説明

空気調和機

【課題】空気調和機の電力量を算出する場合に用いられる交流電圧を安価に検出できる空気調和機を提供する。
【解決手段】空気調和機は3時から6時までの運転期間Aと、8時から15時までの運転期間Bと、18時から23時までの運転期間Cとで運転されており、これ以外の期間は運転を停止(待機状態)している。室外機制御部は、各時間帯毎に入力交流電圧を求めて電流・電圧テーブルに運転停止電圧として記憶する。各運転期間中は入力交流電圧を求めることができないので、運転開始直前と運転停止直後との入力交流電圧の平均値を対応する時間帯の運転平均電圧として記憶する。そして、運転平均電圧と、運転中に逐次記憶した負荷電流(入力電流)とを用いて空気調和機の各運転における消費電力量を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に係わり、より詳細には、使用電力料金や消費電力量を算出するためのパラメータの1つである入力交流電圧の測定・算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機において使用電気料金を表示させるものが開示されている。この使用電気料金は、各電力会社との契約に基づいて規定されている単位電力料金に1時間当たりの消費電力量:kWh(キロワットアワー)を乗じて算出している。消費電力量は単相の場合、入力交流電圧値(実効値)に入力交流電流値と力率とを乗じ、これを積算して1時間の換算値として求める。
【0003】
具体的には、空気調和機の運転が開始された以降、運転中の単位時間における入力交流電流値を1時間当たりの入力交流電流量に換算して積算する。例えば単位時間が10分の場合、この10分間に6アンペアの入力電流を消費した時、10分/60分(1時間)×6アンペアで1アンペア/時間となる。これを10分毎に6回(1時間)積算して入力交流電流量を求める。そして、運転を停止した時に積算した入力交流電流量に入力交流電源電圧値:100V(実効値)と力率とを乗じて消費電力量を算出し、これと単位電力料金とから使用電力料金を算出し、算出した使用電力料金を料金表示部へ表示させている(例えば、特許文献1参照。)。
なお、この例では入力交流電源電圧値と力率との変動がないものとして計算しているが、変動がある場合は単位時間毎に消費電力量を算出して積算する必要がある。
【0004】
前述したように電力量の算出には入力交流電圧値が必要であるが、特許文献1ではこれに固定値(100V)を用いているため、電源電圧が変動している場合は実際の電力量に対して誤差が生じてしまう。特にユーザーに対して電気料金として金額を表示する場合はできるだけ正確な値が求められる。
【0005】
正確な電力量を測定するためには電力量計や電圧計を空気調和機とは別に用意し、これらの測定結果を空気調和機で取り込めばよいが、これらの機器は高価であるため機器全体の価格上昇を招いてしまう。このため、空気調和機にすでに備えられている直流電圧検出手段を用いて入力交流電圧を推定し、推定した交流電圧と実測した交流電流とを用いて電力量を算出する方法が考えられる。
【0006】
直流電圧検出手段はほとんどの空気調和機に備えられており、アクティブフィルタによる昇圧回路や力率改善回路、インバータ用の電源の電圧監視などに用いられている。周知のように交流電圧値と、これを整流した直流電圧値とは相関関係があり、直流電圧が負荷による影響を受けなければ直流電圧から交流電圧を推測することができる。なお、交流電源を直流電源に整流した場合、直流電圧は交流電圧の約1.41倍になるが、実際には平滑コンデンサや負荷の影響を受けて電圧が低下するため、入力交流電圧値と直流電圧値との関係を実際の電源回路にて予め実験的に求めておくことになる。
【0007】
しかしながら、直流電圧を測定中に負荷が変動すると測定している直流電圧も変動する。このため、負荷による電圧変動なのか交流電圧による電圧変動なのか区別がつかなくなってしまう。つまり、負荷を駆動している時、例えばインバータ回路などを駆動する場合は交流電圧を推測することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−147029号公報(第4頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上述べた問題点を解決し、空気調和機の電力量を算出する場合に用いられる交流電圧を安価に検出できる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上述の課題を解決するため、運転中の消費電力量を算出する空気調和機であって、
