説明

空気調和機

【課題】ネジ等を使用しないでメンテナンス時の作業性を向上させると共に、輸送中の振動・衝撃にもモータカバーが外れるのを防止できるモータ固定装置を備えた空気調和機を提供する。
【解決手段】モータカバー42の一端側をファンモータのモータ軸と平行な回動軸周りに開閉回動自在にモータ支持部に支持し、他端部をモータ受け部に係止し、さらに、モータカバー42の一端側における回動軸48の軸方向への移動を規制する第1の規制手段55として、モータカバー42の一端側に突出する規制片57と、前記モータカバー42の前記回動軸周りの閉回動で前記規制片57が嵌入する規制穴58とを備え、規制片57の規制穴58への嵌入姿勢でモータカバー42の回動軸方向への移動を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風ファンおよびそのファンモータを備えた空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和機においては、送風ファンの故障により送風ファンの交換が必要になったり、あるいは送風ファンの清掃等のメンテナンスを行なう際に、送風ファンを筐体内から取り外すために、送風ファンやファンモータは筐体内に着脱自在に装着されている(特許文献1〜4参照)。
【0003】
例えば、特許文献4の空気調和機では、横流ファン(クロスフローファン)の一端を枢支する軸受けと、モータ受け部に固定ねじを介して取り付けられファンモータを挟持するモータカバーとを備え、モータカバーの固定ねじを取外すことにより、ファンモータをモータ受け部から取り外すことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−135994号公報
【特許文献2】特開平9−2273769号公報
【特許文献3】特開平10−137698号公報
【特許文献4】特開2001−193957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、送風ファンのファンモータは、筐体側のモータ受け部とモータカバーとで囲まれたモータ収容部に収容されるが、その際、ファンモータの駆動時に発生する振動が筐体側に伝達するのを防止するため、防振ゴム等の防振材を介してモータ収容部に着脱自在に取り付けられる。
【0006】
したがって、モータ収容部を構成するモータ受け部とモータカバーとはネジやビスにより強固に固定され、ファンモータからの振動が筐体側に伝達されるのを防止しているが、ファンモータのメンテナンス時にネジやビスの締付けを解除する必要があり、作業性が悪くなるといった課題がある。
【0007】
一方、モータカバーを係合爪等によりモータ受け部に係止し、メンテナンス時の作業性を良好にすることも考えられるが、係止手段によるモータカバーの固定は、輸送中の振動や衝撃により、係止爪が離脱してモータカバーの係止が外れるおそれがある。
【0008】
モータカバーが外れる、あるいは緩むと、空気調和機の使用時に、ファンモータで発生した振動が筐体側に伝わりやすくなり、不快音を発生するおそれがある。
【0009】
本発明は、上記に鑑み、メンテナンス時の作業性を向上させると共に、輸送中の振動・衝撃にもモータカバーが外れるのを防止できる空気調和機の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、筐体内に着脱自在に配置された送風ファンおよびそのファンモータと、筐体側のモータ受け部に対向して配置され、前記ファンモータのモータ軸方向両端面の一部およびファンモータの外周面の一部を覆うモータカバーとを備え、前記モータカバーは、その一端側がファンモータのモータ軸と平行な回動軸を介して前記モータ受け部に開閉回動自在に支持され、他端部が係止手段を介して前記モータ受け部に係脱自在に係止され、前記モータカバーの一端側における前記回動軸の軸方向への移動を規制する第1の規制手段が設けられたことを特徴とする。
【0011】
上記構成によると、モータカバーが、筐体側のモータ受け部に対向して、前記ファンモータのモータ軸方向両端面およびファンモータの外周面の一部を覆っており、係止手段がモータ受け部に係止しているため、ファンモータの移動が規制されるが、空気調和機の輸送中における振動・衝撃により、係止手段が外れた場合でも、モータカバーの一端側における回動軸の軸方向への移動は、第1の規制手段により規制されるので、ネジやビス等を使用しなくても、回動軸が軸方向に移動するのを防止することができる。
【0012】
