説明

空気調和機

【課題】暖房運転を継続したまま室外熱交換器の除霜を行うことができる空気調和機を提供する。
【解決手段】 空気調和機300では、流路切換弁51が、第1形態、第2形態、及び第3形態のいずれかへ切り換えを行うための切換機構を有している。第1形態とは、膨張弁7から入った冷媒を第1室外熱交換部46aおよび第2室外熱交換部46bの双方に流す形態である。第2形態とは、膨張弁7から入った冷媒を第1室外熱交換部46aに流し、且つバイパス路61から入った冷媒を第2室外熱交換部46bに流す形態である。第3形態とは、膨張弁7から入った冷媒を第2室外熱交換部46bに流し、且つバイパス路61から入った冷媒を第1室外熱交換部46aに流す形態である。制御部8は、除霜運転を行うとき、流路切換弁51を第2形態または第3形態へ切り換え、バイパス路61の開閉弁71を開状態にする。なお、開閉弁71はバイパス路61に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流通路を切り換え、或は、流体を多方向に分配する流路切換弁を備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の暖房運転中に室外熱交換器が着霜したとき、その着霜を解消する手段として、圧縮機を出た高温冷媒が凝縮器をバイパスして蒸発器に流れるようにする方法が、特許文献1(特開平11−132603号公報)に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示されている空気調和機では、除霜運転のたびに暖気供給が停止するので、ユーザーに不快感を与える可能性が高い。
【0004】
本発明の課題は、暖房運転を継続したまま室外熱交換器の除霜を行うことができる空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る空気調和機は、圧縮機、凝縮器、減圧器、蒸発器の順で冷媒が循環する蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用する空気調和機であって、室内熱交換器と、室外熱交換器と、流路切換弁と、バイパス路と、開閉弁と、制御部とを備えている。室内熱交換器は、暖房運転時には凝縮器となり、冷房運転時には蒸発器となる。室外熱交換器は、暖房運転時には蒸発器となり、冷房運転時には凝縮器となる。流路切換弁は、減圧器と室外熱交換器との間に配置される。バイパス路は、圧縮機からの吐出冷媒の一部を流路切換弁に導く。開閉弁は、バイパス路に配置される。制御部は、少なくとも流路切換弁および開閉弁を制御する。室外熱交換器は、第1室外熱交換部と、第1室外熱交換部と並列に接続される第2室外熱交換部とを有している。流路切換弁は、第1形態、第2形態、及び第3形態のいずれかへ切り換えるための切換機構を有している。第1形態とは、減圧器から入った冷媒を第1室外熱交換部および第2室外熱交換部の双方に流す形態である。第2形態とは、減圧器から入った冷媒を第1室外熱交換部に流し、且つバイパス路から入った冷媒を第2室外熱交換部に流す形態である。第3形態とは、減圧器から入った冷媒を第2室外熱交換部に流し、且つバイパス路から入った冷媒を第1室外熱交換部に流す形態である。そして、制御部は、除霜運転を行うとき、流路切換弁を第2形態または第3形態へ切り換え、開閉弁を開状態にする。
【0006】
この空気調和機では、室外熱交換器の一部分を使用して暖房運転を継続しながら、他の部分にはバイパス路から高圧・高温冷媒を導入して除霜することができる。それゆえ、暖気供給が停止することなく除霜が行われる。
【0007】
本発明の第2観点に係る空気調和機は、第1観点に係る空気調和機であって、室外温度を検出する室外温度センサをさらに備えている。制御部は、室外温度センサの検出温度が所定温度以上のとき、開閉弁を閉状態にする。
【0008】
この空気調和機では、室外温度が氷点下でないとき(好ましくは5°C以上のとき)、霜は自然に融解するので、開閉弁を閉状態にして高圧・高温冷媒を導入することなく除霜することができる。
【0009】
本発明の第3観点に係る空気調和機は、第1観点に係る空気調和機であって、第2バイパス路をさらに備えている。第2バイパス路は、暖房運転時における室外熱交換器の出口と流路切換弁とを繋ぐ。流路切換弁の切換機構は、第1形態、第2形態、第3形態、及び第4形態のいずれかへの切り換えが可能である。なお、第4形態とは、バイパス路から入った冷媒を第2バイパス路へ流す形態である。そして、制御部は、流路切換弁を第1形態へ切り換える前に、第4形態へ切り換える。
【0010】
低外気温のとき、暖房運転開始直前の圧縮機は冷えている上に、圧縮機の熱容量が大きいので、暖房運転が開始されてから室内熱交換器に高温冷媒が循環するようになるまで一定の時間を要する。それゆえ、暖房運転性能の観点から見れば、速やかに圧縮機温度を上昇させることが好ましい。
【0011】
この空気調和機では、制御部が流路切換弁を第4形態へ切り換えることによって、圧縮機から吐出された高圧・高温のガス冷媒の一部が、バイパス路、流路切換弁および第2バイパス路の順で流れ、再び圧縮機に戻るので、圧縮機温度が速やかに上昇する。
【0012】
第4観点に係る空気調和機は、第3観点に係る空気調和機であって、室内熱交換器が、第1室内熱交換部と、第2室内熱交換部と、減圧部とを有している。減圧部は、第1室内熱交換部と第2室内熱交換部との間に接続される。流路切換弁の切換機構は、第1形態、第2形態、第3形態、第4形態、及び第5形態のいずれかへの切り換えが可能である。なお、第5形態とは、第2バイパス路から入った冷媒を減圧器へ流す形態である。そして、制御部は、暖房運転時とは逆のサイクルによって圧縮機から吐出された冷媒を第1室内熱交換部に流す再熱除湿運転を行うとき、流路切換弁を第5形態へ切り換える。