交流電源を整流して直流電源に変換して出力する電源部と、同電源部の出力電圧を検出する出力電圧検出部と、前記空気調和機の負荷電流を検出する負荷電流検出部と、前記出力電圧と前記負荷電流を入力すると共に、前記空気調和機を制御する制御部とを備え、
前記制御部は前記空気調和機の運転期間の前後の運転停止期間に前記出力電圧を検出し、検出した前記出力電圧の平均値を求め、同平均値から前記運転中の前記交流電源の実効交流電圧値からなる運転平均電圧を推定し、
同運転平均電圧と前記運転期間に逐次検出した前記負荷電流とを用いて前記運転期間における前記消費電力量を算出することを特徴とすることを特徴とする。
【0011】
さらに、前記制御部は、前記運転期間の直前と直後とに検出した前記出力電圧の平均値を用いて前記運転期間における前記消費電力量を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上の手段を用いることにより、本発明による空気調和機によれば、請求項1に係わる発明は、空気調和機の運転期間の前後の運転停止期間に検出した前記出力電圧の平均値を求め、同平均値から運転中の前記交流電源の電圧を推定し、同運転平均電圧と運転期間に逐次検出した負荷電流とを用いて運転期間における消費電力量を算出するため、既に空気調和機に備えられている直流電源の出力電圧検出部から得られるデータだけで運転中の入力交流電圧(実効値)を推測することができるためコストダウンを計ることができる。
【0013】
請求項2に係わる発明は、運転期間の直前/直後で求めた直流の出力電圧を平均化して入力交流電圧を推測した運転平均電圧を用いて運転中の入力交流電圧を推測するため、推測の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による空気調和機の実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明による空気調和機の室外機電源部を示すブロック図である。
【図3】本発明による交流電圧を推測する方法を説明する説明図である。
【図4】室外機制御部に記憶されている電流・電圧テーブルを説明する説明図である。
【図5】室外機制御部の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
本発明では室外機が内蔵している電源部の直流出力電圧を運転開始の直前と運転停止直後のタイミングで測定し、この測定結果に基づいてこの時の入力交流電圧(実効値)を推測する。そして推測した2つの入力交流電圧の平均値と、運転中に逐次検出して記憶した負荷電流(入力電流)とを用いて、運転が停止した後に空気調和機が運転で消費した消費電力量を算出することが特徴である。
【実施例1】
【0016】
図1は空気調和機を示すブロック図である。この空気調和機は室内機40と室外機30とで構成され、これらは電源線及び通信線とで接続されている。なお、熱交換器や冷媒回路などの本願と直接関係ない構成の図示を省略している。
【0017】
室内機40は、図示しないリモコンの赤外線信号を受信するリモコン受信部42と、室内機電源部43と、室外機30への電源供給をオン/オフする電源供給リレー44と、室内機ファンモータ47と、通信線を介して室外機30とデータの送受信を行なう室内機通信部45と、電気料金を表示する表示部46と、室内機ファンモータ47と電源供給リレー44とリモコン受信部42と室内機通信部45と表示部46とを制御する室内機制御部48とを備えている。
【0018】
一方、室外機30は、室外機電源部21と、圧縮機モータ17と、同圧縮機モータ17を駆動する圧縮機駆動部16と、通信線を介して室内機とデータの送受信を行なう室外機通信部15と、冷媒の循環方向を切り換える四方弁19と、室外機ファンモータ20と、圧縮機駆動部16と室外機通信部15と四方弁19と室外機ファンモータ20とを制御する室外機制御部18とを備えている。なお、室外機制御部18には図示しないカウンタなどの計時手段が内蔵されており、現在の時刻や時間の経過を検出できるようになっている。
【0019】
また、圧縮機駆動部16は、室外機電源部21から供給される直流電圧を入力し、室外機制御部18の制御により圧縮機モータ17を駆動するインバータ部16aと、インバータ部16aへの入力電流(消費電流)を検出するシャント抵抗16bとを備えている。そしてこの変換された消費電流に対応する電圧は、室外機制御部18に出力され、室外機制御部18内部の図示しないA/Dコンバータで電流値に変換される。この電流値は、電流制限や過電流検出などを行うために用いられる。
【0020】
