空気調和装置のクーリングユニットおよび排水ケース
【目的】 冷媒流路管の下端側における凝縮水の滞留を防止することにより冷媒流路管の下端部の局所的な腐食を防止することを可能にする。
【構成】 ユニットケースの底壁と積層型冷媒蒸発器の冷媒流路管15の下端との間に排水ケース4を挟み込んでいる。排水ケース4は、断面形状がW形状とされ、冷媒流路管15の下端側に形成された2個のタンク部16、17の側方端に当接する2つの外側傾斜壁32、隣設する2個のタンク部16、17間の部位最下端に形成された凹み部28に当接するへの字状の突条壁33、および排水孔36を形成した内側傾斜壁34等より構成されている。これにより、2個のタンク部16、17の側方端および2個のタンク部16、17間の部位より下端側へ流れ落ちた凝縮水は、2個のタンク部16、17の最下端へ到達する前に排水ケース4の2つの外側傾斜壁32と突条壁33に伝わり、効率良く排水される。
【構成】 ユニットケースの底壁と積層型冷媒蒸発器の冷媒流路管15の下端との間に排水ケース4を挟み込んでいる。排水ケース4は、断面形状がW形状とされ、冷媒流路管15の下端側に形成された2個のタンク部16、17の側方端に当接する2つの外側傾斜壁32、隣設する2個のタンク部16、17間の部位最下端に形成された凹み部28に当接するへの字状の突条壁33、および排水孔36を形成した内側傾斜壁34等より構成されている。これにより、2個のタンク部16、17の側方端および2個のタンク部16、17間の部位より下端側へ流れ落ちた凝縮水は、2個のタンク部16、17の最下端へ到達する前に排水ケース4の2つの外側傾斜壁32と突条壁33に伝わり、効率良く排水される。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばユニットケース内に収納される冷媒蒸発器表面に生じた凝縮水をコア部表面から効率的に排水することに好適な排水ケースを備えた空気調和装置のクーリングユニットに関するもので、とくにその空気調和装置のクーリングユニットに用いられる排水ケースにかかわる。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば図26および図27に示したように、室内に空気を送風するためのダクトを形成するユニットケース100の凹所101内に冷媒蒸発器102を収納した空気調和装置が知られている。そして、凹所101の底壁部には、冷媒蒸発器102の下方で開口し、冷媒蒸発器102の表面に付着した凝縮水をユニットケース100の外に排出するための排水口103が形成されている。
【0003】また、従来より、冷媒蒸発器102は、図2828に示したように、冷媒流路管104、およびこの冷媒流路管104の端部側に2個のタンク部105が一体形成された一対の成形プレート106を複数積層してなる。また、冷媒蒸発器102のコア部107は、隣設する冷媒流路管104間にそれぞれフィン108を介在して構成されている。
【0004】なお、冷媒蒸発器102の空気側伝熱面(凝縮水の付着面)は、フィン108の表面と冷媒流路管104の表面からなっており、図29に示したように、フィン108の表面に付着した凝縮水はフィン108に沿って冷媒流路管104側へと流れる。また、図30R>0に示したように、冷媒流路管104の表面には冷媒側の熱伝達率向上のための傾斜リブ109が内側に凸の状態(空気側伝熱面では凹部形状)で形成されており、この傾斜リブ109に沿って凝縮水はコア部107の下端側へと流れていく。以上のような排水原理により、フィン108の表面や冷媒流路管104の表面に付着した凝縮水はコア部107の下端側へと排水されている。なお、113はフィン108の座屈防止用のかえり部である。
【0005】ここで、一対の成形プレート106よりなる冷媒流路管104やフィン108の表面処理には、親水性処理と撥水性処理の2種類があり、従来より親水性処理が一般的になされている。その理由としては、未だ撥水性処理の処理液が冷媒蒸発器102の使用環境に耐えられるものがない。また、冷媒流路管104やフィン108の表面に撥水性処理を施した場合にフィン108や冷媒流路管104表面で水滴が生じてしまい、図31に示したように、ルーバ110が形成されたフィン108では水滴がルーバ110間ではじかれあって停滞してしまったり、フィン108表面から下方へ落ちないで、ユニットケース100の風下側へ水飛びが発生するからである。
【0006】それに対して、冷媒流路管104の表面やフィン108の表面に親水性処理を施した場合には、冷媒流路管104の表面やフィン108の表面に水膜が形成され、上述の排水原理を補助する役割を果たすことになる。これにより、コア部107の上端側では親水性処理の影響により0.1mm厚程度の水膜が形成されるが、極端な滞留は発生しなかった。また、図26に示したような2個のタンク部105を冷媒流路管104の上端側に形成した冷媒蒸発器102は、冷媒流路管104の下端部に凝縮水が滞留しても犠牲腐食フィン108の効果により、冷媒流路管の下端側の腐食はさほど問題はなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図27に示したような2個のタンク部105を冷媒流路管104の下端側に形成した冷媒蒸発器102は、凝縮水が滞留する冷媒流路管104の下端側にフィン108が設けられていないので、犠牲腐食フィン108の効果が期待できない。このため、凝縮水の滞留による冷媒流路管104の下端側の腐食の問題がクローズアップされている。
【0008】すなわち、図32および図33に示したように、従来の冷媒蒸発器102のコア部107の下端側やタンク部105の下端部においては、冷媒流路管104の表面やフィン108の表面に付着した凝縮水の排水性が悪く、凝縮水が滞留するという不具合があった。さらに、このような冷媒蒸発器102がユニットケース100に挿入された場合には、例えばユニットケース100と冷媒蒸発器102の下端部との間に介在するインシュレータ111の水含み等により冷媒蒸発器102の排水性がさらに悪化することになる。
【0009】この理由は、図34にも示したように、2個のタンク部105の下端部の風下側端部Aより流れてきた凝縮水はユニットケース100に沿って排水口103へ流れ易いが、2個のタンク部105の下端部の風上側端部Bより流れてきた凝縮水はタンク部105の下端部とインシュレータ111との間で水滴がブリッジして滞留してしまう(滞留部112)ためである。
【0010】また、2個のタンク部105間の下端部中央Cより流れてきた凝縮水は、2個のタンク部105の下端部の風上側端部B側に流れればブリッジした水滴と合体して保持され(滞留部112)、逆に2個のタンク部105の下端部の風下側端部A側に流れると、凝縮水が流れ落ちるガイドが存在せず、凝縮水が滞留してしまう(滞留部114)。
【0011】そして、滞留部112、114に滞留している水滴は、(表面処理による水保持力)+(構造的な水滴の落ち難さ)>(水滴にかかる重力)
となり、水滴として滞留部112、114に保持され、水滴の成長につれて下方へ落下する。
【0012】以上のように、2個のタンク部105が冷媒流路管104の下端側に形成された冷媒蒸発器102においては、凝縮水が滞留し易く、大気中の腐食要因成分(塩素やNOx等)が濃縮され易い冷媒流路管104の下端側に、局所的な腐食が発生する頻度が非常に高い傾向にあるという問題点があった。
【0013】本発明は、主に2個のタンク部が冷媒流路管の下端側に形成された冷媒蒸発器において、冷媒流路管の下端側における凝縮水の滞留を防止することにより冷媒流路管の下端側の局所的な腐食を防止することが可能な空気調和装置のクーリングユニットおよび排水ケースの提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、冷媒流路管の下端側に2個のタンク部が形成された冷媒流路管を複数積層し、隣設する冷媒流路間にフィンを介在してなる冷媒蒸発器と、この冷媒蒸発器の下方に配され、前記2個のタンク部の風上側端部に当接する風上側側方傾斜部、前記タンク部の風下側端部に当接する風下側側方傾斜部、前記2個のタンク部間の部位下端部に当接する突状部、および前記冷媒蒸発器にて発生した凝縮水を排水するための排出孔を有する排水ケースとを備えた技術手段を採用した。
【0015】なお、前記2個のタンク部の風上側の側方端および風下側の側方端に当接する2つの側壁部と、これらの側壁部より下方に傾斜し、前記風上側側方傾斜部および前記風下側側方傾斜部を形成する2つの外側傾斜壁と、前記2個のタンク部間の部位下端部に当接し、前記突状部を形成するへの字形状の突状壁と、前記2つの外側傾斜壁と前記突状壁とを連結する2つの内側傾斜壁とから前記排水ケースを構成しても良い。また、前記排出孔を、前記内側傾斜壁に穿設しても良い。
【0016】そして、前記2個のタンク部の風上側の側方端および風下側の側方端に当接する2つの側壁部と、これらの側壁部より下方に傾斜し、前記風上側側方傾斜部および前記風下側側方傾斜部を形成する2つの傾斜壁と、これらの傾斜壁の連結部分より上方に延ばされ、前記2個のタンク部間の部位下端部に当接し、前記突状部を形成する柱状壁とから構成しても良い。
【0017】前記2個のタンク部の風上側の側方端および風下側の側方端に当接する2つの側壁部と、これらの側壁部より下方に傾斜し、前記風上側側方傾斜部および前記風下側側方傾斜部を形成する2つの傾斜壁と、これらの傾斜壁の最下端同士を連結し、前記2個のタンク部の下端部から所定の距離だけ離れた底壁部と、この底壁部の中央から上方に延ばされ、前記2個のタンク部間の部位下端部に当接し、前記突状部を形成する柱状壁とから構成しても良い。また、前記排出孔を、前記底壁部に穿設しても良い。
【0018】そして、前記冷媒蒸発器の前記成形プレートおよび前記フィンに、親水性処理を施しても良い。また、隣設する成形プレート間に介在しているフィンの介在範囲の最下端が、前記排水ケースの上端よりも下方に設けられていても良い。さらに、前記排水ケースを、前記冷媒蒸発器の下端とユニットケースの底壁との間に挟み込み、前記ユニットケースに、前記排水ケースの位置決めを行う係合部を設けても良い。
【0019】請求項10に記載の発明は、表面に親水性処理が施された冷媒流路管の下端側に、他部より外方に膨らんだタンク部を形成した冷媒蒸発器と、この冷媒蒸発器より下方に凝縮水を排水する排水口を有するユニットケースとを備え、前記冷媒蒸発器あるいは前記ユニットケースのうちいずれか一方は、前記タンク部の最下端または前記タンク部の側方端から前記排水口へ凝縮水を誘導する誘導手段を有する技術手段を採用した。