第1の規制手段の具体例としては、前記モータカバーの一端側に突出する規制片と、前記モータカバーの前記回動軸周りの閉回動で前記規制片が嵌入する規制穴とを備えた構成が挙げられ、規制片の規制穴への嵌入姿勢で前記モータカバーの回動軸方向への移動が規制される。
【0013】
上記構成によると、モータカバーの一端側に突出する規制片をモータ受け部側の規制穴に嵌入するだけの簡単な構成により、モータカバーの回動軸方向への移動が規制される。また、モータカバーの回動開姿勢では規制片が規制穴から抜け出すようになっている。
【0014】
また、係止手段は、モータカバーの他端部に弾性変形可能な係止片と、該係止片を変形させて係合固定する筐体側の係止受けとを備えた構成が例示される。係止片の形状は特に限定されないが、例えば、U字形に湾曲形成されたものが挙げられる。このような係止手段には、前記係止片の弾性変形を規制して前記係止受けからの離脱を防止する第2の規制手段を設けることができる。
【0015】
第2の規制手段は、モータカバーの他端部が係止手段により係止された後、モータカバーの他端部が動かないよう規制する。つまり、係止手段の弾性変形によりモータカバーの他端部がモータ受け部に係止されているので、その弾性変形を規制することにより、モータカバーがモータ受け部から外れないようにする。
【0016】
第2の規制手段を例示すると、前記係止片の内側に侵入して前記係止片の弾性変形を規制する突起から構成する。この突起は、モータ受け部の着脱自在な周辺部材に突出形成するのが好ましい。例えば、筐体に対して着脱自在なドレンパンユニットの背面側から突出形成することができる。
【0017】
第2の規制手段の他の例を説明すると、前記モータカバーの回動閉姿勢で、筐体側のモータ受け部の周辺部材に当接して前記係止片の係止姿勢を維持させるよう、前記係止片から延設された延設部が挙げられる。これにより、係止片の係止姿勢が維持され、係止片が係止受けから外れるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のとおり、本発明によると、輸送中の振動・衝撃により、モータカバーの係止手段が外れたとしても、モータカバーの一端側における回動軸の軸方向への移動が、第1の規制手段により規制されるので、モータカバーが外れるのを防止することができ、ファンモータからの振動を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態である空気調和機の室内ユニットを示す斜視図である。
【図2】室内ユニットの内部を示す縦断面図である。
【図3】室内ユニットの前面パネルおよび左右のカバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】図3の状態からフィルタユニットを取りはずした状態を示す斜視図である。
【図5】図4の状態から、熱交換器および前部のドレンパンユニットを取り外した状態を示す斜視図である。
【図6】送風ファンのファンモータを固定するモータ固定装置を分解した状態を示す背面板の斜視図である。
【図7】モータ固定装置のモータカバー開回動状態を示す背面板の斜視図である。
【図8】モータ固定装置のモータカバー閉回動状態を示す背面板の斜視図である。
【図9】閉回動状態を示すモータカバー及びその周辺の斜視図である。
【図10】(a)は筐体の背面板を示す側面図、(b)は背面板の右側にあるモータ収容部を示す正面図である。
【図11】熱交換器出入り口パイプを収容する側板とドレンパンユニットを取り付けた背面板の右側のモータ収容部を示す正面図である。
【図12】図11の右側面図である。
【図13】モータ収容部の斜視図である。
【図14】図12のA−A断面図である。
【図15】図12のB−B断面図である。
【図16】図12のドレンパンユニット取り外し状態でのA−A断面図であって、係止片の係止受けからの離脱状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、セパレート型空気調和機の室内ユニットを例に説明する。なお、図1において、前面パネル10側を前側、背面板7側を背面若しくは後側とし、以下の説明では、前面パネル10から背面板7に向かう方向を前後方向とし、また前面パネル10を正面からみて、その横方向を左右方向とする。この種の空気調和機は、室内ユニットの内部に収容される熱交換器と、図示しない室外ユニットに収容される圧縮機、四方弁、室外熱交換器、絞り装置(共に図示せず)とが冷媒管によって接続されて冷凍サイクルが構成され、冷房、暖房、除湿などの各種運転モードを実行できるようになっている。
【0021】
