説明

空気調和機

【課題】
本発明は、配管を接続する際に据付板の上止部を支点として空気調和機を傾斜させても、据付板から安易に外れることのない空気調和機を提供することを課題とする。
【解決手段】
上記課題を解決するため、本発明は、熱交換器と、熱交換器により熱交換された室内空気を吹出す送風ファンと、熱交換器及び送風ファンを内包するキャビネットと、壁面に据え付けるための据付板とを備えた空気調和機であって、キャビネットの背面上部は下方へ延びる係合上爪を備えるとともに、係合上爪は壁面と反する面に凹部を有し、据付板の上部は上方へ延びる上止部を備えるとともに、上止部は壁面方向に向かう凸部を有し、上止部の上端を支点として空気調和機を傾斜させた際に、係合上爪の凹部と上止部の凸部とが当接するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は壁掛け形の空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、空気調和機の普及において、配管を接続する作業の安全性の向上が不可欠となっている。従来の壁面等に据え付けられる空気調和機としては、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載されているものがある。以下、図面を参照しながら従来の空気調和機の据付装置を説明する。
【0003】
図6は従来の空気調和機の据付装置を示すものである。据付板1に穿設された取り付け穴1aを貫通するネジ2を壁面3へねじ込むことにより、据付板1を壁面上に固着し、据付板1に掛止することにより空気調和機4を据え付ける。ここで配管を接続する際、また特に横引きに配管を接続する際には、配管接続に必要なスペースを確保するため、通常は据付板1の上部を支点とし、空気調和機4を傾斜させる。
【0004】
また、図7に従来の空気調和機の据付装置を説明する。図6と同じように、据付板1に穿設された取り付け穴1aを貫通するネジ2を壁面3へねじ込むことにより、据付板1を壁面上に固着し、据付板1に掛止することにより空気調和機4を据え付ける。空気調和機4は、配管接続後に、空気調和機4本体のキャビネット4aの背面上部および背面下部の係合爪を、据付板1の上止部および下止部に掛止した後、空気調和機4の左右位置を空気調和機本体を持って調整する。
【0005】
【特許文献1】実開平1−73621号公報
【特許文献2】特開2005−16856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図6の据付板1の上止部および下止部への空気調和機4の掛止の際に、据付板1の上止部を支点として空気調和機4を傾斜させると、空気調和機4は上方向への移動を余儀なくされ、空気調和機4のキャビネット4aの背面上部の係合爪4bが据付板1の上止部1a部から外れてしまい、空気調和機4の落下を招く恐れがある。
【0007】
また、図7の据付板1の上止部1aおよび下止部1bへ空気調和機4を掛止した後、空気調和機本体を持って空気調和機4の左右位置を調整する際に、据付板1の上止部1aおよび下止部1bの側面により、空気調和機4のキャビネット4aの背面上部の係合爪4bおよびキャビネット4aの背面下部の係合爪4cがそれと干渉し、損傷また破損を招く恐れがある。
【0008】
本発明は、配管を接続する際に据付板の上止部を支点として空気調和機を傾斜させても、据付板から安易に外れることのない空気調和機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、熱交換器と、熱交換器により熱交換された室内空気を吹出す送風ファンと、熱交換器及び送風ファンを内包するキャビネットと、壁面に据え付けるための据付板とを備えた空気調和機であって、キャビネットの背面上部は下方へ延びる係合上爪を備えるとともに、係合上爪は壁面と反する面に凹部を有し、据付板の上部は上方へ延びる上止部を備えるとともに、上止部は壁面方向に向かう凸部を有し、上止部の上端を支点として空気調和機を傾斜させた際に、係合上爪の凹部と上止部の凸部とが当接するように構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、配管を接続する際に据付板の上止部を支点として空気調和機を傾斜させても、据付板から安易に外れることのない空気調和機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る空気調和機は、熱交換器と、熱交換器により熱交換された室内空気を吹出す送風ファンと、熱交換器及び送風ファンを内包するキャビネットと、壁面に据え付けるための据付板とを備えた空気調和機であって、キャビネットの背面上部は下方へ延びる係合上爪を備えるとともに、係合上爪は壁面と反する面に凹部を有し、据付板の上部は上方へ延びる上止部を備えるとともに、上止部は壁面方向に向かう凸部を有し、上止部の上端を支点として空気調和機を傾斜させた際に、係合上爪の凹部と上止部の凸部とが当接するように構成する。上止部の上端を支点として空気調和機を傾斜させた際に、係合上爪の凹部と上止部の凸部とが当接するように構成するので、配管を接続する際に空気調和機を傾斜させても、空気調和機が据付板から容易に外れることがない。
