説明

空気調和装置の室外ユニット

【課題】室外ユニットの底板部材への脚部材の装着状態や装着作業を向上させる。
【解決手段】空気調和装置の室外ユニットは、底板部材を含むケーシングと、その底板部材に装着される脚部材40とを備える。底板部材は、水平部と、その水平部から略垂直に立ち上がる垂直部とを有する。脚部材40は、水平部と対向し水平部に固定される水平装着部44,45と、垂直部と対向し垂直部に固定される垂直タブ46と、それとは別の垂直タブ47とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置の室外ユニット、特に、その底板部材および脚部材の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置の室外ユニットとして、直方体の箱状のケーシングを備え、そのケーシングの内部が仕切板により送風機室と機械室とに分割された構造を有するものがある。送風機室には、室外熱交換器や室外ファンが配置されている。また、機械室には、圧縮機、アキュムレータやレシーバ等の液冷媒を溜めることが可能な液溜容器、バルブ類、冷媒配管などが配置されている。このような室外ユニットは、冷媒連絡配管を介して室内ユニットに接続されている。
【0003】
空気調和装置の室外ユニットは、例えば特許文献1に示すもののように、ケーシングとは別の脚部材を備えていることがある。脚部材は、水平面と平行な水平部を有し、その水平部がケーシングの底板部材に当接し、ボルトやネジによって底板部材に締結される。特許文献1の室外ユニットにおいても、ボルト,ナットによって底板(底板部材)に脚体(脚部材)が取り付けられている。
【特許文献1】特開平10−318561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような、脚部材を備える空気調和装置の室外ユニットでは、底板部材の水平部と脚部材とが締結される構造を採ることが多い。しかし、ボルトやネジのサイズに対して底板部材や脚部材に設ける孔のサイズが大きいことから、両者の相対位置が設計寸法から少しずれることがある。また、底板部材の水平部の孔と脚部材の孔とを組立時に合わせる必要があるが、その作業を容易にすることが求められている。
【0005】
本発明の課題は、室外ユニットの底板部材への脚部材の装着状態や装着作業を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る空気調和装置の室外ユニットは、底板部材を含むケーシングと、その底板部材に装着される脚部材とを備えている。底板部材は、第1水平部と、その第1水平部から略垂直に立ち上がる第1垂直部とを有している。脚部材は、第1水平部と対向し第1水平部に固定される第2水平部と、第1垂直部と対向し第1垂直部に固定される第2垂直部と、その第2垂直部とは別の第3垂直部とを有している。
【0007】
ここでは、脚部材の第2水平部及び第2垂直部がケーシングの底板部材に固定されるが、従来から存在する第2水平部に加えて第2垂直部および第3垂直部を設け、第2垂直部を底板部材の第1垂直部に固定させている。これらの第2垂直部および第3垂直部が存在しているため、平面視における脚部材と底板部材との位置合わせが容易になり、底板部材への脚部材の装着作業性が向上する。また、脚部材と底板部材とが平面的にずれる恐れが小さくなる。
【0008】
第2発明に係る空気調和装置の室外ユニットは、第1発明の室外ユニットであって、底板部材には、第3垂直部が貫通可能な開口が形成されている。また、脚部材の底板部材への装着時に、脚部材の第3垂直部が底板部材の開口に挿入される。
【0009】
ここでは、底板部材に開口が形成されているので、脚部材の底板部材への装着作業において、まず、第3垂直部を底板部材の開口に挿入することで、底板部材に対する脚部材の平面的な位置決めを行い、その後に、第1水平部と第2水平部との固定や第1垂直部と第2垂直部との固定という作業を行うことができる。このため、底板部材への脚部材の装着の作業性が向上する。
【0010】
なお、底板部材の開口の大きさは、脚部材の第3垂直部の横断面よりも少し大きい程度であることが望ましい。両者の大きさが近いほど、底板部材に対する脚部材の平面的な位置決めの精度が高くなり、作業性がより良くなる。
【0011】
第3発明に係る空気調和装置の室外ユニットは、第1又は第2発明の室外ユニットであって、第1垂直部と第2垂直部とには、それぞれ孔が形成されている。そして、第1垂直部と第2垂直部とは、ネジ或いはボルト,ナットによって締結されている。