室内ユニットは、図2に示すように、筐体1内に、吸込口2から吹出口3に至る通風路4と、該通風路4の風の流れの上流側に配置された熱交換器5と、前記通風路4において熱交換器5よりも風の流れの下流側に配置された送風ファン(クロスフローファン)6とを備えている。
【0022】
筐体1は、図1に示すように、背面板7と、左右のカバー8,9と、前面パネル10とドレンパンユニット11とが互いに組み合わされて箱形に形成され、室内ユニットの合成樹脂製の外装を構成している。
【0023】
背面板7は、筐体内部のクロスフローファン6および熱交換器5の一部を保持するよう前面開放の箱形に形成され、その背面は室内壁に取付可能な平面部を備えている。また、背面板7の前面側には、クロスフローファン6からの送風を吹出口3に案内するリアガイダ12を備えている。さらに、背面板7の左右の側壁13,14はクロスフローファン6の回転軸部6aを回転自在に軸受けしている。
【0024】
筐体1の左右のカバー8,9(右カバー8、左カバー9)は、背面板7の左右両側に配置される。背面板7の左右の側壁13,14と左右のカバー8,9との間に形成された空間部にクロスフローファン6のモータや電装部品を収容できるようになっている。本例では、正面視で右側の側壁13の外側にファンモータ15のモータ収容部16が形成され、さらにその右側に電装部品収容部17が形成されている。
【0025】
モータ収容部16の上方には熱交換器5の側部から突出するUベンド管と出入り口パイプとを収容する側板18が背面板7にビス等により固定されている。
【0026】
吸込口2は、図1に示すように、前面パネル10と背面板7とで囲まれた筐体1の天面部に形成され、その裏面側に筐体1の通風路4に吸い込む空気から塵埃を除去するエアフィルタ21が配置されている。
【0027】
また、図2に示すように、前面パネル10と内部の熱交換器5との間で、筐体内にはエアフィルタ21を清掃するブラシ22及びダストボックス23を備えた清掃ユニット24が筐体1から着脱自在に内蔵されている。前記清掃ユニット24の案内路には前記エアフィルタ21が組み込まれて吸込口2に沿って移動可能とされている。また、エアフィルタ21は、前面パネル10を開放することにより、前側から取り出すことができる。
【0028】
熱交換器5は、図2に示すように、通風路4の送風上流側で吸込口2の近傍に設けられる。この熱交換器5は、前面側の熱交換器5aと背面側の熱交換器5bとが側面視で逆V字形に配置されてなる。
【0029】
前面側の熱交換器5aの下方には前記ドレンパンユニット11の一構成部材である断面上開放コ字形のドレンパン25が配置される。背面側の熱交換器5bの下方には背面板7のリアガイダ12の背面側に形成されたリア側ドレンパン26が配置される。
【0030】
ドレンパンユニット11は、中央部に吹出口3を形成する周縁部材31と、吹出口3の前方に回動自在に設けられ、閉姿勢で前面開口を塞ぐ横ルーバ32と、横ルーバ32の後側で吹出口3に配置されクロスフローファン6からの風を整流する整流板33と、横ルーバ32の後方に揺動自在に配置された複数の縦ルーバ34とを備えている。
【0031】
周縁部材31の下側部材35は、筐体1の下側外装を構成するもので、その後端部が背面板7の前側部に係止されると共に、周縁部材31、つまりドレンパンユニット11がネジにより筐体1の背面板7に固定され、クロスフローファン6のメンテナンス時にネジを緩めて取外しできるようになっている。下側部材35の上面は、背面板7のリアガイダ12に連続するよう緩やかに前方へ下り傾斜した送風案内面とされる。
【0032】
クロスフローファン6は、図6に示すように、所定長さの複数のブレードが円筒状に配列されて羽根車が構成され、その左右両端に設けられた回転軸が筐体1の左右の側壁13,14に回転自在に軸受けされ、熱交換器側から吸い込んだ空気を下方から前方に向かう通風路壁に沿って吹出口3側に向かって送風するようになっている。
【0033】
クロスフローファン6には、正面視で右側に回転軸6aの延長線上でモータ軸を備えたファンモータ15が配置される。このファンモータ15は、図6に示すように、円筒状に形成された周知構造のもので、モータ固定装置40により背面板7のモータ収容部16に着脱自在に固定されている。
【0034】
モータ固定装置40は、図6に示すように、筐体1の背面板7にファンモータ15の背面側1/3程度を覆う円弧凹状に形成されたモータ受け部41と、該モータ受け部41に連続するように配置されてファンモータの前面下側1/3程度を覆う円弧凹状のモータカバー42と、モータカバー42に連続するように配置されファンモータの前面上側1/3を覆う前記側板18とを備えている。
【0035】
