説明

空気調和機

【課題】可燃性の冷媒を使用する空気調和機において、冷媒の漏洩が発生しても、付加機能装置の放電部における引火を防ぎ、高い安全性を確保できる空気調和機を提供する。
【解決手段】可燃性を有する冷媒を使用する空気調和機であって、室内側に配置される室内機100に、前記可燃性の冷媒を内部に包含する室内熱交換器102および冷媒配管などの冷凍サイクル構成体と、前記冷媒の作用では得られない機能を付加するための電気集塵装置116を備え、前記電気集塵装置116を、前記冷凍サイクル構成体よりも上方の空気に放電するように配置するもので、空気より重い前記可燃性の冷媒が漏洩した場合、前記漏洩冷媒は下方へ落下するために、前記電気集塵装置116の放電部(図示せず)に到達するのを防ぐことができ、安全性の高い空気調和機を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関するもので、特に、放電手段を搭載すると共に、可燃性の冷媒を用いる空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化が大きな問題となり、温暖化係数の低い冷媒を使用しようという動きが顕著になっている。従来のハイドロフルオロカーボン(HFC)の代替冷媒として、自然冷媒や、炭素と炭素間に2重結合を有するハイドロフルオロオレフィンなどの冷媒が注目されている。
【0003】
ハイドロフルオロオレフィンは、HFC−134aの代替冷媒として特に注目されており、自動車用エアコンディショナーへの実用化が推進されている。その温暖化係数(100年)は、HFO−1234yfの場合4と、HFC−134aの1、430、エアコンなどで使用されているHFC−410Aの2090に比べてきわめて小さい。この温暖化係数が小さいという特性は、炭素間に2重結合を有し分解し易いことに起因している。
【0004】
また、比較的温暖化係数が低く冷媒として使用できるHFCとしては、HFC−410Aの50%を占め、微燃性を有するHFC−32(GWP675)や、弱燃性のHFC−152a(GWP124)などがあり、強燃性の炭化水素も冷媒として優れた特性を有している。
【0005】
しかし、これらのガスはいずれも可燃性を有しており、使用に当たってはその取り扱いに十分な注意が必要である。
【0006】
また一方で、空気調和機、特に高付加機能を備えた空気調和機においては、放電現象を利用して集塵、除菌、脱臭、美肌効果を訴求する空気調和機が販売されている。
【0007】
そうした放電現象を利用する従来技術として、例えば、特許文献1に記載されたような空気調和機がある。
【0008】
上記特許文献1に記載された空気調和機では、放電現象を利用して集塵を行う電気集塵機を搭載し、その電気集塵機は、イオン化線と対向電極板で構成される荷電部と、集塵側電極とこれに対向する非集塵側電極から構成される集塵部を備えており、荷電部においてコロナ放電により塵埃を帯電させ、集塵部においてクーロン力を利用して集塵側電極に捕集するものである。
【0009】
また、放電現象を利用する他の従来技術として、特許文献2に記載されたような空気調和機がある。上記特許文献2に記載されたような従来の空気調和機では、放電現象を利用して微細な水滴を帯電させて静電ミストを作る静電霧化装置を搭載している。静電ミストを室内に散布することで、室内空気に含まれる臭気成分や、壁・床・カーテンなどに付着している臭気成分を除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−183543号公報
【特許文献2】特許第4096905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1、2に記載されたような従来の空気調和機の構成では、可燃性の冷媒が、室内機内部で漏洩し、放電部を通過した場合に、放電エネルギによって引火する危険性がある。
【0012】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、可燃性冷媒を使用する空気調和機において、冷媒の漏洩が発生しても、付加機能装置の放電部における引火を防ぎ、高い安全性を確保できる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記従来の課題を解決するために、本発明の空気調和機は、可燃性を有する冷媒を使用する空気調和機であって、室内側に配置される室内機に、前記可燃性の冷媒を内部に包含する熱交換手段および冷媒配管などの冷凍サイクル構成体と、前記冷媒の作用では得られない機能を付加するための放電手段を備え、前記放電手段を、前記冷凍サイクル構成体よりも上方の空気に放電するように配置するもので、空気より重い前記可燃性の冷媒が漏洩した場合、前記漏洩冷媒は下方へ落下するために、前記放電手段の放電部に到達するのを防ぐことができる。従って、安全性の高い空気調和機を提供することができる。