【0012】
ここでは、ネジ或いはボルト,ナットにより底板部材の第1垂直部と脚部材の第2垂直部とが適正に強固に締結されるため、底板部材への脚部材の装着状態が更に向上する。
【0013】
第4発明に係る空気調和装置の室外ユニットは、第3発明の室外ユニットであって、第1垂直部は、ケーシングの前面と平行である。そして、ネジ或いはボルトは、第1垂直部と第2垂直部とを前後に締結している。
【0014】
空気調和装置の室外ユニットでは、内蔵部品である室外ファンがケーシング前面に形成された吹出口から前方に風を吹き出すものが多く、その反力によって底板部材の第1水平部と脚部材の第2水平部とが前後にずれることも想定され得る。しかし、第3発明の室外ユニットでは、ケーシングの前面と平行な第1垂直部に対して脚部材の第2垂直部がネジ或いはボルト,ナットによって前後に締結されるため、そのような前後にずれる現象が抑えられる。
【0015】
第5発明に係る空気調和装置の室外ユニットは、第3又は第4発明の室外ユニットであって、第1水平部と第2水平部とは、ネジ或いはボルト,ナットによって締結されている。
【0016】
ここでは、ネジ或いはボルト,ナットによる第1垂直部と第2垂直部との締結に加え、ネジ或いはボルト,ナットによる第1水平部と第2水平部との締結が為されているため、底板部材への脚部材の装着状態が更に強固になる。
【発明の効果】
【0017】
第1発明,第2発明に係る室外ユニットでは、平面視における脚部材と底板部材との位置合わせが容易になり、底板部材への脚部材の装着作業性が向上する。
【0018】
第3発明,第5発明に係る室外ユニットでは、底板部材への脚部材の装着状態が更に向上する。
【0019】
第4発明に係る室外ユニットでは、脚部材と底板部材とが前後にずれることが抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
<室外ユニットの概略構成>
本発明の一実施形態にかかる空気調和装置の室外ユニットを、図1に示す。図1は、空気調和装置の室外ユニット1を示す斜視図である。室外ユニット1は、空気調和を行う空調対象空間(室内)の外部に設置されており、略直方体箱状のユニットケーシング3の内部が、鉛直に延びる仕切板(図示せず)によって送風機室S1と機械室S2とに分割されている。この室外ユニット1は、空調対象空間に配置される室内ユニット(図示せず)に冷媒連絡配管(図示せず)を介して接続されている。
【0021】
室外ユニット1は、主に、略箱状のユニットケーシング3と、室外ファン(図示せず)と、熱交換器、圧縮機、弁、配管などを含み冷媒回路を構成する冷媒回路構成部品(図示せず)と、運転制御を行う電装品ユニット(図示せず)と、ユニットケーシング3と設置場所の床面との間に位置することになる脚部材40とを備えている。
【0022】
<ユニットケーシング及びユニットケーシングの底板部材の構成>
ユニットケーシング3には、前面3aの中央部および左部に位置する吹出口が形成されており、室外ファンにより送り出された空気が、吹出口から前方に吹き出される。
【0023】
ユニットケーシング3は、天板部材や側板部材に加えて、底板部材30を有している。底板部材30は、図2に示すように、主として、平面視で略長方形の形状を持ち水平面に沿う水平部31と、その水平部31の四辺の縁部それぞれから鉛直上方に立ち上がる垂直部32とから構成されている。垂直部32は、プレス成形によって、水平部31と一体に形成されるものである。このプレス成形により、水平部31には、強度アップのための浅い凹凸や溝が形成されている。また、水平部31には、後述する脚部材40のバーリング穴49に対応する位置に、孔が開けられる。さらに、水平部31には、後述する脚部材40の右垂直タブ46および左垂直タブ47のうち垂直部32に隣接しない一方のタブを貫通させる長方形開口33が開けられている(図6参照)。この長方形開口33は、右垂直タブ46および左垂直タブ47それぞれの横断面よりも、幅寸法、奥行き寸法とも少しだけ大きく形成されている。
【0024】
<脚部材の構成>
脚部材40は、室外ユニット1を設置する場所の地面(床面)に直接当たる部材であり、ユニットケーシング3の底板部材30と地面との間にスペースを確保する役割や、アンカーボルトなどによって室外ユニット1を地面に固定させる役割を果たす。
【0025】
図3〜図6に示すように、脚部材40は、主として、地面に当たる接地部41と、その接地部41の左右端から鉛直上方に立ち上がる右垂直部42および左垂直部43と、それら右垂直部42および左垂直部43の上端から水平面に沿って外方に延びる右水平装着部44および左水平装着部45と、右垂直タブ46および左垂直タブ47とから構成されている。
