説明

空気調和機

【課題】布団乾燥機として利用することを可能にすると同時に、通常の空気調和機として利用しても遜色ない装置を提供する。
【解決手段】外観部を空気調和機として居間などの設置に適するものとするとともに、空気調和機として使用する場合は、送風経路に使用するフレキシブルダクト10を直線状にして送風量を多くするのに適切な配置とした。また、布団乾燥機として使用する場合には、フレキシブルダクト10を引き出して使用するようにしたので両方の使用が適切にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は布団乾燥機能の付いた空気調和機の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
寝具として広く使用されている布団は人が就寝中に出す汗他の水分で湿りやすく衛生のためにも適宜乾燥させることが必要である。しかし、主婦の社会進出による共稼ぎ世帯の増加や住宅事情の変化等で、日中に屋外での布団を天日干しが出来ないという社会的な状況にある。
【0003】
そこで、日中に屋外に布団が天日干しできない状況下、また天候に左右されずに布団を乾燥するための布団乾燥機なるものが提案され、販売されている。この布団乾燥機としては、通気性を有する布製の袋体を布団に挟んで、ヒータで加熱した空気を布団に当てることで乾燥させる布団乾燥機が数十年前から販売されており、一般的に使用されている。(特許文献1,2)
また、布団乾燥機を使用しない期間は、空気清浄機として使用するようになしたものも特許文献3において提案されている。
【0004】
また、空気調和機等にイオン発生装置を搭載して、イオンによって空気中の浮遊菌やウイルスの殺菌を行うことも行われている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−33295号公報
【特許文献2】特開2007−307343号公報
【特許文献3】特開2005−349057号公報
【特許文献4】特開2003−047651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
布団乾燥機は布団乾燥用の袋体を介して空気を送出するため、空気を送出する圧力は高いが送出する空気の量は多くを必要としていない。そのため、布団乾燥機を空気調和機として使用することは、送風機の送風特性や布団乾燥機の送風構造が空気調和機の送風構造と大きく異なるため無理がある。
【0007】
また、外観上も空気調和機は部屋に設置した状態で人目に触れることもあり、通常、人目に触れずに使用される布団乾燥機で空気調和機を代用することは、好ましいものではなかった。
【0008】
本発明は、布団乾燥機として利用することを可能にすると同時に、通常の空気調和機として利用しても遜色ない装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、布団乾燥機として利用しない場合には、空気調和機として外観等、意匠面でも優れた外観を呈し、居室にて全く違和感なく空気調和機として設置できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した目的を達成するために外観部に空気調和機の筐体を使用するとともに、内部の送風経路を空気調和機として使用する場合を優先する構造とする。また、布団乾燥機として使用する場合でも使い勝手に支障がないように、前記の送風経路をフレキシブルダクトで構成する。
【0011】
また、フレキシブルダクトの送風特性を考慮して、空気調和機として使用する際には、フレキシブルダクトが直線状になるようにし、空気抵抗を少なくするようにした。
【0012】
また、布団乾燥機として使用する際には、フレキシブルダクトを背面から引き出し可能にして、布団乾燥用袋を敷設するのに便利にした。
【0013】
また、イオン発生装置を搭載することで、イオンによる殺菌効果や脱臭効果を得られるようにした。
【発明の効果】
【0014】
外観部を空気調和機としたので、居間等の設置使用にも違和感のない外観にするとができる。
【0015】
また、空気調和機として使用するときには、送風経路となるフレキシブルダクトを直線状にして使用するので、空気調和に適した送風風量を確保できる。
【0016】
また、布団乾燥機として使用するときには、フレキシブルダクトを筐体から引き出し可能にしたので布団乾燥用袋が接続しやすくできる。