【0013】
この空気調和機では、再熱除湿運転時、室内熱交換器の第1室内熱交換部だけが凝縮器となる。第1室内熱交換部は室外熱交換器に比べて容量が小さいので余剰冷媒が生じるが、圧縮機から吐出された冷媒は室外熱交換器の入口側から室外熱交換器内へ流入することもでき、余剰冷媒は室外熱交換器内に貯留される。それゆえ、第1室内熱交換部が過度に液冷媒で占められることなく、高圧上昇を抑えて凝縮器能力を有効に活用できる、即ち、圧縮機の入力を抑えた省エネルギーな再熱除湿運転ができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1観点に係る空気調和機では、室外熱交換器の一部分を使用して暖房運転を継続しながら除霜が行われるので、暖気供給が停止することがない。
【0015】
本発明の第2観点に係る空気調和機では、開閉弁を閉状態にして高圧・高温冷媒を導入することなく除霜することができる。
【0016】
本発明の第3観点に係る空気調和機では、圧縮機から吐出された高圧・高温のガス冷媒の一部が、バイパス路、流路切換弁および第2バイパス路の順で流れ、再び圧縮機に戻るので、圧縮機温度が速やかに上昇する。
【0017】
本発明の第4観点に係る空気調和機では、第1室内熱交換部が過度に液冷媒で占められることなく、高圧上昇を抑えて凝縮器能力を有効に活用できる、即ち、圧縮機の入力を抑えた省エネルギーな再熱除湿運転ができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気調和機の構成図。
【図2】本実施形態に係る空気調和機に使用される流路切換弁の斜視図。
【図3A】第1形態に切り換わった第1切換部を本体の中心軸と直交する面で切断したときの流路切換弁の断面図。
【図3B】第1形態に切り換わった第2切換部を本体の中心軸と直交する面で切断したときの流路切換弁の断面図。
【図4A】弁体の分解斜視図。
【図4B】図4Aとは異なる角度から視た弁体の斜視図。
【図5A】第2形態に切り換わった第1切換部を本体の中心軸と直交する面で切断したときの流路切換弁の断面図。
【図5B】第2形態に切り換わった第2切換部を本体の中心軸と直交する面で切断したときの流路切換弁の断面図。
【図6A】第3形態に切り換わった第1切換部を本体の中心軸と直交する面で切断したときの流路切換弁の断面図。
【図6B】第3形態に切り換わった第2切換部を本体の中心軸と直交する面で切断したときの流路切換弁の断面図。
【図7A】第4形態に切り換わった第1切換部を本体の中心軸と直交する面で切断したときの流路切換弁の断面図。
【図7B】第4形態に切り換わった第2切換部を本体の中心軸と直交する面で切断したときの流路切換弁の断面図。
【図8A】第5形態に切り換わった第1切換部を本体の中心軸と直交する面で切断したときの流路切換弁の断面図。
【図8B】第5形態に切り換わった第2切換部を本体の中心軸と直交する面で切断したときの流路切換弁の断面図。
【図9A】第1形態に切り換わった流路切換弁の配管接続部間の連通状態を示す経路図。
【図9B】第2形態に切り換わった流路切換弁の配管接続部間の連通状態を示す経路図。
【図9C】第3形態に切り換わった流路切換弁の配管接続部間の連通状態を示す経路図。
【図9D】第4形態に切り換わった流路切換弁の配管接続部間の連通状態を示す経路図。
【図9E】第5形態に切り換わった流路切換弁の配管接続部間の連通状態を示す経路図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0020】
(1)空気調和機300の全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る空気調和機300の構成図である。図1において、空気調和機300は、室内ユニット4、室外ユニット6、及び制御部8を備えている。室内ユニット4及び室外ユニット6は冷媒連絡管によって接続され、蒸気圧縮式の冷媒回路が構成されている。
【0021】
(2)詳細構成
(2−1)室内ユニット4
室内ユニット4は、室内熱交換器40を含む。室内熱交換器40は、フィン&チューブ型熱交換器であって、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能することによって空気を加熱する。また、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能することによって空気を冷却する。室内熱交換器40は、第1室内熱交換部40a、第1室内熱交換部40aと直列に接続される第2室内熱交換部40b、及び第1室内熱交換部40aと第2室内熱交換部40bとの間に接続される第2膨張弁40cを有している。
【0022】
(2−2)室外ユニット6
室外ユニット6は、主に室外に設置され、四路切換弁2、圧縮機5、膨張弁7、室外熱交換器46及び流路切換弁51を有している。
【0023】
(2−2−1)四路切換弁2
四路切換弁2は、冷房運転と暖房運転との切換時に、冷媒の流れの方向を切り換える弁である。冷房運転時、四路切換弁2は、圧縮機5の吐出側と室外熱交換器46のガス側とを接続するとともに圧縮機5の吸入側と室内熱交換器40のガス側とを接続する。また、暖房運転時、四路切換弁2は、圧縮機5の吐出側と室内熱交換器40のガス側とを接続するとともに圧縮機5の吸入側と室外熱交換器46のガス側とを接続する。
【0024】
(2−2−2)圧縮機5
圧縮機5は、インバータ方式を採用した容量可変型圧縮機であって、低圧のガス冷媒を吸入し、圧縮して高圧のガス冷媒とした後に吐出する。
【0025】
(2−2−3)膨張弁7