【0012】
また、本発明に係る他の空気調和機は、熱交換器と、熱交換器により熱交換された室内空気を吹出す送風ファンと、熱交換器及び送風ファンを内包するキャビネットと、壁面に据え付けるための据付板とを備えた空気調和機であって、キャビネットの背面上部から下方へ延びる係合上爪を備えるとともに、係合上爪外側にキャビネット背面上部から壁面方向に向かう凸部を有し、据付板の上部は上方へ延びる上止部を備え、空気調和機の左右位置を調整する際に、上止部の左右両側側面がキャビネット背面上部の凸部と接するように構成する。空気調和機の左右位置を調整する際に、上止部の左右両側側面がキャビネット背面上部の凸部と接するように構成するので、空気調和機を掛止した後、空気調和機の左右位置を空気調和機本体を持って調整する際に、空気調和機のキャビネットが損傷や破損することがない。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明に係る空気調和機の第1の実施例を、図1−図3を用いて説明する。なお、図6および図7に記載の従来の空気調和機の構成と同一であるものについては同一の符号を記することとして、詳細な説明は省略する。
【0014】
図1は本実施例における空気調和機の分解斜視図である。図2は本実施例における空気調和機の背面図および側面断面図である。図3は本実施例における空気調和機を据付板の上止部を支点として傾斜させた際の側面断面図である。
【0015】
図1,図2および図3において5は空気調和機であり、空気調和機5はその背面側にキャビネット6を備える。また、図示しないが、空気調和機5は、キャビネットに内包された熱交換器と、室内空気を空気吸込口より吸込み熱交換器を通して空気吹出口より吹出す送風ファンとを備える。
【0016】
さらに、空気調和機5は、キャビネット6の背面上部に形成されキャビネット6の背面上部から下方へ延びる係合上爪7,キャビネット6の背面下部に形成されキャビネット6の背面下部から上方に延びる係合下爪8,ネジ10で壁面11に固着される据付板12,据付板12の上部に形成され据付板12の上部から上方へ延びる上止部13,据付板12の下部に形成され据付板12の下部から下方へ延びる下止部14,空気調和機5に接続する配管16にて構成される。
【0017】
ここで、キャビネットの背面上部は下方へ延びる係合上爪を備えるとともに、係合上爪は壁面と反する面に凹部を有する。また、据付板の上部は上方へ延びる上止部を備えるとともに、上止部は壁面方向に向かう凸部を有する。
【0018】
以上のように構成された空気調和機の据付装置について、以下にその動作を説明する。まず、空気調和機5を据え付けるに際して据付位置を決定し、それに応じてネジ10を用いて据付板12を壁面11に固着する。
【0019】
次に、キャビネット6の背面上部に形成された係合上爪7を、据付板12の上部に形成された上止部13へ掛止する。この際、配管16を空気調和機5へ接続するための作業スペースを確保するため、据付板12の上止部13を支点として空気調和機5を傾斜させ、キャビネット6の背面上部の係合上爪7の壁面方向と反する部位と、据付板12の上止部13の壁面方向に設けられた凸部が当接するように構成される。つまり、上止部13の上端を支点として空気調和機5を傾斜させた際に、係合上爪7の凹部と上止部13の凸部とが当接するように構成される。
【0020】
その後、空気調和機5へ配管16を接続した後、キャビネット6の背面下部に形成された係合下爪8を据付板12の下部に形成された下止部14へ掛止することにより、空気調和機5が据え付けられる。
【0021】
尚、キャビネット6の背面上部の係合上爪7を複数の断面形状とすることができる。また、据付板12の上止部13の壁面方向に設けられた上止部の凸部15を絞り形状,切り起こし形状、または曲げフランジ形状とすることができる。
【0022】