【0017】
また、イオン発生装置を搭載した場合、空気調和機として使用するときも、布団乾燥機として使用するときもイオンの殺菌効果や脱臭効果を享受することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に関わる空気調和機の正面から見た外観模式図。
【図2】本発明に関わる空気調和機の背面から見たフレキシブルダクト収納時の外観模式図。
【図3】本発明に関わる空気調和機の背面側から見た構造模式図。
【図4】本発明にかかわるフレキシブルダクトの構造を示す断面模式図であり、(a)はフレキシブルダクトの伸長時、(b)はフレキシブルダクトの短縮時をそれぞれ示す。
【図5】本発明に使用するイオン発生装置の外観模式図。
【図6】本発明に関わる空気調和機の背面から見たフレキシブルダクトを取り出した状態の外観模式図。
【図7】本発明に関わる空気調和機で使用する布団乾燥用袋体の外観図。
【図8】布団乾燥時の使用状態での図7中のA−A線での切断断面図。
【図9】布団乾燥時の使用状態での図7中のB−B線での切断断面図。
【図10】本発明の空気調和機の制御ブロック図。
【図11】本発明に関わる空気調和機の布団乾燥用袋体の他の実施例の外観図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態について図を参照しながら説明をする。図1は本発明による空気調和機1を正面から見た外観斜視図、図2に背面から見た外観斜視図を示す。空気調和機1は前カバー2、後ろカバー3、天板4、を互いに嵌合させて筐体を形成している。さらに空気を吹き出す吹出口5は円筒形の筒で、さらに指等が入らないように格子が設けられている。
【0020】
筺体を形成する前カバー2、後ろカバー4、および天板4について説明する。まず天板4には、作部4aが設けられ、運転スイッチ等の入力手段や運転モードを表示するLEDを備える。また、前カバー2には表示部4bが設けられ、LED等を用いてで詳細な運転情報等を表示する。当然、LED表示は液晶表示に置き換えることも可能である。後ろカバー3は、さらに部品収納部を開閉するための蓋3bと、吹出口5を背面側に向けて設置するときに使用する背面吹き出し用穴3cと残りの部分の背面カバー3aとに分かれる。この背面カバー3aには空気を吸い込むための吸込口7が設けられる。吸込口7の内側には図示しないがフィルターが設けられ、吸い込み空気中の粗塵を除去するようにしている。
【0021】
ここで、上記後ろカバー3は、蓋3bと背面カバー3aに対して個別に開閉可能に、また取外し可能に設けられている。また、蓋3bの一部には半円形状の切り欠きが形成され、その切り欠きに合わせて、背面カバー3aにも半円形状の切り欠きが形成され、それらの切り欠きが合わさることで、円形状の背面吹出し用穴3cが形成される。
【0022】
図3は上述した空気調和機1の内部構造模式図であり、背面側の背面カバー3a及び蓋3bを取外し、また送風部分、特に加熱装置の部分構成を分かりやすくするために一部を破断した状態を示す。示した図は背面から見た内部構造であり、一番下部に送風機8が設けられ、送風経路に沿うようにして、加熱装置9、フレキシブルダクト10が順に、そして送風経路の一部を分岐した部分にイオン発生装置11を、それ以外の空間部に付属品収納部12が設けられる。この付属収納部12を覆うように、上記蓋3bが設けられている。
【0023】
上記送風機8は、一例としてシロッコファンであり、送風機8の吹出口には加熱装置9が接続され、さらに加熱装置9の送風出口にはフレキシブルダクト10が接続されて、先端部が吹出口5となっている。
【0024】
加熱装置9は一部側板を取り除き内部が見えるようにした。加熱装置9内部にはイオン発生装置11が設置される通風路9aと、ヒータ9cが設置される通風路9bとに仕切り板にて仕切るようにして形成される。また、加熱装置9の外郭側面には、後で説明する過熱防止装置13が取り付けされている。
【0025】
上記通風路9aには、図5を参照して後で詳細を説明するイオン発生装置11のイオン発生部11b、11cが突出して配置されている。これにより、発生したイオンが送風機8の送出した気流によって吹出口5から室内、または布団乾燥を行う場合に接続される袋体20へと送られる。また通風路9bには、ヒータ9cが設置されており、これにより温風を吹出口5から室内、または吹出口に接続される袋体20へと送ることができる。