【0014】
また、本発明の空気調和機は、可燃性を有する冷媒を使用する空気調和機であって、室内側に配置される室内機に、前記可燃性の冷媒を内部に包含する熱交換手段および冷媒配管などの冷凍サイクル構成体と、前記冷媒の作用では得られない機能を付加するための放電手段と、前記放電手段と前記熱交換手段の端部の冷媒配管が露出している熱交端部を含む冷媒配管部とを隔てる冷媒遮蔽手段を備えたもので、前記冷媒配管部において前記冷媒が漏洩した場合に、漏洩冷媒が前記放電手段に直接到達しないように遮るので、漏洩冷媒が、前記放電手段に直接到達するのを防ぐことができる。従って、安全性の高い空気調和機を提供することができる。
【0015】
また、本発明の空気調和機は、可燃性を有する冷媒を使用する空気調和機であって、室内側に配置される室内機に、前記可燃性の冷媒を内部に包含する熱交換手段および冷媒配管などの冷凍サイクル構成体と、前記冷媒の作用では得られない機能を付加するための放電手段と、前記放電手段が放電対象の空気を取得するための空気吸引手段と、前記空気吸引手段の空気取り込み口と前記熱交換手段の端部の冷媒配管が露出している熱交端部を含む冷媒配管部とを隔てる冷媒遮蔽手段を備えたもので、前記冷媒配管部において前記冷媒が漏洩した場合に、漏洩冷媒が前記空気吸引手段の空気取り込み口に直接到達しないように遮ることができる。従って、安全性の高い空気調和機を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の空気調和機は、前記漏洩冷媒が前記放電手段に直接到達するのを防ぐことができるので、付加機能に影響を及ぼすことなく、高い安全性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1における空気調和機の構成図
【図2】本発明の実施の形態2における空気調和機の構成図
【図3】図2のA矢視図
【図4】本発明の実施の形態3における空気調和機の構成図
【図5】本発明の実施の形態4における空気調和機の構成図
【図6】図5のB矢視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1の発明は、可燃性を有する冷媒を使用する空気調和機であって、室内側に配置される室内機に、前記可燃性の冷媒を内部に包含する熱交換手段および冷媒配管などの冷凍サイクル構成体と、前記冷媒の作用では得られない機能を付加するための放電手段を備え、前記放電手段を、前記冷凍サイクル構成体よりも上方の空気に放電するように配置するもので、空気より重い前記可燃性の冷媒が漏洩した場合、前記漏洩冷媒は下方へ落下するために、前記放電手段の放電部に到達するのを防ぐことができる。従って、安全性の高い空気調和機を提供することができる。
【0019】
第2の発明は、特に、第1の発明の放電手段を、冷凍サイクル構成体よりも上方に配置したもので、簡単な構成で前記漏洩冷媒が前記放電手段に直接到達するのを防ぐことができる。従って、安価に安全性の高い空気調和機を提供することができる。
【0020】
第3の発明は、特に、第1の発明の放電手段が、冷凍サイクル構成体よりも上方から放電対象の空気を取得するための空気吸引手段を有するもので、前記放電手段本体の配置に関わらず、前記冷凍サイクル構成体よりも上方の空気に放電することができる。従って、設計の自由度が高くなり、変化に富んだ装置を提供することができる。
【0021】
第4の発明は、可燃性を有する冷媒を使用する空気調和機であって、室内側に配置される室内機に、前記可燃性の冷媒を内部に包含する熱交換手段および冷媒配管などの冷凍サイクル構成体と、前記冷媒の作用では得られない機能を付加するための放電手段と、前記放電手段と前記熱交換手段の端部の冷媒配管が露出している熱交端部を含む冷媒配管部とを隔てる冷媒遮蔽手段を備えたもので、前記冷媒配管部において前記冷媒が漏洩した場合に、漏洩冷媒が前記放電手段に直接到達しないように遮るので、漏洩冷媒が、前記放電手段に直接到達するのを防ぐことができる。従って、安全性の高い空気調和機を提供することができる。
【0022】
第5の発明は、可燃性を有する冷媒を使用する空気調和機であって、室内側に配置される室内機に、前記可燃性の冷媒を内部に包含する熱交換手段および冷媒配管などの冷凍サイクル構成体と、前記冷媒の作用では得られない機能を付加するための放電手段と、前記放電手段が放電対象の空気を取得するための空気吸引手段と、前記空気吸引手段の空気取り込み口と前記熱交換手段の端部の冷媒配管が露出している熱交端部を含む冷媒配管部とを隔てる冷媒遮蔽手段を備えたもので、前記冷媒配管部において前記冷媒が漏洩した場合に、漏洩冷媒が前記空気吸引手段の空気取り込み口に直接到達しないように遮ることができる。従って、安全性の高い空気調和機を提供することができる。
