説明

空気調和機

【課題】設置スペースを縮小することができ、設置現場での施工工事の手間を軽減することができる空気調和機を提供する。
【解決手段】機内に流入した空気Aをろ過するフィルタ8と、フィルタ8を通過した空気Aに殺菌用液19を接触させる気液接触室16と、殺菌用液19の原料となる薬液23を貯留する薬液貯留部材24と、薬液貯留部材24に貯留された薬液23から殺菌用液19を生成する生成装置25とを備えた空気調和機1であって、生成装置25は、機内に配置されると共に、気液接触室16よりも上流側で且つフィルタ8よりも下流側に設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌用液を用いて空気を除菌する機能を備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の空気調和機としては、例えば、図6に示すように、ケース81の上流側に、空気を取り込む流入口82が形成され、ケース81の下流側に、空気を送り出す送出口83が形成され、ケース81の内部(機内)には、流入口82から流入した空気に次亜塩素酸水を噴霧するスプレーノズル84と、エリミネータ85と、冷却および加熱コイル86,87と、送風機88とが上流側から下流側にわたり設置されている。
【0003】
また、ケース81の外部(機外)には、次亜塩素酸水を生成する生成装置89と、生成装置89で生成された次亜塩素酸水をスプレーノズル84に圧送するポンプ90と、ポンプ90からスプレーノズル84に供給される次亜塩素酸水の流量を調整する流量調整弁91とが設けられている。尚、生成装置89とスプレーノズル84との間はケース81の外部に敷設された配管92で接続され、ポンプ90と流量調整弁91とが配管92を介して接続されている。
【0004】
また、ケース81の内部(機内)には、スプレーノズル84から噴霧された次亜塩素酸水を受け止める第1のドレンパン93がスプレーノズル84の下方に設置されている。さらに、次亜塩素酸水が配管92から漏洩した場合の対策として、漏洩した次亜塩素酸水を受け止める第2のドレンパン94が、第1のドレンパン93とは別に、配管92と生成装置89とポンプ90と流量調整弁91との下方にわたってケース81の外部(機外)に設置されている。
【0005】
これによると、生成装置89とポンプ90と送風機88を稼動することにより、生成装置89において生成された次亜塩素酸水が、配管92を流れてスプレーノズル84に供給され、スプレーノズル84から噴霧される。これにより、流入口82から機内に流入した空気がスプレーノズル84から噴霧された次亜塩素酸水と接触し、空気中の細菌等の微生物が除去される。
【0006】
その後、除菌された空気がエリミネータ85を通過することにより、空気中の水滴が除去され、水滴除去後の空気は、冷却コイル86で冷却された後、加熱コイル87で所定温度に加温され、送出口83から排出されて室内に供給される。
【0007】
尚、上記のような空気調和機80は、一般にビル等の機械室等に設置されており、例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−257913
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上記の従来形式では、空気調和機80を設置するのに要する設置スペースの外側に、生成装置89やポンプ90、配管92等を設置するのに要する設置スペースが別途必要になるため、設置スペースが増大するといった問題がある。また、生成装置89やポンプ90、配管92等を機械室等に設置する際、設置現場で煩雑な配管工事を行う必要があり、空気調和機80を設置する際の施工工事に手間を要するという問題がある。さらに、ドレンパン93,94の個数を減らすことは困難であるという問題がある。
【0010】
本発明は、設置スペースを縮小することができ、設置現場での施工工事の手間を軽減することができ、ドレンパンの個数を減らすことが可能な空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本第1発明は、殺菌力を有する殺菌用液を機内に流入した空気に接触させる気液接触室と、殺菌用液の原料となる薬液を貯留する薬液貯留部材と、薬液貯留部材に貯留された薬液から殺菌用液を生成する生成装置とを備えた空気調和機であって、