【0026】
加熱装置9内を上述したように、2つの通気路に分割することによって、イオン発生装置11を通過する風量を確保することが容易になる。つまり、空気調和機1を布団乾燥機として使用する場合の風量確保だけではなく、空気調和機として使用する場合の風量確保も出来、どちらにも適した構造となっている。
【0027】
また、イオン発生装置11は、イオン発生部11b、11cが送風機8の吹出口近傍で気流が整って送出される箇所に、送風の抵抗にならないように露出する形で設置される。本発明で使用するイオン発生装置11は、イオン発生部11bが正イオン発生部、イオン発生部11cが負イオン発生部となっている。また、正イオン発生部11bと負イオン発生部11cは、その発生部を結ぶ直線方向が、送出される気流に交差する向きに並べられる。このようにすることで、正イオンと負イオンが発生直後に結合して消滅するのを抑制することが出来、イオン発生部から送出されたイオンをより多く搬送することが出来る。発生したイオンの一部が消滅することが特に問題とならないような時には、このような設置方法に限定される必要はない。
【0028】
さらに、加熱装置9にはその外郭部に複数の過熱防止装置13が備えられ、各々の通風路9a、9b内の温度を監視して加熱装置が安全に動作するように配慮されている。
【0029】
一方、本発明におけるフレキシブルダクト10は、樹脂製の蛇腹形状のダクトであり、蛇腹部分に特徴があり伸縮ができるタイプを使用する。空気調和機1に収納されている状態では蛇腹部分を縮めた状態で直線状に収納されている。図4(a)および(b)にフレキシブルダクト10の部分断面図を示して内部の状態が解るようにした。
【0030】
以下に、本発明のフレキシブルダクト10を図4を参照して詳細に説明する。まず、図4(a)に示すようにフレキシブルダクト10は、コイルばね形状で柔軟性も備える芯材10aに膜状の軟質壁材10bが接着されて形成されており、図に示すように引き延ばした状態では、壁材10bはダクトの内側に谷部10cを形成する。このため、フレキシブルダクト10を使用して送風すると、ダクト内部に谷部10cが連続して形成する鋸歯状の形状が大きな空気抵抗となる。
【0031】
また、図4(b)に示すように、フレキシブルダクト10を縮めた状態では、隣り合う芯材10a同士が壁材10bを挟んで互いに密着する位置となり、隣り合う谷部10cも互いに密着する状態になる。そのため、ダクトの内径が小さくなるものの内側には比較的滑らかな壁が形成される。このため、フレキシブルダクト10は縮めた状態で使用される方が、引き伸ばした状態で使用されるよりも空気抵抗が小さくなる。
【0032】
本発明の空気調和機1においては、空気調和機として使用する場合も布団乾燥機として使用する場合も送風機8は同じものを使用することになる。そのため、空気抵抗が小さい方が多くの空気を搬送できる。本発明においては、空気調和機として使用する場合にフレキシブルダクト10を押し縮めた状態で直線状にして使用するので、ダクト内壁は滑らかであり多くの送風量を要求する空気調和機用途に適した状態になっている。
【0033】
また、反対に布団乾燥機として使用する場合には、フレキシブルダクト10を引き延ばした状態で曲げて背面から引き出し、床面近くで使用するので、送風経路が大きく曲がることによる圧力損失と蛇腹構造による空気抵抗が重畳して空気抵抗が非常に大きくなる。そのため、送風量が必然的に減少する。布団乾燥機として使用する場合には、後述の布団乾燥用袋体20がフレキシブルダクト10の吹出口5に接続され、使用中は布団乾燥用袋体20が膨らんだ状態を維持するが、送風量そのものは多くないので、このような使用形態であっても全く支障がない。
【0034】
このフレキシブルダクト10は固定されている箇所(図3において加熱装置9を通じて送出される部分で一端が固定)を中心にして先端部は球を描く範囲内で自在に曲げることが出来る。また、引き延ばすと収納時の長さの約3.5倍の長さになる。上述のように空気調和機としての構造を優先することで、吹出口5を空気調和機1の天板4に設置して室内設置型の空気調和機として使用する場合と、フレキシブルダクト10を長く引き出して布団乾燥機として使用する場合の両方の使用が可能になる。
【0035】
