塵埃で一杯になったことを検知したときに、前記吸引装置を運転して、外部に排出するようにすれば、手間がかからず、メンテナンスが容易な空気調和機を提供できる。
【0036】
また、フィルター体6の清掃を何度か行うと、油分吸着体11の油分の吸着能力が次第に低下し、それに伴って、フィルター6aに付着した塵埃が取れ難くなって、除塵体12による塵埃除去性能が低下してくるので、適宜、油分の吸着状態を確認し、必要に応じて、油分吸着体11を本体1より取り外し、新しいものと交換するものとする。
【0037】
以上のように、本実施例における空気調和機によれば、油分吸着体11の清掃片11bを形成する布帛は、極微細な気泡を多数有しているので、フィルター6aに付着した油分を確実に吸着することが出来る。これにより、除塵体12による塵埃除去も確実に行われるようになり、油分の多い厨房等の過酷な環境下においても、フィルター6aの清掃効率を損なうことなく、長期に渡って使用できる空気調和機を提供することができる。
【0038】
又、図6に示すように、油分吸着体11の清掃片11bにスリット11cや凹凸11dを形成すれば、表面積が増加するので、油分の吸着量が増加し、油分吸着体11をより長く使用することも出来る。
【0039】
(実施例2)
【0040】
図7は、本発明の第2の実施例における空気調和機の回転清掃体の斜視図と清掃片の斜視図である。尚、上記第1の実施例における空気調和機と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0041】
上記第1の実施例では、フィルター6aに付着した油分を、固定された油分吸着体11の清掃片11bで吸着するようにしたが、本実施例は、油分吸着体として、外周に清掃片を備え回転駆動される回転清掃体を用いて、フィルター6aに付着した油分を吸着するようにしたものである。
【0042】
図7において、23は、本実施例における空気調和機の回転清掃体で、一端が空気調和機の本体1に回転自在に軸支され、他端に第3の駆動体24が連結された略棒状の軸体25と、円盤状で、軸体25に装着され、更に積層された複数の清掃片26と、積層された清掃片26を両側から挟む円板状のプレート27と、プレート27を内方に向けて押さえつけるようにして固定する止め具28から構成されている。
【0043】
軸体25の外周長手方向には、清掃片26の回り止め用に、リブ25aが延設されている。清掃片26は、複数の繊維からなる不織布などの布帛から形成されると共に、中央には、リブ25aに係合する凹部26aを周縁の一部に有し、軸体25を挿入するための穴26bが形成され、さらに外周近傍に、略放射状にスリット26cが形成されている。
【0044】
次に、清掃片26を形成する不織布の製造方法について、特に図示しないが、幾つかの例を以下に述べる。
【0045】
第1の方法は、複数本の繊維を、平板状に集積させて布状体を形成し、前記布状体を複数枚、重ね合わせた後、特殊な針を突き刺して、3次元に絡合された不織布を得る。前記製造方法は、一般的には、ニードルパンチングと呼ばれている。また、布状体はウエッブと呼ばれている。得られた不織布をポリウレタン溶液中に含浸させて、不織布にポリウレタンを充填させる。次いで、ポリウレタンを充填させた不織布を水中に浸漬させると共に、水中に二酸化炭素を注入し、炭酸発泡させることにより、不織布、及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる平板状の二重構造体を形成する。なお、不織布を形成する繊維には、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、別名ウレタン弾性糸とも呼ばれるスパンデックス繊維等が単独使用、あるいは併用される。
【0046】
第2の方法は、複数本の繊維を、平板状に集積させて布状体となるウエッブを形成し、ニードルパンチングにより3次元に絡合された不織布を得る。得られた不織布に対して、架橋剤を配合した高分子弾性体をスプレー、浸漬、含浸等の方法を用いて付着させ、加熱することにより不織布を構成する繊維の間を結合させるもので、前記の製造方法により得られた不織布は、一般的にケミカルボンド法不織布と呼ばれている。
【0047】