以上のように、第1の実施例によれば、熱交換器と、熱交換器により熱交換された室内空気を吹出す送風ファンと、熱交換器及び送風ファンを内包するキャビネットと、壁面に据え付けるための据付板とを備えた空気調和機であって、キャビネットの背面上部は下方へ延びる係合上爪を備えるとともに、係合上爪は壁面と反する面に凹部を有し、据付板の上部は上方へ延びる上止部を備えるとともに、上止部は壁面方向に向かう凸部を有し、上止部の上端を支点として空気調和機を傾斜させた際に、係合上爪の凹部と上止部の凸部とが当接するように構成する。上止部の上端を支点として空気調和機を傾斜させた際に、係合上爪の凹部と上止部の凸部とが当接するように構成するので、配管を接続する際に空気調和機を傾斜させても、空気調和機が据付板から容易に外れることがない。
【実施例2】
【0023】
次に、本発明に係る空気調和機の第2の実施例について、図4を用いて説明する。なお、第1の実施例に記載の構成と同一であるものについては同一の符号を記することとして、詳細な説明は省略する。
【0024】
図4は本実施例における空気調和機の背面図および平面断面図である。図4において、5は空気調和機であり、空気調和機5はその背面側にキャビネット6を備える。また、図示しないが、空気調和機5は、キャビネットに内包された熱交換器と、室内空気を空気吸込口より吸込み熱交換器を通して空気吹出口より吹出す送風ファンとを備える。
【0025】
さらに、空気調和機5は、キャビネット6の背面上部に形成されキャビネット6の背面上部から下方へ延びる係合上爪7,キャビネット6の背面下部に形成されキャビネット6の背面下部から上方に延びる係合下爪8,係合上爪7の外側にキャビネット背面上部から壁面方向に形成された凸部9,ネジ10で壁面11に固着される据付板12,据付板12の上部に形成され据付板12の上部から上方へ延びる上止部13,据付板12の下部に形成され据付板12の下部から下方へ延びる下止部14,空気調和機5に接続する配管16を備える。
【0026】
以上のように構成された空気調和機の据付装置について、以下にその動作を説明する。上述したように、係合上爪7の外側にはキャビネット背面上部から壁面方向に形成された凸部9を備え、据付板12の上部に形成された上止部13の両端部および据付板12の下部に形成された下止部14と、キャビネット6の背面上部に形成された係合上爪7およびキャビネット6背面下部に形成された係合下爪8が接する前に、キャビネット6に形成されたの凸部9が据付板12の上止部13の側面に接するように構成される。つまり、空気調和機5の左右位置を調整する際に、上止部の左右両側側面がキャビネット6の凸部9と接するように構成される。
【0027】
尚、キャビネット6の凸部9は、壁面方向を底面とする箱形状、もしくは壁面方向へ突起したリブ形状とすることができる。
【0028】
以上のように、第2の実施例によれば、熱交換器と、熱交換器により熱交換された室内空気を吹出す送風ファンと、熱交換器及び送風ファンを内包するキャビネットと、壁面に据え付けるための据付板とを備えた空気調和機であって、キャビネットの背面上部から下方へ延びる係合上爪を備えるとともに、係合上爪外側にキャビネット背面上部から壁面方向に向かう凸部を有し、据付板の上部は上方へ延びる上止部を備え、空気調和機の左右位置を調整する際に、上止部の左右両側側面がキャビネット背面上部の凸部と接するように構成する。空気調和機の左右位置を調整する際に、上止部の左右両側側面がキャビネット背面上部の凸部と接するように構成するので、空気調和機を掛止した後、空気調和機の左右位置を空気調和機本体を持って調整する際に、空気調和機のキャビネットが損傷や破損することがない。
【実施例3】
【0029】
次に、本発明による空気調和機の据付装置の第3の実施例について、図5を用いて説明する。なお、第1及び第2の実施例に記載の構成と同一であるものについては同一の符号を記することとして、詳細な説明は省略する。
【0030】
図5は本実施例における空気調和機の背面図および平面断面図である。図4において、5は空気調和機であり、空気調和機5はその背面側にキャビネット6を備える。また、図示しないが、空気調和機5は、キャビネットに内包された熱交換器と、室内空気を空気吸込口より吸込み熱交換器を通して空気吹出口より吹出す送風ファンとを備える。
【0031】
さらに、空気調和機5は、キャビネット6の背面上部に形成されキャビネット6の背面上部から下方へ延びる係合上爪7,キャビネット6の背面下部に形成されキャビネット6の背面下部から上方に延びる係合下爪8,係合上爪7の外側にキャビネット背面上部から壁面方向に形成された凸部9,ネジ10で壁面11に固着される据付板12,据付板12の上部に形成され据付板12の上部から上方へ延びる上止部13,据付板12の下部に形成され据付板12の下部から下方へ延びる下止部14,空気調和機5に接続する配管16を備える。
【0032】
以上のように構成された空気調和機の据付装置について、以下に各々の部品の配置および寸法を説明する。
【0033】