また、フレキシブルダクト10は、その径が先に説明した背面吹出し用穴3cより取り出せる大きに設定されている。つまり穴3cの径は、フレキシブルダクト10の径よりも大きく、あるいは同等の大きさに設定れている。そのため、蓋3bを取外(または開放)すことで、フレキシブルダクト10の先端に取付けられている天板4から突出状態で設けられる吹出口5を、天板4から取外し、背面吹出し用穴3c(背面カバー3aの半円の切り欠き部)にフレキシブルダクト10を対応させ、蓋3cを閉めることで、図6に示すように背面カバー3aよりフレキシブルダクト10を引き出すことができる。
【0036】
なお、部品収納部12は、空気調和機1を布団乾燥機として使用するときに温風を吹き出すための布団乾燥用袋体20を収納できる。この袋体20を収納した状態で蓋3b、背面吹き出し用穴3cを閉じれば、すっきりとした形に収まり、居間等の居室で使用される空気調和機として適した外観を提供する。本発明の空気調和機1によれば、イオン発生機、または空気清浄機等の空気調和機として違和感なく利用できる。これにより室内に設置しても付属部品が突出し(たとえば図6に示すような状態)邪魔になることもなく、美観等、意匠面も損なうことなく使用できる。
【0037】
続いて、図5は先に説明したに本発明の空気調和機1に使用するイオン発生装置11の外観を示す。イオン発生装置11は本体11aとイオン発生部11b、11cからなり、本体11aにはコネクタ(不図示)を介して外部から供給される電力を高圧電気に変換する高圧発生回路が内蔵されている。イオン発生部11bと11cは構造的には同じであり、放電電極111a,112aとそれに対向する対向電極111b、112bをそれぞれ備える。本体11a内の高圧発生回路で生成された高圧電気は、放電電極111aと対向電極111bおよび放電電極112aと対向電極112bとの間に各々印加され、放電電極111a,112aが空気中で放電してイオンを発生させる。
【0038】
本発明においては、イオン発生装置11は正負両極性のイオンを送出する。例えば、イオン発生部11bが正イオン発生部であり、イオン発生部11cは負イオン発生部としている。本発明のイオン発生装置11は、正イオンとしてH(HO)m(mは任意の自然数)、負イオンとしてO(HO)n(nは任意の自然数)を発生するように構成されており、両方のイオンが空気中に送出される場合には、空気中に浮遊する浮遊菌や臭い物質等に付着してその表面で化学反応を起こして、発生した水酸基ラジカル・OHや過酸化水素 Hによって細菌は殺菌され、臭いは分解される。
【0039】
しかし、使用するイオン発生装置は何も正負イオンを発生するものに限られない。負イオンのみを発生するイオン発生装置であっても使用することは可能である。また、水膜に負の高圧電気を放電して負電荷の微細水滴を発生させる静電霧化装置であっても良い。この場合には若干の殺菌効果と精神的なリラックス効果があるとされている。
【0040】
次に、本発明による空気調和機1を、布団乾燥機として使用する場合を、図6を参照に説明する。図6は、フレキシブルダクト10を空気調和機1の背面にある背面吹き出し用穴3cから引き出して吹出口5が袋体20に接続しやすいようにした状態である。
【0041】
また、図7は、本発明による布団乾燥を行うための袋体20の一例を示す斜視図である。この袋体20は、図6に示す状態のフレキシブルダクト10の吹出口5が接続され、該袋体20に乾燥空気を送出させた動作状態を説明するもので、その時の袋体20の状態を示している。
【0042】
また、図7は袋体20を下面から見た図である。本発明の袋体20には上下方向が有り、上方向とは掛布団を乗せる側であり、下方向とは敷布団に接する側である。袋体20は通気性を有する布材で形成された袋であり、空気調和機1から給気される風で膨張することで布団を持ち上げ、空気の通りを良くするとともに布材の繊維間の隙間から乾燥空気を送出する構造である。
【0043】
袋体20には給気口20a、20g、口の字形状で環状の通風路となる空気流通路20b、空気流通路20bの形状を維持する空気流通路20bの内周側に設けられている仕切り布20c、空気流通路20bの周囲に張り出した布である端布20d、乾燥用の空気やイオンを吹き出すための吹出口20e、20h、20j、乾燥用の空気やイオンの流通を良好にするために仕切り布に形成される連通穴20fが設けられる。給気口20aは袋体20の長手方向の一端側中央に設けられており、給気口20gは袋体20の長手方向の側方中央に設けられている。また、端布20dは、空気流通路20bの長手方向の外周部に設けられているが、外周部全体に設けるようにしてもよい。