なお、不織布を形成する繊維には、綿、レーヨン、セルロース等の天然繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成樹脂繊維が単独使用、あるいは併用される。また、高分子弾性体には、ニトリルゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、ウレタンゴム、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等が単独使用、あるいは併用される。また、架橋剤は、前記高分子弾性体の分子間に橋架け構造を形成し、一段と優れた弾力性を高分子弾性体に付与する目的で配合されるものであり、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等のメラミン樹脂、ブロックイソシアネート等のイソシアネート樹脂、脂肪族エポキシ等のエポキシ樹脂を単独、あるいは併用して用いることができる。
【0048】
第3の方法は、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレ
ン樹脂等の熱可塑性樹脂を溶融紡糸すると共に、得られた熱可塑性樹脂繊維にたいして1
00〜150kgf程度の高圧水流を噴射することにより、繊維を絡合させる。次いで、架橋剤を配合した高分子弾性体をスプレー、浸漬、含浸等の方法を用いて繊維に付着させ、加熱することにより不織布を形成するもので、前記の製造方法により得られた不織布は、一般的に水流絡合法不織布と呼ばれている。
【0049】
上記した不織布の製造方法は代表的な例であり、上記以外にも、例えば、熱溶融した合成樹脂を連続的に紡糸して繊維を形成し、繊維を延伸しながら捕集ネット上に集積して熱ロールで加圧することにより繊維を結合して不織布を形成するスパンボンド法、熱溶融した合成樹脂を紡糸口から吐出する際、高温エアーで紡出し、捕集ネット上で加熱された繊維を結合させて不織布を形成するメルトブロー法、塩化メチレン、フロン等の低沸点溶剤中に合成樹脂を溶解し、紡糸口から加熱、加圧状態で繊維を紡糸すると同時に、前記低沸点溶剤を揮発させ、繊維を捕集ネット上に集積し、熱ロールで加圧して繊維を結合して不織布を形成するフラッシュ紡糸法、融点の異なる複数の合成樹脂を溶融して融点の高い方の合成樹脂を紡糸して繊維を形成し、溶融された融点の低い方の合成樹脂をバインダーとして繊維を接着させて不織布を形成するファイバーボンド法やサーマルボンド法等により製造しても構わない。
【0050】
なお、不織布が、上記のように積層される清掃片26に使用された場合、被洗浄面の繰り返しの当接に強く、繊維がほつれ難く、織布、編物等の他の布帛を清掃片26に用いた場合に比べて、回転清掃体23の耐久性の向上につながる。
【0051】
次に、本実施例における回転清掃体23の製造方法について以下に述べる。
【0052】
まず、複数本の繊維からなる布帛のシート(図示せず)に、トムソン型、あるいはレーザーカッター等を用いて、スリット26cを入れる。次に、同じくトムソン型、あるいはレーザーカッター等を用いて、凹部26a、孔26b及び側縁部26dを有する概円環状の清掃片26を打ち抜く。
【0053】
次いで、清掃片26を、凹部26aが同一位置になるようにして複数枚重ね合わせて、孔26bを軸体25に対して貫通させて、軸体25の外周に積層し、積層された清掃片26の両側にプレート27を装着し、軸体25の長手方向から、プレス機で、積層された清掃片26を所定長さになるように圧縮した後、止め具28で固定する。次に、所定時間放置することにより、重ね合わせた複数の清掃片26の内部応力を均一化させ、側縁部16を切削加工及び研磨加工し、仕上げるようにする。
【0054】
以上のように、本実施例によれば、清掃片26が積層されているので、油分の吸着量が多くなって、その分長く使用することが出来る。更に、円板状の清掃片26の側縁部26dがフィルター体6に摺接するので、油分の吸着力を向上させることができる。これにより、除塵体12による塵埃除去がより確実に行われるようになり、油分の多い厨房等の過酷な環境下においても、フィルター体6の清掃効率を損なうことなく、長期に渡って使用できる空気調和機を提供することが出来る。