室内機電源部43は電源プラグを介して電源が供給されると、室内機40の各部へ電源を供給する。そして、リモコン受信部42を介してリモコンから制御信号、例えば電源オンの信号が室内機制御部48へ伝えられると、同室内機制御部48は電源供給リレー44をオンした後、室内機通信部45を介して室外機制御部18に運転指示を与える。室外機制御部18は、与えられた指示に従って圧縮機駆動部16を制御し、指示された運転を行なう。
【0021】
このとき、室外機電源部21内部では入力交流電流(負荷電流)と交流電圧を整流した直流電圧とを検出しており、この検出結果を負荷電流値と直流電圧値とにそれぞれ対応した信号として室外機制御部18へ出力している。そして、室外機制御部18はこれらの信号を室外機制御部18内部の図示しないA/Dコンバータで負荷電流値及び直流電圧値に変換し、これらの値を用いて室外機30での消費電力量を求めて室内機40へ送信し、この消費電力量と室内機40で求めた消費電力量とを合算して電気料金を算出するようになっている。
【0022】
図2は室外機電源部21を示すブロック図であり、整流回路2と、昇圧回路3と、昇圧回路3により昇圧された出力電圧を平滑する平滑コンデンサ12と、室外機電源部21の負荷電流(入力電流)を検出するための電流センサ(例えばカレントトランス)6と、電流センサ6からの検出信号により負荷電流を検出する負荷電流検出部8と、昇圧回路3の出力電圧(母線電圧)を検出するための出力電圧検出部10と、昇圧回路3を駆動するスイッチング制御部7とを備えている。このスイッチング制御部7は室外機制御部18から出力するスイッチング停止信号の指示によりスイッチング動作を停止させることができる。
【0023】
昇圧回路3は、整流回路2の一方の端子側に直列に接続したリアクタ3aと、リアクタ3aに直列に接続された逆阻止ダイオード3bと、このリアクタ3aと逆阻止ダイオード3bとの間で整流回路2の負端子側に接続されたスイッチング素子(例えばIGBT;絶縁ゲート形トランジスタ)3cとを備えている。
【0024】
また、平滑コンデンサ12と並列に制御部電源回路13が接続されている。この制御部電源回路13は主として室外機制御部18などで使用される低電圧の電源を供給するものであり、負荷としての変動はほとんどない。従って交流電源が低下した場合、平滑コンデンサ12に充電された電荷を制御部電源回路13が消費するため、交流電源の電圧に対応して平滑コンデンサの両端電圧が低下する。逆に交流電源が上昇した場合は平滑コンデンサ12の両端電圧が上昇する。この電圧を出力電圧検出部10で検出して室外機制御部18へ出力している。
【0025】
室外機電源部21は、整流回路2の入力側が電源供給リレー44へ接続されており、このリレー44が閉となった時、入力した交流電源を整流して圧縮機駆動部16へ供給すると共に、制御部電源回路13を介して室外機制御部18などへ供給するようになっている。また、負荷電流検出部8で検出した負荷電流は負荷電流値と対応する信号として、また、出力電圧検出部10で検出された直流電圧は直流電圧値と対応する信号として、それぞれ室外機制御部18へ出力される。
【0026】
ただし、スイッチング制御部7が駆動信号を出力してスイッチング素子3cをスイッチングさせると平滑コンデンサ12の両端電圧が上昇するため、出力電圧検出部10で検出した電圧から入力交流電圧を推測する場合、室外機制御部18はスイッチング制御部7に対してスイッチング停止信号を出力してスイッチング素子3cのスイッチングを停止させる。そして、平滑コンデンサ12の両端電圧が安定した時、例えば2〜3秒が経過した後、出力電圧検出部10での検出電圧を用いて入力交流電圧を推測するようにしている。なお、平滑コンデンサ12の両端電圧にリップル成分が多い場合は所定周期で複数回検出した平滑コンデンサ12の両端電圧を平均化して用いてもよい。
【0027】
図3は0時から23時の各時間帯における交流電源の電圧変化の例と、本発明による交流電圧を推測する方法を説明する説明図である。
室外機制御部18が複数のタイミングで出力電圧検出部10を介して直流電圧を測定し、この測定結果に基づいてこの時の入力交流電圧を推測する。そして運転開始前と運転停止後に推測した2つの入力交流電圧の平均値と、運転中に負荷電流検出部8で逐次検出して記憶した負荷電流(入力電流)とを用いて、運転が停止した後に空気調和機が運転で消費した消費電力量を算出する。
【0028】
図4は0時から23時の各時間帯における、運転停止時の運転停止電圧(測定した直流電圧から換算した入力交流電圧の値)と、空気調和機を運転中の運転平均電圧(運転開始直前と運転停止直後との運転停止電圧の平均値)と、負荷電流検出部8で測定した負荷電流値とをそれぞれ記憶する電流・電圧テーブルを説明する説明図である。この電流・電圧テーブルは室外機制御部18内の図示しない記憶部に記憶されている。なお、説明の都合上、この電流・電圧テーブルは24時間区切りとなっているが、さらに細かく区分し、10分毎や5分毎に区分してデータを記憶することで、消費電力量の算出精度を向上させることができる。