【0026】
接地部41は、底板部材30の奥行き寸法よりも長く前後に延びる板状の部分であり、図2に示すように、平面視において底板部材30からはみ出す前後の端部に、アンカーボルトなどで地面に固定できるように、切り欠きが形成されている。
【0027】
接地部41の左右両端部から垂直に立ち上がる右垂直部42および左垂直部43は、図4に示すように、上部の前後長が下部の前後長よりも短くなっている。右垂直部42および左垂直部43の上部の前後長は、底板部材30の奥行き寸法よりも少し短い。
【0028】
右水平装着部44および左水平装着部45は、右垂直部42および左垂直部43の上端から右外方,左外方にそれぞれ水平面に沿って延びる部分である。右水平装着部44および左水平装着部45の上面は、底板部材30の水平部31の下面に当接し、図示しないネジによって底板部材30の水平部31に固定される。ネジは、右水平装着部44および左水平装着部45に形成された複数の下向きのバーリング穴49(図3〜図5参照)に、下方から挿入される。
【0029】
右垂直タブ46および左垂直タブ47は、右水平装着部44および左水平装着部45の前端から垂直上方に立ち上がる板状部分であり、折り曲げ加工によって形成される。すなわち、右垂直タブ46および左垂直タブ47は、ユニットケーシング3の前面3aと平行である。脚部材40は、素材である金属板にプレス加工や曲げ加工を施して成形するものであり、各部41〜47は一体である。右垂直タブ46および左垂直タブ47には、板厚方向(前後方向)に貫通する孔46a,47aが形成されている(図5,図6参照)。
【0030】
<脚部材の底板部材への装着について>
上述の構成を持つ脚部材40は、底板部材30の右側部分の下面と左側部分の下面とに、それぞれ装着される。どちらにも、同じ脚部材40が装着される。すなわち、1台の室外ユニット1について、2つの同じ脚部材40が用意されている。
【0031】
底板部材30の右側部分の水平部31の下面に装着される脚部材40は、図6(右側)に示すように、左垂直タブ47が底板部材30の長方形開口33に差し込まれるように、下方から底板部材30に当てられる。これにより、右垂直タブ46が底板部材30の垂直部32に隣接し、平面視においてバーリング穴49の幾つかが底板部材30の水平部31の孔の場所に位置するようになる。そして、バーリング穴49の下方からネジを挿入し、底板部材30の水平部31に脚部材40の右水平装着部44および左水平装着部45を締結させる。また、脚部材40の右水平装着部44および左水平装着部45を底板部材30の水平部31に当接させると、右垂直タブ46の孔46aが、隣接する底板部材30の垂直部32に開けられている孔32a(図6参照)と正面視において重なる位置にくる。それらの孔32a,46aを貫通するように、ネジ51を挿入してねじ込む。これにより、右垂直タブ46と、それに隣接する底板部材30の垂直部32の一部分とが、前後に強固に締結される。
【0032】
底板部材30の左側部分の水平部31の下面に装着される脚部材40は、図6(左側)に示すように、右垂直タブ46が底板部材30の長方形開口33に差し込まれるように、下方から底板部材30に当てられる。これにより、左垂直タブ47が底板部材30の垂直部32に隣接し、平面視においてバーリング穴49の幾つかが底板部材30の水平部31の孔の場所に位置するようになる。そして、バーリング穴49の下方からネジを挿入し、底板部材30の水平部31に脚部材40の右水平装着部44および左水平装着部45を締結させる。また、脚部材40の右水平装着部44および左水平装着部45を底板部材30の水平部31に当接させると、左垂直タブ47の孔47aが、隣接する底板部材30の垂直部32に開けられている孔32a(図6参照)と正面視において重なる位置にくる。それらの孔32a,47aを貫通するように、ネジ51を挿入してねじ込む。これにより、左垂直タブ47と、それに隣接する底板部材30の垂直部32の一部分とが、前後に強固に締結される。
【0033】
<室外ユニットの特徴>
(1)
室外ユニット1では、脚部材40の右水平装着部44および左水平装着部45と右垂直タブ46および左垂直タブ47とが底板部材30に固定されるが、従来から存在する右水平装着部44および左水平装着部45に加えて右垂直タブ46および左垂直タブ47を設け、それらの一方のタブを底板部材30の長方形開口33に差し込ませ、他方のタブを底板部材30の垂直部32に固定させている。