以上のように構成された空気調和機の据付装置について、以下にその動作を説明する。上述したように、係合上爪7の外側にはキャビネット背面上部から壁面方向に形成された凸部9を備え、据付板12の上部に形成された上止部13の両端部および据付板12の下部に形成された下止部14と、キャビネット6の背面上部に形成された係合上爪7およびキャビネット6背面下部に形成された係合下爪8が接する前に、キャビネット6に形成された凸部9が据付板12の上止部13の側面に接するように構成される。つまり、空気調和機5の左右位置を調整する際に、上止部の左右両側側面がキャビネット6の凸部9と接するように構成される。
【0034】
ここで、空気調和機5のキャビネット6の背面上部に形成された係合上爪7からキャビネット6の背面に壁面11方向に形成された凸部9間の距離をaとし、キャビネット6の背面上部に形成された係合上爪7から据付板12の上止部13の両端部間の距離をbとし、空気調和機5のキャビネット6の背面下部に形成された係合下爪の両端部から据付板12の下止部14の両端部のcとすると、a−b<b≦cとなるように構成される。
【0035】
以上のように、第3の実施例によれば、空気調和機5を掛止した後、空気調和機5の左右位置を空気調和機5本体を持って調整する際に、空気調和機5のキャビネット6を損傷および破損等による空気調和機5の落下等を防ぎ、更に安全性を確保した据付が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1の実施例における空気調和機の分解斜視図。
【図2】第1の実施例における空気調和機の背面図および側面断面図。
【図3】第1の実施例における空気調和機を据付板の上止部を支点として傾斜させた際の側面断面図。
【図4】第2の実施例における空気調和機の背面図および平面断面図。
【図5】第3の実施例における空気調和機の背面図および平面断面図。
【図6】従来の空気調和機の据付装置の分解斜視図。
【図7】従来の空気調和機の据付装置の側面断面図。
【符号の説明】
【0037】
5 空気調和機
6 キャビネット
7 係合上爪
8 係合下爪
9 凸部
10 ネジ
11 壁面
12 据付板
13 上止部
14 下止部
15 上止部の凸部
16 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器と、前記熱交換器により熱交換された室内空気を吹出す送風ファンと、前記熱交換器及び前記送風ファンを内包するキャビネットと、壁面に据え付けるための据付板とを備えた空気調和機であって、
前記キャビネットの背面上部は下方へ延びる係合上爪を備えるとともに、前記係合上爪は前記壁面と反する面に凹部を有し、
前記据付板の上部は上方へ延びる上止部を備えるとともに、前記上止部は前記壁面方向に向かう凸部を有し、
前記上止部の上端を支点として前記空気調和機を傾斜させた際に、前記凹部と前記凸部とが当接するように構成された空気調和機。
【請求項2】
熱交換器と、前記熱交換器により熱交換された室内空気を吹出す送風ファンと、前記熱交換器及び前記送風ファンを内包するキャビネットと、壁面に据え付けるための据付板とを備えた空気調和機であって、
前記キャビネットの背面上部から下方へ延びる係合上爪を備えるとともに、前記係合上爪外側に前記キャビネット背面上部から前記壁面方向に向かう凸部を有し、
前記据付板の上部は上方へ延びる上止部を備え、
前記空気調和機の左右位置を調整する際に、前記上止部の左右両側側面が前記凸部と接するように構成された空気調和機。
【請求項3】
請求項1において、前記係合上爪を複数の断面形状とした空気調和機。
【請求項4】
請求項1において、前記凸部を絞り形状,切り起こし形状又は曲げフランジ形状とした空気調和機。
【請求項5】
請求項2において、前記凸部を前記壁面方向を底面とする箱形状とした空気調和機。
【請求項6】
請求項2において、前記凸部をリブ形状とした空気調和機。
【請求項7】
請求項2において、前記キャビネットの背面下部から上方へ延びる係合下爪と、前記据付板の下部から上方へ延びる下止部とを備え、
前記係合上爪の端部と前記凸部との間の距離をaとし、前記係合上爪と前記上止部との距離をbとし、前記係合下爪と前記下止部との距離をcとすると、
a−b<b≦c
となる空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−287854(P2009−287854A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141817(P2008−141817)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】