モータ受け部41は、背面板7の右側壁13と、モータ収容部16と電装部品収容部17とを区画する区画壁43との間に円弧凹状に形成されている。さらに、右側壁13の前面には、ファンモータ15のモータ軸の周囲に配置されたリング状の防振ゴム部材44を載置する凹部45が形成されている。また、区画壁43の前面側には、ファンモータの軸方向外端部に配置された円盤状の防振ゴム部材46を載置する凹部47が切欠き形成されている。そして、右側壁13と区画壁43とでファンモータ15を軸方向で挟持するようになっている。
【0036】
モータカバー42は、図6および図9に示すように、ファンモータ15のモータ軸方向両端面およびファンモータの外周面の一部を覆うよう断面コ字形に形成されている。モータカバー42の軸方向両端面のカバー側壁42a、42bによりファンモータ15を軸方向から挟持するようになっている。このモータカバー42および前記モータ受け部41には、ファンモータ15からの発熱を外部に逃がすため、複数状の縦方向の放熱用スリットが形成されている。図9では、モータカバー42のファンモータの外周面を覆う面に、複数状の縦方向の放熱用スリットが形成されている。なお、カバー側壁42a、42bに放熱用のスリットを形成してもよい。
【0037】
また、モータカバー42は、その一端側がファンモータ15のモータ軸と平行な回動軸48を介して前記モータ受け部41の軸受け部に開閉回動自在に支持されている。そして、モータカバー42の他端部が係止手段50を介して前記モータ受け部42の区画壁43に係脱自在に係止されている。
【0038】
回動軸48は、図6および図9に示すように、左右のカバー側壁42a、42bの一端側に内側に突出するように形成され、モータ受け部41の軸受け穴(図示略)に嵌合して、上下方向に開閉回動自在とされる。モータカバー42の開回動姿勢では、図7に示すように、モータカバー42の他端部が下方に位置しモータ受け部41を開放するようになっている。また、図8に示すように、モータカバー42の閉回動姿勢では、モータカバー42の他端部が水平位置まで上回動してモータ受け部41を閉じるようにしている。なお、回動軸48の突出方向は、カバー側壁の内側ではなく、外側に突出するように設定してもよい。
【0039】
前記側板18は、前述のとおり、熱交換器5の側部から突出するUベンド管および出入り口パイプとを収容するが、その背面側においてモータ収容部16の一部を構成し、ファンモータ15の前面上側1/3程度を覆うモータカバーとしても機能する。したがって、図示しないが、側板18の左右両側には、防振ゴム部材44,46を支持する凹部が形成され、前記モータ受け部41およびモータカバー42と協働して、ファンモータ15を収容支持するようにしている。
【0040】
係止手段50は、モータカバー42の他端部にモータ軸の軸方向に弾性変形可能に形成された係止片51と、該係止片51を変形させて係合固定するために筐体側の区画壁43に形成された係止受け52とを備えている(図12から図16を参照)。
【0041】
係止片51は、モータ軸の軸方向で右側のカバー側壁43の外側に逆U字形に湾曲形成され、モータ軸の軸方向に弾性変形可能とされている。係止片51の右外側面には正面視で直角三角形の係止突起51aが形成され、この係止突起51aが区画壁43から水平に形成された棚状の係止受け52に下方から回動しながら係止するようになっている。
【0042】
したがって、係止手段50は、モータカバー42の閉回動により、モータカバー42の他端部が上回動したとき、係止片51の右外側にある係止突起51aが区画壁43の壁面に沿って上動し、係止受け52に到達したときに反発弾性により復帰して係止受け52に弾性的に係止支持される。
【0043】
しかし、係止手段50のみでは輸送中の振動・衝撃等により係止片51が係止受け52から離脱するおそれがある。そこで、本例では、前記モータカバー42の軸方向への移動を規制する2つの規制手段55、56が設けられている。
【0044】
第1の規制手段55は、図9に示すように、前記モータカバー42の一端側に突出する規制片57と、前記モータカバー42の前記回動軸48周りの閉回動で前記規制片57が嵌入する規制穴58とを備える。規制穴58は背面板7に設けられている。規制片57の規制穴58への嵌入姿勢で前記モータカバー42の回動軸方向への移動が規制され、モータカバー42の回動開姿勢では規制片57が規制穴58から抜け出すようになっている。
【0045】
規制片57は、モータカバー42のカバー側壁42a、42bの回動軸48よりも一端側が延長されて構成される。規制穴58は、図9に示すように、背面板7に設けられているモータ受け部41に規制片57に対向してスリット状に形成されている。モータカバー42の回動閉姿勢において、規制片57が規制穴58のスリット穴壁に当接して回動軸48の軸方向への移動を規制する。規制穴58は、図9に示すように、上側が幅広に形成され、モータカバー42が回動開姿勢から回動閉姿勢となる際に、規制片57を受け入れやすくしている。