生成装置は、機内に配置されると共に、気液接触室よりも上流側に設置されているものである。
【0012】
これによると、生成装置が薬液貯留部材に貯留された薬液から殺菌用液を生成し、生成された殺菌用液が気液接触室内で流入空気に接触する。これにより、気液接触室内に流入した流入空気が除塵されると共に除菌される。
【0013】
生成装置は空気調和機の機内に配置されているため、生成装置や配管等を設置するのに要する設置スペースが空気調和機を設置するのに要する設置スペースの内部に含まれ、これにより、設置スペースを縮小することができる。また、予め、機内において配管を生成装置等に接続しておくことにより、設置現場での配管工事を減らして施工工事の手間を軽減することができる。
【0014】
また、生成装置は気液接触室よりも上流側に設置されているため、生成装置が、気液接触室を通過して殺菌用液を含んだ空気に晒されるのを防止することができる。これにより、生成装置の腐食を防止することができる。
【0015】
本第2発明における空気調和機は、流入した空気をろ過するフィルタが機内に設けられ、
生成装置はフィルタよりも下流側に配置されているものである。
【0016】
これによると、機内に流入した空気がフィルタを通過することにより、流入空気が除塵される。生成装置はフィルタよりも下流側に配置されているため、流入空気中の塵埃から生成装置を保護することができる。
【0017】
本第3発明における空気調和機は、フィルタは上部が下部よりも下流側に位置するように傾斜しており、
生成装置はフィルタの下方に設けられているものである。
【0018】
これによると、傾斜したフィルタの下流側の下方に形成されたデッドスペースを生成装置の設置スペースとして有効利用できるため、空気調和機を小型化することができる。
本第4発明における空気調和機は、気液接触室と生成装置との下方に共通のドレンパンが設置されているものである。
【0019】
これによると、ドレンパンを気液接触室用のドレンパンと生成装置用のドレンパンとに分割して個別に設置する必要がないので、ドレンパンの個数を減らすことができる。
本第5発明における空気調和機は、薬液貯留部材は機内に配置されているものである。
【0020】
これによると、薬液貯留部材が空気調和機の機内に配置されているため、薬液貯留部材を設置するのに要する設置スペースが空気調和機を設置するのに要する設置スペースの内部に含まれ、これにより、設置スペースをさらに縮小することができる。
【0021】
本第6発明における空気調和機は、薬液貯留部材は、機外に配置され、生成装置に接続されているものである。
これによると、空気調和機が稼動している最中であっても、薬液を空気調和機の外部から容易に薬液貯留部材に補充したり、薬液貯留部材を薬液が充填された新しいものと交換することができる。
【0022】
本第7発明における空気調和機は、気液接触室内に、気液接触室の空気流入口から室内に流入した空気が通過するワッシャメディアと、ワッシャメディアの上流側からワッシャメディアに達するように殺菌用液を噴霧する噴霧装置とが設けられ、
気液接触室の空気流入口にエリミネータが設けられ、
生成装置はエリミネータよりも上流側に設置されているものである。
【0023】
これによると、気液接触室内において噴霧装置から下流側のワッシャメディアへ噴霧された殺菌用液は室内の乱流に乗って上流側にも飛散するが、上流側に飛散した殺菌用液は気液接触室の空気流入口に設けられたエリミネータによって捕捉される。このため、エリミネータよりも上流側に設置された生成装置に殺菌用液が降りかかることを防ぐことができ、これにより、生成装置の腐食をより確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように本発明によると、生成装置や配管等を設置するのに要する設置スペースが空気調和機を設置するのに要する設置スペースの内部に含まれるため、設置スペースを縮小することができる。また、予め、機内において配管を生成装置等に接続しておくことにより、設置現場での配管工事を減らして施工工事の手間を軽減することができ、工期の短縮およびコストの削減を図ることができる。
【0025】