【0044】
給気口20aまたは20gは、面ファスナー(商標名:マジックテープ)が貼り付けされており、吹出口5を接続すると共に、使用しないときには閉じることが出来るように開閉自在に構成されている。給気口20a、20gは常に一方が使用され他方は閉じられる。給気口20a、20gは空気調和機1の吹出口5に接続されるので吹出口5よりも直径が大きい穴状または筒状に形成される。
【0045】
上記給気口20aに近い空気流通路20bには開閉自在のイオン吹出口20eが設けられている。また、同様に給気口20gに近い空気流通路20bには開閉自在のイオン吹出口20hが設けられている。吹出口20e、20hを開閉自在にするために開口部分には線ファスナー(所謂ジッパー)が設けられ、給気口20aを使用する時には吹出口20eを、給気口20gを使用する時には吹出口20hを開放して乾燥用空気やイオンを、より効率よく送出する。ただし、吹出口20jは、常に開口しており調節は出来ない。吹出口20e、20hを開閉自在に構成するためには、手段は線ファスナーに限られない。面ファスナーであっても良いし、ボタンやひも等で止めても良い。多少の空気漏れがあっても機能的に問題はない。
【0046】
また仕切り布20cは、袋体20が給気によって膨らんだ時に、袋体20が口の字に囲むことによって掛布団と敷布団との間に形成される空間を上下方向に2分割して仕切ると共に、袋体20の形状を支える働きをする。仕切り布20cの長手方向のほぼ中心線上には、連通穴20fが3か所設けられる。これは、吹出口20e、20h、20jが空気流通路20bの下半分に位置しており、膨らんだ袋体20によって形成される下側の空間20k(図8参照)にまず乾燥用空気およびイオンが満たされて、その後に連通穴20fを通過して上側の空間20Lに拡散するようにするためである。
【0047】
以上のように構成された本発明の空気調和機1の動作について図3を参照して説明をする。本発明の空気調和機1を空気調和機として使用する場合には、操作部4aにある後で図10を参照して説明するイオン送風スイッチ43を押してイオン発生運転を選択する。イオン送風運転は、イオン発生装置11と送風機8を運転して吹出口5から正負イオンを送出する。
【0048】
また図3に示すようにフレキシブルダクト10は、縮めた状態で直線状に空気調和機1に収納されて、吹出口5は天板4に備えた状態にして設置される。このフレキシブルダクト10は、前述のように縮めて直線状の形状で使用されるので、送風機8の負荷が最小の状態で使用できる。また、正負イオンを室内に送出することで、室内の浮遊菌の殺菌や臭いの除去を行う空気調和機として使用することが出来る。このイオン送風運転は、加熱装置9を併用して行うこともできる。イオン送風運転は切り忘れ防止機能が搭載されており、使用者が運転を停止することを忘れた場合でも24時間後には自動停止するようになっている。
【0049】
次に本発明の空気調和機1を布団乾燥機として使用する場合について、図6及び図7を参照して説明をする。本発明の空気調和機1を布団乾燥機として使用するには、まず空気調和機1の背面にある収納部12から袋体20を取り出す必要がある。まず、空気調和機1の背面の蓋3bを開いて、折りたたんで収納されている袋体20を取り出す。同時に吹出口5を天板4から外して、背面吹き出し用穴3cを介して引き出して蓋3bを元のように閉じる。
【0050】
このとき、天板4から外した吹出口5を持ってフレキシブルダクト10を引き延ばして袋体20と接続出来るように長さを調節する。例えば給気口20aを使用するときには、吹出口5を給気口20aに差し込んで面テープで外れないように締め付ける。また、給気口20aに対応する吹出口20eの線ファスナーを開いて乾燥用空気やイオンが良好に送出されるようにし、袋体20を敷布団31の上に図7に示すように長さ方向を合わせるように敷く。その上から掛布団30を被せて準備が完了する。この時には、給気口20gと吹出口20hは閉じた状態にしておく。
【0051】
次に空気調和機1の操作部4aの運転スイッチを操作して運転を開始する。布団乾燥運転は操作部4aに設けられた図10に示す布団乾燥スイッチ41を操作すると開始され、送風機8と加熱装置9に通電されて、約50℃の温風がフレキシブルダクト10を通じて送出される。送出された温風は袋体20の空気流通路20b内に充満して膨らませると共に掛布団30を持ち上げる。給気口20aから流入した空気は吹出口20eと吹出口20jを介して、送出される。