【0046】
第2の規制手段56は、図9〜図16に示すように、モータカバー42の他端部が係止手段50により係止された後、モータカバー42の他端部がモータ軸の軸方向に動かないよう規制する。つまり、係止片51の弾性変形によりモータカバー42の他端部がモータ受け部41の係止受け52に係止されているので、その弾性変形を規制することにより、モータカバー42がモータ受け部41から外れないようにする。
【0047】
第2の規制手段56として、図9に示すように、前記U字形の係止片51の内側に侵入して前記係止片51の弾性変形を規制する突起60が例示される。この突起60は、モータ受け部41に着脱自在な周辺部材に突出形成する。例えば、筐体1の背面板7に対して着脱自在なドレンパンユニット11の背面側から突起60を突出形成することができる。
【0048】
さらに、第2の規制手段56として、モータカバー42の回動閉姿勢で、筐体1側のモータ受け部41の周辺部材に当接して前記係止片51の係止姿勢を維持させるよう、前記係止片51から延設された延設部61が挙げられる。この延設部61は、周辺部材に設けられている。延設部61は係止片51の係止姿勢を維持し、係止片51が係止受け52から外れるのを防止している。この場合の周辺部材としては、熱交換器5の出切り口パイプを案内する側板18が例示できる。側板18から背面側に規制板62を延設し、規制片51の延設部61と側板18の規制板62とが面接触するようにしている。
【0049】
上記構成においては、モータカバー42が、筐体1側のモータ受け部41に連続して、ファンモータ15のモータ軸方向両端面およびファンモータ15の外周面の一部を覆っており、係止手段50の係止片51がモータ受け部41の区画壁43に係止している。このように、ファンモータ15の移動が規制される。
【0050】
しかし、空気調和機の輸送中における振動・衝撃により、係止手段50が外れた場合、モータカバー42の一端側における回動軸の軸方向への移動は、第1の規制手段55の規制片57がスリット状の規制穴58に侵入して、規制穴58の穴壁に食い込むようになる。そのため、ネジやビス等を使用しなくても、回動軸が軸方向に移動するのを防止することができる。
【0051】
また、第2の規制手段56は、モータカバー42の他端部が係止手段50により係止された後、モータカバー42の他端部が動かないよう規制する。つまり、ドレンパンユニット11の背面側から突出する突起60をU字形の係止片51の内側に侵入させて係止片51の弾性変形を規制する。また、モータカバー42の回動閉姿勢で、側板18の規制板62に係止片51の延設部62が当接して、その係止姿勢を維持させるので、係止片の係止姿勢を強める一方、正しい外し方を行なう際には邪魔にならず、係止片51が係止受けから外れるのを防止する。
【0052】
一方、クロスフローファン6を取り外してメンテナンスを行なうには、図1の状態から、前面パネル10、清掃ユニット、ドレンパンユニット11、側板18を順次取り外す。側板18およびドレンパンユニット11を取外すことで、係止手段の係止片51の拘束が解除されて弾性変形可能となるので、係止片51を撓ませて係止受けから離脱させ、モータカバー42を回動軸48の回りに開回動する。これにより、モータカバー42が開放されてモータを取り出すことができる。したがって、ネジやビスを使ってモータカバー42を固定する場合に比べて、メンテナンス作業が容易に行える。
【0053】
また、空気調和機の使用時には、輸送中の振動・衝撃により、モータカバー42の係止手段50が外れたとしても、第1の規制手段55によりモータカバー42の一端側における回動軸48の軸方向への移動を規制し、また、弾性変形可能な係止片51が突起60や規制板62により係止姿勢を維持するように働くので、ネジやビス等を使用しなくても、モータカバー42が外れるのを防止することができ、ファンモータからの振動を効果的に防止することができる。
【0054】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で多くの修正・変更を加えることができるのは勿論である。例えば、本例では送風ファンとしてクロスフローファン(横流ファン)を例示したが、これに限らず、他の形式のファンであってもよい。
【0055】