【0055】
尚、上記実施例では、各清掃片26を密着させるようにして、軸体25に積層したが、図8(a)に示すように、隣り合う清掃片26間に、清掃片26の外径より小さい径のカーラー30を介在させて、隣り合う清掃片26間に所定の間隔を確保するようにしても良い。このようにすれば、清掃片26の、カーラー30より外径方向の部分は、圧縮されずにフリーの状態なので、圧縮されたものより膨らんで、繊維間の空隙が大きくなって、油分の吸収容量を増加させることも出来る。
【0056】
また、図8(b)に示すように、各清掃片26を、円筒体を斜めにカットしたような断面形状になるように、シート状部材を打ち抜いて形成し、更に、隣り合う清掃片26間に両端を、斜めに且つ平行にカットしたカーラー31を介在させて、隣り合う清掃片26間に所定の間隔を設けると共に、前記清掃片26を、軸体25の長軸方向に対し傾斜させるようにすれば、回転清掃体23とフィルター6aとの摺接抵抗が少なくなるので、回転清掃体23を駆動する第3の駆動体24を小型化することができる。
【0057】
なお、清掃片26の材質として使用する不織布にモノフィラメント状の繊維を採用し、そのモノフィラメント状の繊維の表面に、例えば概シボ状、概スリット状、概打痕傷状、概引っ掻き傷状等の凹凸部(図示せず)を形成するようにすれば、凸部で油分を掻き取ると共に、凹部で油分を捕集する事もできる。また、材質としては、ポリプロピレン繊維等の親油性の高い繊維が好適である。
【0058】
また、上記第1、第2の実施例では、油分を吸着する清掃片11b、26を、複数本の繊維からなる不織布などの布帛で形成したが、以下に記載するような、不織布及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンの二重構造体で形成した布帛を使用しても良い。
【0059】
図9において、清掃片11b、26は、不織布33及び基部34よりなる二重構造体にて形成されており、不織布33と基部34との間には、空隙部35が形成されてある。
【0060】
不織布33は、複数本の極細繊維33aから形成されており、その材質には、ポリアミド繊維、ポリエステル、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ウレタンゴム繊維の内、少なくとも1種類以上の材質か、或いは複数の材質を組み合わせてなる材料が使用されている。また、基部34は、極微細な気泡36を有する多孔質化された構造体にて形成されてあり、材質には、ポリウレタンが使用されてある。
【0061】
不織布33の材料として、ナイロンに代表されるポリアミド繊維を使用した場合には、ポリアミド繊維の有する、耐摩耗性、耐熱性、及び弱酸から強アルカリにおける耐薬品性の高さ、吸水率の高さ等の特性を、清掃片12b、26に持たせることが出来る。
【0062】
また、ポリエステルを使用した場合には、ポリエステルの有する、耐熱性、及び強酸から弱アルカリにおける耐薬品性の高さ、吸水率の低さ、価挌の低さ等の特性をロール部は有することができる。また、ポリエチレン繊維を使用した場合には、ポリエチレン繊維の有する、酸、及びアルカリにおける耐薬品性の高さ、吸水率が0%、価格の低さ等の特性をロール部は有することができる。
【0063】
また、ポリプロピレン繊維を使用した場合には、ポリプロピレン繊維の有する、吸水率が0%、価格の低さ、軽量である等の特性を、清掃片12b、26に持たせることが出来る。
【0064】
また、別名、ウレタン弾性糸とも呼ばれるウレタンゴム繊維を使用した場合には、ウレタンゴム繊維の有する、親油性の高さ、弾性の高さ等の特性を、清掃片12b、26に持たせることが出来る。
【0065】
次に、清掃片12b、26を構成する二重構造体の製造手順について説明する。
【0066】
まず、主成分及び副成分を混合紡糸して繊維を作成後、特殊な針(図示せず)を突き刺して、前記繊維を立体的に編込む。前記の如く、立体的に編込む製造方法は、一般的には、ニードルパンチングと呼ばれている。次に、前記繊維にウレタンを含浸凝固させて極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンを形成させた後、前記副成分を溶解除去させる。