膨張弁7は、暖房運転時には室内熱交換器40において放熱した高圧の液冷媒を室外熱交換器46に送る前に減圧する。また、膨張弁7は、冷房運転時には室外熱交換器46において放熱した高圧の液冷媒を室内熱交換器40に送る前に減圧する。
【0026】
(2−2−4)室外熱交換器46
室外熱交換器46は、冷房運転時には冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。また、室外熱交換器46は、第1室外熱交換部46aと、第1室外熱交換部46aと並列に接続される第2室外熱交換部46bとを有している。
【0027】
(2−2−5)流路切換弁51
図2は、本実施形態に係る空気調和機300に使用される流路切換弁51の斜視図である。図2において、流路切換弁51は、本体10、弁体20およびモータ30で構成されている。本体10は、一端が閉じた円筒管である。本体10の胴部10aには、予め5つの孔があけられ、各孔に配管接続用の管が嵌め込まれてロウ付けされている。説明の便宜上、それら5つの管それぞれを第1配管接続部11、第2配管接続部12、第3配管接続部13、第4配管接続部14、及び第5配管接続部15とよぶ。第1配管接続部11、第2配管接続部12、第3配管接続部13、第4配管接続部14、及び第5配管接続部15は、冷媒が流路切換弁51に入るときの流入口、および冷媒が流路切換弁51から出るときの流出口のいずれにも成り得る。
【0028】
(3)流路切換弁51の詳細構成
第1配管接続部11、第3配管接続部13、及び第5配管接続部15は、本体10の底面10b側から視て同じ高さ位置で胴部10aの周囲に配置されており、それらを第1切換部101(図3A参照)とよぶ。同様に、第2配管接続部12及び第4配管接続部14は、本体10の底面10b側から視て同じ高さ位置で胴部10aの周囲に配置されており、それらを第2切換部102(図3B参照)とよぶ。第2切換部102は、第1切換部101よりも底面10bに近い。
【0029】
図1において、第1配管接続部11は、膨張弁7に接続されている。第3配管接続部13は、室外熱交換器46の第1室外熱交換部46aに接続されている。第5配管接続部15は、室外熱交換器46の第2室外熱交換部46bに接続されている。
【0030】
また、第2配管接続部12は、第2バイパス路62に接続されている。第2バイパス路62は、暖房運転時における室外熱交換器46の出口と流路切換弁51とを繋ぐ冷媒配管である。また、第4配管接続部14は、バイパス路61に接続されている。バイパス路61は、圧縮機5から吐出された冷媒の一部を流路切換弁51へ導く冷媒配管である。バイパス路61の途中には、開閉弁71が設けられている。
【0031】
本体10の内部は円筒形の空洞であり、その円周面に沿って回転する弁体20が収納されている。弁体20はモータ30によって駆動され、モータ30の回転角度に応じて、第1形態、第2形態、第3形態、第4形態、及び第5形態に切り換わる。
【0032】
図3Aは第1形態に切り換わった第1切換部101を本体10の中心軸と直交する面で切断したときの流路切換弁の断面図であり、図3Bは第1形態に切り換わった第2切換部102を本体10の中心軸と直交する面で切断したときの流路切換弁の断面図である。
【0033】
図3Aにおいて、第3配管接続部13は、胴部10aの中心軸に対して第1配管接続部11から時計方向に90°離れた位置に固定されている。第5配管接続部15は、胴部10aの中心軸に対して第1配管接続部11から反時計方向に90°離れた位置に固定されている。図3Bにおいて、第4配管接続部14は、胴部10aの中心軸に対して第2配管接続部12から時計方向に180°離れた位置に固定されている。弁体20は、第1切換部101に属する第1弁体201と、第2切換部102に属する第2弁体202とを有する。以下、第1弁体201及び第2弁体202について図面を参照しながら説明する。
【0034】
図4Aは弁体の分解斜視図であり、図4Bは図4Aとは異なる角度から視た弁体の斜視図である。図4A,図4Bにおいて、弁体20は、第1弁体201、第2弁体202、仕切部材210、第1シール部材211及び第2シール部材212を含んでいる。
【0035】
第1弁体201は、回転体であり、シール部201aと凸部201bと凹部201cとを有している。シール部201aは、本体10の内周に沿って回転移動する。凸部201bは、流線形に成形されており、回転中心から一方向に突出している。凹部201cは、U字状に成形されており、回転中心に向かって窪んでいる。
【0036】
第2弁体202は、第1弁体201と同じ形状の回転体であり、シール部202aと凸部202bと凹部202cとを有している。シール部202aは、本体10の内周に沿って回転移動する。凸部202bは、流線形に成形されており、回転中心から一方向に突出している。凹部202cは、U字状に成形されており、回転中心に向かって窪んでいる。
【0037】
仕切部材210は、第1弁体201と第2弁体202との間に配置される円柱形の回転体である。仕切部材210は、本体10の内周面とは僅かな隙間をあけて対峙している。また、仕切部材210は、第1弁体201の凹部201cと第2弁体202の凹部202cとを結ぶ連絡孔210aを有している。第1弁体201と第2弁体202と仕切部材210とは一本の回転軸に固定されており、その回転軸がモータ30の出力軸に連結されている。
【0038】
第1シール部材211は、円柱形状を成し、第1弁体201と本体10のモータ30側端部との間に配置されている。第1シール部材211は、第1弁体201を通る流体がモータ30側へ漏れないようにシールしている。第1シール部材211の中心には軸孔があけられており、そこに回転軸が貫通する。