【0052】
図7及び図8に見るように空気流通路20bが膨張した状態では、吹出口20e、20h、20jは膨張した空気流通路20bの下側に設けられているため、送出された乾燥用空気及びイオン送風スイッチ43を合わせて操作することでイオン発生装置11が動作し発生イオンは仕切り布20cと敷布団31との間の空間20kに送られる。空間20kが乾燥用空気及びイオンで満たされると3つの連通穴20fを通じて空間20Lにも移動し、やがて空間20Lも乾燥用空気及びイオンで満たされる。空気流通路20bが膨張する時に長さ方向および横方向に縮むので、位置がずれないように袋体20の周辺部に設けた端布20dが掛布団30と敷布団31との間で姿勢を規制するように働く。
【0053】
本発明の袋体20を使用すると、従来の布団乾燥機とは異なり乾燥用の空気が直接布団に吹き付けられることがない。従来では、袋体を形成する布材の繊維間の隙間を通過した乾燥用空気が直接布団表面の布材に至り、対向する布団表面の布材を通過して内部の綿に供給され、綿の空隙を通過して再び布団の外へと気流が流れ出るということで布団乾燥が達成されていた。
【0054】
これに対して本発明では、乾燥用空気は袋体20と布団30、31との間に形成される空間に供給され、この空気が布団表面の布材を通過して綿に供給される。つまり、袋体20と布団との間に形成される空間に面した部分に同時に、均等に乾燥用空気又はイオンが浸透して行くのである。パスカルの定理によって、袋体20と布団との間に形成される空間の内部はどの部分であっても同じ圧力が掛かっているので、広い面積に乾燥用空気が浸透することとなり乾燥の効率が大きく向上した。このため、短時間で乾燥を実現しており、乾燥に伴って室内温度が不要に上昇することを防止する。また同時に省エネルギーを実現する。
【0055】
また、本実施形態では温風と高濃度イオンを閉じ込めるために袋体20の空気流通路20bが形成する内側の空間を上下に仕切る仕切り布20cを設けているが、無くても構わない。その場合には、空気流通路の形状を維持するための接続部材を空気流通路内側に設けることが好ましい。その例を図11に示す。
【0056】
図11に示すように、空気流通路20bが、給気されることで口の字形状が維持させるように長手方向の空気流通路20bに連結布20mを複数分割して設ける。この連結布20mは、その布の幅、個数等は任意に設定すればよい。
【0057】
また、空気流通路20bの形状は必ずしも本発明のように環状に連通していることを要しない。例えば、環状の空気流通路の一部が切断された形状、すなわちC字形あるいは馬蹄形であってもよく、さらに、形状としては連続して形成されているものの、空気流通路内部に仕切りを設けて空気の流通が自由に出来ないようにしたものであってもよい。
【0058】
以上説明したように本発明の空気調和機1は、布団乾燥機としても利用することができる。また空気調和機1は、布団乾燥機とは別にイオン発生機としても利用することができる。そのための制御回路構成について、図10を参照して説明する。
【0059】
図10は、先に説明したように空気調和機1の操作部4aに設けられた各種操作スイッチの操作入力信号を受け、送風機8、加熱装置9、イオン発生装置11等を適宜制御する制御装置50による制御回路構成である。
【0060】
図において、操作部4aにはたとえば先に説明した布団可能機として利用する布団乾燥スイッチ41、布団乾燥機とは別に衣類乾燥を行う衣類乾燥スイッチ42、布団乾燥機、衣類乾燥機、またイオン発生機として利用する際に、操作するイオン送風スイッチ43、また温風を送風するかしないかを選択する温風入切スイッチ44等が備えられている。示されたスイッチ以外にも入力操作等を行う各種スイッチが設けられている。
【0061】
また、操作部4aを介して選択操作される信号に応じて、制御装置50は、送風機8、加熱装置9、イオン発生装置11等を適宜駆動制御する。また、制御装置50は、本体装置1がどのような機能、状態で動作しているかを表示(LED表示または液晶表示)、またユーザへのメッセージやイオン発生状況等、各種状態等を表示する表示手段51も合わせて制御する。この表示手段51は、本体装置1の筺体の前カバー2の表示部4bを含み、操作部4aによる操作状態、装置1の動作状態等を表示する表示部を備える。