【0020】請求項11に記載の発明は、前記冷媒流路管の下端側に2個のタンク部を形成した一対の成形プレートを複数積層してなる冷媒蒸発器の下方に配され、前記冷媒蒸発器にて発生した凝縮水を排出するための排出ケースであって、前記2個のタンク部の風上側端部に当接する風上側側方傾斜部と、前記2個のタンク部の風下側端部に当接する風下側側方傾斜部と、前記2個のタンク部間の部位下端部に当接する突状部と、前記冷媒蒸発器にて発生した凝縮水を排水するための排出孔とを有する技術手段を採用した。
【0021】
【作用】請求項1に記載の発明および請求項11に記載の発明によれば、冷媒流路管の下端側に2個のタンク部を形成した冷媒蒸発器の表面に発生した凝縮水が、重力により下降していき、2個のタンク部の風上側端部、2個のタンク部の風下側端部および2個のタンク部間の部位下端部に到達する。そして、2個のタンク部の風上側端部に到達した凝縮水は、風上側側方傾斜部に沿って排水ケース内に流れ込んだ後に排出孔より排水される。また、2個のタンク部の風下側端部に到達した凝縮水は、風下側側方傾斜部に沿って排水ケース内に流れ込んだ後に排出孔より排水される。さらに、2個のタンク部間の部位下端部に到達した凝縮水は、突状部に沿って排水ケース内に流れ込んだ後に排出孔より排水される。これにより、2個のタンク部の最下端に凝縮水が滞留しなくなるので、冷媒流路管の下端側の局所的な腐食が防げる。
【0022】請求項10に記載の発明によれば、表面に親水性処理が施された冷媒流路管の下端側にタンク部を形成した冷媒蒸発器の表面に発生した凝縮水が、重力により下降していく。そして、タンク部の最下端または側方端より誘導手段へ流れ込み、ユニットケースの排水口へ排水される。これにより、タンク部の最下端に凝縮水が滞留しなくなるので、冷媒流路管の下端側の局所的な腐食が防げる。
【0023】
【実施例】次に、本発明の空気調和装置のクーリングユニットを図1ないし図26に示す複数の実施例に基づいて説明する。
【0024】〔第1実施例の構成〕図1ないし図4は本発明の第1実施例の構造を示したもので、図1は自動車用空気調和装置のクーリングユニットを示した図である。この自動車用空気調和装置のクーリングユニット1は、車室内に空気を送るための送風ダクトを構成するユニットケース2、このユニットケース2内を流れる空気を冷却する積層型冷媒蒸発器3、およびユニットケース2と積層型冷媒蒸発器3との間に挿入された排水ケース4を備えている。
【0025】ユニットケース2は、例えばPP(ポリプロピレン)樹脂製の筒状体であって、上部に上方に凹んだ天井壁5、およびこの天井壁5に対向する下部に下方に凹んだ底壁6を有している。また、底壁6は水平方向に対して下方に傾斜しており、最も下方に位置する部位に凝縮水をユニットケース2の内部より外部へ排水するための排水口7を形成している。
【0026】図2は積層型冷媒蒸発器3を示した図で、図3は積層型冷媒蒸発器3と排水ケース4を示した図である。この積層型冷媒蒸発器3は、膨張弁(図示せず)の下流側との接続および冷媒圧縮機(図示せず)の吸入側との接続を行うジョイントブロック8と、冷媒間で熱交換を行う冷媒冷媒熱交換部9と、冷媒と空気とを熱交換させる冷媒空気熱交換部10と、冷媒冷媒熱交換部9と冷媒空気熱交換部10との間に設けられた減圧部(図示せず)とからなる。
【0027】ジョイントブロック8は、膨張弁より流出した気液二相冷媒を内部に流入させる流入口11、および熱交換後の冷媒を冷媒圧縮機側へ流出させる流出口12を設けている。
【0028】冷媒冷媒熱交換部9は、一対の薄い板状の成形プレートをろう付け等の手段により形成された冷媒流路管13を複数積層してなる。なお、一対の成形プレートの表面には、プレコート材(C513)、親水性高分子または親水性多孔材等を被着させて親水性処理が施されている。
【0029】冷媒冷媒熱交換部9の内部には、流入口11より冷媒空気熱交換部10へ冷媒を送る入口側冷媒流路(図示せず)と冷媒空気熱交換部10より流出口12へ冷媒を送る出口側冷媒流路(図示せず)とが蛇行するように形成されている。なお、入口側冷媒流路と出口側冷媒流路とは、入口側冷媒流路内を流れる冷媒と出口側冷媒流路内を流れる冷媒との間で熱交換が行えるように所定距離に渡って近接して配されている。
【0030】冷媒空気熱交換部10は、空気との熱交換効率を向上させるためのコルゲートフィン14と一対の薄い板状の成形プレートをろう付け等の手段により形成された冷媒流路管15を複数積層してなる。なお、コルゲートフィン14と一対の成形プレートの表面には、プレコート材(C513)、親水性高分子または親水性多孔材等を被着させて親水性処理が施されている。
【0031】冷媒流路管15を構成する成形プレートは、図4に一部示したように、薄い板状のアルミニウム合金をプレス加工することによって形成されている。冷媒流路管15の下端側の風上側にはタンク部16が形成され、冷媒流路管15の下端側の風下側にはタンク部17が形成されている。このように冷媒流路管15の下端側に形成された2個のタンク部16、17は、これらよりも上方に形成された略U字状の冷媒蒸発流路18を介して連通しており、隣設する冷媒流路管15の下端側にろう付け等の手段により接合されるように略碗状に積層方向に膨出している。また、2個のタンク部16、17には、隣設する冷媒流路管15と連通させるための略楕円形状の連通穴19、20がそれぞれ形成されている。
【0032】複数の冷媒流路管15の冷媒蒸発流路18は、複数のコルゲートフィン14と共に積層型冷媒蒸発器3のコア部21を構成するものである。なお、冷媒蒸発流路18には、冷媒が幅方向全体に広く行き渡るようにするための多数の傾斜リブ22が内側に突出するように形成されている。また、冷媒流路管15の中央部および外周縁には、一対の成形プレート同士をろう付け等の手段により接合するための接合壁23、24が内側に突出するように形成されている。そして、一対の成形プレートの一方側の成形プレートの最上端からは、コルゲートフィン14の座屈防止用のかえり部25が複数の冷媒流路管15の積層方向に延長されている。
【0033】排水ケース4は、本発明の誘導手段であって、図3および図4に示したように、例えばPP(ポリプロピレン)樹脂製で断面形状がW形状に形成されており、ユニットケース2の底壁6と積層型冷媒蒸発器3の下端との間に挟み込まれている。この排水ケース4は、冷媒流路管15(13)の中央部最下端、2個のタンク部16、17の側方端(積層型冷媒蒸発器3の風上側端および風下側端)からユニットケース2の排水口7へ積層型冷媒蒸発器3表面に生じた凝縮水を誘導するものである。
【0034】この排水ケース4は、2つの側壁部31、2つの外側傾斜壁32、への字状の突条壁33、2つの内側傾斜壁34、およびこれらの幅方向端部を塞ぐ閉塞壁35等よりなる。2つの側壁部31は、断面形状が円弧状を呈し、冷媒流路管15(13)の下端側に形成された2個のタンク部16、17の側方端を塞いで、積層型冷媒蒸発器3の下端側の風洩れを防止する洩れ防止手段である。また、2つの側壁部31の内側面は2個のタンク部16、17の側方端に当接し、その外側面はユニットケース2の底壁6の内側面に当接している。
【0035】2つの外側傾斜壁32のうちの風上側の外側傾斜壁32は、本発明の風上側側方傾斜部であって、風下側の傾斜壁32は、本発明の風下側側方傾斜部である。また、2つの外側傾斜壁32は、2つの側壁部31の下端部より下方へ傾斜しており、最下端がユニットケース2の底壁6の底面に当接している。突条壁33は、本発明の突状部であって、冷媒流路管15(13)の中央部最下端に形成された方形状の凹み部28に当接する。なお、凹み部28は、隣設する2個のタンク部16、17間の部位最下端に形成されている。2つの内側傾斜壁34は、外側傾斜壁32と突条壁33とを連結する部分で、ユニットケース2の底壁6上へ凝縮水を排水するための排水孔36をそれぞれ形成している。なお、排水孔36は、本発明の排出孔であって、排水ケース4の最下端で開口するように傾斜して形成されている。
【0036】〔第1実施例の作用〕次に、この実施例の作用を図1ないし図6に基づいて説明する。ここで、図4R>4は積層型冷媒蒸発器3の下端に排水ケース4を接触させた技術(第1実施例)の排水原理を示した図で、図5は積層型冷媒蒸発器3の下端に排水ケース4を配しない技術(第1比較例)の排水原理を示した図で、図6は従来のユニットケース100を積層型冷媒蒸発器3の下方に用いた技術(第2比較例)の排水原理を示した図である。
【0037】コルゲートフィン14や冷媒流路管15の表面に親水性処理を施した積層型冷媒蒸発器3は、ユニットケース2内を流れる空気と冷媒流路管15内を流れる冷媒とが熱交換することによって空気を冷却する。そして、空気が、積層型冷媒蒸発器3により露点温度以下に冷却されると、空気中に含まれる水分が凝縮してコルゲートフィン14や冷媒流路管15の表面に付着して、これらの表面に0.1mm程度の水膜を形成していく。
【0038】そして、コルゲートフィン14表面に付着した凝縮水はコルゲートフィン14に沿って冷媒流路管15側へと流れていき、冷媒流路管15表面に付着した凝縮水は他部より凹んでいる傾斜リブ22や接合壁23、24に沿って下降していく。そして、冷媒流路管15の2個のタンク部16、17の側方端および2個のタンク部16、17間からタンク部16、17の下端側に流れ落ちた凝縮水は、第1比較例の場合には、図5に示したように、排水ケース4やガイドを有しないため、2個のタンク部16、17の下端(水平部分)A、Bに滞留してしまう。
【0039】また、第2比較例の場合には、図6に示したように、タンク部17の側方端より下端側に流れ落ちた凝縮水は、ユニットケース100の底壁に沿って流れ易いが、タンク部16の側方端より下端側に流れ落ちた凝縮水は、タンク部16とインシュレータ111との間で水滴がブリッジしてタンク部16の下端(水平部分)Aに滞留してしまう。そして、2個のタンク部16、17間からタンク部16、17の下端側に流れ落ちた凝縮水は、タンク部16の下端側に流れた場合はブリッジした水滴と合体して保持されるため滞留し、タンク部17の下端側に流れた場合はガイドを有しないため、タンク部16の下端(水平部分)Bで滞留してしまう。
【0040】これらに対して、第1実施例のように複数の冷媒流路管15の下端にW形状の排水ケース4を当接した場合には、図4に示したように、タンク部16の側方端およびタンク部17の側方端より下端側に流れ落ちた凝縮水は、タンク部16、17の下端へ達する前に排水ケース4の側壁部31へ伝わり、この側壁部31から外側傾斜壁32→排水孔36→底壁6を通って排水口7へ導かれ効率良く排水される。