【0039】
第2シール部材212は、円柱形状を成し、第2弁体202と本体10の底面10bとの間に配置されている。第2シール部材212は、第2弁体202を通る流体が底面10b側へ漏れないようにシールしている。第2シール部材212の中心には軸孔があけられており、そこに回転軸が貫通する。
【0040】
(3−1)流路切換弁51の第1形態
図3A,図3Bで示すように、流路切換弁51が第1形態に切り換わることによって、第1切換部101では、凸部201bが第1配管接続部11と対峙する。第1配管接続部11から流入した冷媒は、凸部201bによって第3配管接続部13に向かう冷媒と、第5配管接続部15に向う冷媒とに分流する。図1において、第3配管接続部13を出た冷媒は室外熱交換器46の第1室外熱交換部46aに送られ、第5配管接続部15を出た冷媒は室外熱交換器46の第2熱交換部46bに送られる。
【0041】
第2切換部102では、凹部202cが第4配管接続部14と対峙している。第4配管接続部14から入った冷媒は、シール部202aに塞き止められ第2配管接続部12へ流れることはできないので、凹部202cに沿って第1切換部101の凹部201cに向う。しかし、そこでも冷媒はシール部201aによって塞き止められるので、第1配管接続部11、第3配管接続部13及び第5配管接続部15のいずれにも流れることはできない。
【0042】
図9Aは、第1形態に切り換わった流路切換弁51の各配管接続部間の連通状態を示す経路図である。図9Aにおいて、流路切換弁51が第1形態へ切り換わったことによって、第1配管接続部11と第3配管接続部13とが連通し、且つ第1配管接続部11と第5配管接続部15とが連通する。以後、第1形態に切り換わった流路切換弁51を通過する冷媒の流れを説明するときは、図9Aを参照する。
【0043】
(3−2)流路切換弁51の第2形態
次に、図5Aは第2形態に切り換わった第1切換部101を本体10の中心軸と直交する面で切断したときの流路切換弁51の断面図であり、図5Bは第2形態に切り換わった第2切換部102を本体10の中心軸と直交する面で切断したときの流路切換弁51の断面図である。
【0044】
図5A、図5Bにおいて、流路切換弁51が第2形態に切り換わることによって、第1切換部101では、凹部201cが第5配管接続部15と対峙する。第1配管接続部11から流入した冷媒は、第5配管接続部15側がシール部201aに塞き止められているので、第3配管接続部13に向かう。図1において、第3配管接続部13を出た冷媒は室外熱交換器46の第1室外熱交換部46aに送られる。
【0045】
第2切換部102では、凹部202cが第4配管接続部14と対峙している。第4配管接続部14から入った冷媒は、シール部202aに塞き止められ第2配管接続部12へ流れることはできないので、凹部202cに沿って第1切換部101の凹部201cに向う。凹部201cは第5配管接続部15と連通しているので、凹部201cを通過した冷媒は第5配管接続部15を経由して室外熱交換器46の第2室外熱交換部46bに送られる。
【0046】
図9Bは、第2形態に切り換わった流路切換弁51の各配管接続部間の連通状態を示す経路図である。図9bにおいて、流路切換弁51が第2形態へ切り換わったことによって、第1配管接続部11と第3配管接続部13とが連通し、且つ第4配管接続部14と第5配管接続部15とが連通する。以後、第2形態に切り換わった流路切換弁51を通過する冷媒の流れを説明するときは、図9Bを参照する。
【0047】
(3−3)流路切換弁51の第3形態
次に、図6Aは第3形態に切り換わった第1切換部101を本体10の中心軸と直交する面で切断したときの流路切換弁51の断面図であり、図6Bは第3形態に切り換わった第2切換部102を本体10の中心軸と直交する面で切断したときの流路切換弁51の断面図である。
【0048】
図6A、図6Bにおいて、流路切換弁51が第3形態に切り換わることによって、第1切換部101では、凹部201cが第3配管接続部13と対峙する。第1配管接続部11から流入した冷媒は、第3配管接続部13側がシール部201aに塞き止められているので、第5配管接続部15に向かう。図1において、第5配管接続部15を出た冷媒は室外熱交換器46の第2室外熱交換部46bに送られる。
【0049】
第2切換部102では、凹部202cが第4配管接続部14と対峙している。第4配管接続部14から入った冷媒は、シール部202aに塞き止められ第2配管接続部12へ流れることはできないので、凹部202cに沿って第1切換部101の凹部201cに向う。凹部201cは第3配管接続部13と連通しているので、凹部201cを通過した冷媒は第3配管接続部13を経由して室外熱交換器46の第1室外熱交換部46aに送られる。
【0050】
図9Cは、第3形態に切り換わった流路切換弁51の各配管接続部間の連通状態を示す経路図である。図9Cにおいて、流路切換弁51が第3形態へ切り換わったことによって、第1配管接続部11と第5配管接続部15とが連通し、且つ第4配管接続部14と第3配管接続部13とが連通する。以後、第3形態に切り換わった流路切換弁51を通過する冷媒の流れを説明するときは、図9Cを参照する。
【0051】
(3−4)流路切換弁51の第4形態
次に、図7Aは第4形態に切り換わった第1切換部101を本体10の中心軸と直交する面で切断したときの流路切換弁51の断面図であり、図7Bは第4形態に切り換わった第2切換部102を本体10の中心軸と直交する面で切断したときの流路切換弁51の断面図である。
【0052】