【0067】
以上のように、不織布及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンの二重構造体で形成した布帛を、清掃片11b、26に使用することにより、以下のような効果が得られる。
【0068】
ポリウレタンの基部34は、高い耐摩耗性を有している為、耐久性の優れた清掃片11b、26を、製造することができる。また、基部34は、極微細な気泡を有している為、清掃片11b、26を軽くすることができると共に、清掃片11b、26に加えられる衝撃を、吸収することができる。
【0069】
清掃片11b、26は、不織布33及び基部34よりなる二重構造体で形成されているので、不織布33と基部34の間には、空隙部35が形成されると共に、基部34は、極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンにて形成されてある為、清掃片11b、26を、被洗浄面に対して、柔軟に接触させることができる。また、基部34は、多孔質化されたポリウレタンから形成されてある為、被洗浄面に傷を付ける事も無い。
【0070】
また、清掃片11b、26に、親油性を有する不織布を使用し、かつ、清掃片11b、26の先端断面形状を略円弧状にすれば、フィルター6aに付着した汚れ等の水分、油分、塵、埃等のさまざまな種類の汚れを、不織布に織り込まれた繊維間の隙間に吸着させると共に、特に、油分を強力に吸着することができる為、洗浄、清掃、及び磨きを、同時に、迅速、かつ的確にすることもできる。
【0071】
尚、上記第1及び第2の実施例では、フィルター体6の自動清掃を可能にするために、除塵体12を設け、更に、第1の駆動体14で、フィルター体6を上下に駆動するようにしたが、本発明は、それを条件とするものでは無く、使用者が、フィルター体6の清掃を行うときに、空気調和機の本体1に設けたフィルター体通過口9から、フィルター体6を引き出すようにしても良い。この場合も、フィルター体6が引き出される際に、油分吸着体11で、フィルター体6に付着した油分が吸着されるので、使用者は、フィルター体6を手持ちのブラシや、電気掃除機などで容易に掃除することが出来る。
【0072】
また、上記実施例では、軸体25にリブ25aを設け、清掃片26に、リブ25aに嵌合する凹部26aを設けて、両者間の回り止めを行うようにしたが、図8(d)に示すように、軸体105に溝部101を設けて、清掃片106に、溝部101に嵌合する凸部100を設けて両者間の回り止めを行うようにしても良い(尚、軸体105及び清掃片106は、上記回り止め構成を除いて、上記第1、第2の実施例における軸体25及び清掃片26のそれぞれと同一である)。
【0073】
(実施例3)
【0074】
図10は、本発明の第3の実施例における空気調和機の要部断面図である。尚、上記実施例における空気調和機と同一部分については同じ符号を用いて説明を省略する。
【0075】
上記第2の実施例では、回転清掃体23と除塵体12を定位置に固定し、フィルター体6を、上下動させて、フィルター体6の全域に付着した油分と塵埃を除去するようにしたが、本実施例は、フィルター体6を定位置に固定し、回転清掃体23と除塵体12を、フィルター体6の上流側表面に沿って上下動させて、フィルター体6の全域を清掃するようにしたものである。
【0076】
図10において、本実施例における空気調和機のフィルター体6の上流側には、本体1に設けたガイドレール38に沿って、上下に移動可能に設けられた清掃ユニット39が設けられている。
【0077】
清掃ユニット39内に上部には、回転清掃体23と、回転清掃体23を回転駆動する第3の駆動体24と、回転清掃体23の下方に配された除塵体12と、除塵体12を回転駆動する第2の駆動体20と、除塵体12で除去され落下してくる塵埃を収納する塵埃収納体40と、回転清掃体23と除塵体12を覆うカバー41から構成されている。空気調和機の本体1には、特に図示しないが、清掃ユニット39を上下に移動させる第4の駆動体が設けられている。
【0078】
以上のように構成された本実施例における空気調和機のフィルター体6の清掃動作は、以下の通りである。
【0079】