【0041】また、2個のタンク部16、17間からタンク部16、17の下端側に流れ落ちた凝縮水は、タンク部16、17の下端へ達する前に排水ケース4の突条壁33へ伝わり、この突条壁33から内側傾斜壁34→排水孔36→底壁6を通って排水口7へ導かれ効率良く排水される。
【0042】〔第1実施例の効果〕ここで、図7および図8は第1比較例と第1実施例の上下方向の各部位における(水保持量)/(表面積)を実験により調査した実験データである。この図7からも確認できるように、第1比較例はタンク部16、17の下端A、Bにおいて、局所的な凝縮水の滞留が発生していることが分かる。それに対して、この第1実施例は、図8からも確認できるように、局所的な凝縮水の滞留が抑えられるので、大気中の腐食要因成分(塩素やNOx等)を要因とする冷媒流路管15(13)の下端側の局所的な腐食の発生を抑制することができる。
【0043】〔第2実施例の構成〕図9ないし図10は本発明の第2実施例の構造を示したもので、積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した図である。
【0044】この実施例の積層型冷媒蒸発器3の冷媒流路管15を構成する成形プレートの下端側に形成された2個のタンク部16、17には、隣設する冷媒流路管15と連通させるための円形状の連通穴19、20がそれぞれ形成されている。また、隣設する冷媒流路管15間に介在するコルゲートフィン14は、図10にて一点鎖線で示したように、2個のタンク部16、17の上端部より上方側にろう付け等の手段により接合されている。
【0045】この実施例の排水ケース4は、スチレンペーパーやピーライト等の材料製のインシュレータ73を介してユニットケース2の底壁6と積層型冷媒蒸発器3の下端との間に挟み込まれている。
【0046】この排水ケース4は、平行に配された2つの立壁部74、これらの立壁部74より下方へ傾斜した2つの円弧状壁75、冷媒流路管15(13)の中央部最下端に形成された溝状部29に当接する比較的に長い寸法の突条壁76、円弧状壁75と突条壁76とを連結する2列の底壁77、およびこれらの幅方向端部を塞ぐ閉塞壁78等よりなる。
【0047】なお、2つの立壁部74は、その外側面はユニットケース2の底壁6の内側面に当接している。また、2つの円弧状壁75は、冷媒流路管15(13)の下端側に形成された2個のタンク部16、17の側方端を塞いでいる。そして、2つの円弧状壁75の裏面には、インシュレータ73を傷付けないように断面形状が半円形状のエッジ部80が2列で形成されており、2列のエッジ部80はユニットケース2の底壁6に形成された位置決め用溝部79に嵌め合わされる。
【0048】これらのエッジ部80は、積層型冷媒蒸発器3および排水ケース4のユニットケース2への位置決めを行うためのものであり、積層型冷媒蒸発器3の下端側の風洩れを防止するものである。また、積層型冷媒蒸発器3の下端と底壁77との間には、凝縮水を排水するための排水流路81が形成されている。そして、2列の底壁77には、ユニットケース2の底壁6上へ凝縮水を排水するための複数の排水孔82がそれぞれ長手方向に列設されている。
【0049】〔第2実施例の作用〕次に、この実施例の作用を図9および図10に基づいて説明する。積層型冷媒蒸発器3の冷媒流路管15(13)の表面およびコルゲートフィン14の表面に付着した凝縮水は、傾斜リブ22を通り、接合壁23、24に集まり、下方へと流れていく。そして、タンク部16の側方端およびタンク部17の側方端より下端側に流れ落ちた凝縮水は、タンク部16、17の下端へ達する前に排水ケース4の円弧状壁75へ伝わり、この円弧状壁75から底壁77→排水孔82→底壁6(インシュレータ73)を通って排水口7へ導かれ効率良く排水される。
【0050】また、2個のタンク部16、17間からタンク部16、17の下端側に流れ落ちた凝縮水は、タンク部16、17の下端へ達する前に排水ケース4の突条壁76へ伝わり、この突条壁76から底壁77→排水孔82→底壁6(インシュレータ73)を通って排水口7へ導かれ効率良く排水される。
【0051】〔第2実施例の効果〕ここで、第1実施例の排水ケース4の形状では、図11に示したように、積層型冷媒蒸発器3の下方に排水流路83を設ける必要があり、クーリングユニット1の搭載上、大型化してしまう可能性があると共に、排水ケース4とユニットケース2の底壁6との間のインシュレータ73を鋭角に尖ったエッジ部84で傷を付けたり、破ってしまったりする可能性があった。
【0052】これに対して、この実施例では、エッジ部80の断面形状が半円形状(鈍角)に形成することによりインシュレータ73が傷付いたり、破れたりするなどの不具合を解消することができる。
【0053】また、隣設する冷媒流路管15間に介在するコルゲートフィン14の介在範囲の下端が、排水ケース4の2つの立壁部74の上端面およびユニットケース2の下壁2aの端面よりも下方に位置している。これにより、ユニットケース2内を流れる空気が比較的に積層型冷媒蒸発器3の上方側に導かれて、積層型冷媒蒸発器3の下端と排水ケース4との隙間を通過して冷媒と熱交換しないで洩れる空気がほとんどなくなる。
【0054】〔第3実施例〕図12は本発明の第3実施例の構造を示したもので、積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した図である。
【0055】この実施例の排水ケース4は、冷媒流路管15の2個のタンク部16、17の側方端を塞ぐ側壁部51、2つの側壁部51より下方へ傾斜した2つの傾斜壁52、これらの傾斜壁52の連結部分より上方に延ばされ、冷媒流路管15の中央部最下端に形成された方形状の凹み部28に当接する柱状壁53等よりなる。
【0056】〔第4実施例〕図13ないし図15は本発明の第4実施例の構造を示したもので、図13および図1414は積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した図である。
【0057】この実施例では、排水ケース4の外側傾斜壁32と内側傾斜壁34に、積層型冷媒蒸発器3より落下した凝縮水を集水する溝部66、67が切削加工等により形成されている。溝部66、67は、図15に示したように、断面形状が方形形状に形成されている。
【0058】この実施例の場合には、冷媒圧縮機がオフまたはエアコンスイッチがオフの時、すなわち、排水ケース4上の水滴の成長がない時でも、排水ケース4上の水滴が溝部66、67に集められる。これにより、その水滴が成長して排水孔36、底壁6を通って排水口7へ導かれるので、第1実施例と比較してより効率良く排水される。
【0059】〔第5実施例〕図16は本発明の第5実施例の構造を示したもので、排水ケースを示した図である。
【0060】この実施例の排水ケース4の溝部66、67の周りには、なだらかな傾斜面68が形成されている。この実施例は、第5実施例と比較して、広い範囲の排水ケース4の外側傾斜壁32と内側傾斜壁34上の水滴を溝部66、67に集めることができる。
【0061】〔第6実施例〕図17は本発明の第6実施例の構造を示したもので、排水ケースを示した図である。この実施例では、排水ケース4の外側傾斜壁32と内側傾斜壁34に台形形状の溝部69と平面部70とを交互に形成している。
【0062】〔第7実施例〕図18は本発明の第7実施例の構造を示したもので、積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した図である。この実施例では、排水ケース4の外側傾斜壁32と内側傾斜壁34に、積層型冷媒蒸発器3の冷媒流路管13の鍔部71に沿うように断面形状が方形形状の溝部72を形成している。
【0063】〔第8実施例〕図19および図20は本発明の第8実施例の構造を示したもので、積層型冷媒蒸発器とユニットケースを示した図である。この実施例の排水ケース4は、平行に配された2つの立壁部74、これらの立壁部74より下方へ傾斜した2つの円弧状壁75、冷媒流路管15(13)の中央部最下端に形成された方形状の凹み部28に当接する比較的に短い寸法の突条壁76、円弧状壁75と突条壁76とを連結する2列の底壁77、およびこれらの幅方向端部を塞ぐ閉塞壁78等よりなる。
【0064】なお、この実施例では、第2実施例と同様にして、エッジ部80の断面形状が半円形状(鈍角)に形成することによりインシュレータ73が傷付いたり、破れたりするなどの不具合を解消することができる。
【0065】また、積層型冷媒蒸発器3からの凝縮水の排水効率を低下させることなく、積層型冷媒蒸発器3の下方に設けられる排水流路81のスペースを小さなものとすることにより排水ケース4の高さを低くしてクーリングユニット1全体の小型化を図ることができる。なお、排水流路81の高さは、表面処理剤にもよるが、親水性処理を施した積層型冷媒蒸発器3では3mm以上の隙間aを確保すれば積層型冷媒蒸発器3と排水ケース4との間で凝縮水は滞留しない。
【0066】〔第9実施例〕図21は本発明の第9実施例の構造を示したもので、積層型冷媒蒸発器とユニットケースを示した図である。この実施例の排水ケース4の2つの底壁85は円弧状の曲面をそれぞれ有している。
【0067】〔第10実施例〕図22は本発明の第10実施例の構造を示したもので、積層型冷媒蒸発器とユニットケースを示した図である。この実施例の排水ケース4の底壁86は2つの円弧状壁75を緩やかに繋ぐように円弧状の曲面を有している。
【0068】〔第11実施例〕図23および図24は本発明の第11実施例の構造を示したもので、積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した図である。
【0069】この実施例の排水ケース4は、積層型冷媒蒸発器3の冷媒流路管15の2個のタンク部16、17の側方端を塞ぐ側壁部41、2つの側壁部41より2個のタンク部16、17の最下端にそれぞれ当接する2つの当接壁部42、これらの当接壁部42の内側端部より下方に傾斜した2つの傾斜壁部43、これらの傾斜壁部43の最下端同士を連結し、冷媒流路管15の最下端より所定の距離だけ離れた底壁部44、およびこれらの幅方向端部を塞ぐ閉塞壁45等よりなる。傾斜壁部43および底壁部44には、ユニットケース2の底壁6上へ凝縮水を排水するための排水孔46が形成されている。