また、空気調和機内の空気中には、殺菌用液や、外気又は還気の流入空気に含まれる塵埃が含まれ、機外に比べて悪い空気環境になるが、生成装置が気液接触室よりも上流側に配置されているため、生成装置が殺菌用液に晒されるのを防止することができ、生成装置の腐食を防止することができる。
【0026】
さらに、生成装置はフィルタよりも下流側に配置されているため、流入空気に含まれる塵埃から生成装置を保護することができる。
また、傾斜したフィルタのデッドスペースを生成装置の設置スペースとして有効利用できるため、空気調和機を小型化することができる。
【0027】
また、ドレンパンの個数を減らすことができる。
また、薬液貯留部材を設置するのに要する設置スペースが空気調和機を設置するのに要する設置スペースの内部に含まれるため、設置スペースをさらに縮小することができる。
【0028】
また、空気調和機が稼動している最中であっても、空気調和機を停止させることなく薬液を容易に薬液貯留部材に補充したり、薬液貯留部材を交換することができる。
また、噴霧装置から噴霧された殺菌用液が生成装置に降りかかるのを防ぐことができ、これにより、生成装置の腐食を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施の形態における空気調和機の内部構成を示す概略図である。
【図2】同、空気調和機の生成装置および薬液タンクとその付属機器の概略図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態における空気調和機の内部構成を示す概略図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態における空気調和機の内部構成を示す概略図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態における空気調和機の内部構成を示す概略図である。
【図6】従来の空気調和機の内部構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
先ず、第1の実施の形態を、図1,図2を参照して説明する。
【0031】
1はセントラル方式の空気調和機であり、調和機ケーシング2の上流側に、外気を取り込む外気流入口3と、室内へ供給された空気Aを還気として再び取り込む還気流入口4とが形成され、調和機ケーシング2の下流側に、調整された空気Aを室内に送り出す送出口5が形成されている。
【0032】
以下の説明において、空気調和機1の機内とは調和機ケーシング2の内部のことであり、機外とは調和機ケーシング2の外部のことである。調和機ケーシング2の内部(機内)には、空気Aの流れ方向における上流側(前方)から下流側(後方)に至る順で、外気および還気流入口3,4から流入した空気Aをろ過して空気A中の粗大粒子の塵埃を捕捉するプレフィルタ8(フィルタの一例)と、プレフィルタ8を通過した空気Aを除塵および除菌する空気清浄装置9と、空気清浄装置9を通過した空気A中の塵埃を捕捉する中性能フィルタ10と、空気Aを冷却する冷却コイル11と、空気Aを温める加熱コイル12と、加熱コイル12を通過した機内の空気Aを送出口5から室内に送り出すファン13とが設けられている。
【0033】
プレフィルタ8は上部が下部よりも下流側に位置するように後方へ傾斜した傾斜姿勢で設けられている。
空気清浄装置9は、プレフィルタ8の下流側に形成された気液接触室16と、気液接触室16内に流入した空気Aが通過するワッシャメディア17と、ワッシャメディア17の下流側に配置された除菌エレメント18と、殺菌力を有する微酸性電解水19(殺菌用液の一例)を除菌エレメント18に滴下する滴下装置20と、気液接触室16内に流入した空気Aおよびワッシャメディア17に微酸性電解水19を噴霧する噴霧装置21と、滴下装置20から滴下された微酸性電解水19および噴霧装置21から噴霧された微酸性電解水19を受ける貯留槽22と、微酸性電解水19の原料となる希塩酸23(薬液の一例)を貯留する薬液タンク24(薬液貯留部材の一例)と、薬液タンク24に貯留された希塩酸23から微酸性電解水19を生成する生成装置25とを有している。
【0034】
気液接触室16はプレフィルタ8の下流側に対向するように形成された空気流入口26を有しており、空気流入口26にはエリミネータ29が設けられている。