図7A、図7Bにおいて、流路切換弁51が第4形態に切り換わることによって、第1切換部101では、凹部201cが第5配管接続部15と対峙する。第5配管接続部15側がシール部201aに塞き止められているので、第1配管接続部11と第3配管接続部13とが連通する。但し、第4形態では、第1配管接続部11と第3配管接続部13のいずれにも冷媒は流れない。
【0053】
第2切換部102では、凹部202cが第4配管接続部14と対峙していないので、第4配管接続部14から入った冷媒は、塞き止められることなく第2配管接続部12へ流れる。図1において、第2配管接続部12を出た冷媒は、第2バイパス路62を経由して圧縮機5の吸入側へ送られる。
【0054】
図9Dは、第4形態に切り換わった流路切換弁51の各配管接続部間の連通状態を示す経路図である。図9Dにおいて、流路切換弁51が第4形態へ切り換わったことによって、第4配管接続部14と第2配管接続部12とが連通する。以後、第4形態に切り換わった流路切換弁51を通過する冷媒の流れを説明するときは、図9Dを参照する。
【0055】
(3−5)流路切換弁51の第5形態
次に、図8Aは第5形態に切り換わった第1切換部101を本体10の中心軸と直交する面で切断したときの流路切換弁51の断面図であり、図8Bは第4形態に切り換わった第2切換部102を本体10の中心軸と直交する面で切断したときの流路切換弁51の断面図である。
【0056】
図8A、図8Bにおいて、流路切換弁51が第5形態に切り換わることによって、第1切換部101では、凹部201cが第1配管接続部11と対峙する。第3配管接続部13側、及第5配管接続部15側がシール部201aに塞き止められているので、第1配管接続部11は第3配管接続部13及び第5配管接続部15のいずれとも連通しない。
【0057】
第2切換部102では、凹部202cが第2配管接続部12と対峙している。第2配管接続部12から入った冷媒は、シール部202aに塞き止められ第4配管接続部14へ流れることはできないので、凹部202cに沿って第1切換部101の凹部201cに向う。凹部201cは第1配管接続部11と連通しているので、凹部201cを通過した冷媒は第1配管接続部11を経由して膨張弁7に送られる。
【0058】
図9Eは、第5形態に切り換わった流路切換弁51の各配管接続部間の連通状態を示す経路図である。図9Eにおいて、流路切換弁51が第5形態へ切り換わったことによって、第2配管接続部12と第1配管接続部11とが連通する。以後、第5形態に切り換わった流路切換弁51を通過する冷媒の流れを説明するときは、図9Eを参照する。
【0059】
(4)運転時の冷媒の流れ
(4−1)暖房運転時の冷媒の流れ
ここでは、図1及び図9Aを用いて、暖房運転時の冷媒の流れを説明する。図1において、制御部8は、四路切換弁2を暖房運転用経路(実線で表示)に切り換え、圧縮機5の吐出側と室内熱交換器40のガス側とを接続するとともに圧縮機5の吸入側と室外熱交換器46のガス側とを接続する。さらに、制御部8は、膨張弁7の開度を冷媒が減圧される程度まで絞るとともに、開閉弁71を閉にし、第2膨張弁40cを全開若しくは減圧を意図しない開度にし、さらに、流路切換弁51を図9Aに示す第1形態へ切り換える。
【0060】
上記条件のもと、冷媒は圧縮機5に吸入され、高圧まで圧縮された後に吐出される。圧縮機5から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁2を通じて室内熱交換器40に送られる。なお、圧縮機5と四路切換弁2とを結ぶ配管の途中からバイパス路61が分岐しているので、圧縮機5から吐出された冷媒の一部がバイパス路61に流れようとするが、開閉弁71が閉じられているので、冷媒がバイパス路61を流れることはない。
【0061】
室内熱交換器40では、第2膨張弁40cが全開若しくは減圧を意図しない程度に開いているので、第1室内熱交換部40aと第2室内熱交換部40bとはともに凝縮器として機能する。室内熱交換器40において凝縮した高圧の冷媒は、膨張弁7に送られて低圧まで減圧され、流路切換弁51の第1配管接続部11に入る。流路切換弁51は、第1形態に切り換わっているので、第1配管接続部11と第3配管接続部13とが連通し、第1配管接続部11と第5配管接続部15とが連通している。冷媒は、第3配管接続部13に向う冷媒と第5配管接続部15に向う冷媒とに分流し、室外熱交換器46の第1室外熱交換部46a及び第2室外熱交換部46bの双方に流れる。
【0062】
冷媒は、室外熱交換器46の第1室外熱交換部46a及び第2室外熱交換部46bそれぞれにおいて、室外空気と熱交換を行って蒸発する。室外熱交換器46において蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁2を通じて、再び、圧縮機5に吸入される。
【0063】
(4−2)冷房運転時の冷媒の流れ
ここでは、図1及び図9Aを用いて、冷房運転時の冷媒の流れを説明する。図1において、制御部8は、四路切換弁2を冷房運転用経路(点線で表示)に切り換え、圧縮機5の吐出側と室外熱交換器46のガス側とを接続するとともに圧縮機5の吸入側と室内熱交換器40のガス側とを接続する。
【0064】
さらに、制御部8は、膨張弁7の開度を冷媒が減圧される程度まで絞るとともに、開閉弁71を閉にし、第2膨張弁40cを全開若しくは減圧を意図しない開度にし、さらに、流路切換弁51を図9Aに示す第1形態へ切り換える。
【0065】
上記条件のもと、冷媒は圧縮機5に吸入され、高圧まで圧縮された後に吐出される。圧縮機5から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁2を通じて室外熱交換器46に送られる。なお、圧縮機5と四路切換弁2とを結ぶ配管の途中からバイパス路61が分岐しているので、圧縮機5から吐出された冷媒の一部がバイパス路61に流れようとするが、開閉弁71が閉じられているので、冷媒がバイパス路61を流れることはない。