【0070】この実施例の場合には、図24に示したように、タンク部16の側方端およびタンク部17の側方端より下端側に流れ落ちた凝縮水は、タンク部16、17の下端より当接壁部42へ伝わり、この当接壁部42から傾斜壁部43→底壁部44→排水孔46を通って排水口7へ導かれ排水される。
【0071】また、2個のタンク部16、17間からタンク部16、17の下端側に流れ落ちた凝縮水は、タンク部16、17の下端へ達する前に排水ケース4の当接壁部42を伝わる側方端からの凝縮水と合体して傾斜壁部43側へ流れ落ちる。
【0072】〔第12実施例〕図25は本発明の第12実施例の構造を示したもので、積層型冷媒蒸発器とユニットケースを示した図である。
【0073】この実施例では、ユニットケース2の底壁6形状を変更して凝縮水が冷媒流路管15の下端に滞留しないようにしている。ユニットケース2の底壁6は、冷媒流路管15の2個のタンク部16、17の側方端を塞ぐ円弧状の側壁部61、2つの側壁部61より2個のタンク部16、17の最下端にそれぞれ当接する2つの当接壁部62、これらの当接壁部62の内側端部より下方に傾斜した2つの傾斜壁部63、およびこれらの傾斜壁部63の最下端同士を連結し、冷媒流路管15の最下端より所定の距離だけ離れた底壁部64等よりなる。
【0074】〔変形例〕本実施例では、本発明を冷媒流路管15の下端側に2個のタンク部16、17を形成した積層型冷媒蒸発器3に用いたが、本発明を冷媒流路管の下端側に3個以上のタンク部を形成した冷媒蒸発器に用いても良い。また、冷媒流路管の上端部にもタンク部を持つ冷媒蒸発器に本発明を用いても良い。
【0075】
【発明の効果】請求項1に記載の発明および請求項11に記載の発明は、冷媒流路管の下端側に2個のタンク部を形成した冷媒蒸発器の表面に生じた凝縮水を効率的に排水することにより、2個のタンク部の最下端に凝縮水が滞留しなくなるので、冷媒流路管の下端側の局所的な腐食を抑制することができる。
【0076】請求項10に記載の発明は、表面に親水性処理が施された冷媒流路管の下端側にタンク部を形成した冷媒蒸発器の表面に生じた凝縮水を効率的に排水することにより、他部より外方に膨らんだタンク部の最下端に凝縮水が滞留しなくなるので、冷媒流路管の下端側の局所的な腐食を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示した断面図である。
【図2】本発明の第1実施例に用いた積層型冷媒蒸発器を示した正面図である。
【図3】本発明の第1実施例に用いた積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した斜視図である。
【図4】本発明の第1実施例の排水原理を示した説明図である。
【図5】第1比較例の排水原理を示した説明図である。
【図6】第2比較例の排水原理を示した説明図である。
【図7】第1比較例の実験データを示したグラフである。
【図8】本発明の第1実施例の実験データを示したグラフである。
【図9】本発明の第2実施例に用いた積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した斜視図である。
【図10】本発明の第2実施例に用いた積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した断面図である。
【図11】本発明の第2実施例の比較例を示した断面図である。
【図12】本発明の第3実施例に用いた積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した断面図である。
【図13】本発明の第4実施例に用いた積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した斜視図である。
【図14】本発明の第4実施例に用いた排水ケースを示した斜視図である。
【図15】本発明の第4実施例に用いた排水ケースを示した断面図である。
【図16】本発明の第5実施例に用いた排水ケースを示した断面図である。
【図17】本発明の第6実施例に用いた排水ケースを示した断面図である。
【図18】本発明の第7実施例に用いた積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した断面図である。
【図19】本発明の第8実施例の主要部を示した断面図である。
【図20】本発明の第8実施例に用いた排水ケースを示した斜視図である。
【図21】本発明の第9実施例の主要部を示した断面図である。
【図22】本発明の第10実施例の主要部を示した断面図である。
【図23】本発明の第11実施例に用いた積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した斜視図である。
【図24】本発明の第11実施例に用いた積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した断面図である。
【図25】本発明の第12実施例に用いた積層型冷媒蒸発器とユニットケースを示した断面図である。
【図26】従来のタンク上置き型冷媒蒸発器を用いた空気調和装置のクーリングユニットを示した断面図である。
【図27】従来のタンク下置き型冷媒蒸発器を用いた空気調和装置のクーリングユニットを示した断面図である。
【図28】従来のシングルタンク式積層型冷媒蒸発器を示した正面図である。
【図29】凝縮水の排水原理を示した説明図である。
【図30】凝縮水の排水原理を示した説明図である。
【図31】フィンのルーバを示した断面図である。
【図32】従来のタンク上置き型冷媒蒸発器の冷媒流路管における凝縮水の滞留部を示した説明図である。
【図33】従来のタンク下置き型冷媒蒸発器の冷媒流路管における凝縮水の滞留部を示した説明図である。
【図34】従来のタンク下置き型冷媒蒸発器の冷媒流路管における凝縮水の滞留部を示した説明図である。
【符号の説明】
1 自動車用空気調和装置のクーリングユニット
2 ユニットケース
3 積層型冷媒蒸発器
4 排水ケース(誘導手段)
7 排水口
13 冷媒流路管
15 冷媒流路管
16 タンク部
17 タンク部
31 側壁部
32 外側傾斜壁(風上側側方傾斜部、風下側側方傾斜部)
33 突条壁(突状部)
34 内側傾斜壁
36 排水孔(排出孔)
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばユニットケース内に収納される冷媒蒸発器表面に生じた凝縮水をコア部表面から効率的に排水することに好適な排水ケースを備えた空気調和装置のクーリングユニットに関するもので、とくにその空気調和装置のクーリングユニットに用いられる排水ケースにかかわる。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば図26および図27に示したように、室内に空気を送風するためのダクトを形成するユニットケース100の凹所101内に冷媒蒸発器102を収納した空気調和装置が知られている。そして、凹所101の底壁部には、冷媒蒸発器102の下方で開口し、冷媒蒸発器102の表面に付着した凝縮水をユニットケース100の外に排出するための排水口103が形成されている。
【0003】また、従来より、冷媒蒸発器102は、図2828に示したように、冷媒流路管104、およびこの冷媒流路管104の端部側に2個のタンク部105が一体形成された一対の成形プレート106を複数積層してなる。また、冷媒蒸発器102のコア部107は、隣設する冷媒流路管104間にそれぞれフィン108を介在して構成されている。
【0004】なお、冷媒蒸発器102の空気側伝熱面(凝縮水の付着面)は、フィン108の表面と冷媒流路管104の表面からなっており、図29に示したように、フィン108の表面に付着した凝縮水はフィン108に沿って冷媒流路管104側へと流れる。また、図30R>0に示したように、冷媒流路管104の表面には冷媒側の熱伝達率向上のための傾斜リブ109が内側に凸の状態(空気側伝熱面では凹部形状)で形成されており、この傾斜リブ109に沿って凝縮水はコア部107の下端側へと流れていく。以上のような排水原理により、フィン108の表面や冷媒流路管104の表面に付着した凝縮水はコア部107の下端側へと排水されている。なお、113はフィン108の座屈防止用のかえり部である。
【0005】ここで、一対の成形プレート106よりなる冷媒流路管104やフィン108の表面処理には、親水性処理と撥水性処理の2種類があり、従来より親水性処理が一般的になされている。その理由としては、未だ撥水性処理の処理液が冷媒蒸発器102の使用環境に耐えられるものがない。また、冷媒流路管104やフィン108の表面に撥水性処理を施した場合にフィン108や冷媒流路管104表面で水滴が生じてしまい、図31に示したように、ルーバ110が形成されたフィン108では水滴がルーバ110間ではじかれあって停滞してしまったり、フィン108表面から下方へ落ちないで、ユニットケース100の風下側へ水飛びが発生するからである。
【0006】それに対して、冷媒流路管104の表面やフィン108の表面に親水性処理を施した場合には、冷媒流路管104の表面やフィン108の表面に水膜が形成され、上述の排水原理を補助する役割を果たすことになる。これにより、コア部107の上端側では親水性処理の影響により0.1mm厚程度の水膜が形成されるが、極端な滞留は発生しなかった。また、図26に示したような2個のタンク部105を冷媒流路管104の上端側に形成した冷媒蒸発器102は、冷媒流路管104の下端部に凝縮水が滞留しても犠牲腐食フィン108の効果により、冷媒流路管の下端側の腐食はさほど問題はなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図27に示したような2個のタンク部105を冷媒流路管104の下端側に形成した冷媒蒸発器102は、凝縮水が滞留する冷媒流路管104の下端側にフィン108が設けられていないので、犠牲腐食フィン108の効果が期待できない。このため、凝縮水の滞留による冷媒流路管104の下端側の腐食の問題がクローズアップされている。
【0008】すなわち、図32および図33に示したように、従来の冷媒蒸発器102のコア部107の下端側やタンク部105の下端部においては、冷媒流路管104の表面やフィン108の表面に付着した凝縮水の排水性が悪く、凝縮水が滞留するという不具合があった。さらに、このような冷媒蒸発器102がユニットケース100に挿入された場合には、例えばユニットケース100と冷媒蒸発器102の下端部との間に介在するインシュレータ111の水含み等により冷媒蒸発器102の排水性がさらに悪化することになる。