ワッシャメディア17は、空気Aの流路断面とほぼ等しい形状で気液接触室16内に設けられており、例えば、ポリ塩化ビニルデン系繊維やステンレスの線材等の材料からなる繊維を、空隙率を高くして規則的に編み込んだり、不規則に密集させて、10〜50mm程度の厚みを有するマット状にしたものである。
【0035】
除菌エレメント18は、空気Aの流路断面とほぼ等しい形状で気液接触室16内に設けられており、例えば、吸水性または親水性を有するポリエチレンやポリエステル等の材料からなる不織布や繊維を、通気孔が形成されるようにハニカム構造やコルゲート構造としたもので、10〜50mm程度の厚みを有するマット状のものである。
【0036】
滴下装置20は、気液接触室16内において除菌エレメント18の上方に設けられた滴下用ノズル27と、生成装置25と滴下用ノズル27との間に接続された滴下用配管28とを有している。
【0037】
噴霧装置21は、気液接触室16内においてエリミネータ29とワッシャメディア17との間に設けられ且つ上流側から下流側のワッシャメディア17に対向する複数の噴霧用ノズル30と、貯留槽22に溜まった微酸性電解水19を各噴霧用ノズル30に供給する供給配管31と、供給配管31の途中に設けられた供給ポンプ32とを有している。
【0038】
噴霧ノズル30は微酸性電解水19が空気Aの流れに乗ってワッシャメディア17に達し、ワッシャメディア17の全面を濡らすように噴霧するものであればよく、噴霧方向が空気Aの流れに対して直交あるいは上流側に向けて噴霧するものであってもよい。
【0039】
貯留槽22は、気液接触室16内に設けられており、噴霧用ノズル30の下方からワッシャメディア17の下方を経て除菌エレメント18の下方に達する大きさを有している。
薬液タンク24は調和機ケーシング2の外部(機外)に配置されている。薬液タンク24は、薬液タンク24内の希塩酸23を生成装置25に供給する薬液供給用配管34を介して、生成装置25に接続されている。尚、薬液供給用配管34の途中には、薬液供給ポンプ35が設けられている。
【0040】
生成装置25は、薬液タンク24から供給された希塩酸23を電解する電解槽36と、滴下用配管28に接続された希釈水供給用配管37と、希釈水供給用配管37の途中に設けられた希釈水供給用弁38とを有している。電解槽36において、供給された希塩酸23が電解されて、下記反応式で示すように、陽極で塩素が生じ、陰極で水素が生じ、塩素が水に溶解して高濃度の次亜塩素酸溶液が生成される。
【化1】

上記のような反応によって発生した次亜塩素酸溶液(HClO)は、電解槽36から滴下用配管28に排出され、希釈水供給用配管37から供給される希釈水39で希釈される。これにより、微酸性電解水19が生成されて滴下用ノズル27から滴下される。尚、希釈水37には例えば水道水等が使用される。
【0041】
生成装置25は、機内に配置されるとともに、気液接触室16よりも上流側に設置されており、且つプレフィルタ8よりも下流側に配置されているとともに、プレフィルタ8の下方に位置している。
【0042】
気液接触室16と生成装置25との下方には、飛散したり漏洩した微酸性電解水19を受ける共通のドレンパン41が設置されている。ドレンパン41は流れ勾配を有する浅いV形の皿状の部材である。尚、ドレンパン41にはドレンを排出する排出管42が設けられている。
【0043】
以下、上記構成における作用を説明する。
図1に示すように、ファン13を稼動すると、外気流入口3および還気流入口4から調和機ケーシング2の内部(機内)に流入した空気Aは、プレフィルタ8でろ過されて粗大粒子の塵埃が除去され、その後、空気清浄装置9において除塵および除菌され、さらに、中性能フィルタ10でろ過されて空気中の塵埃が除去され、冷却コイル11で露天温度に冷却され、加熱コイル12で所定の温度に温められた後、送出口5から室内に送り出される。
【0044】
上記空気清浄装置9の除塵および除菌作用を以下に説明する。
薬液供給ポンプ35を稼動することにより、薬液タンク24内の希塩酸23が電解槽36に供給されて電解され、次亜塩素酸溶液が生成されて電解槽36から滴下用配管28に排出される。この際、希釈水供給用弁38を開いて、希釈水39を希釈水供給用配管37から滴下用配管28に供給することにより、滴下用配管28内の次亜塩素酸溶液が希釈水39で希釈されて微酸性電解水19が生成され、この微酸性電解水19が滴下用ノズル27から除菌エレメント18に滴下されて含浸される。