【0023】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか一つの発明の熱交換手段で熱交換された空気を送り出す送風手段を備え、前記送風手段が動作している時だけ、放電手段が動作するもので、前記熱交換手段に前記漏洩冷媒が吸い込まれて室内に吹出されるので、前記室内機内部に前記可燃性の冷媒が満ち、前記放電手段内部に前記可燃性の冷媒が満ちた状態で放電することを避けることができる。従って、前記放電手段使用時における引火の危険性を低減することができる。
【0024】
第7の発明は、特に、第1〜6のいずれか一つの発明の室内機内部で、放電手段あるいは放電対象の空気を取り込む取り込み口よりも下方に、漏洩冷媒を検知する冷媒検知手段を配置し、冷媒の漏洩がない場合にのみ、前記放電手段を駆動するもので、前記冷媒の漏洩がある場合には放電を回避することができる。従って、前記放電手段使用時における引火の危険性を低減することができる。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における空気調和機の構成図を示すものである。
【0027】
図1に示すように、本実施の形態における空気調和機の室内機100には、冷凍サイクル構成体の大部分を占めると共に熱交換手段としてのフィンチューブ型の室内熱交換器102と、室内熱交換器102で熱交換された室内空気を送り出す送風手段となる室内送風機101が配置され、図1中には記載されていないが、ガス側配管および液側配管によって圧縮機や室外熱交換器などを備えた室外機と接続され、冷凍サイクルを構成している。
【0028】
その他に、室内機100を構成する要素としては、室内機100を壁に据え付けるときの基礎となる台枠106と、本体グリル105と、運転時に動いて室内空気の取り込み口110を開ける可動パネル104と、同じく運転時に動いて吹出す風の上下方向を制御する上下羽根103と、吸い込み空気に含まれた大きな埃を除去するエアフィルタ107などがある。
【0029】
そして、エアフィルタ107と室内熱交換器102の間には、冷媒の作用では得られない機能を付加するための放電手段として電気集塵装置116が配置され、室内熱交換器102の下部には、洩れた冷媒を検知する冷媒検知手段としてのガスセンサ108が配置されている。
【0030】
冷媒は、温暖化係数が小さく、R134aやR410Aの次世代冷媒として注目をされているHFO−1234yfを使用している。HFO−1234yfは、微燃性を有しており、冷媒が漏洩した場合に着火源があると燃焼する可能性が有るため、ガスセンサ108が冷媒漏洩を監視している。
【0031】
電気集塵装置116は、特に図示しないが、イオン化線と対向電極板で構成される荷電部と、集塵側電極とこれに対向する非集塵側電極から構成される集塵部を備えており、荷電部においてコロナ放電により塵埃を帯電させ、集塵部においてクーロン力を利用して集塵側電極に捕集するものである。
【0032】
電気集塵装置116を通過する空気は、室内送風機101によって吸い込まれる空気の一部であって、本体グリル105、エアフィルタ107を通過して大きな埃が取り除かれた後、電気集塵装置116で細かい埃も取り除かれ室内熱交換器102に吸い込まれる。
【0033】
冷媒が微燃性であるため、冷媒が、室内機100の内部で漏洩し、電気集塵装置116の放電部を通過した場合、放電エネルギによって引火する危険性がある。
【0034】
本実施の形態における空気調和機に使用しているHFO−1234yfは、常温常圧において空気よりも重たく、室内熱交換器102や配管などから漏洩した冷媒は落下する。
【0035】
そこで、本実施の形態における空気調和機では、冷媒の漏れが発生しても電気集塵装置116に到達しないようにするため、電気集塵装置116を、室内熱交換器102よりも高い位置に配置している。漏洩した冷媒が、電気集塵装置116へ到達するには、室内へ放出され、循環して本体グリル105、エアフィルタ107を経て戻ってくるか、室内機100内部に滞留して溢れるかである。
【0036】
しかし、室内送風機101が運転状態であれば、漏洩冷媒は、室内熱交換器102の空気側から空気と共に吸い込まれ、混合されて吹出し口109から室内に送り出されるので、室内機100内部に滞留して溢れることはない。冷媒が、電気集塵装置116に到達す