【0009】この理由は、図34にも示したように、2個のタンク部105の下端部の風下側端部Aより流れてきた凝縮水はユニットケース100に沿って排水口103へ流れ易いが、2個のタンク部105の下端部の風上側端部Bより流れてきた凝縮水はタンク部105の下端部とインシュレータ111との間で水滴がブリッジして滞留してしまう(滞留部112)ためである。
【0010】また、2個のタンク部105間の下端部中央Cより流れてきた凝縮水は、2個のタンク部105の下端部の風上側端部B側に流れればブリッジした水滴と合体して保持され(滞留部112)、逆に2個のタンク部105の下端部の風下側端部A側に流れると、凝縮水が流れ落ちるガイドが存在せず、凝縮水が滞留してしまう(滞留部114)。
【0011】そして、滞留部112、114に滞留している水滴は、(表面処理による水保持力)+(構造的な水滴の落ち難さ)>(水滴にかかる重力)
となり、水滴として滞留部112、114に保持され、水滴の成長につれて下方へ落下する。
【0012】以上のように、2個のタンク部105が冷媒流路管104の下端側に形成された冷媒蒸発器102においては、凝縮水が滞留し易く、大気中の腐食要因成分(塩素やNOx等)が濃縮され易い冷媒流路管104の下端側に、局所的な腐食が発生する頻度が非常に高い傾向にあるという問題点があった。
【0013】本発明は、主に2個のタンク部が冷媒流路管の下端側に形成された冷媒蒸発器において、冷媒流路管の下端側における凝縮水の滞留を防止することにより冷媒流路管の下端側の局所的な腐食を防止することが可能な空気調和装置のクーリングユニットおよび排水ケースの提供を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、冷媒流路管の下端側に2個のタンク部が形成された冷媒流路管を複数積層し、隣設する冷媒流路間にフィンを介在してなる冷媒蒸発器と、この冷媒蒸発器の下方に配され、前記2個のタンク部の風上側端部に当接する風上側側方傾斜部、前記タンク部の風下側端部に当接する風下側側方傾斜部、前記2個のタンク部間の部位下端部に当接する突状部、および前記冷媒蒸発器にて発生した凝縮水を排水するための排出孔を有する排水ケースとを備えた技術手段を採用した。
【0015】なお、前記2個のタンク部の風上側の側方端および風下側の側方端に当接する2つの側壁部と、これらの側壁部より下方に傾斜し、前記風上側側方傾斜部および前記風下側側方傾斜部を形成する2つの外側傾斜壁と、前記2個のタンク部間の部位下端部に当接し、前記突状部を形成するへの字形状の突状壁と、前記2つの外側傾斜壁と前記突状壁とを連結する2つの内側傾斜壁とから前記排水ケースを構成しても良い。また、前記排出孔を、前記内側傾斜壁に穿設しても良い。
【0016】そして、前記2個のタンク部の風上側の側方端および風下側の側方端に当接する2つの側壁部と、これらの側壁部より下方に傾斜し、前記風上側側方傾斜部および前記風下側側方傾斜部を形成する2つの傾斜壁と、これらの傾斜壁の連結部分より上方に延ばされ、前記2個のタンク部間の部位下端部に当接し、前記突状部を形成する柱状壁とから構成しても良い。
【0017】前記2個のタンク部の風上側の側方端および風下側の側方端に当接する2つの側壁部と、これらの側壁部より下方に傾斜し、前記風上側側方傾斜部および前記風下側側方傾斜部を形成する2つの傾斜壁と、これらの傾斜壁の最下端同士を連結し、前記2個のタンク部の下端部から所定の距離だけ離れた底壁部と、この底壁部の中央から上方に延ばされ、前記2個のタンク部間の部位下端部に当接し、前記突状部を形成する柱状壁とから構成しても良い。また、前記排出孔を、前記底壁部に穿設しても良い。
【0018】そして、前記冷媒蒸発器の前記成形プレートおよび前記フィンに、親水性処理を施しても良い。また、隣設する成形プレート間に介在しているフィンの介在範囲の最下端が、前記排水ケースの上端よりも下方に設けられていても良い。さらに、前記排水ケースを、前記冷媒蒸発器の下端とユニットケースの底壁との間に挟み込み、前記ユニットケースに、前記排水ケースの位置決めを行う係合部を設けても良い。
【0019】請求項10に記載の発明は、表面に親水性処理が施された冷媒流路管の下端側に、他部より外方に膨らんだタンク部を形成した冷媒蒸発器と、この冷媒蒸発器より下方に凝縮水を排水する排水口を有するユニットケースとを備え、前記冷媒蒸発器あるいは前記ユニットケースのうちいずれか一方は、前記タンク部の最下端または前記タンク部の側方端から前記排水口へ凝縮水を誘導する誘導手段を有する技術手段を採用した。
【0020】請求項11に記載の発明は、前記冷媒流路管の下端側に2個のタンク部を形成した一対の成形プレートを複数積層してなる冷媒蒸発器の下方に配され、前記冷媒蒸発器にて発生した凝縮水を排出するための排出ケースであって、前記2個のタンク部の風上側端部に当接する風上側側方傾斜部と、前記2個のタンク部の風下側端部に当接する風下側側方傾斜部と、前記2個のタンク部間の部位下端部に当接する突状部と、前記冷媒蒸発器にて発生した凝縮水を排水するための排出孔とを有する技術手段を採用した。
【0021】
【作用】請求項1に記載の発明および請求項11に記載の発明によれば、冷媒流路管の下端側に2個のタンク部を形成した冷媒蒸発器の表面に発生した凝縮水が、重力により下降していき、2個のタンク部の風上側端部、2個のタンク部の風下側端部および2個のタンク部間の部位下端部に到達する。そして、2個のタンク部の風上側端部に到達した凝縮水は、風上側側方傾斜部に沿って排水ケース内に流れ込んだ後に排出孔より排水される。また、2個のタンク部の風下側端部に到達した凝縮水は、風下側側方傾斜部に沿って排水ケース内に流れ込んだ後に排出孔より排水される。さらに、2個のタンク部間の部位下端部に到達した凝縮水は、突状部に沿って排水ケース内に流れ込んだ後に排出孔より排水される。これにより、2個のタンク部の最下端に凝縮水が滞留しなくなるので、冷媒流路管の下端側の局所的な腐食が防げる。
【0022】請求項10に記載の発明によれば、表面に親水性処理が施された冷媒流路管の下端側にタンク部を形成した冷媒蒸発器の表面に発生した凝縮水が、重力により下降していく。そして、タンク部の最下端または側方端より誘導手段へ流れ込み、ユニットケースの排水口へ排水される。これにより、タンク部の最下端に凝縮水が滞留しなくなるので、冷媒流路管の下端側の局所的な腐食が防げる。
【0023】
【実施例】次に、本発明の空気調和装置のクーリングユニットを図1ないし図26に示す複数の実施例に基づいて説明する。
【0024】〔第1実施例の構成〕図1ないし図4は本発明の第1実施例の構造を示したもので、図1は自動車用空気調和装置のクーリングユニットを示した図である。この自動車用空気調和装置のクーリングユニット1は、車室内に空気を送るための送風ダクトを構成するユニットケース2、このユニットケース2内を流れる空気を冷却する積層型冷媒蒸発器3、およびユニットケース2と積層型冷媒蒸発器3との間に挿入された排水ケース4を備えている。
【0025】ユニットケース2は、例えばPP(ポリプロピレン)樹脂製の筒状体であって、上部に上方に凹んだ天井壁5、およびこの天井壁5に対向する下部に下方に凹んだ底壁6を有している。また、底壁6は水平方向に対して下方に傾斜しており、最も下方に位置する部位に凝縮水をユニットケース2の内部より外部へ排水するための排水口7を形成している。
【0026】図2は積層型冷媒蒸発器3を示した図で、図3は積層型冷媒蒸発器3と排水ケース4を示した図である。この積層型冷媒蒸発器3は、膨張弁(図示せず)の下流側との接続および冷媒圧縮機(図示せず)の吸入側との接続を行うジョイントブロック8と、冷媒間で熱交換を行う冷媒冷媒熱交換部9と、冷媒と空気とを熱交換させる冷媒空気熱交換部10と、冷媒冷媒熱交換部9と冷媒空気熱交換部10との間に設けられた減圧部(図示せず)とからなる。
【0027】ジョイントブロック8は、膨張弁より流出した気液二相冷媒を内部に流入させる流入口11、および熱交換後の冷媒を冷媒圧縮機側へ流出させる流出口12を設けている。
【0028】冷媒冷媒熱交換部9は、一対の薄い板状の成形プレートをろう付け等の手段により形成された冷媒流路管13を複数積層してなる。なお、一対の成形プレートの表面には、プレコート材(C513)、親水性高分子または親水性多孔材等を被着させて親水性処理が施されている。
【0029】冷媒冷媒熱交換部9の内部には、流入口11より冷媒空気熱交換部10へ冷媒を送る入口側冷媒流路(図示せず)と冷媒空気熱交換部10より流出口12へ冷媒を送る出口側冷媒流路(図示せず)とが蛇行するように形成されている。なお、入口側冷媒流路と出口側冷媒流路とは、入口側冷媒流路内を流れる冷媒と出口側冷媒流路内を流れる冷媒との間で熱交換が行えるように所定距離に渡って近接して配されている。
【0030】冷媒空気熱交換部10は、空気との熱交換効率を向上させるためのコルゲートフィン14と一対の薄い板状の成形プレートをろう付け等の手段により形成された冷媒流路管15を複数積層してなる。なお、コルゲートフィン14と一対の成形プレートの表面には、プレコート材(C513)、親水性高分子または親水性多孔材等を被着させて親水性処理が施されている。
【0031】冷媒流路管15を構成する成形プレートは、図4に一部示したように、薄い板状のアルミニウム合金をプレス加工することによって形成されている。冷媒流路管15の下端側の風上側にはタンク部16が形成され、冷媒流路管15の下端側の風下側にはタンク部17が形成されている。このように冷媒流路管15の下端側に形成された2個のタンク部16、17は、これらよりも上方に形成された略U字状の冷媒蒸発流路18を介して連通しており、隣設する冷媒流路管15の下端側にろう付け等の手段により接合されるように略碗状に積層方向に膨出している。また、2個のタンク部16、17には、隣設する冷媒流路管15と連通させるための略楕円形状の連通穴19、20がそれぞれ形成されている。
【0032】複数の冷媒流路管15の冷媒蒸発流路18は、複数のコルゲートフィン14と共に積層型冷媒蒸発器3のコア部21を構成するものである。なお、冷媒蒸発流路18には、冷媒が幅方向全体に広く行き渡るようにするための多数の傾斜リブ22が内側に突出するように形成されている。また、冷媒流路管15の中央部および外周縁には、一対の成形プレート同士をろう付け等の手段により接合するための接合壁23、24が内側に突出するように形成されている。そして、一対の成形プレートの一方側の成形プレートの最上端からは、コルゲートフィン14の座屈防止用のかえり部25が複数の冷媒流路管15の積層方向に延長されている。