【0045】
また、噴霧装置21の供給ポンプ32を稼動することにより、貯留槽22に貯留された微酸性電解水19が、供給配管31を通って、各噴霧用ノズル30からワッシャメディア17に達するように噴霧され、ワッシャメディア17に水膜が形成される。この噴霧用ノズル30からの噴霧とワッシャメディア17の水膜効果とにより微酸性電解水19と空気との接触効率が高まり、飽和効率の高い加湿が行なわれる。
【0046】
この状態で、プレフィルタ8を通過した空気Aは、気液接触室16の空気流入口26からエリミネータ29を通過して気液接触室16内へ流れ込み、ワッシャメディア17に向って流れる。この際、空気A中の塵埃や有害ガスは噴霧された微酸性電解水19およびワッシャメディア17に形成される水膜に接触して空気A中から捕捉されると共に除菌される。
【0047】
また、空気Aがワッシャメディア17を通過する際、ワッシャメディア17に捕捉された塵埃が、ワッシャメディア17を流れ落ちる微酸性電解水19により、ワッシャメディア17から除去される。尚、ワッシャメディア17を流れ落ちた微酸性電解水19は貯留槽22に落下して溜められる。
【0048】
ワッシャメディア17を通過した空気Aは、その後、除菌エレメント18を通過する。この際、空気Aが除菌エレメント18に含浸された微酸性電解水19に接触するため、空気A中の細菌やウイルス等の微生物が殺菌されて確実に除去される。
【0049】
このように、機内に流入した空気Aは、気液接触室16内において、噴霧装置21から噴霧される微酸性電解水19により、除塵されると共に除菌され、ワッシャメディア17を通過した後、除菌エレメント18を通過する際に微酸性電解水19に接触してさらに除菌される。このように、流入空気Aが二段階で除菌されるため、流入空気Aに対して確実な除菌が行える。
【0050】
尚、滴下用ノズル27から除菌エレメント18に滴下された微酸性電解水19は、除菌エレメント18内を流下している間に空気Aと接触し、殺菌の主成分である次亜塩素酸が消費されて濃度が低下する。このようにして次亜塩素酸の濃度が低下した微酸性電解水19が除菌エレメント18の下端部から貯留槽22に滴下し、貯留槽22に溜められた低濃度の微酸性電解水19が噴霧用ノズル30から噴霧される。
【0051】
また、噴霧用ノズル30から噴霧された微酸性電解水19は、下降して貯留槽22に回収され、再度噴霧用ノズル30から噴霧される。これにより、貯留槽22に溜まった微酸性電解水19が循環しながら噴霧用ノズル30から噴霧されるため、微酸性電解水19の使用量を節約することができる。
【0052】
また、生成装置25は空気調和機1の機内すなわち調和機ケーシング2の内部に配置されているため、生成装置25や配管等を設置するのに要する設置スペースが空気調和機1を設置するのに要する設置スペースの内部に含まれ、これにより、設置スペースを縮小することができる。また、予め、機内において配管を生成装置25に接続しておくことにより、設置現場での配管工事を減らして施工工事の手間を軽減することができ、工期の短縮およびコストの削減を図ることができる。
【0053】
また、生成装置25は気液接触室16よりも上流側に設置されているため、生成装置25が、気液接触室16を通過して微酸性電解水19を含んだ空気Aに晒されるのを防止することができる。これにより、生成装置25の腐食を防止することができる。
【0054】
尚、気液接触室16内において噴霧用ノズル30から下流側のワッシャメディア17へ噴霧された微酸性電解水19は室内の乱流に乗って上流側にも飛散するが、上流側に飛散した微酸性電解水19はエリミネータ29によって捕捉される。このため、エリミネータ29よりも上流側に設置された生成装置25に微酸性電解水19が降りかかることを防ぐことができ、これにより、生成装置25の腐食をより確実に防止することができる。
【0055】
また、生成装置25はプレフィルタ8よりも下流側(後段側)に配置されているため、外気流入口3および還気流入口4から機内に流入した空気A中の塵埃から生成装置25を保護することができる。
【0056】