【0029】
図3及び図4において空気調和機は3時から6時までの運転期間Aと、8時から15時までの運転期間Bと、18時から23時までの運転期間Cで運転されており、これ以外の期間は運転を停止(待機状態)している。本実施例では室外機制御部18が各時間帯毎に入力交流電圧を推測して電流・電圧テーブルに運転停止電圧として記憶する。ただし、各運転期間中は入力交流電圧を推測することができないので、運転開始直前と運転停止直後とに推測した入力交流電圧の平均値を対応する時間帯の運転平均電圧として記憶する。
【0030】
例えば運転期間Aの場合は3時に運転を開始しているので、運転開始直前の運転停止電圧:101.0ボルトを3時の欄に、また、運転の停止が6時なので運転停止直後の運転停止電圧:102.0ボルトを6時の欄にそれぞれ記憶している。他の運転期間の場合も同様である。
【0031】
そして、室外機制御部18は各運転期間、例えば運転期間Aが終了した時点で、この運転期間中の平均電圧を運転開始/終了時点で検出した出力電圧値から推測した入力交流電圧である運転停止電圧の値から求める。運転期間Aの場合、運転開始直前の運転停止電圧:101.0ボルト、運転停止直後の運転停止電圧:102.0ボルトであるため、この平均値:101.5ボルトを運転中の各時間帯の入力交流電圧として、電流・電圧テーブルの3時から5時の運転平均電圧の欄に記憶する。他の運転期間も同様にして求めて記憶する。
【0032】
運転停止時にその運転における消費電力量の表示が必要な場合は、算出した運転平均電圧値:101.5ボルトに各時間帯毎の負荷電流値と、室外機電源部21の力率(予め実験的に求めたもの)を乗じて、これを運転期間で積算して室外機30の消費電力量を求め、このデータを室内機制御部48へ送信する。そして、室内機制御部48は受信した室外機30の消費電力量と、室内機40で予想される消費電力量とを合算して、空気調和機の消費電力量として表示部46へ表示させる。なお、室内機40で予想される消費電力量は予め実験的に求めた固定値に室内機ファンモータ47の運転状態による補正を加えたものである。
【0033】
具体的に室外機30の消費電力量は、電流・電圧テーブルにおいて3時の負荷電流値:6アンペア、4時:5アンペア、5時:4アンペアに、各々運転平均電圧:101.5ボルトを乗じたものを積算し、これに、例えば力率0.8を乗じて1.2kWhを運転期間Aの消費電力量として求めることができる。
なお、電気料金が必要な場合はこの空気調和機の消費電力量に単位電力料金を乗じて算出すればよい。
【0034】
以上の説明は各運転期間毎の短期的な入力交流電圧を推測する方法であるが、運転期間が長い場合は、運転開始/停止時に測定した入力交流電圧だけを用いて運転中の入力交流電圧を推測すると誤差が大きくなる場合がある。例えば6時から18時までを運転したとすると、運転開始/停止時の運転停止電圧が共に102ボルトになるため、前述のように運転期間中の平均電圧は102ボルトになる。しかしながら、これは偶然に電圧変動が高くなった2点を測定しているだけなので、このような場合は誤差が大きい。
【0035】
このため、本実施例では、運転を停止している間であっても各時間帯毎に入力交流電圧を求めて電流・電圧テーブルに運転停止電圧として記憶する。また、運転期間中の入力交流電圧は前述した方法で運転平均電圧として求めて電流・電圧テーブルに各時間帯毎に記憶する。そして、消費電力量を累積する所定期間、例えば1日の終了時間である午前0時に、運転停止中の入力交流電圧と運転中における入力交流電圧の平均値を算出し、この算出された1日での平均電圧値を用いて、1日における運転中の消費電力量を算出する。
【0036】
具体的には、電流・電圧テーブルにおいて、0時〜2時、6時〜7時、15時〜17時、23時での各運転停止電圧の欄の値と、3時〜5時、8時〜14時、18時〜22時での運転平均電圧の欄の値とを合計し、総データ数24で除算して1日の平均電圧値を求める。各運転停止電圧の欄の値は、98.0、99.0、100.0、102.0、100.5、99.2、100.5、101.4、99.2であり合計は899.8である。一方、運転期間中の運転平均電圧の合計は1504.0となり、24ポイントの時間帯の合計は2403.8である。従って所定期間(24時間)での平均電圧、つまり期間平均電圧は100.2ボルトになる。
【0037】