【0066】
冷媒は、室外熱交換器40の入口で、第1室外熱交換部46aに入る冷媒および第2室外熱交換部46bに入る冷媒に分流し、第1室外熱交換部46a及び第2室外熱交換部46bそれぞれにおいて、室外空気と熱交換を行って凝縮する。
【0067】
第1室外熱交換部46aで凝縮した高圧の冷媒は、流路切換弁51の第3配管接続部13に流入する。また、第2室外熱交換部46bで凝縮した高圧の冷媒は、流路切換弁51の第5配管接続部15に流入する。流路切換弁51は、第1形態に切り換わっているので、第1配管接続部11と第3配管接続部13とが連通し、第1配管接続部11と第5配管接続部15とが連通している。
【0068】
第3配管接続部13及び第5配管接続部15に流入した冷媒は、流路切換弁51内部で合流し、第1配管接続部11を通って膨張弁7に至る。冷媒は、膨張弁7で低圧まで減圧され、室内熱交換器40に入る。
【0069】
室内熱交換器40では、第2膨張弁40cが全開若しくは減圧を意図しない程度に開いているので、第1室内熱交換部40aと第2室内熱交換部40bとはともに蒸発器として機能する。室内熱交換器40において蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁2を通じて、再び、圧縮機5に吸入される。
【0070】
(4−3)除霜運転時の冷媒の流れ
ここでは、図1、図9B及び図9Cを用いて、除霜運転時の冷媒の流れを説明する。前提条件として、制御部8が暖房運転中に室外熱交換器46が着霜したと判断し、流路切換弁51を図9Bに示す第2形態へ切り換え、開閉弁71を開にする。四路切換弁2、膨張弁7および第2膨張弁40cの状態は、暖房運転時の状態が維持されている。
【0071】
上記条件のもと、冷媒は圧縮機5に吸入され、高圧まで圧縮された後に吐出される。圧縮機5から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁2を通じて室内熱交換器40に送られる。また、圧縮機5と四路切換弁2とを結ぶ配管の途中からバイパス路61が分岐しているので、圧縮機5から吐出された冷媒の一部はバイパス路61に入る。開閉弁71は開いているので、冷媒はバイパス路61を流れて流路切換弁51の第4配管接続部14に送られる。
【0072】
室内熱交換器40では、第2膨張弁40cが全開若しくは減圧を意図しない程度に開いているので、第1室内熱交換部40aと第2室内熱交換部40bとはともに凝縮器として機能する。室内熱交換器40において凝縮した高圧の冷媒は、膨張弁7に送られて低圧まで減圧され、流路切換弁51の第1配管接続部11に入る。流路切換弁51は、第2形態に切り換わっているので、第1配管接続部11と第3配管接続部13とが連通し、第4配管接続部14と第5配管接続部15とが連通している。それゆえ、膨張弁7から入った低圧の冷媒は第1室外熱交換部46aに流れ、バイパス路61から入った高温・高圧の冷媒が第2室外熱交換部46bに流れる。
【0073】
低圧の冷媒は、第1室外熱交換部46aにおいて室外空気と熱交換を行って蒸発する。高温・高圧の冷媒は、第2室外熱交換部46bにおいて放熱して第2室外熱交換部46bの表面に付着した霜を融かす。第1室外熱交換部46aで蒸発した冷媒、および第2室外熱交換部46bで放熱した冷媒は、室外熱交換器46の出口で合流し、四路切換弁2を通じて、再び、圧縮機5に吸入される。
【0074】
制御部8は、第2室外熱交換部46bの霜が融けたと判断したとき、例えば、第2室外熱交換部46bに設置された温度センサから霜が融けたと判断したとき、流路切換弁51を第3形態へ切り換える。このとき、第1配管接続部11と第5配管接続部15とが連通し、第4配管接続部14と第3配管接続部13とが連通する。それゆえ、膨張弁7から入った低圧の冷媒が第2室外熱交換部46bに流れ、バイパス路61から入った高温・高圧の冷媒が第1室外熱交換部46aに流れる。
【0075】
低圧の冷媒は、第2室外熱交換部46bにおいて室外空気と熱交換を行って蒸発する。高温・高圧の冷媒は、第1室外熱交換部46aにおいて放熱して第1室外熱交換部46aの表面に付着した霜を融かす。第2室外熱交換部46bで蒸発した冷媒、および第1室外熱交換部46aで放熱した冷媒は、室外熱交換器46の出口で合流し、四路切換弁2を通じて、再び、圧縮機5に吸入される。
【0076】
なお、室外温度が氷点下でないとき、霜は自然に融解するので、制御部8は室外温度センサ91の検出温度が所定値以上(好ましくは5°C以上)のとき開閉弁71を閉状態にして高圧・高温冷媒を導入することなく除霜運転を行う。
【0077】
(4−4)圧縮機起動時の冷媒の流れ
ここでは、図1及び図9Dを用いて、圧縮機起動時の冷媒の流れを説明する。図1において、制御部8は、四路切換弁2を暖房運転用経路(実線で表示)に切り換え、圧縮機5の吐出側と室内熱交換器40のガス側とを接続するとともに圧縮機5の吸入側と室外熱交換器46のガス側とを接続する。さらに、制御部8は、膨張弁7を閉じ、開閉弁71を開き、第2膨張弁40cを全開若しくは減圧を意図しない開度にし、さらに、流路切換弁51を図9Dに示す第4形態へ切り換える。
【0078】
上記条件のもとで、冷媒は圧縮機5に吸入され、高圧まで圧縮された後に吐出される。膨張弁7が閉じられているので、四路切換弁2から室内熱交換器40を経て膨張弁7に至る経路には冷媒は流れない。他方、圧縮機5と四路切換弁2とを結ぶ配管の途中からバイパス路61が分岐しているので、圧縮機5から吐出された冷媒はバイパス路61に入る。開閉弁71が開いているので、冷媒はバイパス路61を流れる。流路切換弁51は、第4形態に切り換わっているので、第4配管接続部14と第2配管接続部12とが連通している。それゆえ、バイパス路61から入った冷媒が第2バイパス路62に流れる。第2バイパス路62を流れる冷媒は、四路切換弁2を通じて、再び、圧縮機5に吸入される。