また、プレフィルタ8は傾斜姿勢で設けられているため、プレフィルタ8の下流側の下方にデッドスペースが形成され、このデッドスペースを生成装置25の設置スペースとして有効利用できるため、空気調和機1を小型化することができる。
【0057】
また、噴霧装置21から飛散したり生成装置25や貯留槽22から漏洩した微酸性電解水19を一枚のドレンパン41で受け止めることができるため、ドレンパン41を噴霧装置21用のドレンパンと生成装置25用のドレンパンとに分割して個別に設置する必要は無く、ドレンパン41の個数を減らすことができる。
【0058】
また、薬液タンク24は空気調和機1の機外に配置されているため、空気調和機1が稼動している最中であっても、希塩酸23を空気調和機1の外部から容易に補充することができる。その際、既設の薬液タンク24に希塩酸23を補充してもよいが、特に薬液等が外気に晒されたり人にかかったりしないように、薬液タンク24そのものを新しいものと交換し、薬液供給用配管34を繋ぎ替える形態が望ましい。
【0059】
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、図1に示すように薬液タンク24が機外に露出しているが、第2の実施の形態では、図3に示すように、薬液タンク24は、調和機ケーシング2の内部すなわち機内に配置されると共に、気液接触室16よりも上流側において生成装置25の下方に設けられている。また、ドレンパン41は気液接触室16と薬液タンク24との下方に設置されている。
【0060】
以下、上記構成における作用を説明する。
薬液タンク24とその上に積み上げられた生成装置25とは、共に、空気調和機1の機内すなわち調和機ケーシング2の内部に配置されているため、生成装置25および薬液タンク24ならびに配管等を設置するのに要する設置スペースが空気調和機1を設置するのに要する設置スペースの内部に含まれ、これにより、設置スペースをさらに縮小することができる。また、予め、機内において配管を生成装置25や薬液タンク24に接続しておくことにより、設置現場での配管工事を減らして施工工事の手間を軽減することができる。
【0061】
また、薬液タンク24と生成装置25とは気液接触室16よりも上流側に設置されているため、気液接触室16を通過して微酸性電解水19を含んだ空気Aに薬液タンク24と生成装置25とが晒されるのを防止することができる。これにより、薬液タンク24と生成装置25との腐食を防止することができる。
【0062】
また、薬液タンク24と生成装置25とはプレフィルタ8よりも下流側に配置されているため、外気流入口3および還気流入口4から機内に流入した空気A中の塵埃から薬液タンク24と生成装置25とを保護することができる。
【0063】
また、プレフィルタ8の下流側の下方に形成されたデッドスペースを薬液タンク24と生成装置25との設置スペースとして有効利用できるため、空気調和機1を小型化することができる。
【0064】
また、噴霧装置21から飛散したり生成装置25や貯留槽22又は薬液タンク24から漏洩した微酸性電解水19を一枚のドレンパン41で受け止めることができるため、ドレンパン41の個数を減らすことができる。
【0065】
(第3の実施の形態)
上記第2の実施の形態では、図3に示すようにプレフィルタ8が傾斜姿勢で設置されているが、第3の実施の形態では、図4に示すように、プレフィルタ8が鉛直姿勢で設置されている。
【0066】
尚、図3に示した第2の実施の形態では、外気流入口3をプレフィルタ8の上方に配置することが可能であるため、調和機ケーシング2の上流側端から生成装置25の設置位置までの距離Lは、図3に示した第2の実施の形態の方が図4に示した第3の実施の形態よりも短縮される。これにより、第2の実施の形態における空気調和機1は第3の実施の形態における空気調和機1よりも小型化される。
【0067】
(第4の実施の形態)
上記第3の実施の形態では、図4に示すように薬液タンク24と生成装置25とが鉛直姿勢のプレフィルタ8の下流側に設置されているが、第4の実施の形態では、図5に示すように、薬液タンク24と生成装置25とが鉛直姿勢のプレフィルタ8の上流側に設置されている。尚、プレフィルタ8は気液接触室16の空気流入口26に設けられている。
【0068】