通常、清掃ユニット39は、内設された回転清掃体23の清掃片26がフィルター体6のフィルター6aの下端に接する位置(以下「下死点」という)で保持されている。そして、フィルター体6の清掃を行うために、図示しないクリーニングスイッチを操作すると、第2の駆動体20、第3の駆動体24及び、図示しない第4の駆動体の運転が開始し、除塵体12及び回転清掃体23のそれぞれが時計方向に回転しながら、徐々に上方に移動する。その間に、フィルター6aに付着した油分が、回転清掃体23で吸収され、次に、フィルター6aに残った塵埃が、ブラシ12bで掻き取られ、塵埃収納体40内に中に落下し、次第に堆積していく。ブラシ12bに付着して自然落下しない塵埃は、塵埃収納体40内に設けた櫛歯40aにより梳かれて、塵埃収納体40内に落下する。
【0080】
そして、清掃ユニット39が、除塵体12のブラシ12bが、フィルター6aの上端に接する位置(以下「上死点」という)に達すると、次の清掃運転に備えるため、自動的に第4の駆動体が逆駆動し、清掃ユニット39を元の下死点まで移動させた後、自動的に停止するようになっている。
【0081】
塵埃収納体40が塵埃で一杯になったら、塵埃収納体40をカバー41から取り外すことにより、簡単に行うことができる。
【0082】
以上のように、本実施例によれば、フィルター体6を固定し、清掃ユニット39を上下動させるようにしているので、フィルター体6の清掃運転時に、フィルター体6が、本体1の底部から飛び出すことが無く、意匠的に優れた空気調和機を提供することが出来るものである。
【0083】
尚、上記実施例では、第2の駆動体20と第3の駆動体24を別々に設けたが、いずれか一方の駆動体のみで、除塵体12と、回転清掃体23の両方を駆動するようにすれば、駆動体を一つ減らし、安価に、且つ軽量化を図ることができる。
【0084】
図11は、本発明の第4の実施例における空気調和機の回転清掃体の斜視図、図12は、図11のA−A断面図、図13は、同回転清掃体43の清掃片の斜視図である。尚、上記実施例における空気調和機と同一部分については同じ符号を用いて、その説明を省略する。
【0085】
本実施例における空気調和機は、フィルター体6の上流側表面に摺接し油分を捕集する回転清掃体43を有し、その回転清掃体43を、図11〜13に示すように、一枚又は複数枚の短冊状で且つ布帛から成る清掃片44を、それぞれ断面が半円状の一対の軸体45で挟みつけ捩じって形成し、その軸体45の一端を空気調和機の本体1に回転自在に軸支し、他端を第3の駆動体24(第2の実施例参照)で回転駆動するようにしたもので、他の構成は、上記第2の実施例と同じである。本実施例では、図13に示すように、清掃片44の両端(被掃除面に接する部分)に、端面から中央部に向けて複数のスリット44aを形成している。
【0086】
以上のように、本実施例によれば、回転清掃体43を回転させながら、布帛から成る清掃片44をフィルター体6の上流側表面に摺接させるので、油分の吸着を確実に行うことができる。しかも、回転清掃体43を、短冊状の清掃片44を一対の軸体45で挟みつけて捩じって形成することで、回転清掃体43の製造、組み立てが容易になると共に、回転清掃体43の長さも自由に変えられるようになり、商品展開も容易になるものである。
【0087】
尚、上記実施例では、一対の軸体45を用いたが、3分割、或いは4分割されたような軸体を複数用いても良い。また、清掃片44も、図14に示すように、複数の清掃片44b、44c、44d――を長手方向に並べて形成しても良い。又、各軸体45の断面形状は、円状、楕円状、異形でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上のように、本発明にかかる空気調和機は、油分の除去を確実に行い、当初の空調性能を長期に渡って維持することが出来るもので、空気調和機に限らず、油分が多く発生する厨房に設置される各種機器に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1の実施例における空気調和機の断面図
【図2】(a)同空気調和機のフィルター体の斜視図、(b)同フィルター体の部分断面図
【図3】同空気調和機に油分吸着体の斜視図
【図4】同空気調和機のフィルター体と除塵体の断面図