【0033】排水ケース4は、本発明の誘導手段であって、図3および図4に示したように、例えばPP(ポリプロピレン)樹脂製で断面形状がW形状に形成されており、ユニットケース2の底壁6と積層型冷媒蒸発器3の下端との間に挟み込まれている。この排水ケース4は、冷媒流路管15(13)の中央部最下端、2個のタンク部16、17の側方端(積層型冷媒蒸発器3の風上側端および風下側端)からユニットケース2の排水口7へ積層型冷媒蒸発器3表面に生じた凝縮水を誘導するものである。
【0034】この排水ケース4は、2つの側壁部31、2つの外側傾斜壁32、への字状の突条壁33、2つの内側傾斜壁34、およびこれらの幅方向端部を塞ぐ閉塞壁35等よりなる。2つの側壁部31は、断面形状が円弧状を呈し、冷媒流路管15(13)の下端側に形成された2個のタンク部16、17の側方端を塞いで、積層型冷媒蒸発器3の下端側の風洩れを防止する洩れ防止手段である。また、2つの側壁部31の内側面は2個のタンク部16、17の側方端に当接し、その外側面はユニットケース2の底壁6の内側面に当接している。
【0035】2つの外側傾斜壁32のうちの風上側の外側傾斜壁32は、本発明の風上側側方傾斜部であって、風下側の傾斜壁32は、本発明の風下側側方傾斜部である。また、2つの外側傾斜壁32は、2つの側壁部31の下端部より下方へ傾斜しており、最下端がユニットケース2の底壁6の底面に当接している。突条壁33は、本発明の突状部であって、冷媒流路管15(13)の中央部最下端に形成された方形状の凹み部28に当接する。なお、凹み部28は、隣設する2個のタンク部16、17間の部位最下端に形成されている。2つの内側傾斜壁34は、外側傾斜壁32と突条壁33とを連結する部分で、ユニットケース2の底壁6上へ凝縮水を排水するための排水孔36をそれぞれ形成している。なお、排水孔36は、本発明の排出孔であって、排水ケース4の最下端で開口するように傾斜して形成されている。
【0036】〔第1実施例の作用〕次に、この実施例の作用を図1ないし図6に基づいて説明する。ここで、図4R>4は積層型冷媒蒸発器3の下端に排水ケース4を接触させた技術(第1実施例)の排水原理を示した図で、図5は積層型冷媒蒸発器3の下端に排水ケース4を配しない技術(第1比較例)の排水原理を示した図で、図6は従来のユニットケース100を積層型冷媒蒸発器3の下方に用いた技術(第2比較例)の排水原理を示した図である。
【0037】コルゲートフィン14や冷媒流路管15の表面に親水性処理を施した積層型冷媒蒸発器3は、ユニットケース2内を流れる空気と冷媒流路管15内を流れる冷媒とが熱交換することによって空気を冷却する。そして、空気が、積層型冷媒蒸発器3により露点温度以下に冷却されると、空気中に含まれる水分が凝縮してコルゲートフィン14や冷媒流路管15の表面に付着して、これらの表面に0.1mm程度の水膜を形成していく。
【0038】そして、コルゲートフィン14表面に付着した凝縮水はコルゲートフィン14に沿って冷媒流路管15側へと流れていき、冷媒流路管15表面に付着した凝縮水は他部より凹んでいる傾斜リブ22や接合壁23、24に沿って下降していく。そして、冷媒流路管15の2個のタンク部16、17の側方端および2個のタンク部16、17間からタンク部16、17の下端側に流れ落ちた凝縮水は、第1比較例の場合には、図5に示したように、排水ケース4やガイドを有しないため、2個のタンク部16、17の下端(水平部分)A、Bに滞留してしまう。
【0039】また、第2比較例の場合には、図6に示したように、タンク部17の側方端より下端側に流れ落ちた凝縮水は、ユニットケース100の底壁に沿って流れ易いが、タンク部16の側方端より下端側に流れ落ちた凝縮水は、タンク部16とインシュレータ111との間で水滴がブリッジしてタンク部16の下端(水平部分)Aに滞留してしまう。そして、2個のタンク部16、17間からタンク部16、17の下端側に流れ落ちた凝縮水は、タンク部16の下端側に流れた場合はブリッジした水滴と合体して保持されるため滞留し、タンク部17の下端側に流れた場合はガイドを有しないため、タンク部16の下端(水平部分)Bで滞留してしまう。
【0040】これらに対して、第1実施例のように複数の冷媒流路管15の下端にW形状の排水ケース4を当接した場合には、図4に示したように、タンク部16の側方端およびタンク部17の側方端より下端側に流れ落ちた凝縮水は、タンク部16、17の下端へ達する前に排水ケース4の側壁部31へ伝わり、この側壁部31から外側傾斜壁32→排水孔36→底壁6を通って排水口7へ導かれ効率良く排水される。
【0041】また、2個のタンク部16、17間からタンク部16、17の下端側に流れ落ちた凝縮水は、タンク部16、17の下端へ達する前に排水ケース4の突条壁33へ伝わり、この突条壁33から内側傾斜壁34→排水孔36→底壁6を通って排水口7へ導かれ効率良く排水される。
【0042】〔第1実施例の効果〕ここで、図7および図8は第1比較例と第1実施例の上下方向の各部位における(水保持量)/(表面積)を実験により調査した実験データである。この図7からも確認できるように、第1比較例はタンク部16、17の下端A、Bにおいて、局所的な凝縮水の滞留が発生していることが分かる。それに対して、この第1実施例は、図8からも確認できるように、局所的な凝縮水の滞留が抑えられるので、大気中の腐食要因成分(塩素やNOx等)を要因とする冷媒流路管15(13)の下端側の局所的な腐食の発生を抑制することができる。
【0043】〔第2実施例の構成〕図9ないし図10は本発明の第2実施例の構造を示したもので、積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した図である。
【0044】この実施例の積層型冷媒蒸発器3の冷媒流路管15を構成する成形プレートの下端側に形成された2個のタンク部16、17には、隣設する冷媒流路管15と連通させるための円形状の連通穴19、20がそれぞれ形成されている。また、隣設する冷媒流路管15間に介在するコルゲートフィン14は、図10にて一点鎖線で示したように、2個のタンク部16、17の上端部より上方側にろう付け等の手段により接合されている。
【0045】この実施例の排水ケース4は、スチレンペーパーやピーライト等の材料製のインシュレータ73を介してユニットケース2の底壁6と積層型冷媒蒸発器3の下端との間に挟み込まれている。
【0046】この排水ケース4は、平行に配された2つの立壁部74、これらの立壁部74より下方へ傾斜した2つの円弧状壁75、冷媒流路管15(13)の中央部最下端に形成された溝状部29に当接する比較的に長い寸法の突条壁76、円弧状壁75と突条壁76とを連結する2列の底壁77、およびこれらの幅方向端部を塞ぐ閉塞壁78等よりなる。
【0047】なお、2つの立壁部74は、その外側面はユニットケース2の底壁6の内側面に当接している。また、2つの円弧状壁75は、冷媒流路管15(13)の下端側に形成された2個のタンク部16、17の側方端を塞いでいる。そして、2つの円弧状壁75の裏面には、インシュレータ73を傷付けないように断面形状が半円形状のエッジ部80が2列で形成されており、2列のエッジ部80はユニットケース2の底壁6に形成された位置決め用溝部79に嵌め合わされる。
【0048】これらのエッジ部80は、積層型冷媒蒸発器3および排水ケース4のユニットケース2への位置決めを行うためのものであり、積層型冷媒蒸発器3の下端側の風洩れを防止するものである。また、積層型冷媒蒸発器3の下端と底壁77との間には、凝縮水を排水するための排水流路81が形成されている。そして、2列の底壁77には、ユニットケース2の底壁6上へ凝縮水を排水するための複数の排水孔82がそれぞれ長手方向に列設されている。
【0049】〔第2実施例の作用〕次に、この実施例の作用を図9および図10に基づいて説明する。積層型冷媒蒸発器3の冷媒流路管15(13)の表面およびコルゲートフィン14の表面に付着した凝縮水は、傾斜リブ22を通り、接合壁23、24に集まり、下方へと流れていく。そして、タンク部16の側方端およびタンク部17の側方端より下端側に流れ落ちた凝縮水は、タンク部16、17の下端へ達する前に排水ケース4の円弧状壁75へ伝わり、この円弧状壁75から底壁77→排水孔82→底壁6(インシュレータ73)を通って排水口7へ導かれ効率良く排水される。
【0050】また、2個のタンク部16、17間からタンク部16、17の下端側に流れ落ちた凝縮水は、タンク部16、17の下端へ達する前に排水ケース4の突条壁76へ伝わり、この突条壁76から底壁77→排水孔82→底壁6(インシュレータ73)を通って排水口7へ導かれ効率良く排水される。
【0051】〔第2実施例の効果〕ここで、第1実施例の排水ケース4の形状では、図11に示したように、積層型冷媒蒸発器3の下方に排水流路83を設ける必要があり、クーリングユニット1の搭載上、大型化してしまう可能性があると共に、排水ケース4とユニットケース2の底壁6との間のインシュレータ73を鋭角に尖ったエッジ部84で傷を付けたり、破ってしまったりする可能性があった。
【0052】これに対して、この実施例では、エッジ部80の断面形状が半円形状(鈍角)に形成することによりインシュレータ73が傷付いたり、破れたりするなどの不具合を解消することができる。
【0053】また、隣設する冷媒流路管15間に介在するコルゲートフィン14の介在範囲の下端が、排水ケース4の2つの立壁部74の上端面およびユニットケース2の下壁2aの端面よりも下方に位置している。これにより、ユニットケース2内を流れる空気が比較的に積層型冷媒蒸発器3の上方側に導かれて、積層型冷媒蒸発器3の下端と排水ケース4との隙間を通過して冷媒と熱交換しないで洩れる空気がほとんどなくなる。
【0054】〔第3実施例〕図12は本発明の第3実施例の構造を示したもので、積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した図である。
【0055】この実施例の排水ケース4は、冷媒流路管15の2個のタンク部16、17の側方端を塞ぐ側壁部51、2つの側壁部51より下方へ傾斜した2つの傾斜壁52、これらの傾斜壁52の連結部分より上方に延ばされ、冷媒流路管15の中央部最下端に形成された方形状の凹み部28に当接する柱状壁53等よりなる。
【0056】〔第4実施例〕図13ないし図15は本発明の第4実施例の構造を示したもので、図13および図1414は積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した図である。