また、ドレンパン41は、薬液タンク24と生成装置25との下方に設置された上流側のドレンパン41aと、気液接触室16の下方に設置された下流側のドレンパン41bとに分割されている。
【0069】
これによると、生成装置25や薬液タンク24から漏洩した微酸性電解水19を上流側のドレンパン41aで受け止めることができ、また、噴霧用ノズル30から飛散したり貯留槽22から漏洩した微酸性電解水19を下流側のドレンパン41bで受け止めることができる。
【0070】
上記各実施の形態では、殺菌用液の一例として微酸性電解水19を使用しているが、微酸性電解水19に限定されるものではなく、例えば、電解次亜水や強酸性電解水等の電解水、又は、次亜塩素酸ソーダ希釈液、オゾン水、二酸化塩素水等、殺菌力のある水を使用してもよい。また、薬液の一例として希塩酸23を使用しているが、塩酸や塩化ナトリウム等を使用してもよい。
【0071】
上記第1〜第3の実施の形態では、中性能フィルタ10を、除菌エレメント18の下流側に配置しているが、プレフィルタ8と並べて生成装置25の上流側に配置してもよい。
上記各実施の形態では、空気清浄装置9は、除菌エレメント18へ微酸性電解水19を滴下する滴下装置20と、ワッシャメディア17へ微酸性電解水19を噴霧する噴霧装置21とを有しているが、滴下装置20と噴霧装置21との何れか片方のみを有する構成であってもよい。尚、空気清浄装置9が滴下装置20のみ有する場合は、滴下装置20から滴下された微酸性電解水19が飛散する虞が少ないので、気液接触室16の空気流入口26にエリミネータ29を設ける必要は無い。
【符号の説明】
【0072】
1 空気調和機
8 プレフィルタ
16 気液接触室
17 ワッシャメディア
19 微酸性電解水(殺菌用液)
21 噴霧装置
23 希塩酸(薬液)
24 薬液タンク(薬液貯留部材)
25 生成装置
26 空気流入口
29 エリミネータ
41 ドレンパン
A 空気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌力を有する殺菌用液を機内に流入した空気に接触させる気液接触室と、殺菌用液の原料となる薬液を貯留する薬液貯留部材と、薬液貯留部材に貯留された薬液から殺菌用液を生成する生成装置とを備えた空気調和機であって、
生成装置は、機内に配置されると共に、気液接触室よりも上流側に設置されていることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
流入した空気をろ過するフィルタが機内に設けられ、
生成装置はフィルタよりも下流側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】
フィルタは上部が下部よりも下流側に位置するように傾斜しており、
生成装置はフィルタの下方に設けられていることを特徴とする請求項2記載の空気調和機。
【請求項4】
気液接触室と生成装置との下方に共通のドレンパンが設置されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項5】
薬液貯留部材は機内に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項6】
薬液貯留部材は、機外に配置され、生成装置に接続されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項7】
気液接触室内に、気液接触室の空気流入口から室内に流入した空気が通過するワッシャメディアと、ワッシャメディアの上流側からワッシャメディアに達するように殺菌用液を噴霧する噴霧装置とが設けられ、
気液接触室の空気流入口にエリミネータが設けられ、
生成装置はエリミネータよりも上流側に設置されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−108666(P2013−108666A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253385(P2011−253385)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(000104836)クボタ空調株式会社 (31)
【Fターム(参考)】