【0079】
一般に、低外気温のとき、暖房運転開始直前の圧縮機5は冷えている上に、圧縮機5の熱容量が大きく、暖房運転が開始されてから室内熱交換器40に高温冷媒が循環するようになるまで一定の時間を要する。それゆえ、暖房運転性能の観点から見れば、上記の制御によって速やかに圧縮機温度を上昇させることが好ましい。
【0080】
(4−5)再熱除湿運転時の冷媒の流れ
ここでは、図1及び図9Eを用いて、再熱除湿運転時の冷媒の流れを説明する。図1において、制御部8は、四路切換弁2を冷房運転用経路(点線で表示)に切り換え、圧縮機5の吐出側と室外熱交換器46のガス側とを接続するとともに圧縮機5の吸入側と室内熱交換器40のガス側とを接続する。
【0081】
さらに、制御部8は、膨張弁7の開度を全開若しくは減圧を意図しない開度にするとともに、開閉弁71を閉じ、第2膨張弁40cの開度を冷媒が減圧される程度まで絞り、さらに、流路切換弁51を図9Eに示す第5形態へ切り換える。
【0082】
上記条件のもと、冷媒は圧縮機5に吸入され、高圧まで圧縮された後に吐出される。圧縮機5から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁2を通じて室外熱交換器46に送られる。なお、圧縮機5と四路切換弁2とを結ぶ配管の途中からバイパス路61が分岐しているので、圧縮機5から吐出された冷媒の一部がバイパス路61に流れようとするが、開閉弁71が閉じられているので、冷媒がバイパス路61を流れることはない。
【0083】
冷媒は、室外熱交換器46の入口で、第1室外熱交換部46aに入る冷媒、第2室外熱交換部46bに入る冷媒、及び第2バイパス路62へ流れる冷媒に分流する。但し、第1室外熱交換部46a及び第2室外熱交換部46bそれぞれは、第2バイパス路62に比べて流路抵抗が大きいので、ほとんどの冷媒が第2バイパス路62を通って流路切換弁51の第2配管接続部12に向う。
【0084】
流路切換弁51は、第5形態に切り換わっているので、第2配管接続部12と第1配管接続部11とが連通している。第2配管接続部12に流入した冷媒は、第1配管接続部11を通って膨張弁7に至る。膨張弁7の開度は、全開若しくは減圧を意図しない開度になっているので、冷媒は膨張弁7で減圧されることなく、室内熱交換器40の第1室内熱交換部40aに入る。
【0085】
室内熱交換器40内では、冷媒は第1室内熱交換部40aと第2室内熱交換部40bとの間で第2膨張弁40cによって減圧されるので、第1室内熱交換部40aが凝縮器として、第2室内熱交換部40bが蒸発器として機能する。
【0086】
つまり、冷媒は、第1室内熱交換部40aで室内空気と熱交換して凝縮し、第2室内熱交換部40bで室内空気と熱交換器して蒸発する。第2室内熱交換部40bにおいて蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁2を通じて、再び、圧縮機5に吸入される。
【0087】
ここで、室外熱交換器46を凝縮器として機能させずに、室内熱交換器40の第1室内熱交換部40aだけを凝縮器として機能させたとき、余剰冷媒が生じる。なぜなら、必要冷媒量は、室外熱交換器46が凝縮器として機能することを前提に設定されているので、室外熱交換器40に比べて容量が小さい第1室内熱交換部40aを凝縮器として機能させた場合、室外熱交換器46と第1室内熱交換部40aとの容量差に応じた冷媒を貯留することができないからである。余剰冷媒が第1室内熱交換部40aに流れ込むと、高圧圧力が高くなり圧縮機5の負荷が増大するので、圧縮機5のエネルギー消費も増大し、好ましくない。
【0088】
しかしながら、この空気調和機300では、室外熱交換器46の入口は開放されているので、余剰冷媒は室外熱交換器46内に貯留される。よって、圧縮機5の負荷増大が回避される。
【0089】
(5)特徴
(5−1)
空気調和機300では、流路切換弁51が、第1形態、第2形態、及び第3形態のいずれかに切り換わるための切換機構を有している。第1形態とは、膨張弁7から入った冷媒を第1室外熱交換部46aおよび第2室外熱交換部46bの双方に流す形態である。第2形態とは、膨張弁7から入った冷媒を第1室外熱交換部46aに流し、且つバイパス路61から入った冷媒を第2室外熱交換部46bに流す形態である。第3形態とは、膨張弁7から入った冷媒を第2室外熱交換部46bに流し、且つバイパス路61から入った冷媒を第1室外熱交換部46aに流す形態である。制御部8は、除霜運転を行うとき、流路切換弁51を第2形態または第3形態へ切り換え、バイパス路61の開閉弁71を開状態にする。なお、開閉弁71はバイパス路61に配置され、開閉弁71が開のときバイパス路61には圧縮機5からの吐出冷媒の一部が流路切換弁51に向って流れる。
【0090】
この結果、空気調和機300では、室外熱交換器46の第1室外熱交換部46a及び第2室外熱交換部46bのいずれか一方使用して暖房運転を継続しながら、他方にはバイパス路61から高圧・高温冷媒を導入して除霜することができる。それゆえ、暖気供給が停止することなく除霜が行われる。
【0091】
(5−2)
空気調和機300では、制御部8は、流路切換弁51を第1形態へ切り換える前に、一旦、第4形態へ切り換える。第4形態とは、バイパス路61から入った冷媒を第2バイパス路62へ流す形態である。なお、第2バイパス路62は、暖房運転時における室外熱交換器46の出口と流路切換弁51とを繋いでいる。