【0034】
このため、平面視における脚部材40と底板部材30との位置合わせが容易になり、底板部材30への脚部材40の装着作業性が向上している。また、脚部材40と底板部材30とが平面的にずれることが殆どなくなる。
【0035】
(2)
室外ユニット1では、右垂直タブ46および左垂直タブ47に、それぞれ孔46a,47aを形成している。そして、脚部材40の右垂直タブ46或いは左垂直タブ47と、底板部材30の垂直部32とが、ネジ51によって締結されている。
【0036】
ここでは、ネジ51により底板部材30の垂直部32と脚部材40の右垂直タブ46或いは左垂直タブ47とが適正に強固に締結されるため、底板部材30への脚部材40の装着状態が非常に良くなっている。
【0037】
特に、空気調和装置の室外ユニット1では、室外ファンがユニットケーシング3の前面3aに形成された吹出口から前方に風を吹き出すため、その反力によって底板部材30の水平部31と脚部材40の右水平装着部44および左水平装着部45とが前後にずれることも想定され得る。しかし、ここでは、そのような前後のズレが抑えられる。
【0038】
なお、ここではネジ51を採用しているが、ネジ51の代わりにボルト,ナットを用いてもよい。また、作業性は少し劣るが、溶接によって底板部材30の垂直部32と脚部材40の右垂直タブ46或いは左垂直タブ47とを固定することも可能である。底板部材30の水平部31と脚部材40の右水平装着部44および左水平装着部45との固定についても、ネジの代わりにボルト,ナットを用いたり、ネジ等による締結ではなく溶接という固定方法を採用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気調和装置の室外ユニットの外観斜視図。
【図2】脚部材が装着された室外ユニットの底板部材の平面図。
【図3】脚部材の平面図(紙面の手前が上側、紙面の奥が下側)。
【図4】脚部材の側面図。
【図5】脚部材の正面図。
【図6】図3の一部拡大図。
【符号の説明】
【0040】
1 空気調和装置の室外ユニット
3 ユニットケーシング
3a ユニットケーシングの前面
30 底板部材
31 水平部(第1水平部)
32 垂直部(第1垂直部)
32a 孔
40 脚部材
44 右水平装着部(第2水平部)
45 左水平装着部(第2水平部)
46 右垂直タブ(第2垂直部,第3垂直部)
46a 孔
47 左垂直タブ(第3垂直部,第2垂直部)
47a 孔
51 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板部材(30)を含むケーシング(3)と、
前記底板部材に装着される脚部材(40)と、
を備え、
前記底板部材は、第1水平部(31)と、前記第1水平部から略垂直に立ち上がる第1垂直部(32)とを有し、
前記脚部材は、前記第1水平部と対向し前記第1水平部に固定される第2水平部(44,45)と、前記第1垂直部と対向し前記第1垂直部に固定される第2垂直部(46,47)と、前記第2垂直部とは別の第3垂直部(47,46)とを有する、
空気調和装置の室外ユニット(1)。
【請求項2】
前記底板部材には、前記第3垂直部が貫通可能な開口(33)が形成されており、
前記脚部材は、前記底板部材への装着時に、前記第3垂直部(47,46)が前記開口(33)に挿入される、
請求項1に記載の空気調和装置の室外ユニット。
【請求項3】
前記第1垂直部と前記第2垂直部とには、それぞれ孔(32a,46a,47a)が形成されており、
前記第1垂直部と前記第2垂直部とは、ネジ(51)或いはボルト,ナットによって締結されている、
請求項1又は2に記載の空気調和装置の室外ユニット。
【請求項4】
前記第1垂直部は、前記ケーシングの前面(3a)と平行であり、
前記ネジ或いはボルトは、前記第1垂直部と前記第2垂直部とを前後に締結している、
請求項3に記載の空気調和装置の室外ユニット。
【請求項5】
前記第1水平部と前記第2水平部とは、ネジ或いはボルト,ナットによって締結されている、
請求項3又は4に記載の空気調和装置の室外ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−71517(P2010−71517A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−237797(P2008−237797)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】