【0057】この実施例では、排水ケース4の外側傾斜壁32と内側傾斜壁34に、積層型冷媒蒸発器3より落下した凝縮水を集水する溝部66、67が切削加工等により形成されている。溝部66、67は、図15に示したように、断面形状が方形形状に形成されている。
【0058】この実施例の場合には、冷媒圧縮機がオフまたはエアコンスイッチがオフの時、すなわち、排水ケース4上の水滴の成長がない時でも、排水ケース4上の水滴が溝部66、67に集められる。これにより、その水滴が成長して排水孔36、底壁6を通って排水口7へ導かれるので、第1実施例と比較してより効率良く排水される。
【0059】〔第5実施例〕図16は本発明の第5実施例の構造を示したもので、排水ケースを示した図である。
【0060】この実施例の排水ケース4の溝部66、67の周りには、なだらかな傾斜面68が形成されている。この実施例は、第5実施例と比較して、広い範囲の排水ケース4の外側傾斜壁32と内側傾斜壁34上の水滴を溝部66、67に集めることができる。
【0061】〔第6実施例〕図17は本発明の第6実施例の構造を示したもので、排水ケースを示した図である。この実施例では、排水ケース4の外側傾斜壁32と内側傾斜壁34に台形形状の溝部69と平面部70とを交互に形成している。
【0062】〔第7実施例〕図18は本発明の第7実施例の構造を示したもので、積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した図である。この実施例では、排水ケース4の外側傾斜壁32と内側傾斜壁34に、積層型冷媒蒸発器3の冷媒流路管13の鍔部71に沿うように断面形状が方形形状の溝部72を形成している。
【0063】〔第8実施例〕図19および図20は本発明の第8実施例の構造を示したもので、積層型冷媒蒸発器とユニットケースを示した図である。この実施例の排水ケース4は、平行に配された2つの立壁部74、これらの立壁部74より下方へ傾斜した2つの円弧状壁75、冷媒流路管15(13)の中央部最下端に形成された方形状の凹み部28に当接する比較的に短い寸法の突条壁76、円弧状壁75と突条壁76とを連結する2列の底壁77、およびこれらの幅方向端部を塞ぐ閉塞壁78等よりなる。
【0064】なお、この実施例では、第2実施例と同様にして、エッジ部80の断面形状が半円形状(鈍角)に形成することによりインシュレータ73が傷付いたり、破れたりするなどの不具合を解消することができる。
【0065】また、積層型冷媒蒸発器3からの凝縮水の排水効率を低下させることなく、積層型冷媒蒸発器3の下方に設けられる排水流路81のスペースを小さなものとすることにより排水ケース4の高さを低くしてクーリングユニット1全体の小型化を図ることができる。なお、排水流路81の高さは、表面処理剤にもよるが、親水性処理を施した積層型冷媒蒸発器3では3mm以上の隙間aを確保すれば積層型冷媒蒸発器3と排水ケース4との間で凝縮水は滞留しない。
【0066】〔第9実施例〕図21は本発明の第9実施例の構造を示したもので、積層型冷媒蒸発器とユニットケースを示した図である。この実施例の排水ケース4の2つの底壁85は円弧状の曲面をそれぞれ有している。
【0067】〔第10実施例〕図22は本発明の第10実施例の構造を示したもので、積層型冷媒蒸発器とユニットケースを示した図である。この実施例の排水ケース4の底壁86は2つの円弧状壁75を緩やかに繋ぐように円弧状の曲面を有している。
【0068】〔第11実施例〕図23および図24は本発明の第11実施例の構造を示したもので、積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した図である。
【0069】この実施例の排水ケース4は、積層型冷媒蒸発器3の冷媒流路管15の2個のタンク部16、17の側方端を塞ぐ側壁部41、2つの側壁部41より2個のタンク部16、17の最下端にそれぞれ当接する2つの当接壁部42、これらの当接壁部42の内側端部より下方に傾斜した2つの傾斜壁部43、これらの傾斜壁部43の最下端同士を連結し、冷媒流路管15の最下端より所定の距離だけ離れた底壁部44、およびこれらの幅方向端部を塞ぐ閉塞壁45等よりなる。傾斜壁部43および底壁部44には、ユニットケース2の底壁6上へ凝縮水を排水するための排水孔46が形成されている。
【0070】この実施例の場合には、図24に示したように、タンク部16の側方端およびタンク部17の側方端より下端側に流れ落ちた凝縮水は、タンク部16、17の下端より当接壁部42へ伝わり、この当接壁部42から傾斜壁部43→底壁部44→排水孔46を通って排水口7へ導かれ排水される。
【0071】また、2個のタンク部16、17間からタンク部16、17の下端側に流れ落ちた凝縮水は、タンク部16、17の下端へ達する前に排水ケース4の当接壁部42を伝わる側方端からの凝縮水と合体して傾斜壁部43側へ流れ落ちる。
【0072】〔第12実施例〕図25は本発明の第12実施例の構造を示したもので、積層型冷媒蒸発器とユニットケースを示した図である。
【0073】この実施例では、ユニットケース2の底壁6形状を変更して凝縮水が冷媒流路管15の下端に滞留しないようにしている。ユニットケース2の底壁6は、冷媒流路管15の2個のタンク部16、17の側方端を塞ぐ円弧状の側壁部61、2つの側壁部61より2個のタンク部16、17の最下端にそれぞれ当接する2つの当接壁部62、これらの当接壁部62の内側端部より下方に傾斜した2つの傾斜壁部63、およびこれらの傾斜壁部63の最下端同士を連結し、冷媒流路管15の最下端より所定の距離だけ離れた底壁部64等よりなる。
【0074】〔変形例〕本実施例では、本発明を冷媒流路管15の下端側に2個のタンク部16、17を形成した積層型冷媒蒸発器3に用いたが、本発明を冷媒流路管の下端側に3個以上のタンク部を形成した冷媒蒸発器に用いても良い。また、冷媒流路管の上端部にもタンク部を持つ冷媒蒸発器に本発明を用いても良い。
【0075】
【発明の効果】請求項1に記載の発明および請求項11に記載の発明は、冷媒流路管の下端側に2個のタンク部を形成した冷媒蒸発器の表面に生じた凝縮水を効率的に排水することにより、2個のタンク部の最下端に凝縮水が滞留しなくなるので、冷媒流路管の下端側の局所的な腐食を抑制することができる。
【0076】請求項10に記載の発明は、表面に親水性処理が施された冷媒流路管の下端側にタンク部を形成した冷媒蒸発器の表面に生じた凝縮水を効率的に排水することにより、他部より外方に膨らんだタンク部の最下端に凝縮水が滞留しなくなるので、冷媒流路管の下端側の局所的な腐食を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示した断面図である。
【図2】本発明の第1実施例に用いた積層型冷媒蒸発器を示した正面図である。
【図3】本発明の第1実施例に用いた積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した斜視図である。
【図4】本発明の第1実施例の排水原理を示した説明図である。
【図5】第1比較例の排水原理を示した説明図である。
【図6】第2比較例の排水原理を示した説明図である。
【図7】第1比較例の実験データを示したグラフである。
【図8】本発明の第1実施例の実験データを示したグラフである。
【図9】本発明の第2実施例に用いた積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した斜視図である。
【図10】本発明の第2実施例に用いた積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した断面図である。
【図11】本発明の第2実施例の比較例を示した断面図である。
【図12】本発明の第3実施例に用いた積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した断面図である。
【図13】本発明の第4実施例に用いた積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した斜視図である。
【図14】本発明の第4実施例に用いた排水ケースを示した斜視図である。
【図15】本発明の第4実施例に用いた排水ケースを示した断面図である。
【図16】本発明の第5実施例に用いた排水ケースを示した断面図である。
【図17】本発明の第6実施例に用いた排水ケースを示した断面図である。
【図18】本発明の第7実施例に用いた積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した断面図である。
【図19】本発明の第8実施例の主要部を示した断面図である。
【図20】本発明の第8実施例に用いた排水ケースを示した斜視図である。
【図21】本発明の第9実施例の主要部を示した断面図である。
【図22】本発明の第10実施例の主要部を示した断面図である。
【図23】本発明の第11実施例に用いた積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した斜視図である。
【図24】本発明の第11実施例に用いた積層型冷媒蒸発器と排水ケースを示した断面図である。
【図25】本発明の第12実施例に用いた積層型冷媒蒸発器とユニットケースを示した断面図である。
【図26】従来のタンク上置き型冷媒蒸発器を用いた空気調和装置のクーリングユニットを示した断面図である。
【図27】従来のタンク下置き型冷媒蒸発器を用いた空気調和装置のクーリングユニットを示した断面図である。
【図28】従来のシングルタンク式積層型冷媒蒸発器を示した正面図である。
【図29】凝縮水の排水原理を示した説明図である。
【図30】凝縮水の排水原理を示した説明図である。
【図31】フィンのルーバを示した断面図である。
【図32】従来のタンク上置き型冷媒蒸発器の冷媒流路管における凝縮水の滞留部を示した説明図である。
【図33】従来のタンク下置き型冷媒蒸発器の冷媒流路管における凝縮水の滞留部を示した説明図である。
【図34】従来のタンク下置き型冷媒蒸発器の冷媒流路管における凝縮水の滞留部を示した説明図である。
【符号の説明】
1 自動車用空気調和装置のクーリングユニット
2 ユニットケース
3 積層型冷媒蒸発器
4 排水ケース(誘導手段)
7 排水口
13 冷媒流路管
15 冷媒流路管
16 タンク部
17 タンク部
31 側壁部
32 外側傾斜壁(風上側側方傾斜部、風下側側方傾斜部)
33 突条壁(突状部)
34 内側傾斜壁