【0092】
この結果、空気調和機300では、暖房運転のための圧縮機起動時、圧縮機5から吐出された高圧・高温のガス冷媒の一部が、バイパス路61、流路切換弁51および第2バイパス路62の順で流れ、再び圧縮機5に戻るので、圧縮機5の温度が速やかに上昇する。
【0093】
(5−3)
空気調和機300では、制御部8が再熱除湿運転を行うとき、流路切換弁51を第5形態へ切り換える。第5形態とは、第2バイパス路62から入った冷媒を膨張弁7へ流す形態である。
【0094】
この結果、再熱除湿運転時に発生する余剰冷媒は室外熱交換器46内に貯留されるようになる。それゆえ、余剰冷媒によって再熱除湿運転に支障をきたすようなことは回避される。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上のように、本発明によれば、暖房運転を継続しながら除霜運転を行うことができるので、蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用する冷凍装置に有用である。
【符号の説明】
【0096】
5 圧縮機
7 膨張弁(減圧器)
8 制御部
10 本体
20 弁体(可動部材)
40 室内熱交換器
40a 第1室内熱交換部(第1熱交換部)
40b 第2室内熱交換部(第2熱交換部)
40c 第2膨張弁(減圧部)
46 室外熱交換器
46a 第1室外熱交換部(第1熱交換部)
46b 第2室外熱交換部(第2熱交換部)
51 流路切換弁
61 バイパス路
62 第2バイパス路
91 室外温度センサ
300 空気調和機
【先行技術文献】
【特許文献】
【0097】
【特許文献1】特開平11−132603号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(5)、凝縮器、減圧器(7)、蒸発器の順で冷媒が循環する蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用する空気調和機であって、
暖房運転時には前記凝縮器となり、冷房運転時には前記蒸発器となる室内熱交換器(40)と、
暖房運転時には前記蒸発器となり、冷房運転時には前記凝縮器となる室外熱交換器(46)と、
前記減圧器(7)と前記室外熱交換器(46)との間に配置される流路切換弁(51)と、
前記圧縮機(5)からの吐出冷媒の一部を前記流路切換弁(51)に導くためのバイパス路(61)と、
前記バイパス路(61)に配置される開閉弁(71)と、
少なくとも前記流路切換弁(51)および前記開閉弁(71)を制御する制御部(8)と、
を備え、
前記室外熱交換器(46)は、
第1室外熱交換部(46a)と
前記第1室外熱交換部(46a)と並列に接続される第2室外熱交換部(46b)と、
を有し、
前記流路切換弁(51)は、
前記減圧器(7)から入った冷媒を前記第1室外熱交換部(46a)および前記第2室外熱交換部(46b)の双方に流す第1形態、
前記減圧器(7)から入った冷媒を前記第1室外熱交換部(46a)に流し、且つ前記バイパス路(61)から入った冷媒を前記第2室外熱交換部(46b)に流す第2形態、及び、
前記減圧器(7)から入った冷媒を前記第2室外熱交換部(46b)に流し、且つ前記バイパス路(61)から入った冷媒を前記第1室外熱交換部(46a)に流す第3形態、
のいずれかへの切り換えを行うための切り換え機構を有し、
前記制御部(8)は、除霜運転を行うとき、前記流路切換弁(51)を第2形態または第3形態へ切り換え、前記開閉弁(71)を開状態にする、
空気調和機。
【請求項2】
室外温度を検出する室外温度センサ(91)をさらに備え、
前記制御部(8)は、前記室外温度センサ(91)の検出温度が所定温度以上のとき、前記開閉弁(71)を閉状態にする、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
暖房運転時における前記室外熱交換器(46)の出口と前記流路切換弁(51)とを繋ぐ第2バイパス路(62)をさらに備え、
前記流路切換弁(51)の前記切換機構は、
前記第1形態、
前記第2形態、
前記第3形態、及び、
前記バイパス路(61)から入った冷媒を前記第2バイパス路(62)へ流す第4形態、
のいずれかへの切り換えが可能であり、
前記制御部(8)は、前記流路切換弁(51)を第1形態へ切り換える前に、第4形態へ切り換える、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記室内熱交換器(40)は、
第1室内熱交換部(40a)と、
第2室内熱交換部(40b)と、
前記第1室内熱交換部(40a)と前記第2室内熱交換部(40b)との間に接続される減圧部(40c)と、
を有し、
前記流路切換弁(51)の前記切換機構は、
前記第1形態、
前記第2形態、
前記第3形態、
前記第4形態、及び、
前記第2バイパス路(62)から入った冷媒を前記減圧器(7)へ流す第5形態、
のいずれかへの切り換えが可能であり、
前記制御部(8)は、暖房運転時とは逆のサイクルによって前記圧縮機(5)から吐出された冷媒を前記第1室内熱交換部(40a)に流す再熱除湿運転を行うとき、前記流路切換弁(51)を、第5形態へ切り換える、
請求項3に記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【公開番号】特開2012−107771(P2012−107771A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254944(P2010−254944)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)