また、第2の規制手段としての突起60は、ドレンパンユニット11から突出形成した例を示したが、前面パネル10や右カバー8の裏面から突出する構成を採用してもよい。さらに、第2の規制手段である延設部61に当接する規制板62も側板18から突出させる構成に限定されるものではなく、筐体を構成する他の部材、例えば、右カバー8に付設した構成であってもよい。さらに、第2の規制手段は、本例にように、突起60と、延設部61および規制板62との両規制手段により構成するのみならず、そのうちのいずれか一方の規制手段(例えば、突起60のみ、あるいは延設部61および規制板62のみ)によって構成してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 筐体
2 吸込口
3 吹出口
4 通風路
5 熱交換器
5a 前面側熱交換器
5b 背面側熱交換器
6 送風ファン
6a 回転軸(モータ軸)
7 背面板
8 右カバー
9 左カバー
10 前面パネル
11 ドレンパンユニット
12 リアガイダ
13 右側壁
14 左側壁
15 ファンモータ
16 モータ収容部
17 電装部品収容部
18 パイプ案内用側板
21 エアフィルタ
22 ブラシ
23 ダストボックス
24 清掃ユニット
25 ドレンパン
26 リア側ドレンパン
31 周縁部材
32 横ルーバ
33 整流板
34 縦ルーバ
35 下側部材
40 モータ固定装置
41 モータ受け部
42 モータカバー
42a、42b カバー側壁
43 区画壁
44 リング状の防振ゴム部材
45 右側壁側の凹部
46 円盤状の防振ゴム部材
47 区画壁側の凹部
48 回動軸
50 係止手段
51 係止片
51a 係止突起
52 係止受け
55 第1の規制手段
56 第2の規制手段
57 規制片
58 規制穴
61 延設部
62 規制板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に着脱自在に配置された送風ファンおよびそのファンモータと、筐体側のモータ受け部に対向して配置され、前記ファンモータのモータ軸方向両端面の一部およびファンモータの外周面の一部を覆うモータカバーとを備え、
前記モータカバーは、その一端側がファンモータのモータ軸と平行な回動軸を介して前記モータ受け部に開閉回動自在に支持され、他端部が係止手段を介して前記モータ受け部に係脱自在に係止され、前記モータカバーの一端側における前記回動軸の軸方向への移動を規制する第1の規制手段が設けられたことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記第1の規制手段は、前記モータカバーの一端側に突出する規制片と、前記モータカバーの前記回動軸周りの閉回動で前記規制片が嵌入する規制穴とを備え、前記規制片の規制穴への嵌入姿勢で前記モータカバーの回動軸方向への移動が規制されることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記係止手段は、モータカバーの他端部に弾性変形可能な係止片と、該係止片を変形させて係合固定する筐体側の係止受けとを備え、前記係止片の弾性変形を規制して前記係止受けからの離脱を防止する第2の規制手段が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記弾性変形可能な係止片は、U字形に湾曲形成されていることを特徴とする請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
第2の規制手段は、前記係止片の内側に侵入して前記係止片の弾性変形を規制する突起から構成されたことを特徴とする請求項3または4に記載の空気調和機。
【請求項6】
第2の規制手段は、前記モータカバーの回動閉姿勢で、筐体側のモータ受け部の周辺部材に当接して前記係止片の係止姿勢を維持させるよう、前記係止片に延設された延設部を備えたことを特徴とする請求項3または4に記載の空気調和機。
【請求項7】
第2の規制手段は、前記係止片の内側に侵入して前記係止片の弾性変形を規制する突起と、前記モータカバーの回動閉姿勢で、筐体側のモータ受け部周辺部材に当接して前記係止片の係止姿勢を維持させるよう前記係止片に延設された延設部とを備えたことを特徴とする請求項3または4に記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−172852(P2012−172852A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31708(P2011−31708)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】