このように、所定期間内、例えば1日の中で一定時間、つまり1時間毎に推測した運転停止電圧と運転平均電圧の平均値をこの所定期間における期間平均電圧とし、この期間平均電圧を用いて所定期間における消費電力量を算出しているため、実際の電圧から極端に離れた入力交流電圧値による算出誤差を排除することができる。
【0038】
なお、運転によっては日付を跨いで運転される場合がある。例えば23時から運転されて翌日の2時に運転が停止されたような場合、この運転における消費電力量は当日分と翌日分とに振り分けてもよい。この場合、電流・電圧テーブルは少なくとも2日分を用意する必要がある。
本実施例では電流・電圧テーブルを1日分だけ用い、日付を跨ぐ運転では運転開始直前の入力交流電圧、または運転停止直後の入力交流電圧を運転中の入力交流電圧として用いるようにしている。具体的には本日の22時から翌日の2時まで運転された場合、電流・電圧テーブルの22〜23時の運転平均電圧の欄にはこの運転が開始された時に求めた運転停止電圧を記憶し、0〜2時の運転平均電圧の欄にはこの運転が停止された時に求めた運転停止電圧を記憶している。
【0039】
このように運転を当日と翌日分とに分けて、それぞれ24時間ごとに消費電力量を求めるようにしたので、電流・電圧テーブルは1日分のみであればよく、メモリ容量を節約することができる。
【0040】
なお、空気調和機全体の消費電力量を求めるためには室内機40での消費電力量と室外機30での消費電力量とを合算する必要があるが、室内機40の消費電力量は室外機30に比べて小さいため、交流電圧の変化があっても空気調和機全体から見ると誤差の値は小さい。従って本実施例では室外機30で入力交流電圧の値を推測して用いており、室内機40は固定の交流電圧値(100V)を用いている。より正確な値が必要であれば、室外機30の消費電力量だけでなく、電流・電圧テーブルの運転停止電圧の項目のデータを室外機30から室内機40へ送信し、室内機40ではこの運転停止電圧の値を用いて室内機40の消費電力量を求めるようにしてもよい。
【0041】
以上説明したように空気調和機の運転期間の前後の運転停止期間に検出した出力電圧の平均値を求め、同平均値から運転中の交流電源の電圧を推定し、同運転平均電圧と運転期間に逐次検出した負荷電流とを用いて運転期間における消費電力量を算出するため、既に空気調和機に備えられている室外機電源部21の出力電圧検出部10から得られるデータだけで運転中の入力交流電圧(実効値)を推測して求めることができるため、新たな回路を必要とせずにコストダウンを計ることができる。
【0042】
また、運転期間の直前/直後で求めた直流の出力電圧を平均化して入力交流電圧を推測した運転平均電圧を用いて運転中の入力交流電圧を推測するため、運転中の入力交流電圧に近い電圧値を使用できるため精度を向上することができる。
【0043】
次に、室外機30における消費電力量の処理を図5に示す室外機制御部18の処理のフローチャートを用いて説明する。図5に記載のSTはステップを表し、これに続く数字はステップ番号を、また、YはYesを、NはNoをそれぞれ表している。なお、室内機40の処理としては室外機30から送信された室外機30の消費電力量と室内機40の消費電力量とを合算して表示するだけの処理であるため、室内機40のフローチャートによる説明を省略する。
【0044】
室外機制御部18はまず最初に、室外機通信部15を介して室内機40からの指示が有ったか確認する(ST1)。室内機40からの指示が有った場合(ST1−Y)、室内機40からの指示が運転開始指示か確認する(ST2)。室内機40からの指示が運転開始指示の場合(ST2−Y)、出力電圧検出部10で測定した直流電圧から入力交流電圧を推測し、この値を電流・電圧テーブルの現在の時刻と対応する運転停止電圧の欄に記憶する(ST3)。そして、指示された運転を開始して(ST4)、ST1へジャンプする。なお、運転を開始した時、同時に運転開始時刻を記憶する。
【0045】
一方、室内機40からの指示が運転開始指示でない場合(ST2−N)、次に室内機40からの指示が運転停止指示か確認する(ST5)。室内機40からの指示が運転停止指示でない場合(ST5−N)、指示に従った処理、例えば運転モードの切り換えなどの処理を行って(ST15)、ST1へジャンプする。
【0046】
室内機40からの指示が運転停止指示の場合(ST5−Y)、現在の運転を停止し(ST6)、出力電圧検出部10で測定した直流電圧から入力交流電圧を推測し、この値を電流・電圧テーブルの現在の時刻と対応する運転停止電圧の欄に記憶する(ST7)。
【0047】