【図5】同空気調和機のフィルター体清掃時の動作を示す部分断面図
【図6】同油分吸着体の他の例を示す斜視図である。
【図7】(a)本発明の第2の実施例における空気調和機の回転清掃体の斜視図、(b)同回転清掃体の清掃片の斜視図
【図8】(a)同回転清掃体の他の例を示す断面図、(b)同回転清掃体の他の例の清掃片の製造時の様子を示す図、(c)同回転清掃体の部分側面図、(d)回転清掃体の他の例を示す断面図
【図9】同回転清掃体の清掃片の部分拡大断面図
【図10】本発明の第3の実施例における空気調和機の要部断面図
【図11】本発明の第4の実施例における空気調和機の回転清掃体の斜視図
【図12】図11のA−A断面図
【図13】同回転清掃体の清掃片の斜視図
【図14】同回転清掃体の他の清掃片の例を示す図
【符号の説明】
【0090】
1 本体
2 吸込み口
4 排気口
5 通過回路
6 フィルター体
6a フィルター
6b 枠体
7 室内熱交換器
8 送風機
11 油分吸着体
11b、26、44、44b、44c、44d 清掃片
12 除塵体
13、40 塵埃収納体
14 第1の駆動体
20 第2の駆動体
23、43 回転清掃体
24 第3の駆動体
25、45 軸体
44a スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込み口と排気口を有する本体に、前記吸込み口と前記排気口を連通する通過風路を形成し、前記通過風路内に配された、多数の細孔を有するフィルターと該フィルターの外周囲を保持する枠体より成る塵埃捕集用のフィルター体と、室内の浮遊塵埃を含む外気を前記吸込み口から吸引し前記排気口から排出する送風機より構成される空気調和機において、前記フィルター体の上流側表面に摺接し油分を捕集する清掃片を設け、前記清掃片は布帛より成ることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
吸込み口と排気口を有する本体に、前記吸込み口と前記排気口を連通する通過風路を形成し、前記通過風路内に配された、多数の細孔を有するフィルターと該フィルターの外周囲を保持する枠体より成る塵埃捕集用のフィルター体と、室内の浮遊塵埃を含む外気を前記吸込み口から吸引し前記排気口から排出する送風機より構成される空気調和機において、前記フィルター体の上流側表面に摺接し油分を捕集する回転清掃体を設け、前記回転清掃体を、軸体と、それぞれ円盤状に形成されると共に布帛から成り前記軸体の外周に積層された清掃片で構成したことを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
隣り合う清掃片間に所定の間隔を設けると共に、前記清掃片を、軸体の長軸方向に対し傾斜させたことを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
吸込み口と排気口を有する本体に、前記吸込み口と前記排気口を連通する通過風路を形成し、前記通過風路内に配された、多数の細孔を有するフィルターと該フィルターの外周囲を保持する枠体より成る塵埃捕集用のフィルター体と、室内の浮遊塵埃を含む外気を前記吸込み口から吸引し前記排気口から排出する送風機より構成される空気調和機において、前記フィルター体の上流側表面に摺接し油分を捕集する回転清掃体を設け、前記回転清掃体を、短冊状で且つ布帛から成る清掃片を複数の軸体で挟みつけて捩じって構成したことを特徴とする空気調和機。
【請求項5】
清掃片の外周面にスリットないし凹凸を形成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項6】
清掃片を形成する布帛を、不織布及び極微細な気泡を有する多孔質化されたポリウレタンの二重構造体で形成したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−275992(P2009−275992A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127933(P2008−127933)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】