るには循環して戻って来る必要があり、かなりの漏洩量があってはじめて引火する状態になるため、引火の危険性はさらに低下する。従って、電気集塵装置116は、室内送風機101が運転状態の時のみ放電するようにすれば良い。
【0037】
そして、循環して戻ってきた冷媒は薄められており、ガスセンサ108が漏洩冷媒を検出するので、放電部において引火する状態になるまでに放電が中止され、漏洩冷媒への引火は回避される。
【0038】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における空気調和機の構成図、図3は、図2のA矢視図である。なお、上記実施の形態1における空気調和機と同一部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0039】
本実施の形態における空気調和機は、図2、3に示すように、エアフィルタ107と室内熱交換器102の間に、放電手段である電気集塵装置116が配置されると共に、電気集塵装置116と室内熱交換器102の端部の配管が露出している部分や他の冷媒配管が集まっている配管部分とを隔てるように冷媒遮蔽隔壁117を設けたものである。室内熱交換器102の下部には、実施の形態1と同様に漏洩した冷媒を検知するガスセンサ108が配置されている。
【0040】
本実施の形態における空気調和機が使用している冷媒HFO−1234yfは、常温常圧において空気よりも重たく、室内熱交換器102や配管などから漏洩した冷媒は、基本的に落下していくが、電気集塵装置116よりも高いところで漏れた場合は、落下していく途中で電気集塵装置116にいたる可能性がある。
【0041】
そこで、本実施の形態における空気調和機は、冷媒の漏れが発生しても、電気集塵装置116に到達しないようにするため、電気集塵装置116と室内熱交換器102の熱交端部(後述)および冷媒配管部122とを隔てる冷媒遮蔽手段として冷媒遮蔽隔壁117を配置している。従って、漏洩した冷媒が、電気集塵装置116へ到達するには、室内へ放出され、循環して本体グリル105、エアフィルタ107を経て戻ってくるか、室内機100内部に滞留して溢れるかである。
【0042】
そして、室内送風機101が運転状態であれば、漏洩冷媒は、室内熱交換器102の空気側から空気と共に吸い込まれ、混合されて吹出し口109から室内に送り出されるので、室内機100内部に滞留して溢れることはない。冷媒が電気集塵装置116に到達するには循環して戻って来る必要があり、かなりの漏洩量があってはじめて引火する状態になるため、引火の危険性はさらに低下する。従って、電気集塵装置116は、室内送風機101が運転状態の時のみ放電するようにすれば良い。
【0043】
図3は、図2におけるA矢視図を示すもので、室内熱交換器102の一方の熱交端部である配管ロウ付け部118を冷媒遮蔽隔壁117が覆っており、そのすぐ隣に電気集塵装置116が配置されている。
【0044】
配管ロウ付け部118で冷媒が漏れると、冷媒遮蔽隔壁117が電気集塵装置116へ冷媒が流れ込むのを阻止し、冷媒は、矢印120のように電気集塵装置116から遠ざかっていく。
【0045】
冷媒遮蔽隔壁117の反対側のU曲げ部119については、室内送風機101が運転状態であれば、冷媒が漏れても矢印121のように、室内熱交換器102に吸い込まれ、電気集塵装置116に直接到達することはないので、冷媒遮蔽手段を設けない安価な構成と
なっている。
【0046】
そして、循環して戻ってきた冷媒は薄められており、ガスセンサ108が漏洩冷媒を検出するので、放電部において引火する状態になるまでに放電が中止され、漏洩冷媒への引火は確実に回避される。
【0047】
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3における空気調和機の構成図を示すものである。なお、上記実施の形態における空気調和機と同一部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0048】
図4において、本実施の形態における空気調和機は、静電霧化装置130を装備しており、放電現象を利用して微細な水滴を帯電させて静電ミストを作り室内に散布することで、室内の室内空気に含まれる臭気成分や、壁・床・カーテンなどに付着した臭気成分を除去することができるようになっている。
【0049】
静電霧化装置130では、空気吸引手段である吸引ダクト114から、処理する空気を送風ファン131が取り込み、ペルチェ素子の放熱部111を経て、放電手段である静電霧化ユニット112で、ペルチェ素子による結露水取得と放電により静電ミストが作られ、音抑制のためのサイレンサ113、排気ダクト115を経て、温調された空気に放出され、室内に散布される。