【0062】
以上のように制御装置50は、布団乾燥スイッチ41が操作されると、送風機8、加熱装置9等を動作させ、温風を先に説明し袋体20へと送風する。この時、殺菌等を目的としてイオン送風を行わせる場合には、イオン送風スイッチ43も操作される。なお、布団乾燥機として利用する場合、自動的にイオン発生装置11を動作させるように制御することもできる。また、布団乾燥機として動作している状態で、過熱防止装置13が過熱状態を検知することで、制御装置50は加熱装置9を制御し、たとえばヒータ9cをOFF(切る)にする。
【0063】
また、制御装置50は、内部に時計機能を備え、布団乾燥運転を実行しているときに、自動的に所定時間が経過することで送風機8、加熱装置9、またイオン発生装置11を制御し、運転を停止する。この所定時間は、操作部4aに備えられている図示しない操作スイッチを操作することでユーザが任意に設定することもでき、またあらかじめ決められた時間が設定され、時計機能に基づき運転を制御する。
【0064】
操作部4aの衣類乾燥スイッチ42が操作されると、区切られた空間(乾燥のための衣類を収容した空間領域)に吹出口5より温風を送付するように送風機8、加熱装置9等を制御する。衣類乾燥運転を行う場合、布団乾燥運転と同様、またそれとは異なり送風機による送風量、加熱装置のヒータ9cへの電力制御が異なるように制御される。つまり、衣類乾燥に適した状態で制御が実行される。このとき、時計機能により制御装置50は、所定時間後に、布団可能運転と同様に運転を停止する。
【0065】
さらに、空気調和機1をイオン送風機として利用する場合、空気調和機1は図1に示す状態で動作する。これにより制御装置50は送風機8及びイオン発生装置11を制御し、イオンを吹出口5より送風する。このとき、部屋を同時に暖房する場合に、温風選択スイッチ44が操作されており、温風入の状態にすることで加熱装置9も同時に動作する。この場合、安全面の観点から、本体装置1の停止操作を忘れるような場合、たとえば24時間経過すれば、自動的に制御装置50は運転停止を停止させる。これは時計機能に応答して実行する。以上のように、制御装置50は、各種機能での運転を実行している状態を、表示部4bを含む表示手段51を介して表示させる。
【0066】
本発明の空気調和機1において、布団乾燥運転は運転開始から所定の時間が経過すると自動的に運転が停止するように構成されている。所定の運転時間は夏と冬で異なり、夏は90分、冬は60分に設定されている。なお、設定の時間は仕向地や地域などの条件で変更しても良く、操作部から使用者が変更できるようにしても良い。また乾燥用空気は通常加熱装置が作動しているので温風となって供給されるが、加熱装置を停止して常温の空気を使用することが可能である。通常の布団乾燥運転の後に、常温の空気を送風して布団の温度を下げることにより、夏季の就寝を快適にすることが出来る。
【0067】
布団乾燥運転中にイオン発生装置11を運転して発生したイオンを乾燥用空気と共に送出させることが出来る。操作部4aには布団乾燥スイッチと並んでイオン送風スイッチが設けられており、イオン発生装置11を同時に運転させることが出来る。本発明に使用するイオン発生装置11は正イオンH(HO)mとO(HO)nを発生するもので、温風と共に給気口20eおよび20jまたは給気口20hおよび20jから送出され、敷布団31と仕切り布20cとの間の空間に高濃度で供給される。この時に正負イオンが敷布団31の表面や浮遊菌に付着して細菌を殺菌するとともに臭い物質を分解脱臭する。
【0068】
本発明の空気調和機1には大きく2つの機能が有り、乾燥機能が主たる機能となる乾燥運転とイオン発生機能が主たる機能となるイオン送風運転が設けられている。乾燥運転には布団乾燥と衣類乾燥の区別が有り、布団乾燥運転では上述の袋体20を使用して布団乾燥に供用される。
【0069】
また、衣類乾燥用付属品は布製の有天井筒状で簡易衣装ケースのように形成されており、フレキシブルダクト10を引き延ばして吹出口5を衣類乾燥用付属品(不図示)に接続すれば、空気調和機1を運転することで衣類をハンガーに掛けた状態で衣類乾燥を行うことが可能である。衣類乾燥の場合は約120分間の運転後、自動的に運転が停止する。いずれの場合にも、イオン発生運転を併用することも併用しないことも選択が可能である。布団乾燥運転と衣類乾燥運転は択一的に選択可能に構成されており、どちらか一方の運転が使用者によって選択される。