36 排水孔(排出孔)
【特許請求の範囲】
【請求項1】(a)下端側に2個のタンク部が形成された冷媒流路管を複数積層し、隣設する冷媒流路間にフィンを介在してなる冷媒蒸発器と、(b)この冷媒蒸発器の下方に配され、前記2個のタンク部の風上側端部に当接する風上側側方傾斜部、前記タンク部の風下側端部に当接する風下側側方傾斜部、前記2個のタンク部間の部位下端部に当接する突状部、および前記冷媒蒸発器にて発生した凝縮水を排水するための排出孔を有する排水ケースとを備えた空気調和装置のクーリングユニット。
【請求項2】前記排水ケースは、前記2個のタンク部の風上側の側方端および風下側の側方端に当接する2つの側壁部と、これらの側壁部より下方に傾斜し、前記風上側側方傾斜部および前記風下側側方傾斜部を形成する2つの外側傾斜壁と、前記2個のタンク部間の部位下端部に当接し、前記突状部を形成するへの字形状の突状壁と、前記2つの外側傾斜壁と前記突状壁とを連結する2つの内側傾斜壁とからなることを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置のクーリングユニット。
【請求項3】前記排出孔は、前記内側傾斜壁に穿設されていることを特徴とする請求項2に記載の空気調和装置のクーリングユニット。
【請求項4】前記排水ケースは、前記2個のタンク部の風上側の側方端および風下側の側方端に当接する2つの側壁部と、これらの側壁部より下方に傾斜し、前記風上側側方傾斜部および前記風下側側方傾斜部を形成する2つの傾斜壁と、これらの傾斜壁の連結部分より上方に延ばされ、前記2個のタンク部間の部位下端部に当接し、前記突状部を形成する柱状壁とからなることを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置のクーリングユニット。
【請求項5】前記排水ケースは、前記2個のタンク部の風上側の側方端および風下側の側方端に当接する2つの側壁部と、これらの側壁部より下方に傾斜し、前記風上側側方傾斜部および前記風下側側方傾斜部を形成する2つの傾斜壁と、これらの傾斜壁の最下端同士を連結し、前記2個のタンク部の下端部から所定の距離だけ離れた底壁部と、この底壁部の中央から上方に延ばされ、前記2個のタンク部間の部位下端部に当接し、前記突状部を形成する柱状壁とからなることを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置のクーリングユニット。
【請求項6】前記排出孔は、前記底壁部に穿設されていることを特徴とする請求項5に記載の空気調和装置のクーリングユニット。
【請求項7】前記冷媒蒸発器の前記成形プレートおよび前記フィンには親水性処理が施されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかひとつに記載の空気調和装置のクーリングユニット。
【請求項8】隣設する成形プレート間に介在しているフィンの介在範囲の最下端は、前記排水ケースの上端よりも下方であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかひとつに記載の空気調和装置のクーリングユニット。
【請求項9】前記排水ケースは、前記冷媒蒸発器の下端とユニットケースの底壁との間に挟み込まれており、前記ユニットケースは、前記排水ケースの位置決めを行う係合部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかひとつに記載の空気調和装置のクーリングユニット。
【請求項10】表面に親水性処理が施された冷媒流路管の下端側に、他部より外方に膨らんだタンク部を形成した冷媒蒸発器と、この冷媒蒸発器より下方に凝縮水を排水する排水口を有するユニットケースとを備え、前記冷媒蒸発器あるいは前記ユニットケースのうちいずれか一方は、前記タンク部の最下端または前記タンク部の側方端から前記排水口へ凝縮水を誘導する誘導手段を有する空気調和装置のクーリングユニット。
【請求項11】前記冷媒流路管の下端側に2個のタンク部を形成した一対の成形プレートを複数積層してなる冷媒蒸発器の下方に配され、前記冷媒蒸発器にて発生した凝縮水を排出するための排出ケースであって、前記2個のタンク部の風上側端部に当接する風上側側方傾斜部と、前記2個のタンク部の風下側端部に当接する風下側側方傾斜部と、前記2個のタンク部間の部位下端部に当接する突状部と、前記冷媒蒸発器にて発生した凝縮水を排水するための排出孔とを有することを特徴とする排水ケース。
【請求項1】(a)下端側に2個のタンク部が形成された冷媒流路管を複数積層し、隣設する冷媒流路間にフィンを介在してなる冷媒蒸発器と、(b)この冷媒蒸発器の下方に配され、前記2個のタンク部の風上側端部に当接する風上側側方傾斜部、前記タンク部の風下側端部に当接する風下側側方傾斜部、前記2個のタンク部間の部位下端部に当接する突状部、および前記冷媒蒸発器にて発生した凝縮水を排水するための排出孔を有する排水ケースとを備えた空気調和装置のクーリングユニット。
【請求項2】前記排水ケースは、前記2個のタンク部の風上側の側方端および風下側の側方端に当接する2つの側壁部と、これらの側壁部より下方に傾斜し、前記風上側側方傾斜部および前記風下側側方傾斜部を形成する2つの外側傾斜壁と、前記2個のタンク部間の部位下端部に当接し、前記突状部を形成するへの字形状の突状壁と、前記2つの外側傾斜壁と前記突状壁とを連結する2つの内側傾斜壁とからなることを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置のクーリングユニット。
【請求項3】前記排出孔は、前記内側傾斜壁に穿設されていることを特徴とする請求項2に記載の空気調和装置のクーリングユニット。
【請求項4】前記排水ケースは、前記2個のタンク部の風上側の側方端および風下側の側方端に当接する2つの側壁部と、これらの側壁部より下方に傾斜し、前記風上側側方傾斜部および前記風下側側方傾斜部を形成する2つの傾斜壁と、これらの傾斜壁の連結部分より上方に延ばされ、前記2個のタンク部間の部位下端部に当接し、前記突状部を形成する柱状壁とからなることを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置のクーリングユニット。
【請求項5】前記排水ケースは、前記2個のタンク部の風上側の側方端および風下側の側方端に当接する2つの側壁部と、これらの側壁部より下方に傾斜し、前記風上側側方傾斜部および前記風下側側方傾斜部を形成する2つの傾斜壁と、これらの傾斜壁の最下端同士を連結し、前記2個のタンク部の下端部から所定の距離だけ離れた底壁部と、この底壁部の中央から上方に延ばされ、前記2個のタンク部間の部位下端部に当接し、前記突状部を形成する柱状壁とからなることを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置のクーリングユニット。
【請求項6】前記排出孔は、前記底壁部に穿設されていることを特徴とする請求項5に記載の空気調和装置のクーリングユニット。
【請求項7】前記冷媒蒸発器の前記成形プレートおよび前記フィンには親水性処理が施されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかひとつに記載の空気調和装置のクーリングユニット。
【請求項8】隣設する成形プレート間に介在しているフィンの介在範囲の最下端は、前記排水ケースの上端よりも下方であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかひとつに記載の空気調和装置のクーリングユニット。
【請求項9】前記排水ケースは、前記冷媒蒸発器の下端とユニットケースの底壁との間に挟み込まれており、前記ユニットケースは、前記排水ケースの位置決めを行う係合部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかひとつに記載の空気調和装置のクーリングユニット。
【請求項10】表面に親水性処理が施された冷媒流路管の下端側に、他部より外方に膨らんだタンク部を形成した冷媒蒸発器と、この冷媒蒸発器より下方に凝縮水を排水する排水口を有するユニットケースとを備え、前記冷媒蒸発器あるいは前記ユニットケースのうちいずれか一方は、前記タンク部の最下端または前記タンク部の側方端から前記排水口へ凝縮水を誘導する誘導手段を有する空気調和装置のクーリングユニット。
【請求項11】前記冷媒流路管の下端側に2個のタンク部を形成した一対の成形プレートを複数積層してなる冷媒蒸発器の下方に配され、前記冷媒蒸発器にて発生した凝縮水を排出するための排出ケースであって、前記2個のタンク部の風上側端部に当接する風上側側方傾斜部と、前記2個のタンク部の風下側端部に当接する風下側側方傾斜部と、前記2個のタンク部間の部位下端部に当接する突状部と、前記冷媒蒸発器にて発生した凝縮水を排水するための排出孔とを有することを特徴とする排水ケース。
【図1】
【図4】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図17】
【図7】
【図8】
【図14】
【図20】
【図26】
【図29】
【図9】
【図10】
【図11】
【図27】
【図12】
【図13】
【図18】
【図19】
【図21】
【図22】
【図31】
【図32】
【図33】
【図23】
【図24】
【図25】
【図28】
【図30】
【図34】
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【図8】
【図14】
【図20】
【図26】
【図29】
【図9】
【図10】
【図11】
【図27】
【図12】
【図13】
【図18】
【図19】
【図21】
【図22】
【図31】
【図32】
【図33】
【図23】
【図24】
【図25】
【図28】
【図30】
【図34】
【公開番号】特開平7−172152
【公開日】平成7年(1995)7月11日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−45601
【出願日】平成6年(1994)3月16日
【出願人】(000004260)日本電装株式会社 (27,639)
【公開日】平成7年(1995)7月11日
【国際特許分類】
【出願日】平成6年(1994)3月16日
【出願人】(000004260)日本電装株式会社 (27,639)
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