【0050】
従って、静電霧化ユニット112に、可燃領域にある冷媒と空気の混合ガスが供給されると、放電エネルギにより引火する危険性がある。
【0051】
本実施の形態における空気調和機が使用しているHFO−1234yfは、常温常圧において空気よりも重たく、室内熱交換器102や配管などから漏洩した冷媒は落下する。
【0052】
そこで、本実施の形態における空気調和機では、冷媒の漏れが発生しても、その冷媒を吸い込まないよう、吸引ダクト114の空気取り込み口114aを室内熱交換器102よりも高い位置に配置している。
【0053】
その結果、室内熱交換器102やその付属の配管よりも上方の、冷媒を含まない空気に放電することになる。漏洩した冷媒が、吸引ダクト114から吸い込まれるのは、一旦室内へ放出され、循環して本体グリル105、エアフィルタ107を経て戻ってくるか、室内機100内部に滞留して溢れるかである。
【0054】
そして、室内送風機101が運転状態であれば、漏洩冷媒は、室内熱交換器102の空気側から空気と共に吸い込まれ、混合されて吹出し口109から室内に送り出されるので、室内機100内部に滞留して溢れることはない。冷媒が、静電霧化装置130の静電霧化ユニット112に到達するには、循環して戻って来る必要があり、かなりの漏洩量があってはじめて引火する状態になるため、引火の危険性はさらに低下する。
【0055】
そして、吸引ダクト114から取り込む空気が可燃状態となるまでに、ガスセンサ108が漏洩冷媒を検出して放電が中止されるので、漏洩冷媒への引火は回避される。
【0056】
(実施の形態4)
図5は、本発明の実施の形態4における空気調和機の構成図、図6は、図5のB矢視図である。なお、上記実施の形態における空気調和機と同一部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0057】
本実施の形態における空気調和機は、実施の形態3で述べた静電霧化装置130を装備している。
【0058】
室内熱交換器102や配管(図示せず)などから漏洩した冷媒は、空気より重いため落下する。静電霧化装置130の吸引ダクト114の空気取り込み口114aよりも高いところで漏れた場合は、漏洩冷媒が落下していく途中で吸込まれ、放電を行なう静電霧化装置130の静電霧化ユニット112にいたる可能性がある。
【0059】
そこで、本実施の形態では、図5、6に示すように、冷媒の漏れが発生しても冷媒を吸い込まないようにするため、吸引ダクト114の空気取り込み口114aと、室内熱交換器102の端部および冷媒配管部122とを隔てるように、冷媒遮蔽手段となる冷媒遮蔽隔壁117を配置している。
【0060】
その結果、漏洩した冷媒が、静電霧化装置130の静電霧化ユニット112へ到達するには、室内へ放出され、循環して本体グリル105、エアフィルタ107を経て戻ってくるか、室内機100内部に滞留して溢れるかである。
【0061】
そして、室内送風機101が運転状態であれば、漏洩冷媒は、室内熱交換器102の空気側から空気と共に吸い込まれ、混合されて吹出し口109から室内に送り出されるので、室内機100内部に滞留して溢れることはない。
【0062】
冷媒が静電霧化装置130の静電霧化ユニット112に到達するには、循環して戻って来る必要があり、かなりの漏洩量があってはじめて引火する状態になるため、引火の危険性はさらに低下する。従って、静電霧化装置130の静電霧化ユニット112は、室内送風機101が運転状態の時のみ放電することにすれば良い。
【0063】
図6は、図5におけるA矢視図で、室内熱交換器102の配管ロウ付け部118を冷媒遮蔽隔壁117が覆うと共に、冷媒遮蔽隔壁117を突き抜けて吸引ダクト114の空気取り込み口114aが配置されている。
【0064】
配管ロウ付け部118で冷媒が漏れると、冷媒遮蔽隔壁117が、吸引ダクト114の空気取り込み口114aへ冷媒が流れ込むのを阻止し、冷媒は、矢印120のように吸引ダクト114の空気取り込み口114aから遠ざかっていく。
【0065】
冷媒遮蔽隔壁117の反対側のU曲げ部119については、室内送風機101が運転状態であれば、冷媒が漏れても矢印121のように室内熱交換器102に吸い込まれ、吸引ダクト114の空気取り込み口114aに直接到達することはないので、冷媒遮蔽手段を設けない安価な構成となっている。
【0066】
そして、循環して戻ってきた冷媒は薄められており、吸引ダクト114から取り込む空気が可燃状態となるまでに、ガスセンサ108が漏洩冷媒を検出して放電が中止されるので、漏洩冷媒への引火は確実に回避される。
【0067】