【0070】
本発明は、図3に示すように、フレキシブルダクトは、固定部から吹出口5に向けて直線形状に空気調和機1内に収容されている。そのため、送風時の空気抵抗を小さくできる。このフレキシブルダクト10は、空気調和機1の一側壁面に沿うように上方に向けて配置されている。このフレキシブルダクト10の側面側には、送風機8の上方に大きな空間部が生じる。この空間部は、本発明においては布団乾燥機として利用する場合の布団乾燥用の袋体20を収容する収納部12として利用している。
【0071】
そのため、布団乾燥用の袋体20を収容部12に収容することで、空気調和機1は布団乾燥機でなく、イオン発生機、や暖房機、空気清浄機等として居室に設置しても全く違和感なく設置できる。この場合、フレキシブルダクト10を上方向へと配置、収容することで、空気調和機1が縦長の形状になっても、送風機8を空気調和機1の底面部分に配置し、その上部に空間部を設けることで、転倒等を防止できる。つまり、設置場所が規制されるようなことなく、安定した状態で任意の位置に設置できる。
(まとめ)
本発明の空気調和機は外観部材に空気調和機のものを使用することによって、空気調和機として居間などに設置使用することが可能になる。また、送風経路に使用するフレキシブルダクトを直線状に縮めて使用することで送風機の負荷を減らし、風量を多くすることができる。
【0072】
布団乾燥は袋体の形状を工夫することで布団の広い領域を効率よく乾燥することが出来る。このため、短時間で乾燥を実現しており、乾燥に伴って室内温度が不要に上昇することを防止する。また同時に省エネルギーを実現する。
【産業上の利用可能性】
【0073】
加熱装置搭載空気調和機を布団乾燥機として使用できる。そのため、同じような構成の電気機器を重複して購買する必要がなくなり、生活が合理化できる。
【符号の説明】
【0074】
1:空気調和機、2:前カバー、3、3a:後ろカバー、3b:蓋、3c背面吹き出し穴、
4:天板、5:吹出口(空気調和機)、8:送風機、9:加熱装置、10:フレキシブルダクト、11:イオン発生装置、12:部品収納部、20:袋体、20a、20g:給気口、20b:袋本体、20c:仕切り布、20d:端布、20e、20h、20j:吹出口(袋体)、20f:連通穴、20k、20L:空間、30:掛布団、31:敷布団

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機と前記送風機が吹き出す空気を機外へ送出する吹出口と前記送風機が吹き出す空気を前記吹出口へ導く送風経路を備える空気調和機であって、
前記送風経路はフレキシブルダクトで形成されることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記フレキシブルダクトを縮めて直線状で使用する形態と、前記フレキシブルダクトを引き伸ばして曲線状で使用する形態の双方の使用形態が可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記フレキシブルダクトを縮めて直線状で使用する形態とは、前記空気調和機を空気調和機として使用する場合であり、
前記フレキシブルダクトを引き伸ばして曲線状で使用する形態とは、前記空気調和機を乾燥機として使用する場合であることを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
空気中で放電してイオンを発生するイオン発生装置をさらに備え、
前記イオン発生装置は前記フレキシブルダクトの風上に設置されていることを特徴とする請求項1から3に記載の空気調和機。
【請求項5】
空気を加熱する加熱装置をさらに備え、
前記加熱装置は前記イオン発生装置と並列にフレキシブルダクトの風上に設置されていることを特徴とする請求項4に記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−78517(P2013−78517A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220900(P2011−220900)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)