次に日付を跨いだ運転か確認する(ST8)。これは運転開始時に記憶した運転開始時刻と現在の時刻を比較して判断する。日付を跨いだ運転でない場合(ST8−N)、電流・電圧テーブルの運転停止電圧、及び運転平均電圧の欄の値を用いて今回の運転における運転平均電圧を求め、これに運転中に測定して電流・電圧テーブルに記憶された負荷電流値の欄の値を用いて今回の運転で消費した消費電力量を算出する。そしてこの消費電力量を室内機40へ送信し(ST9)、ST1へジャンプする。また、日付を跨いだ運転の場合(ST8−Y)、運転停止時の入力交流電圧を推測して電流・電圧テーブルの該当する運転時間帯の運転平均電圧の欄に記憶する(ST10)。そしてST9へジャンプする。
【0048】
一方、室内機40からの指示がない場合(ST1−N)、日付が更新されたか確認する(ST11)。これは室外機制御部18内部の計時手段の日付が変わったかどうかで判断できる。日付が更新されていない場合(ST11−N)、現状の状態( 運転中または停止中) を継続し(ST16)、ST1へジャンプする。なお、ST16において運転中の場合は各時間帯毎に負荷電流検出部8を介して検出した負荷電流を電流・電圧テーブルの負荷電流値の欄に記憶する。一方、停止中の場合は各時間帯ごとに、出力電圧検出部10で測定した直流電圧から入力交流電圧を推測し、この値を電流・電圧テーブルの現在の時刻と対応する運転停止電圧の欄に記憶する。
【0049】
日付が更新された場合(ST11−Y)、現在運転中か確認する(ST12)。現在運転中の場合(ST12−Y)、運転停止時の入力交流電圧が不明であるため、運転開始に記憶した電流・電圧テーブルの運転停止電圧欄の値を運転中の入力交流電圧として運転していた各時間帯の運転平均電圧欄に記憶する(ST13)。
【0050】
そして、電流・電圧テーブルの運転停止電圧、及び運転平均電圧の欄の値を用いて1日の運転における入力交流電圧の平均電圧(期間平均電圧)を求め、これに運転中に測定して電流・電圧テーブルに記憶された負荷電流値欄の値を用いて1日の運転で消費した消費電力量を算出する。そしてこの消費電力量を室内機40へ送信し(ST14)、ST1へジャンプする。なお、現在運転中でない、つまり停止中の場合(ST12−N)、ST14へジャンプする。
【0051】
なお、本実施例では負荷電流として入力交流電流を用いているが、これに限るものでなく、圧縮機駆動部16に備えられたインバータ部16aへの電流を検出するシャント抵抗で検出した値を用いてもよい。
【符号の説明】
【0052】
2 整流回路
3 昇圧回路
3a リアクタ
3b 逆阻止ダイオード
3c スイッチング素子
6 電流センサ
7 スイッチング制御部
8 負荷電流検出部
10 出力電圧検出部
12 平滑コンデンサ
13 制御部電源回路
15 室外機通信部
16 圧縮機駆動部
16a インバータ部
16b シャント抵抗
17 圧縮機モータ
18 室外機制御部
19 四方弁
20 室外機ファンモータ
21 室外機電源部
30 室外機
40 室内機
42 リモコン受信部
43 室内機電源部
44 電源供給リレー
45 室内機通信部
46 表示部
47 室内機ファンモータ
48 室内機制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転中の消費電力量を算出する空気調和機であって、
交流電源を整流して直流電源に変換して出力する電源部と、同電源部の出力電圧を検出する出力電圧検出部と、前記空気調和機の負荷電流を検出する負荷電流検出部と、前記出力電圧と前記負荷電流を入力すると共に、前記空気調和機を制御する制御部とを備え、
前記制御部は前記空気調和機の運転期間の前後の運転停止期間に前記出力電圧を検出し、検出した前記出力電圧の平均値を求め、同平均値から前記運転中の前記交流電源の実効交流電圧値からなる運転平均電圧を推定し、
同運転平均電圧と前記運転期間に逐次検出した前記負荷電流とを用いて前記運転期間における前記消費電力量を算出することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記制御部は、前記運転期間の直前と直後とに検出した前記出力電圧の平均値を用いて前記運転期間における前記消費電力量を算出することを特徴とする請求項1記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−233604(P2012−233604A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100935(P2011−100935)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】