なお、上記各実施の形態における空気調和機において、冷媒は、HFO−1234yfを使用したが、HFO−1234zeやその他のHFOであっても、HFO−1234yfあるいはHFO−1234zeやその他のHFOを含む混合冷媒であっても、HFC−32やHFC−152aやその他のHFCやその混合冷媒であっても、炭化水素冷媒であっても同様の効果を奏する。
【0068】
また、放電エネルギを小さくすることにより引火を回避する方法も考えられるが、この方法では、集塵性能や静電霧化装置130の効果を落とすことになるが、上記実施の形態によれば、集塵性能や静電霧化装置130の効果を落とさずに引火を回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明にかかる空気調和機は、環境負荷が小さく、安全で、放電手段を利用した付加機能を有する空気調和機を提供できるもので、その付加機能としては、電気集塵装置や静電霧化装置に限らず、除菌装置やオゾン発生装置など放電現象を利用するものすべてに適用することができる。また、空気調和機だけに止まらず、セパレート型のショーケースや、冷蔵庫などに広く適用することができ、効果をもたらすものである。
【符号の説明】
【0070】
100 室内機
101 室内送風機(送風手段)
102 室内熱交換器(熱交換手段)
103 上下羽根
104 可動パネル
105 本体グリル
106 台枠
107 エアフィルタ
108 ガスセンサ(冷媒検知手段)
110 取り込み口
112 静電霧化ユニット(放電手段)
114 吸引ダクト(空気吸引手段)
116 電気集塵装置(放電手段)
117 冷媒遮蔽隔壁(冷媒遮蔽手段)
118 配管ロウ付け部(熱交端部)
122 冷媒配管部
131 送風ファン(空気吸引手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性を有する冷媒を使用する空気調和機であって、室内側に配置される室内機に、前記可燃性の冷媒を内部に包含する熱交換手段および冷媒配管などの冷凍サイクル構成体と、前記冷媒の作用では得られない機能を付加するための放電手段を備え、前記放電手段を、前記冷凍サイクル構成体よりも上方の空気に放電するように配置することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
放電手段を、冷凍サイクル構成体よりも上方に配置したことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
放電手段が、冷凍サイクル構成体よりも上方から放電対象の空気を取得するための空気吸引手段を有することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
可燃性を有する冷媒を使用する空気調和機であって、室内側に配置される室内機に、前記可燃性の冷媒を内部に包含する熱交換手段および冷媒配管などの冷凍サイクル構成体と、前記冷媒の作用では得られない機能を付加するための放電手段と、前記放電手段と前記熱交換手段の端部の冷媒配管が露出している熱交端部を含む冷媒配管部とを隔てる冷媒遮蔽手段を備えたことを特徴とする空気調和機。
【請求項5】
可燃性を有する冷媒を使用する空気調和機であって、室内側に配置される室内機に、前記可燃性の冷媒を内部に包含する熱交換手段および冷媒配管などの冷凍サイクル構成体と、前記冷媒の作用では得られない機能を付加するための放電手段と、前記放電手段が放電対象の空気を取得するための空気吸引手段と、前記空気吸引手段の空気取り込み口と前記熱交換手段の端部の冷媒配管が露出している熱交端部を含む冷媒配管部とを隔てる冷媒遮蔽手段を備えたことを特徴とする空気調和機。
【請求項6】
熱交換手段で熱交換された空気を送り出す送風手段を備え、前記送風手段が動作している時だけ、放電手段が動作することを特徴とした請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気調和機。
【請求項7】
室内機内部で、放電手段あるいは放電対象の空気を取り込む取り込み口よりも下方に、漏洩冷媒を検知する冷媒検知手段を配置し、冷媒の漏洩がない場合にのみ、前記放電手段を駆動することを特徴とした請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−64524(P2013−64524A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202626(P2011−202626)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】